２０１４年（平成２６年）

●この時古馬トップクラスで活躍中のヒットザターゲットの全妹ヴァイセフラウ。兄の活躍ぶりからも、期待がかけられて当然の馬。ただ、兄弟はいずれも晩成タイプだけに、長い目で成長を見守っていきたい。２歳１２月の新馬戦でデビューするが、９頭立ての６着と直線の伸びを欠いてしまう。２戦目の未勝利戦も１２着と大敗し、ここまではまったく期待に応えられていない。デビュー２戦は芝での競馬だったが、まだまだ馬が若く軽快さを欠くだけに、今度は初めてのダート戦で変わり身を期す。１番人気は、近４戦を２着３回，３着１回と初勝利はもう目前のワディで単勝1.5倍の断然人気。ヴァイセフラウは、単勝6.0倍の２番人気。３番人気は、近２戦連続５着としているミンディで単勝9.1倍。ワディはかなり強力だが、ヴァイセフラウが変わり身を見せて勝ち負けの競馬ができるようなら、先々に光が見えてくる。兄に一歩でも近づくために、今回を大きな転換点としたい。

　レースでは、ヴァイセフラウはスタートは五分に出て、先頭争いに出てくる。ヴァイセフラウ，ワディ，プリティブルーの３頭の先頭争い。ここからヴァイセフラウ，ワディの２頭が出てくる。その後ろは２馬身と少し開いてきて、ミンディなど３頭が追走する形。３角手前では、ヴァイセフラウが半馬身出て先頭だが、３角でもワディがぴったり取り付いている。３〜４角の中間で、前２頭の後ろの内々３番手争いでミンディが虎視眈々。４角では、ヴァイセフラウに外からワディが並びかける。１馬身半差の３番手ミンディが、内から外へ出してスパート態勢。その後ろは３馬身と開いて、人気３頭の勝負となって直線へ。

　直線に向くと、ヴァイセフラウ，ワディの２頭の競り合い。３番手ミンディは、１馬身3/4差と少し開いてくる。残り１ハロンでも前３頭の態勢は変わらず、３番手ミンディの後ろは６馬身の大きな差。ヴァイセフラウも勝負根性を発揮して踏ん張っていたが、ラスト150ｍを切ってワディがじわっと出る。ラスト100ｍでも首差で食い下がるヴァイセフラウ。１馬身3/4差後ろから、ミンディがもう一度差を詰めにかかる。渋太さを発揮していたヴァイセフラウだったが、ゴール前で甘くなってワディに突き放される。そして脚が鈍ったところへ、ゴール前で外からミンディに差し込まれ、ゴール寸前で首差かわされて３着でのゴール。今回は勝ち馬が強かったが、真っ向勝負で張り合っての内容だけに、２着と同等の評価をしていいはず。鞍上の秋山騎手は、「まだ力がつき切っていなくて。ハミを頼ったり、内へモタれたりしていました。手前もうまく替えられませんでしたからね。これから力がついてくれば。」とコメント。デビュー２戦が案外で心配されたが、ダートできっかけを掴んだのは、大きな収穫。まだまだ未完成の状態だが、それでこれだけ走れれば、先々の期待も膨らんだと言っていい。

●初ダートの前走で逃げて３着と見せ場を作ったヴァイセフラウ。まだまだ未完成な馬だが、現状ではダートに活路を見出し、今回は初勝利への期待が高まる。前走の勝ち馬ワディが、500万クラスでも半馬身差２着と好走していることから考えても、ここでは力量上位のはず。そして、単勝2.1倍の１番人気の支持を得る。２番人気は、前走ヴァイセフラウをゴール前で首差差して２着だったミンディで単勝2.4倍。この２頭の対決の様相だが、前走の内容からは、積極的に勝ちに行ったヴァイセフラウの方が高い評価を得た形。３番人気は、前走新馬デビュー戦で７着だったマチルダで単勝10.2倍。兄シャアはオープンまで昇級した馬で、オープン勝ちこそなかったが、６着だったＧ３武蔵野ＳではＧ１馬のテスタマッタ，タイセイレジェンド，フェブラリーＳ２着馬シルクフォーチュンなどのダートの猛者に先着している。ヴァイセフラウにとっては、初勝利を挙げるチャンス到来。まだまだ幼いとは言え、早目に１勝を決めたいところだ。

　レースでは、ヴァイセフラウはいいスタートではなかったが、出遅れというほどではない。ここから手綱を押して、好位の争いに加わって行く。大外から一気にアグネスアミニソルが先頭に立って、１馬身差でヴァイセフラウ，スターペスユウコ，フェアリーミラクルの２番手争いに、更に大外マチルダも加わってくる。ヴァイセフラウは内々で、前にアグネスアミニソルに入られたこともあって、前に行けずに２番手争いから少し控える形に。３角では、先頭アグネスアミニソルに、外首差でマチルダも並んで行く。3/4馬身差でスターペスユウコ，更に１馬身差でヴァイセフラウなど３頭。ミンディは更に３馬身後ろで、ヴァイセフラウの動きを見ながら、後ろで脚を温存している。３〜４角の中間では、ヴァイセフラウは内々３番手争い。ミンディも内々をじわっと差を詰めてくる。４角では、アグネスアミニソル，マチルダと、これに接近するスターペスユウコの３頭の先頭争い。ヴァイセフラウはここでは動いて行けず、１馬身1/4差の４番手争い。１馬身半後ろにミンディが取り付いて直線へ。

　直線に向くと、マチルダ，スターペスユウコの先頭争い。残り250ｍで、１馬身差でアグネスアミニソルは３番手。これを3/4馬身差で外から追ってくるヴァイセフラウ。しかしながら、残り１ハロンで、内ラチ沿いをミンディが伸びて、ヴァイセフラウなどを一気にかわして行く。ヴァイセフラウは、アグネスアミニソルをかわして４番手に上がったが、ラスト100ｍでは前の馬とは２馬身1/4差で、もう前を捉える余力はない。ミンディが、ゴール前でマチルダを半馬身かわしての差し切り勝ち。ヴァイセフラウは伸び切れず、最後スターペスユウコとの差を少し詰めたものの、そのまま４着でのゴール。最後は流れ込んだ感じで、人気になっていたことを考えると、内容的にはもうひとつ。器用に動ける馬ではないだけに、内で包まれる形も良くなかったか。鞍上の秋山騎手は、「全体に緩く、力がつき切っていない感じで、まだ緩急をつけられない。今日は内で前に馬を置いて運んだけど、外枠でダラーッと脚を使った方がいいのかも。」とコメント。先手を取るような形になれば、結果も違ってくるはず。この馬の形に持ち込めれば、勝利の時も遠くはない。

●前走の未勝利戦では、１番人気に支持されたものの先手を取れずに４着に終わったヴァイセフラウ。現状ではまだまだ未完成で、器用なレースができないので、先手を取る形がベスト。今回は確実に先手を取って、取りあえず初勝利を勝ち取りたい。１番人気は、前走で首差２着と力のあるところを見せたデルマアラレチャンで単勝3.1倍。２番人気はヴァイセフラウで、オッズは同じ3.1倍。３番人気は、前走新馬デビュー戦で２番人気で５着だったアンゴスチュラで単勝5.0倍。ヴァイセフラウが先手をすんなり取れるようなら、前走のような負け方はしないはずだ。

　レースでは、ヴァイセフラウはスタートを決めて、手綱を押して中から先頭争いに出て来る。スタートから150ｍの地点では、3/4馬身リードで先手を取り切る。２番手はプリミティブラブなどが固まって追走。人気のデルマアラレチャンは、先頭まで３馬身差の中団から。３角でも、先頭ヴァイセフラウは１馬身リードの逃げ。３〜４角の中間で、3/4馬身差にじわっと詰めるアイファーマシェリ，その外に並んでくるメイショウルナ。４角では、ヴァイセフラウは１馬身リードをキープ。２番手２頭の後ろは２馬身半と開いて、デルマアラレチャンは先頭まで５馬身差の位置で直線へ。

　直線に向くと、先頭ヴァイセフラウの外から3/4馬身差でアイファーマシェリ，メイショウルナの２頭が追って来て、果たして粘り切れるのか不安を感じる。しかしながら、残り300ｍからヴァイセフラウが二の脚を繰り出す。残り１ハロンでは１馬身3/4差とグイッとリードを開き、メイショウルナが２番手で、アイファーマシェリは一杯になって後退。３馬身後ろからようやくデルマアラレチャンが突っ込んでくるが、先頭にはとても及ばない。ラスト100ｍで２馬身半とリードを更に開いて完勝態勢のヴァイセフラウは、その危なげなくそのまま押し切って優勝のゴール。デルマアラレチャンは３着まで。大きな期待を背負ってデビューしたヴァイセフラウだが、５戦目で初勝利を果たした。鞍上の中舘騎手は、「強い内容だったと思う。センスを感じさせるレースぶりだし、まだこれから成長する余地を残した馬だね。」とコメント。まだまだ完成には程遠い状況だが、素質だけで勝利を飾った。これからの成長を楽しみにしたい。

●３月の中京でデビュー６戦目で未勝利を勝ち上がったヴァイセフラウ。偉大な全兄ヒットザターゲットの今の活躍を見れば、この勝利は通過点でしかないはず。しかしながら、昇級後は500万下平場戦を１５着，１２着，１１着と、直線あえなく失速してしまう大敗続き。頭打ちとさえ思える現状だが、未勝利戦を完勝したのと同じ中京コースで、変わり身を期待したい。１番人気は、前走未勝利の身で500万下平場戦を優勝しているティップトップで単勝3.4倍。勝ってなお同条件で戦える。２番人気は、近６戦を２着３回，３着１回，４着２回と抜群の安定性を見せているビリオネアで単勝5.0倍。ヴァイセフラウは、単勝17.7倍の８番人気。実績では大きく見劣るが、秘めた力をここで見せてほしい。

　レースでは、ヴァイセフラウはスタートで躓いたが、出は悪くない。手綱をしごいて好位集団の一角に取り付く。キャレモンショコラ，レッドレイチェルの先頭争い。１馬身差でニホンピロディールなど３頭が固まっているが、これを大外からかわしてヴァイセフラウが３番手に上がって行く。３角では、僅かに先頭はキャレモンショコラ，首差でレッドレイチェル，１馬身差でヴァイセフラウは３番手。その４馬身後ろの後方にいたビリオネアが、大外をグーンと押し上げて行く。人気のティップトップは、更に３馬身後ろの後方２，３頭目。３〜４角の中間では、ヴァイセフラウは少し仕掛けて外から進出すると、４角で前２頭の外に並びかける。２馬身半後ろの中団大外にビリオネア。更に２馬身半後ろのティップトップはまだ後方で直線へ。

　 直線に向くと、キャレモンショコラ，レッドレイチェル，ヴァイセフラウの３頭の先頭争いから、残り250ｍを切ってヴァイセフラウが僅かに先頭に立って、残り１ハロンでは3/4馬身リード。しかしながら、先頭から２馬身差の４番手からビリオネアが一気の伸び脚。ラスト100ｍを切って、ヴァイセフラウは外からビリオネアにあっさりかわされてしまう。１馬身半後ろの３番手からセトノミッシーが追って来るが、ここからはヴァイセフラウが粘りを見せ、後続に詰め寄られることなく２着確保のゴール。勝ち馬の差し脚には屈したが、最後までよく踏ん張った。鞍上の松山弘騎手は、「ゲートで躓きましたが、その後はスムーズにいいポジションで運べました。今日はラストまで集中して走ってくれましたね。」とコメント。初勝利を挙げた中京で変わり身を見せ、中京巧者ぶりを発揮。単にコース適性だけでなく、素質の開花であるなら、今後も活躍が期待できるはずだ。

●前走中京の平場戦で２着と踏ん張り、昇級４戦目で500万クラス初入着を果たしたヴァイセフラウ。未勝利勝ちした中京で変わり身を見せたが、単にコース適性だけでなく、この馬の成長の証しであるはず。再度同じ中京の舞台とあって、今回も勝ち負けまで狙える。１番人気は、近２走を１着，４着としているティップトップで単勝3.6倍。前々走は未勝利の身で500万下平場戦を優勝しており、現級勝ちの実績は上位。強烈な追い込みを武器にしている。２番人気は、園田競馬よりＪＲＡに再転入し、転入緒戦の前走平場戦で３着だったクレアドールで単勝3.8倍。姉スリープレスナイトは、Ｇ１スプリンターズＳの覇者。ヴァイセフラウは、単勝4.0倍の３番人気。上位人気はほとんど拮抗。ヴァイセフラウにもチャンスは十分で、何とかこのチャンスをモノにしたい。

　 レースでは、ヴァイセフラウは五分のスタート。ポンと好発を決めたニホンピロディールだが、これを手綱をしごきながらヴァイセフラウがかわして先頭。内から手綱を押してスリーチアサウスが半馬身差に競ってくる。これに１馬身差でニホンピロディールは３番手。３角では、ヴァイセフラウは１馬身リードで、レースを引っ張る。ティップトップは、先頭から６馬身差の後方内々だが、これはいつものパターン。３〜４角の中間では、サクラドラジェが外から２番手に上がって、先頭まで3/4馬身差。１馬身差でニホンピロディールなどが続く。４角でも、ヴァイセフラウは3/4馬身リードをキープするが、一団に固まってくる。ティップトップは、先頭から４〜５馬身差の後方内々で直線へ。

　 直線に向くと、ヴァイセフラウが突き放しにかかって１馬身半のリード。外ネーラペルレが２番手だが、これに内からニホンピロディールが並んでくる。先頭ヴァイセフラウは、残り250ｍからムチが飛んで一杯に追い出されると、ラスト150ｍでは２馬身半と突き放して、このまま押し切りかと思われた。しかしながら、ここで大外から一気に飛んできたのはティップトップで、２番手ニホンピロディールを並ぶ間もなく抜き去ると、先頭ヴァイセフラウに猛然と襲いかかる。その脚色は完全に違っていて、ヴァイセフラウはラスト30ｍで抵抗する間もなくかわされてしまう。それでもヴァイセフラウは、更に後方から追い込んできた大外ミュール以下を3/4馬身抑えて２着でゴール。ヴァイセフラウもよく頑張っていたが、今回は勝ち馬の差し脚に屈してしまった。鞍上の松山康騎手は、「スタートも良かったですし、スッとハナを切れて揉まれない競馬ができましたが、勝った馬が強かったですね。」とコメント。それでも２戦連続の２着で自信を深めたのは間違いない。500万クラスを勝ち上がるのも間もなくだ。

●デビュー６戦目の未勝利戦を接戦で勝利したヴァンデミエール。500万クラスに昇級してからの活躍が期待されたが、その後の特別戦は８着，１２着，１２着。オープン特別のアネモネＳで８着となった後、500万下平場戦で６着，７着と、どうしても掲示板圏内にまで食い込めない。オークストライアルのスイートピーＳで最下位１５着に大敗してしまったが、前走古馬相手の500万下平場戦では８着。それでも、勝ち馬から0.5秒差とそれほど負けておらず、ある程度の手応えは感じることができた。今回は500万クラス昇級後初めての入着を目指す。１番人気は、近２走500万下平場戦を１着，３着としているマンインザムーンで単勝2.4倍。母は名牝のダンスインザムードで、現級勝ちの実績はやはり上位。２番人気は、500万下平場戦を勝ち上がった後、1000万下平場戦では１４着，８着だったアーマークラッドで単勝5.1倍。降級戦でチャンスは大きい。ヴァンデミエールは、単勝62.1倍の９番人気。人気は低いが、差のないレースはしてくれるはずだ。

　 レースでは、ヴァンデミエールはスタートは五分に出たが、すぐに控えて殿りから。大外ウェルテクスがすっと先頭。２馬身差でレインボーラヴラヴが２番手で、その後ろは固まっている。人気のマンインザムーンは、２番手から１馬身差の真ん中６番手の位置。ヴァンデミエールは、更に８馬身後ろの最後方で１角へ。１〜２角で、今度はネオザイオンが２番手に上がり、３馬身差でレインボーラヴラヴ，シーロアの３番手争い。向正面に入って、２馬身半差でマンインザムーンが続き、バラけた展開。ここから３馬身後ろの中団内にアートフェスタがつけている。１馬身差で中アーマークラッド。ヴァンデミエールは更に３馬身後ろで、依然最後方の内々を追走。３角でも、先頭ウェルテクスは２馬身半リードをキープ。今度はシーロアが２番手。３〜４角の中間では、２馬身差でマンインザムーンが３番手だが、以下は固まってくる。ヴァンデミエールは一気に大外まで持ち出して、４角にかかると追い出しにかかる。先頭ウェルテクスに、3/4馬身差まで接近したシーロア。ヴァンデミエールは、先頭から７馬身差の中団後ろの大外から渾身のラストスパートで直線へ。

　 直線に向くと、差し馬勢が横に大きく広がって追って来る。残り１ハロンで、先頭ウェルテクスにシーロアが首差まで詰め寄るが、その3/4馬身内のレインボーラヴラヴは前が壁になっている。外からディアデルレイが差して来るが、差なく更に５〜６頭が差して来て、この一角にヴァンデミエールも加わってくる。ラスト100ｍでも、まだウェルテクス，シーロアの先頭争いが続いていたが、3/4馬身差でアートフェスタ，アーマークラッドなど５頭が迫る。これに3/4馬身差でマンインザムーン，ヴァンデミエールの２頭。激戦の様相だったが、３番手グループの中から、中を突いたアートフェスタが一気に突き抜けて先頭。２番手に上がったディアデルレイに、外からアーマークラッドがかわしにかかる。最後２着に上がったアーマークラッドを更に追い詰める形でヴァンデミエールもよく追い込んだが、頭，首，鼻差で５着でのゴール。以下も差なくどっと雪崩込んでいただけに、タイミングひとつで着順が上にも下にも行っていた可能性があるが、５着と掲示板は確保した。鞍上の柴田未騎手は、「いつもよりも流れが速かったですし、タメて乗れば嵌まりそうだと思っていました。この形での競馬が合っていますね。それに52kgの斤量も良かったです。」とコメント。暫く苦戦が続いていたが、これを何とかきっかけに浮上していきたい。

●前走の雄国沼特別で500万クラス初入着の５着に食い込んできたヴァンデミエール。しかも大外を回りながら２着争いの競馬で、内容も濃いものだった。前走の走りだけではまだ信頼度は高まっていないが、再度の好走でこの馬の地力強化を示したい。１番人気は、近３走平場戦を４着，２着，２着としているイントロダクションで単勝2.5倍。Ｇ３フェアリーＳ５着の実績がある。２番人気は、未勝利，500万下を連勝して1000万特別でもいきなり４着と好走したが、その後１年８カ月の長期休養を余儀なくされたウェルテクスで単勝4.8倍。長いブランク明けの前走雄国沼特別では８着だったが、５着のヴァンデミエールからの差は僅か半馬身。ひと叩きの上昇度を考えれば、あっさりのシーンがあって不思議はない。ヴァンデミエールは、単勝20.8倍の７番人気。前走できっかけを掴んだだけに、ここで更に勢いに乗れるかどうかが、今後の活躍を占う上で重要になってくる。

●前年８月函館の未勝利戦でも３着に終わったエルフショット。６戦連続入着を続け、幾度となく差のない競馬をしながらついに未勝利を勝ち上がることはできなかった。これで北海道競馬に転出となるが、地方で勝利を挙げて中央に戻って来ることを心に誓っていた。そして、北海道競馬では４戦２勝，すべて３着以内という成績で、再び中央に返り咲きとなる。中央未勝利の身で500万クラス相手の競馬となるが、再転入緒戦の前走は８着に終わったものの、経験を積めば好勝負できるとの感触は得られた。今回は地方の交流戦となり、メンバー的にも少し楽になるだけに、掲示板はもちろん、勝利まで狙っていきたい。１番人気は、500万クラスに昇級して８戦して入着５回のリッシンロケットで単勝1.7倍の断然人気。500万クラスでそれほど差のない競馬を続けている能力は上位。２番人気は、近３走500万下平場戦を８着，６着，６着としているティマイドリームで単勝4.4倍。近３戦は勝ち馬から0.8秒差以内とそれほど負けていない。エルフショットは、単勝7.3倍の４番人気。ＪＲＡ勢が６頭出走し、１〜４番人気，６番人気まで占めている。エルフショットは、500万クラスでの実績がないという点でやや低い評価もやむをえないが、実力的には相当戦えるはずだ。

　レースでは、各馬揃ったスタートで、エルフショットは少し仕掛けて前の方に出てくる。すっと先頭に立ったのはツカサリボンで２馬身リードするが、すぐに首差まで並んできた大外ネオジェネラル。間半馬身差でリッシンロケットで、ここまではＪＲＡ勢が占める形。その後ろ２馬身差で３頭並んだ真ん中にエルフショットの態勢で１角へ。１〜２角で、エルフショット，ティマイドリームの２頭が４番手争い。向正面では、エルフショットは先頭まで３馬身半差の単独４番手の態勢。３角でも、先頭ツカサリボンに、外首差に並んでいるネオジェネラル。3/4馬身差で外リッシンロケット，１馬身差でエルフショットは４番手で、その後ろは１馬身3/4差と少し開いていて、この時点でＪＲＡ勢上位独占の様相。エルフショットは、３角過ぎから少し仕掛けて押し上げる。３〜４角の中間では、前３頭が並んでの先頭争いとなるが、中でもリッシンロケットの手応えがいい。これに１馬身差に取り付いたエルフショット。その後ろは３馬身と更に差が開く。４角では、リッシンロケットが追い出しにかかって、単独先頭で3/4馬身のリード。２番手ツカサリボンに、外からエルフショットが並びかける。１馬身差でネオジェネラルは４番手に後退して直線へ。

　直線に向くと、先頭リッシンロケットに、外からエルフショットがすぐさま並びかけて、残り１ハロンでは首ほどリード。ラスト150ｍでは3/4馬身とリードを開いたエルフショット。ここから２番手で食い下がるリッシンロケット。半馬身差で内ツカサリボンが３番手だが、ここから失速。エルフショットは、ラスト100ｍでぐいっとリードを１馬身に広げて勝負をつけ、そのまま快勝のゴール。危なげなく実力で勝利を飾ったエルフショット。ＪＲＡ所属での嬉しい初勝利となった。ただ、中央の競馬場での勝利はまだない。引き続き500万クラスで競馬ができるだけに、この後はＪＲＡのレースでの勝利を期待したい。

●地方の交流戦の金沢犀川賞を優勝したエルフショット。ＪＲＡ所属になって初めての勝利だったが、未だＪＲＡでのレースは未勝利だけに、目標は中央の舞台での悲願の初勝利しかない。続く前走平場戦は７着に終わったが、スタートで後手を踏んで、直線も前が塞がって追えないまま、ほとんど競馬をせずに終わってしまった。それでも３着から１馬身差の競馬をしており、前走の走りはまったく目立ってはいないが、中央の500万クラスで勝ち負けできる確信を得るだけの内容だったのも事実。今回も人気は低いが、相当戦える手応えを感じる。１番人気は、前走平場戦で３番人気で半馬身差の２着だったフォローハートで単勝3.2倍。２番人気は、近２走平場戦でともに１番人気で３着，５着のサトノアビリティで単勝3.6倍。４走前には1000万下平場戦で２着としているように、上のクラスで勝ち負けをしてきた底力は侮れない。エルフショットは、単勝38.6倍の１１番人気。明らかに人気の盲点と言える低評価。ここはあっと言わせる勝利を密かに期待したい。

　 レースでは、エルフショットはスタートはほぼ五分に出るが、押して出るものの出脚が鈍い感じで後方から。横に広がった先頭争いから、人気のフォローハートが半馬身出て先頭で、マジカルツアーが２番手。これに差なくサトノアビリティ，メイショウソレイユなどが固まった態勢。エルフショットは、先頭から４〜５馬身差の中団やや後ろの位置。１〜２角で、先頭フォローハートのリードは3/4馬身，マジカルツアーが２番手で向正面へ。２馬身1/4差開いてサトノアビリティ以下。更に３馬身後ろの中団真ん中にエーシンエポナがいて、その3/4馬身内にエルフショットで、３角手前からじわっと押し上げる。３角では、エーシンエポナが先頭から２馬身半差の５番手争いの内々。これに１馬身差で最内エルフショットで、前の方はまったくの一団に。３〜４角の中間では、先頭争いはフォローハートとマジカルツアーが並ぶ態勢。４角では、３番手争いは１馬身差でエーシンエポナなど４頭が並んで来て、これに１馬身差で大外に持ち出したエルフショットが７番手からスパート態勢で直線へ。

　 直線に向くと、内フォローハートがもう一度二の脚を繰り出して単独先頭。これに中からじわじわエーシンエポナが詰め寄ってくる。更に3/4馬身差で大外エルフショット。この３頭の勝負になってくる。残り１ハロンでも、フォローハートが3/4馬身粘っていたが、ラスト150ｍでエルフショットがエーシンエポナを僅かにかわして、更にはフォローハートに並んでくる。３頭の叩き合いから、ラスト100ｍでエルフショットが僅かに先頭。食い下がるエーシンエポナとフォローハート。しかしながら、エルフショットは最後まで渋太く粘るエーシンエポナを首差捻じ伏せて優勝のゴール。これが嬉しいＪＲＡのレースでの初勝利となった。これまで決して評価が高くはなかったが、ここで実力を証明して見せた。ただ、折角のＪＲＡ初勝利だったにもかかわらず、場内実況では最後エルフショットとフォローハートを取り違えてアナウンスしていたのが残念だった。鞍上の和田騎手は、「道中はフワフワしてハミを取らないくらいだったし、折り合って運べた。途中は内が開いていい所を通れたし、外に出したら弾けてくれたね。ただ、抜け出すと内にモタれて突き放せなかった。そのあたりが良くなれば。」とコメント。これで1000万クラスに昇級となるが、地方から再転入で現在1000万クラスで活躍している兄ブライトエルフの姿がだぶって見える。兄同様の活躍は十分可能だ。

●小倉の指宿特別でＪＲＡ初勝利を飾り、これで1000万クラスに昇級してきたエルフショット。一戦ごとにじわじわ力をつけており、このメンバーでも大負けはしないはず。１番人気は、昇級緒戦の1000万特別で、レコード決着で半馬身差２着と好走した後、Ｇ３レパードＳでは１０着だったジャッカスバークで単勝4.0倍。重賞の前走は相手が強かったが、自己条件なら当然首位争い。２番人気は、Ｇ３ユニコーンＳで３着と好走した後、1000万特別では３着だったバンズームで単勝4.0倍。重賞好走の実績は光る。エルフショットは、単勝45.6倍の１２番人気。勢いのある３歳馬が人気の中心だが、エルフショットも相手なりに走れるタイプで、昇級戦でも差のない競馬ができて不思議はない。

　レースでは、エルフショットは若干甘いスタートで、中団やや後ろの位置から。ハイアーレートがすっと先頭に立って、3/4馬身差で内にスギノハルバード。3/4馬身差で中ワンダーコロアールが３番手で、外首差でグランフィデリオもほとんど差はない。人気のジャッカスバークは、先頭から５馬身差の中団。エルフショットは更に２馬身差の中団後ろの内々。隊列は落ち着いて、３角手前では、エルフショットは先頭から１０馬身近い差。３角では、先頭ハイアーレートが１馬身1/4差の逃げ。ワンダーコロアールが２番手で、首差でスギノハルバードも２番手争い。その後ろは２馬身半の差がある。３〜４角の中間では、４番手にはグランフィデリオ。エルフショットは、更に５馬身後ろで後方まで順位を下げている。４角では、先頭ハイアーレートに、外ワンダーコロアールが半馬身差に接近。後方のエルフショットは、先頭から９馬身ほどの差があって、少し差が開き過ぎている感じのまま直線へ。

　 直線に向くと、先頭ハイアーレートに、外からじわじわ並んで来るワンダーコロアール。２馬身半差でグランフィデリオが３番手。残り300ｍで、エルフショットは更に５馬身後ろだが、内々を通って８番手あたりまで順位を上げて来る。残り１ハロンで、ワンダーコロアールが頭ひとつリードして先頭だが、内のハイアーレートも食い下がる。３馬身半差でグランフィデリオ，１馬身差でサトノアルバトロスが４番手。その後ろ１馬身前後のところにクラーロデルナなど３頭が並ぶような態勢で、その１馬身半後ろの内目からエルフショット，大外からはバンズームの２頭が追い込んで来る。やや内目からじわじわ伸びたエルフショットは、ゴール前で後退気味のサトノアルバトロスをかわして、更にはクラーロデルナにも迫ったが差を詰めるのが精一杯で、大外のバンズームには僅かに伸び負けて６着でのゴール。ただ、ゴール前ではバンズームより伸びていた感じだった。最後までこの馬なりによく伸びていたものの、あともうひと息のところで掲示板を逃してしまったエルフショット。それでも、今回人気は低かったものの、1000万クラスでもある程度戦える手応えを掴んだのは事実。鞍上の柴山騎手は、「本当はもう一列前でと思っていましたが、最後はここまで差を詰めてくれました。」とコメント。揉まれて強くなっていくタイプだけに、いずれは1000万クラスでも勝ち負けできるようになるはず。これからの成長が楽しみだ。

●1000万クラスで優勝してＪＲＡ４勝を挙げたフヨウなどを輩出しているウルトラスキーの産駒ゲネラルプローベのデビュー戦。母ウルトラスキーは、Ｇ２ローズＳにも出走したことのある馬。新種牡馬で高松宮記念連覇などの活躍をした名スプリンターのキンシャサノキセキを父に持ち、受け継いだスピードで勝負したい。１番人気は、祖母に阪神３歳牝馬Ｓ優勝，秋華賞２着，ＪＢＣスプリント４着などＧ１で活躍しグレードレースで４勝を挙げたヤマカツスズランを持つヤマカツライデンで単勝3.3倍。２番人気は、ダイワメジャー産駒のコンフェッシオンで単勝4.2倍。ゲネラルプローべは、単勝10.4倍の６番人気。ここは伏兵評価に留まっているが、素質のあるところを是非とも見せてほしい。

　 レースでは、ゲネラルプローべはスタートは若干甘かったが、それでも好位に取り付いて行く。タガノアガザルが先頭に立って、3/4馬身内マイネルレハイムが２番手。その後ろは１馬身差で４頭が並んでいるが、そのいちばん外にいるのがゲネラルプローべ。この３番手グループの中から、テイケイラピッド内から２番手争いに押し上げる。大外ゲネラルプローべは、３番手グループから一旦少し控える形で、ヤマカツライデンはその２馬身後ろの中団内々から。３角では、ゲネラルプローべは再びじわっと押し上げて、３番手テイケイラピッドの外に並びかけて、先頭までは１馬身半差。３〜４角の中間では、ゲネラルプローべは少し仕掛けて単独３番手。大外からエイシンシャーマンが接近する。４角では、先頭タガノアガザルのリードは3/4馬身。マイネルレハイムが２番手で、これに3/4馬身差で内にテイケイラピッド，外にゲネラルプローべの２頭。ヤマカツライデンは、更に２馬身半後ろの５番手争いで直線へ。

　 直線に向くと、先頭タガノアガザルが逃げ込みを図って１馬身半のリード。テイケイラピッドが２番手に上がり、半馬身外にゲネラルプローべは３番手。この３頭の争いになったが、ラスト150ｍではゲネラルプローべは２番手から１馬身1/4差と少し差が開く。ここからテイケイラピッドがよく伸びて、ラスト70ｍでタガノアガザルをかわして先頭。ゲネラルプローべは、２番手タガノアガザルから３馬身差と差が開いてしまったが、４番手ヤマカツライデンに迫られることなく３着確保のゴール。最後は１，２着馬に差を広げられてしまったが、上位を確保して素質のあるところは見せてくれた。鞍上の小牧騎手は、「競馬の形は悪くなかったし、センスのあるところは見せてくれた。最後は余裕が残っていた分、甘くなった感じ。」とコメント。この先の成長次第ではあるが、今後の活躍を期待したい。

●前走の新馬デビュー戦では３着に終わったゲネラルプローべ。前走は２着のタガノアザガルとの着差は３馬身。今回も同じタガノアザガルが相手だが、今度はもっと肉薄した競馬を期待。１番人気は、新馬デビュー戦では人気薄ながら２着と好走して素質のあるところを見せつけたそのタガノアザガルで単勝1.6倍の断然人気。２番人気は、新馬デビュー戦では３着だったフェアラフィネで単勝4.4倍。ゲネラルプローべは、単勝5.5倍の３番人気に。二走目で大幅な上積みがあれば、前走のタガノアザガルとの差を十分詰められるはずだ。

　 レースでは、ほぼ揃ったスタート。ゲネラルプローベは、好位にすっと取り付く。まずフェアラフィネが先頭に出るが、外から今度はゲネラルプローベがかわして先頭。3/4馬身差でフェアラフィネが２番手，3/4馬身差で中マイネルレハイムの順。これに半馬身差で最内タガノアザガルが４番手だが、その外に、今度はウインオベロンが並んでくる。隊列は落ち着いて、先頭ゲネラルプローベは１馬身半リードの逃げ。３角では、２番手フェアラフィネ，半馬身差でマイネルレハイム，１馬身差でウインオベロン，半馬身内にタガノアザガルと、順位にほとんど変動はない。３〜４角の中間では、先頭ゲネラルプローベのリードは3/4馬身にじわっと詰まってくる。４角でも各馬持ったままで、先頭ゲネラルプローベは3/4馬身リードをキープ。フェアラフィネが２番手，１馬身半差で３番手マイネルレハイムの内からタガノアザガルが並んできて直線へ。

　 直線に向くと、内ラチ沿いに入った３番手争いのタガノアザガルが、ここからぐいぐい伸びてくる。残り300ｍでも、先頭は依然としてゲネラルプローベだが、半馬身差でタガノアザガル，フェアラフィネの２頭が内外から追ってくる。１馬身半差の４番手マイネルレハイムが、ここから外に持ち出して追ってくる。タガノアザガルが先頭に抜け出して、残り１ハロンでは１馬身のリード。２番手は僅かにフェアラフィネだが、内首差で食い下がるゲネラルプローベ。マイネルレハイムは、２馬身1/4差と少し開いて４番手から。ラスト150ｍを切って、フェアラフィネがゲネラルプローベを競り落とすと、先に抜け出していたタガノアザガルとの差をまた詰めて行く。ゲネラルプローベは少し甘くなり、２馬身半後ろからマイネルレハイムがぐいぐい迫ってくる。ここからはマイネルレハイムの伸び脚がまさり、ゴール前でゲネラルプローベ，マイネルレハイムの２頭まったく並ぶ態勢での３着争いのゴール。優勝争いは、先に抜け出していたタガノアザガルが、フェアラフィネの追い上げを半馬身しのいだ。３着争いは、写真判定の結果、鼻差でマイネルレハイムの方に軍配が上がった。いい感じでレースを進めながら、最後に甘くなってしまったゲネラルプローべ。そのあたりは物足りなかったが、前走に続いて上位の着順は確保。鞍上の小牧騎手は、「持ったままだったし、楽勝かと思ったんだけどね。距離は1200ｍでもいいかも。」とコメント。安定した走りは評価できる。あともう一段階のパワーアップを期待したい。

●デビュー２戦目の未勝利戦では４着だったゲネラルプローベ。あと鼻差で３着もあった惜しい内容で、２戦連続の上位争いは評価できるもの。その後は２カ月半間隔が開いて、阪神の未勝利戦では少し差のある６着。+10kgの馬体重で、十分仕上がり切っていなかった感もあり、今回は一度叩かれての上昇に期待。１番人気は、初ダートの前走で首差２着に惜敗しているカジノプレイヤーで単勝3.3倍。２番人気は、芝の新馬デビュー戦で５着だったダイゴサクラで単勝4.3倍。ゲネラルプローベは、単勝5.1倍の３番人気。実力伯仲の混戦模様の一戦。ゲネラルプローベの勝負根性に期待をかけたい。

　 レースでは、ゲネラルプローべはスタートは五分に出て、大外から手綱を押して中位から。ダイゴサクラ，カジノプレイヤーの人気２頭の先頭争い。１馬身1/4差で３番手争いは横に広がる。ゲネラルプローべは中団大外で、先頭までは３馬身半差とそれほど差はない。ダイゴサクラが半馬身リードで先頭に出て、カジノプレイヤーはぴったり２番手。ゲネラルプローべは先頭から５馬身差の位置だが、３角から大外を進出し、３角過ぎでは先頭から３馬身半差。そして３〜４角の中間では、好位まで接近してくる。４角では、先頭ダイゴサクラに外からカジノプレイヤーが並びかける。２馬身差でメイショウヒマワリが３番手。その１馬身半後ろの外４番手まで押し上げるゲネラルプローべ。3/4馬身内にミトノゴールド，更に１馬身差でナムラオウテと続いて直線へ。

　直線に向くと、カジノプレイヤーがじわっと先頭だが、残り１ハロンで3/4馬身差に詰めてきたメイショウヒマワリが２番手。ゲネラルプローべは、ミトノゴールド，ナムラオウテにかわされて５番手で、ちょっと伸びを欠いている感じ。ラスト150ｍでは、前５頭が２馬身圏内で固まって、ゲネラルプローべは前の集団から２馬身1/4差遅れてしまう。前の争いからダイゴサクラが力尽きて脱落し、ゲネラルプローベは、ラスト100ｍでこれをかわして５番手に上がったが、前からは完全に離されてしまっている。優勝争いは、最後は大外ナムラオウテが接戦を制して優勝。ゲネラルプローべは、そのまま流れ込む感じで５着でのゴール。大外枠で、終始大外を回らされる展開も応えた印象。鞍上の小牧騎手は、「今日は枠が災いしてしまった感じ。ずっと外を回らされてしまったからね。内枠なら違っていたと思う。」とコメント。今回は有利に競馬を運べなかったが、もっと前に肉薄できる力は十分持っているはずだ。

●前走は勝ち負けの争いからは遅れを取ったものの、５着で掲示板は確保したゲネラルプローベ。外々を回らされた前走の走り自体は悪くなかっただけに、今回は上昇度も見込んで上位争いを期待。１番人気は、前走新馬デビュー戦で１番人気で３着だったメジャーガラメキで単勝1.4倍の断然人気。前走は２着に鼻差の競馬をしている。兄ダノンヨーヨーは、マイルチャンピオンシップ２着など、Ｇ１入着３回の実績のある馬。２番人気は、東京の新馬デビュー戦で１馬身3/4差の５着だったレディローズで単勝4.9倍。ゲネラルプローベは、単勝7.9倍の３番人気。人気どころはキャリアも浅く、その実力もまだ未知数だけに、ゲネラルプローベにもチャンスは十分あるはずだ。

　レースでは、ゲネラルプローベはそれほどいいスタートという訳ではなかったが、好位グループの後ろの位置につける。ワンダーグロワールが好発でポンと出るが、内ラホーヤビーチがかわして先頭。半馬身差で人気のメジャーガラメキが２番手，半馬身外にワンダーグロワール，エルフベレーザの２頭。ゲネラルプローベは、先頭から２馬身差の中６番手で、手綱を抑えながらの追走。ここからエルフベレーザが一旦先頭に出かかるが、３角ではラホーヤビーチがまた半馬身リード。エルフベレーザが２番手で、その後ろは２馬身半と少し開いている。３〜４角の中間では、ゲネラルプローベは６，７番手で、先頭までは５馬身差で、４角では中からじわっと進出する。ラホーヤビーチが手応え十分に１馬身半のリード。２番手争いはメジャーガラメキなど４頭。ゲネラルプローベは、更に１馬身半後ろからスパートをかけて直線へ。

　 直線に向くと、先頭ラホーヤビーチが１馬身1/4差のリード。メジャーガラメキが単独２番手に出てくる。半馬身差で大外ワンダーグロワールだが、残り１ハロンでこれを外からかわすゲネラルプローベが、メジャーガラメキまであっさり抜き去って２番手に上がり、先頭まで１馬身3/4差。ここからゲネラルプローベもよく伸びて、ラスト100ｍでは先頭に１馬身1/4差。ゲネラルプローベは３番手以下を突き放したが、ラスト100ｍからは前と同じ脚色になってしまい、そのまま２着でのゴール。終始大外を回らせされるコース損も小さくはなかった。鞍上のブドー騎手は、「思った通りのレースができたし、勝ったかと思ったけどね。芝も良かったと思うけど、勝ち馬は経済コースを通っていただけに…。」とコメント。メンバー次第ではあるが、初勝利の期待も大きく高まった。

●前走の未勝利戦では芝に戻って２着と好走したゲネラルプローべ。やはり芝の方が持ち味が出る印象で、今回は更に前進あるのみ。単勝3.2倍の１番人気に支持され、もちろん初勝利を目指す。２番人気は、近３戦を３着，２着，２着と惜しい競馬を続けているデンコウハシャで単勝3.5倍。３番人気は、デビューからの２戦をともに１番人気で４着，１０着という成績のミッキーシーガルで単勝6.9倍。ここまでは人気先行の形になっているが、３戦目で素質の高さを発揮してくるか。ゲネラルプローべにとって、ライバルも侮れない存在だが、勝利の可能性が高いのは間違いない。

　 レースでは、ゲネラルプローベはスタートは五分に近い感じで出て、手綱を押して中位から好位グループに押し上げて行く。タイセイボニータ，テイエムヤンチャボの先頭争いで、3/4馬身差でゲネラルプローベ，ミッキーシーガルの３番手争いとなるが、ここからゲネラルプローベは控える形になって、３角では先頭から２馬身差の４，５番手あたり。ここから大外をスーッとユアインマイハートがかわして押し上げる。３〜４角の中間でも、ゲネラルプローベは前の馬たちの動きを見ながら、手応えよくジックリ構えている。４角でも、タイセイボニータ，テイエムヤンチャボの先頭争いが続き、１馬身差でデンコウハシャ，ユアインマイハートの３番手争い。その3/4馬身外の５番手に、ゲネラルプローベが持ったままで取り付いて直線へ。

　 直線に向くと、タイセイボニータが半馬身リードで先頭で、外テイエムヤンチャボも渋太く脚を伸ばす。１馬身差の３番手のデンコウハシャは伸び切れず、これをかわしてドナソレイユ，ゲネラルプローベの３番手争い。ゲネラルプローベは、前にテイエムヤンチャボがいて進路が窮屈だったが、残り250ｍで外側に進路を確保すると、ここからグイグイ伸び脚を発揮。ドナソレイユを置き去りにして、残り１ハロンを切って、２番手テイエムヤンチャボを外からかわしにかかる。ここから前３頭は接戦となってきて、残り100ｍではタイセイボニータ，テイエムヤンチャボ，ゲネラルプローベの３頭が並ぶ態勢に。しかしながら、勢いで既にまさっていたゲネラルプローベは、じわじわリードを開いて、最後はテイエムヤンチャボに半馬身差をつけて優勝のゴール。善戦止まりが続いていたが、今回はキッチリ初勝利を決めてくれた。橋口調教師は、「スッと好位で流れに乗れて、スムーズに運べていた。抜け出す時の反応も上々。快勝だったね。」とコメント。昇級後は楽な競馬はさせてもらえないと思われるが、ある程度は相手なりに対応できるタイプのはずだ。

●北海道競馬の昨シーズン最終戦の道営記念で４着と健闘したコスモアジル。次のシーズンでの活躍に期待を持たせるのに十分の内容だった。冬を越して、今シーズン緒戦は、この地方重賞のコスモバルク記念。今シーズンこそ悲願の地方重賞のタイトル奪取を果たすためにも、緒戦は重要なレースとなる。１番人気は、前年６月にＪＲＡ1000万クラスより転入し、４戦してＡ１特別を２勝した後、前走地方重賞の瑞穂賞を優勝したバルーンで単勝2.3倍。ＪＲＡ時代は、準オープン入着実績がある。２番人気は、ＪＲＡ1000万特別２着の後、１年９か月の長期休養を経て今回復帰するナリタボルトで単勝5.0倍。ＪＲＡでは底を見せないままだった馬ではあるが、これだけの長い休みがあって力をどこまで出せるのか。コスモアジルは、単勝21.2倍の７番人気。まだ伏兵の域を出ていないが、この馬の末脚が生きる展開になれば、上位争いは十分可能だ。

　レースでは、各馬揃ったスタートで、コスモアジルは徐々に後方の位置取り。ニシノファイターが先頭に出て、外首差でナリタボルト，更に半馬身差で大外ナニワトモアレが３番手。これに半馬身差で内バルーンが４番手。コスモアジルは、更に５馬身後ろの後方内目で１角へ。１〜２角では、コスモアジルは後方２頭目の位置。向正面では少し隊列がバラけてきて、５番手バルーンは先頭まで５馬身差。後方２頭目のコスモアジルは、先頭まで１０馬身差でじっとしているが、３角手前で内ラチ沿いを少し仕掛けて１つ順位を上げて行く。このあたりでは、先頭まで８馬身差。３角では、ナリタボルト，ナニワトモアレの先頭争い。半馬身差で内ニシノファイターは一杯に。替わってバルーンが進出して行く。コスモアジルもスパートをかけて行くと、３〜４角の中間では先頭まで６馬身差。このあたりで内から外に持ち出して行く。４角では、ナニワトモアレが先頭に立つが、半馬身差で外バルーンが手応えよく２番手。１馬身半差でグッドグラッドが３番手。コスモアジルは更に３馬身後ろで、中団やや後ろの大外の態勢で直線へ。

　直線は、ナニワトモアレ，バルーンの先頭争い。１馬身3/4差でグッドグラッドが３番手。更に１馬身差でダイバクフも追ってくる。その１馬身半後ろの５番手争いに、大外からコスモアジルが加わってくる。ラスト250ｍでバルーンが先頭。１馬身差でグッドグラッド，半馬身差でダイバクフと、この上位３頭が抜け出した形に。コスモアジルは、残り１ハロンで、ダイバクフにかわされたナニワトモアレまで３馬身差があったが、ラスト50ｍでこれを捉えて４番手に上がると、そのまま後続を１馬身抑えて４着でのゴール。優勝争いは、最後は上位３頭が同じ脚色になって、バルーンが3/4馬身差押し切って勝利した。道営記念に続いて地方重賞入着を果たしたコスモアジル。冬の休養を挟んでも、引き続き力を発揮してくれた。勝ち馬から５馬身差は小さくはないが、条件次第で地方重賞のタイトル奪取もあり得るはずだ。

●今シーズン緒戦のコスモバルク記念では４着だったコスモアジル。休み明けをひと叩きされ、今回は更に上積みが期待できるだけに、念願の地方重賞のタイトル奪取を狙いたい。１番人気は、前走コスモバルク記念を優勝しているバルーンで単勝2.0倍。コスモアジルは、単勝4.5倍の２番人気。３番人気は、徐々に力をつけてきて前走コスモバルク記念で２着とトップの座を狙う位置まで成長してきたグッドグラッドで単勝6.2倍。４番人気は、星雲賞，赤レンガ記念と地方重賞を連勝した後、交流Ｇ２ブリーダーズゴールドＣではＪＲＡ勢から少し差はあったものの５着に食い込んだスーパーパワーで単勝7.5倍。北海道最強クラスの馬だが、ブランクがやや長く、プラス22kgの馬体重が示すように、完調と言える状態ではない。この上位４頭が人気になっているが、コスモアジルにとっては、地方重賞制覇のチャンスだ。

　レースでは、コスモアジルはスタートは五分に出て、横に広がった争いの大外で、中団あたりの位置から。ビービーガザリアスが先頭に立って、3/4馬身差でバルーンなどが広がっての２番手争い。バルーンの２馬身後ろの中位にグッドグラッド。これに１馬身半差で外を通るコスモアジル。ゆったりとした流れで１角へ。１〜２角で、コスモアジルの半馬身内にダイバクフ，更に3/4馬身差で中スーパーパワーは後方２頭目の位置。このあたり、２番手バルーンは少し行きたがっている。向正面で、バルーンは先頭から２馬身差で、以下は固まっている。コスモアジルは、バルーンから２馬身半差の中団やや後ろの外。向正面の中間から、後方にいたスーパーパワーが一気に大外をマクって行き、あっと言う間に後方から先頭に躍り出て、３馬身とリードを開く。後続も追撃態勢に入り、コスモアジルも進出開始。３角では２番手争いのバルーン，インフィニットエアの２頭が、先頭に２馬身近くまで詰めてくる。これに3/4馬身外の４番手にコスモアジルが懸命に手綱をしごいて取り付いてくる。３〜４角の中間では、バルーンも手が動いて単独２番手に。４角では、先頭スーパーパワーはまだ２馬身リードを保っている。内からもう一度盛り返してきたビービーガザリアスが２番手となり、半馬身差でバルーン。差のない位置にコスモアジル，グッドグラッドも取り付いて直線へ。

　直線に向くと、先頭スーパーパワーが逃げ込みを図る。ビービーガザリアス，バルーンの２番手争いに、これを外からかわしにかかるグッドグラッド。間半馬身差で突っ込んできたダイバクフ。コスモアジルはやや伸びを欠いて、ダイバクフから１馬身遅れている。残り１ハロンでも、先頭スーパーパワーは２馬身リード。グッドグラッドが２番手に上がり、3/4馬身差でダイバクフは３番手に。バルーンは伸びを欠いて４番手に下がり、これを１馬身差で外から追ってくるコスモアジル。ここからコスモアジルは渋太く伸びて、ラスト120ｍでバルーンを捉えて４番手に上がるが、１馬身半前にいるダイバクフには届きそうにない。逃げ込みを図るスーパーパワーは少し甘くなって、ラスト100ｍでグッドグラッドが捉えて先頭。コスモアジルは、３番手ダイバクフとの差を少し詰めるのが精一杯で４着でのゴール。前走に続いて今回も４着だったが、これまで負かせなかった１番人気バルーンを3/4馬身競り落とした。２番人気だったことを考えれば、着順的には満足はできないが、力のあるところは見せてくれた。地方重賞タイトルも、もう手の届くところにある。

●マイネアルナイル，マイネプレセアといった活躍中の馬を姉に持つコスモアルマク。それだけに、この馬にも当然期待がかかる。１番人気は、叔母にドバイワールドＣ２着のトゥザヴィクトリーなどがいる名血の一族スワーヴジョージで単勝2.7倍。２番人気は、皐月賞２着馬ディクターランドと同系のスターチェイサーで単勝5.6倍。コスモアルマクは、単勝5.7倍の３番人気。デビュー戦からその素質の片鱗を見せてほしい。

　 レースでは、コスモアルマクはスタートも良く、少し押して好位に取り付く。内カラッカゼ，外シェアザジョイフルの先頭争い。3/4馬身差で外バイガエシが３番手。これに3/4馬身差で４頭並んだ４番手争いの中にコスモアルマクがいる。その１馬身後ろに人気のスワーヴジョージの態勢。１〜２角で、カラッカゼが単独先頭に立って２馬身のリード。シェアザジョイフルが２番手，3/4馬身差で内ウォーターアイリスが３番手で向正面へ。半馬身差でバイガエシ，１馬身1/4差でコスモアルマクは５番手。これに3/4馬身差で内にスワーヴジョージの態勢。隊列は落ち着くが、ややバラけて縦長の展開。向正面の中間では、前６頭が３馬身半の圏内で固まって、その後ろは５馬身と差が開いている。３角では、コスモアルマクは先頭から３馬身差の５番手で、３〜４角の中間にかかると、少し手を動かしながら仕掛けて押し上げる。４角では、内ラチ沿いをカラッカゼが先頭だが、半馬身差の２番手に順位を上げてきたコスモアルマク。3/4馬身差でバイガエシが３番手だが、スワーヴジョージなども差はなく横に広がって直線へ。

　 直線に向くと、コーナーワークを利してカラッカゼがまた１馬身1/4差リードして先頭。コスモアルマクが２番手から懸命に追うが、これを１馬身差でスワーヴジョージが差して来る。ラスト150ｍで先頭カラッカゼが脚が甘くなると、コスモアルマク，つれてスワーヴジョージが追い上げて、ラスト100ｍでは前３頭が並ぶ態勢。その後ろは２馬身差でヤマチョウタンゴが４番手。ここから脚色でまさるスワーヴジョージがあっさり抜けて先頭。コスモアルマクが２番手で、３番手以下を突き放して態勢は決した。コスモアルマクは、そのまま勝ち馬から１馬身1/4差の２着でのゴール。勝つま至らなかったが、デビュー戦から素質のあるところを示してくれた。鞍上の松岡騎手は、「惜しかったですね。思い通りのレースはできましたし、いセンスをしています。」とコメント。今後の活躍がとても楽しみだ。

●前走の新馬デビュー戦でいきなり２着として素質の高さを見せつけたコスモアルマク。２戦目の今回は、当然初勝利を狙っていく。そして、相手関係もあって、コスモアルマクが単勝1.1倍の断然人気に支持される。２番人気は、デビューからの２戦を１２着，７着としているフィールドリアンで単勝11.0倍。３番人気は、新馬デビュー戦７着のペイシャオブローで単勝18.3倍。コスモアルマクが絶対に勝つと期待されている一戦。その期待に楽々と応えてくれると信じたい。

　 レースでは、各馬揃ったスタートを切るが、コスモアルマクはぐいぐい手綱をしごいて行くものの、出脚はもうひと息で中位あたり。すっとペイシャオブローが先頭に立って、半馬身差でサイレンスラヴ，3/4馬身差で大外ネコレーヌの態勢。これに半馬身差で４番手争いが固まるが、この争いの最内にコスモアルマクが押し上げてきて１角へ。１〜２角で、先頭はペイシャオブロー，１馬身差でサイレンスラヴが２番手。3/4馬身差でコスモアルマク，ネコレーヌの３番手争いで向正面へ。このあたりでは、コスモアルマクは少し行きたがっている感じ。２番人気のフィールドリアンは、コスモアルマクの５馬身後ろで後方２頭目。向正面の中間では隊列は落ち着いて、３角ではコスモアルマクは先頭から１馬身3/4差の４番手で手応えはいい。３〜４角の中間では、前３頭が首，首差で先行集団を形成。１馬身半遅れた４番手コスモアルマクは、外に馬がいないか確認してから外に持ち出して行く。４角にかかるとコスモアルマクも仕掛けて行くが、意外にもここではすっと反応しない感じ。逃げるペイシャオブローが持ったままで3/4馬身リード。外ネコレーヌが２番手で、3/4馬身差で間サイレンスラヴが３番手。これに１馬身差でコスモアルマクはまだ４番手だが、内に潜り込んで来たウインベーネもほぼ並ぶ位置。その１馬身1/4差直後にフィールドリアンが取り付いて来て直線へ。

　 直線に向くと、余力十分のペイシャオブローが後続を突き放しにかかり、残り１ハロンでは２馬身半のリード。２番手ネコレーヌを内からウインベーネがかわしにかかる。１馬身差でコスモアルマクはまだ４番手で、期待に反して伸びあぐねている。ラスト100ｍでは、先頭ペイシャオブローは３馬身半リードで圧勝態勢。ウインベーネが２番手で、１馬身半差でコスモアルマクがネコレーヌをかわして３番手に上がったが、外からフィールドリアンがぐいぐい迫る。コスモアルマクは伸び脚を見せられないまま、ゴール前で外からフィールドリアンに首差差されて４着でゴール。期待された直線の脚が不発に終わったコスモアルマク。勝負どころの手応えなら、本来ならもっと伸びるはずだが…。このあたりは気性的な幼さが出てしまったのか。鞍上の松岡騎手は、「道中は持ったまま運べたのですが、勝負どころになって押して行ってもハミを取ってくれませんでした。気性的に幼いところがあるので、今日はそういった面が出てしまいましたね。」とコメント。今回の走りがこの馬の実力でないことは明らかだけに、次走での巻き返しに期待したい。

●素質馬と言われながら大成し切れなかったシャドウリングの産駒シゲルテンジンサン。兄・姉たちはある程度の成績は残しているものの、大きな成功と言えるまでの実績は残せていない。それだけに、シゲルテンジンサンには兄・姉たち以上の活躍を期待したい。今回がデビュー戦となる。１番人気はキングカメハメハ産駒のクルーガーで単勝2.2倍。２番人気は、ディープインパクト産駒のアドマイヤスターで単勝2.6倍。日本を代表するトップサイアーの産駒２頭が人気を二分。シゲルテンジンサンは、単勝22.3倍の６番人気。素質のあるところを示して、今後に期待を膨らませたい。

　レースでは、シゲルテンジンサンは最内から五分のスタート。手綱を押して行くが、他馬の方が速くて中位からの競馬。モーグリ，タガノプリマドンナの先頭争いで、半馬身外にダイナミックショー。１馬身1/4差でカノーヴァが４番手。１馬身1/4差で人気のクルーガーは５番手だが、これに内からシゲルテンジンサンが並んでくる。１〜２角で、アドマイヤスターは更に３馬身後ろの後方から。２角では、先頭争いは前４頭が並んで来て、その直後のシゲルテンジンサンは先頭から１馬身半差。向正面では、カノーヴァが先頭争いから抑える形で、先頭から２馬身半離されて４番手で、その半馬身内にシゲルテンジンサン。その１馬身1/4差後ろのクルーガーは、もう手綱が動いて苦しい手応えで、デビュー戦で反応が悪いのか。向正面の中間では、シゲルテンジンサンも手が動き始めるが、３角手前ではインをじわっと進出すると、３角では先頭まで２馬身差に詰めてくる。しかしながら、３角過ぎでは前が詰まり気味のような感じになって、一旦後ろに下げるような形。３〜４角の中間では、モーグリ，タガノプリマドンナ，ダイナミックショーの３頭の先頭争い。１馬身半差でシゲルテンジンサン，カノーヴァ，クルーガーの４番手争い。その１馬身3/4差後ろから アドマイヤスターが進出開始。４角では固まってきて、クルーガー，アドマイヤスターがが外から先行勢に並んで来る。シゲルテンジンサンは、先頭から１馬身半差の６番手争いで直線へ。

　 直線に向くと、モーグリが単独先頭に立っているが、残り250ｍで外からクルーガー，つれてアドマイヤスターがの２頭がかわして行く。残り１ハロンでは、シゲルテンジンサンは、モーグリ，ダイナミックショーの２馬身後ろの５番手の位置。ラスト150ｍを切って、今度はアドマイヤスターが先頭に立ち、食い下がるクルーガーと２頭で後続を断然突き放す。シゲルテンジンサンは、３番手２頭からも差を広げられてしまったが、食い下がるカノーヴァを半馬身抑えて５着入着のゴール。勝ち馬からはかなり差をつけられてしまったシゲルテンジンサンだが、最低限の走りはできていた。鞍上の酒井騎手は、「調教で他馬を気にする面がありましたが、内ワクもあって思いのほかスムーズに行けましたね。砂を被るとフワッとするところはありましたが、馬込みの中でもちゃんと走れていました。ジワジワの伸びでしたが、使いつつ決め手が備わってくれば。」とコメント。これから経験を積んで、更に成長を遂げてほしい。

●素質馬として期待の高かったシャドウリングの産駒スズカシャーマン。２歳１１月の新潟の芝の新馬戦では、逃げを打ったものの最下位１８着に終わる。その後は６か月間隔が開いて、ここまで未勝利戦を９着，５着という成績。それでも、２戦ともスタートで後手を踏んで後方からのレースになったもので、それでも前走は掲示板圏内に食い込んだあたりは、今後に期待を繋ぐもの。叩き３走目となる今回は、スタートを決めたいところ。１番人気は、５戦連続入着を続けるアイリッシュハープで単勝2.7倍。スズカシャーマンは、単勝5.3倍の２番人気。３番人気は、近２走４着，３着という成績のカネトシタシナミで単勝6.5倍。スズカシャーマンには、今回は好スタートで本当の力を見せてほしい。

　 レースでは、スズカシャーマンはそれほどいいスタートではなかったものの、出遅れというほどではなく、何とかスタートは決めた形。持ったままで徐々に前に出てくる。広がった先頭争いから、スズカシャーマンが僅かに先頭かという感じだったが、１〜２角ではインを回ったコーナーワークの差もあって、内のタガノラプランセスが先手を取る。3/4馬身差でスズカシャーマンが２番手，１馬身差で内に人気のアイリッシュハープで、以下も差なく続いている。向正面に入っても、スズカシャーマンは１馬身差の２番手をぴったりキープしている。流れは落ち着いていたが、向正面の中間で、大外をアドマイヤソウが一気のマクリをかけて、タガノラプランセスに並びかけての先頭争い。しかしながら、スズカシャーマンがすぐに動いて、３角では手応えよくかわして先頭に出る。３〜４角の中間では、先頭スズカシャーマンは持ったままで半馬身リードで先頭。２番手に上がったマサノジュエリーは手綱をしごいている。１馬身1/4差でタガノラプランセス，アドマイヤソウの３番手争い。４角でも、先頭スズカシャーマンは余力十分。３番手争いのアイリッシュハープは、逆に前との差が開き加減で、この時点でスズカシャーマンは勝利を確信して直線へ。

　 直線に向くと、先頭スズカシャーマンは後続を突き放しにかかって、残り300ｍでは２馬身半のリード。ラスト100ｍではその差は５馬身と開いて独走態勢。アイリッシュハープが２番手に上がったが、ラスト50ｍでカネトシタシナミがこれを外からかわして２番手に。スズカシャーマンは、ラスト100ｍは無理せず流して、それでも３馬身半差をつける楽勝のゴール。ここ２戦は出遅れもあって力を出し切れなかったが、やっと本当の力を見せることができた。鞍上の秋山騎手は、「厩舎スタッフがしっかりと仕上げてくれたおかげで、スッと前に行けたし、いい時に乗せてもらえました。」とコメント。今回の圧勝ぶりなら、500万クラス昇級後も期待していいはず。この先の成長が楽しみになってきた。

●デビュー４戦目で函館の未勝利戦を勝ち上がったスズカシャーマン。その後は２カ月半レース間隔を開けて、古馬相手の500万下平場戦は連続９着。ともに３番人気の支持を受けながら結果を出せなかっただけに、昇級３戦目となる今回は、見せ場を作りたい。１番人気は、近４戦を２着３回，３着１回と惜しい競馬を続けているフォローハートで単勝1.6倍の圧倒的人気。この馬の力はここでは抜けている。２番人気は、休み明けの平場２戦を７着，５着としているナンヨーユナで単勝5.8倍。オープンの忘れな草賞で半馬身差の２着という成績がある。スズカシャーマンは、単勝19.6倍の６番人気。勝つまでは難しいかもしれないが、掲示板以上の走りは見せてほしい。

　レースでは、スズカシャーマンはスタートが若干甘く、中団からの競馬。このあたりは意識的に控えている感じ。ナムラキッスが好スタートを切るが、外からテイエムライオネスがかわして先頭。3/4馬身差で外から人気のフォローハートが早くも２番手。スズカシャーマンは、先頭から４馬身差の中団につけて１角へ。１〜２角で、先頭テイエムライオネスは１馬身リードの逃げ。フォローハートが２番手で、内から押し上げるマーヴェリックスが半馬身差の３番手。向正面で、１馬身差でソロデビュー，3/4馬身差で内ナムラキッスと続き、これに１馬身半差でスズカシャーマンで、このあたりはうまく折り合っている。先団はほぼ固まった展開で、３角では、スズカシャーマンは先頭から５馬身近い差。先頭は依然としてテイエムライオネス，3/4馬身差でフォローハートがぴったり２番手。３〜４角の中間では、半馬身外の３番手にソロデビューが押し上げる。スズカシャーマンは中団内々でぴったり手綱を抑えて、じっと脚を温存している。４角では、フォローハートが先頭にほぼ並びかける位置まで押し上げる。１馬身差で３番手以下も一団。スズカシャーマンは、先頭から３馬身差の５，６番手の位置で、内から中へ持ち出して直線へ。

　 直線に向くと、テイエムライオネス，フォローハートの先頭争いだが、外のフォローハートは追い出しを待つ余裕がある。１馬身半差でナムラキッスが３番手に上がってくる。残り250ｍからフォローハートが追い出しにかかるが、残り１ハロンでも内テイエムライオネスは半馬身差で食い下がる。１馬身1/4差でナムラキッス，１馬身半差でソロデビュー。これに3/4馬身差でスズカシャーマンは５番手で、じりじりとしか伸びられない。その半馬身外からウインクルミラクルが差し込んでくる。ラスト150ｍを切って、スズカシャーマンはソロデビューをかわして４番手に上がったが、３番手の馬とは３馬身差がついてしまう。スズカシャーマンは、追ってくるウインクルミラクルを一旦１馬身と離しにかかったが、ゴール前で盛り返されて際どく並びかけられて、写真判定の４着争いのゴール。何とか鼻差しのいで４着を確保した。人気のフォローハートは、２馬身半抜け出しての完勝だった。これが500万クラスでの初入着となったスズカシャーマン。ここ２戦は前目に行って甘くなっていたが、脚をタメる競馬の方が向いているのかも。ただ、４角での手応えの割りには、もうひとつ切れ味がなかった印象も。鞍上の秋山騎手は、「前回はガーッと行って終いがなくなってしまったので、今日は意識的に控えてみたんです。こういう形で終いを生かした方が良さそうですね。」とコメント。新しい面が見られただけに、今後の戦いに希望が見えてきた。

●新馬デビュー戦で３着と上位に食い込んだタガノタヴェルナー。少し差はあったものの、今後に期待を持たせる内容だった。しかしながら、続く未勝利戦では、２番人気に支持されたものの、見せ場なく９着に敗退してしまう。それだけに今回は、是非とも巻き返したい。１番人気は、デビューからの全４戦を２着１回，３着３回と実力を見せているメジャースタイルで単勝2.5倍。２番人気は、前走芝の新馬デビュー戦で１番人気で１０着に沈んだサトノスパークルで単勝4.1倍。ダートで変わり身を見せるか。タガノタヴェルナーは、単勝14.6倍の５番人気。このまま低迷するか、再浮上するか、今回は節目の一戦となりそうだ。

　レースでは、タガノタヴェルナーはスタートの出が若干甘かったが、最内から手綱を押して好位グループに。横に広がっての先頭争いから、シゲルビゼンが先頭に出て来る。3/4馬身差で外メジャースタイルが２番手，更に外首差でアイズユーニン。その内側3/4馬身差でタガノタヴェルナーがつけているが、ここで進路が狭くなった感じで手綱を絞って、少し後ろに後退する形になって順位を下げる。それでも５番手争いの一角で、このあたりは一団。３角では、タガノタヴェルナーは先頭から２馬身半差の位置で、３〜４角にかけてじわっと押し上げて、このあたりの手応えは悪くない。４角では、先頭シゲルビゼンに、外から手応え十分にメジャースタイルが並んで来る。その１馬身半後ろの３番手アイズユーニンに、内からタガノタヴェルナーが並んできて直線へ。

　直線に向くと、外のメジャースタイルが先頭。半馬身差で食い下がるシゲルビゼン。２馬身後ろでタガノタヴェルナーは３番手争いで、このあたりはなかなか差を詰められない。残り１ハロンでは、メジャースタイルが１馬身リードすると、ラスト150ｍでは２馬身半とグイッと突き放す。タガノタヴェルナーは、甘くなったシゲルビゼンを追い詰めると、ラスト70ｍでこれをかわして単独２番手に。しかしながら、この時点で先頭とは４馬身と差が開いて態勢は決した。ゴール前で外からサトノスパークルが追い込んできたが、差を詰めただけ。タガノタヴェルナーは、先頭とは差があったが、がっちり２着確保のゴール。今回がデビューしてからの最高着順。勝ち馬の力が上だったが、このタガノタヴェルナーもロスがありながら頑張りを見せた。鞍上の国分恭騎手は、「ゲートの中で後ろに突っ張る感じでした。それで前半脚を使いましたが、勝った馬も強かったですね。」とコメント。今回の好走は、今後の自信に繋がるはずだ。

●前走勝ち馬から４馬身差があったものの２着と好走したタガノタヴェルナー。きっちり巻き返してくれただけに、今回は勢いに乗って初勝利まで勝ち取りたい。１番人気は、全４戦で２着１回，３着１回のサウンドシャカラカで単勝3.0倍。成績にムラがあるが、前走３着で勢いはある。タガノタヴェルナーは、単勝4.5倍の２番人気。３番人気は、全２戦は芝で５着，１５着のハイリーカズマで単勝5.3倍。ダートで変わり身を見せるのか。実力は拮抗しているが、もちろんタガノタヴェルナーにとっては勝利のチャンスだ。

　レースでは、タガノタヴェルナーはスタートの出はもうひとつで、中団からの競馬。内ハイリーカズマが先頭に立って、１馬身1/4差で内ゼンノステルス，外ウインゴスペルなど３頭の２番手争い。タガノタヴェルナーは、その２馬身半後ろの中団真ん中の位置だが、３角ではじわっと押し上げて、人気のサウンドシャカラカの外。３〜４角の中間でも、先頭ハイリーカズマは１馬身半リードの逃げ。ゼンノステルス，ウインゴスペルの２番手争い。その後ろ２馬身差の４番手争いにタガノタヴェルナーが加わってくる。４角では、２番手ウインゴスペルが、先頭ハイリーカズマの3/4馬身外に取り付く。半馬身差で内ゼンノステルス，その外3/4馬身差でタガノタヴェルナーは４番手。半馬身差で内サウンドシャカラカの態勢で直線へ。

　直線に向くと、ハイリーカズマが逃げ込みを図るところ、外からウインゴスペルがじわじわ並んでくる。１馬身半差でゼンノステルスが３番手だが、外から並びかけるタガノタヴェルナー。サウンドシャカラカは伸びを欠いている。ウインゴスペルが先頭に抜け出して、ラスト150ｍでは１馬身3/4差のリード。焦点は２着争いとなり、脚が止まってきたハイリーカズマを、ラスト100ｍでゼンノステルス，タガノタヴェルナーがかわしての２番手争い。この争いからじわっと出たのはタガノタヴェルナーで、そのまま食い下がるゼンノステルスを首差抑えて２着でのゴール。勝ち馬からは２馬身差があったが、前走に続く好走で、この馬への信頼度は高まった。鞍上の国分恭騎手は、「怖がっているのか、コーナーで外に逃げていました。競馬自体問題ないので、その点が解消すれば。」とコメント。勝利の順番が巡ってくるのも遠くはないはずだ。しかしながら、続く阪神戦で競走除外となって運気が変わってしまう。８月の小倉戦で４ヶ月半ぶりにレースに出走したが、４角で先行３頭の後ろの４番手に押し上げたところで故障発生。頭を上げながら徐々にスピードを鈍らせて競走中止。診断の結果は、右第１趾骨粉砕骨折で予後不良となってしまった。突然の悲運に見舞われてしまったのは、本当に悲しく残念と言う他ない。

●前年、秋競馬２戦目の平場戦で２着と好走したタマモプラネット。これで勢いに乗って行けるかと思われたが、その後は平場戦を１０着，７着，１０着と着外が続き、前走小倉の特別戦は、勝ち馬から1.0秒差だったが１６着と大敗を喫してしまう。今回は４カ月半レース間隔を開けて立て直しが図られただけに、何とか巻き返しの機運に持って行きたい。１番人気は、園田Ｃ１クラスで 3-1-0-0 の成績で中央に再転入し、500万下平場戦をいきなり７馬身差圧勝，続く前走も２着として、このクラスでは実力上位のサトノデプロマットで単勝1.4倍の断然人気。２番人気は、1000万クラス昇級後３戦連続着外だったが、今回は500万クラスに降級してのレースとなるトーワフォーエバーで単勝8.2倍。タマモプラネットは、単勝34.0倍の９番人気。本来の実力を出し切れれば上位争いは可能だが、どこまで本調子を取り戻しているかがポイントだ。

　 レースでは、タマモプラネットはスタートで若干立ち遅れ。後方から手綱をしごいて中位まで押し上げる。人気のサトノデプロマット，コウエイテンペスタの先頭争い。半馬身差で中プリフォンテインも先頭争いの一角。１馬身半開いてキクノメテオが４番手で、これに3/4馬身差でタマモプラネット，ナリタキャッツアイの５番手争い。ここからタマモプラネットは内からスーッと押し上げて、先頭から２馬身半差の４番手につける。３角では、サトノデプロマットが単独先頭で、１馬身差でプリフォンテイン。これに3/4馬身差でタマモプラネット，コウエイテンペスタ。３〜４角の中間でも、先頭サトノデプロマットは手応え十分。タマモプラネットも好位の内で持ったままでじっとしている。４角でも、先頭サトノデプロマットは１馬身1/4差のリード。２番手プリフォンテインに、半馬身差でタマモプラネット，コウエイテンペスタが内外から迫ってきて直線へ。

　 直線に向くと、先頭サトノデプロマットが逃げ込みを図って１馬身半のリード。残り350ｍを切って、最内タマモプラネットが２番手争いに加わって、ここは４頭が並ぶ態勢。ここからタマモプラネットが単独２番手に上がって前を追う。中団大外からはミッキーアップルが突っ込んでくる。残り１ハロンでは、先頭サトノデプロマットは２馬身半と後続を突き放す。ラスト150ｍからは、早目２番手のタマモプラネットと外からかわしにかかるミッキーアップルの２番手争い。ここからこの２頭はよく伸びて、先頭サトノデプロマットとの差を詰めて行くが、ラスト100ｍを切って、タマモプラネットはミッキーアップルに少し遅れを取ってしまう。後ろは２馬身1/4差で４番手モズマッテタワ，つれてウォーシップマーチが追い込んでくる。最後はタマモプラネットもミッキーアップルに食い下がるように先頭との差を3/4馬身差まで詰めたものの、そのまま３着でのゴール。大外からウォーシップマーチなどが差を詰めて来たが、これはしのいだ。休み明けでいきなり見せ場を作ったタマモプラネット。休養が良い方へ出た感じだが、元々これくらい走れて不思議のない馬。鞍上の義騎手は、「勝ち馬の後ろで絶好の位置で運べました。外に馬がいて、直線で外に出すタイミングが遅れてしまったけど、理想に近い形で運べましたし、能力がありますね。」とコメント。現状ではまだ全幅の信頼を置けないが、安定して力を出せるようになれば、500万クラスでの勝利もぐっと手元に引き寄せられるはずだ。

●前走の平場戦では、４カ月半の休み明けながら差のない３着と好走したタマモプラネット。休養で立ち直り、本来の力を発揮できるようになった。安定して走れるタイプではないが、今回も上位争いを期待。１番人気は、1000万特別で２着，６着とした後、降級した前走500万下平場戦では勝ち馬から3/4馬身差の３着だったサトノアビリティで単勝2.7倍。上のクラスで勝ち負けをしている底力はやはり上位か。２番人気は、近２走500万下平場戦をともに１番人気で１着，２着としているサトノユニコーンで単勝4.9倍。園田競馬から再転入後、８連続４着以内という堅実なレースを続けている。タマモプラネットは、単勝10.6倍の５番人気。まだ十分な信頼を得られていないが、ここでも実力を見せたいところだ。

　 レースでは、タマモプラネットは前走と同じようにスタートで若干立ち遅れ。手綱を押して徐々に盛り返して好位に取り付く。４頭広がっての先頭争いとなるが、スタートから250ｍの地点で、サトノアビリティ，イイデフューチャーの２頭がじわっと出る。前８頭が２馬身半の圏内でゴッチャに固まっているが、タマモプラネットは先頭から２馬身差で、ワディの外側につけている。サトノアビリティが単独先手を取り切って１馬身のリード。２番手イイデフューチャーの内にワディが掛かり気味に並んでくる。３角では、タマモプラネットは先頭から２馬身半差の６番手あたりで、３〜４角の中間でも、前の馬たちを見ながら脚をタメていて、ここから外に持ち出して行く。４角でも、先頭サトノアビリティは１馬身1/4差のリード。ワディが２番手で、半馬身外にサトノユニコーンが押し上げる。その１馬身半差の４番手争い３頭の大外がタマモプラネットで直線へ。

　 直線に向くと、残り250ｍを切ったところで、先頭サトノアビリティにワディが並んでくる。3/4馬身差で最内を突いて伸びてくるトータルヒート。これに１馬身差の外タマモプラネットが４番手から懸命に追う。ラスト150ｍで、トータルヒート，ワディの先頭争いとなり、間サトノアビリティは半馬身遅れて３番手。3/4馬身外からタマモプラネットも脚を伸ばすが、中を突いたロードヴォルケーノがここで一気の伸び脚を見せ、タマモプラネットを抜き去ると、最後は先頭争いの２頭を僅かに差して優勝。タマモプラネットは、上位３頭との差が最後は逆に開いてしまった感じだが、ラスト30ｍでサトノアビリティをかわして４着でのゴール。勝ち負けにまで最後加われなかったのは残念だが、前走に引き続いての上位食い込み。鞍上の義騎手は、「手応えがあったから外へ出したんですが、内にモタれる面がありました。前回はラチ沿いでしたので、そう気にならなかったのですが…。結果論ですが、内を突けば良かったですね。」とコメント。安定感も身についてきた印象があり、500万クラスでの勝利にも手応えを掴んだ。

●７月の中京の500万下平場戦で４着だったタマモプラネット。しかしながら、その後の平場２戦は６着，８着。決して大きく負けている訳ではないが、なかなか勝ち負けまで持ち込むのは簡単ではなくなっている。そして今回は、新境地を開拓するべく障害に転向。障害緒戦となるが、障害適性を発揮できるのかどうか。１番人気は、前走Ｇ１ＪＢＣクラシック６着のティアップワイルドで単勝2.5倍。地方の交流Ｇ３を２勝，ＪＲＡでもＧ３カペラＳ２着２回など、ダート重賞戦線で活躍を続けてきた馬。８歳にして今回が初障害となるが、平地力の違いで人気を集めている。２番人気は、平地500万クラスから初障害の前走で３着と好走したブリスコーラで単勝4.3倍。タマモプラネットは、初障害で未知数の面もあって、単勝16.3倍の６番人気。どんな走りを見せられるのか、期待と不安を背負ってのレースとなる。

　レースでは、タマモプラネットは好スタートを切ると、掛かり気味の感じで先頭に出て行く。すっと先手を取れるあたりは、障害適性もまずまずの印象。最初の障害で、ヘンリーフォンテンが飛越しようという素振りを見せずに障害に突っ込んで行き、障害に脚をぶつけて脱臼して予後不良の不運に見舞われる。１〜２角にかかって、先頭タマモプラネットは２馬身半のリード。ティアップワイルド，コウザンフォルテの２番手争い。向正面では、タマモプラネットのリードは４馬身だが、１周目３角では１０馬身の大きなリードとなる。２番手はティアップワイルドで、３〜４角にかけて３番手以下は３馬身と徐々に差が開いて来る。４角では、先頭タマモプラネットのリードは４馬身に詰まってくると、正面スタンド前ではティアップワイルドがスピードを上げて、今度はタマモプラネットをかわして先頭に立って、逆にリードをすっと３馬身と開いて行く。

　 １〜２角では、２番手タマモプラネットの後ろには、シゲルハリマが１馬身差まで詰めて来ている。向正面にかかると、タマモプラネットがまた押し上げて、ティアップワイルドを外からすっとかわして２馬身半リードで再び先頭。２番手ティアップワイルドに、3/4馬身差で外シゲルハリマ，ダンツミュータントの２頭。半馬身差でブリスコーラも差を詰めて来る。ここからティアップワイルドもまた差を詰めて、３角では前２頭がまた並んで来て、３番手以下を４馬身と離して行く。３〜４角の中間では、ティアップワイルドがまた先頭に立って２馬身半のリード。４角では、その差は４〜５馬身に広がってしまい、タマモプラネットは２番手のまま。２馬身半差でダンツミュータントが３番手。その後ろの集団にいたブリスコーラは、浅屈腱不全断裂を発症して失速して直線へ。

　 直線に向くと、先頭ティアップワイルドが５馬身リード。２番手タマモプラネットが懸命に追うが、残り１ハロンでは６馬身と逆に差が開いている感じ。３馬身差で３番手ダンツミュータントも同じような脚色。タマモプラネットは、ラスト100ｍでも５馬身差，ラスト50ｍでも４馬身差遅れていて勝負あり。最後でティアップワイルドがスピードを緩めてその差は２馬身半まで詰まったが、タマモプラネットはそのまま２着でのゴール。今回は勝ち馬が強かったが、タマモプラネットも初障害としては及第点の内容。鞍上の小坂騎手は、「練習ではうるさい面を見せていたけど、実戦では落ち着きがあった。ただ、芝とダートの切れ目で飛んでいたあたり、精神面の成長が課題かな。」とコメント。まだまだ成長の余地は残すが、障害センスはなかなかのもので、今後の活躍が楽しみになった。

●前走初障害の未勝利戦で２着と好走したタマモプラネット。平地グレードレース２勝の実績を持つ勝ち馬に屈したものの、すっと先手を取る障害センスの高さを発揮していた。障害２戦目の今回は、当然初勝利のチャンス。そして、タマモプラネットが単勝1.7倍の断然人気に支持される。２番人気は、平地準オープンから障害入転向緒戦となるヒラボクインパクトで単勝5.5倍。平地準オープンでは、８戦して入着４回という成績だった。３番人気は、近４走を２着，２着，５着，５着としているウメジマダイオーで単勝6.9倍。近４走とも大きく負けていない。タマモプラネットがこの先障害の一流馬を目指すなら、ここで負けてはいられない。

　レースでは、各馬揃ったスタートだが、タマモプラネットがすっと先頭に出て来る。このあたり、前走同様テンに行ける軽快なスピードを発揮している。3/4馬身差でクリノキングムーンが２番手。１周目３角では、その後ろは２馬身と開いてくる。３〜４角にかけて、先頭タマモプラネットは４馬身，５馬身とリードを開く。正面スタンド前に入ってきて、クリノキングムーン，シゲルシモウサの２番手争い。２番人気のヒラボクインパクトは、更に３馬身後ろの中団後ろの位置。１〜２角で、単独２番手となったシゲルシモウサが、先頭に２馬身半差まで詰めてくる。１馬身1/4差でリッシュレーヴ。向正面では、先頭タマモプラネットは３馬身リードの軽快な逃げ。先頭から８馬身差の中団の外ヒラボクインパクトが、ここからじわっと進出。３角では、先頭タマモプラネットは２馬身半リード，リッシュレーヴが２番手で、２馬身差で３番手シゲルシモウサは後退気味。３〜４角の中間では、更に３馬身後ろに３頭が固まっていたが、これを一気にヒラボクインパクトが抜き去って行く。４角では、先頭タマモプラネットの小坂騎手は後ろを確認して、ここで少し気合を入れる。１馬身差に取り付いたリッシュレーヴ，更に１馬身3/4差でヒラボクインパクトが３番手に追い上げて直線へ。

　 直線の１つ目の障害を飛んだところで、先頭タマモプラネットは１馬身リードをキープ。２番手にリッシュレーヴで、１馬身半差で３番手ヒラボクインパクトは内に入ってくる。最後の障害を１馬身半リードできれいに飛んだタマモプラネット。残り１ハロンから追い出してラストスパート。ここからグンと引き離したタマモプラネットは、ラスト150ｍで３馬身と突き放して勝利を決める。内からヒラボクインパクトが２番手に上がって来たが、タマモプラネットはこれをも更に引き離し、最後は５馬身差をつける圧勝のゴール。実力の違いを見せる勝ちっぷりだった。鞍上の小坂騎手は、「しっかりと見て飛んでいましたし、危なげない走りをしてくれました。道中はいい感じで遊びもあって、素直で乗りやすいですね。この内容ならオープンでも楽しみです。」とコメント。これだけの競馬ができるなら、この先障害一流馬としての活躍に期待が高まる。。。

●タマモクロスを現役時代管理し、競馬史に残る名シーンを作った小原調教師も、定年でこの２月でついに勇退。前週の雪の影響による代替競馬のこの東京競馬場。このタマモマーブルが、師にとっての最終戦となる。タマモマーブルは、１２月のゴールデンホイップＴで２着と大いに見せ場を作ったが、年明けの新春Ｓでは、流れに乗れない感じのまま１２着と大敗を喫してしまう。それでも、本来の力を発揮できれば、前走のようなことはないはず。１番人気は、準オープン昇級後の２戦を４着，２着とした後、前走はオープン特別に格上挑戦して１０着だったアミカブルナンバーで単勝3.5倍。前々走首差２着の内容から中心視されている。２番人気は、近３戦を２着，４着，４着と堅実に駆けているセイクレットレーヴで単勝3.7倍。Ｇ１ＮＨＫマイルＣで５着入着をした実績があり、その他にもＧ２ニュージーランドＴ２着，Ｇ３エプソムＣ４着と、重賞でも活躍している。タマモマーブルは、単勝32.3倍の１１番人気と低評価。前走の内容が評価を下げた形。それでも、小原調教師が栄光を掴んだこの東京競馬場の芝の舞台で、最後の花道を飾る激走を期待したい。

　レースでは、タマモマーブルはスタートは五分に出て、じっくり後方からの競馬。内からデンファレが出るが、外からメジロツボネが一気にかわして先頭に立って、リードを２馬身半と開いて行く。２番手はデンファレとミナレット。人気のアミカブルナンバーは、２番手から２馬身1/4差の７番手。３角で、タマモマーブルは更に３馬身半後ろの後方２番手の位置。一頭だけ３馬身置かれている馬がいるだけに、タマモマーブルが最後方追走のような形になっている。３〜４角の中間でも、先頭メジロツボネは２馬身半リードを保つ。内ミナレットが２番手で、3/4馬身外シルクウェッジが３番手。４角では、先頭メジロツボネのリードは１馬身半に縮まるが、ここまでほとんど隊列に変動のない淡々とした流れでレースは進んでいる。アミカブルナンバーは、先頭から４馬身差の中団外目の位置。タマモマーブルは、更に３馬身後ろの後方２頭目で、中を突くような形で直線へ。

　直線に向くと、タマモマーブルは前の集団がゴッチャになって、十分な進路を確保できない。前にいるセイクレットレーヴの内から進路を変えて外側に出して行く。しかし更に外にロードガルーダがいて、この２頭の間の間隔も狭くなっている。残り250ｍで先行勢は掴まって、ここからは差し馬勢の勝負。残り１ハロンで、アミカブルナンバーが先頭抜け出しを図る。タマモマーブルは先頭から３馬身半差で、まだ後方２頭目の位置だが、ラスト120ｍでようやくセイクレットレーヴ，ロードガルーダの間を割って来る。激戦の様相から、先頭アミカブルナンバーが半馬身リード。内デンファレが２番手で、更に１馬身差で３〜４頭広がっているが、その中から最内キッズニゴウハンがじわじわ伸びる。これに差なく、タマモマーブル，更には中ハーコットも伸びて来る。２着争いは横に広がった大激戦となったが、伸び脚でまさったタマモマーブルが、ゴール寸前でデンファレを鼻差捉えて２着でのゴール。小原調教師の有終の美を飾ることはできなかったが、十分な健闘を見せてくれた。直線スムーズに前が開いていれば、もっと際どかったはず。しかも、レース後鼻出血を発症していたことが判明。これも影響していた可能性がある。鼻出血しながら、死力を振り絞っての頑張りを見せた。鞍上の武士沢騎手は、「狭いところを割って伸びていますし、一生懸命に走ってくれました。左回りもいいようです。」とコメント。鼻出血の影響が心配されるが、準オープンでの勝利も手に届くところにあるのは間違いない。

●'12年６月の函館の500万下平場戦で３着と好走したチャームドライフ。続く平場戦でも５着と掲示板を確保したが、その後は平場戦で８着，１０着，１０着，１１着と成績は下降線。特別戦１０着の後、名古屋のＪＲＡ交流戦では５着と掲示板は確保したが、内容的には物足りないものだった。そしてこの年５月から金沢に移籍。７歳で年齢的にも上積みは見込み辛いが、現状の実力でも上級クラスでの好勝負は可能なはず。そして金沢では、Ｂ１特別を１着，２着，１着と順調な滑り出しで、更にＡ４特別を３着，１着、そして前走Ａ３特別を３着として、今回は地方全国交流のイヌワシ賞で地方重賞初挑戦となる。笠松からも３頭が参戦し、上位人気馬は相当に手強いが、何とか好勝負に持ち込みたい。１番人気は、ＪＲＡ５戦未勝利から、金沢に移籍してからは名古屋に遠征した東海ダービーまで破竹の６連勝をしたケージーキンカメで単勝1.8倍。その後Ｇ１のジャパンダートダービーではさすがに厳しく１１着に大敗。続く前走の地方重賞のＭＲＯ金賞では兵庫のトーコーポセイドンに頭差２着に惜敗したが、３着以下を８馬身も引き離した内容は、改めてこの馬の強さを示すものだった。２番人気は、ＪＲＡから地方に移籍してからは１８戦１１勝の活躍を見せているセイカアレグロで単勝2.3倍。ＪＲＡ時代はオープン特別３着などの実績のある馬で、前走の金沢スプリントＣを制して、地方重賞２勝目を飾っている。９歳馬ではあるが、ＪＲＡ時代の実績は断然格上のものがある。３番人気のマイネルリボーンも、地方重賞で堅実に上位争いをしている馬。笠松からは、全国各地の地方重賞で２着５回などの活躍馬エイシンナナツボシも遠征してきた。チャームドライフは、単勝45.5倍の５番人気。上位人気馬とは力量の差があると見られているが、見せ場を作って上位に食い込みたい。

　レースでは、チャームドライフはまずまず好スタート。セイカアレグロがすっと先頭に立って１馬身のリード。２番手争い３頭の最内がチャームドライフ。しかしながら、ここで外からケージーキンカメがすーっと押し上げる。１周目３角で、ケージーキンカメは先頭に3/4馬身差の２番手に取り付く。3/4馬身差で中マイネルリボーン，3/4馬身差で内チャームドライフは４番手。これに１馬身差で笠松のエイシンナナツボシと続いている。４角では、先頭〜４番手のチャームドライフまでは、それぞれ１馬身の間隔で、その後ろは２馬身半と少し開いてくる。正面スタンド前に入ってきて、このあたりはゆったりと流れて、内々４番手のチャームドライフは、先頭までは２馬身半差。１馬身半差でエイシンナナツボシが５番手。１〜２角でも態勢に変動はなく、向正面では先頭セイカアレグロが２馬身と少しリードを開いて、ケージーキンカメが２番手。３角手前では、チャームドライフも手が動いてケージーキンカメに接近し、外のマイネルリボーンと並ぶような位置。３角では、先頭セイカアレグロのリードは１馬身3/4差。２番手ケージーキンカメに、内首差にチャームドライフが並んでくる。１馬身1/4差でマイネルリボーンが４番手，１馬身差でエイシンナナツボシと続いて、その後ろは差が開いている。３〜４角の中間では、チャームドライフはケージーキンカメに２馬身半遅れてしまい、更には外からマイネルリボーンがかわしにかかり、このあたりでは厳しい情勢になりつつある。４角では、先頭セイカアレグロに、外3/4馬身差に取り付くケージーキンカメ。２馬身半差でマイネルリボーンが３番手で、１馬身遅れた内チャームドライフは４番手。その後ろは２馬身半差があってエイシンナナツボシの態勢で直線へ。

　 直線に向くと、残り１ハロンで、先頭セイカアレグロに、外から首差まで詰め寄るケージーキンカメ。やはり人気２頭の一騎打ち。３馬身差でマイネルリボーン，１馬身差で食い下がるチャームドライフは４番手。しかしながら、ラスト150ｍから、チャームドライフは力尽きてマイネルリボーンに突き放されてしまう。ラスト100ｍで、先頭争いはセイカアレグロ，ケージーキンカメがほとんど並ぶ態勢の叩き合いとなったが、もう一度グイッと伸びたセイカアレグロが最後は首差競り勝って優勝。チャームドライフは、マイネルリボーンに４馬身差をつけられたが、５番手ポセイドン以下に脅かされることなく、そのまま流れ込んで４着でゴール。直線は伸び切れない感じもあったが、渋太く４着に粘ったチャームドライフ。これが、地方移籍後、地方重賞初挑戦で初入着。上位馬たちはさすがに強かったが、チャームドライフもこの馬の力は出し切れた。移籍後は堅実な走りを見せているが、今後も安定した活躍を見せてくれるはず。まだまだ決して衰えてはいない。

●地方重賞のイヌワシ賞で着差はあったものの４着と健闘したチャームドライフ。その後は、Ａ３特別を２着，Ａ４特別を２着，３着，４着，３着，４着と勝ち切れないまでも、確実に上位争いをしている。今回はＪＲＡ500万クラスを迎え撃つレースとなるが、チャームドライフ自身ＪＲＡ500万クラスだった馬だけに、ある程度の勝負はできるはず。１番人気は、前走笠松の交流戦で２着だったＪＲＡマッセナで単勝2.2倍。ＪＲＡ500万クラスでの２戦は大敗しているが、４走前には園田の交流戦を勝っているように、交流戦に良績を残している馬。２番人気は、ＪＲＡ500万下平場の近７戦で、４着〜７着が６回と大崩れのない走りをしているホッコージョイフルで単勝4.2倍。ＪＲＡで掲示板圏内を常に狙えるだけの実力は、ここでは上位のものがある。ＪＲＡ勢が上位人気６頭のうち５頭を占める形になっている。チャームドライフは、単勝20.2倍の７番人気。伏兵評価に留まっているが、チャンスがないとは言えないはずだ。

　レースでは、チャームドライフはスタートで１馬身立ち遅れてしまう。一頭３馬身ほど置かれて最後方の位置。先頭争いはマッセナなど４頭が横に広がる態勢。１馬身半差でマルカロゼッタ，ホッコージョイフルなど３頭。チャームドライフは先頭から８馬身差の殿りで、１〜２角では１０馬身ほどに差が開いてくる。マッセナが単独先頭に立って、3/4馬身差でＪＲＡピクニックソングが２番手で向正面へ。１馬身1/4差で地方勢ではもっとも人気が高い３番人気のマイネルバリスターが３番手。向正面の中間を過ぎて、最後方チャームドライフは一頭かわして進出を開始する。３角では、先頭にマッセナに、外からピクニックソングが首差まで接近。１馬身差で地元アポロムーン，その3/4馬身内のマルカロゼッタは手応え十分。３〜４角の中間では、１馬身差でホッコージョイフル，更に１馬身差で外から押し上げるシゲルオウシザ。チャームドライフは、その２馬身半後ろで大外に持ち出して押し上げてくる。４角では、先頭は依然としてマッセナ，半馬身差の２番手ピクニックソングの外にマルカロゼッタが並んでくる。１馬身半差で外からシゲルオウシザが４番手に上がり、チャームドライフは更に２馬身半後ろで、中団後ろの大外からスパート態勢で直線へ。

　 直線では、先頭マッセナに、外からじわじわマルカロゼッタが迫り、ラスト150ｍでは２頭並ぶ態勢に。２馬身差でピクニックソングを外からかわして行くシゲルオウシザ，内ラチ沿い3/4馬身差でホッコージョイフルも差して来る。これに２馬身差でチャームドライフも６番手から追い込むが、じりじりとしか差を詰められない。ラスト100ｍで、マルカロゼッタが頭ひとつリードしたところを、ゴール前でマッセナももう一度盛り返したが、マルカロゼッタが鼻差競り勝って優勝。チャームドライフは、ラスト50ｍでピクニックソングをかわし、ホッコージョイフル，シゲルオウシザの３番手争いの２頭に迫ったが、3/4馬身差まで詰めるのがやっとで５着でのゴール。直線この馬なりに伸びて掲示板には食い込んだチャームドライフ。ＪＲＡ勢が上位を完全に独占してしまう状況の中で、その中に割って入った点は評価したい。３着からそれほど差はなかっただけに、なければと言うところ。それでも、今後もＪＲＡ交流戦で上位争いを期待していいはずだ。

●岩手競馬でデビューしたウイングアロー産駒のトーホクライデン。 デビュー当時は幼さも見せて足踏みしていたが、デビュー５戦目の２歳Ｂ２戦で嬉しい初勝利を飾った。初勝利まで少し時間がかかったが、この勝利で勢いづきたいところ。その後は、２歳Ｂ１戦でグッドギアーに６馬身差の２着。フューチャーステップ２歳戦で１馬身差の２着，更には前走のフューチャーステップ２歳戦ではスペクトルに１０馬身差の２着と、着差が開いていたとは言え、３連続２着を続けている。今回は地方重賞初挑戦で、１，２番人気馬には近走かなり差をつけられているが、今回は肉薄する競馬を期待したい。１番人気は、前走フューチャーステップ２歳戦でトーホクライデンに１０馬身差をつける圧勝を演じているスペクトルで単勝1.0倍の単勝元返しの人気を集める。近４走では怪物ロールボヌール以外には負けておらず、自他共に認める岩手２歳ナンバー２の馬。２番人気は、門別で１１戦１勝の成績で岩手に移籍し、Ｂ１戦を危なげなく２連勝中のグッドギアーで単勝12.5倍。トーホクライデンは、単勝19.6倍の４番人気。斤量的にはスペクトルより２kg軽く、そのあたりにチャンスを見出したい。地方重賞での戦いにメドをつけられるかも大きなポイントだ。

　 レースでは、トーホクライデンは若干甘いスタートで、後方からの競馬。１周目４角からすぐに正面スタンド前に入って来て、楽に先手を取ったのは断然人気のスペクトル。２馬身差でランデックハナコ，１馬身差でグッドギアーの順。その１馬身半後ろ、ウイングアロー産駒のトーホクフェアリーが掛かり気味にいつもより早目の４番手。トーホクライデンは、先頭から７馬身差の位置。先頭スペクトルが、リードを３馬身半と開いて１角へ。１〜２角で、先頭スペクトルのリードは４馬身。トーホクライデンは、２番手から７馬身差で後方２，３頭目の争い。向正面にかかると、２番手ランデックハナコが先頭に２馬身差まで詰めてくる。１馬身差でグッドギアーが３番手。後方３頭目のトーホクライデンは、先頭から６馬身差。向正面の中間を過ぎるとピッチが上がり、後方トーホクライデンにもムチが入る。３角では、先頭スペクトルに、半馬身差でランデックハナコ，１馬身1/4差でグッドギアーの態勢だが、先頭スペクトルは持ったままで余裕十分。３〜４角の中間では、トーホクライデンは仕掛けているもののなかなか順位を上げられない。４角では、スペクトルは抑えたままで3/4馬身リードで、今度はグッドギアーが２番手に上がり、以下も差なく固まっている。後方トーホクライデンは先頭から６馬身差で、ここで大外まで持ち出して直線へ。

　 直線に向くと、満を持して追い出されたスペクトルが１馬身リード。２番手から懸命に食い下がるグッドギアーだが、ラスト150ｍでは若干差が開き加減。3/4馬身内コンクエストオールが３番手。１馬身半差で４番手争いが横に広がっているが、エンジンがかかって大外一気の伸び脚のトーホクライデンが、ラスト100ｍで４番手争いの各馬をまとめて抜き去って単独４番手に。ここから２馬身前にいる３番手コンクエストオールを急追。先頭スペクトルは、ラスト100ｍからグイッと突き放して２馬身差の完勝。トーホクライデンは、ラスト50ｍで内ラチ沿いコンクエストオールを抜き去って、グッドギアーにも詰め寄ったが3/4馬身及ばず３着でのゴール。スローとなって、決して追い込み向きの展開ではなかったが、直線のトーホクライデンの伸び脚は豪快。幼さが解消するにつれ、徐々に頭角を現して来た。今後の成長次第では、スペクトルを脅かすことも十分ありうるはずだ。

●兄にＪＲＡ１勝のダイヤヘルメスがいるパワーポケット。もちろん兄以上の活躍の期待がかけられて、今回晴れのデビュー戦を迎える。１番人気は、外国産馬のワンダフルラスターで単勝2.2倍。２番人気は、パイロ産駒のスマートレジェンドで単勝4.9倍。パワーポケットもそこそこの人気があって、単勝11.6倍の４番人気。緒戦から潜在能力のあるところを見せて希望を膨らませたい。

　 レースでは、パワーポケットはスタートで若干甘い感じ。手綱を押して行くものの、中団後ろの位置取り。芝からダートに入って、まず人気のワンダフルラスターが出て来て、首差で外グロリアバローズも先行争い。更に半馬身差で外ワンダースパイアが３番手。半馬身内にスマートレジェンドがつけている。パワーポケットは中団内々で、先頭までは４馬身差。３角でも態勢は変わらず、３番手ワンダースパイアの内にスマートレジェンドが並んでくる。パワーポケットは、先頭から５馬身差の位置で、３〜４角にかけては追い通しになって、反応はあまり良くない。４角でも、先頭はワンダフルラスターでまだ持ったまま。外首差でグロリアバローズ，半馬身内にスマートレジェンド，更に半馬身差で外ワンダースパイアが４番手。その後ろは２馬身開いてキクノコールが５番手。パワーポケットはその１馬身半後ろで、依然中団内々の位置のまま直線へ。

　 直線に向くと、先頭ワンダフルラスターが後続を突き放しにかかって、残り１ハロンで１馬身半のリード。２番手グロリアバローズに、内からじわじわスマートレジェンドが並んでくる。２馬身遅れてワンダースパイア，更に２馬身半差でキクノコールが５番手。これに１馬身差で内からじわじわパワーポケットが６番手に上がってくる。ラスト100ｍで、先頭ワンダフルラスターは２馬身1/4差リードで勝負を決める。スマートレジェンドが２番手に上がり、３番手グロリアバローズの後ろは４馬身と開いている。４番手ワンダースパイア外からかわしにかかるキクノコール，つれて半馬身差で伸びてくるパワーポケット。パワーポケットは、ラスト50ｍでワンダースパイアをかわしたが、キクノコールとの競り合いは最後まで同じ脚色のまま、半馬身及ばず５着でのゴール。勝ち馬からは差が開いて、内容的にはひと息の感もあったが、掲示板圏内は確保した。鞍上の菱田騎手は、「乗りやすいタイプだし、距離も合っています。ただ、今日はいくらかソエを気にするところがありました。」とコメント。一応能力のあるところは示してくれた。今後の成長にも期待したい。

●阪神の新馬デビュー戦では５着だったパワースポット。掲示板は確保したが、勝ち馬から１０馬身差があって、内容的には物足りなさを残しただけに、今回は一度競馬を経験しての上昇度に期待。１番人気は、近４戦で２着２回，３着２回と初勝利はもう目前のノースランドボーイで単勝1.8倍。２番人気は、新馬デビュー戦で２番人気で６着だったダイワメジャー産駒ヴィアージェンで単勝3.4倍。パワースポットは、単勝11.3倍の４番人気。ここで前進を見せて、今後に希望を膨らませたい。

　レースでは、パワーポケットは大外からポンと好スタートを切る。すっと先頭に立ったのはヴィアージェンで１馬身半のリード。内ケンベストカフェが僅かに２番手だが、２番手争いは横に広がって、パワーポケットもこの一角。ここからランドザスターズが２番手に出て来て、先頭に首差まで詰めて行く。半馬身差でロードメタリック，パワーポケットなどが３番手集団を形成。３角では、大外パワーポケットが単独３番手の態勢で、先頭までは１馬身1/4差。３〜４角の中間では、人気のノースランドボーイは、先頭から７〜８馬身差の後方２頭目の位置。４角では、前の３頭が並んできて、大外パワーポケットはまだ持ったまま。これに１馬身差で４番手に内々ケンベストカフェなどが続いて直線へ。

　 直線に向くと、ヴィアージェン，パワーポケットの先頭争いとなって残り400ｍ。１馬身半差でケンベストカフェが３番手に上がってくる。残り１ハロンでは、パワーポケットが単独先頭に立って１馬身半のリード。一杯になったヴィアージェンを、外からケンベストカフェ，ポルトボナールの２頭が抜き去ると、この２頭が馬体を併せて競り合いながら、先頭パワーポケットを追ってくる。ラスト100ｍでは、先頭パワーポケットのリードは１馬身1/4差で、僅かに２番手に出たケンベストカフェが懸命に追ったが同じような脚色で、パワーポケットがそのまま押し切って優勝のゴール。レース内容，勝ち時計ともに悪くなく、デビュー戦よりも遥かに内容の濃い走り。鞍上の柴山騎手は、「いいところにつけられて、終始手応えも楽でした。早目に抜け出したくはなかったので、追い出しを我慢したんです。先頭に立ってフワフワしていたくらいですし、まだ余力もありましたよ。強かったですね。」とコメント。500万クラスに昇級後の活躍にも期待を抱かせる走りを見せてくれた。

●デビュー２戦目の未勝利戦を快勝したパワーポケット。デビュー戦よりレース内容は大きく前進し、成長も感じられた。今回は昇級戦となるが、ここでも十分通用するとの手応えは感じている。１番人気は、デビュー３戦目の未勝利戦を５馬身差圧勝してきたマイネルオフィールで単勝3.5倍。２番人気は、デビュー２戦目のダートの未勝利戦をレコード勝ちし、続く500万クラスのプラタナス賞でも僅差の３着だったスピリッツセカンドで単勝5.3倍。パワーポケットは、単勝18.1倍の８番人気。評価は決して高くないが、メドを立てる走りは見せてほしい。

　レースでは、パワーポケットは若干甘いスタートで、手綱を押して行くが中団から。ノースヒーローが先頭に立って、3/4馬身差で内キングノヨアケ，半馬身差で３番手争いはクロフネビームスなどが広がっている。中団パワーポケットは、先頭から３馬身半差。１〜２角で、今度はクロフネビームスが１馬身半差の２番手に上がり、１馬身差で外オメガハイヌーン，内半馬身差でキングノヨアケの順。向正面で、１馬身差で内イーデンホール，外に人気のマイネルオフィールの２頭。パワーポケットは更に２馬身半後ろで、内ワトソンクリックなどと並ぶ位置。向正面の中間では、パワーポケットは先頭まで７馬身差で、３角から仕掛けて行くが反応はひと息。３〜４角の中間では、先頭ノースヒーローに、クロフネビームスが半馬身差に接近。半馬身差で外オメガハイヌーン。マイネルオフィールは、先頭から２馬身半差の５番手, 内3/4馬身差でイーデンホールの態勢。パワーポケットはかなり押しているが、順位はほとんど変わっていない。４角では、今度はクロフネビームスが僅かに先頭だが、前４頭が広がったような態勢で、いちばん大外がマイネルオフィール。１馬身半差で、イーデンホールが５番手争い。パワーポケットは後方のまま、先頭から５〜６馬身差の位置で直線へ。

　 直線に向くと、内ラチ沿いからノースヒーローが盛り返して先頭で、半馬身差でクロフネビームス。3/4馬身差で、オメガハイヌーン，マイネルオフィールの３番手争い。残り１ハロンを切って、更に3/4馬身大外からイーデンホールが突っ込んでくる。ラスト150ｍを切って、パワーポケットはまだ先頭から６馬身差の７番手争いで、やはり厳しいかと思われたが、ここから大外ノンコノユメと共にグイグイ伸び脚を発揮。ラスト100ｍで、先頭はまだノースヒーローで、3/4馬身差でマイネルオフィール，イーデンホールの２頭が２番手争いから追ってくる。ここからは伸び脚のまさったイーデンホールがあっさり先頭。パワーポケットは、ラスト80ｍでノンコノユメに伸び負けてしまったが、先頭との差を詰めて行く。少し前で差し脚を発揮していたスピリッツセカンドに１馬身差まで詰めたところで、ここからは同じ伸び脚になるが、優勝争いには届きそうにないが、グイグイ差を詰めている。先頭イーデンホールは押し切り態勢で、ラスト50ｍでマイネルオフィールが２番手に上がったが、ゴール前で外から強襲したノンコノユメが２着に上がる。スピリッツセカンドを追うように伸びたパワーポケットは、ゴール寸前で逃げたノースヒーローを鼻差捉えてギリギリ５着食い込みのゴール。それでも勝ち馬からそれほど大きな差はなく、直線の伸び脚にも見どころがあった。鞍上の内田博騎手は、「終いに賭ける競馬をした。前の馬が出て来たのが痛かったけど、しっかりと伸びてくれたね。順調に使っていけば、チャンスは回ってくると思う。」とコメント。まだまだこれから成長が期待できるだけに、いずれ500万クラスでの勝利も狙えるはずだ。

●昨秋のジャパンＣでは、早目の進出で一瞬見せ場を作ったものの、結局１１着に終わったヒットザターゲット。昨年のＧ１挑戦は、着順的にはもうひとつだったかもしれないが、この馬がＧ２ではもちろん、Ｇ１でも十分戦えるレベルまで地力強化していることを確信した。その後は秋の激戦の疲れを癒すために、鳥取の大山ヒルズでリフレッシュ。ここ京都記念が年明け緒戦となる。ただ、今回はメンバーが相当に揃っているだけに、一筋縄ではいかない戦いを覚悟しなければならない。１番人気は、昨秋史上初のジャパンＣ２年連続制覇を成し遂げた歴史的名牝ジェンティルドンナで単勝1.6倍の断然人気。暮の有馬記念でオルフェーヴルが引退した今、現役最強馬はこの馬と言っても過言ではない。２番人気は、昨秋マイルチャンピオンシップでＧ１制覇を成し遂げたトーセンラーで単勝3.7倍。昨秋の京都大賞典では、ヒットザターゲットにかわされての３着だったが、Ｇ１を勝って来た勢いがある。３番人気は、まだキャリアが浅いながらも、昨秋のエリザベス女王杯で２着と好走したラキシスで単勝7.4倍。斤量面を考えると、男馬相手でも通用できておかしくない。ヒットザターゲットは、単勝28.7倍の５番人気。あくまで伏兵の評価に留まっているが、主役の地位に一歩でも近づきたい。年齢的にも６歳の今が、最後の勝負の１年になるかも。それだけに、この強敵相手でも互角の勝負を見せたいところだ。ただ、関東を中心に記録的な大雪被害が発生した中、京都でも雪の影響が残って渋った馬場になった点が割り引き材料となる可能性がある。

　レースでは、ヒットザターゲットはスタートは問題なく決めて、じっくり手綱を抑えて行く。外から手綱を押してデスペラードが先手を取る。押して行った分、ペースが速くなるのかと思われたが、すぐにスローの流れになる。２馬身差でアンコイルドが２番手，１馬身半差でトレイルブレイザー，ジェンティルドンナの３番手争い。更に２馬身半後ろの中団の外にトーセンラーがつけ、その２馬身後ろの後方２頭目の位置にヒットザターゲットで１角へ。１〜２角で、先頭デスペラード，２番手アンコイルド，３番手ジェンティルドンナが、それぞれ２馬身半の間隔。向正面では、３番手以下は固まっており、ヒットザターゲットはジェンティルドンナの５〜６馬身後ろの後方２頭目でじっくり脚を温存しているが、ここまで超スローのまま流れている。向正面の中間では、ジェンティルドンナがアンコイルドに１馬身差まで接近。ヒットザターゲットは先頭から７馬身差の位置で、内からじわっと行きかけたが、鞍上は行き過ぎないように手綱を抑える。３角では、先頭は依然としてデスペラードだが、１馬身半差でジェンティルドンナが２番手に上がると、ここから更に前に接近し、デスペラードの半馬身外につけ、以下もそれほど差のない態勢。３〜４角の中間では、今度はトゥザグローリーが大外をマクるように強気に進出し、ここからレースが動く。４角では、全馬が４馬身の圏内でまったくの一団。デスペラード，ジェンティルドンナ，トゥザグローリーの３頭の先頭争いだが、直線入口では意外にもジェンティルドンナが少し遅れを取る。ヒットザターゲットは、先頭から３馬身差の後方真ん中で、直線だけの瞬発力勝負の展開となったが、ここから果たして届くのか。

　直線に向くと、外トゥザグローリーが先頭に出るが、半馬身差で内デスペラードも盛り返してくる。3/4馬身遅れてジェンティルドンナは３番手で、更に半馬身差で外トーセンラーが突っ込んでくる。ヒットザターゲットはその２馬身半後ろで、進路をしっかり確保できていない感じで、追いながらも進路を探しながら徐々に外目に持ち出して行く。残り１ハロンで、先頭トゥザグローリーを、デスペラード，トーセンラーの２頭が内外から抜き去って、今度はこの２頭の争い。３番手トゥザグローリーから１馬身1/4差の４番手ジェンティルドンナを、内側からアンコイルド，ラキシスがかわして行く。これを１馬身差で外から追ってくるヒットザターゲット。ヒットザターゲットは、ラスト80ｍでジェンティルドンナ，トゥザグローリーの２頭をかわして５番手にまで上がると、アンコイルド，ラキシスの２頭にじわじわ迫ったが、極端な上がりの競馬ではさすがに厳しく、半馬身差まで詰め寄ったところがゴールで結局５着。優勝争いは、道中逃げを打ちながら直線に二の脚を使ってもうひと伸びしたデスペラードが優勝。ジェンティルドンナは、ヒットザターゲットに3/4馬身差の６着。５着に終わったヒットザターゲットだが、渋った馬場と、極端な上がりの決着では、ここまでが限界か。それでも、現役最強とも言われるジェンティルドンナに初めて先着して見せた。鞍上のＣ．デムーロ騎手は、「ラストはしっかり伸びてくれたが、スローだった分、ちょっともったいないレースになってしまったね。」とコメント。今回は満足のいく着順ではなかったが、Ｇ１クラスでもある程度通用する能力を改めて確信。この１年は、ヒットザターゲットにとって最大にして最後の勝負の年になりそうだ。

●前走Ｇ２京都記念では、スローの展開で追い込み切れずに５着に終わったヒットザターゲット。着順的には満足できるものではなかったが、内容は決して悪くなかった。しかしながら、春はどこを照準に置くのか、最適の大レースがないだけに、レースの選択が難しい。春の天皇賞も選択肢のひとつであり、長距離適性を見極める意味もあり、今回は阪神大賞典に駒を進める。１番人気は、ジャパンＣ１５着から、有馬記念では３着と巻き返してきたゴールドシップで単勝1.7倍。最強のオルフェーヴルとどちらが強いかとさえ言われていた馬だが、昨秋は不本意なシーズンに終わった。年が明けて馬に活気が蘇り、更には実績のある阪神コースで、自慢のスタミナで他馬を圧倒するのか。２番人気は、菊花賞２着の後、古馬との対戦となったＧ２日経新春杯を快勝したサトノノブレスで単勝4.3倍。３番人気は、菊花賞３着の後、前走準オープン戦を２馬身半差順当に楽勝してきたバンデで単勝4.5倍。ヒットザターゲットは、少しオッズは開いて単勝15.2倍の４番人気。ジャパンＣ以来の鞍上武豊騎手で臨む。安定味を増してきているが、特に阪神コースを苦手としているのが気掛かり。ここで阪神コースも克服し、更には長距離にもメドを立てたい。

　レースでは、ヒットザターゲットはスタートは五分に出るが、すぐに控えて後方。内ラチ沿いに入れて行こうという作戦か。スタートから１ハロンで、既に先頭から１０馬身の差がついている。バンデが先頭に立って１馬身のリード，エーシンスピーダーが２番手，２馬身半差で断然人気のゴールドシップ。１馬身差でアドマイヤラクティの順。１周目３角で、いつもは押っつけて行くゴールドシップが、引っ掛かって２番手に並んで行く。３〜４角にかけて隊列がばらけてきて、最後方に近いヒットザターゲットは、先頭までは１２馬身差。４角では、バンデが２馬身半リードの逃げ。ゴールドシップが引っ掛かって２番手で、最近にない闘志を見せて正面スタンド前へ。２馬身差でエーシンスピーダー，その後ろは６馬身と開いてサイモントルナーレ。以下はそれほどバラけず追走するが、最後方の内ラチ沿いヒットザターゲットは、サイモントルナーレから６馬身差の位置。ここまでペースはスローに流れている。１〜２角で、先頭バンデのリードは５馬身と広がってくる。ゴールドシップが２番手で、２馬身差でエーシンスピーダーが３番手。その後ろは８馬身と大きな差がついて、スローペースにもかかわらずかなり縦長の展開。向正面に入って、最後方のヒットザターゲットは、先頭から２５馬身ほどの大きな差がついていて、ペースを考えると、決して有利な展開とはなっていない。向正面の中間から、４番手以下の馬たちも徐々に差を詰めにかかるが、ヒットザターゲットは最後方のまま、一頭３馬身半置かれた位置。３角でも、先頭バンデは５馬身リードで、ゴールドシップは終始２番手をキープ。しかしながら、３〜４角の中間で、後ろのグループにいたアドマイヤラクティなどが一気に仕掛けて押し上げると、これに合わせてゴールドシップも動いて行く。ヒットザターゲットは、アドマイヤラクティの５馬身後ろ。４角で先頭バンデのリードはあっと言う間になくなって、ゴールドシップが楽々とかわして先頭に立つ。２番手バンデに、3/4馬身差でアドマイヤラクティ，サトノノブレスが取り付く。ヒットザターゲットはその３馬身後ろ、後方２頭目で外に持ち出す。ここでも手綱は持ったままで、どの馬よりもいちばん最後に追い出す形になって直線へ。

　直線に向くと、ゴールドシップが堂々と先頭に立って３馬身半のリード。この時点でもう勝負がついた形。２番手争いは、バンデと半馬身外のアドマイヤラクティの争い。残り250ｍで、１馬身半遅れた４番手サトノノブレスは、徐々に差を広げられて行く。サトノノブレスの後ろも差が開いているが、ラスト120ｍでヒットザターゲットが５番手に上がって、サトノノブレスまでは２馬身半差。それでも、２着争いと４番手サトノノブレスとの差はここから更に広がってしまう。ヒットザターゲットは、ゴール前でサトノノブレスにグイグイ迫ったが、それでも上位３頭との差は逆に開いてしまうような感じに。ヒットザターゲットの追撃も、サトノノブレスに首差届かず５着でのゴール。楽勝したゴールドシップからは、１０馬身もの差をつけられた。やはり阪神コースは、この馬には不向きな舞台。加えて展開も厳しく、3000ｍの距離適性も未知数だっただけに、この結果も仕方がないか。鞍上の武豊騎手は、「外枠だったし、内に入れるのにどうしてもあのポジションしか競馬ができないものね。枠がもう少し内だったら、あとワンポジション前につけることができた。それでも終いは来ているし、自分のレースはできたのでは。」とコメント。今回は残念な結果だったが、この馬向きの条件が揃えば、立場が逆転しても不思議はない。しかしながら、春はこの馬向きのＧ１レースがないだけに、路線の選び方が難しいのも事実だ。

●前走のＧ２阪神大賞典ではもうひとつ伸び切れずに５着に終わったヒットザターゲット。課題とされた長距離適性を云々する以前に、不得手の阪神コースで力を発揮できなかった印象。スタート後に落鉄していたことも影響はあったはず。前走は結果を出せなかったが、今回はＧ１天皇賞・春に挑戦。距離適性は微妙な判断になるが、速い時計の出る馬場は得意としているだけに、昨秋の京都大賞典勝ちの再現を密かに狙う。１番人気は、前走Ｇ２大阪杯を素晴らしい末脚で圧勝してきたダービー馬キズナで単勝1.7倍の断然人気。昨年秋フランスの凱旋門賞でも４着と健闘し、この秋も凱旋門賞再挑戦のプランがある。２番人気は、前走の阪神大賞典を圧勝したゴールドシップで単勝4.3倍。時計のかかる馬場では無敵の強さを誇るが、高速馬場を不安視するファンもいる。それでもひと頃より精神面で完全に立ち直り、Ｇ１を４勝している底力を発揮するか。３番人気は、前走日経賞を快勝し、約３年ぶりの勝利を飾ったウインバリアシオンで単勝6.5倍。勝利から長く遠ざかっていた馬で、歴史的名馬オルフェーヴルの前に幾度となくＧ１制覇の夢を阻まれていたが、オルフェーヴルが引退したことで、Ｇ１制覇へのチャンスが巡って来た。重度の脚部不安から復活を遂げた馬でもある。４番人気は、天皇賞・春連覇を目指すフェノーメノで単勝11.5倍。脚部不安で９カ月の休養を余儀なくされたが、休み明けだった前走日経賞の５着は度外視できる。ひと叩きされて、今度は本領を発揮してくるはず。オッズにやや開きはあるものの、この４頭が四強を形成する。ヒットザターゲットは、単勝206.5倍の１６番人気の低評価。陣営は、積極的に行くようなことも示唆しているが、これまで末脚勝負で実績を挙げている馬だけに、果たしていい結果に結び付くのか。密かに好走を期待するが、大敗を喫することも十分に考えられる挑戦となる。

　レースでは、ゴールドシップがゲート内で立ち上がったり興奮して、スタートで３馬身大きく立ち遅れて、スタンドからは悲鳴が上がる。ヒットザターゲットはスタートは悪くはなかったが、スタートは直後は先頭から４馬身差。サトノノブレスが先頭に立って、半馬身差でサイレントメロディが２番手だが、大から仕掛け気味に加速したヒットザターゲットが、１周目３角では３番手争いに押し上げてくる。３〜４角の中間では、アドマイヤフライトの方が先に行って、ヒットザターゲットは先頭から３馬身半差の４番手。４角では、フェノーメノは先頭から５〜６馬身差の中団。その４馬身後ろにウインバリアシオン。キズナは後方２頭目で、先頭からは１２〜１３馬身差。２馬身後ろにゴールドシップが最後方で正面スタンド前へ。ヒットザターゲットは、先頭から３馬身半差の３番手争いで、ペースは決して遅くないだけに、この積極的な作戦は裏目と出ないか不安が過ぎる。このあたり、隊列は固まって流れている。

　１〜２角で、先頭サトノノブレスに、今度はアスカクリチャンが半馬身差に馬体を併せに行って、これに3/4馬身差でヒットザターゲットは３番手で、前３頭が後ろを４馬身と離して行く。キズナは先頭から１７〜１８馬身の差で、かなり縦長の展開となっている。向正面に入って、フェノーメノは中団で先頭まで８馬身差。その６馬身後ろのウインバリアシオンは後方の位置。キズナは更に４馬身後ろで、２馬身差でゴールドシップは依然最後方だが、向正面の中間を過ぎると、ゴールドシップがじわっと押し上げて、キズナと差のない位置に取り付いて来る。このあたりでは隊列がやや詰まってきて、ゴールドシップも先頭まで１２馬身差。３角でも、先頭はサトノノブレスで１馬身のリード。アスカクリチャンが２番手で、１馬身半差でヒットザターゲットは３番手だが、３角を過ぎるとヒットザターゲットは前の馬との差が２馬身半と開く形となり、ここで少し手が動く。３〜４角の中間では、外からラストインパクトがかわして３番手に上がり、後ろの有力馬たちもそれほど差のないところまで差を詰めて来ており、この時点で４番手ヒットザターゲットはもう厳しい感じになってしまう。４角では馬群がかなり固まってきて、キズナの方がゴールドシップより先に仕掛けて押し上げる。アスカクリチャンが脱落し、ヒットザターゲットは先頭まで１馬身半差の３番手争いに何とか踏みとどまっていたが、もう余力はない手応え。１馬身後ろにはフェノーメノ，ウインバリアシオンが取り付いており、キズナも先頭まで４馬身差の射程圏内に追い上げる。その直後にゴールドシップの態勢で直線へ。

　直線に向くと、ヒットザターゲットはすぐに一杯になって失速。先頭サトノノブレスに、3/4馬身差でラストインパクトが２番手で、その後ろは２馬身半と差が開いている。残り300ｍでは、３番手争いは横に広がっているが、その中からフェノーメノ，ウインバリアシオンの四強のうちの２頭がグングン脚を伸ばしてくる。これに１馬身3/4差で大外キズナも突っ込んで来ている。その直後からゴールドシップも追って来る。残り１ハロンで、今度はフェノーメノ，ウインバリアシオンの２頭の叩き合い。キズナも来ているが、同じような脚。その後ろのゴールドシップも脚色は同じで、やはりスタートの出遅れが響いているか。ヒットザターゲットは、先頭から４馬身差の位置だが、既に中団後ろまで下がっている。ラスト150ｍで、フェノーメノがグイッと出て半馬身リード。ウインバリアシオンももう一度差し返そうと懸命に追っている。キズナは同じような脚色のまま、期待ほど伸び切れない。このままフェノーメノが押し切るかと思われたところ、中を突いて伏兵ホッコーブレーヴが一気に突っ込んで、ラスト80ｍでキズナをかわして先頭争いに加わって来る。ホッコーブレーヴもよく伸びたが、フェノーメノがそのまま押し切って、天皇賞・春２連覇を達成。首差で２着はウインバリアシオンがホッコーブレーヴの猛追を鼻差しのいだ。キズナは、直線ホッコーブレーヴにかわされたが、こういうシーンを見るのはファンにとっても初めてのこと。ゴールドシップは出遅れが応えたが、五分のスタートであれば勝ち負けになっていたかも。ヒットザターゲットは、最後は約１０馬身差の１５着でのゴール。結局大敗に終わってしまったヒットザターゲット。やはり、末脚勝負で実績を挙げて来た馬だけに、前に行く競馬は厳しかったか。ただ、３角過ぎで手応えが怪しくなったあたり、まったく見所がなかったのは残念だった。しかもレース後は北村友騎手が下馬するシーンも。レース中に落鉄はあったが、故障等はなくひと安心。鞍上の北村友騎手は、「外枠でしたが、出れば先行しようと思っていました。正面で外から来られて、少し折り合いを欠きましたが、その後はスムーズ。ただ、最後は一杯になってしまいましたね。」とコメント。今回は、相手も確かに強かったが、長距離も向かなかった印象もある。ひと頃の勢いを完全になくしてしまったが、またどこかで末脚炸裂の競馬を見せてほしい。

●Ｇ１天皇賞・春では１５着に大敗してしまったヒットザターゲット。前に行く競馬と距離適性が大敗の原因か。今回は３度目の宝塚記念挑戦となるが、過去２回は惨敗に終わっており、時計のかかる馬場に疑問符が付く。それでも意外性の馬で、大敗の後でも大きく巻き返してきたこれまでの戦歴から、ここでもあっと驚かせる激走を密かに期待したい。

　１番人気は、Ｇ２阪神大賞典を３馬身半差圧勝した後、期待されたＧ１天皇賞・春ではスタートで大きく出遅れて７着だったゴールドシップで単勝2.7倍。着差から計算しても、スタートが五分なら勝ち負けになっていた可能性もある。今回は無敵の強さを誇る阪神コースで、しかもレース前に降雨があって更に時計を要する馬場になり、ゴールドシップにとっては願ってもない有利な情勢になっている。Ｇ１通算４勝の実績がある。２番人気は、近３戦Ｇ１有馬記念２着，Ｇ２日経賞優勝，Ｇ１天皇賞・春では僅差の２着としているウインバリアシオンで単勝3.0倍。Ｇ１で２着４回というシルバーコレクターになってしまっているが、脚部不安による長期休養を乗り越え、悲願のＧ１制覇に燃えている。３番人気は、牝馬三冠を達成し、ジャパンＣ２連覇，そして前走Ｇ１ドバイシーマクラシック優勝という輝かしい実績を持つ名牝ジェンティルドンナで単勝4.1倍。海外遠征明けがどう出るか。その他では、オークス，秋花賞，エリザベス女王杯と牝馬Ｇ１で３勝を挙げ、前走Ｇ１ヴィクトリアマイルでも僅差の２着としているメイショウマンボが４番人気。前走Ｇ１天皇賞・春ではキズナ，ゴールドシップという一流馬を抜き去って直線猛追して僅差の３着と健闘を見せたホッコーブレーヴが５番人気。更には、前年のジャパンＣでは鼻差２着だったデニムアンドルビー，前走でＧ１ヴィクトリアマイル２連覇を果たしたヴィルシーナ。天皇賞・秋の覇者でＧ１の常連のトーセンジョーダンなどの実績馬たちが揃ってのレース。ヒットザターゲットは、単勝70.9倍の最低の１２番人気。ほとんどのファンには見限られても、陣営は決して諦めていない。また天才武豊騎手とのコンビに戻り、豊マジックで直線豪快に追い込んでくるシーンをイメージして一発逆転に賭ける。

　 レースでは、ヒットザターゲットは五分に近いスタートを切って、じっくり後方に控える競馬。中からじわっとヴィルシーナが先頭。大外をスーツと押し上げたフェイムゲームが半馬身差の２番手。3/4馬身差でカレンミロティック，１馬身差で手綱を抑えながらジェンティルドンナが４番手。２馬身開いてメイショウマンボ以下。ここで大外をグーンとゴールドシップが押し上げて、ジェンティルドンナの直後の大外につける。ヒットザターゲットは、ジェンティルドンナの５馬身後ろの最後方待機で、インを通る形で１角へ。１〜２角で、ヒットザターゲットは先頭から１０馬身近い位置で、トーセンジョーダン，ヴェルデグリーンと並んで最後方の争い。ヴィルシーナが先頭で１馬身リード，フェイムゲームが２番手で向正面へ。１馬身差でカレンミロティック，半馬身外にゴールドシップが４番手。3/4馬身差で中にジェンティルドンナの順。このあたりでは比較的固まって隊列も落ち着いて、ヒットザターゲットは先頭から７馬身差の後方２，３頭目でじっくり構えている。向正面の中間でも、ヒットザターゲットは終始内々を回り、ウインバリアシオンと並んで後方２，３頭目。３角でも、依然ヴィルシーナが先頭。3/4馬身差でフェイムゲームが２番手。１馬身3/4差でカレンミロティックが３番手，半馬身差で内々デニムアンドルビー，外ゴールドシップの２頭が追走する。３〜４角の中間では、２馬身開いてジェンティルドンナが６番手だが、早くも手が動いていて、行きっぷりはもうひとつか。ヒットザターゲットは、更に２馬身半後ろの後方内ラチ沿いだが、ここから少し仕掛けて行く。４角では、ヴィルシーナ，フェイムゲームの２頭並んでの先頭争い。１馬身1/4差でデニムアンドルビー，カレンミロティックの２頭。その半馬身外にゴールドシップがここからゴーサインを出される。１馬身半差でホッコーブレーヴ，ジェンティルドンナの２頭。その後ろ１馬身半差で内からヒットザターゲットで、ここでは十分脚が溜まっている手応え。同じような位置の大外にウインバリアシオン。全馬がほぼ一団に固まっているが、ヒットザターゲットはオープンでは実績を残せていないこの重い馬場で、果たして切れ味を発揮することができるのか。

　 直線に向くと、ヴィルシーナ，フェイムゲームの先頭争いに、外からじわじわ並んでくるゴールドシップ。ヒットザターゲットは、前を行くホッコーブレーヴの内側の内ラチ沿いを突いたが、このまま伸びて行くと進路がなくなると判断した武豊騎手は、一杯に追わずに少し抑えて下げながら、残り１ハロンでホッコーブレーヴの外側に進路を取る。ここから斜めに走って真ん中まで持ち出して、残り１ハロンを切ってから一杯に追い出される。この時点では、ジェンティルドンナ、メイショウマンボ，ウインバリアシオンと並ぶような形の６番手争い。この間にゴールドシップは先頭に抜け出して、ラスト150ｍでは１馬身リード。ヴィルシーナが２番手で踏ん張り、半馬身差でカレンミロティックが追ってくる。更に半馬身差でフェイムゲーム，デニムアンドルビーの２頭。3/4馬身差で内のホッコーブレーヴは前が壁になって、これから見ても、ヒットザターゲットが外へ進路を切り替えたのは正解だった。１馬身1/4差後ろから、ヒットザターゲットがジェンティルドンナ，ウインバリアシオンなどを突き放して、２番手争いの馬たちに襲いかかる。ラスト100ｍで、先頭ゴールドシップは、２馬身1/4差抜けて勝負を決める。混戦の２番手争いから、中からカレンミロティックが抜け出てくる。ヒットザターゲットは、更に２馬身半後ろの６番手で、ホッコーブレーヴをかわして５番手に上がると、ここから更に前に迫ってくる。３番手で粘るヴィルシーナにデニムアンドルビーがじわじわ詰め寄ったが、そこへ外から突っ込んだヒットザターゲット。脚色は内の２頭より完全にまさっており、最後３頭が並ぶような態勢の３着争いにまで持ち込んだところがゴール。最内ヴィルシーナには惜しくも首差届かなかったが、デニムアンドルビーを鼻差捉えて４着と、Ｇ１挑戦６度目にして初入着となった。

　 直線スムーズに前を捌けていれば、あるいは直線に向いたところでホッコーブレーヴの外に進路を取っていれば間違いなく３着はあっただけに残念だったが、終始内ラチ沿いを通って、内が詰まるリスクと隣り合わせの賭けの競馬だっただけに。むしろこのままでは詰まると見て残り１ハロンで進路を外へ切り替えた武豊騎手の判断は正解だった。意外性の馬らしい激走を見せてくれた。年が明けてからの競馬ですっかり評価が下がっていたが、力を出せる形になれば、Ｇ１でも上位に食い込める力を証明して見せた。鞍上の武豊騎手は、「内々で我慢して終いに賭けました。内は開かないと思ったので直線は外に切り替えたら、中がきれいに開きました。もう少しで３着でしたね。」とコメント。ついにＧ１入着を果たしたヒットザターゲット。力を出せるのか出せないのか読めない部分のある馬だが、この秋のＧ１制覇の夢に希望を繋いだのは事実。悲願達成へ向けての挑戦は、決して諦めることなくこれからも続く。

●春のＧ１宝塚記念で４着に食い込んだヒットザターゲット。Ｇ１挑戦６度目にしてのＧ１初入着となったが、秋の活躍に期待が膨らんだのも事実。夏場は大山ヒルズでリフレッシュ放牧され、秋は予定通りこの京都大賞典から始動。昨年はこのレースを強靭な末脚で勝利しているが、今回は２連覇を目指すとともに、秋のＧ１に向けて希望を膨らませたい。１番人気は、昨秋のＧ１マイルチャンピオンシップの覇者トーセンラーで単勝2.6倍。年が明けてからは、Ｇ２京都記念２着の後、安田記念では道悪に苦しんで１４着に沈んだが、今回は順調な調整過程で秋緒戦を迎える。２番人気は、牝馬Ｇ１を３勝の実績を持つメイショウマンボで単勝4.7倍。この春は、Ｇ１ヴィクトリアマイルで２着に惜敗した後、Ｇ１宝塚記念では４番人気で１１着に終わっている。今回は実績のある京都コースで本領を発揮してくるか。３番人気は、前走Ｇ３新潟記念３着のラストインパクトで単勝5.2倍。Ｇ１菊花賞４着，Ｇ３小倉大賞典優勝，Ｇ２で３着が２度あるなど、重賞で活躍を続けている馬。他の有力馬たちが秋緒戦なのに対して、夏競馬を使われてきたという点での有利さはある。ヒットザターゲットは、単勝8.1倍の４番人気。昨年の京都大賞典では、ヒットザターゲットはトーセンラーを撃破している。それから考えても、展開次第の面はあっても、ヒットザターゲットの勝利の可能性は十分にある。

　 レースでは、ヒットザターゲットは若干立ち遅れた感じで、後方の位置で大外から徐々に内の方に入って行く。大外トゥザグローリーがまず出てくるが、中からタマモベストプレイが先頭に立って１馬身のリード。トゥザグローリーが２番手で、半馬身差でヴィクトリースター，デスペラードの２頭。これに差なくラストインパクトなど。トーセンラーは、先頭から５馬身差の中団。ヒットザターゲットは更に５馬身後ろの後方２頭目につけていて、このあたりはゆったりした流れ。１〜２角で、トゥザグローリーが先頭に立って、リードを４馬身，５馬身と開いて行く。タマモベストプレイが２番手で、１馬身差でラストインパクト。向正面に入って、トーセンラーは更に４馬身後ろの中団で、これに１馬身差でメイショウマンボ。ヒットザターゲットは更に５馬身後ろで終始後方２頭目。前の馬からは２馬身半差があって、一頭ポツンと追走する形。向正面の中間を過ぎると、先頭トゥザグローリーのリードは８馬身と広がって、タマモベストプレイが２番手。４馬身差でラストインパクトが３番手で、その後ろは３馬身差で４番手以下の集団。ヒットザターゲットは４番手の馬からも８馬身差があって、先頭からは２０馬身以上の大きな差がついてしまっている。３角でもほとんど隊列は変わらないが、ヒットザターゲットもさすがにここからじわっと差を詰めにかかる。前の方はかなりバラけていたが、３〜４角の中間で徐々に差が縮まってくる。４番手から２馬身差の馬群の真ん中にトーセンラー。ヒットザターゲットはその１馬身半後ろまで取り付いてくる。４角では、先頭トゥザグローリーに、タマモベストプレイが２馬身差まで詰めてくる。３馬身差でラストインパクトが３番手，２馬身半差で４番手デスペラード以下は一団。４番手から２馬身差の真ん中にトーセンラー，その3/4馬身外にヒットザターゲットで直線へ。

　 直線に向くと、先頭トゥザグローリーが逃げ込みを図るが、残り300ｍでタマモベストプレイが3/4馬身差に詰めてくる。２馬身差でラストインパクトが３番手で、４馬身差で４番手争いの集団。ヒットザターゲットも、メイショウマンボなどをかわして徐々に押し上げる。残り１ハロンで、今度はタマモベストプレイが先頭。半馬身差で内トゥザグローリーが２番手だが、これを外からラストインパクトがかわしにかかる。４馬身差でトーセンラーが４番手に上がり、その半馬身外からヒットザターゲットも追い込んでくる。ラスト100ｍを切って、今度はラストインパクトが先頭だが、内でタマモベストプレイも食い下がっての叩き合い。3/4馬身差でトゥザグローリーが３番手だが、２馬身後ろからトーセンラーが伸びてくる。ヒットザターゲットも切れ味を発揮するが、トーセンラーに半馬身差で同じような伸び脚。トーセンラーとヒットザターゲットの２頭は、ゴール前でトゥザグローリーを並ぶ間もなく抜き去ったが、ヒットザターゲットは最後トーセンラーに詰め寄ったものの、首差及ばず４着でゴール。優勝したラストインパクトからは２馬身1/4差だった。 直線よく追い込んだものの、スローの競馬で差し届かなかったヒットザターゲット。前の馬がバラけてしまって、後続勢もなかなか動かなかっただけに、ヒットザターゲットも金縛り状態になってしまった形。直線入口で既に相当厳しい態勢になっていただけに、展開が向かずに残念な結果。それでも直線いちばん外から見せた脚には迫力があった。メンバー最速の上がり33.5秒の時計も十分評価できる。鞍上の岩田騎手は、「枠順が逆ならもうひとつ、ふたつ前のポジションを取れたはず。終いは来ているけどね。折り合ってうまく走ってくれた。やはり走る馬。」とコメント。負けたとは言え、十分に実力は示してくれた。この秋の活躍を予感させる走りだった。

●前哨戦の京都大賞典ではよく追い込んできたものの４着だったヒットザターゲット。追い込み不向きの展開で残念な結果だったが、直線３着のトーセンラーに襲いかかった脚は迫力十分だった。今回は昨年に続きＧ１天皇賞・秋に挑戦する。歴戦の猛者が一同に会する一戦だけに人気は低いが、鞍上に武豊騎手を迎え、一発逆転勝利を狙う。１番人気は、３歳馬で皐月賞馬のイスラボニータで単勝2.8倍。ダービーでは惜敗の２着に敗れたが、前走秋緒戦のセントライト記念を危なげなく楽勝して、３歳馬の天皇賞制覇を目指す。全成績は 6-2-0-0 で絶対に崩れない安定性があり、斤量的にも有利に戦える。２番人気は、Ｇ１を６勝の歴史的名牝ジェンティルドンナで単勝4.7倍。春はドバイシーマクラシックで遂に海外Ｇ１制覇を成し遂げた。その後の宝塚記念Ｇ１では９着と振るわなかったが、夏場に立て直しを図り、ここを目標に仕上げてきた。３番人気は、天皇賞・春Ｇ１を連覇したフェノーメノで単勝4.9倍。宝塚記念には使えなかったが、秋はここに照準を当てて態勢を整えてきた。東京コースは、日本ダービーで鼻差２着，天皇賞・秋で半馬身差の２着と相性もいい。ヒットザターゲットは、単勝34.6倍の１０番人気。出走１８頭中１７頭が重賞勝ち馬で、層の厚いメンバーの中で相対的に評価は低くなってしまっているが、一発逆転の可能性を常に秘めた馬。武豊騎手も、レース前の取材で「侮っちゃダメですよ。」とニヤリ。このメンバーでも激走してくれる可能性は十分あるはずだ。

　 レースでは、ヒットザターゲットはスタートはまずまずで、内枠ということもあって少しずつ後方の位置取りに。すぐに２角に入ると、後方３頭目に。カレンブラックヒルが先頭に立って、3/4馬身差でマイネルラクリマが２番手。１馬身差で内ジェンティルドンナ，１馬身差でサトノノブレス。これに１馬身1/4差で大外イスラボニータなどが５番手争い。ここから３馬身後ろの後方のインにスピルバーグ。その１馬身半後ろの後方３頭目がヒットザターゲットの態勢。向正面に入って、ヒットザターゲットは先頭まで１０馬身差。このあたりは平均ペースで流れている。２番手マイネルラクリマの後ろは２馬身半と開いていたが、３番手ジェンティルドンナがすぐに3/4馬身差に詰めて行く。その半馬身外にイスラボニータが早くもじわっと押し上げる。ヒットザターゲットはじっとして動かない。隊列は固まって変動なく、残り1000ｍの地点では、ヒットザターゲットはスピルバーグと並んで、先頭までは９馬身差。３角では、スピルバーグの方が外を回ってじわっと押し上げるが、ヒットザターゲットは内々で動けない位置でもあったが、じっと脚をタメて末脚に懸ける競馬。前の方の態勢は変わらず、ジェンティルドンナは先頭から１馬身3/4差の３番手，その外首差でイスラボニータがほぼ並ぶ位置。３〜４角の中間では、ヒットザターゲットはスピルバーグの１馬身半後ろの内ラチ沿いで、ここでもまだ動かない。４角では、先頭は終始カレンブラックヒル，3/4馬身差でマイネルラクリマが２番手。3/4馬身差で外イスラボニータが３番手となり、内々半馬身差でジェンティルドンナは４番手。以下も一団に固まって、スピルバーグが先頭から６馬身差の後方大外。これに１馬身差でヒットザターゲットは中を突く形になっているが、前はゴチャゴチャの馬群がひしめいて、武豊騎手はここを抜けて来られるのか。

　 直線に向くと、ヒットザターゲットは前にフェノーメノなどがいて、手綱を引くほどではないものの、一杯には追い出せない状態。その間に、フェノーメノの外側を一杯に追い出されたスピルバーグが、一気の差し脚を繰り出して行く。残り300ｍで、先頭にはカレンブラックヒルが粘っているが、ここでイスラボニータが２番手に上がり、内々半馬身差でジェンティルドンナが３番手。まだ後方のヒットザターゲットは、大外のスピルバーグが先に行くのを待って、すぐ後ろの外側のフラガラッハの進路を妨害しないように気を遣いながら、伸びを欠いているフェノーメノの外側にじわじわ持ち出して、ここでようやく進路を確保し、ここからいよいよラストスパートの態勢に。しかしながら、この時点で既にスピルバーグに１馬身3/4差先に行かれている。残り250ｍで、今度はイスラボニータが僅かに先頭。残り１ハロンを切ったところでヒットザターゲットは、既にトップスピードに乗っていたスピルバーグに３馬身先に行かれてしまい、ここでもまだ後方。スピルバーグは先頭まで３馬身差まで追い上げている。ラスト150ｍを切って、今度はジェンティルドンナが内ラチ沿いを２番手に上がろうかという態勢で先頭に半馬身差。ヒットザターゲットもトップギア入って、ここから猛然と前の馬たちに襲いかかる。じわじわジェンティルドンナが脚を伸ばし、ラスト70ｍでイスラボニータをかわして先頭。そこへ素晴らしい伸び脚で襲いかかって来たスピルバーグ。ヒットザターゲットは、ラス100ｍでは４番手から１馬身3/4差，先頭からは３馬身差まで差を詰めると、ここからはスピルバーグを上回る伸び脚を繰り出す。４番手以下は大混戦となる中、大外から豪快に追い込んだヒットザターゲットが４着争いに並びかけたところがゴール。ゴール寸前でエピファネイア，デニムアンドルビーなどを抜き去ったが、ラブイズブーシェは鼻差捉え切れず５着。勢いは断然上回っており、あともう一瞬で４着のあったレースだった。優勝争いは、ラスト20ｍでジェンティルドンナ，イスラボニータを抜き去ったがスピルバーグが、長期休養などを経ながら、重賞初制覇をＧ１制覇で飾った。ヒットザターゲットは、最後はスピルバーグとの差を１馬身半馬差まで詰めていた。

　 直線で前が塞がって追い出しが遅れた感もあるヒットザターゲット。あれほどの切れ味で伸びるスピルバーグを先に行かせる形になっては、さすがに勝つまでは難しい。前が詰まるリスクを覚悟の競馬だったが、もう少し運があればもっと際どくなっていたはず。あるいは、２着さえ可能性があったのではと思わせる内容だった。鞍上の武豊騎手は、「内はゴチャつきそうだったので、外に進路を切り替えて、勝った馬を追いかけるような形で動いて行ったんだけど、よく頑張ってくれたね。折り合えば確実に脚を使ってくれるし、本当に力をつけているよ。」とコメント。レース後の自身の日記でも、「６歳になってからさらに力をつけています。近いうちにデッカい仕事をしてくれるかもしれません。」と、Ｇ１制覇さえ期待を抱く書き込みがあった。健闘でもあり惜しくもあった今回の天皇賞だが、これまで抱いてきたＧ１制覇という夢も、現実味を持ったものに実感できたという点で、大きな意味を持つ一戦となった。この後はジャパンＣを目標に据えるが、天皇賞上位組がこぞって出走の意向で、これに凱旋門賞遠征組も加わって、あり得ないほどの層の厚いハイレベルの一戦となると見られている。その世紀の一戦なら、強敵相手で容易ではないとは言え、ヒットザターゲットがＧ１制覇を成し遂げるのに最高の舞台となるに違いない。

●前走Ｇ１天皇賞・秋では豪快な追い込みで５着に食い込んだヒットザターゲット。しかも、直線進路がなくて仕掛けが遅れてのもので、少し脚を余していた感もあった。それだけに、今回のジャパンＣにも期待がかかる。しかしながら、メンバーの揃っていた天皇賞組に加え、凱旋門賞参戦組やこの年のダービー馬，更に外国馬勢も加わって、史上空前とも称されるほどの物凄いメンバーが集結。これだけの豪華メンバーの中に入っても、武豊騎手は「一発を狙う」と期待のコメント。１番人気は、天皇賞・秋では２着だった歴史的名牝のジェンティルドンナで単勝3.6倍。秋２走目で更に前進できるはず。２番人気は、あのブエナビスタ級と評される３歳最強牝馬ハープスターで単勝4.1倍。前走フランス遠征した凱旋門賞では、後方のいちばん大外から追い込んで６着に終わったが、直線の追い込みには迫力があった。前々走のＧ２札幌記念では、最強古馬ゴールドシップとの一騎打ちに快勝しており、古馬男馬相手でも一切遜色はないことを既に証明している。３番人気は、世界最高ランキングのジャスタウェイで単勝6.7倍。昨年の天皇賞・秋〜ドバイデューティフリー，安田記念まで４連勝した後、フランス遠征の凱旋門賞では８着に終わったが、走り慣れた日本のコースなら、実力的には最右翼と言っていい。４番人気は、前年の菊花賞馬のエピファネイアで単勝8.9倍。天皇賞は折り合いを欠いて６着で、ヒットザターゲットの方が先着している。他には、天皇賞・秋の覇者スピルバーグ，天皇賞・春連覇のフェノーメノ，この年のダービー馬ワンアンドオンリー，この年の皐月賞馬で天皇賞・秋では１番人気で３着だったイスラボニータと、実力の拮抗した最強クラスの馬たちがズラリ勢揃い。ヒットザターゲットは、単勝45.5倍で上に挙げた最強クラスの面々に続く１０番人気。ただ、前日に雨が降って午前中は稍重の馬場。午後からは良馬場になったが水分の残った馬場で、連続開催で荒れてきていることも重なって、ヒットザターゲットには不向きなスタミナを要する馬場になった点だけが気掛かり。それでも、直線の大逆転を密かに狙って行く。

　 レースでは、ヒットザターゲットはスタートはまずまずで、いつものように控える競馬。サトノシュレンが先頭に立って２馬身のリード。タマモベストプレイが２番手で、１馬身差でエピファネイア，アンコイルドの３番手争い。その後ろは実力馬がひしめいて、ヒットザターゲットは、先頭から８馬身差で後方から。１〜２角では、ヒットザターゲットはハープスターから ２馬身半後ろで、先頭までは１０馬身差。向正面では、先頭サトノシュレンは淀みのない流れで逃げを打つが、２番手エピファネイア，タマモベストプレイが１馬身半差でぴったり続く。3/4馬身差でアンコイルド，１馬身1/4差で天皇賞馬トーセンジョーダンとアイルランドのトレーディングレザーの２頭。3/4馬身内にジェンティルドンナの順。１馬身半差でイスラボニータ，半馬身内にジャスタウェイ，１馬身1/4差でワンアンドオンリーなど。このあたり、ドイツのアイヴァンホウもほとんど差はない。その２馬身後ろにハープスターとフェノーメノ。その後ろは４馬身開いて、ここにヒットザターゲットで後方４頭目。半馬身外にはスピルバーグの態勢。３角手前では、ヒットザターゲットは前の馬に追いついてくるが、それでも３角でも先頭まで１５馬身ほどの差がある。縦長の展開になっているが、３〜４角の中間から徐々に馬群が詰まってくると、スピルバーグの方がヒットザターゲットより先に動いて行く。ここでトレーディングレザーが粉砕骨折で競走中止の不運に見舞われてしまう。４角では馬群が固まってくる。今度はタマモベストプレイが先頭に替わって、3/4馬身差でエピファネイア，アンコイルドの２番手争い。１馬身半差でジェンティルドンナ，イスラボニータで、その後ろも差なく続いている。ヒットザターゲットも、終始内々を通って先頭まで６馬身差まで詰めてくるが、ここまでペースが緩むことなく流れていることもあって、それほど手応えは良くない感じで直線へ。

　 直線に向くと、残り400ｍで手綱を持ったままでエピファネイアが先頭。ここから追い出しにかかって、残り300ｍでは一頭２馬身1/4差抜けている。２番手で粘るタマモベストプレイに、１馬身1/4差でジェンティルドンナ，イスラボニータ，ジャスタウェイの３頭が並んで追って来る。更に１馬身半差で最内アイヴァンホウ，中フェノーメノ，外ワンアンドオンリーが並ぶような態勢で、少し遅れてスピルバーグが中を突いてきて、大外からはハープスターの追い込み。ここから３馬身後ろの後方にヒットザターゲットだが、内から徐々に中に持ち出して行くが、尻尾を振るなどして伸びを欠いて、後ろにいた大外デニムアドルビーにもかわされてしまう。ヒットザターゲットは、残り250ｍでトーセンジョーダンをかわしたが、もう既に余力はない。残り１ハロンで先頭エピファネイアは、戦前の激戦の叩き合いの予想を覆して、４馬身リードで既に楽勝態勢。ジャスタウェイが２番手で、半馬身差でジェンティルドンナが３番手。ここからはこの３頭は同じような脚色で、ラスト100ｍでスピルバーグがジェンティルドンナをかわして３番手にまで上がったが、伸び脚もそこまで。断然の強さを見せるつけるエピファネイアは、そのまま４馬身リードで圧勝のゴール。ヒットザターゲットは、余力のないまま１２着でのゴール。最強クラスの中でいちばん後ろの入線だった９着のイスラボニータからも５馬身余りのの差があった。今回は良馬場でも緩い馬場でヒットザターゲット向きでなかったところへ、この馬場にしてはとてつもなく速いタイムの決着。緩むことのない流れの中で脚をタメられず、この馬の持ち味が生きなかった。切れ味で勝負する馬で、スタミナ勝負となった今回は、もっとも厳しい形になってしまった。鞍上の武豊騎手は、「この馬にはペース，時計が速過ぎますね。この馬場で２３秒台はちょっと異常です。もっとペースが緩んで、２５秒台の決着になってほしかったですね。」とコメント。こういう形になっては、手の打ちようがなかった。せめて高速馬場であればもっと踏ん張れたが、スタミナを完全に消耗してしまった。今回は残念な結果だったが、あくまで条件付きではあるが、強い馬が相手でも好勝負できる力は持っている馬なのは間違いないだけに、巻き返しを期待したい。

●ＪＲＡ２勝のウルトラスキーを母に持つフジノゴトク。姉フヨウは1000万クラスを勝ち上がっているが、その姉を超えるような活躍を期待したいところ。しかしながら、前走の新馬デビュー戦では、勝ち馬から７馬身差の７着と見せ場を作れず。ひと叩きされた今回は、変わり身を見せてほしい。１番人気は、デビューから３戦連続２着と実力を見せているキネオペガサスで単勝1.3倍の圧倒的人気。他馬との比較では、断然実績上位。２番人気は、前走新馬デビュー戦では２番人気で７着だったファドーグで単勝7.8倍。芝からダートに替わって変わり身を見せるか。フジノゴトクは、単勝15.7倍の４番人気。キネオペガサスはかなり手強いが、それ以外となら決して差はないはずだ。

●デビュー２戦目の前走で大きな変わり身を見せ、後方から追い込んで２着と好走したフジノゴトク。３着以下を８馬身も引き離し、走破時計も古馬500万クラスで勝ち負けできるレベル。今回はその能力の高さが買われ、単勝2.5倍の１番人気の支持を得る。２番人気は、前走新馬デビュー戦で３着だったメタフィジクスで単勝4.4倍。３番人気は、近４戦で２着３回と惜敗を続けているキンショーウズシオで単勝5.3倍。前走は鼻差の惜敗で、３着以下には３馬身半の差をつけていた。ライバルたちもかなり手強いが、フジノゴトクにはあっさり初勝利を決めてほしい。

●２戦連続２着と惜しい競馬が続くフジノゴトク。その実力は疑いようがないだけに、今度こそ何とか勝利を決めたい。そして、フジノゴトクが単勝2.0倍の１番人気に支持される。２番人気は、デビューからの３戦をすべて３着と堅実なレースを続けているオウトラヴェスで単勝3.9倍。実力的にも侮れない存在。３番人気は、初ダートの前走で４着と適性を発揮してきたダノンブロンコで単勝5.6倍。油断はできないものの、フジノゴトクが勝利にいちばん近い位置にいるのは間違いない。

　レースでは、フジノゴトクはスタートをうまく決めて、それでもじっくり中団からの競馬。まずオーバーテイクが出るが、内からゴールドクレセントがかわして行く。先頭から１馬身半ほどの差の３番手にトーセンソユーズ，ナカヤマボルト。オウトラヴェスは先頭から２馬身半差の位置。フジノゴトクは、先頭から４〜５馬身差の中団で、揉まれることなく気分よく追走できている。３角では、フジノゴトクは引っ掛かってしまっているが、行き過ぎないように宥めており、３〜４角の中間でも、先頭までの距離は変わっていない。４角では、先頭ゴールドクレセント，ナカヤマボルト，オーバーテイクの前３頭が、それぞれ首差の間隔。一団に固まってきて、中団大外のフジノゴトクも、先頭まで３馬身半差の射程圏内に取り付いて直線へ。

　直線に向くと、前の方は横に広がった争い。大外からタマユラが伸びて来て、残り400ｍで先頭に抜け出して来る。デビュー当時は人気になりながら結果を残せていなかったタマユラだが、ここに来て変わり身を見せた感。しかしながら、フジノゴトクもすぐに伸び脚を発揮して、タマユラの3/4馬身外に取り付いてくる。残り350ｍからは、タマユラ、フジノゴトクの２頭の争いに、内半馬身差でビバホープが食い下がる。残り１ハロンでも前３頭の態勢は変わらず、激しい叩き合いとなり、４番手以下は３馬身と開いて、前３頭の勝負に絞られた。残り１ハロンを切ったところで、ビバホープが力尽きて失速。タマユラも執拗に食い下がったが、ラスト150ｍを切って、フジノゴトクが捻じ伏せるように先頭。ラスト100ｍでもタマユラが首差で食い下がったが、ここからグイッと完全に競り落として、最後は１馬身1/4差抜けて快勝ゴール。２着を２度続けて悔しい思いをしてきたが、今回はキッチリ決めてくれた。鞍上の北村宏騎手は、「今日はスタートが決まったことで、折り合いがつけやすかったですね。道中リラックスして走れたことで、最後も反応してよく伸びてくれました。」とコメント。なかなか奥が深そうな馬だけに、昇級後の活躍も楽しみだ。

●デビュー４戦目で嬉しい初勝利を飾ったフジノゴトク。順当な勝利を飾ったが、昇級緒戦の500万下平場戦は、２番人気に支持されたものの精彩を欠く８着。その後２カ月半の間隔を開けてリフレッシュされ、今度は実力発揮を期待。１番人気は、近２走平場戦２着，山藤賞５着としているジャッカスバークで単勝2.7倍。２番人気は、Ｇ３共同通信杯では１３着に終わったが、前走平場戦では４着と上位争いをしたアスペンツリーで単勝3.5倍。500万クラスでは、鼻差２着の成績もある。フジノゴトクは、単勝11.1倍の４番人気。それほど実力差があるとは思われないだけに、フジノゴトクが実力さえ出せるなら、好勝負できて当然だ。

●前走ついに悲願のＪＲＡ初勝利を成し遂げたブライトエルフ。地方から再転入して惜敗が続いたが、やっと努力が報われた。それでも、これが目指すゴール地点という訳ではなく、1000万クラスに昇級しても、好勝負を期待。１番人気は、前走500万クラス２勝目を挙げて昇級してきたサイモンガーランドで単勝2.9倍。２番人気は、前走500万下平場戦を人気薄で勝ち上がってきたシャスターデイジーで単勝4.9倍。1000万クラスの入着圏内の成績を挙げている馬よりも、昇級組の方が人気になっている。ブライトエルフは、単勝8.0倍の５番人気。相手なりに走れるタイプでもあり、いきなり勝ち負けの競馬も十分可能だ。

　レースでは、ブライトエルフはスタートは五分に出て、手綱を押して行くが中団後ろの位置。前４頭の先頭争いから、タガノミューチャンがじわっと先頭。半馬身差でシャスターデイジー，サイモンガーランド，モンシュシュの上位人気勢が差なく続く。ブライトエルフは先頭まで７馬身差，その半馬身外にデルマイザナミの態勢で１角へ。１〜２角では、サイモンガーランドが単独２番手で、向正面では縦長の展開に。２番手サイモンガーランドの後ろは２馬身半と開いてくる。ブライトエルフは後方で、先頭までは１２馬身差。そんな中、向正面の中間を過ぎて、サイモンガーランドは手応えが悪くなり、やがて異常な感じで脱落。結局、心房細動で競走中止となる。一方、ブライトエルフはインからスッと順位を上げて行く。３角では、先頭タガノミューチャンのリードは２馬身半。ブライトエルフは、２番手から２馬身半差の位置まで押し上げて来ている。伏兵デルマイザナミは動かずにじっくり構えて、ブライトエルフの３馬身後ろで依然後方。３〜４角の中間では、先頭タガノミューチャンに、モンシュシュが１馬身差に接近。その半馬身外の３番手にクローバーリーフ。シャスターデイジーも接近するが、その後ろの内目のブライトエルフは包まれたような形になって、ここでは脚をタメている。４角では、シャスターデイジーは後退し、ブライトエルフはモンシュシュをかわして４番手まで上がって、先頭までは３馬身差。後方でをタメていたデルマイザナミが、ブライトエルフの２馬身後ろで、手応えよく虎視眈々逆転を狙って直線へ。

　直線に向くと、先頭タガノミューチャンに外から並んでくるクローバーリーフ。更に半馬身外アグネスダリムも先頭を窺う。残り１ハロンで、その１馬身半後ろからブライトエルフが追ってくる。その後ろの外からデルマイザナミも末脚を発揮。ラスト150ｍを切って、今度はクローバーリーフが先頭。ラスト100ｍでも、ブライトエルフは先頭から２馬身差の４番手で、なかなか伸び切れない感じもあったが、ここからようやくグイグイ伸びてくる。しかしながら、それ以上の伸び脚はデルマイザナミで、ブライトエルフなどを抜き去って、ラスト30ｍでは一気に先頭までは突き抜ける。ブライトエルフは、デルマイザナミほどの脚ではなかったものの最後はよく伸びて、ゴール前でクローバーリーフをキッチリ3/4馬身捉えて２着確保のゴール。優勝したデルマイザナミからは１馬身差だった。昇級組が人気を集めていたが、結局は1000万クラスで１１戦して入着５回のデルマイザナミが、経験でまさった感。それでも、ブライトエルフも昇級緒戦でいきなり２着というのは、大いに評価していい。鞍上の和田騎手は、「ペースが速かったので自分のリズムで運びました。勝ち馬の決め手には屈しましたが、この馬もしっかりと伸びていましたし、力をつけていると思います。」とコメント。相手なりに走れるとの陣営の見立てどおり、1000万クラスにもメドを立て、今後に期待が更に膨らんだ。

●1000万クラス昇級緒戦の前走で２着と好走したブライトエルフ。いきなり1000万クラスでのメドを立て、今回は単勝4.2倍の１番人気に支持される。２番人気は、昇級緒戦の前走小倉の特別戦で首差２着と実力を見せたメモリーシャルマンで単勝4.6倍。３着に５馬身もの差をつけていたように、ブライトエルフにとっても強敵となる。３番人気は、前走500万下平場戦を勝ち上がってきたケイティバローズで単勝5.8倍。その他には、前走るブライトエルフが２着だった平場戦で、１番人気で心房細動で競走中止となったサイモンガーランドも出走してきたが、６番人気と評価を下げている。ＪＲＡ未勝利で地方に転出したブライトエルフが、1000万クラスで１番人気になるのは実に名誉なこと。勢いに乗って、1000万クラスも突破したい。

　レースでは、ブライトエルフはスタートは五分に出て、馬なりで好位グループの一角に取り付く。外から仕掛けてタガノミューチャンが先頭。半馬身差で内にテーオーフェアリー，3/4馬身差で中ネヴァーハーツ。ブライトエルフは、先頭から３馬身差の５番手。その２馬身半後ろの中団にサイモンガーランド，更に３馬身後ろの後方にメモリーシャルマン。１〜２角で、先頭タガノミューチャンは、１馬身1/4差リードの逃げ。ネヴァーハーツが単独２番手で、ブライトエルフは、先頭から３馬身差の内々５番手で変わらない。向正面では、ブライトエルフの１馬身直後にサイモンガーランドがつけている。このあたりは平均ペースで、動きはなくレースが進む。向正面の中間では、ブライトエルフは先頭まで４馬身差。３角からレースが動き始め、ケイティバローズ，ショウナンバーキンが外から押し上げるが、ブライトエルフは手が動いているが、反応はもうひとつ。３〜４角にかけて馬群が固まってくるが、ブライトエルフは仕掛けながらムチも入っている。４角では、先頭タガノミューチャンが手応えよく先頭キープ。１馬身差でテーオーフェアリー，ネヴァーハーツの２番手争い。その１馬身後ろの４番手争いは、内メモリーシャルマン，外ケイティバローズの２頭。間半馬身差の７番手に順位を下げたブライトエルフは、追走に苦しんで厳しい競馬になっている。その２馬身後ろからサイモンガーランドがスパートをかけて直線へ。

　直線に向くと、もう余力がないと思われたブライトエルフは、もう一度渋太く盛り返しを図るが、少し前が窮屈になっている。タガノミューチャンが１馬身半リードで逃げ込みを図る。残り250ｍで、メモリーシャルマン，テーオーフェアリーの２番手争い。その１馬身半後ろからサイモンガーランドが一気の追い込みで、ブライトエルフは抵抗できないままかわされてしまう。ブライトエルフは、残り１ハロンでネヴァーハーツをかわして、ケイティバローズとの５番手争いの叩き合い。ラスト100ｍを切ったところで、サイモンガーランドが、タガノミューチャンまでかわして先頭まで突き抜ける。３番手テーオーフェアリーに、3/4馬身差でメモリーシャルマン，ブライトエルフの２頭，つれてケイティバローズが差を詰めて、３着争いは接戦に。際どい争いとなったが、ゴール前で真ん中を首差競り勝って抜け出たブライトエルフが３着確保のゴール。苦しい競馬だったが、最後に根性を振り絞って、３着確保で面目を保った。今回はもうひとつこの馬らしさがなかったが、それでいて上位を確保したのは底力の証しか。鞍上の和田騎手は、「直線でスムーズに出せなかったが、スペースができてからはよく伸びてくれた。力をつけているし、まともならもっとやれていたと思う。」とコメント。引き続き1000万クラスでの勝利を期待していいはずだ。

●秋華賞３着馬シアリアスバイオの産駒フラッシュバイオ。シアリアスバイオはこれで３頭目のディープインパクト産駒で、それだけ生産者の期待のほどが窺える。そして、２歳暮の阪神の新馬戦でデビューしたが、１番人気に支持されながら６着。勝ち馬から６馬身離された内容は平凡だったが、今回は３カ月ぶりの実戦。調教の動きも良く、再度の期待がかけられる。１番人気は、全４戦で２着１回，３着１回のアルカンジュで単勝2.4倍。前走は３カ月ぶりのレースだっただけに、ひと叩きの上積みもあるはず。フラッシュバイオは、単勝3.4倍の２番人気。３番人気は、デビューからの２戦を連続５着としているナリタメロディで単勝7.2倍。前走は４カ月の休み明けだっただけに、この馬も上積みが見込まれる。やや混戦ムードの一戦だが、それだけにフラッシュバイオの素質がまさるなら、あっさりのシーンがあっても不思議はない。

　レースでは、フラッシュバイオはまずまずのスタートを切るが、大外からすぐに抑える。中からナリタメロディが出てくるが、これに内からスーッとトラストエルフが並んで来る。その後ろは１馬身半差でアルカンジュなど３頭。１馬身半差でカワカミマゴコロが続き、フラッシュバイオは先頭から６馬身差の中団大外。やや行きたがるのを手綱を引く形になっているが、そのうち折り合いもついてくる。３角では、先頭はトラストエルフで、１馬身差でナリタメロディが２番手。３〜４角にかけて馬群も固まってきて、フラッシュバイオもじわっと差を詰める。４角では、２番手ナリタメロディの１馬身半後ろにカワカミマゴコロ，アルカンジュの３番手争い。以下も一団で追走するが、フラッシュバイオはアルカンジュの３馬身後ろ、中団後ろでいちばん大外を回る形になって直線へ。

　直線に向くと、先頭トラストエルフが１馬身リードで逃げ込みを図る。２番手ナリタメロディは同じような脚色で、これに外から並んで来るカワカミマゴコロ。その後ろは２馬身開いて、４番手アルカンジュは伸び脚ひと息で、これを外からプラチナブロンドがかわして行く。残り１ハロンで、更に２馬身半差で大外フラッシュバイオはまだ６番手。カワカミマゴコロが先頭に抜け出したところ、これに迫るプラチナブロンドで、この２頭の勝負に絞られる。半馬身差までプラチナブロンドが詰め寄ったところで、カワカミマゴコロはムチを連打されるともう一度グイッとひと伸び。３馬身開いて、ナリタメロディをかわしてアルカンジュが３番手に。しかしながら、その１馬身半外まで迫って来ていたフラッシュバイオが、ここからグイグイ伸びて、ラスト30ｍでアルカンジュを首差かわして３着でのゴール。前とは少し差があったが、１番人気馬をかわして３着と上位の着順は確保。鞍上の松田大騎手は、「休み明けでしかも外枠。条件は決して良くなかったのですが、最後はしっかりと脚を使ってくれました。次はもっと動けると思います。」とコメント。まだまだ期待ほど駆けられているわけではないが、休み明けということを考えれば、次に繋がる内容だった。

●前走の未勝利戦では、３月ぶりのレースながら３着を確保したフラッシュバイオ。１，２着馬から少し差があり、この馬への期待度から考えると、まだまだ満足できる内容ではないが、それでも能力のあるところは示してくれた。今回がまだ３戦目とキャリアも浅く、ひと叩きされた上積みも見込めるだけに、今回は勝ち負けまで期待したい。１番人気は、近２戦を３着，２着と上位争いをしているタガノバラードで単勝2.7倍。２番人気は、デビューからの全６戦で２着３回，３着２回と惜しいレースを続けているオールオブナイトで単勝3.4倍。前走５着と初めて複勝圏内から外れたが、大崩れはしていない。フラッシュバイオは、単勝4.9倍の３番人気。もちろん勝機は十分にあるはずだ。

　レースでは、フラッシュバイオは無難なスタートで、無理せず中団からの競馬。広がった先行争いから、まず人気のタガノバラードが先頭。3/4馬身差で内ホープフルハートが２番手。ここからフラッシュバイオは引っ掛かった感じになって、３，４番手争いに押し上げて行く。外からエイシンヨークが押し上げると、フラッシュバイオは抑えて４番手，先頭までは３馬身差の位置。先頭タガノバラードは１馬身半リードの逃げ。外からアクトナチュラリーが４番手に上がって、フラッシュバイオは先頭までは３馬身差の内々５番手に。３角手前では、２番人気のオールオブナイトは、フラッシュバイオから３馬身差の中団後ろの真ん中。３角でも、先頭タガノバラードは２馬身リードで軽快に逃げを打つが、２番手エイシンヨークが１馬身差に接近してくる。３〜４角の中間でも、フラッシュバイオは内々で先頭まで３馬身の位置でじっとしている。４角では、先頭タガノバラードに、２番手の大外アクトナチュラリーが半馬身差に接近。中からは半馬身差でエイシンヨーク。その１馬身1/4差後ろにフラッシュバイオが４番手。その後ろは２馬身差で横に広がっているが、外からオールオブナイトが行きっぷりよく押し上げて直線へ。

　直線に向くと、逃げたタガノバラードが突き放しにかかって２馬身半のリード。２番手にアクトナチュラリーだが、残り１ハロンで内から１馬身差に詰めてきたフラッシュバイオが３番手。ラスト150ｍを切って、先頭タガノバラードは３馬身リードで押し切り態勢。２番手アクトナチュラリーを内からフラッシュバイオがかわしにかかったところ、大外からオールオブナイトがこの２頭を抜き去って行く。フラッシュバイオは、アクトナチュラリーを突き放したものの、伸び脚はジリジリでそのまま３着でのゴール。勝ち負けの競馬まではできなかったが、３着はしっかり確保したフラッシュバイオ。ややパンチ力を欠く感じは前走同様だったが、それでも最後まで渋太く伸びていた。鞍上の藤岡佑騎手は、「開幕週のこういう馬場ですから、ポジションを取りに行きましたが、その分力むところがありました。それでもラストまでしっかりと脚を使ってくれましたよ。」とコメント。まだキャリアも浅いが、経験を積んでいけば、いずれ初勝利のチャンスがやってくるはずだ。

●叩き２走目の前走も３着だったフラッシュバイオ。２戦連続３着が続いたが、今回はもちろん初勝利を狙う。そしてフラッシュバイオが、単勝2.6倍の１番人気に支持される。２番人気は、今回が初出走のキングカメハメハ産駒のタガノエトワールで単勝3.7倍。血統背景はあっても、未知数の部分が大きいのも事実。３番人気は、近３走４着，３着，３着としているランガージュで単勝5.3倍。実力は拮抗しているが、フラッシュバイオは是非ともファンの期待に応えてほしい。

　レースでは、フラッシュバイオは無難なスタートで、すっと先行グループに取り付く。タマモチョコパフェ，フラッシュバイオの先頭争いから、フラッシュバイオは競り合いを避けて半馬身差の２番手。１馬身差で外マイネルサルト，半馬身内にジョーウォルターの順。タガノエトワールは後方３頭目で、先頭まで１２馬身の差がある。３角でも、フラッシュバイオは3/4馬身差の２番手をキープ。３〜４角の中間でも隊列に変動はなく、フラッシュバイオも手応えは悪くない。４角では、先頭タマモチョコパフェに、外からフラッシュバイオが並びかける。１馬身半差でジョーウォルターが３番手で直線へ。

　直線に向くと、前２頭の争いから、タマモチョコパフェが二の脚を使って、フラッシュバイオは半馬身遅れて２番手に。残り１ハロンではその差は１馬身と開いて、初勝利は厳しくなってくる。3/4馬身差に詰め寄ってきたジョーウォルター。その更に２馬身半後ろの大外からはランガージュの追い込み。フラッシュバイオは伸びを欠いて、ラスト100ｍでジョーウォルターにかわされると、ゴール前でランガージュにも半馬身差されて４着でのゴール。ジョーウォルターが、切れ味を発揮しての差し切り勝ちだった。今回もこれまでと同じような内容に終わったフラッシュバイオ。特に今回は１番人気に支持されていただけに残念。どうしてもパンチ力が足りない競馬になってしまう。鞍上の小牧騎手は、「スタートが良過ぎるくらいでいい形で運べたが、いざ追い出してからが物足りなかった。ワンパンチ不足という感じだったからね。」とコメント。もう一段階のパワーアップさえあれば、初勝利も見えてくるはずだが…。

●前走の京都戦では１番人気で４着だったフラッシュバイオ。３戦連続の入着となったが、もうひと押しが足りないレースが続く。それでももう十分未勝利勝ちを狙える位置にいるのは間違いない。１番人気は、近４戦で２着３回と惜しいレースを続けているインターンシップで単勝1.5倍。前走は１番人気で首差２着で、今度こそはの意気込み。フラッシュバイオは、単勝3.5倍の２番人気。３番人気は、全１０戦して２〜４着が７回という堅実馬マイネマレフィカで単勝11.8倍。フラッシュバイオにとって、１番人気馬は強敵だが、それを撃破すれば初勝利が見えてくる。

　 レースでは、フラッシュバイオは大外から好スタートを切るが、好位からじっくり競馬を進める。内から押してマイネマレフィカが先頭，3/4馬身差でタイガークラウン，アカイスイセイの２番手争い。１馬身半差でメレアグロス，アグネスジェシカの４番手争い。これに１馬身半差で３頭並んだ６番手争いの大外にフラッシュバイオだが、ここから少し控えて下げる形になって、先頭から６馬身差の中団に近い位置取り。フラッシュバイオは、行きたがるのを宥めて抑えている感じ。３角では、先頭マイネマレフィカは２馬身リードの逃げ。２番手以下は固まっている。３〜４角の中間でも、フラッシュバイオは先頭から６馬身差の中団真ん中でじっとしている。４角まで各馬抑えたままで淡々と流れている。先頭マイネマレフィカに、１馬身半差で２番手争いは横に広がってくる。フラッシュバイオは、２番手から２馬身差の馬群の真ん中。インターンシップは、まだ後方の位置で直線へ。

　 直線に向くと、先頭マイネマレフィカが逃げ込みを図る。フラッシュバイオは前がやや狭くなっているが、アカイスイセイとアグネスジェシカの間の間隙を突くと、残り１ハロンを切ってからグイグイ伸びてくる。外のアグネスジェシカが２番手に上がりかけたところで、その内からグイッと伸びたフラッシュバイオがかわして頭ひとつリード。最内からはトーホウジャッカルも伸びてきて、３頭ほとんど差のない２番手争い。先頭はまだマイネマレフィカだが、ラスト100ｍで２番手争いの３頭が半馬身差まで迫ると、ラスト70ｍでフラッシュバイオがかわして先頭。首差で食い下がるように伸びるトーホウジャッカル，アグネスジェシカが２番手争いで、舞ネイネマレフィカは遅れる。フラッシュバイオがこのまま押し切るかと思われたが、最後の最後で少し甘くなったところを、内からトーホウジャッカルにほとんど並ぶ態勢に持ち込まれてのゴール。フラッシュバイオは、外のアグネスジェシカの粘りは頭差しのいだが、写真判定の結果は内のトーホウジャッカルには鼻差遅れて無念の２着惜敗…。今回は勝ったかと思われただけに、残念の一語に尽きる。鞍上の福永騎手は、「外枠だったので、馬の後ろに入れるまで少し時間がかかりました。それでも直線はいいタイミングで抜けられたのですが…。着差が着差だけに残念です。」とコメント。道中掛かっていたことも最後に響いたか。次走は何としても初勝利を決めてほしい。

●７月中京の未勝利戦では鼻差２着に惜敗したフラッシュバイオ。念願の初勝利をほんの僅かのところで逃したのは、無念という他なかった。続く中京の未勝利戦では、１番人気ながら７着と不本意な内容。それだけに今回は巻き返しを期す一戦。１番人気は、近２走を３着，２着としているプレスアテンションで単勝2.5倍。前走は１番人気で首差惜敗したが、３着以下には３馬身半の差をつけている。フラッシュバイオは、単勝3.8倍の２番人気。３番人気は、近８戦で入着８回の堅実な走を見せているランガージュで単勝6.1倍。これまで２着２回，３着３回と、惜しい競馬を何度も経験してきている。実力拮抗の一戦で、なかなか勝ち切れないタイプのフラッシュバイオだけに心配はあるが、何とか勝負根性で混戦を断ち切ってほしい。

　レースでは、フラッシュバイオはまずまず好スタートを切るが、手綱を抑える感じで中団からじっくり構えて行く。先頭争いは５〜６頭広がっている。フラッシュバイオは、先頭から５馬身差の中団後ろ。人気のプレスアテンションは、更に３馬身後ろの後方からの競馬。１〜２角で、先頭に立ったのはメイショウエフワン，１馬身差でメイショウライウンが２番手。更に１馬身差でリーブイットゥミーなど。向正面では、フラッシュバイオは後方４頭目で、先頭までは８馬身差。プレスアテンションは更に２馬身半後ろの後方２頭目。向正面の中間を過ぎると、フラッシュバイオは大外をじわっと押し上げ、３角では中団あたりまで順位を上げて、先頭までは６馬身差。３〜４角の中間では、フラッシュバイオは大外をスーッと更に押し上げて行くと、これを見ながらプレスアテンションも動き始める。先頭は依然としてメイショウエフワンで、１馬身差でノービリスが２番手。更に１馬身差でエーティーペガサスが３番手だが、４角ではその差が２馬身と開いてくる。これに半馬身差でランガージュが４番手だが、これに中から外に持ち出したフラッシュバイオが並んできて、更に半馬身差の大外にプレスアテンションが取り付いて直線へ。

　 直線に向くと、メイショウエフワン，ノービリスの先頭争いで残り１ハロン。２馬身差でフラッシュバイオが３番手に上がってくる。プレスアテンションは伸びがひと息。フラッシュバイオに１馬身半差のところから、馬の間隙を突いてヤマニンエルフィンが差し込んでくる。ラスト100ｍで、メイショウエフワンがもう一度グイッと伸びて、3/4馬身リードで先頭。３番手フラッシュバイオは、先頭までまだ１馬身3/4差あり、ここからノービリスをかわして２番手に上がるが、それを上回る脚で中からヤマニンエルフィンが並びかけてくる。ラスト30ｍで、外フラッシュバイオは先頭メイショウエフワンに半馬身差まで迫ったが、中ヤマニンエルフィンには首差まで詰め寄られて、先頭争いは、前３頭が接戦の勝負。ヤマニンエルフィンに差されてしまうかと思われたフラッシュバイオだったが、最後首差まで迫られてからは同じような脚で抜かさせず、ゴール寸前でメイショウエフワンを捉えると、接戦を首差制して優勝のゴール。ついに念願の初勝利を飾った。血統的にも期待の大きかった馬だけに、初勝利を挙げてほっとひと息。鞍上の浜中騎手は、「現状はまだトモに力がないから、追って内にモタれる面がありました。まだ良くなってきそうな馬。この時期の未勝利ですから、勝てて良かったです。」とコメント。まだまだ未完成な馬だけに、今後の更なる成長に期待したい。

●前年４月の500万下平場戦で４着となり、これで２戦連続の４着となったフランチャイズ。勝利への期待が大きく高まってきたが、続く東京戦で１１着と大敗すると、その後は７カ月半の休養に。１２月の中京平場戦で戦列に戻ったが、スタート直後に騎手が落馬して競走中止。今回は仕切り直しの一戦となるが、休養前の成績から考えて、好勝負できて不思議はない。１番人気は、前走平場戦２着のジョバイロで単勝5.3倍。近４走でも入着３回と比較的安定した走りを見せている。２番人気は、８カ月の休み明けとなった前走平場戦でいきなり３着と実力を見せたサウスマキシムで単勝5.6倍。キャリア僅か５戦で、ダートに限っては 1-0-1-0 と底を見せていない。フランチャイズは、単勝12.3倍の７番人気。人気の大きく割れた大混戦の様相。フランチャイズが実力さえ出し切れれば、勝利のチャンスも十分だ。

　レースでは、フランチャイズはスタートが若干甘く、後方から手綱をしごいて中団まで盛り返してくる。スズカアーサー，アスペンサミットの先頭争いで、２頭が激しく競り合っている。２馬身1/4差でトゥールモンドが３番手，半馬身外にミススキャンダル。その１馬身後ろの５番手がジョバイロの態勢。これに１馬身差の位置にフランチャイズが押し上げてきて、このあたりは少し押っつけながらの追走となっている。３角では隊列は落ち着いて、中団のフランチャイズは、先頭まで４馬身差。３〜４角の中間でも、前２頭並んだ態勢で、３番手トゥールモンド，ミススキャンダルが１馬身半差にじわっと接近。４角では全くの一団となって、ジョバイロは４番手争いの内々で、先頭までは２馬身差。フランチャイズは、先頭から４馬身差の中団馬群の真っ只中で直線へ。

　直線に向くと、アスペンサミットが単独先頭に立つが、外から並んでくるトゥールモンド。しかしながら、更に外から抜群の手応えでスズヨストラが伸びてきて、残り350ｍでかわして先頭に。フランチャイズは、馬群の中を、進路を探しながら追って来ている感じ。残り１ハロンでは、先頭スズヨストラが一頭２馬身抜け出す。２番手トゥールモンドに、内からスズカアーサーがもう一度伸びて並んでくる。その後ろは２馬身開いて、４番手以下は大混戦。フランチャイズは４番手から２馬身差の位置だったが、ここから一気の伸び脚を繰り出してくる。トゥールモンドが単独２番手となって、２馬身差で３番手争いが広がっていたが、その真ん中を突っ切ってきたフランチャイズ。ラスト50ｍで単独３番手に上がると、２番手トゥールモンドに外からグングン迫ったが、惜しくも首差届かず３着でのゴール。もう少し距離があれば差し切っていたという内容。暫くリズムに乗れないでいたが、ここにきてようやく完全復調がなったか。小西調教師は、「直線でもう少し早く前が開いていたら、際どかったと思います。直線もよく伸びていたし、いい内容でした。」とコメント。本調子を取り戻した今なら、500万クラスでの勝利の可能性も高まったと言っていいだろう。

●東京の平場戦で３着と好走したフランチャイズ。しかしながら、続く前走は中位追走から直線一杯の１４着大敗。やる気がないような不可解な負け方だったが、ハミを換えたのが悪い方に出たのか。今回はハミを元に戻して、前走の汚名返上でリベンジを図る。１番人気は、500万クラスで全１０戦して 0-3-3-4 で掲示板を外していないダークシーカーで単勝3.3倍。２番人気は、近５戦で２着２回，３着２回のハヤブサフィーバーで単勝3.7倍。前走は１番人気で３着だったが、鼻，鼻差の惜敗だった。フランチャイズは、単勝24.8倍の８番人気。前走の大敗で評価を下げたが、本来の力を発揮できれば、当然巻き返してくれるはずだ。

　レースでは、フランチャイズはやや甘いスタートで中団から。内からヒカルソラフネが出てくるが、これに外からリュウツバメが並んでくる。3/4馬身差でランザンなど３頭の３番手争い。3/4馬身差でダークシーカーは６番手，3/4馬身差で大外ハヤブサフィーバーと人気どころが続いている。フランチャイズは更に３馬身後ろで、中団大外から競馬を進める。３角でも、フランチャイズは先頭から６〜７馬身差の位置でじっとしている。ヒカルソラフネ，ランザン，リュウツバメの３頭がそれぞれ首差の間隔に縮まり、前３頭で後続を２馬身離している。３〜４角の中間では、中団フランチャイズは手が動き始めて反応ひと息で、この時点では苦戦の予感。４角では、先頭ヒカルソラフネに、外のリュウツバメは持ったまま。半馬身遅れてランザン，更に２馬身差でダークシーカーは４番手。フランチャイズもじわっと押し上げて、更に２馬身半後ろの大外７番手あたりで直線へ。

　直線に向くと、ヒカルソラフネが半馬身リードで先頭で、リュウツバメが２番手。外からぐいぐいダークシーカーが差して来て、残り250ｍで２番手の外。２馬身半後ろの５番手から追ってくるハヤブサフィーバー。その１馬身半差の大外からフランチャイズも伸びてくる。道中行きっぷりの悪いシーンがあったフランチャイズだが、まだ余力が残っている。ラスト150ｍで、ダークシーカーが先頭ヒカルソラフネをかわしにかかる。２馬身後ろハヤブサフィーバーが３番手，その１馬身外にフランチャイズ。ラスト80ｍでダークシーカーが先頭に抜けると、そのまま押し切って優勝。じわじわ伸びるハヤブサフィーバーが、ラスト30ｍで２番手に上がったが、それを大外から追い詰めるフランチャイズ。フランチャイズは、ハヤブサフィーバーに首差まで詰め寄り、ゴール前で内で粘るヒカルソラフネをかわして３着でのゴール。最後、大外からセトノブロッサムがフランチャイズに鼻差まで迫ったが、肉眼でも３着確保は確信できる態勢だった。前走の大敗から大きく巻き返してきたフランチャイズ。鞍上の田辺裕騎手は、「前走はハミを換えた影響なのか、全然動かなかったんです。今日のような時計の速い馬場が合うタイプではないんですが、ハミを戻して、前走とは道中の行きっぷりが違いました。これくらいは走れていい馬ですよ。」とコメント。前走の負け方が不可解だっただけに、これがこの馬の本当の実力。500万クラスをいずれ勝ち上がる力はあるはずだ。

●３月の中山戦で３着と巻き返してきたフランチャイズ。安定して走れてはいないが、実力を出し切れれば、500万クラスで勝ち負けできる程度の能力は証明済み。しかしながら、続く中山の平場戦は１１着，東京の平場戦は８着と、結果を出せないレースが続いた。今回は1000万クラスからの降級組もいて、メンバーもかなり強力になっているだけに、フランチャイズはかなり人気薄。１番人気は、1000万クラス昇級後の２戦を特別戦３着，平場戦３着としているバーディーイーグルで単勝2.3倍。３走前に500万下平場を優勝しているが、この時半馬身差で２着に下したケンブリッジサンが、今では準オープンで僅差の２着になるなど活躍しており、その比較からも1000万クラスでは力量上位。降級した500万クラスでは当然優勝候補。２番人気は、Ｇ２青葉賞で１８着殿り負けの後１年１か月の長期休養を余儀なくされたが、前走復帰戦の1000万下平場戦では、７着ながら勝ち馬から0.3秒という差のない競馬をしたツクバローレルで単勝4.1倍。ひと叩きの上昇度が買われた形。フランチャイズは、単勝68.2倍の９番人気。この人気もやむを得ないところもあるが、実力さえ発揮できれば、それほど差のない競馬ができて不思議はない。

　レースでは、フランチャイズはスタートは五分に出ると、無理なく中団からじっくり構える。サンマルスピリットが先頭に立って、半馬身差でモリミヤビが２番手。１馬身1/4差でバーディーイーグルがすっと３番手好位に取り付く。フランチャイズは、先頭から７馬身差の中団後ろの内々を追走。３角では、先頭サンマルスピリットのリードは１馬身半，モリミヤビが２番手。このあたりから、フランチャイズが内々を手応えよくじわっと押し上げる。３〜４角の中間では、先頭サンマルスピリットが２馬身とリードを開いている。モリミヤビが２番手で、２馬身差でフォールティテール，バーディーイーグルの３番手争い。フランチャイズは内目をグングン押し上げて、４角ではバーディーイーグルの２馬身後ろの５番手争い。先頭まで５馬身差の位置で直線へ。

　直線に向くと、先頭サンマルスピリットが２馬身半のリード。モリミヤビをあっさりかわしてバーディーイーグルが２番手に。残り400ｍでは、フランチャイズは内から外目へ出して、バーディーイーグルの２馬身後ろで、ここから力強く伸びて来る。残り300ｍでは、先頭サンマルスピリットに１馬身差に詰め寄るバーディーイーグルだが、その3/4馬身外まで取り付いたフランチャイズが３番手。ここからの脚色はフランチャイズが断然で、残り250ｍではフランチャイズが一気に抜け出して先頭。残り１ハロンでバーディーイーグルが２番手に上がるが、フランチャイズは既に3/4馬身リード。ここから更に突き放しにかかったフランチャイズは、最後は２馬身半抜け出して完勝のゴール。これまでなかなか勝利までは難しかったフランチャイズだったが、1000万クラスからの降級組を相手にこの勝ちっぷり。これほどまでに強かったのかという力を見せてくれた。鞍上の吉田豊騎手は、「初めて乗ったので比較はつきませんが、今日のような馬場がいいのかもしれません。前が結構飛ばしてくれたし、この馬もいい感じで上がって行けましたからね。ラストもしっかり脚を使ってくれました。」とコメント。成績にムラがあるのでどこまで信頼できるか分からないが、今回の力を発揮できるようなら、1000万クラスに昇級しても好勝負を期待していいはずだ。

●６月の東京の500万下平場戦を人気薄で勝利したフランチャイズ。果たして1000万クラスに昇級してどこまで戦えるかというところだったが、昇級緒戦の1000万特別でブービー１５着に大敗すると、その後は４カ月休養してリフレッシュされる。しかしながら、秋も1000万特別，平場と２戦使われたが、共にブービー負け。昇級後３連続大敗で、現状は完全に頭打ちの状態。それでも、そろそろクラス慣れも見込めるだけに、何とかきっかけを掴んでほしい。１番人気は、1000万クラス昇級後の３戦を２着，３着，８着という成績のセトアローで単勝3.1倍。前走人気を裏切ってしまっただけに、巻き返しを期している。２番人気は、近２走特別戦を３着，４着と実力を発揮しているストーミングスターで単勝5.9倍。準オープンでも４着という実績がある馬。フランチャイズは、単勝144.3倍の１４番人気と、まったく人気がない。昇級後は負け過ぎの印象もあっただけに、実力を出し切れる展開にさえなれば、あっと言わせるシーンもあるかもしれない。

　 レースでは、フランチャイズは五分のスタートだが、手綱を押して行くもののまったく行けずにすぐに殿り。このあたり、春以来の1200ｍの流れに戸惑いがあるのか。広がった先頭争いから、ヤマチョウフェア，セトアロー，ファンデルワールスの３頭が出てくる。１馬身3/4差と開いてきて４番手キクノラフィカ以下。先頭から４馬身差の大外６番手にデルマヌラリヒョン。フランチャイズは、先頭から１２〜１３馬身差の後方２頭目で、押っつけながらの追走となっている。３角でも、フランチャイズは先頭から１５馬身近い差で、前の馬からも３馬身半置かれている。３〜４角の中間でも、フランチャイズは反応せずに厳しいレース。４角では、依然として前３頭の競り合いが続いている。１馬身1/4差で外デルマヌラリヒョンが４番手に進出。フランチャイズは、先頭から１０馬身近い差の後方２頭目の位置のまま直線へ。

　 直線に向くと、セトアローが僅かに先頭に立って残り１ハロン。しかしながら、ラスト150ｍで外からデルマヌラリヒョンが一気に抜き去って先頭。更に、２馬身半後ろの大外６番手からストーミングスターが急襲し、あっと言う間に２番手に上がって先頭に迫る。ラスト120ｍで、ストーミングスターの２馬身後ろの中団サルバドールハクイも脚を伸ばし、その２馬身後ろの後方大外からフランチャイズもようやく強烈な追い込みを繰り出してくる。前２頭の先頭争いは、ゴール前でストーミングスターがデルマヌラリヒョンを鼻差捉えて優勝。フランチャイズは、ラスト50ｍで３番手に上がったサルバドールハクイを追うように伸びて、ゴール前で４番手争いの内の馬たちをまとめてかわして４着食い込みのゴール。４角まではまったくペースについて行けなかったが、直線の伸び脚は素晴らしいものがあった。1000万クラスではこれまで苦戦続きだったが、今回が初入着となった。鞍上の吉田豊騎手は、「一気に距離が短くなって前半はついて行けませんでしたが、４角あたりからいい感じ出ハミを取ってくれました。ビュッという脚は使えませんでしたが、ジリジリと最後まで伸びてくれました。流れが速かったことも良かったですね。雨で軽いダートになっていれば、もっと脚が使えたと思います。」とコメント。今回は距離に戸惑いもあったが、今回の好走が浮上のきっかけになるはずだ。

●前年５月、デビュー６戦目で嬉しい初勝利を飾ったブルジュオン。しかしながら、３カ月間隔を開けた500万特別で１６着惨敗。更に３カ月開いた前走平場戦では初ダートで１１着。確かに昇級後は結果を出せていないが、力を出し切っていないのも事実。叩き２走目となる今回は、何とか手応えを掴みたい。１番人気は、近４走平場戦を４着，３着，２着，９着としているテーオートマホークで単勝2.0倍の断然人気。前走は１番人気を裏切ってしまっただけに、今回は巻き返しを期している。２番人気は、近２走特別戦１１着，平場戦１４着のスーパーアースで単勝10.7倍。500万クラスでの最高着順は４着。ブルジュオンは、単勝27.9倍の１１番人気。昨秋は、兄ヒットザターゲットはＧ１で頑張って、その兄から現時点ではかなり遅れを取ってしまっているが、そろそろ素質開花を期待したい。

　レースでは、ブルジュオンはスタートは五分に出て、ぐいぐい押して先行争いの一角。出脚の速かったアラカメジョウがすっと１馬身半リード。これに3/4馬身差に詰めてテーオートマホークが２番手。半馬身外ブルジュオンが３番手で、以下も差なく固まっている。３角でも、ブルジュオンは外３番手をキープし、少し仕掛けながら追走している感じで、３角過ぎでは、先頭に半馬身，半馬身差の態勢。３〜４角の中間では、前３頭がそれぞれ首差の間隔で、ブルジュオンは３番手から前に接近。その後ろは１馬身半差で４番手以下の集団。４角では、アラカメジョウ，テーオートマホーク，ブルジュオンの前３頭が並んでの先頭争いで、ブルジュオンの手応えも悪くないだけに、上位争いの期待が高まる。その後ろ１馬身半差でフィールドメジャーなどが追う形で直線へ。

　直線に向くと、前３頭の争いから、断然人気の中テーオートマホークが真っ先に脱落。内のアラカメジョウが二の脚を発揮し、ラスト150ｍではまた3/4馬身とリードを開きにかかる。２番手ブルジュオンも、もう一度外から追ってくる。先頭から３馬身差の５番手あたりからフィールドメジャー，つれてその内側エアカリナンが差してくる。ラスト100ｍからブルジュオンも渋太く伸びると、少し甘くなったアラカメジョウをラスト50ｍで捉えて先頭。１馬身半後ろのエアカリナン，フィールドメジャーが、最後で一気に差を詰めたが、ブルジュオンがエアカリナンを半馬身凌いで優勝のゴール。500万クラス３戦目で、ようやくこの馬の力を見せてくれた。鞍上の中舘騎手は、「中間の稽古の動きが良かったし、実戦ではスタートもスッと出てくれた。道中はスムーズに運べたし、舌を括ったこともいい方に出てくれたね。」とコメント。これで1000万クラスに昇級。兄ヒットザターゲットも、経験を積みながらじわじわ成長を遂げた。ブルジュオンにも、これからの更なる成長に期待したい。　

●前走休み明け２戦目の500万下平場戦を優勝したブルジュオン。ずっと期待に応えられずにいたが、ようやく本領を発揮してくれた。今回は1000クラスに昇級してのレースだが、元々晩成血統の馬だけに、勢いにさえ乗れば、一気に上昇カーブを描いていけるはず。１番人気は、前走500万下平場戦を２馬身差快勝してきたブルーピアスで単勝4.6倍。２番人気は、これも前走500万下平場戦を勝ち上がってきたアドマイヤクーガーで単勝7.3倍。昇級組が人気になっている。３番人気のアグネスキズナは、1000万クラスで６戦して最高は２着で入着４回という馬。ブルジュオンは、単勝29.9倍の１１番人気。前走は大混戦の中を僅かに抜けての勝利で、確かにインパクトは薄かったかもしれないが、勢いに乗ってここでもいきなり上位食い込みを狙う。

　レースでは、ブルジュオンはスタートは五分に出て、中団からの競馬。内から人気のブルーピアスが出てくるが、大外首差でクリノタカラチャンも先頭争い。3/4馬身差でジャベリンなど３頭の３番手争い。まったくの一団で、ブルジュオンは先頭から２馬身半差の中団で、少し押っつけながらの追走。３角では、今度はジャベリン，ブルーピアスの先頭争いで、２頭で２馬身半抜ける。クリノタカラチャンが３番手。ブルジュオンはその３馬身後ろで、３〜４角の中間ではかなり手が動いている。一旦下がりかけるような感じもあったが、そこから行き脚がついて盛り返して行く。４角では、ジャベリンが振り切って２馬身のリード。ブルーピアスは苦しくなって２番手。１馬身差でユキノラムセスが３番手。その後ろ２馬身半開いた４番手争いの最内にブルジュオンが加わって直線へ。

　直線に向くと、ジャベリンが先頭で２馬身半リード。ユキノラムセスが２番手。残り１ハロンでは、3/4馬身遅れてブルーピアスは３番手。１馬身半差でブルジュオンが単独４番手に上がって追ってくると、ラスト150ｍではブルーピアスをかわして３番手。ラスト100ｍで、先頭ジャベリンにユキノラムセスがじわじわ詰め寄ってきたが、ブルジュオンはその２馬身後ろの３番手。その後ろ１馬身差で最内を突いたカシノランナウェイ，大外からはアドマイヤクーガー，つれてバクシンテイオーの２頭が後方から強烈な追い込み。ブルジュオンはぎりぎり３着に粘れるかという態勢だったが、ゴール寸前でこの３頭にかわされて６着でのゴール。特に内のカシノランナウェイとは鼻差の僅差だっただけに、寸前のところで掲示板を逃したのは何とも無念。それでも、昇級緒戦でも十分通用することを示してくれたと言っていい。まだまだこれから成長して行く馬だけに、いずれ1000万クラスを勝ち上がる時がくるはずだ。

●２月の小倉の500万下平場戦を人気薄で優勝したブルジュオン。これで1000万クラスに昇級となるが、昇級緒戦の特別戦こそ0.6秒差６着と悪くない競馬をしたが、その後は福島の特別戦１０着，東京の平場戦１４着と、まったく見せ場を作れなかった。今回は500万クラスに降級しての一戦だけに、これまでとは違った競馬ができて不思議はない。１番人気は、前走３歳500万下平場戦で半馬身差の２着だったチョコレートパインで単勝2.4倍。３歳オープンのエルフィンＳ３着という成績がある。２番人気は、前走500万下平場戦を優勝しているカフェブリリアントで単勝4.1倍。このクラスの安定勢力で、勝ってなお同条件での競馬となる。ブルジュオンは、単勝28.7倍の１１番人気。1000万クラスでは自分の競馬ができなかったが、気持ちよく走れるようなら、面白い競馬ができるはずだ。