２０１３年（平成２５年）

●重賞レースでも活躍したマイネルクラリティを兄に持つヴァンデミエールのデビュー戦。ここで潜在能力の片鱗を見せつけて、今後に希望を膨らませたい。１番人気は、ヨハネスブルグ産駒のネロで単勝1.4倍の断然人気。２番人気は、名門千明牧場の持ち馬メイソヴリンで単勝6.2倍。姉シーブリーズライフはＧ２フィリーズレビュー５着の成績がある。ヴァンデミエールは、単勝21.9倍の５番人気。人気は低いものの、素質では負けていないはずだ。

　レースでは、ヴァンデミエールはスタートで若干立ち遅れて、中位からの競馬。人気のネロがすっと先頭に立って3/4馬身のリード。内からラヴァーサクラが半馬身差に接近。大外首差でパンチショットが３番手。ヴァンデミエールはその３馬身後ろで、中団よりやや後ろの位置だが、ここまでが固まって集団を形成している。３角手前では、ヴァンデミエールもじわっと押し上げて行く。後ろの馬たちはバラバラ。３角では、ラヴァーサクラ，ネロがほぼ並ぶ態勢の先頭争い。３〜４角の中間で、ヴァンデミエールは先頭から３馬身半とそれほど差はない。４角では、ラヴァーサクラが僅かに先頭だが、外首差でネロも余力十分。１馬身差でメイソヴリン，パンチショットの３番手争い。中半馬身差でキョウワジュネスも３番手争いの一角。ヴァンデミエールは、更に１馬身半差の７番手で直線へ。

　直線に向くと、ネロが僅かに首ほどリードするが、内でラヴァーサクラも食い下がる。ヴァンデミエールは、少し窮屈な感じになりながらも、中から外目に持ち出しながら、じわじわ脚を伸ばしてくる。残り１ハロンでも、先頭ネロに首差でラヴァーサクラが食い下がっていたが、ネロは持ったままで、実質もう勝負はついている。ラスト150ｍで、前２頭に２馬身1/4差でキョウワジュネスが３番手だが、ヴァンデミエールは更に１馬身半後ろの大外６番手。ここから４番手争いが接戦になって、ラスト100ｍでヴァンデミエールがメイソヴリンなどをかわして４番手に上がると、ここから３番手キョウワジュネスとの差をじわっと詰めたが、3/4馬身差までが精一杯でそのまま４着でのゴール。人気のネロは、最後まで目一杯に追うことなく、ラスト150ｍからじわじわ差を開いて楽勝した。勝ち負けの競馬はできなかったが、渋太く頑張って上位に食い込んだヴァンデミエール。一応、能力があるところは見せてくれた。鞍上の嘉藤騎手は、「スタートが出なくて、スローの流れに巻き込まれてしまいました。それでも最後はしっかり反応して頑張ってくれました。奥がありそうなタイプですね。」とコメント。兄のマイネルクラリティも、じわじわ成長していったタイプ。この馬の成長力にも期待していいはずだ。

●２歳８月の新潟の新馬デビュー戦で４着だったヴァンデミエール。素質のあるところを見せてくれたが、その後２戦は７着，１１着と成績は下降。それだけに今回は、なんとか巻き返しを図りたい。１番人気は、新馬デビュー戦で半馬身差の２着だったイマスグキスミーで単勝1.6倍の断然人気。２番人気は、デビューからの２戦を２着，４着と堅実に駆けているオートクレールで単勝6.0倍。ヴァンデミエールは、単勝35.9倍の７番人気と、評価は下がっている。それでも、デビュー戦で見せた走りができるなら、上位食い込みがあってもおかしくない。

　レースでは、ヴァンデミエールはスタートはまずまず。持ったままで中位につけて行く。じわっとカイミラが先頭だが、外首差でオートクレールも先行争い。１馬身1/4差でクリキントン，首差で内マサノマリリン。ヴァンデミエールは、先頭から３馬身近い差の６番手で、以下も差なく固まる。イマスグキスミーは、ヴァンデミエールの２馬身後ろの後方大外。３角でも、平均ペースで隊列は変わらないが、３〜４角で、先頭カイミラ一頭が、リードを５馬身と開いている。４角では、オートクレールが終始２番手で、3/4馬身差で内にマサノマリリン。ヴァンデミエールは、２番手から２馬身差の５番手争いだが、このあたりはまったくの一団。その２馬身後ろの大外からイマスグキスミーもスパート態勢で直線へ。

　直線に向くと、先頭カイミラのリードはじわじわ詰まってきて、残り400ｍではその差は２馬身半。オートクレールが２番手で、１馬身1/4差の混戦の３番手争いにヴァンデミエールも加わってくるが、後方から一気に追い上げた大外イマスグキスミーの伸び脚がいい。残り250ｍでは、オートクレールが先頭に立って、イマスグキスミーが２番手に。しかしながら、残り１ハロンでは、今度はイマスグキスミーがオートクレールをかわして先頭。3/4馬身差でマサノマリリン，マリーズケイの３番手争いに、間首差でヴァンデミエールもこの争いに加わっている。しかしながら、先に抜け出したイマスグキスミーが内に切れ込むように斜行し、間接的に影響を受けて進路が狭くなったヴァンデミエール。騎手が立ち上がるようなシーンが一瞬あって、３番手争いから遅れを取る。それでも、ヴァンデミエールはマリーズケイとの叩き合いの４番手争い。２頭が譲らずほとんど同じ態勢だったが、首の上げ下げでゴールの瞬間ヴァンデミエールは頭が上がり、惜しくも鼻差及ばず５着。レース後審議になったが、着順変更はなし。ヴァンデミエールは、不利がなければ４着は間違いなくあったし、３着争いも際どかったかもしれない。鞍上の田辺裕騎手は、「シュッとした脚が使えないので、直線で寄られてしまった時に影響を受けてしまいました。でもレース内容は良くなっていました。距離もこれくらいがいいと思いますよ。」とコメント。残念な面もあったが、これで巻き返しの機運に乗って行けるはずだ。

●前走の未勝利戦で見せ場のある５着と巻き返してきたヴァンデミエール。審議になるほどの直線での不利があったが、それだけに今回は実力を存分に出し切りたい。１番人気は、前走新馬デビュー戦では１番人気で７着に終わったマイネルシャルフで単勝3.3倍。ディープインパクト産駒の期待馬であり、今回は変わり身を見せるか。２番人気は、前走東京の新馬戦で４着だったウインエレメントで単勝5.1倍。ヴァンデミエールは、単勝42.5倍の１１番人気。意外なほど評価が低いが、実力さえ出せるなら、ここでも五分の勝負ができてなんら不思議はない。

　レースでは、ヴァンデミエールは大外ワクからスタートは五分に出るが、じっくり後方待機策。まずサクラスマートが出てくるが、これをブランシェトワール，ギンザプレストがかわしての先頭争い。２馬身1/4差でサクラスマート，ラストシャングリラの３番手争い。以下3/4馬身差でまったくの一団。３角では、ヴァンデミエールは、先頭から７馬身差の中団後ろの大外。これに3/4馬身差で人気のマイネルシャルフの態勢。３〜４角の中間では、ヴァンデミエールがじわっと進出開始する。４角でも、ブランシェトワール，ギンザプレストの先頭争いが続いている。１馬身3/4差でラストシャングリラが３番手。ヴァンデミエールはその更に３馬身後ろで、中団やや後ろの大外の位置。その１馬身3/4差後ろの後方にケンタッキーミントの態勢で直線へ。

　直線に向くと、ブランシェトワール，ギンザプレストの先頭争いに、残り400ｍで１馬身差にサクラスマート，ラストシャングリラが接近。更に外１馬身差でウインエレメントが５番手。その後ろからヴァンデミエールがじわじわ伸びてくる。残り１ハロンで、ウインエレメントが先頭争いの大外に並びかけてくる。その１馬身1/4差後ろの５番手争いの大外にヴァンデミエール。その更に１馬身1/4差の直後から追ってくるケンタッキーミント。先頭に抜け出したウインエレメントは、ラスト120ｍで１馬身のリード。ヴァンデミエール，ケンタッキーミントの２頭が、内にいた３頭をまとめて抜き去っての２番手争い。しかしながら、伸び脚でまさったのはケンタッキーミントで、先頭ウインエレメントまで捉え切って快勝。ヴァンデミエールは、ウインエレメントとの差をじわっと詰めるたものの、半馬身及ばず３着でのゴール。それでも、これまでの最高着順で、見せ場は作ってくれた。鞍上の田辺裕騎手は、「レース運びの上手な馬ですが、今日は東京の1400ｍの大外ワクだったので、それはちょっと厳しかったですね。それでも頑張って走ってくれました。」とコメント。堅実性が身についてきた印象で、初勝利への期待は膨らんで来た。

●前走人気薄ながらこれまでで最高の３着と好走したヴァンデミエール。安定感も増してきて、実力はもう本物と言っていい。今回は初勝利を狙っての一戦となる。１番人気は、デビューからの２戦を連続僅差の２着としているサンデンバーで単勝2.1倍。父は500万クラス勝ちのテラノフォースワンで、数少ない産駒から勝ち馬を出せるのか。デビュー戦ではまったく人気がなかった馬だが、血統的なことを考えると、応援したい気持ちにもなる。２番人気は、新馬デビュー戦で１番人気で２着だったコスモドガで単勝6.5倍。ヴァンデミエールは、単勝7.3倍の３番人気。ライバルたちも骨っぽいが、是非とも初勝利を決めたい。

　レースでは、ヴァンデミエールはスタートは五分に出て、広がった先行争いの一角。８頭ほどの先頭争いから、シャドウリーフ，メニアオバの２頭がじわっと出てくる。3/4馬身差でコスモワッショイ，更に半馬身差で外コスモドガの順。その後ろ3/4馬身差で、内サンデンバー，外ヴァンデミエールが並んで追走。以下も差なく固まった態勢。３角では、ヴァンデミエールは先頭から２馬身半差の位置。３〜４角にかけて馬群が固まったまま、ヴァンデミエールは好位集団の馬群の中で、手応え十分の行きっぷり。４角では、今度はコスモワッショイが僅かに先頭，首差で内にメニアオバ。その後ろ１馬身差でサンデンバー，コスモドガの２頭に、間からヴァンデミエールがじわっと進出して並んで行って直線へ。

　直線に向くと、コスモワッショイが半馬身差で先頭も、外から伸び脚を発揮したのはヴァンデミエールで、じわじわ先頭に並んでくる。サンデンバーは内で一旦前が少し壁になっていたが、ここから逆に少し離され加減になって追い出すものの、伸び脚はひと息。残り１ハロンで、コスモワッショイ，ヴァンデミエール，コスモドガの３頭の争いとなってくるが、外の２頭の伸び脚がいい。ラスト150ｍを切って内のコスモワッショイが僅かに遅れる。ヴァンデミエール，コスモドガの競り合いは、ラスト80ｍでヴァンデミエールが僅かに出ると、食い下がるコスモドガをそのまま頭差抑え切って優勝のゴール。最後の接戦を制して、デビュー６戦目で嬉しい初勝利を飾った。鞍上の田辺裕騎手は、「1200ｍでしたから勝ちに行く競馬をしたんですが、この馬は下げた方が長く脚が使えるし、味も出るようですね。最後はよく凌いでくれました。」とコメント。レースを積みながら着実に力をつけており、勝負根性もなかなかのもの。昇級後の活躍も期待したい。

●前年４カ月の休み明けの未勝利戦で５着と、デビュー３戦目で初入着を果たしたエルフショット。そのまま弾みをつけたかったが、その後は去勢手術もあって７カ月の休養を余儀なくされる。この春に戦列に戻り、ここまでの２戦は７着，８着という結果。叩き３走目となる今回は、強気の連闘となるが、上位争いを期待したい。１番人気は、近３戦で２着２回のヒミノオオタカで単勝1.5倍の断然人気。前走も２着と惜敗し、今度こその意気込みで臨んで来ている。２番人気は、近４戦で３着３回のドリームワンで単勝6.0倍。前走７着と崩れただけに、巻き返しを期している。エルフショットは、単勝16.4倍の５番人気。決して大きな力の差はないはずだ。

　レースでは、エルフショットはスタートは五分に出て、手綱を押して行くが中位から。セイミニスターがまず出てくるが、内からファインユニバース，大外ブラックフライデーが並んでくる。エルフショットは、先頭から７馬身差の中団後ろの内々で１角へ。１〜２角で、ファインユニバースが先頭に立って、１馬身1/4差でセイミニスターが２番手。3/4馬身差で内フリーマインドが３番手で向正面へ。その半馬身外の４番手に人気のヒミノオオタカ。更に3/4馬身内の５番手にブラックフライデーは下げている。これに１馬身差でエルフショット，エーティーダンガンの２頭が追走している。比較的固まった展開で、向正面の中間を過ぎると、後方にいたレッドエンブレムが一気のマクリをかけて、あっと言う間に先頭ファインユニバースに並んで行く。ペースが上がり、前７頭が３馬身半の圏内で固まる。その後ろ２馬身と少し差が開いて、エルフショットは後方２，３頭目の争い。３角では、先行２頭に２馬身差でヒミノオオタカが３番手。エルフショットは少し外目に出すが、外側に馬がいて外に出し切れず、前が壁になって手綱を抑えるようなシーンもあり、やむを得ずまた内にコースを取る。３〜４角の中間でも態勢は変わらず、先行２頭が３番手ヒミノオオタカ以下を２馬身半と離している。４角では、ヒミノオオタカの１馬身後ろにエーティーダンガンが４番手だが、その外にブラックフライデーが並んでくる。レッドエンブレムが僅かに先頭だが、先行２頭のリードもなくなって一団に。エルフショットは、先頭から４〜５馬身差の内々、後方３頭目の位置で直線へ。

　直線に向くと、今度はヒミノオオタカが先頭。半馬身差でファインユニバース，レッドエンブレムが食い下がる。更に１馬身3/4差で、ブラックフライデーがエーティーダンガンをかわして単独４番手に。残り１ハロンで、その２馬身半後ろの６番手まで順位を上げてきたエルフショット。しかしながら、その後ろの大外からはキセキノチャンスが一気に追い込んで来る。エルフショットはキセキノチャンスにかわされながらも、ラスト100ｍからはこれに食い下がるように末脚を発揮。最後は逃げた２頭，更には２馬身前にいた４番手エーティーダンガンをゴール寸前で捉えて４着食い込みのゴール。ラスト50ｍで先頭に立って優勝したブラックフライデーからは、１馬身半とそれほど差のない競馬を見せてくれた。直線内々から徐々に外に持ち出して行ったように、一直線に伸びての競馬でなかっただけに、道中も含めてスムーズだったら、もっと際どくなっていたかも。鞍上の古川吉騎手は、「前回早目に動いて良くなかったから、今日はタメる形で運んだよ。内にいた分ごちゃついて、下がってくる馬を捌くのに手間取ったけど、スタートが上手になってきたのがいいね。滞在のうちに何とかしたいよ。」とコメント。完全復調がなった感もあり、メンバー次第で初勝利の可能性も見えてきた。

●休み明け３走目の前走でこれまでの最高着順の４着と好走したエルフショット。しかも勝ち馬から１馬身半差という内容は、今後に期待が大きく膨らむものだった。今まさに成長途上だけに、前走以上の走りを期待したい。１番人気は、前走１番人気で３着だったメイショウバッカスで単勝3.2倍。前走に続いて連続で１番人気の支持を受け、今度こそ勝利を決めたいと意気込んでいる。２番人気は、ダートで４連続入着の後、芝の前走では２番人気で１７着と大敗してしまったサクラシェンロンで単勝4.5倍。得意のダートに戻って、今回は当然巻き返してくるはず。エルフショットは、単勝8.8倍の６番人気。実力は拮抗しているだけに、エルフショットにも勝機は十分にあるはずだ。

　レースでは、エルフショットはスタートで少し立ち遅れ、手綱を少し押して中団後ろにつける。中からテルミニストが先頭に立って、１馬身差でスノードロップ，エーティーダンガン，トウケイポイントの２番手争い。１馬身半差で人気のメイショウバッカスなど２頭。その２馬身半後ろにエルフショット以下が追走して１角へ。１〜２角で、トウケイポイントが単独２番手の態勢で、先頭からは１馬身差。向正面に入って、２馬身差でスノードロップ，メイショウバッカスの２頭。エルフショットは、ここから２馬身半後ろで、中団内々をいい感じで追走しているが、３角手前から手が動き始める。３角では、先頭テルミニストにトウケイポイントが並びかける。２馬身半差でスノードロップ，メイショウバッカスの３番手争い。３〜４角の中間では、その２馬身後ろの５番手争いにエルフショットがじわっと押し上げるが、ここまでかなり仕掛けながらの追走。４角では、トウケイポイントが振り切って先頭に立って２馬身半のリード。テルミニストは２番手に下がり、更に２馬身半差でメイショウバッカスが３番手。内から外に出していたエルフショットは、メイショウバッカスの１馬身外に取り付いて直線へ。

　直線に向くと、先頭トウケイポイントが２馬身半リードで残り１ハロン。２番手テルミニストも踏ん張って、１馬身半差でメイショウバッカス。しかしながら、ここから外エルフショットがじわじわメイショウバッカスに並びかけると、ラスト100ｍではこの２頭でテルミニストをかわしにかかって、３頭の２番手争い。脚色でまさっていたのはエルフショットで、ここであっさり単独２番手に。外１馬身1/4差でクリノコトノオーが追って来たが、ほぼ同じ脚色。エルフショットは、先頭トウケイポイントとの３馬身差を１馬身半差まで詰めて２着でのゴール。今回も勝利に手が届かなかったが、２着という着順は大きな自信に繋がるはず。鞍上の古川吉騎手は、「スタートは相変わらずゆっくりだったけど、馬のリズムに合わせて運んだ。もうワンパンチほしいけど、レースを覚えてきて競馬の形ができてきましたから、こういう競馬を続けていけばチャンスがあると思う。」とコメント。念願の初勝利が、もう手の届くところまでやってきた感じだ。

●前走で２着と好走し、念願の初勝利がいよいよ見えてきたエルフショット。もちろん今回は、勝利を期して臨む一戦となる。１番人気は、近４戦で２着２回のニホンピロホウオーで単勝2.6倍。前走も２着と実力を見せているが、着順に落差が激しく、大きく崩れる要素も持っている。エルフショットは、単勝3.6倍の２番人気。３番人気は、近３戦を４着，３着，１０着としているマイネルパイレーツで単勝4.8倍。前走からの巻き返しを期している。上位人気馬は実力が拮抗しているが、エルフショットは目下上昇中だけに、初勝利の可能性は十分だ。

　レースでは、エルフショットは若干甘いスタートだが、この馬としてはまずまずの出。じっくり後方大外につけて行く。内から気合をつけてニホンピロホウオーが先頭。揉まれずに気分よく走らせたいという意図が窺える。外からマイネルパイレーツが半馬身差に接近して２番手。１馬身1/4差で内アルファメールなど３頭の３番手争い。その１馬身外にテルミニスト。外からすっと内に入ったエルフショットは、後方２，３頭目の位置で、先頭までは５馬身差。１〜２角で、先頭ニホンピロホウオー，１馬身差の２番手マイネルパイレーツで、隊列は落ち着く。向正面では、１馬身半差でアルファメール，シナンジュの３番手争い。向正面の中間では、４番手以下も差なく一団に固まっているが、エルフショットはまだ中団後ろの位置。３角手前では、テルミニストが大外から進出を開始する。３角では、先頭ニホンピロホウオーに、外から首差に並んでくるマイネルパイレーツ。3/4馬身差で大外テルミニストが３番手に押し上げる。３角過ぎでは、エルフショットに一発ムチが入って気合をつけられるが、３〜４角の中間では余力残しの手応えに。しかしながら、ここからやや前が壁になっている感じで、先頭まで４馬身差。４角にかかると、エルフショットは前が開いて進路を確保すると、内アルファメール，外テルミニストの間にすっと入って３番手争い。ニホンピロホウオーがまた3/4馬身リードで先頭。マイネルパイレーツが２番手で、１馬身差でエルフショットは３頭並んだ３番手争いの真ん中。ここで外のテルミニストが左第３中手骨開放骨折を発症し、落馬転倒で競走中止の不運に見舞われてしまう。

　直線に向くと、先頭ニホンピロホウオーが、内を回ったコーナーワークの差もあって、１馬身半と再びリードを取って残り１ハロン。２番手にマイネルパイレーツ，これを１馬身差で内アルファメール，外エルフショットの２頭が追うが、エルフショットは伸び切れない感じで、アルファメールに遅れを取ってしまう。逃げたニホンピロホウオーは甘くなって、ラスト120ｍでマイネルパイレーツが先頭。ラスト100ｍでは、ぐいぐい伸びて来たアルファメールが先頭に替わろうかという態勢。エルフショットは、一杯になったニホンピロホウオーを抜き去って、アルファメールと同じような脚で伸びて、最後は２番手マイネルパイレーツにも迫ったが、首差及ばず３着でのゴール。勝ち馬からも１馬身とそれほど着差はなかったが、あとひと押しが足りなかった。それでも、安定して力を発揮できている点は評価できる。鞍上の古川吉騎手は、「うまくいったと思ったんだけどなぁ。１角でうまく内に潜り込めて、この馬の競馬ができたし、最後も捌き切れたんだけど、前に残られてしまったよ。勝てると思ったし、もうちょっとなんだけどね。でも、内容は良くなっているよ。」とコメント。引き続き初勝利のチャンスは十分だ。

●前走は期待ほどは伸び切れずに差し届かず３着に敗れたエルフショット。３戦連続４着以内と実力は見せているが、どうしても勝ち切るところまでいかない。今回も相手は手強いが、そろそろ初勝利を決めたいところ。１番人気は、近２戦３着，２着としているネクタルブルーで単勝2.4倍。前走は首差の惜敗で、もう勝利は手の届くところにある。２番人気は、近４戦で４着以内３回のマイネルパイレーツで単勝3.8倍。この馬も前走２着と勢いがある。エルフショットは、単勝5.0倍の３番人気。実力的には拮抗しているだけに、あとは有利に競馬を運べた馬が、勝利を手にできるに違いない。

　レースでは、エルフショットはスタートはまずまず決めるが、手綱を押して行くものの中位から。ネクタルブルーが先頭だが、外首差にクインポルカが並んで来る。更に大外首差でピースオブウィークも先頭争い。これに１馬身差で４番手マイネルパイレーツなど。エルフショットは中位にいて、先頭までは５馬身差の位置で１角へ。１〜２角で、先頭ネクタルブルーは、リードを１馬身半取って、自分のペースで運んで行く。２番手にピースオブウィークで向正面へ。3/4馬身差で外にローレルグラーネ，その内首差でメイショウサンカンも差はない。このあたり、隊列は落ち着いて、淡々と競馬が進む。エルフショットは、先頭から５〜６馬身差の位置でじっとして、流れには乗れている感じだが、３角でも先頭までは６馬身差。それでも３角過ぎから仕掛けて行く。このあたりから、２番手ピースオブウィークが、先頭に半馬身差まで接近。３〜４角の中間では、先行２頭の争いは、内のネクタルブルーは手が動き始めるが、外の伏兵ピースオブウィークの方は持ったまま。エルフショットはここで外から前にじわっと接近。４角では、単独先頭ピースオブウィークが、すっと１馬身半のリード。ネクタルブルーは２番手に順位を下げ、その後ろ２馬身差でエルフショットは３番手まで押し上げる。半馬身内にメイショウサンカンで、以下も差なく固まって続いて直線へ。

　直線に向くと、ピースオブウィークがあっさり突き抜けて、ラスト１ハロンでは２馬身半のリード。ネクタルブルーが２番手で粘ろうとしているが、１ハロンを切ったところでエルフショットが外からかわす。3/4馬身外からスピッツコールが追って来る。ラスト100ｍで、ピースオブウィークが５馬身完全に一頭抜けた。２番手エルフショットに首差までスピッツコールが詰め寄ったが、エルフショットはゴール前でもう一度じわっと差を開く。そこへ外からオリオンザミラクルが追い込んで３番手まで上がったが、エルフショットが首差押し切って２着確保のゴール。人気薄だった勝ち馬から６馬身差をつけられたが、この馬の力は見せてくれた。よく頑張っていたが、思わぬ伏兵の大変身の前に、今回も勝利を手にできず。鞍上の吉田隼騎手は、「内へ潜り込みたかったんですが、外ワクだったので枠なりのレースになりました。結構タフな競馬でしたが、２着に頑張ったように能力はあります。」とコメント。勝利を手にできるかどうかは、もう巡り合わせ次第だ。

●前走は伏兵馬の激走の前に２着に敗れたエルフショット。４戦連続４着以内の堅実な走りを見せてくれているだけに、そろそろ何としても勝利を勝ち取りたい。そして、エルフショットが単勝3.8倍の１番人気に支持される。２番人気は、前走７番人気ながら首差２着と好走したテイエムダイトッパで単勝4.5倍。３番人気は、前走は勝ち馬から１馬身差の４着だったノボサイボーグで単勝4.7倍。実力は拮抗しているが、実績的にはエルフショットが上位。未勝利戦も残り少ないだけに、今度こそ勝利を決めたいところだ。

　レースでは、大外ワクのエルフショットはスタートが若干甘く、じっくり後方からの競馬。ノボサイボーグが先頭で、半馬身差でウォーターシュート，ムジョウノカゼの２番手争い。これを大外一気にマテリアライズがかわして先手を奪って２馬身リード。エルフショットは、先頭から６馬身差の中団後ろの大外で１角へ。１〜２角で、先頭マテリアライズは３馬身リードの逃げ。ムジョウノカゼが２番手で、内首差でノボサイボーグ。これに１馬身半差でウォーターシュートは４番手で向正面へ。エルフショットは更に３馬身後ろで、中団やや後ろの位置で変わらない。向正面の中間では、先頭マテリアライズのリードは半馬身に縮まり、エルフショットは中団で先頭まで５馬身差。３角で、先頭マテリアライズはまたリードを開きにかかって１馬身1/4差。２番手ムジョウノカゼは手が動き始める。外ウォーターシュートが押し上げて２番手の外へ。内半馬身差でノボサイボーグ。３〜４角の中間で、エルフショットが手綱を押しながら大外をグーンと進出し、一気に好位に取り付く。４角では、マテリアライズ，ウォーターシュートの２頭並んでの先頭争いから、ウォーターシュートが僅かにリード。１馬身1/4差でノボサイボーグ，テイエムダイトッパ，エルフショットの人気馬たちの３番手争いで直線へ。

　直線に向くと、ウォーターシュートが首ほどリードで先頭だが、内でマテリアライズも食い下がる。残り１ハロンで、１馬身差でノボサイボーグ，テイエムダイトッパの３番手争いで、大外エルフショットは首ほど遅れを取って、伸び切れない感じ。ラスト100ｍからウォーターシュートがじわじわリードを開きにかかるが、２番手以下の態勢は変わらず。エルフショットは、テイエムダイトッパをかわして４番手まで上がったが、ここまでが精一杯かと思われた。それでもラスト50ｍからもう一度渋太く伸び脚を発揮し、ノボサイボーグ，マテリアライズを僅かに捉えて２着確保のゴール。最後は先頭ウォーターシュートとの差を半馬身まで詰めたが、捉え切るところまでは行かず。根性は見せてくれたが、またしても２着と惜敗し、今回も勝利を手にすることはできず。鞍上の古川吉騎手は、「勝ちに行く競馬で、４角で並んで行ったんだけどね。上手に競馬をしてくれたし、差を詰めてくれているんだけど、最後にグッと来そうで来なかった。もうちょっとなんだけど、外枠の分もあるかな。」とコメント。チャンスは少なくなってきており、馬の方の疲労も心配される。次こそ何として初勝利を決めたいところだ。

●前走も半馬身差惜敗で、これで２戦連続２着と惜しくも勝利に手が届いていないエルフショット。５戦連続４着以内と堅実な走りを見せており、あともうほんのひと息という場面もこれまであったが、勝利の女神はほほ笑んでくれない。函館開催のラストチャンスとなる今回は、何としても悲願の初勝利を目指す。１番人気は、近４走を４着，２着，２着，３着と上位争いを続けているレッドエンブレムで単勝2.9倍。前走は１番人気に応えられなかっただけに、今度こその意気込みで臨んで来る。エルフショットは、単勝6.2倍の２番人気。３番人気は、３戦連続２着の後、前走は１番人気で６着に終わったナムラキンボシで単勝3.5倍。前走崩れたのは、惜しい競馬を戦い続ける中で、疲れが見えてきたためか。２番人気以下はオッズも拮抗しているように激戦の様相だが、エルフショットはこれ以上惜敗を繰り返せない。チャンスも残り僅かとなっているだけに、今度こそ勝利を決めたい。

　レースでは、エルフショットはスタートは五分に出て、軽く押した程度で中団に取り付く。タマモクロスの孫ハリマヤヨサコイ，ヴィンチトーレの先頭争いで、3/4馬身外クインポルカが３番手，3/4馬身内にナムラキンボシの態勢。エルフショットは、更に１馬身3/4差後ろの中団真ん中。人気のレッドエンブレムは、その３馬身後ろの後方から。１〜２角で、内のハリマヤヨサコイが半馬身リードで先頭。２番手ヴィンチトーレは、かなり引っ掛かっているが、懸命に手綱を抑えている。２馬身差でナムラキンボシが３番手で向正面へ。エルフショットは更に４馬身後ろの中団だが、それほど行きっぷりがいい訳ではない。向正面の中間では、ヴィンチトーレが抑え切れずに先頭に立って２馬身のリード。３角では、ハリマヤヨサコイ，ナムラキンボシの２頭が3/4馬身差にまた詰めて行く。エルフショットは、先頭から４〜５馬身差の中団内々だが、３〜４角の中間から早目に仕掛けて進出して行く。今度は外からハリマヤヨサコイが手応え十分に先頭に出る。エルフショットも外から４番手まで押し上げてくる。４角では、ここから追い出しにかかったハリマヤヨサコイが、すっとリードを２馬身半と開いて、勝利への期待が俄然高まる。ベストブライアンが２番手で、これに半馬身差で内ヴィンチトーレ，外エルフショットの３番手争いで直線へ。

　直線に向くと、先頭ハリマヤヨサコイの伸び脚は衰えず、残り１ハロンでも２馬身半リードは変わらない。２番手ベストブライアンに、外半馬身差から懸命に追うエルフショット。４番手以下は離されて、ラスト100ｍで３馬身差でレッドエンブレム，クインポルカの２頭。ハリマヤヨサコイの押し切り勝ちはもう既に確定。エルフショットの勝利の可能性はなくなったが、それでもひとつでも着順を上げて意地を見せたい。しかしんながら、２番手ベストブライアンとは半馬身差で、結局最後まで同じような脚で態勢は変わらず。エルフショットは、ベストブライアンに3/4馬身差の３着でのゴール。函館開催で結局勝利を上げられずに終わったエルフショット。惜しい競馬、善戦が続いていただけに、無念というほかない。同じタマモクロスの孫ハリマヤヨサコイが初勝利を手にしたのとは明暗を分けた格好。鞍上の古川吉騎手は、「今日は出して行ってある程度の位置を取った。止まったら仕方ないくらいの気持ちで意識的に動いて行ったけど、時計が速過ぎて前が止まらなかったね。」とコメント。それでもまだスーパー未勝利戦に最後の望みを託す。ここまでよく頑張ってきただけに、どうしても未勝利を勝ち上がりたい。

●九州産限定の新馬デビュー戦で３着と上位に食い込んだカシノロビン。これで九州産の未勝利戦を勝ち上がる手応えを掴んだが、その後２戦は九州産限定で連続１３着の惨敗。精神的に幼いのか、力を出し切れない形になってしまう。その後は一般馬相手のレースとなり、１４着，７着，８着、そして前走は殿り負けの１３着。それでも７着の時などは、勝ち馬から僅か0.5秒差の競馬をしているように、実力さえ発揮できれば、もっと活躍できていい馬。今回は佐賀に遠征し、九州産地方重賞のたんぽぽ賞の前哨戦で、キッチリ初勝利を決めたいところ。ＪＲＡ勢が５頭出走し、やはり相手はＪＲＡ勢か。そして、カシノロビンが単勝1.8倍の１番人気に支持される。２番人気は、前々走は一般の未勝利戦で勝ち馬から0.8秒差の６着だったキュウシュウソダチで単勝3.5倍。３番人気は、九州産限定戦を５着，６着とした後、３カ月ぶりの前走一般戦では最下位１６着だったテイエムハエモンドで単勝5.6倍。ひと叩きの変わり身の可能性はある。ＪＲＡ勢が上位人気を独占。断然人気のカシノロビンだが、これまでは芝中心に使われてきただけに、ダート適性がカギになってきそうだ。

　レースでは、カシノロビンはスタートは五分に出て、中団からの競馬。内に地元佐賀のクラトリイチバン，外押してキュウシュウソダチの先頭争いだが、クラトリイチバンが先手を取り切って１馬身のリード。２番手にキュウシュウソダチで、これに１馬身差でテイエムハエモンドはムチを飛ばして３番手で、外にはカシノソラーレが並んでいる。その１馬身半後ろの５番手にカシノロビンだが、かなり引っ掛かって手綱を引く感じで１角へ。１〜２角で、カシノロビンは先頭から３馬身差の５番手の位置。向正面に入って、先頭はクラトリイチバンで、3/4馬身差でキュウシュウソダチが２番手。半馬身内の３番手テイエムハエモンドは、終始押っつけながらの追走。外カシノソラーレも手綱を押している。更に半馬身差のカシノロビンは、ここでもまだ掛かっている。その外側にはカシノスペルで、この上位６頭の後ろは６馬身と開いている。３角にかかると、カシノロビンもゴーサインが出て、すっと４番手に押し上げる。しかしながら、３〜４角の中間では、前の馬から遅れ加減になって、先頭から３馬身半差の４番手。４角では、先頭はキュウシュウソダチに変わっていて、外半馬身差にカシノソラーレが接近。クラトリイチバンは先行争いから脱落し、１馬身半差の３番手。カシノロビンはまだ更に２馬身半後ろで、反応がもうひとつという感じで直線へ。

　直線に向くと、先頭キュウシュウソダチが粘り込みを図って１馬身リード。カシノソラーレが２番手だが、前とは同じ脚色。１馬身半差の３番手で粘るクラトリイチバンに、外からじわじわ詰め寄ってくるカシノロビン。カシノロビンは、ラスト80ｍでクラトリイチバンをかわして３番手まで上がったが、前とは４馬身の差があって勝負あり。最後までじわじわ詰めてはいたが、２着馬から３馬身差の３着でのゴール。キュウシュウソダチはそのまま１馬身差の押し切り勝ちだった。人気に応えられなかったカシノロビン。道中かなり引っ掛かっていたのが堪えた感じ。いざゴーサインが出てからの反応が悪過ぎた。このレースを勝ってたんぽぽ賞への優先出走権を確保したかったが…。それでも、たんぽぽ賞に出走できるようなら、何とか雪辱を果たしたいところだ。

●ＪＲＡ交流のプロメテウス賞で、ＪＲＡ勢をまとめて３馬身差撃破して勝利を飾ったクイックスター。続く笠松のＡ２戦では、１番人気に支持されたものの、スタートで出遅れながら一気に先手を取る無理な戦法が祟って７着に沈んでしまったが、地方重賞とは言え今回は巻き返し必至。１番人気は、前々走の東海菊花賞こそ８着に敗れたが、近３戦でＡ１特別，Ａ２特別を貫禄で勝利しているミヤジメーテルで単勝2.1倍。ＪＲＡ時代に２勝を挙げ、地方でも名港杯優勝など、地方重賞でこれまで実績を残している馬。クイックスターは、単勝2.5倍の２番人気。３番手人気は、園田から笠松に移籍し、Ａ１特別２着，東海菊花賞６着としているエーシンブランで単勝5.8倍。何と言っても、ＪＲＡ所属時代に交流Ｇ２兵庫チャンピオンシップ優勝，Ｇ３新潟２歳Ｓ４着，Ｇ２京王杯２歳Ｓ５着とグレードレースで実績を残している馬。２歳時には地方重賞２着のあるクイックスターだが、ついに巡ってきたタイトル奪取のチャンス。ＪＲＡ時代よりも充実している今なら、地方重賞制覇も相当に可能性は高いはずだ。

　 レースでは、クイックスターはスタートは五分に出ると、ぐいぐい手綱をしごいて加速して先頭に立つ。１馬身半差の２番手争いは、交流Ｇ３勝ち，Ｇ１でも４着の実績を持つキングスゾーン，ミルリュユッテだが、これを外からグレードレースで４度の入着実績を持つマルカハンニバル，１番人気ミヤジメーテルがかわして行って１角へ。１〜２角で、先頭クイックスターは１馬身のリード。マルカハンニバルが２番手で、外首差でミヤジメーテルも差なく向正面へ。エーシンブランは５，６番手の位置。先頭クイックスターは、手応えよく軽快な逃げを打ち、１馬身のリードをキープ。３角では、マルカハンニバルが苦しくなって後退し、ミヤジメーテルが3/4馬身差の単独２番手。３〜４角の中間では、その後ろは２馬身と少し開いて、エーシンブランが３番手に上がってくる。４角では、クイックスター，ミヤジメーテルともムチが入ってスパート態勢。クイックスターの方が１馬身リードで、ミヤジメーテルが２番手。１馬身半差でエーシンブランが３番手だが、脚色はもうひとつ。その後ろは更に２馬身差があって、クイックスターにとっては、もはや相手はミヤジメーテル一頭となって直線へ。

　 直線に向くと、先頭クイックスターは１馬身1/4差リードで残り１ハロン。脚色も力強くまったく鈍らず、逃げ切り勝利の可能性が高まる。ラスト100ｍでは１馬身半と差を開き加減で、もう勝利を確信。エーシンブランは逆に突き放される。クイックスターは、最後は若干余力が感じられる手応えで、懸命に追ってくるミヤジメーテルを１馬身差完封して、見事な逃げ切り完勝のゴール。４歳になって、ついに地方重賞のタイトルを奪取。まだまだ若いだけに、今後の名古屋の短距離界を引っ張って行く存在になってくれるはずだ。

●ＪＲＡ勝ち馬のダイヤヘルメス，ダイヤペルセウスの弟のクリノロブソン。デビューからここまで５戦したが、結果は９着，１６着，６着，１０着，１３着。もっとも着差が少なかった３戦目の６着の時も、勝ち馬から1.3秒差と見せ場があった訳ではなかった。ＪＲＡでの勝利は、正直なところ相当に厳しい状況。そんな中、名古屋競馬の交流戦での勝利を目指す。出走１０頭中、ＪＲＡ勢は５頭で、ＪＲＡ勢の方が人気を集める形。１番人気は、デビューからの全５戦７着〜１０着という成績のＪＲＡクリノアルパマーヨで単勝2.3倍。２番人気は、全４戦で最高着順が６着のＪＲＡサチヒメで単勝4.2倍。クリノロブソンは、単勝5.3倍の４番人気。上位人気は拮抗し、それほどレベルも高くないだけに、クリノロブソンにも勝利のチャンスはあるはずだ。

　レースでは、各馬揃ったスタートで、クリノロブソンはムチが一発入って手綱を押して行くが中団から。サチヒメ，マイネロア，ラピドアマポーラの３頭の先頭争い。４馬身差でトワノビックボーイが４番手で、２馬身後ろにカシノフランキー，クリノアルパマーヨの２頭。その２馬身半後ろの７番手にクリノロブソンがつけて１角へ。１〜２角で、単独先頭に立ったのはサチヒメで、向正面にかかると１馬身半差でマイネロアが２番手。更に１馬身差でラピドアマポーラ以下。３角では、クリノロブソンは先頭から７馬身差の６番手で、あまり差を詰められていない。３〜４角の中間では、先頭サチヒメは手応えよくリードを３馬身半と開いて、早くも勝利は濃厚か。４角では、トワノビックボーイが２番手で、２馬身半差でマイネロアをかわしてクリノアルパマーヨが３番手に押し上げる。その１馬身半後ろにクリノロブソンなどで、２番手から４馬身差の位置で直線へ。

　直線に向くと、先頭サチヒメは４馬身リードで逃げ切り態勢。ラスト150ｍで、トワノビックボーイが２番手で粘り、２馬身半後ろのクリノアルパマーヨは伸び切れない。その１馬身後ろから、クリノロブソンとニシキオンファイアの２頭が馬体を併せて差し込んでくる。ラスト100ｍでは、クリノロブソン，ニシキオンファイアの２頭でクリノアルパマーヨを抜き去って、２番手のトワノビックボーイにもグイグイ迫る。クリノロブソンは、ニシキオンファイアに首差競り勝って、２頭で競り合ったまま、ラスト30ｍでトワノビックボーイをかわし、クリノロブソンはそのままニシキオンファイアを首差競り勝って２着食い込みのゴール。逃げ切り勝ちのサチヒメからは４馬身の差があったが、これまでの最高着順の走りを見せてくれた。今回のメンバーであれば、これくらい走れても決して不思議はない。ＪＲＡでの勝利は時期的にも厳しくなっているが、地方交流戦であれば、初勝利の可能性もないとは言えないはずだ。

●'11年の３歳地方重賞の王冠賞で４着と上位に食い込んだコスモアジル。その後は２〜３戦毎に勝利を重ねて、王冠賞の後７勝を挙げる。勝利はＡ２特別までだが、前走Ａ１特別で１馬身差の３着とそれほど差のない競馬をしており、約２年ぶりの地方重賞挑戦となる今回も、上位食い込みの期待がかかる。まして、陣営が「距離は延びれば延びるほどいい」と語るように、この馬の持ち味を存分に発揮できる舞台となる。１番人気は、南関東Ｂ級から北海道に移籍し、これまで３戦して目下２連勝中のビービーコモンで単勝1.8倍の断然人気。特に、前走地方重賞の王冠賞を３馬身差圧勝したレース内容が鮮烈だった。２番人気は、南関東から北海道に移籍して２戦し、Ａ１特別を１着，３着としているビービーガザリアスで単勝5.2倍。４走前には南関東の地方重賞の大井記念で２着と好走しており、南関東のトップクラスで上位争いができる能力はやはり脅威。コスモアジルは、単勝9.0倍の４番人気。じわじわ着実に成長を見せており、今のコスモアジルなら好勝負があってもおかしくない。

●地方重賞のステイヤーズＣで３着と善戦したコスモアジル。距離が長いところでの息の長い末脚は、さすがと思わせた。その後はＡ２特別を出走取消となったが、仕切り直しの前走Ａ２特別でも半馬身差の２着と力を見せていた。今回は、今年の北海道競馬の総決算、最強の座を決める道営記念に挑戦する。出走すること自体がステータスとも言える、まさに北海道の有馬記念とも言うべき一戦。ステイヤーズＣよりもメンバーは大幅に強化されるが、コスモアジルは持ち前の渋太さで好勝負に持ち込みたい。

　１番人気は、ＪＲＡからこの６月に移籍し、地方重賞〜Ａ１特別まで上位争いを続けているバルーンで単勝2.3倍。北海道では５戦３勝，特に前走地方重賞の瑞穂賞を２馬身差レコード勝ちした内容が高く評価されている。ＪＲＡ時代は長期休養などもあって力を出し切れなかったが、それでも準オープン入着実績がある。２番人気は、北海道と南関東の地方重賞を７勝の実績を誇るショウリダバンザイで単勝3.9倍。Ｇ２関東オークス５着の実績もある。ここ４戦は、地方重賞１着，４着，２着，３着と堅実に上位争いをしているが、長く北海道のトップホースの一頭としての地位にいる馬。３番人気は、実績では上位２頭より見劣るが、現在上昇中の３歳馬のレオニダスで単勝4.5倍。コスモアジルは、単勝33.5倍の７番人気。上位人気馬より実績は確かに劣るが、大崩れなく走れる今なら、差のない競馬も十分可能だ。

　レースでは、コスモアジルはスタートは五分に出て、手綱を押して行くが中団後ろの位置。ケイアイライジンが先頭に立って１馬身のリード。ヒシコモンズが２番手で、3/4馬身差内にニシノファイター，更に半馬身差でバルーンは４番手につける。ショウリダバンザイは、更に３馬身後ろの中団内々。コスモアジルはその更に３馬身後ろで、後方３頭目の位置から競馬を進める。３番人気レオニダスは、１頭だけ５馬身置かれて最後方から。１〜２角で、前の方の態勢は変わらず、バルーンは４番手キープ。向正面ではバラけてきて、ショウリダバンザイは先頭まで８馬身差，コスモアジルはその３馬身後ろで、向正面の中間では手が動いてムチが入る。この時点でも、レオニダス一頭が６馬身取り残される形。３角手前では、コスモアジルはムチが連打されて苦しく見えるが、長い脚を使える馬だけに、まだ諦めてはいない。３角では、先頭ケイアイライジンが２馬身リードの逃げ。バルーンが早くも２番手に押し上げる。３角過ぎでは、外に持ち出したショウリダバンザイが進出開始。３〜４角の中間では、コスモアジルは順位を上げて行けないが、最後方のレオニダスは集団の後ろに取り付くと、大外を一気に押し上げて行く。４角では、バルーンが持ったままで先頭に立って、１馬身1/4差でショウリダバンザイが２番手に。その後ろ１馬身差の３番手争いの大外にレオニダスがマクってくる。その後ろは一団で、コスモアジルはレオニダスの２馬身後ろの中団大外で直線へ。

　直線は内外に広がった争いとなり、内のバルーンが先頭で粘るが、残り１ハロンでショウリダバンザイ，レオニダスの２頭が外からかわしにかかる。コスモアジルは、先頭から２馬身半差でまだ中団大外だが、ここから渋太い伸び脚を繰り出してくる。ラスト150ｍで、今度はレオニダスが先頭に抜け出してくる。バルーン，ショウリダバンザイの内外離れての２番手争い。その後ろは２馬身開いて、５頭広がっての４番手争いだが、この争いの大外がコスモアジル。バテることなく伸びるコスモアジルは、ラスト100ｍで単独４番手に抜けてくると、２馬身前にいる２番手争いの２頭にじわじわ詰め寄って行く。コスモアジルは最後は３番手バルーンに並びかけるところまで追い詰めたが、惜しくも首差届かず４着でのゴール。それでも、北海道の最強クラスが集結した中で、２着のショウリダバンザイからの着差は僅かに3/4馬身。この強敵相手でも十分好勝負できる力を示してくれた。来シーズンは、是非とも地方重賞のタイトルを手にすることを期待したい。

●ダルニム，トゥルヴァーユのＪＲＡ勝ち馬の妹コスモアメシスト。姉たちを越えるような活躍を期待したいが、東京の新馬デビュー戦は７着に終わる。それでも４着馬から3/4馬身差の競馬で、悲観する内容ではなかった。一度レースを経験した今回は、大きな前進を期待したい。１番人気は、東京の新馬デビュー戦で１番人気で首差２着に惜敗したデスティニーラブで単勝1.6倍の断然人気。２番人気は、新馬デビュー戦では３着だったクラウンデュミナスで単勝4.0倍。コスモアメシストは、単勝9.2倍の３番人気。オッズに差はあるものの、上位人気だけに好勝負を期待したい。

　レースでは、コスモアメシストは大外から好スタートだが、無理に前には行かない。内から３頭が出て来ての先頭争いで、スタートから１ハロン目でイエローストーンが先頭。半馬身内にクラウンデュミナス，その後ろ２馬身差で３頭が固まっている。コスモアメシストは、３番手３頭から１馬身半後ろの位置。人気のデスティニーラブは、コスモアメシストの２馬身半後ろで、押っつけながらの苦しそうな追走となっている。３角では、先頭イエローストーンが２馬身リードの逃げ。３角を過ぎても、コスモアメシストはじっとしている。３〜４角の中間では、先頭イエローストーンに、外からクラウンデュミナスが半馬身差に接近。１馬身半差でクリノヨウキヒが３番手で、これに外からすっと動いたコスモアメシストが並んでくるが、コスモアメシストはここから手が動き始める。道中動きの悪かったデスティニーラブが、ようやくエンジンがかかって進出開始。４角では、クラウンデュミナスが先頭で、内半馬身差でイエローストーンは２番手に後退。外から首差に接近するコスモアメシストが３番手だが、更に大外からデスティニーラブも並んで来て直線へ。

　直線に向くと、クラウンデュミナスが先頭に抜け出して１馬身1/4差のリードの。イエローストーン，コスモアメシスト，デスティニーラブの３頭の２番手争いだが、デスティニーラブがぐいぐい伸びて単独２番手に上がると、ラスト150ｍでクラウンデュミナスを捉える。１馬身差でコスモアメシストは３番手だが、なかなか差を詰められない。もたついているコスモアメシストを、ラスト60ｍでレイズアセイルが外から並んで来て、コスモアメシストは最後は首差競り負けて４着でのゴール。優勝したデスティニーラブからの着差は１馬身半と差は大きくなかったが、ワンパンチ足りなかった。。鞍上の柴田大騎手は、「これからですね。体が緩い感じで、仕掛けてからの反応がもうひとつでした。いいモノは持っているから、少しずつ良くなると思います。」とコメント。まだまだ十分な仕上がり状態でない中での４着だけに、今後経験を積みながら力をつけていってくれるはずだ。

●デビュー２戦目で変わり身を見せて、５着と掲示板圏内に食い込んできたコンゴウセイウン。しかも勝ち馬から１馬身半とそれほど差がなく、内容のあったレースだった。しかしながら、続く前走は1.8秒差の９着に後退。人気は低いものの、今回はなんとか盛り返しを図りたい。１番人気は、デビューからの全２戦を７着，３着としているクラージュドールで単勝1.2倍の圧倒的人気。母レクレドールは、Ｇ２ローズＳなど重賞２勝の実績馬。２番人気は、新馬デビュー戦では５着だったゴッドマウンテンで単勝9.9倍。コンゴウセイウンは、単勝49.6倍のブービー９番人気。それでも、前々走の走りができるなら、勝負にならないことは決してないはずだ。

　 レースでは、コンゴウセイウンはスタートは五分に出ると、少し手綱を押して行くものの中団後ろの位置。マグナムボーイ，ゴッドマウンテンの先頭争いで、コンゴウセイウンは先頭から４馬身差の外７番手で１角へ。１〜２角で、マグナムボーイの方が先頭に出て、3/4馬身差でゴッドマウンテンが２番手で向正面へ。１馬身差でエアサラディン，3/4馬身差で４番手以下は一団。コンゴウセイウンも４番手以下の集団の一角で、エアサラディンの１馬身1/4差後ろ。向正面の中間からは、後方にいたアンシャックルドが大外をすーっとマクリ気味に押し上げて行く。３角では、アンシャックルドが先頭マグナムボーイに外首差まで並んで行く。間首差でゴッドマウンテンで、この３頭の先頭争い。その後ろは２馬身半と開いてきて、人気のクラージュドールが４番手に。コンゴウセイウンはこのあたりでは殿りまで下がってしまっていて、３〜４角の中間では、先頭まで１０馬身と遅れてしまっている。ここから懸命に手綱をしごいて、ようやく追い上げ態勢。４角では、コンゴウセイウンにはムチが飛び、先頭まで６馬身差で後方２，３頭目の位置。アンシャックルドが先頭に替わるが、今度は大外断然人気のクラージュドールがこれを半馬身かわして先頭に立って直線へ。

　 直線に向くと、先頭クラージュドールが力の違いを見せて、後続をあっさり２馬身半と突き放す。アンシャックルドが２番手で、２馬身差でゴールデンヒーロー，バードバーニングの３番手争い。残り１ハロンでは、コンゴウセイウンはまだその２馬身半後ろの後方の外。しかしながら、ここからコンゴウセイウンもようやく伸び脚を発揮。ラスト120ｍでは、４番手に下がったアンシャックルドから３馬身差の６番手。ここから更に渋太く伸びたコンゴウセイウンは、カトラスをかわして５番手に上がると、アンシャックルドにも詰め寄ったが、3/4馬身及ばず５着でのゴール。見せ場というほどの場面はなかったが、どこまでも渋太く伸びる息の長い脚は、この馬の大きな武器のひとつ。鞍上の太宰騎手は、「スタートしてずっと右へモタれていましたが、終いはそこそこ差を詰めていました。そのあたりが解消すれば。」とコメント。現状ではまだ足りない印象もあるが、これから徐々に力をつければ、勝ち負けの競馬も可能になってくるはずだ。

●前走の未勝利戦では、直線じわじわ伸びて５着と掲示板圏内に食い込んだコンゴウセイウン。どうしても道中の行きっぷりは良くないが、バテない渋太い脚を見せてくれる。今回は、前走以上の走りを期待したい。１番人気は、デビューからの全４戦を 0-1-1-2 として掲示板を外していないサダムダイジョウブで単勝2.2倍。２番手人気は、ダートに替わって変わり身を見せて５着，３着と好走しているサクラシェンロンで単勝3.5倍。コンゴウセイウンは、単勝18.0倍の６番人気。それほど大きな力の差はないと思われるだけに、これまでの５着以上の着順を十分狙えるはずだ。

　レースでは、コンゴウセイウンはスタートが若干甘かったところ、内の馬に少し寄られて行き脚がつかずに後方から。中サダムダイジョウブが先頭に出てきて、3/4馬身差で外サクラシェンロンと、人気の２頭が先行する形。3/4馬身差でコウエイアースと外から並んでくるウォーターポルトス。コンゴウセイウンは先頭から６馬身差で、ほぼ殿りの位置の内ラチ沿いで１角へ。１〜２角で、先頭はサダムダイジョウブで、以下も差なく続いて隊列は落ち着く。向正面でも、コンゴウセイウンは後方内々で、先頭までは６馬身差だが、向正面の中間を過ぎても手応えよく追走している。３角では、先頭サダムダイジョウブに、外からサクラシェンロンがほぼ並ぶ態勢。半馬身差で外ウォーターポルトス，大外首差でニジノハヤテ。内々3/4馬身差でコウエイアースは５番手。コンゴウセイウンは３角過ぎから手が動く。３〜４角の中間では、コンゴウセイウンは先頭から８馬身ほどに差が開いているが、ここからムチが入ると、内々をすーっと押し上げて行く。４角では、先頭サダムダイジョウブ，首差でサクラシェンロンの態勢だが、コンゴウセイウンも先頭から４〜５馬身差の８番手まで詰めて来て直線へ。

　直線に向くと、コンゴウセイウンは外目に持ち出して渾身のスパート。先頭サダムダイジョウブが１馬身1/4差とリードを開いて残り１ハロン。サクラシェンロンを内からコウエイアースがかわして２番手か。２馬身半差でキネオウィン，これに１馬身1/4差で大外からコンゴウセイウンが５番手まで上がってくる。ここからコウエイアースがよく伸びて、ラスト150ｍでサダムダイジョウブをかわして先頭。コンゴウセイウンは、ラスト100ｍでサクラシェンロンをかわして３番手まで上がると、２馬身半前にいるサダムダイジョウブに一気に迫ったが、首差及ばず３着でのゴール。しかしながら、今回は今までにない見せ場十分のレースぶり。鞍上のバルジュー騎手は、「追い上げの脚にいいモノがありましたし、すごくいい加速を見せてくれました。ハミを換えたら更に走りが良くなりそうな感触を受けました。」とコメント。着実に力をつけている印象で、初勝利の可能性さえ高まってきた。

●Ｇ１秋華賞３着馬のシアリアスバイオを母に持つショウリュウバイオ。新馬デビュー戦では１番人気で４着となり、続く未勝利戦では、３番人気ながら１１着と大きく後退。ここまでは人気先行の結果に終わっているが、その後は４カ月近い休養で立て直しが図られる。今回は休み明けだが、いきなりの好走を期待したい。１番人気は、全成績 0-3-2-1 の堅実な走りを武器としているメイショウソウインで単勝2.0倍。２番人気は、近２走平場戦を４着，３着としている九州産のカシノサトラップで単勝5.1倍。ショウリュウバイオは、単勝7.7倍の３番人気。血統的に見ても、潜在能力では上位のものがあるはずだけに、ここで進化した姿を見せてほしいところだ。

　レースでは、ショウリュウバイオはスタートが少し甘く、手綱をしごいて行くものの後方から。それでも内ラチ沿いを順位を上げてきて、スタートから１ハロン目では中位の内、先頭までは２馬身半差の位置まで取り付く。アクアブルーバレーが先頭で、首差で外フクノスーパーベガ，半馬身外に人気のメイショウソウインの３頭が先行。その１馬身後ろの４番手以下はゴッチャの集団で、最内ショウリュウバイオもその一角。３角にかかると、ショウリュウバイオは前が少し壁になる感じで抑えて、先頭から４〜５馬身差の中団後ろの位置になり、３〜４角の中間でも、リズムが少し悪い感じ。このあたりでは、先頭アクアブルーバレー，3/4馬身外メイショウソウインの２頭が、３番手以下を３馬身と少し離して行く。ファリスエスパレスが３番手で、ショウリュウバイオは更に３馬身後ろの中団の位置。先頭まで７〜８馬身差があって、この位置からでは苦しいかという態勢で直線へ。

　直線に向くと、先頭アクアブルーバレーが１馬身半とリードを開いて押し切り態勢。メイショウソウインが２番手で、３馬身半差でカシノサトラップが３番手。残り１ハロンで、ショウリュウバイオは更に２馬身後ろの６番手だが、ここから内をじわじわ伸びて、ラスト150ｍを切って４番手に。しかしながら、この時点で先頭までは８馬身差，前のカシノサトラップまで３馬身差で勝負は決している。カシノサトラップがよく伸びて、最後にメイショウソウインを首差かわして２着。ショウリュウバイオは、カシノサトラップと同じ脚で伸びたが、そのまま４着でのゴール。見せ場という点ではもうひとつだったが、休み明けで一応上位に食い込んで、今後の活躍に希望を繋いだ。鞍上の鮫島良騎手は、「もう少し楽にいい位置を取れるかと思ったんですけどね。でもバラけてからはいい脚を使ってくれましたし、芝の短い距離は向いていると思います。」とコメント。このひと叩きでの上昇度に期待したい。

●４カ月近い間隔を開けた前走で４着だったショウリュバイオ。着差もあってそれほど見せ場はなく、まだまだ満足できる走りではなかった。ひと叩きで上積みが見込める今回は、この馬の素質の片鱗を見せてほしい。１番人気は、近２戦を連続３着としているイヴピアジェで単勝3.1倍。２番人気は、近５戦で２着２回，３着１回のスーパーアースで単勝5.6倍。前走も２着で、今度こその意気込み。ショウリュバイオは、単勝16.4倍の８番人気。実力拮抗の一戦で、ショウリュバイオにも勝機はあるはずだ。

　レースでは、ショウリュバイオは五分のスタートで、中団後ろに控える競馬。スーパーアースが僅かに先頭に出るが、半馬身差で内バーチャルツアー，外クレバーチャームが差なく続く。3/4馬身差で人気のイヴピアジェ以下で、このあたりは固まっている。ショウリュバイオは中団後ろの位置だが、先頭までは５馬身差とそれほど差はない。３角では、スーパーアース，クレバーチャームの先頭争い。３〜４角にかけても態勢は変わらないが、４角でスーパーアースがまた単独先頭に出て１馬身1/4差のリード。クレバーチャーム，バーチャルツアーの２番手争いで、これに１馬身差でイヴピアジェなど。ショウリュバイオは、先頭から４馬身差の中団内々で前はゴッチャになっているが、このあたりから追い出し態勢に入って直線へ。

　直線に向くと、スーパーアースが１馬身半リードで逃げ切りを図る。２番手争いは、クレバーチャームなど混戦模様。残り１ハロンで、これに１馬身差でイヴピアジェが４番手に上がってくる。その１馬身半後ろから、内目ショウリュバイオ，外からタマモクロスの曾孫孫ソウキュウが追ってくるが、ショウリュバイオは少し進路が狭い感じ。ラスト150ｍで、２番手争いの混戦の中を割ってイヴピアジェが単独２番手に。ショウリュバイオ，ソウキュウは２番手から２馬身半馬身差の７番手争いだったが、ここからこの２頭がグイグイ脚を伸ばしてくる。しかしながら、進路が狭いシーンがあった分、ショウリュバイオの方がワンテンポ遅れを取っている。ラスト70ｍで、イヴピアジェがスーパーアースをかわして先頭に抜け出す。１馬身半差の３頭の２番手争いに、外ソウキュウ，つれて中ショウリュバイオも加わって来て、この２番手争いからソウキュウが抜け出て、ゴール前で先頭イヴピアジェにも詰め寄ったが、半馬身届かず２着。ショウリュバイオは、ソウキュウに僅かに遅れて同じような脚で伸びて、最後はソウキュウにかわされた３番手スーパーアースに際どく迫ったが、首差及ばず４着でのゴール。それでも、勝ち馬から１馬身1/4差と、これまでにない見せ場のある競馬っぷり。叩かれて確実に上昇している。鞍上の鮫島良騎手は、「１回使って凄く良くなっていました。この距離にも対応してくれたんですが、直線で窮屈になったのがもったいなかったですね。チャンスは近いと思います。」とコメント。徐々に素質が開花してきている感じだ。

●新潟戦で４着となり、これで２戦連続の４着となったショウリュウバイオ。続く前走は５着で掲示板は確保したが、インパクトは欠いていた。それでもかなり安定性が出て来て、少しずつ地力強化中。今回は勝ち負けまで狙って行きたい。１番人気は、デビューからの全１０戦掲示板を外したことがないサンセットスカイで単勝2.6倍。２番人気は、近５戦で３着２回，４着２回のリッシュレーヴで単勝2.7倍。ショウリュウバイオは、単勝7.6倍の３番人気。上位２頭は強力だが、決して負かせない相手ではないはず。あわよくば悲願の初勝利さえ狙っていけるはずだ。

　レースでは、ショウリュウバイオはスタートは五分に出て、中団からの競馬。手綱を押してケージーサクランボが先頭で、内からフェアリーシチー，外フィボナッチが並んで来るが、ケージーサクランボがハナを譲らず単独１馬身のリード。２番手２頭の１馬身半後ろにショウナンアズーリ，サンセットスカイの２頭。ショウリュウバイオは、更に４馬身後ろの中団後ろの大外の位置。少し引っ掛かってなだめている。３角では、先頭ケージーサクランボが２馬身のリード。フェアリーシチー，フィボナッチの２番手争いは変わらず。３〜４角の中間では、ショウリュウバイオがじわっと押し上げるが、それでもまだ中団まで。４角では、先頭ケージーサクランボに、フィボナッチが１馬身差に接近。半馬身内にフェアリーシチー，更に１馬身差でサンセットスカイは４番手。これに１馬身半差の６番手にベストプレーン。ショウリュウバイオはその２馬身後ろで、先頭までは６馬身差の位置で直線へ。

　直線に向くと、ケージーサクランボが先頭で粘っているが、サンセットスカイ，リッシュレーヴの人気２頭が伸びてきて、前３頭の争い。これに3/4馬身差でベストプレーンも中を割ろうとしている。その１馬身半後ろからショウリュウバイオも脚を伸ばして残り１ハロン。ラスト150ｍで混戦の中、サンセットスカイが先頭に出てくる。ラスト100ｍでは、１馬身差でケージーサクランボ，ベストプレーン，リッシュレーヴの３頭の２番手争い。その3/4馬身外からショウリュウバイオも２番手争いに加わってくる。ここからベストプレーンが単独２番手に出てくるが、ラスト50ｍからショウリュウバイオも伸び脚を加速させて、順位を上げながらベストプレーンにじわじわ詰め寄ったが、首差届かず３着でのゴール。それでも、デビュー以来いちばん内容の濃い走りを見せてくれた。道中の折り合いがついていれば、もっと際どかったかも。鞍上の岩田騎手は、「大分、集中して走れるようになっている。あとはもうワンパンチが出てくれば。」とコメント。着実に成長しており、念願の初勝利も見えて来た感じだ。

●前走勝ち馬から半馬身，首差の３着と接戦を演じたショウリュウバイオ。気性的に難し過ぎてなかなか力を出せなかったが、徐々に力を出せるようになってきた。今回も気分を損ねなければ、念願の初勝利の可能性は十分。そして、ショウリュウバイオが単勝3.5倍の１番人気に支持される。２番人気は、前走ショウリュウバイオに首差先着して２着だったベストブレーンで単勝3.7倍。３番人気は、近５戦で３着２回，４着２回のリッシュレーヴで単勝5.2倍。前走はショウリュウバイオに首差の４着だった。ショウリュウバイオにとっては、前走接戦を演じた相手との再戦となるが、今度は力で捻じ伏せて勝利を勝ち取りたい。

　レースでは、ショウリュウバイオはまずまずの好スタートを切るが、じっくり中団に控えて行く。スタートから100ｍの地点で、サンライズムーンが先頭に立つ。半馬身差でキチ，オーネットサクセス，テイエムシシーポスの２番手争い。ここから今度はオーネットサクセスが加速して先頭に立つ。スタートから300ｍの地点で、ショウリュウバイオは引っ掛かって頭を上げて、先頭から２馬身半差の４番手まで押し上げるが、このあたりは差なく一団。ベストブレーンは、ショウリュウバイオの１馬身半後ろ。３角では、先頭オーネットサクセスが２馬身リードで逃げるが、２番手以下は一団。３角過ぎでは、ショウリュウバイオは手綱を抑えて順位を少し下げて行く。ショウリュウバイオの外にベストブレーンが並んでくる。３〜４角の中間では、ショウリュウバイオは先頭から４〜５馬身差の６番手だが、４角からゴーサイン。テイエムシシーポス，ウルトラサウンドの先頭争いに変わり、半馬身差で内オーネットサクセスは３番手に後退。その後ろは２馬身半差で４番手以下は一団。ショウリュウバイオは、４番手から3/4馬身差の中団馬群の真ん中で直線へ。

　直線に向くと、テイエムシシーポス，ウルトラサウンドの先頭争いだが、ショウリュウバイオも中からじわじわ脚を伸ばす。残り１ハロンで、ウルトラサウンドが先頭に抜け出したが、混戦の中をショウリュウバイオが２番手に上がってくる。ここからグーンと素晴らしい伸び脚を見せたショウリュウバイオは、ラスト150ｍでウルトラサウンドを外からかわしにかかる。完全に２頭の争いに絞られ、ウルトラサウンドも一瞬食い下がったが、ラスト100ｍを切ってからショウリュウバイオがあっさり突き放すと、最後は１馬身1/4差抜けて快勝のゴール。気性的な難しさを克服し、ついに念願の初勝利を飾った。鞍上の福永騎手は、「行きたがったり、ハミを取らなかったり、それに抜け出したらやめようとするなど、難しい面のある馬ですが、今日はうまくいきました。勝つことができて良かったです。」とコメント。血統的にも、これからまだまだ活躍を期待していい。姉アイドルバイオは500万クラスで苦戦をしてしまったが、姉を越える活躍を期待したい。

●ＪＲＡ２勝のタガノメガミの産駒タガノタヴェルナーのデビュー戦。兄タガノバベルもＪＲＡで１勝を挙げているが、この馬には兄以上の活躍を期待したい。１番人気は、ゴールドアリュール産駒のテーオーソルジャーで単勝2.4倍。兄のコパノフウジンは、Ｇ３で２度２着になるなど、重賞の常連で活躍をした馬。２番人気は、タマモクロスの曾孫のダラニで、単勝4.0倍。父サクラバクシンオー譲りの非凡なスピードが武器。タガノタヴェルナーは、単勝9.2倍の５番人気。穴馬的存在だが、十分に上位争いを狙えるはずだ。

　レースでは、ダラニが父親譲りの好ダッシュを決めてポーンと先頭に立って、すぐに１馬身リードする。タガノタヴェルナーはまずまずのスタートで、すっと２番手に取り付くが、これを外からかわしてテーオーレジェンドが２番手に。１馬身1/4差控えてタガノタヴェルナーがは３番手，これに外から半馬身差にメイショウワコンが接近する。３角では、先頭ダラニは２馬身半とリードを開いて、軽快に逃げを打つ。テーオーレジェンドが２番手で、１馬身差でタガノタヴェルナー，メイショウワコンの２頭が続いている。３〜４角の中間では、２番手テーオーレジェンドがじわっと差を詰めて、先頭ダラニのリードは１馬身半。２番手テーオーレジェンドの外にメイショウワコンが並んでくる。タガノタヴェルナーは４番手。４角では、先頭ダラニは手応えよく逃げているが、外からメイショウワコンが半馬身差に接近。１馬身差でテーオーレジェンドは３番手，更に１馬身差で内タガノタヴェルナーが４番手。半馬身外にはカネトシビバーチェが取り付いて直線へ。

　直線に向くと、ダラニが逃げ込みを図るが、外からメイショウワコンがかわして僅かに先頭。その後ろは２馬身1/4差と少し開いている。３番手テーオーレジェンドに、タガノタヴェルナー，カネトシビバーチェの２頭が内外からじわじわ詰め寄ってくる。先頭メイショウワコンに、内ダラニが首差で食い下がっていたが、ラスト150ｍを切ってから突き放されてしまう。その後ろは３馬身差でタガノタヴェルナーが単独３番手に上がってくる。１馬身差で４番手カネトシビバーチェは同じような脚。メイショウワコンはじわじわ差を広げて、最後は３馬身差突き放す。タガノタヴェルナーは最後もうひとつ伸び切れなかったが、２番手ダラニとの差を２馬身半差に少し詰めて３着でゴール。やや甘い印象もあったが、きっちり上位は確保したタガノタヴェルナー。まだ伸びしろもありそうな走り。鞍上の後藤騎手は、「サウスヴィグラス産駒らしいスピードを見せてくれたけど、前２頭は強かった。でも、この馬も使って良くなると思う。」とコメント。今後の成長力に期待したい。

●新馬デビュー戦で鮮やかな初勝利を決めたタマモプラネット。素質の高さを発揮したが、続くつばき賞では期待されたものの最下位８着に沈んでしまう。逃げて直線脚をなくしたものだったが、掛かったように行き過ぎてしまったのが敗因。今回は自分のペースを守って、何とか巻き返しに期待したい。１番人気は、近３走特別戦５着，平場戦３着，３着と確実に掲示板圏内に食い込んでいるサイモンラムセスで単勝2.6倍。２番人気は、前走の平場戦では首差２着だったセトノフラッパーで単勝4.1倍。タマモプラネットは、単勝22.7倍の９番人気。前走の敗戦ですっかり評価を下げてしまっているが、この馬の本当の力はこんなものではないはずだ。

　レースでは、タマモプラネットはそれほどいいスタートではなかったが、内からビーマイラブが出てくると、少し仕掛けたタマモプラネットが先頭に立って２馬身のリード。ビーマイラブが２番手で、１馬身半差でジーブラック，エイシンテキサスの３番手争い。更に２馬身差でワールンガ，その２馬身後ろの中団内々がサイモンラムセスの態勢。３角でも、先頭タマモプラネットは１馬身半リードの軽快な逃げで、前の方はバラけているが、３〜４角の中間から馬群が固まってくる。４角でも、タマモプラネットは手応えよく先頭だが、3/4馬身差で外ビーマイラブが接近。半馬身差で中ジーブラック，その半馬身外にエイシンテキサスだが、以下もまったくの一団となって直線へ。

　直線に向くと、タマモプラネットが二の脚を発揮して１馬身1/4差のリード。ジーブラック，ビーマイラブの２頭が追ってくるが、残り１ハロンでこれにワールンガが並んでくる。ワールンガの１馬身半後ろからはサイモンラムセスが突っ込んでくる。タマモプラネットもよく踏ん張っていたが、ラスト100ｍでワールンガにかわされて２番手。更にはラスト50ｍでサイモンラムセスにもかわされて、タマモプラネットは止まってはいないものの３番手に後退。これに3/4馬身差に迫っていたビーマイラブが、最後の最後でタマモプラネットに並びかけて、２頭ほとんど同時の３着争いのゴール。態勢的にはタマモプラネット優勢かにも見えたが、ゴールの瞬間タマモプラネットは頭が上がり、一方のビーマイラブは頭が下がったところがゴールで、タマモプラネットは鼻差遅れて結局４着に。それでも、前走の殿り負けからキッチリ変わり身を見せてくれた。鞍上の幸騎手は、「距離短縮の今回は、折り合いがスムーズ。マイペースで楽に行けましたし、最後もよく踏ん張ってくれています。」とコメント。まだまだ幼さが残るだけに、成長の余地も大きいはずだ。

●３歳500万クラス昇級２戦目の平場戦で４着と上位争いをしたタマモプラネット。その後２戦はともに９着と振るわず、５カ月半の休養に。この秋は、前走初ダートで古馬との初対戦となった平場戦で戦列に戻ったが７着。それでも、休み明けとしては悪くない走りではあった。叩き２走目，ダート２走目となる今回は、当然上積みがあっていいはず。１番人気は、前々走1000万下平場戦を１番人気で８着だったルスナイスナイパーで単勝2.0倍。降級戦となった前走500万下平場戦でも２着と実力を見せている。２番人気は、デビュー３戦目で未勝利を勝ち上がった後、500万クラス昇級戦の平場戦で１馬身半差の３着だったウォーシップマーチで単勝5.9倍。タマモプラネットは、単勝29.2倍の７番人気。評価は低いものの、ダートに手応えは感じただけに、叩き２走目で変わり身があっておかしくないはずだ。

　レースでは、タマモプラネットは少し躓き加減になったが、ほぼ五分に近い出で、手綱を押して先頭争いに。中キングスバーンが先頭に出てくるが、大外テイエムオオラジャが並んでくる。その後ろ１馬身差で内タマモプラネットが３番手。これにルスナイスナイパーなどが差なく続いて１角へ。１〜２角で、キングスバーンが先手を取り切って、１馬身半差でタマモプラネットが２番手に押し上げる。向正面では平均ペースで流れも落ち着き、中団大外のルスナイスナイパーは、タマモプラネットの４馬身後ろ。タマモプラネットは、いい感じで流れに乗れている。向正面の中間では、タマモプラネットの後ろは２馬身と少し間隔が開いていることもあり、揉まれることなく気分よく行けている。３角でも、タマモプラネットは先頭に１馬身半差の２番手をキープするが、３〜４角の中間では、持ったままで3/4馬身差まで詰めて行く。４角でタマモプラネットは少し仕掛けると、先頭キングスバーンに首差まで並んで行く。3/4馬身差で大外エーシンヘディングが３番手に。これに半馬身差でサカジロスイセイ以下で直線へ。

　直線に向くと、キングスバーン，タマモプラネットの先頭争いに、残り300ｍで外からエーシンヘディングが並びかける。その後ろは１馬身半差でサカジロスイセイ。前３頭の争いから、残り１ハロンを切ってエーシンヘディングが競り勝って先頭。ラスト150ｍでは内半馬身差で食い下がるタマモプラネットが単独２番手。キングスバーンは遅れを取る。ラスト100ｍからはエーシンヘディングが突き放す。タマモプラネットが２番手で、ゴール前で外からカレングラスジョーが差して来たが３着争いまで。タマモプラネットは２馬身差をつけられたが、そのまま２着を守り切ってのゴール。叩き２走目、ダート２戦目で、きっちり変わり身を見せてくれた。鞍上の水口騎手は、「前走が久々でしたから、上積みがあればと期待していたんです。レースは逃げた馬がいいペースで運んでくれて、折り合いがスムーズでした。勝った馬は強かったけれど、この馬自身、いい内容だったと思います。」とコメント。元々素質を期待されていた馬。暫く脚踏みが続いたが、ここからが本領発揮だ。

●前走のクリスマスＣでは鼻差２着の惜敗だったタマモマーブル。惜しいレースだったが、1000万クラスでの勝利が近いことは、もう「確信」と言っていい。今回は５６kgのトップハンデを背負うこととなったが、このビハインドを跳ね返しての勝利を期待したい。１番人気は、1000万クラス昇級後の特別２戦を３着，２着と力を見せているレイカーラで単勝2.7倍。今回が４カ月ぶりのレースとなる。タマモマーブルは、単勝3.9倍の２番人気。３番人気は、前走500万特別を勝ち上がってきたゴールデンナンバーで単勝4.3倍。Ｇ２フローラＳ７着という成績もある。実力的にはタマモマーブルが上位の感があるだけに、今度こそ勝利を手にしたい。

　 レースでは、タマモマーブルはスタートで痛恨の１馬身立ち遅れで、最後方からの競馬。ケルンフォーティーが果敢に先手を取って、２馬身半差でレイカーラが２番手。半馬身内にスピークソフトリーだが、２番手以下は固まっている。最後方のタマモマーブルは、２番手から６馬身差の位置。ここからケルンフォーティーは徐々にリードを開きにかかって、向正面の中間ではそのリードは８馬身まで広がるが、この馬自身は平気ペースで、決して無理な逃げになっていない。３角では、ケルンフォーティーの逃げは１０馬身と、更にその差が広がっている。タマモマーブルは依然殿りで、２番手から７馬身差。３〜４角の中間では、２番手レイカーラ，半馬身内にスピークソフトリーで、態勢は変わっていない。このあたり、タマモマーブルは後方２頭目で、大外からじわっと進出開始か。４角でも、先頭ケルンフォーティーは１０馬身リードの逃げ。２番手レイカーラ以下は固まる。タマモマーブルは、２番手から５馬身差の後方２，３頭目位置だが、大外を回っていることもあって、あまり差は縮まっていない。１馬身後ろの最後方にゴールデンナンバーの態勢で直線へ。

　 直線に向いても、先頭ケルンフォーティーの逃げ脚は鈍らない。タマモマーブル，ゴールデンナンバーの２頭が差し脚を伸ばしてきて、残り250ｍでは２番手から３馬身差の中団大外。タマモマーブルは、ラスト１ハロンでゴールデンナンバーに伸び負けて遅れを取ってしまう。ラスト150ｍでも、ケルンフォーティーは７馬身リードで押し切り態勢。２番手にレイカーラだったが、ラスト70ｍで外からゴールデンナンバーがかわして２番手に上がり、５馬身前にいるケルンフォーティーを追う。つれてタマモマーブルも伸びてきて、ラスト50ｍでレイカーラをかわして３番手に上がったが、結局ケルンフォーティーに3/4馬身，3/4馬身差の３着でのゴール。５６kgのトップハンデに加え、スタートでの出遅れ、大逃げが決まる展開という三重苦では、さすがに突き抜けるまでは厳しかったか。鞍上の水口騎手は、「首を下げた時にスタートを切られましたが、道中は有力馬を見ながら運べました。ただ、誰も動いて行きませんでしたし、僕のも自分から動いて行ける方ではありませんからね。５６kgのハンデを背負って、よく頑張ってくれたと思います。」とコメント。今回は運がなかった感じだが、力のあるところはしっかり示してくれていた。次走は是非とも雪辱を果たしたい。

●前走の知立特別では、スタートの出遅れと展開のアヤで３着に敗れたタマモマーブル。念願の1000万クラス勝ちはならなかったが、引き続き勝機十分なのには変わりがない。１番人気は、目下特別戦を３連続２着と惜敗を続けるノーブルジュエリーで単勝2.3倍。２番人気は、休み明け２戦目の500万下平場線を快勝してきたヴァンセンヌで単勝6.4倍。まだキャリア僅か４戦という馬で、父は最強のディープインパクト，母は名スプリンターのフラワーパークという血統が高く買われている。タマモマーブルは、単勝10.9倍の６番人気。特に２番人気以下は人気が割れており、今度こそ勝利を決めたいところだ。

　レースでは、タマモマーブルは今回はスタートを無難に決めて、じっくり中団後ろの位置取り。ポンと好発はロードエアフォースだが、外からアイムヒアーが半馬身差に詰めて行く。１馬身半差で内ノーブルジュエリーは３番手で、以下も差なく追走。タマモマーブルは、ノーブルジュエリーの３馬身後ろの中団真ん中の位置で、脚をタメる競馬。更に４馬身後ろの最後方にゴールデンナンバー。３角では、先頭ロードエアフォースが２馬身半とリードを開く。２番手集団は２馬身の圏内に４頭が固まって、ノーブルジュエリーもこの争いの中。その後ろは２馬身半と開いて、タマモマーブルなどが集団を形成。３〜４角の中間では馬群が詰まってきて、先頭ロードエアフォースのリードは半馬身。タマモマーブルは、先頭から３馬身半差の６番手。４角では、先頭〜殿りまで５馬身差のまったくの一団。先頭ロードエアフォースは１馬身リードし、ノーブルジュエリーは２番手争い。タマモマーブルは先頭から２馬身半差で、全馬が内外横に大きく広がっての直線の追い比べで直線へ。

　直線に向くと、先頭ロードエアフォースの内からノーブルジュエリーがじわじわ並んでくる。タマモマーブルも伸びてはいるが、先頭までの２馬身半差がなかなか詰まらない。残り１ハロンでは、先頭２頭の間を割るように、道中最後方待機のゴールデンナンバーが一気の伸び脚。ラスト150ｍからは、ノーブルジュエリーとこれを半馬身差で追ってくるゴールデンナンバーの２頭が抜け出す。２馬身差でロードエアフォースが３番手で、その２馬身後ろの４番手争いは５〜６頭広がっての大混戦で、タマモマーブルもその争いの中。タマモマーブルは、最後はロードエアフォースに際どく迫ったが首差まで。３着以下は各馬固まってドッとゴールへ雪崩込む中、タマモマーブルは大外カロッサルに鼻差かわされて５着でのゴール。優勝争いは、ゴールデンナンバーが叩き合いを鼻差制し、ノーブルジュエリーはまたしても２着。３着馬から差はなかったものの、今回はもうひとつ物足りなかった感もあったタマモマーブル。鞍上の水口騎手は、「いい位置で流れに乗れましたし、理想的な展開でしたね。直線もしっかり伸びていますが、前に行った馬が渋太かったですね。この馬の力は出し切れたと思います。」とコメント。確かに道中もロスなく運べていただけに残念。それでも確かな力を持っているだけに、今の状態を維持できれば、引き続きチャンスは十分にあるはずだ。

●前走の木津川特別では５着入着はしたものの、内容的にはひと息だったタマモマーブル。陣営は敗因に重目残りを挙げ、今回は馬体重を−10kg絞ってきて、巻き返しを期す。１番人気は、前走の木津川特別ではタマモマーブルに鼻差先着して４着だったカロッサルで単勝3.0倍。２番人気は、近６戦連続入着の安定性を誇るタガノザイオンで単勝7.3倍。タマモマーブルは、単勝7.4倍の３番人気。２番人気以下は人気も大きく割れているが、本来ならこのメンバーならタマモマーブルが力量上位のはず。今度こそ勝利を手にしたい。

　レースでは、タマモマーブルはスタートは五分に出るが、手綱を押して行くものの中団から。ニシノマナザシが出てくるが、これをピュアソウルがかわして先頭。半馬身外にタガノザイオンが２番手で、中首差でメロートと、この３頭の先頭争い。全体的にバラけた展開で、前８頭が５馬身圏内で集団を形成。その後ろは５馬身と間隔が開いてビームライフル，その１馬身半後ろがタマモマーブルの態勢。人気のカロッサルは、更に１０馬身も後ろの最後方。やや速い流れとなっているが、３角でもタマモマーブルは中団でじっと我慢。３〜４角の中間では、馬群も詰まってきて、タマモマーブルは先頭まで５馬身差。４角では、ピュアソウル，タガノザイオンの先頭争いで、以下は一団。タマモマーブルは、先頭から４〜５馬身差の中団やや後ろの大外まで差を詰めて、カロッサルは更に３馬身後ろの最後方大外で直線へ。

　直線に向くと、外タガノザイオンが僅かに先頭かというところ、中メロートも踏ん張って、横に大きく広がっての争い。しかしながら、追い出されてからのタマモマーブルの伸び脚は実に力強く、残り１ハロンで外からあっさり一頭だけ抜け出してくる。２馬身後ろの外から追うようにキネオピューマ，更に２馬身半後ろの後方大外からカロッサルも伸びてくるが、この３頭はほぼ同じ脚で切れ味を発揮。タマモマーブルに続いて順番にキネオピューマ，カロッサル抜け出てきたが、タマモマーブルはまったく危なげなく、２馬身差の完勝のゴール。本当に文句なしの力強い勝利だった。ＪＲＡ未勝利で一度地方に転出した馬が、いよいよ準オープンにまで登って来たのは、本当に感慨深い。鞍上の水口騎手は、「前走は太目残りと敗因ははっきりしていました。中間の調整で絞れて、結果が出たんだと思います。道中の手応えに余裕があったし、手前を替えてからの伸びも文句なかったですね。この内容なら、上のクラスでも通用すると思います。」とコメント。元々相手なりに走れるタイプの馬だけに、準オープンでも差のない競馬を期待できるはずだ。

●前走1000万クラスの中京スポーツ杯で、体が絞れて切れ味を発揮して鮮やかな差し切り勝ちを演じたタマモマーブル。ＪＲＡ未勝利で地方に転出した馬が、ついに準オープンまで昇級してきた。相手なりに走れる面がある馬だけに、このクラスでも好勝負は可能なはず。１番人気は、準オープン昇級２戦目の前走で２着と好走したショウナンラムジで単勝3.1倍。２番人気は、近３戦を４着，２着，２着としているランリョウオーで単勝3.5倍。準オープン勝ちの実績のある馬で、このクラスでは力量上位の存在。タマモマーブルは、単勝23.5倍の７番人気。昇級の壁があるのかないのか、更なる活躍への試金石となる一戦だ。

　レースでは、タマモマーブルはスタートの出は五分だったが、後方２頭目に控える競馬。大外プレミアムブルーがポンと好発で２馬身リードするが、最内ティアップゴールドが先手を奪って半馬身リード。プレミアムブルーが２番手で、半馬身差で外タイキエイワンが３番手。ここから１馬身1/4差の内々５番手にセイルラージ。その更に４馬身後ろの後方２，３頭目の争いに、内ランリョウオー，外タマモマーブルが並ぶような態勢。ペースは比較的ゆったりとしているが、３角でもタマモマーブルは先頭まで８馬身差で、じっと動かない。３〜４角の中間で、先頭は依然としてティアップゴールドで、3/4馬身差でプレミアムブルーが２番手。２馬身半後ろの３番手以下は徐々に固まってくるが、タマモマーブルは、先頭との差は変わっていない。４角ではセイルラージが３番手に押し上げて、２番手の馬に１馬身半差まで詰めて行く。タマモマーブルは、セイルラージからまだ６馬身の差があって、後方の大外へ持ち出して行くが、上がり速い決着は必至だけに、果たしてどこまで追い込めるのか。

　直線に向くと、３番手セイルラージが外から伸びて、残り250ｍでティアップゴールドをかわして先頭に抜け出そうという態勢。１馬身半差でプレミアムブルーが３番手，更に２馬身差で４番手以下は大混戦で残り１ハロン。タマモマーブルはまだ４番手争いよりも後ろの位置。プレミアムブルーは甘くなり、ラスト100ｍでワイズリーが単独３番手に上がるが、このあたりは大激戦。タマモマーブルは、３番手から２馬身半差の後方大外。押し切りを図る先頭セイルラージに後続が迫ったが、中を一気に伸びたランリョウオーも半馬身差まで。３着以下は、１０頭が0.4秒差にひしめく争いに。タマモマーブルはランリョウオーに続くような切れ味を発揮し、最後の最後でタマラマ以下を首差差して、なんとか５着入着のゴール。この上がりの競馬では、４角でのあの位置からでは厳しかったか。それでも、準オープン昇級緒戦で掲示板圏内に食い込んだのは評価していいはず。鞍上の水口騎手は、「最近ズブさが出ていますが、慌てずジックリと運びました。ラストはいい伸びでしたし、グングン力をつけていますね。経験を積んでいけば、このクラスでも十分やれそうです。」とコメント。。準オープンでのメドを立て、更なる活躍への確かな手応えは掴むことができた。

●前走準オープン昇級緒戦の錦Ｓで５着と掲示板圏内に食い込んだタマモマーブル。着差もそれほどなかっただけに、準オープンで戦える確かな手応えを掴んだ。クラス２戦目となる今回は、更なる前進も期待できる。１番人気は、５戦連続掲示板圏内という安定した走りで、前走も２着と実力を発揮しているアグネスウイッシュで単勝3.9倍。今回で５戦連続の１番人気となる。前年はＧ１高松宮記念でも７着と善戦し、準オープン勝ちの実績もある馬。２番人気は、準オープン昇級後の２戦を３着，８着のワイズリーで単勝4.8倍。前々走の錦Ｓは３着で、タマモマーブルに先着している。タマモマーブルは、単勝16.8倍の８番人気。実力拮抗のメンバーだけに、チャンスはあるはずだ。

　レースでは、タマモマーブルは若干甘い感じのスタートで、出遅れというほどではないものの、二の脚の加速がつかずに後方に。手綱をしごいて行くものの、ズブい感じで反応できず。ミヤジエムジェイが先頭に立って、１馬身1/4差でプレミアムブルーなど３頭の２番手争いで、その後ろは２馬身半と少し差が開いてくる。少しバラけた展開で、ワイズリーは先頭から７馬身差の中団後ろの大外。その２馬身後ろの後方３頭の外にいるのがタマモマーブルで、アグネスウイッシュと並んでいる。３角にかかると、タマモマーブル，アグネスウイッシュの２頭がじわっと押し上げて行くが、３〜４角の中間でもまだ後方に近い位置のまま。４角では、ミヤジエムジェイが依然先頭，１馬身半差でプレミアムブルー，オメガホームランが２番手争い。ワイズリーは、先頭から３馬身半差の中団大外。その２馬身後ろの後方大外から、アグネスウイッシュ，タマモマーブルが追い込み態勢で直線へ。

　直線に向くと、先頭ミヤジエムジェイは２馬身半と更にリードを開いて逃げ込みを図る。残り250ｍでは、外ワイズリーが２番手に上がって前を追う。つれて、その3/4馬身差内側からロードロックスターも伸びてくる。アグネスウイッシュ，タマモマーブルはその２馬身後ろで、まだ中団より後ろ。これに3/4馬身差で中からターフェルも脚を伸ばす。ここからは大激戦の様相となるが、グーンと伸びたワイズリーが、ラスト50ｍでミヤジエムジェイを抜き去って、最後は１馬身1/4差抜けて優勝。タマモマーブルは、ターフェルには伸び負けたが、外からじわじわ伸びる。アグネスウイッシュには首差競り勝って、５番手の内ラチ沿いミヤジエムジェイと内外大きく離れた５着争いのゴール。肉眼でも僅かに届かなかったかと思われたが、結局頭差届かず６着で、掲示板を逃した。２着のロードロックスターからの着差は僅かに１馬身と差は小さかっただけに、６着という結果は残念。テンにもう少し楽に行けていれば、もう少し結果は違ったかも。それでも、実力の差はほんの僅か。展開次第では今後もチャンスは十分だ。

●４月の準オープン昇級緒戦の錦Ｓで５着と上位争いに食い込んだタマモマーブル。これで準オープンにメドを立てたと思われたが、その後は６着と掲示板圏内に食い込めず。更に５カ月の休養を取って、この秋２戦は１４着，８着と成績は振るわず。それでも、叩き３走目でそろそろ実力発揮が期待される。１番人気は、準オープン昇級緒戦の前走で１番人気で５着だったオースミナインで単勝2.6倍。前走でデビュー以来初めて３着を外したという超堅実馬。２番人気は、近４戦を２着，７着，６着，８着としているオリービンで単勝4.2倍。Ｇ１のＮＨＫマイルＣ４着など、重賞入着６回という実績馬。タマモマーブルは、単勝22.8倍の７番人気。ＷＳＪＳの最終戦で、全国から注目を集める一戦。鞍上に兵庫の川原正騎手を迎え、この馬の持てる末脚を存分に発揮して見せたい。

　レースでは、タマモマーブルはスタートはまずまずで、じっくり中団からの競馬。クッカーニャが先頭に立って、3/4馬身差で内ロードエアフォース，外オリービンの２頭。更に首差で外ゼンノルジェロが押し上げる。タマモマーブルは、徐々に後ろに下げる形になって、先頭から８馬身差の後方２頭目。最後方の一頭が１０馬身置かれているため、実質最後方のような態勢。人気のオースミナインを２馬身前に見る形で進んでいる。３角では、先頭は依然としてクッカーニャ，3/4馬身差でオースミレジスタが２番手で、その後ろは２馬身開いている。３〜４角の中間では、タマモマーブルも含めて各馬抑えたまま。４角では差が詰まってきて、先頭はクッカーニャだが、これに3/4馬身差で２番手以下はまったくの一団。オースミナインは、先頭から１馬身半差の中団大外。タマモマーブルは、先頭から４馬身差の後方２頭目の大外で、ここまで十分に脚を温存して直線へ。

　直線に向くと、外のオースミナインの伸び脚が良く、残り300ｍで抜け出して先頭。１馬身差でショウナンマハなど６頭ほどが横に広がった２番手争い。その１馬身後ろの大外からタマモマーブルが差して来る。２番手以下は大混戦で、ここからは各馬同じような脚のしのぎ合いとなったが、ラスト100ｍでショウナンマハが２番手に抜け出て来たところ、その半馬身外から伸び脚でまさるタマモマーブルが並びかけてくる。先頭オースミナインは押し切り態勢だが、ここからの力強くグイッと伸びたタマモマーブルが、ラスト100ｍを切ってショウナンマハを捉えて２番手に上がる。タマモマーブルは、先頭オースミナインとの２馬身差を、最後は１馬身1/4差まで詰めて２着でのゴール。世界の名騎手が集まる質の高いレースの中、勝利には手が届かなかったが、外からの差し脚には迫力があった。鞍上の川原騎手は、「４角では勝つかの手応えだったね。開幕週の馬場でなければ、差し切れていたと思う。」とコメント。これで準オープンを勝ち上がる可能性も大いに高まった。

●Ｇ３小倉記念３着馬のケンブリッジレーザを兄にもつチャプレット。デビュー戦の東京の新馬戦は、見せ場のないまま１１着に大敗していたが、初ダートとなる今回は、変わり身も期待できる。１番人気は、新馬デビュー戦では１馬身1/4差の５着だったトーセンセラヴィで単勝3.1倍。ディープインパクト産駒という点でも評価が高い。２番人気は、近４戦を２着３回，３着１回と惜敗を続けているタカラジェニファで単勝3.5倍。新進気鋭のヨハネスブルグ産駒。チャプレットは、単勝21.7倍の７番人気。前走の内容から、それほど強気になれる訳ではないが、本領発揮はまだまだこれからだ。

●デビュー２戦目の前走で大きな変わり身を見せて３着と好走したチャプレット。２戦目で変わったのか、それともダートが向いていたのか理由はどちらとも言えないが、初勝利への手応えを掴んだのは事実。今回は更なる前進があってもおかしくない。１番人気は、前走チャプレットに１馬身3/4差先着して２着だったハビタブルゾーンで単勝2.2倍。チャプレットは、単勝4.8倍の２番人気。３番人気は、デビューからの全３戦を２着，５着，１１着としているダイワインテンスで単勝4.8倍。今回は初ダートで変わり身を見せるか。チャプレットにとっては、前走のハビタブルゾーンとの差を逆転できるかがカギだ。

　レースでは、チャプレットはスタートが若干甘く、中位あたりからの競馬。サウザンドオークスが先頭に出るが、これに外からデルマシズカチャンが徐々に並んでくる。3/4馬身差でハビタブルゾーンが３番手，これに１馬身差でチャプレットが４番手に上がってくる。１〜２角で、前２頭が競り合う形の先頭争い。ここからサウザンドオークスが先手を取り切って、デルマシズカチャンは１馬身差の２番手に下げる。向正面で、３馬身開いてハビタブルゾーン，これに外首差に並んでくるチャプレット。この２頭で先頭との差をスーッと詰めて行くが、チャプレットは深追いせずに、先頭から２馬身半差の４番手に。３角手前から、サウザンドオークスがまたペースを上げて差を広げにかかり、３角では一頭２馬身半のリード。ハビタブルゾーン，チャプレットの２番手争いとなるが、３〜４角の中間では２頭で先頭との差を詰めて行き、先頭サウザンドオークスのリードは半馬身に縮まる。ハビタブルゾーンの方はかなり手が動いているが、チャプレットは持ったままの手応え。４角では、先頭サウザンドオークスも手が動き始めるが、その外に手応え十分に並んでくるチャプレット。3/4馬身差でハビタブルゾーンが３番手だが、その後ろは３馬身と差が開いている。この時点で、チャプレットは勝利をほぼ確信して直線へ。

　直線に向くと、サウザンドオークスが内ラチ沿いに粘って半馬身のリード。外チャプレットが２番手から追ってきて、ハビタブルゾーンの方は脱落。残り１ハロンでは、前２頭がまったく並んでの叩き合いとなったが、ラスト150ｍでチャプレットの方がじわっと競り勝つ。３番手以下は３馬身半と開いてしまって、完全に前２頭の勝負。首差リードしたチャプレットに、サウザンドオークスも食い下がったが、ラスト70ｍからじわじわ差を開いて、チャプレットが最後は１馬身差をつけて初勝利のゴール。実に力強く、安定性を感じさせる走りだった。鞍上の田辺裕騎手は、「前回はピリピリしていましたが、使って今日は落ち着きがありました。前回も手応え以上に最後ジリジリ脚を使ってくれたので、今日は自分から動いて行きました。最後までしっかり走ってくれました。」とコメント。この走りができるなら、500万クラスに昇級しても、ある程度通用するはずだ。

●３戦連続２着と惜しい競馬が続いたトゥルヴァーユ。初勝利は時間の問題と誰もが思ったが、その後２戦はともに１番人気で１２着，９着と大きく後退。今回は３カ月レース間隔を開けて立て直しが図られただけに、以前のトゥルヴァーユに戻っているはず。初めてのダート戦になるが、大型馬だけにダート適性もある程度あるはず。休み明けという点では割り引きだが、メンバー的に見ても勝利の可能性は高い。そして、トゥルヴァーユが単勝2.7倍の１番人気に支持される。２番人気は、一戦ごとに着順を上げて前走は２馬身3/4差の４着だったモシモシで単勝4.6倍。３番人気は、目下３戦連続４着を続けるタマモクロスの孫ラグーンで単勝6.6倍。トゥルヴァーユにとっては、絶対に逃したくない大きなチャンスだ。

　レースでは、トゥルヴァーユはスタートは五分に決めると、じっくり中団真ん中から。ラグーンが手綱をしごいて加速して先頭争いで、スタートから150ｍの地点でようやく単独先頭に立つ。半馬身差でレディーピンクが２番手，これに3/4馬身差で中モシモシ。トゥルヴァーユは中団からじわっと進出して、先頭まで５馬身差。先頭ラグーンは、１馬身リードで気持ち良く逃げていて、３角では１馬身半とじわっと差を開く。トゥルヴァーユは６番手で、全体に隊列に変動はない。３〜４角の中間で、レディーピンクが終始２番手。１馬身半差でモシモシ，デルマアマノジャクの３番手争い。その3/4馬身差大外にトゥルヴァーユが押し上げる。４角では、先頭ラグーンは手応えよく3/4馬身リードをキープ。先頭から１馬身3/4差の３番手までトゥルヴァーユが取り付いて、手応え十分で余裕さえ感じられ、勝利の期待が高まって直線へ。

　直線に向くと、内ラグーンに外からレディーピンクが並びかけての叩き合い。3/4外の３番手トゥルヴァーユは持ったままで、先行２頭とは手応えがまるで違っている。残り300ｍで、トゥルヴァーユが持ったままで先頭２頭に並びかけると、ここから追い出しにかかってあっさり単独先頭に抜け出してくる。残り１ハロンでは２馬身リードで勝負あり。２番手にはレディーピンクで、内ラグーンは半馬身遅れを取って３番手に。その後ろは４馬身と開いてプルーフが追い込んでくる。トゥルヴァーユは最後まで一歩一歩じわじわ差を広げて、ゴール前で２着に突っ込んだプルーフに３馬身半差をつける圧勝のゴール。ラグーンはレディーピンクを差し返して３着だった。見事人気に応えたトゥルヴァーユ。立て直しの効果が大きく、更にはダートにも適性があって、ここでは力が違ったか。鞍上の三浦騎手は、「芝・ダートどちらがいいと言うことではなく、ここでは力が抜けていましたね。最後は抜け出して遊んでいたくらいです。そういった課題も残りますが、まだ伸びしろがあるし、その点が解消してくればもっと良くなると思います。能力があるのは間違いないですから。」とコメント。この勝ちっぷりができるのであれば、昇級後の活躍も楽しみだ。

３着

３着

●兄姉に地方での活躍馬サマースピード，リアンローズなどがいるハリマヤヨサコイ。２歳１２月にデビューし、新馬戦では勝ち馬から３馬身差の５着と見どころのあるレース。これで期待されることとなったが、その後４戦はいずれも二桁着順の大敗。停滞ムードの中にいるが、何とか浮上のきっかけを掴みたいところ。１番人気は、近２戦を４着，３着と上位争いをしているノッキングオンで単勝3.1倍。２番人気は、前走１２番人気で３着と好走したデラウメイアで単勝5.9倍。今回は６カ月半ぶりの実戦となるが、仕上がり状態は上々。ハリマヤヨサコイは、単勝23.3倍の１１番人気と評価は低い。それでも、傑出馬のいないメンバー構成で、上位食い込みのチャンスはあるはずだ。

   ５着

　レースでは、ハリマヤヨサコイはまずまず好スタートを決めて、最内から手綱を押して先行争い。しかしながら、マプティット，タイセイスカイの方が速くて、ハリマヤヨサコイは控えて３番手。今度は大外スズカロカフラが先頭争いに加わってきて、ハリマヤヨサコイは先頭から３馬身差の４番手に。その２馬身後ろの中団真ん中にノッキングオン。３角では、タイセイスカイが先頭でリードは半馬身。スズカロカフラが２番手で、その後ろは２馬身と少し開いている。３〜４角の中間で、ハリマヤヨサコイは好位グループの後ろの内々で、手応えは悪くない。４角では、先頭タイセイスカイにスズカロカフラが首差までじわっと接近。１馬身半差でマプティット，デラウメイアの３番手争い。更に１馬身半差で大外ノッキングオンが押し上げる。これに半馬身差で内々にハリマヤヨサコイの態勢で直線へ。

　直線に向くと、タイセイスカイ，スズカロカフラの叩き合いに、外から持ったままでかわしにかかるデラウメイア。その１馬身外からノッキングオンの差し。残り300ｍでは、更に半馬身差でマプティットが５番手で、２馬身差でアルファメール，その半馬身内のハリマヤヨサコイは７番手の態勢で残り250ｍ。この時点でハリマヤヨサコイにはあまり伸び脚はなく、前とは少し差があって入着は苦しいかという態勢。ノッキングオンがあっさり先頭に立って、デラウメイアが２番手で決したかと思われたが、ゴール寸前でアルファメールが突っ込んで２着に。ハリマヤヨサコイは、ラスト100ｍでも３番手争いの４頭から２馬身半の差があったが、ここからぐいぐい伸び脚を発揮し、競り合いから単独４番手に抜けてきたマプティットに一気に並びかけたが、その瞬間外ケージーイチバン，クイックスパイダーに差し込まれて、４頭ほとんど同時の４着争いのゴール。かなりのｌ接戦で、クイックスパイダーには鼻差かわされてしまったが、５着入着は確保した。デビュー戦以来２度目の掲示板確保となった。鞍上の大庭騎手は、「少し怖がるところがあるから、ブリンカーが効きましたね。最後もしっかり伸びてくれましたし、これで気が入ってくれば、もっと走れますよ。」とコメント。上位３頭からは少し差があり、まだパンチ力は足りない感があるが、今回の好走を上昇のきっかけにしていきたい。

●４月の東京戦では４着馬に鼻差の５着と上位に食い込んだハリマヤヨサコイ。続く東京戦では８着に終わり、現状では入着が精一杯という印象。それでも、このまま成長がなければ厳しくなってくるだけに、何とか変わり身を期待したい。１番人気は、近７走で２着２回，３着３回，５着１回の堅実な成績を収めているヴェルフェンで単勝2.4倍。実績的にも上位の存在。２番人気は、デビューからの全２戦を６着，５着としているハイフロンティアで単勝3.5倍。ハリマヤヨサコイは、単勝74.3倍の１１番人気と評価は低い。この評価もやむを得ないところもあるが、スムーズに運べるようなら、展開次第で上位食い込みのチャンスはあるはずだ。

　レースでは、ハリマヤヨサコイはスタートを五分に決めると、１０頭ほど広がった先行争いの一角。ここは無理せず中位に控えて行く。スタートから１ハロンを過ぎて、内からオフィシエがじわっと先頭。3/4馬身差でノアビーナス，ハイフロンティアの２番手争いで、以下も差なく追走。１番人気のヴェルフェンは、先頭から２馬身半差の６番手あたり。その２馬身半後ろの中団後ろの位置にハリマヤヨサコイ。３角を過ぎると、ハリマヤヨサコイもじわっと差を詰めにかかる。３〜４角の中間で、先頭はオフィシエで１馬身リードをキープするが、外からハイフロンティアが持ったままで押し上げて、４角では先頭に3/4馬身差の２番手に。これに１馬身差で外クリーンオトコギも手応え十分。更に半馬身差で最内にヴェルフェンの態勢。ハリマヤヨサコイは先頭から４〜５馬身差の中団やや後ろで、ここから外目に持ち出して行って直線へ。

　直線に向くと、オフィシエ，ハイフロンティア，クリーンオトコギの３頭が並んでくるが、ここからハイフロンティアが先頭に出て、半馬身差でこれを追うクリーンオトコギ。外からハリマヤヨサコイもじわじわ脚を伸ばして来て、残り300ｍでは先頭から４〜５馬身差の５，６番手。前２頭の先頭争いから、ラスト150ｍを切ってクリーンオトコギがハイフロンティアにじわじわ迫る。このあたりからハリマヤヨサコイも末脚を加速させてグイグイ伸びてきて、ラスト100ｍを切ったところでヴェルフェンを捉えて３番手。先頭までは２馬身半差で、前の２頭を追って行く。先頭はクリーンオトコギで、半馬身差でハイフロンティアが２番手となったが、ハリマヤヨサコイが外から一気に詰め寄って、ゴール前でハイフロンティアをかわし、クリーンオトコギに首差まで迫ったが２着でのゴール。最後の勢いでもまさっており、あとひと息で優勝もあったかという内容。今までにない競馬っぷりで、大きな変わり身を見せてくれた。鞍上の大庭騎手は、「普段は気のない馬ですが、それがレースに行くといいようで、道中は力が抜けて、いいポジションで脚をタメられました。直線もよく伸びてくれましたね。」とコメント。これをきっかけに、初勝利に向けて大きく前進したい。

●前走は１１番人気と評価が低い中で、首差２着と大健闘したハリマヤヨサコイ。展開に恵まれた訳でもなく、地力の競馬で際どく迫ったあたりは、この馬のパワーアップの証明。もちろんここもチャンスは十分。１番人気は、近８戦で７回入着の堅実な走りを見せているヴェルフェンで単勝2.3倍。入着でも２着，３着が多い中、前走は１番人気で４着に終わっているだけに、今回は巻き返しを期す。２番人気は、近３戦を３着，５着，４着としているアルマライズで単勝6.4倍。ハリマヤヨサコイは、単勝8.3倍の５番人気。前走の頑張りにまだ懐疑的な見方があるようだが、実力は拮抗している。もちろんここは勝機だ。

　レースでは、ハリマヤヨサコイはスタートは五分に出て、少し押して前の方に出てくる。内ホクテンオーカンが先頭で、3/4馬身差でハリマヤヨサコイが２番手と、前走よりも積極的なレース。これに１馬身差で３頭が並んで追走。ヴェルフェンは、先頭から６馬身差の中団大外の位置。３角でも、ハリマヤヨサコイは先頭に半馬身差で、ぴったり２番手をキープ。３〜４角の中間では、今度はハリマヤヨサコイが僅かに先頭も、内ホクテンオーカンも譲らずまた先頭を奪い返す。中団にいたエクセレンテ，ヴェルフェンが、ここからスーッと押し上げる。４角では、ハリマヤヨサコイが先頭に立つが、外からエクセレンテが並んでくる。先頭から１馬身差の外４番手にヴェルフェンが取り付いて直線へ。

　直線に向くと、内ハリマヤヨサコイが先頭で3/4馬身リード。エクセレンテが２番手で、更に3/4馬身差で外ヴェルフェンが３番手。残り300ｍでは、ハリマヤヨサコイは１馬身と逆にじわっと差を開く感じで、押し切り勝利の期待が高まるが、直線が長い。残り１ハロンで２番手エクセレンテをヴェルフェンがかわしにかかり、その２馬身半後ろの４番手にロデム。ラスト150ｍからヴェルフェンがグイッと伸びると、ラスト100ｍを切ってハリマヤヨサコイをかわして先頭。ハリマヤヨサコイが２番手で粘るところ、外からロデムがじわじわ迫ったが、ハリマヤヨサコイは首差しのいで２着確保のゴール。勝ったヴェルフェンはさすがに強かったが、ハリマヤヨサコイも積極的な競馬で結果を出せたのは大きな収穫。鞍上の大庭騎手は、「状態は前走時よりも良かったですよ。スタートを決めて前前で運ぶ競馬をして頑張ってくれましたね。しっかり走れる体になってきたし、こういうレースなら次走も楽しみです。」とコメント。２戦連続の２着で、その実力はもう疑う余地はない。初勝利に向けて、前進あるのみだ。

●２戦連続の２着で、いよいよ本格化なった感のあるハリマヤヨサコイ。しかしながら、続く未勝利戦では６着と掲示板に上がれず。それだけに、今回は是非とも巻き返したい。１番人気は、近２戦を連続３着としているキクノセントロで単勝3.0倍。２番人気は、近４走を３着，１０着，２着，６着としているマイネルパイレーツで単勝3.4倍。ハリマヤヨサコイは、単勝8.2倍の３番人気。実力的にも決してヒケを取るとは思えないだけに、何とか初勝利を決めたいところだ。

　レースでは、ハリマヤヨサコイは五分のスタートを切って、手綱を押しながら先行グループの一角。この中から、ハリマヤヨサコイ，マルトクスパートの２頭が出て来るが、かなり速いペースで結局マルトクスパートが単独先頭。大外一気に押し上げたタマモクロスの孫ラグーンが１馬身差の２番手。これに3/4馬身差で内々ハリマヤヨサコイは無理せず３番手に。外からはマイネルパイレーツが半馬身差まで接近して１角へ。１〜２角で、ここでペースは落ち着いて、マルトクスパートが１馬身半リードの逃げ。２番手ラグーン以下の態勢は変わらず。向正面にかかると、マイネルパイレーツが単独３番手となり、3/4馬身差でハリマヤヨサコイ，ヴィンチトーレの４番手争い。３角で、ラグーンは前走疲れの見える走りだっただけに、懸念された通り苦しくなって早くも後退し、３角過ぎでマイネルパイレーツが２番手に。３〜４角の中間では、ハリマヤヨサコイも少し行きっぷりが悪く、先頭から３馬身半差の内々５番手に。４角でも、先頭マルトクスパートが１馬身リードをキープし、マイネルパイレーツが２番手。半馬身外にヴィンチトーレが接近する。行きっぷりが一瞬怪しかったハリマヤヨサコイも、先頭から２馬身近いところまで盛り返してきて直線へ。

　直線に向くと、先頭マルトクスパートが渋太く粘り、これを１馬身差で追うマイネルパイレーツ。残り１ハロンで、１馬身1/4差でヴィンチトーレ，更に１馬身差でハリマヤヨサコイは４番手。ハリマヤヨサコイは、ラスト100ｍでヴィンチトーレをかわして３番手に上がったが、もうひとつ切れる脚は使えず、前２頭との差を少し縮めるのが精一杯で、接戦の１，２着争いから１馬身3/4差の３着でのゴール。優勝争いは、ゴール前でグイッと首差競り勝ったマイネルパイレーツに軍配が上がった。前走より着順的には巻き返して来たハリマヤヨサコイだったが、勝ち負けまでは加われず。それでも、今後に希望を繋ぐ走りは見せてくれた。鞍上の横山和騎手は、「結果的に１０番の馬の後ろにそのままいれば良かったですね。でも、テンに出しても折り合いがついたし、いつもより１列後ろのポジションでもしっかり我慢ができていました。最後も伸びているし、今までで一番内容の濃いレースができたと思います。今日の感じならハナにはこだわらなくても大丈夫そうです。こういうレースができたのは大きいですね。」とコメント。チャンスは残り少ないが、何とか初勝利を手にしたい。

●前走は差す形で３着だったハリマヤヨサコイ。鞍上の横山和騎手が「今までで一番内容の濃いレース」とレース後語ったように、陣営も手応えを感じている印象。もう未勝利戦出走のチャンスもほんの僅かになってきた。この函館開催で、何としても初勝利を決めたい。１番人気は、近４走を４着，２着，２着，３着と上位争いを続けているレッドエンブレムで単勝2.9倍。前走は１番人気に応えられなかっただけに、今度こその意気込みで臨んで来る。２番人気は、２戦連続２着のタマモクロスの孫エルフショットで単勝6.2倍。この馬も５戦連続４着以内と堅実な走りを続けているだけが、この函館開催で念願の初勝利を目指す。ハリマヤヨサコイは、単勝7.8倍の５番人気。２番人気以下はほとんど人気に差がない激戦の様相。それだけに、ハリマヤヨサコイの勝負根性に勝利の期待をかけたい。

　レースでは、ハリマヤヨサコイはスタートは五分に出て、手綱を押しながらすっと先頭に出て来る。ハリマヤヨサコイ，ヴィンチトーレの先頭争いで、3/4馬身外クインポルカが３番手，3/4馬身内にナムラキンボシの態勢。エルフショットは、更に１馬身3/4差後ろの中団真ん中。人気のレッドエンブレムは、その３馬身後ろの後方から。１〜２角で、内のハリマヤヨサコイが半馬身リードで先頭。２番手ヴィンチトーレは、かなり引っ掛かっているが、懸命に手綱を抑えている。２馬身差でナムラキンボシが３番手で向正面へ。エルフショットは更に４馬身後ろの中団だが、それほど行きっぷりがいい訳ではない。向正面の中間では、ヴィンチトーレが抑え切れずに先頭に立って２馬身のリード。３角では、ハリマヤヨサコイ，ナムラキンボシの２頭が再び3/4馬身差に詰めて行く。３〜４角の中間で、今度は外からハリマヤヨサコイが早目に動いて行って、手応え十分で楽に先頭に出る。エルフショットは外から４番手まで押し上げてくる。４角では、ここから追い出しにかかったハリマヤヨサコイが、すっとリードを２馬身半と開いて、勝利への期待が俄然高まる。ベストブライアンが２番手で、これに半馬身差で内ヴィンチトーレ，外エルフショットの３番手争いで直線へ。

　直線に向くと、先頭ハリマヤヨサコイの伸び脚は衰えず、残り１ハロンでも２馬身半リードは変わらない。２番手ベストブライアンに、外半馬身差から懸命に追うエルフショット。４番手以下は離されて、ラスト100ｍで３馬身差でレッドエンブレム，クインポルカの２頭。ハリマヤヨサコイの押し切り勝ちはもう既に確定。最後は少し差を詰められたが、余裕を持って１馬身半振り切って、念願の初勝利のゴール。未勝利戦も大詰めという時に、嬉しい初勝利を手にしたハリマヤヨサコイ。積極策が功を奏し、陣営の喜びもひとしお。的場調教師は、「この馬場に助けられたこともあるが、これまでで具合はいちばん良かったからね。スタートも決まって前で運べたことも大きかった。」とコメント。これからは500万クラスでの戦いとなるが、今日のような渋太い走りができれば、いい競馬ができるかもしれない。一方、同じタマモクロスの孫エルフショットは３着で、函館開催ではついに勝利を得られなかった。

●新馬デビュー勝ちの後、２歳オープン特別のすずらん賞では５着だったハンサムザムライ。決して満足できる着順ではなかったが、掲示板を確保した点は評価できた。しかしながら、その後は８か月の長い休養となり、クラシックで競馬が盛り上がる時期は、放牧して鳴りを潜めて過ごした。前走３歳500万下戦で戦列に戻ったが、休み明けで結果は９着と振るわず。それからまた２カ月半レース間隔が開いたが、長い休み明けをひと叩きされ、今度は違った走りを見せてくれるはず。１番人気は、500万特別を４着，９着としているオオタニジムチョウで単勝2.8倍。前走３番人気を裏切っただけに、巻き返しを期している。500万平場勝ちの実績のある馬。２番人気は、500万特別を２着，７着としているタイヨウパヒュームで単勝5.9倍。この馬も、前走２番人気を裏切って、巻き返しを期している。この馬も500万特別の原現級勝ちのある馬。ハンサムザムライは、単勝22.2倍の１０番人気と、人気順は低い。それでも、元々の能力ではヒケを取るはずもなく、体調さえ回復していれば、互角の勝負も十分可能だ。

　レースでは、ハンサムザムライはスタートが少し甘く、中団後ろの位置から。手綱をしごいてダークアイリスが先頭。3/4馬身差で外ブルーピアス，更に半馬身差で大外にシュウギン。１馬身差でブリージーデイズ，半馬身内の５番手争いにハンサムザムライが押し上げてくる。ここからハンサムザムライは、外側のサンライズサルーテと一緒に、３番手のシュウギンに内から接近して行く。人気のオオタニジムチョウは、先頭から６馬身差の中団後ろの位置。３角でも、先行３頭はそれぞれ１馬身間隔で、順位に変動はないが、３角過ぎで内からハンサムザムライが３番手争いに。３〜４角の中間では、先頭ダークアイリスに、外からブルーピアスが半馬身差に接近。3/4馬身外にシュウギンで、その内半馬身差でハンサムザムライは４番手。４角では、今度はブルーピアスが先頭に立って3/4馬身のリード。２番手争いは横に広がってきての混戦模様。ハンサムザムライも先頭から１馬身半差で、２番手争いの内から２頭目のところを突いてくる。オオタニジムチョウも、ハンサムザムライに3/4馬身差のところまで差を詰めて直線へ。

　直線に向くと、ブルーピアスが先頭で１馬身のリード。２番手争いは５頭が一線だが、内から２頭目の狭いところをハンサムザムライが伸びて来る。しかしながら、伸び脚でまさったのは外のオオタニジムチョウ。ラスト100ｍでは、先頭ブルーピアスに、3/4馬身外からオオタニジムチョウがかわしにかかる。最内首差でハンサムザムライも優勝争いに加わって、この３頭が抜け出た。ラスト50ｍでオオタニジムチョウがかわして先頭。ハンサムザムライはオオタニジムチョウには伸び負けてしまったが、それでもブルーピアスに内から際どく首差まで迫って３着でのゴール。今回も少しレース間隔が開いて、必ずしも万全とは言えない状態でのこの好走は、500万クラスでの勝利に確かな手応えを感じるものとなった。鞍上の荻野騎手は、「久々で本来のデキになかったので、返し馬で気合を入れたんです。内々を走り、最後も狭いところからよく伸びてくれました。地力は見せてくれましたね。」とコメント。元々素質馬として期待されていた馬だが、レースを叩かれつつ、確実に本領を発揮して来た感じだ。

●福島記念で４着と改めて力のあるところを見せたヒットザターゲット。やはりローカルＧ３なら、これぐらい走れて当然。その後は、年明けの中山金杯に臨んだが、得意のイン突きができないまま１０着に沈んでいた。今回は５７kgの斤量で、トップハンデのうちの一頭と、条件的には楽ではないが、このメンバーなら勝ち負けできて不思議はない。ただし、いかに能力を出し切るかが難しい馬だけに、その点が大きなポイントとなってくる。１番人気は、500万から準オープンまで３連勝中のパッションダンスで単勝3.5倍。まだキャリアが浅く、上昇度の大きい馬。２番人気は、福島記念ではヒットザターゲットに鼻差先着して３着だったダコールで単勝5.5倍。続く前走のＧ２日経新春杯では２番人気で１０着に終わっているが、Ｇ３なら当然勝ち負け。ヒットザターゲットは、単勝10.6倍の６番人気。とにかく実力を出し切れる形になるかどうかがカギだが、イン突きの形に持ち込みやすい枠順でもあり、チャンスは十分にあるはずだ。

   ５着

　レースでは、ヒットザターゲットはスタートは五分に出ると、好位グループの内々。大外からミッキードリームが先手を奪うと、外から各馬が次々と内目に入ってきて、ヒットザターゲットは順位を下げて、先頭から７馬身差の中団後ろの内々の位置取りになって１角へ。１〜２角で、先頭ミッキードリームのリードは１馬身半。ゲシュタルトが２番手で、内半馬身差でマイネルスターリーが３番手で向正面へ。１馬身差でダローネガ，内半馬身差でパッションダンスの順。ヒットザターゲットは、更に５〜６馬身後ろの中団後ろのグループの内ラチ沿いだが、ラチ沿いを走れる形は理想的。ダコールは更に２馬身半後ろの後方から。平均的に速い流れとなっているが、ここでシャイニーホークが大外一気のマクリをかける。３角では、ヒットザターゲットも少し仕掛けて行くが、逆に位置取りは後方まで下がっていて、外からはダコールが並んでくる。３〜４角の中間では、ミッキードリーム，ゲシュタルト，シャイニーホークの３頭の先頭争い。１馬身半差でマイネルスターリー，ダローネガの２頭。ヒットザターゲットは、更に５馬身後ろの後方内々。４角ではまったくの一団で、ヒットザターゲットは前が壁になっていて強制的に脚をタメる形になっているが、余力十分の手応え。先頭まで３馬身差の中団内ラチ沿いで、同じ位置の大外がダコール。ヒットザターゲットにとっては、直線前が開くかどうかだけが問題で直線へ。

　直線に向くと、ヒットザターゲットは心配したとおり前が開かず、このまま脚を使うことなく終わってしまうのか。手綱を抑えたままの厳しい状況が続いたが、残り１ハロン近くで、ミッキードリームとマイネルスターリーの間に間隙ができると、すかさずそこを突いて行く。ゲシュタルトが僅かに先頭も、大混戦の争い。大外を伸びるダコールが先頭に抜け出しかかったところ、ラスト120ｍで一瞬で内をすくって抜けてきたのがヒットザターゲット。ここからは完全に内外離れての２頭の争いで、ビュッと抜け出たヒットザターゲットに、ダコールがもう一度じわじわ食い下がったが、ヒットザターゲットは頭差押し切って優勝のゴール。新潟大賞典以来、２度目の重賞制覇を成し遂げた。内をすくうか詰まってしまうか、まさに紙一重の騎乗だったが、大野騎手の巧騎乗が光った一戦だった。いろいろなことがうまく行った面はあったが、ダコールよりも斤量は２kg重かったことを考えれば、実力が上だったと言ってもいいだろう。鞍上の大野騎手は、「もう少しいい位置から運びたかったが、行けなかった。ただ、内をロスなくスムーズに回ってこれたのが大きいね。ラストもしっかり伸びてくれた。」とコメント。今後は、Ｇ３より更に上のレベルの馬たちを相手に、どう実力を発揮していくかが課題となりそうだ。

●前走Ｇ３小倉大賞典を優勝し、２つめの重賞タイトルを手にしたヒットザターゲット。今回は最強のオルフェーヴルを始めとした、Ｇ１レース並みの強豪揃いの産経大阪杯に挑戦する。能力的には下と見られても致し方ないが、今のヒットザターゲットなら、まったく競馬にならないことはないはず。１番人気は、Ｇ１を５勝の三冠馬オルフェーヴルで単勝1.2倍の圧倒的人気。昨秋は凱旋門賞で２着に惜敗し、日本馬の長年の悲願達成をあと一歩というところで逃した。帰国して臨んだジャパンＣでは、直線でジェンティルドンナにぶつけられて鼻差２着と苦杯を喫したが、臨戦過程等を考えれば、オルフェーヴルが日本最強と言うのは疑いようがない。２番人気は、宝塚記念でオルフェーヴルの３着となった後、７カ月ぶりの京都記念３着を叩かれたショウナンマイティで単勝9.6倍。一度叩かれて、今度は実力を発揮してくるはず。ヒットザターゲットは、単勝111.3倍の７番人気。勝ち負けまでは厳しいかもしれないが、どこまで迫れるか、あるいは食い下がれるか、楽しみにしたい。

　レースでは、ヒットザターゲットはスタートは五分に出て、じっくり中団から。積極的に行こうという馬はなく、スローペースに。内コパノジングー，トウカイパラダイスの先頭争い。ヒットザターゲットは、先頭から６〜７馬身差の中団後ろで今日もインをキープし、最強のオルフェーヴルと並ぶ形で１角へ。１〜２角で、コパノジングーが単独先頭で１馬身半のリード。ヒットザターゲットは、オルフェーヴルの１馬身半後ろ。向正面に入ると、先頭コパノジングーは、４馬身，５馬身とリードを開いて、単騎逃げの形に持ち込む。トウカイパラダイスが２番手で、半馬身内にダークシャドウ，１馬身半差でヴィルシーナの順。ヒットザターゲットは、２番手の馬から５馬身差の中団後ろの内々で、このあたりはオルフェーヴルよりも少し前に行っている。終始スローの流れのまま、３角では先頭コパノジングーのリードは１馬身半に縮まってくる。オルフェーヴルはここから動いて、ヒットザターゲットなどをかわして押し上げて行くが、ヒットザターゲットは抑えたまま。３〜４角の中間では、後方にいたショウナンマイティがヒットザターゲットをかわして押し上げるが、ヒットザターゲットは依然抑えたまま、前が壁になっているが内ラチ沿いを離れられず、後方に順位を下げて行く。４角では、今度はトウカイパラダイスが先頭で半馬身のリード。内コパノジングーが２番手に後退し、半馬身外の３番手にエイシンフラッシュ。その3/4馬身大外までオルフェーヴルが早くも押し上げる。まったくの一団となって、ヒットザターゲットの前は馬群がゴッチャになっていて、先頭から５馬身差の後方内々で、手綱を微動だにせず十分余力を残した手応え。それでも、超スローペースで完全に上がりだけの勝負になるのは間違いないだけに、この強敵相手にこの位置では常識的にはとても無理だが、ここからどのくらいの脚を繰り出せるのか。

　直線に向くと、ヒットザターゲットは内の方で追い出しにかかる。残り300ｍで、オルフェーヴルがエイシンフラッシュをかわしにかかる。ヒットザターゲットは、前が壁になって手綱を抑えるシーンがあり、最内に進路を取ってまた追い出しにかかろうとしたが、残り１ハロンで今度は後退して来たコパノジングーの後ろで進路がなくなって、また手綱を抑えることに。ここでオルフェーヴルが抜け出して単独先頭。２馬身差の外４，５番手からショウナンマイティが差してくる。ヒットザターゲットは、ラスト120ｍから進路が開けて、１馬身前のヴィルシーナ，アスカクリチャンを追って行くが、掲示板圏内の可能性はもうなくなっている。それでもヒットザターゲットはここから伸び脚を発揮して詰め寄って、ヴィルシーナなどとの際どい６着争いのゴール。惜しくも頭，首差及ばず８着だったが、スムーズに進路が開けていれば、間違いなく６着はあった競馬だった。オルフェーヴルは、ショウナンマイティに半馬身差まで迫られたが、最後は余力を残している感じで、貫禄の勝利を飾った。前年の宝塚記念ではオルフェーヴルに大きな差をつけられたヒットザターゲットだったが、今回は超スローペースだったこともあるが５馬身ほどの差。直線の脚も目立っており、地力強化を確信。鞍上の大野騎手は、「直線でブレーキをかける場面がありましたね。スムーズならもっと差は詰まっていたはずです。気分よく走れれば、今日のようにいい脚を使えるということを証明してくれました。」とコメント。まだまだ進化を続けているだけに、これからもっと差を詰めて行って、いずれはＧ１での上位食い込みまで期待したい。

●最強クラスが集まったＧ２産経大阪杯に果敢に挑み、結果は８着だったヒットザターゲット。それでも、後方からの伸び脚に光るものがあった。それも、直線２度前が壁になって追えないシーンもあり、決して力を出し切ってのものではない。最強のオルフェーヴルとの着差も５馬身ほどと大きくなく、６着だったＧ２で２着４回のヴィルシーナとは首差のレース。そのヴィルシーナがこの春１番人気に応えてヴィクトリアマイルで悲願のＧ１初制覇。その比較から言っても、この馬のパワーアップを確信する。これまでＧ２では結果を出せずにいるが、今ならＧ２でも互角の勝負ができるはず。57.5kgという２番目に重いハンデは見込まれた感があるが、人気は低くとも勝負になるとの思いに揺るぎはない。１番人気は、ＡＪＣＣ３着，ダイヤモンドＳ優勝の後、前走Ｇ１天皇賞・春で４着と好走したアドマイヤラクティで単勝3.8倍。最強の一頭ゴールドシップを直線で抜き去った実力は相当なもの。２番人気は、Ｇ２アルゼンチン共和国杯優勝後、有馬記念８着，ＡＪＣＣ７着だったルルーシュで単勝6.3倍。台頭勢力として注目されたが、ＡＪＣＣでは明らかに疲れが感じられた。立て直しが図られた今回は４カ月の休み明けだが、本来の走りを取り戻してきているはず。ヒットザターゲットは、単勝105.2倍の１４番人気。ローカルＧ３で内ラチ沿いを突くパターンでなければ通用しないとの見方からか、あり得ないほど評価が低いが、もう以前のヒットザターゲットではない。ここで好勝負を演じれば、今後の期待も更に膨らんでくる。

　レースでは、全馬揃ったスタートで、ヒットザターゲットはすぐに控えて内の方に入って行く。コスモラピュタが先頭に立って、１馬身半差で６頭が横に広がって続く。アドマイヤラクティは中団，ヒットザターゲットは後方４頭目で、先頭まで６〜７馬身差の位置で１角へ。１〜２角で、２番手にはコスモオオゾラ，半馬身差で内ユニバーサルバンク，更に3/4馬身差でネコパンチは今日は控えて４番手の順。向正面に入って、その１馬身半後ろの６，７番手にルルーシュ。その４馬身後ろにアドマイヤラクティ，ムスカテールなど。ヒットザターゲットは更に３馬身後ろで、中団後ろの内々。先頭から１０〜１１馬身差の位置でジッとしている。３角でも、先頭コスモラピュタが１馬身半リードの逃げ。２番手にスマートロビン以下だが、やや縦長の展開となっている。３〜４角の中間でも、ヒットザターゲットは先頭から８〜９馬身の差がある。４角では、２番手スマートロビンの後ろは２馬身と少し差があって、３番手争いが横に広がって、この争いの大外がルルーシュ。アドマイヤラクティは更に２馬身後ろの外目。これに１馬身半差で真ん中を突こうというヒットザターゲット。先頭までは７〜８馬身差で、ここから追い込み態勢で直線へ。

　直線に向くと、ヒットザターゲットは前が一瞬壁になるようなシーン。それでも残り450ｍから進路を確保して追い出し。先頭コスモラピュタにルルーシュが迫る。これに１馬身半差で中からムスカテールも突っ込んでくる。更に２馬身差で大外カフナも脚を伸ばす。カフナと同じような位置にいたヒットザターゲットだが、進路が狭くなったりしてモタついている間に、カフナに一瞬で１馬身半先に行かれてしまう。それでもここからヒットザターゲットもじわじわ伸びる。残り300ｍで、ヒットザターゲットは外のアドマイヤラクティなどを置き去りにして前に詰め寄る。ルルーシュが一旦先頭に抜け出したが、残り１ハロンで今度はムスカテールがかわして先頭。２番手ルルーシュに3/4馬身差まで詰め寄るカフナ。ヒットザターゲットはカフナに２馬身遅れを取ってしまったが、ラスト150ｍから巻き返してきて、内側のタッチミーノットと併せ馬の形で、３番手カフナを追い詰めて行く。最後まで力強い伸び脚を繰り出したヒットザターゲットは、カフナに首差まで迫ったが４着でのゴール。タッチミーノットとの壮絶な叩き合いに鼻差競り勝って、勝負根性も見せつけた。ハンデも考慮すると、同斤量の勝負であれば、あるいは勝ち負けにもなっていたかも。鞍上の大野騎手は、「ラチに頼らなくても伸びて来たし、着実に力をつけていますね。斤量も背負っていたけど、レース内容は良かったと思います。この距離で好走できたのも収穫ですね。」とコメント。Ｇ２で初めて結果を出しただけでなく、ラチに頼らなくても力を出せること、この距離でも十分適性があることを示し、地力強化とともに、活躍の幅も大きく広がったと言ってい。これから一線級相手にも、ある程度の勝負を挑んでいけるはずだ。

●前走のＧ２目黒記念では４着だったヒットザターゲット。ハンデを考えれば、仮に同斤量であれば勝ち負けに近い競馬に持ち込んでいた可能性もあり、それに加えて自在性を感じさせるレースぶりも、収穫が大きいものがあった。今回は昨年に続いてのＧ１宝塚記念挑戦。オルフェーヴルを始めとした４強の争いとして大注目の一戦だったが、一週前の調教後にオルフェーヴルが肺出血のため回避が決定。それでも残る３強も並外れた力の持ち主だが、ヒットザターゲットもこの日本最強の３強相手にどこまで戦えるのか、胸を借りるつもりで勝負に挑むが、昨年とは違う見せ場のある競馬を見せてほしい。１番人気は、三冠牝馬で前年のジャパンＣではオルフェーヴルを鼻差下して優勝したジェンティルドンナで単勝2.4倍。この春はＧ１ドバイシーマＣに遠征して２着に終わったが、日本が舞台の競馬であれば、もちろん優勝候補。２番人気は、前年皐月賞，菊花賞，有馬記念を制したゴールドシップで単勝2.9倍。断然人気の天皇賞・春で５着とまさかの敗退を喫してしまったが、前年のオルフェーヴル同様の天皇賞からの巻き返しを期す。力の要る馬場になった点も、この馬にはプラス材料。３番人気は、その天皇賞・春で悲願のＧ１初制覇を果たしたフェノーメノで単勝3.2倍。日本ダービーで鼻差２着，天皇賞・秋などの実績馬が、４歳になって更に充実度を増している。ヒットザターゲットは、単勝90.8倍の９番人気。ローカルＧ３を２勝という実績はあるものの、３強よりも実績では大きく見劣るが、その差は確実に詰まってきているはず。出走頭数も少ないだけに、Ｇ１での掲示板圏内食い込みに何とか期待をかけたい。

　レースでは、ヒットザターゲットはそれほどいいスタートではなかったが、出遅れという訳ではなく、じっくり後ろの位置から。予想どおり逃げ馬のシルポートが先頭。２馬身差でダノンバラード，ジェンティルドンナの２頭。いつもは最後方に近い位置から競馬をするゴールドシップが、手綱をしごきながら４番手争いに押し上げて、場内から驚きの声が上がる。４番手争いの３頭の２馬身後ろにフェノーメノ。その１馬身半後ろの内ラチ沿いにヒットザターゲットの態勢で１角へ。１〜２角で、先頭シルポートは１２〜１３馬身とリードを開いての大逃げだが、これは想定された形。ダノンバラードが２番手で、４馬身差でジェンティルドンナ。向正面で、１馬身差でゴールドシップは積極的に単独４番手。ヒットザターゲットは、ゴールドシップの３馬身半後ろの中団やや後ろの位置で、リズムは悪くない感じ。このあたり、先頭シルポートは、２０馬身ほどのリードの一人旅になっている。３角でも、ダノンバラードが終始２番手，３馬身半差でジェンティルドンナが３番手だが、その外首差にゴールドシップが接近。ヒットザターゲットは中団で終始内ラチ沿い。３〜４角の中間では、ゴールドシップ，フェノーメノが手綱を押して仕掛けて行く。更にはジェンティルドンナも手が動き始める。３強が早々と仕掛けて行く展開で、ペースも上がってくると、それまで手応えは悪くないように思えたヒットザターゲットが遅れを取る。４角では、先頭シルポートのリードは５馬身まで一気に縮まる。２番手ダノンバラードに、１馬身半差までジェンティルドンナ，ゴールドシップが接近。これに3/4馬身差でフェノーメノ。ヒットザターゲットは更に３馬身半後ろで後方３頭目に後退。後ろには１馬身差で大外スマートギア，更に１馬身差でタニノエポレットが最後方で直線へ。

　直線に向くと、ヒットザターゲットには既に余力がなく、最後方に近い位置で失速。逃げたシルポートは完全に脚が上がり、残り250ｍでダノンバラードが今度は先頭。これに３強が襲いかかるが、一頭伸び脚の力強さが違ったのがゴールドシップで、残り１ハロンで楽々と先頭に抜け出す。ジェンティルドンナ，フェノーメノは、ゴールドシップに置き去りにされる。ラスト100ｍで１馬身半リードしたゴールドシップは、最後は更に突き放して３馬身半差をつける圧勝。ジェンティルドンナ，フェノーメノは、２着のダノンバラードを捉えることもできずに敗れた。ヒットザターゲットは、ラスト100ｍでタニノエポレットにもかわされて、最後に失速したブービーのシルポートにも１馬身半差の最下位１１着でのゴール。力の違いを感じざるを得ない、残念な結果に終わった。ほどんどの陣営が「馬場が悪かった」と語っているように、良馬場発表でも荒れた馬場も、この馬には堪えていたよう。終始内々を回る競馬であったのでなおさら厳しくなった。鞍上の福永騎手は、「デキは良さそうでしたが、ペースアップした時には手応えが怪しくなってしまいました。それに緩い馬場が応えていた気はします。」とコメント。今回は残念だったが、もちろんこれからも重賞制覇のチャンスは十分にあるのは間違いない。

●最強クラスに挑戦した春の宝塚記念では、屈辱の最下位１１着に終わったヒットザターゲット。例年にないような重たい時計のかかる馬場で、この馬の持ち味を殺された形になってしまった。しかしながら、ひと夏を越して馬の方は更に成長を遂げる。これまでは調教の動きが目立つ方ではなかったが、この秋は調教でも力強い動きを見せてきており、５歳秋にしてこの馬の完成期を迎えた感。加えて今回秋緒戦の京都大賞典は、京都コースの開幕週で、時計の速い軽い馬場状態。この馬向きの条件で競馬ができる。とはいえ、最強クラスのゴールドシップを始めとする超一線級との対戦だけに、ほとんど注目されない存在となっていた。そして１番人気はそのゴールドシップで単勝1.2倍の断然人気。皐月賞，菊花賞，有馬記念，宝塚記念とＧ１を４勝している最強馬の一頭。天皇賞・春ではまさかの５着敗退を喫したが、宝塚記念ではきっちり巻き返して３馬身半差の圧勝。桁違いの強さを見せつけている。Ｇ２神戸新聞杯以降は、６戦５勝の成績。２番人気は、近３戦Ｇ２京都記念優勝，天皇賞・春２着，宝塚記念５着という成績のトーセンラーで単勝6.3倍。Ｇ１タイトルに手は届いていないが、Ｇ１級の力の持ち主。ヒットザターゲットは、単勝166.2倍の１１番人気と評価は低い。「宝塚記念Ｖ馬」と「宝塚記念最下位馬」では、この低評価も致し方ないのかもしれない。しかしながら、特殊な馬場コンディションだった宝塚記念とは条件も大きく異なり、オッズほど負けるはずはない。今回ある程度の結果を残さなくては、Ｇ１での好勝負への希望は完全に潰えてしまう。それだけに、何とかこの強敵相手でも、希望を繋ぐ走りを見せてほしい。

　レースでは、ヒットザターゲットはスタートはほぼ五分に出て、馬なりで中団あたりから。人気のゴールドシップは、宝塚記念同様二の脚の加速がひと息で最後方に近い位置となるが、鞍上の内田博騎手がぐいぐい手綱をしごき、ムチを何発も入れて前の方に押し上げて行く。これは宝塚記念と同じパターン。ヴィルシーナが先頭に立って、3/4馬身外にニューダイナスティ。これに１馬身差で大外ゴールドシップは３番手争い。ヒットザターゲットは、その２馬身後ろの中団内々。２番人気のトーセンラーは、更に３馬身半後ろの後方３頭目で１角へ。１〜２角では、今度はアドマイヤラクティが単独３番手で、ゴールドシップはその１馬身後ろの５番手で向正面へ。ヒットザターゲットはその3/4馬身内で、ぴったり折り合って脚を温存している。流れは落ち着くが、残り1000ｍの地点でトゥザグローリーがヒットザターゲットをかわして外から押し上げる。そして残り900ｍの地点からは、今度はゴールドシップが仕掛けて進出開始。これは宝塚記念と同じパターンで、ゴールドシップお得意のロングスパートか。３角では、ゴールドシップは先頭から３馬身半差の４番手に。ヒットザターゲットは、その３馬身後ろの内々で、ゴールドシップが動いても慌てずに、内々でじっと我慢している。３〜４角の中間では、今度はニューダイナスティが先頭，１馬身半差でトレイルブレイザーが２番手。１馬身1/4差でアドマイヤラクティ，これに3/4馬身差でゴールドシップが４番手。後方のトーセンラーも、ゴールドシップを目標に早目に動いて行くが、ここでもヒットザターゲットはじっとしていて、ゴールドシップには５馬身先に行かれている。４角では、ゴールドシップは先頭に１馬身半差の３番手，首差で内アドマイヤラクティも差はなく、更に半馬身差で大外５番手にトーセンラーが取り付く。ヒットザターゲットは更に２馬身半後ろの中団馬群の真ん中。早目に仕掛けて行く馬が多い中で、ヒットザターゲットは直線入口でもまだ持ったまま。十分に余力を残しており、相当な好勝負の予感。その１馬身半後ろの後方で、伏兵アンコイルドが虎視眈々逆転の機を窺って直線へ。

　直線に向くと、ゴールドシップ，トーセンラーの人気２頭が外からじわじわ伸びて、この２頭が先頭争いに抜け出しを図る。ヒットザターゲットはこの上位人気２頭の直後で、前が壁になってまだ抑えている。抑えているということは、最強のゴールドシップを差せる可能性のある力をまだ温存しているということ。ここから少し強引に外に持ち出したヒットザターゲットは、残り250ｍで完全に進路が開けて、ここからタメ込んでいた末脚を一気に爆発させる。ゴールドシップ，トーセンラーの末脚が弾けず、優勝争いが横に広がった大混戦の様相となる中、真ん中を突いて今度はトゥザグローリーが僅かに先頭か。トーセンラー，アドマイヤラクティもほとんど差はないが、ゴールドシップはトーセンラーに頭ひとつ遅れを取っている。しかしながら、この激戦の先頭争いの馬たちを大外からまとめて抜き去ったのがヒットザターゲット。ラスト150ｍで前の馬たちを楽々抜き去ると、今度は中を突いて伸びて来たアンコイルドとの２頭の争いに。しかしながら、僅かに優勢の態勢で先頭に立ったヒットザターゲットが、そのままアンコイルドを首差抑えて優勝のゴール。３着以下は大接戦となり、ゴールドシップもその一角に踏ん張っていたが結果は５着。人気薄のヒットザターゲットの大金星に、京都競馬場のスタンドのファンは、どよめきを隠せなかった。勝ち時計は2400ｍ2.22.9という優秀なもの。宝塚記念では屈辱の最下位に終わったヒットザターゲットだったが、今回は速い時計の馬場で、この馬の真価を発揮。ひと夏を越してパワーアップし、ついに完成の時を迎えたか。この勝利で、天皇賞・秋の優勝圏内の一頭に急浮上。鞍上の北村友騎手は、「ゲートが良くて、道中は内々をロスなく運べました。それがラストの伸びにつながったと思います。直線では余裕があって、どこへ行こうかと思ったくらい。外へ出したら手応え通りによく伸びてくれました。勝てて良かったです。」とコメント。ゴールドシップなどが早仕掛けする中、ヒットザターゲットは展開面で恵まれたとの声がレース後少なくなかったのも事実。以前から勝ってもなかなか人気の上がらないタイプの馬だったが、巷の低い評価を覆し、天皇賞・秋ではこの馬の実力が本物であることを是非とも証明してほしい。タマモクロスの血を引く馬の悲願のＧ１制覇、ラティール産駒のＧ１制覇の夢、叶えてほしい。

●強烈な爆発力でＧ２京都大賞典を優勝したヒットザターゲット。前哨戦の優勝馬として、胸を張ってＧ１天皇賞・秋の大舞台に挑む。これまでの２度のＧ１挑戦は、時計のかかる重い馬場でのレースを強いられ、この馬の持ち味を殺されて大敗してしまっているが、今回はこれまでとは違うＧ１での走りができるはずと期待された。しかしながら、大型台風の日本接近の情報は、大きな懸念材料となる。台風の日本列島上陸は避けられたが、台風が前線を刺激して全国的に大雨となり、天皇賞の前日は不良馬場に。当日は天気も良く午後には幸い良馬場まで回復したが、上滑りのする馬場コンディションで、パンパンの良馬場を期待したヒットザターゲット陣営にとっては、残念な馬場状態でのレースとなる。それでも、タマモクロスの血を引く馬の悲願のＧ１制覇の夢をのせて、大一番に勝負を挑む。

　１番人気は、前年のジャパンＣをオルフェーヴルを撃破して優勝した三冠牝馬のジェンティルドンナで単勝2.0倍。その後は海外遠征のＧ１ドバイシーマクラシックで２着，宝塚記念Ｇ１ではゴールドシップの３着と連敗を喫しているが、実績のある東京コースなら”最強”の実力を存分に発揮してくるはず。２番人気は、Ｇ３鳴尾記念，Ｇ３函館記念，Ｇ２札幌記念と重賞３連勝中のトウケイヘイローで単勝4.4倍。後続に脚を使わせてしまうほどの強力な先行力を武器としているが、このＧ１の舞台でも強力な逃げ脚で他を圧倒するのか。３番人気は、天皇賞・秋２連覇を狙うダービー馬エイシンフラッシュで単勝4.7倍。前哨戦の毎日王冠を優勝して勢いづき、歴戦の強者の底力を見せつけるのか。ヒットザターゲットは、前走の勝利にもかかわらず評価は低く、単勝72.8倍の１１番人気。何度勝っても人気の上がらない馬だが、今が完成期とも思えるだけに、今回こそＧ１でも好勝負できる実力を示し、あわよくば栄冠を手にしたいところだ。

　レースでは、ヒットザターゲットはスタートは無難に決めるが、じっくり後方からの競馬。人気のジェンティルドンナは抜群のスタート。予想どおりトウケイヘイローが先手を取って、２角から向正面へ。速いペースでレースを引っ張る。２馬身差でジェンティルドンナが早々と２番手。首差で内にダイワファルコン，半馬身差でレッドスパーダが４番手。その１馬身後ろの３頭並んだ最内にコディーノの態勢。その２馬身後ろにエイシンフラッシュ。その後ろはまた３馬身と開いて、２馬身圏内にジャスタウェイなど３頭いるが、その更に４馬身後ろにヒットザターゲットで、後方の位置取り。縦長のバラけた展開になっている。ヒットザターゲットは、向正面の中間を過ぎてじわっと押し上げる構えを見せるが、かなり差が開いているだけに、態勢はあまり変わらない。1000ｍの通過が58.4秒のハイペースで、ヒットザターゲットは先頭まで１２馬身差。３角でもトウケイヘイローは１馬身半リードで、ペースを落とすことなく逃げまくる。２番手ジェンティルドンナ以下も離されずに固まって続いている。３〜４角の中間で、手応え十分のジャスタウェイは、先頭まで６馬身差の位置。ヒットザターゲットは後方でじっとしている。４角では、先頭トウケイヘイローに、ジェンティルドンナが１馬身差にじわっと接近。その２馬身後ろの内々５番手争いにコディーノ。更に２馬身後ろの中団内目にエイシンフラッシュだが、同じ位置の外目のジャスタウェイは持ったまま。ヒットザターゲットは、ジャスタウェイの２馬身半後ろの後方３，４頭目の位置で、中を突く構えだが、果たしてここから伸び脚を発揮できるのか。

　直線に向くと、ヒットザターゲットは一杯に追い出されるが、弾けるような感じがない。トウケイヘイローが先頭で残り400ｍ。１馬身差でジェンティルドンナが２番手だが、中団にいたジャスタウェイが外から一気の伸び脚。残り300ｍでジェンティルドンナがトウケイヘイローをかわして先頭に替わろうかという次の瞬間、外からジャスタウェイがあっさり抜き去って先頭。ヒットザターゲットはまだ後方４頭目で、先頭までは６馬身差。残り１ハロンで、ジャスタウェイは１馬身半リードから、更に突き放しにかかる。ジェンティルドンナは抵抗できず２番手、２馬身差でコディーノが３番手。これに１馬身1/4差でアンコイルド，エイシンフラッシュの２頭の４番手争い。ヒットザターゲットは更に３馬身半後ろでまだ１０番手あたり。伸び切れない感じだったヒットザターゲットだったが、ここからようやく伸び脚を発揮。中からじわじわ伸びて順位を上げて行き、ラスト70ｍでトウケイヘイローをかわして７番手。最後ナカヤマナイトに内側から馬体を併せに行ったが、首差捉え切れず７着でのゴール。ジャスタウェイは、スタンドのファン，そして全国のファンが驚嘆するほどの桁違いの爆発力を繰り出し、４馬身差の圧勝で通算３勝目で初のＧ１タイトルを手にした。最後この馬なりの伸び脚は見せていたヒットザターゲットだったが、さすがに京都大賞典のような切れ味は発揮できず。ハイペースの流れだったこともあるが、良馬場とは言えこの馬向きの馬場にならなかったことが一番堪えた印象。鞍上の北村友騎手は、「スタートして何カ所か脚を取られる所があり、ポジションを下げてしまいましたが、急がさずに馬のリズムを尊重して追走しました。追い出すと馬場に脚を取られながらも最後は詰め寄りましたからね。パンパンの良馬場ならもっと走れたと思います。」とコメント。それでも、まったく見せ場なく失速して行ったこれまでのＧ１挑戦とはまったく違う走りは見せてくれた。着差から見ても、馬場さえ向けばエイシンフラッシュあたりと差のない競馬ができるのではとの手応えも感じた。条件さえ整えば、Ｇ１制覇もまったくの夢物語ではない、そのレベルまで力を付けて来たことは間違いない。この後はＧ１ジャパンＣと香港遠征を視野に入れ、Ｇ１制覇の夢を追い続ける。

●天皇賞・秋では、後方から伸びてはいたが７着に終わったヒットザターゲット。それでも、過去２度のＧ１挑戦の大敗とはまったく違うレース内容。しかも、前日までの雨で良馬場とは言え渋い馬場コンディションで、道中何度もノメッていたように、厳しい条件での競馬となってしまった。今回は外国馬を迎え撃っての４度目のＧ１挑戦だが、望みどおりのパンパンの良馬場，更には鞍上に武豊騎手を迎え、いやが上にも期待を抱かせる。

　１番人気は、ジャパンＣ連覇を狙う最強牝馬のジェンティルドンナで単勝2.1倍。前走天皇賞・秋では、先行馬には厳しい超ハイペースの流れの中、前に行って２着は確保した内容は、改めてこの馬の桁外れの能力を証明するものとなった。２番人気は、皐月賞，菊花賞，有馬記念，宝塚記念とＧ１を４勝の実績を誇るゴールドシップで単勝3.4倍。圧倒的人気だった前哨戦の京都大賞典でまさかの５着に敗れて信頼性が揺らいでいるが、どこまで行ってもバテない末脚は、やはりここでは最右翼のもの。３番人気は、天皇賞・秋では３着だったエイシンフラッシュで単勝4.9倍。ダービー，天皇賞・秋と２つの大レースを制している強者。ヒットザターゲットは、単勝35.3倍の８番人気。武豊騎手人気も加わっているが、外ワクになったことはマイナス材料で、あくまで伏兵評価。それでも、２５年前にジャパンＣで２着と涙を呑んだ祖父の無念を晴らすため、目指すはもちろんＧ１制覇の頂点だ。

　レースでは、ヒットザターゲットはスタートは五分に出て、天皇賞よりは前目の中団大外からの競馬。戦前の予想通り先手を取りたい馬はなく、超スローペースになったため、エイシンフラッシュが押し出されるように先頭に立って、場内がどよめく。首差で外天皇賞馬のトーセンジョーダンも先行争い。ジェンティルドンナはすっと好位置を取る。ヒットザターゲットは中団の外，ゴールドシップは後方から。１〜２角で、エイシンフラッシュが抑え切れずに先頭に立って１馬身のリード。トーセンジョーダンが２番手で、これに3/4馬身差でヴィルシーナ，ルルーシュの３番手争い。間半馬身差でジェンティルドンナは５番手で流れに乗る。向正面で、２馬身差でアドマイヤラクティ，これに3/4馬身差でヒットザターゲットは外を回る形。ゴールドシップは、更に７馬身後ろの最後方から。ペースは上がらずスローのまま、残り1000ｍの地点でも、ヒットザターゲットは中団で動かず、先頭までは６〜７馬身の差。このあたり、先頭エイシンフラッシュは終始１馬身リードで逃げている。ジェンティルドンナは先頭までは２馬身半差の絶好の位置。３角手前で、ゴールドシップは先頭まで１０馬身差の最後方だが、ここから外をじわっと進出開始。しかしながら、一旦押し上げかかったところから、なかなか追い上げて行けない感じになっている。一方、中団大外を終始回っていたヒットザターゲットは、３角から大外をぐんぐん進出開始。馬が行く気になったため、武豊騎手が馬の気分を損ねないように、馬に任せて敢えて行かせる。３〜４角の中間では一気に３番手まで順位を上げて、大外から更に前に接近。これは「凶」という結果にもなりかねない武豊騎手の賭けの作戦。４角では、大外から持ったままで押し上げるその姿は、多くのファンにヒットザターゲットの好走を覚悟させるに十分なもの。応援しているファンには歓喜のうずきを、馬券を買っていないファンには大きな不安をもたらすシーンとなる。エイシンフラッシュ，先に手が動き始めたトーセンジョーダンの先頭２頭に、外から抜群の手応えで並びかけるヒットザターゲット。これに差なく内に入ってきたジェンティルドンナ。ゴールドシップは、先頭まで６馬身差の後方２頭目で大外に持ち出して直線へ。

　直線に向くと、ヒットザターゲットは追い出しを待つ余裕がまだあって、一瞬先頭に立ったかというシーンも。しかしながら、内から一杯に追ってきたジェンティルドンナが抜け出しを図る。残り400ｍでは、ジェンティルドンナ，エイシンフラッシュの先頭争いに、外半馬身差でトーセンジョーダンとここから追い出しにかかったヒットザターゲットの２頭。更に大外からじわじわルルーシュも差を詰めてくる。一方、ゴールドシップは最後方あたりでもがいている。前の争いから、人気のジェンティルドンナがグイッと出て先頭。２番手エイシンフラッシュに後続勢が並びかけて、２番手争いは数頭が横に広がっての争い。ヒットザターゲットもこの２番手争いで、大いに力の入る場面。残り１ハロンでは、ジェンティルドンナが１馬身近く抜けて先頭で、２番手争いはエイシンフラッシュ，トーセンジョーダン，ヒットザターゲット，ルルーシュの４頭。これに差なく内外から差し馬勢がどっと押し寄せて、２番手以下は大混戦の様相に。しかしながら、道中脚をタメられなかったエイシンフラッシュ，ヒットザターゲットは、ラスト150ｍで力尽きて２番手争いから後退して、ここで上位食い込みの夢は潰える。中から渋太く伸びたトーセンジョーダン，大外から一気に追い込んだ３歳牝馬のデニムアンドルビーが先頭に最後迫ったが、ジェンティルドンナが鼻差しのぎ切って優勝。ヒットザターゲットは、決して大きな差があったわけではないが、最後は馬群に呑み込まれて１１着でのゴール。一瞬Ｇ１制覇への夢を見たが、無念の結果に。それでも、果敢に勝ちに行って見せ場を作って大いに盛り上げてくれた。母ラティールのオークスと同じような競馬をして見せたが、Ｇ１の壁は厚かった。できればあと鼻差だったエイシンフラッシュには競り勝ってほしかったが…。鞍上の武豊騎手は、「気が乗った時に行かせた方がいい馬ですし、３角でグッと来たので、抑えるよりも、と思って一か八かそのまま行かせました。直線半ばまで頑張っていたし、能力がありますよ。内ワクだったらもっと良かったですね。」とコメント。この秋の戦いは、ヒットザターゲットの地力強化を確信させた。来年は更にタイトルを重ねてくれることを期待したい。

●オープンでも活躍したスウィートエルフを母に持つブライトエルフ。前年３歳４月にデビューしたが、デビュー戦８着を１走したのみで地方に移籍。地方で勝利を挙げてまた中央に戻ってくる目算。門別のＣ４戦は３着，２着という成績だったが、福山の条件戦を２連勝して、再び中央に返り咲く。緒戦となった前走の500万下平場戦は７着だったが、中央時代未勝利だったことを考えれば、確かな地力強化が窺えるもの。中央返り咲き２戦目となる今回は、更なる前進があるはず。１番人気は、川崎の地方交流戦で初勝利を挙げた後、前走阪神の500万下平場戦で２着と実力を見せたトウカイメリーで単勝2.8倍。２番人気は、近７戦で２〜４着が５回という堅実な走りを見せているサイモンガーランドで単勝3.6倍。前走競走中止の鬱憤を晴らすか。ブライトエルフは、単勝53.7倍の９番人気の低評価。実績的にはやむを得ないところだが、ある程度の勝負は可能なはずだ。

　レースでは、ブライトエルフはスタートで４馬身も大きく立ち遅れてしまう。五分のスタートでも苦しいと見られていただけに、この不利は絶望的。スタートから100ｍの地点で、既に先頭から１０馬身の差がついてしまう。外ゴッドフローラが先頭に立って、１馬身差でヒシアルコル，デコレイトの２番手争い。半馬身差で中にキョウワレイ。ブライトエルフは、先頭まで１２馬身差，一頭だけ５馬身置かれた位置で１角へ。１〜２角で、大外から引っ掛かってサイモンガーランドが押し上げて、先頭の外に並んで行く。しかしながら、向正面にかかるとゴッドフローラがまた加速して２馬身半リードする。サイモンガーランドが競り合いを避けて２番手。２馬身差で３番手デコレイト以下。ブライトエルフは先頭まで１５馬身差，一頭だけ６馬身置かれており、常識的には「無理」と言っていい。それでも、向正面の中間を過ぎると馬群が詰まってくる。それでも、ブライトエルフは３角でも５馬身ポツンと置かれている。先頭ゴッドフローラに、サイモンガーランドが半馬身差に接近し、以下も差なく追走。３〜４角の中間で、ブライトエルフも前の集団の後ろにようやく取り付くが、この時点での手応えは悪くない。４角では、ブライトエルフは先頭まで６馬身差まで詰めて、内々を後方３頭目まで順位を上げて直線へ。

　直線に向くと、今度はサイモンガーランドが先頭に出るが、内半馬身差でゴッドフローラが食い下がる。3/4馬身外からはデコレイトが追ってくる。残り１ハロンでは、１馬身半差で４番手争いは、トウカイメリーなど３頭。その２馬身半後ろから、ブライトエルフも脚を伸ばしてくる。ここから、デコレイトが２番手，３番手に争いはアランロド，トウカイメリーの２頭で、残り100ｍでは更に２馬身半差でゴッドフローラ，ヒシアルコルの５番手争い。１馬身1/4差後ろからこれを追うブライトエルフにはまだ脚色に勢いがあって、あるいは５着入着もあるか。ここからブライトエルフは最後まで力強く伸び切って、ゴール寸前でヒシアルコルを鼻差捉えて５着食い込みのゴール。これがＪＲＡのレースで初めての掲示板となったが、あれだけ大きく出遅れながらのものだけに意味がある。鞍上の和田騎手は、「ゲートの中で座り込んでしまっていたので、腹を括って終いに賭けました。最後は来ていましたけどね。」とコメント。これで500万クラスでも好勝負できる手応えを感じたのも事実。これからの活躍に楽しみが出てきた。

●前走はスタートで致命的な大きな出遅れをしながら５着入着圏内に食い込んで来たブライトエルフ。前走の内容はあまりファンの気に留められていないが、500万クラスで好勝負できる手応えを感じさせるもの。今回は五分のスタートでどこまでやれるか、今後の活躍の試金石となる一戦。１番人気は、前走惜敗続きにピリオドを打って500万下平場戦を２馬身差快勝してきたサイモンガーランドで単勝2.7倍。勝って再び500万クラスに降級となるだけに、当然上位の存在。２番人気は、近４走1000万下平場戦で５〜８着を続けているピンウィールで単勝3.3倍。1000万クラスでやや足りなかったとは言え、大きく負けてはいなかっただけに、降級戦ならやはり力量上位。ブライトエルフは、単勝49.1倍の９番人気。前走はサイモンガーランドに７馬身半差があったが、単純に出遅れの分を差し引きすれば、恐らく４馬身程度の差。ある程度の好勝負は十分可能だ。

　レースでは、ブライトエルフは懸念されていたスタートを決めて、２番手グループに。トーブプリンセスが出てくるが、外から強引にナムラアピアがかわして先頭に。２番手から２馬身差の３番手争いの内にブライトエルフだが、ここは抑えて５番手に控える。その２馬身後ろにサイモンガーランドなどがいて、ピンウィールは更に７馬身も後ろの後方２頭目の位置から。１〜２角で、先頭ナムラアピアはリードを３馬身と開く。グインネヴィアが２番手で、１馬身差で内トーブプリンセスだが、これを外からサイモンガーランドがかわして上がって行く。向正面で、２馬身後ろにカノン，更に１馬身1/4差で内にブライトエルフの態勢。ややバラけた展開となって、先頭ナムラアピアは、６馬身ほどにリードを開いての単騎逃げに。３角にかかると、後方にいたピンウィールが進出開始。ブライトエルフも少し仕掛けて行くが、３〜４角の中間でも押っつけているが、なかなか前との差を詰めて行けない。先頭ナムラアピアは依然６馬身のリードだが、２番手争いのサイモンガーランド以下が差を詰めにかかる。４角では、先頭ナムラアピアのリードは２馬身半差にまで縮まり、２番手でグループは一団に。ブライトエルフは、先頭から６馬身差の中団に近い位置で直線へ。

　直線に向くと、勝負どころから仕掛け通しだったブライトエルフだが、ティボリハーモニーの内に並んで行って、順位を上げて行こうという態勢。残り250ｍで、道中後方にいたピンウィールが一気に抜け出し、これをサイモンガーランドが１馬身差で追う形に。ブライトエルフは、ティボリハーモニーと併せ馬の形で伸びて、ラスト150ｍでグインネヴィアをかわして４番手争い。更にはラスト50ｍでティボリハーモニーを競り落として単独４番手に上がる。３番手のカノンとは最後まで同じような脚色だったが、そのまま４着食い込みのゴール。前走の入着がフロックでなかったことを証明。２着のサイモンガーランドとの差は今回は４馬身半だったことを考えれば、前走同様の力を発揮してくれた計算になる。鞍上の和田騎手は、「今日はゲートをちゃんと出てくれた。怖がりな面があるので、馬込でヒルんだ分、少し置かれたが、バラけたらそこからまた脚を使ってくれたね。」とコメント。最後までバテずに伸びる渋太さはなかなかのもの。今回はメンバーも強力だったが、メンバー次第ではもっと上の着順も期待できるに違いない。

●前走の平場戦でも４着となり、２戦連続の入着を果たしたブライトエルフ。500万クラスで互角に戦える確かな自信を掴み、今回は更に前進したい。１番人気は、近２戦500万下平場戦を１着，２着としているサイモンガーランドで単勝1.5倍の断然人気。前走は４着のブライトエルフに４馬身半先着している。２番人気は、500万クラスに降級した前走500万下平場戦では７着だったナムラアピアで単勝9.6倍。ブライトエルフに１馬身半先着を許した形だが、３走前には1000万下平場戦で５着入着しているように、実力を持った馬。３番人気には、前走ブライトエルフに２馬身先着の３着だったカノン。ブライトエルフは、単勝23.7倍の９番人気で、思ったほどは人気がない。それでも、サイモンガーランド以外となら、互角以上の競馬ができて不思議はないはずだ。

　レースでは、ブライトエルフは若干スタートが甘く、中団後ろの位置から。内からディアアプローズが先頭。１馬身差でナムラアピア，マルヨフレンドリーの２番手争いで、その半馬身外にカノンの態勢。人気のサイモンガーランドは、先頭から４馬身差の中団後ろの外。２馬身後ろにブライトエルフで、後方３，４頭目の位置で１角へ。１〜２角では固まった展開で、向正面に入って、中団後ろまでがまったくの一団。ブライトエルフは後方で、先頭まで６馬身差の位置。３角ではその差は７〜８馬身に少し開いているが、３角過ぎから仕掛けて進出態勢。３〜４角の中間では、ブライトエルフは２，３頭かわして順位を少し上げて行く。中団大外のサイモンガーランドには、意外にもムチが飛んでいる。４角では、ナムラアピアが先頭に立って、3/4馬身差で内ディアアプローズは２番手。半馬身差でカノン，マルヨフレンドリーの２頭。これに１馬身半差の外５番手サイモンガーランドは苦しい手応え。ブライトエルフは更に３馬身半後ろの中団に近い位置の大外だが、ここからどの程度の脚が使えるのか。

　直線に向くと、ナムラアピアが先頭だが、内目の狭いところをカノンが抜け出して来て、残り１ハロンで先頭に躍り出る。ラスト150ｍで、ブライトエルフは２番手ナムラアピアからまだ６〜７馬身の差があったが、ここから一気の末脚を繰り出してくる。サイモンガーランドを並ぶ間もなくかわしたブライトエルフは、内の各馬をまとめて抜き去ると、２着粘り込みの態勢だったナムラアピアを、ラスト30ｍで捉えると、これを１馬身半差突き放して健闘の２着でのゴール。優勝したカノンからは６馬身の差をつけられてしまったが、ＪＲＡ未勝利のブライトエルフが、500万クラスで２着という結果は大いに評価できるもの。鞍上の鮫島良騎手は、「本当はもっと前でレースを運びたかったけど、行けませんでした。それで終い勝負の形になりましたが、ラストはいい脚を使ってくれましたね。」とコメント。地方から転入時は「果たしてどこまでやれるか」という所だったが、これは予想以上の頑張り。悲願のＪＲＡ初勝利も見えて来たと言っていいだろう。

●６月の阪神の平場戦では２着と、これまでで最高着順の頑張りを見せたブライトエルフ。悲願のＪＲＡ初勝利に期待は高まったが、続く中京戦では５着とひと息伸びを欠く結果に。今回は３カ月間隔を開けて夏場はリフレッシュ。休み明けでも好勝負を期待したい。１番人気は、４カ月ぶりの前走平場戦で２着と実力を見せたアーバンレジェンドで単勝1.5倍の断然人気。キャリア僅か４戦という馬で、夏を越して大幅に馬体重を増やしてきているように、大きく成長してきている。２番人気は、昇級緒戦で休み明け，初めての古馬との対戦となった前走平場戦で２着と実力を見せたヴァレンティーアで単勝4.3倍。ブライトエルフは、単勝13.8倍の３番人気。成長途上にある若い馬たちがライバルとなるが、古馬の意地を見せて、もちろん勝利を狙って行く。

　レースでは、各馬ほぼ揃ったスタートで、ブライトエルフも好位に取り付いて行く。メイショウユウヤケが先頭に立って、首差で外ホワイトアルバムも差なく先行争い。１馬身1/4差でブライトエルフなどが固まっての３番手争いで、人気のアーバンレジェンドもこの一角。１〜２角で、メイショウユウヤケ，ホワイトアルバムの２頭が競り合う形の先頭争い。向正面に入って、その後ろは３馬身と開いてターフジェニックが３番手。１馬身差で内々にアーバンレジェンド，その半馬身外にブライトエルフは５番手から。流れは落ち着いていたが、３角手前で後方にいたシーズガレットが、大外一気のマクリをかける。３角では、手綱を押しながら今度はシーズガレットが先頭。内メイショウユウヤケは遅れ加減になって、今度はホワイトアルバムが単独２番手で先頭まで１馬身半差。１馬身半差でアーバンレジェンドが４番手，その半馬身外ブライトエルフも押し上げる。４角では、今度はホワイトアルバムが先頭に立って半馬身のリードで、内シーズガレットが２番手。１馬身差の３番手にアーバンレジェンド，これを半馬身差で大外ブライトエルフ，内ターフジェニックの２頭が差なく追撃して直線へ。

　直線に向くと、ホワイトアルバムが先頭だが、１馬身差で外からアーバンレジェンドが追ってくる。ブライトエルフは、ここから１馬身1/4差と若干差を広げられて、３番手の態勢で残り250ｍ。粘るホワイトアルバムと追い詰めるアーバンレジェンドの争いは、ラスト100ｍを切ってアーバンレジェンドの方が競り勝つ。アーバンレジェンドが抜けた出した後、ブライトエルフは、２番手ホワイトアルバムとの差をじわじわ詰めたが、半馬身及ばず３着でのゴール。最後もうひとつ伸び切れなかったあたりは、休み明けの影響もあったか。鞍上の和田騎手は、「ゲートが良くなってきた分、流れに乗ってレースができた。久々ということもあって、今日は気の荒さを感じたけど、次は勝ちを意識できそうな走りを見せてくれたね。」とコメント。休養明けでも健在ぶりは見せてくれただけに、この秋こそ悲願のＪＲＡでの勝利を決めたいところだ。

●３カ月の休み明けとなった前走500万下平場戦で３着だったブライトエルフ。休養を挟んでこれで５連続入着の安定した走りを見せている。叩き２走目で上積みが見込める今回は、悲願のＪＲＡ初勝利に更に前進したい。１番人気は、古馬との対戦になってから４戦２着２回のロゼラニで単勝3.8倍。前走でも勝ち馬から半馬身差の僅差の２着と力を見せている。２番人気は、近３走平場戦で２着，２着，５着という成績のファシネートダイアで単勝4.3倍。この馬も地方転出から返り咲いた馬で、ＪＲＡ初勝利を目指している。ブライトエルフは、単勝7.1倍の４番人気。ブライトエルフもそれほど大きな力の差はないはずで、もちろん勝機は十分だ。

　レースでは、ブライトエルフはスタートは無難に決め、無理せず好位の一角をキープ。トウカイメリーが先頭に立って、半馬身差でファシネートダイア，メイケイペガムーンの２番手争い。その１馬身1/4差後ろの４番手争いに、内ロゼラニ，中ブライトエルフなどが追走する形。１〜２角で、ファシネートダイアが単独２番手で、先頭まで１馬身差。その3/4馬身内の３番手にロゼラニが掛かり気味に上がって行く。向正面で、ブライトエルフは５番手の位置で、先頭までは２馬身半差。このあたりでペースダウンし、ブライトエルフもリズムよく追走できているが、３角手前から少し仕掛け気味の追走となってくる。３角では、先頭トウカイメリーに、3/4馬身差でファシネートダイアが２番手。3/4馬身差で押してタマモアルバが３番手に上がってくる。これに半馬身差で内ラチ沿いにロゼラニ，更に半馬身差でブライトエルフが５番手の態勢。３〜４角の中間で、ブライトエルフはロゼラニの外に並びかけると、４角では手を動かしながら進出。ファシネートダイアが僅かに先頭に替わって、内首差でトウカイメリー。これに１馬身差でブライトエルフが単独３番手に上がって直線へ。

　直線に向くと、ファシネートダイアが先頭で、後続を突き放しにかかって、残り250ｍでは２馬身半のリード。ブライトエルフがトウカイメリーをかわして２番手に上がってくるが、ファシネートダイアとは同じような脚。１馬身差でロゼラニが３番手に押し上げるが、これも同じような脚色。早々と態勢は決し、上位３頭は同じような脚色のまま、ブライトエルフは２着でのゴール。勝ち馬から３馬身の差があった。それでも一応２着はがっちり確保し、この馬の力は見せてくれた。鞍上の和田騎手は、「ゲートが上手になってきているし、安定して走れるようになっています。相手も楽をしていたので、掴まえ切れなかったですけどね。」とコメント。あとはもう巡り合わせ次第で、ＪＲＡ初勝利の時も近いはずだ。

●前走京都の平場戦は２着で、どうしても勝利に手が届かないブライトエルフ。それでも、これで６戦連続の入着で、安定味はしっかり身についている。当然ここも勝ち負けの競馬ができるはず。１番人気は、未勝利を勝ち上がって昇級緒戦の前走で３着と力を発揮したトゥザレジェンドで単勝3.1倍。父は大種牡馬キングカメハメハ，母はドバイワールドＣ２着の名牝トゥザヴィクトリーという超良血馬。２番人気は、ここ２戦２着，３着と上位争いをしているパーティブロッサムで単勝4.3倍。前走１番人気に応えられなかっただけに、今度こそと勝利を狙っている。ブライトエルフは、単勝5.4倍の３番人気。上位人気馬は実力も拮抗しているだけに、今度こそ悲願のＪＲＡ初勝利を飾りたい。

　レースでは、ブライトエルフはスタートの出は悪くなかったが、二完歩目に大きく外にヨレてしまい、行き脚がつかずに後方から。ショウナンアズサが好発も、外からかわしてブルーチッパーが先頭。１馬身半差でショウナンアズサが２番手。半馬身差でロゼラニ，ホワイトアルバムの２頭。ブライトエルフは、先頭から８馬身差の後方外で１角へ。１〜２角で、隊列は落ち着いて、ペースもスローに。向正面で、トゥザレジェンドは先頭から２馬身差の３番手争いの内に押し上げている。ブライトエルフは後方のままで、先頭までは１０馬身差で、その差は３角では８馬身差に。３〜４角の中間では、先頭ブルーチッパーに、ショウナンアズサが半馬身差に接近。４角では、好位のトゥザレジェンドの手応えはあまり良くない。２番手ショウナンアズサの外にロゼラニとホワイトアルバムが並びかける。ブライトエルフは、先頭まで６馬身差の中団後ろの外だが、スローの前残りの展開になっているだけに、果たしてこの位置から届くのか。

　直線に向くと、先頭ブルーチッパーが二の脚を発揮して１馬身半のリード。ショウナンアズサが再び単独の２番手。１馬身遅れてロゼラニが３番手。残り１ハロンでは、更に１馬身差の４番手ホワイトアルバムを、外からパーティブロッサムがかわして行く。ブライトエルフはまだその３馬身半後ろの中団外。ここからグイグイ末脚を発揮するが、ラスト150ｍ切ったところでもトゥザレジェンド、ホワイトアルバムの５番手争いの２馬身後ろ。ここからトゥザレジェンドが１馬身半前にいる４番手ロゼラニに迫ると、それを上回る切れ味でブライトエルフが襲いかかり、最後は３頭接戦の４着争いのゴール。トゥザレジェンドはかわしたが、ロゼラニには半馬身届かず５着という結果に。さすがにこの展開であの位置取りでは厳しかった。鞍上の菱田騎手は、「スタートして１歩目で右にヨレてしまって、思うような位置を取れなかったですね。道中はジックリと構える形で運びましたが、ラストは凄くいい脚を使ってくれました。どこからでもレースはできますが、今日に関してはスタートが響きました。」とコメント。悔やまれるレースだったが、力は見せてくれていた。

●前走はスタートが悪く、後方から直線だけで５着に追い込んだブライトエルフ。前残りの展開ではさすがに厳しく、この馬の力を十分生かし切れずに終わっていた。それでも実力の片鱗は見せており、今回もロスさえなければ、当然勝ち負けまで狙える。１番人気は、近２戦２着，４着と上位争いをしているオツウで単勝3.0倍。前走でも２着馬から首，首差の競馬をしている。２番人気は、母トゥザヴィクトリーという超良血のトゥザレジェンドで単勝4.7倍。前走はブライトエルフに頭差の６着だった。まだキャリアも浅いだけに、血統的背景からも上昇度は十分。ブライトエルフは、単勝5.5倍の３番人気。善戦止まりでなかなか勝ち切れない馬だが、ＪＲＡ通算１０戦目の今度こそ、悲願のＪＲＡ初勝利を決めて、いい新年を迎えたいところだ。

●前年の３歳５月、デビュー５戦目で初勝利を挙げたフランチャイズ。なかなか内容も良かったことから、昇級後の活躍が期待されたが、昇級緒戦の３歳上500万下戦では６着。それでも、ある程度通用する手応えは感じる内容だった。しかしながら、その後は９カ月の長い休養を余儀なくされる。復帰緒戦となった前走平場戦は１０着だったが、ひと叩きで大きな上積みを見込めるだけに、今回上位に食い込んでくる可能性は十分。１番人気は、近３走平場戦を３着，２着，５着と堅実に駆けているタンブルブルータスで単勝2.8倍。２番人気は、ＪＲＡ未勝利で地方に転出し、園田競馬で 2-2-0-0 の成績で中央に返り咲いてきたショウナンサッチモで単勝4.7倍。中央再転入緒戦となった前走平場戦で５着と力を見せている。フランチャイズは、単勝13.8倍の６番人気。まだまだ本当の力を見せていないだけに、今回は力のあるところを示してほしい。

　レースでは、１番人気のタンブルブルータスがスタートで３馬身大きく立ち遅れ。フランチャイズはまずまず好スタートを切るが、大外サンマルグロワールが断然のロケットスタートですっと１馬身リードして先頭。これに最内サルジュが加速して並んでくる。この２頭に１馬身1/4差でフランチャイズが３番手。その半馬身内にスズノライジンも差のない争い。１馬身半差で５番手トウカイチェッカー以下が追走。サルジュが先頭に出て、3/4馬身差でサンマルグロワールが２番手の態勢。３角では、スズノライジンが３番手となり、フランチャイズは先頭まで３馬身差の４番手の位置。３〜４角の中間では、３番手の内スズノライジンが、先頭に１馬身3/4差にじわっと接近。その半馬身外にフランチャイズだが、フランチャイズは４角から手が動き始める。先頭サルジュは持ったままで、１馬身3/4差とリードを開いている。２番手サンマルグロワールに、内半馬身差でスズノライジンがかわしにかかる。首差で外フランチャイズは４番手で、その後ろは１馬身3/4差と少し開いて直線へ。

　直線に向くと、先頭サルジュが二の脚を発揮して、２馬身1/4差と突き放しにかかる。内からスズノライジンが２番手に押し上げる。ラスト150ｍでは、更に１馬身半差でサンマルグロワールが３番手で粘っていたが、これを外からかわすフランチャイズ。その時、内目をスルスルとオリジンが伸びて、ラスト80ｍで３番手に上がり、フランチャイズは伸び負けて４番手に。ここから先頭サルジュの脚が少し鈍り、２番手以下の馬たちが先頭との差を詰めて行く。よく伸びたスズノライジンが、ゴール前でサルジュを首差かわして優勝。フランチャイズも、先頭との差を２馬身程度まで詰めたものの４着でのゴール。それでも、叩き２走目でしっかり変わり身を見せてくれた。鞍上の杉原騎手は、「1200ｍで折り合いがつけやすかったですし、無理せずいい位置につけられました。頑張ってくれているんですが、今日もまだ太かったという話ですからね。絞れてくればもっとやれるだろうし、すぐにチャンスと思います。」とコメント。これでもまだまだ上昇の余地は大きい。500万クラスでの勝利さえも、決して夢ではないはずだ。

●休み明け２戦目の平場戦で４着と変わり身を見せたフランチャイズ。一戦毎に上昇カーブを描き、今回は更に上の着順を期待したいところ。１番人気は、未勝利を勝ち上がった後、５カ月ぶりの平場戦で５着，２着と実力を見せているアンバウンドで単勝1.6倍の断然人気。この馬も叩かれつつ力を発揮している。２番人気は、未勝利を勝ち上がった後の平場戦で連続４着と堅実に結果を出しているウエスタンスマイルで単勝4.4倍。フランチャイズは、単勝9.9倍の３番人気。上位人気２頭は強力だが、十分好勝負に持ち込めるはずだ。

●デビュー３戦目の未勝利戦でも４着に終わり、なかなか勝ち切れないブルジュオン。母ラティール譲りの勝ち味の遅さが出ている感じだが、続く前走は８着と後退。疲れも感じられる状況だったことから、今回はレース間隔を開けて３カ月ぶりのレースとなる。休み明けにも拘わらず、ブルジュオンが単勝2.7倍の１番人気に支持される。２番人気は、近２戦を３着，７着としているワイドキングで単勝4.9倍。３番人気は、７番人気だった前走で２着と好走したプリマチュチュで単勝8.9倍。ブルジュオンは実績的にも上位のものがあり、ほぼ体調が戻っているようなら、当然勝ち負けできるはずだ。