ヤマニングローバル

1989年11月11日、京都競馬場のデイリー杯３歳Ｓで、ヤマニングローバルに会いました。

この年、天衣無縫の四冠馬ミスターシービーの初年度産駒のデビューを迎えていました。

その産駒の中から、クラシック級の逸材として

デビュー前から絶大な注目を集めたのがヤマニングローバルでした。

ヤマニングローバルは、その期待に完璧に応える走りで、

ここまで新馬，黄菊賞と余裕十分の勝ちっぷりで２戦全勝。

重賞初制覇を目指すこの一戦でも、武豊騎手を鞍上に単勝1.6倍の断然人気を集めていました。

レースでは、好位追走から直線楽々と抜け出して、函館３歳Ｓ２着馬のコニーストン以下を突き放します。

このレースには、後に一流馬として活躍するダイタクヘリオス，イクノディクタスなども出走していましたが、

ヤマニングローバルはこれらを全く相手にしません。

ゴール前は手綱を緩める余裕の走りで、見事に重賞初制覇を達成！

３戦無敗の完全無欠の強さで、この年の２歳世代の最強馬との評価が高まりました。

しかしながら、レース中に右前種子骨骨折を発症したため、

向正面で止まってしまい、そのまま馬運車に運ばれて行ってしまいました。

競走生命さえ危ぶまれる重度の骨折で、ボルトを２本埋め込まれる大手術は成功しましたが、

奇跡の復帰に向けて長期休養を余儀なくされました。

そして、１年２ヵ月後の４歳１月に、京都競馬場でなんとか復帰を果たすのです。

あれだけの大怪我が競走能力に与えた影響は相当に大きかったはずですが、

復帰後もアルゼンチン共和国杯，目黒記念の２つのＧ２レースを優勝しました。

そして５歳時の天皇賞・秋では、４ヵ月半ぶりのレースでしたが。

ゴール前100ｍでトウカイテイオーなどをかわして先頭に立つシーンを作って、

大いに観衆を沸かせて３着に頑張ってくれました。

ヤマニングローバルが無事だったら、ミスターシービー産駒のＧ１制覇も実現していたのでは…。

ミスターシービーファンの共通の想いではありますが、その答えは誰にも分かりません。

ただ、再起不能ではとさえ言われながら、奇跡の復活をして大活躍したその姿は、

多くの人々に勇気と感動を与えてくれたことだけは、間違いありません。