１９９３年（平成５年）前期

●２月の阪神の新馬デビュー戦で勝利を飾ったエンデバースター。単勝1.5倍の断然人気に応え、１馬身1/4差逃げ切り勝ちを演じた内容は、奥の深さを感じさせるものだった。しかしながら、続く前走昇級緒戦のさわらび賞では、２番人気に支持されたものの、タマモクロス産駒フジワンマンクロスの１２着に沈んでいた。前走の大敗には落胆したが、これで終わる馬ではないだけに、ここは何が何でも巻き返したい。１番人気は、エンデバースターで単勝2.6倍。前走は芝で崩れてしまったが、ダートなら確実な走りが期待できる。２番人気は、前走の平場戦で４着だったユウキシーズンで単勝5.3倍。３番人気は、前走の平場戦６着のノーザンマイアで単勝8.4倍。エンデバースターにとって、ライバルたちも決して強力ではないだけに、ここは素質の違いで勝利をモノにしたい。

３着

４着

　直線は、先頭は僅かにノーザンマイアで押し切りを図る。内マルフレンドが差なく２番手，外マルタカルーブルが３番手だが、エンデバースターは、このあたりでは前３頭から少し後れを取って４番手で すっと反応できない。 残り250ｍで、先頭ノーザンマイアが抜け出して、外からマルタカルーブルが懸命に追ってくるが、これを突き放したノーザンマイアは２馬身ほどにリードを広げて勝利を決める。逃げて一杯になったマルフレンドをかわして３番手に押し上げたエンデバースターは、ゴール前もう一度差し返す根性を発揮してマルタカルーブルに詰め寄ったが、これを捉えるまでの勢いはなく、マルタカルーブルに3/4馬身差の３着でのゴール。エンデバースターは、１番人気に支持されていたことを考えると、残念な結果ではあったが、よく頑張って最後まで盛り返していた。しかし、その後は３歳500万クラスで４戦したが６着が最高で、古馬との混合戦でももうひとつ伸びを欠くレースが続く。それでも、９月の阪神の500万下平場戦で３着に善戦すると、１０月の京都の平場戦では１番人気に支持されることに。多少時間はかかったものの、ここからいよいよ本領発揮かと期待されたが、このレースで故障で競走中止の悲運…。まだ３歳秋という短い生涯を閉じてしまったことは残念というほかない。

●デビュー以来勝ち負けを争い競馬を続け、デビュー６戦目にして未勝利を勝ち上がったシスターセレナード。しかしながら、500万クラスに昇級してからは、５戦連続の着外と苦しい戦いが続く。しかしながら、３走前の500万下平場戦で、勝ち馬から２馬身差の５着に食い込むと、ここ２戦も差のない２着に頑張って、完全に一皮剥けた感がある。今回は、近走の惜敗続きの鬱憤を晴らして、500万クラスの初勝利を挙げるチャンス到来の一戦。１番人気は、青葉賞でレオダーバンの２着と健闘してダービーにも挑戦したイブキノウンカイで単勝1.5倍の断然人気。ダービー以来７ヶ月ぶりのレースとなった前走500万下平場戦では、+18kgの重目残りで3/4馬身差の２着に惜敗したが、ひと叩きされた今回は実力を見せてくるはず。シスターセレナードは、単勝4.3倍の２番人気。３番人気は、これも近２走２着を続けるシャトーテンで単勝5.0倍。イブキノウンカイが噂どおりの実力馬ならかなり手強いが、シスターセレナードも、状態の良さで勝利を狙う。

３着

４着

　直線の争いは、内でシャトーテンが逃げ粘るところ、中イブキノウンカイ，外シスターセレナードが迫って来る。内からもう一度シャトーテンが伸びて先頭で頑張っているが、勝負はこの上位３頭の争いに絞られる。４番手以下は、前３頭から３馬身と差が開いてしまって残り１ハロン。この前３頭の争いから、人気の中イブキノウンカイが脱落して、シャトーテンとシスターセレナードの２頭の叩き合いに。シャトーテンも渋太く抵抗するが、ゴール前70ｍで、父ミスターシービー譲りの勝負根性を見せたシスターセレナードが僅かにかわして先頭に出る。シャトーテンも最後まで食い下がったが、シスターセレナードが首差競り勝って優勝。イブキノウンカイは、前２頭から３馬身後れての３着に終わった。嬉しい500万クラス初勝利を飾ったシスターセレナード。大きく成長した今なら、900万クラスでも好勝負を演じてくれるはずだ。

●３歳１月の東京開催でデビューしたリンガスロード。デビュー戦で２着と善戦して期待を集め、 ２戦目の新馬戦では１０着と崩れたが、続く未勝利戦では７馬身差の圧勝劇。しかしながら、続く前走昇級緒戦の500万下平場戦では、勝ち馬から差のある７着に沈んでいた。成績にかなりムラがあるが、今回は昇級２戦目の競馬でもあり、今度こそ底力を見せつけてほしい。１番人気は、前々走オープンのホープフルＳでウイニングチケットの２着だったマイヨジョンヌで単勝2.2倍。前走の500万下平場戦は、休み明けで６着と期待を裏切ったが、ひと叩きされた今回は変わり身が見込める。後に重賞を３勝するなど、重賞戦線で長く活躍することになる馬。２番人気は、３走前の葉牡丹賞でウイニングチケットの２着となっているメジャーウィナーで単勝5.1倍。ただ、近２走は９着，８着と一息の成績。後に春秋の中山大障害で２着になる活躍を見せることとなる。リンガスロードは、単勝16.5倍の７番人気。前走のレース内容から人気を下げているが、実力さえ出し切れれば、このメンバーでも互角の勝負ができると信じたい。

３着

４着

　直線に向くと、マイヨジョンヌは意外に粘りがなく、メジャーウィナーがじわっと出て先頭に。しかし、これに半馬身差で食い下がっているのがリンガスロード。中ルーセントカップも３番手で頑張っているが、今度は内からスーパーマックスも突っ込んでくる。しかしながら、勝負は完全にメジャーウィナーとリンガスロードの争いに絞られ、この２頭の激しい叩き合いが続く。リンガスロードも懸命に盛り返す勝負根性を発揮したが、メジャーウィナーが辛くも首差振り切って優勝。リンガスロードは、あと一歩及ばず２着に惜敗。マイヨジョンヌは９着に惨敗した。２着には敗れたが、500万クラス２戦目できっちり変わり身を見せてくれたリンガスロード。これからがいよいよ本領発揮の時だ。