タマモクロス(1)

1988年10月30日 、この日の東京競馬場は、気持ちのいい秋晴れでした。

後々まで史上に残る名勝負として語り継がれることになる天皇賞・秋が行われました。

春に天皇賞・春、宝塚記念のＧ１連覇したタマモクロスは、

北海道でじっくり充電していましたが、久しぶりにその雄姿を見せてくれました。

宝塚記念でスピード王ニッポーテイオーを粉砕したタマモクロスは、

この時点で日本最強馬の地位に就いたはずでした。

しかしながら、タマモクロスの前には次々新たなる強敵が現れます。

今回のタマモクロスのライバルは、

地方から中央に殴り込みをかけてきた新怪物オグリキャップです。

中央入りしてから重賞６連勝、

地方時代からは通算１４連勝中という無敵のスーパーホースです。

タマモクロスにとっては、これまでで最大の強敵です。

タマモクロスも、目下７連勝中で、Ｇ１を２連勝、重賞を５連勝中。

負けることを知らないタマモクロスとオグリキャップの二強。

この芦毛２頭の白い対決は、まさに夢の対決、世紀の対決です！

この日もう間もなく、タマモクロスとオグリキャップのどちらかに土がついてしまう。

そのことが信じられない思いでしたが、

タマモクロスが勝つにしろ負けるにしろ、素晴らしいレースを見せてほしい。

タマモクロスは、この日もややテンションが上がっていましたが、

これはタマモクロスの勝利への熱い思いの表れ。

コンビの南井騎手を背にすると、一層闘志をみなぎらせ、

いよいよ本場場へと向かっていきました。

天皇賞・秋は、ファンの期待を裏切らない素晴らしいレースとなりました。

追い込みのタマモクロスが、意表を突くような南井騎手の先行策。

直線に向くと、オグリキャップが外から追い込んで来て、やはり二強の一騎討ち！

しかしながら、タマモクロスはオグリキャップの追撃を１馬身1/4差完封し、

史上初の天皇賞春秋連覇、Ｇ１３連勝、重賞６連勝、通算８連勝を達成！

タマモクロスが真の日本最強馬に君臨する日となったのです。