２０１７年（平成２９年）

 ２０１８年（平成３０年）

●前走ダートに替わった未勝利戦で、２馬身半差の楽勝で初勝利を飾ったアタックバイオ。今回はまた芝に戻るが、芝ダート兼用タイプの馬だけに、昇級戦でも好勝負を期待。１番人気は、未勝利を勝ち上がった後、ききょうＳ，もみじＳとオープン特別で連続４着と好勝負をしているラヴィングアンサーで単勝2.4倍。２番人気は、500万クラス２戦目の前走で首差２着と実力を示したエンゲルヘンで単勝3.4倍。アタックバイオは、単勝4.7倍の３番人気。まだ力関係は未知数だが、オープンでも好走しているラヴィングアンサーと互角の勝負ができるなら、今後の活躍に期待は膨らむ。

　 レースでは、アタックバイオはまずまずのスタート。内から好発を決めたのはエンゲルヘンで、無理なく先頭に立つが、内から押してメイショウギガースが半馬身差に接近。今度は外からザベストエバーが押し上げて２番手に。１馬身差で内で控えたメイショウギガース，外から押し上げたアタックバイオの３番手争い。ここからザベストエバーが首ほどリードで先頭，エンゲルヘンが僅かに遅れて２番手に。２馬身1/4差でアタックバイオ，3/4馬身内メイショウギガースが４番手。人気のラヴィングアンサーは、これに１馬身差の６番手。３角では、ザベストエバーが２馬身とリードを開いて先頭。２番手にエンゲルヘン，２馬身差でアタックバイオが３番手だが、３〜４角の中間では、アタックバイオは先頭まで２馬身半差に詰めて行く。４角では、エンゲルヘンがまた先頭に接近して、ザベストエバーを外から首差かわして先頭。先行２頭に１馬身1/4差でアタックバイオが３番手。3/4馬身内にメイショウギガース。更に3/4馬身差の外からラヴィングアンサーもスパートをかける。人気どころが前の方につける形で直線へ。

　 直線に向くと、先頭エンゲルヘンは追い出しを待つ余裕がある。アタックバイオもじわじわ伸びるが、エンゲルヘンはラスト250ｍから追い出し。残り１ハロンで、アタックバイオが２番手に上がると、１馬身1/4差で先頭エンゲルヘンを追う。アタックバイオに半馬身差で、内ザベストエバー，メイショウギガースの２頭，更に半馬身差で外ラヴィングアンサーと、２番手争いが激烈に。ラスト150ｍでも、先頭エンゲルヘンは１馬身半リードし、アタックバイオは同じような脚。ラスト100ｍでは、半馬身内メイショウギガース，その首差外にラヴィングアンサーと、２着争いがやや際どくなってくる。ゴール前で外ラヴィングアンサーが外から伸びて３番手に上がり、アタックバイオにも最後の最後で詰め寄ったが、アタックバイオが後続を首，首差退けて２着確保のゴール。先頭エンゲルヘンとの差は最後まで詰められなかったが、500万クラスで勝ち負けできる能力は示してくれた。レースぶりにも安定感があり、今後に期待が膨らんだ。鞍上の北村友騎手は、「好位で我慢できて、コントロールが利いていました。スムーズなレースができましたし、内容は良かったと思います。追ってからスッと反応できるようになれば更にいいですね。」とコメント。初勝利は遠くはないと思われるが、更にもう一段階のパワーアップも期待したいところだ。

●1000万特別勝ちのあるマイネアルナイルを母に持つアドアステラのデビュー戦。人気はほとんどないが、希望の膨らむ走りを期待。１番人気は、前年のＧ１阪神ジュベナイルフィリーズ５着馬のディーパワンサを姉に持つガルヴィハーラで単勝1.5倍の断然人気。２番人気は、父はガルヴィハーラと同じゴールドアリュールのコーズオブラヴで単勝6.2倍。アドアステラは、単勝141.8倍の１２番人気。評価は低くても、素質の片鱗を見せて、今後に繋がる競馬を期待したい。

　レースでは、アドアステラはゲートの出は悪くなかったが、もっさりとした感じですぐに後方へ。ブラックアルテミスが先頭に立って、１馬身差でヨンク，外首差でジーナアイリス，中首差でスカイファルコンと３頭の２番手争いで、その後ろは２馬身1/4差開いている。後方２頭目のアドアステラは、先頭まで８馬身差。１〜２角では、単独２番手はヨンク。向正面で、１馬身差でジーナアイリスが３番手。その後ろは１馬身差で４番手争いは３頭が固まる。向正面の中間では、人気のガルヴィハーラが、この４番手集団に１馬身1/4差まで取り付く。アドアステラは殿りで、先頭までの差は１０馬身となっているが、３角手前からぐいぐい手綱をしごいて差を詰めて行こうとする。そして３角では、後方３頭目に，更に３〜４角の中間では、後方５番手まで順位を上げて行く。それでも前の集団からは３馬身間隔が開いている。ガルヴィハーラは大外から先団に接近。４角では、今度はヨンクが僅かに先頭か。首差でジーナアイリス，その１馬身1/4差後ろでガルヴィハーラが３番手。アドアステラは更に５馬身後ろで、中団後ろの大外から追い込み態勢だが、追い上げに脚を使っているだけに、ここから更に伸びられるのか。

　直線に向くと、先頭ヨンクに、外からジーナアイリス，ガルヴィハーラが首差まで接近し、先頭争いはこの３頭で、後続を３馬身離している。アドアステラは、先頭から５馬身近い差で、７，８番手の争いからじわじわ伸びてくる。残り１ハロンで、ガルヴィハーラがあっさり単独先頭に抜け出してくる。アドアステラは、ラスト150ｍでは６，７番手の争い，ラスト100ｍでは５番手まで順位を上げるが、３，４番手争いの馬までは３馬身差があって、さすがに届かないか。ラスト50ｍでは、ガルヴィハーラは５馬身リードで圧勝態勢。２番手ジーナアイリスを、内から伸びたブリッツェンシチーがかわして２着に。アドアステラはゴールに向けて伸び脚を加速させて、内ラチ沿いで一杯になったブラックアルテミスを抜き去ると、ラスト50ｍでヨンクも一気にかわして４着でゴール。最後は、３着のジーナアイリスに１馬身1/4差まで差を詰めていた。序盤はなかなか行けなかったが、最後は素晴らしい伸び脚だったアドアステラ。今後に期待が膨らむ走り。鞍上の柴田大騎手は、「道中はハミを取ったり、取らなかったりと、まだ競馬がよく分かっていない感じでした。でも初戦の内容としたら悪いものでえはないし、経験を積めば問題ないと思います。」とコメント。経験を積んで自在な立ち回りができるようになれば、もっといい競馬ができるようになるはずだ。

●新馬デビュー戦で後方から４着まで追い込んだアドアステラ。続く前走は２番人気に支持されたが、末脚不発の６着。今回は巻き返しを期している。１番人気は、デビューからの全４戦を２着３回，３着１回と惜しい競馬を続けているモーンストルムで単勝1.2倍の圧倒的人気。２番人気は、新馬デビュー戦では８着だったハツセで単勝7.0倍。アドアステラは、単勝7.6倍の３番人気。人のモーンストルムは強敵だが、それ以外とは差はないはずだ。

　レースでは、アドアステラは五分に近い感じのスタート。断然人気モーンストルムがポーンと好発を決めて、一瞬で１馬身リード。アドアステラは二の脚が遅く、後方２頭目の位置。ここからニシノライリーが押し上げて、先頭に並んで行く。3/4馬身差で内ラチ沿いマンジェリーナが３番手。これに半馬身差で３頭が固まって先団を形成。その後ろ４馬身離されてプリマノキセキ，アドアステラの２頭だが、向正面の中間では、前との差を２馬身半まで詰めて行く。そして３角では、アドアステラも前の集団に追いつくと、３角過ぎでは少し首を上げながら、大外を馬順を上げて行って、先頭まで３馬身半差。３〜４角の中間では、先頭は僅かにニシノライリー，首差でモーンストルム。１馬身差でマンジェリーナ，ハツセの３番手争い。まったくの一団で、アドアステラは更に２馬身半後ろ。４角にかかるとアドアステラも追い出しにかかり、先頭から２馬身3/4差の中団大外で直線へ。

　直線に向くと、残り400ｍでモーンストルムがじわっと先頭。外からはハツセが伸びてきて、内ラチ沿いで踏ん張っているニシノライリー。残り350ｍでアドアステラが４番手まで上がってくるが、ここでモタついた感じなって、前の３頭から２馬身半とすっと差が開いてしまう。それでも、残り300ｍからまた脚を伸ばしてくる。残り１ハロンで、ハツセが先頭に立って3/4馬身リード。人気モーンストルムが２番手で、２馬身半差でニシノライリーをかわしてアドアステラが３番手に。ここから前を追うアドアステラは、ラスト100ｍで２番手モーンストルムに１馬身半差。ハツセは既に１馬身半抜け出して勝利は濃厚。ここから更に前を追ったアドアステラは、最後まで脚色があ衰えることなく伸び切って、ゴール寸前でモーンストルムを外から首差捕らえて２着でゴール。今回は確かな末脚を見せてくれた。鞍上の松岡騎手は、「追い出す時にスムーズに加速できず、４角で離されてしまいました。ただ、不器用な馬なので、少頭数は良かったですね。ブリンカーだと少しイレ込む面が見られたので、チークピーシズくらいが丁度いいと思います。」とコメント。初勝利も徐々に見えてきた感じだ。

●前走で１馬身半差の２着と好走したアドアステラ。初勝利への確かな手応えを掴み、もちろん今回は勝利を狙う一戦。１番人気は、デビューからの全２戦を８着，５着としているエレンボーゲンで単勝3.7倍。兄エックスマークは、現役オープンで活躍中。アドアステラが単勝4.7倍の２番人気。３番人気は、新馬デビュー戦で２着と好走したペイシャコリンナで単勝5.7倍。人気の大きく割れた混戦ムードの一戦。それだけに、アドアステラが１００％の力を発揮できれば、勝利を引き寄せられるに違いない。　

　レースでは、アドアステラは出遅れではないが、それほどいいスタートではなく、中団からの競馬。１番人気エレエンボーゲンは２馬身立ち遅れ。スタートから150ｍで、内からタイトロープウィンが先頭に出てくる。半馬身外にインバウンド，3/4馬身差で中カンタベリーメガミ。アドアステラは、先頭から５馬身差の中団で流れに乗ると、向正面の中間では、先頭から４馬身差の６番手。その３馬身後ろの後方に、人気のエレンボーゲンの態勢。大きな動きはないが、３角手前では、アドアステラは先頭から４馬身差の５番手争い３頭の真ん中。そして３角では単独５番手。更に３〜４角の中間では、じわっと４番手争いまで加わってくる。４角では、アドアステラは中を通って先頭との差を詰めて行く。先頭タイトロープウィンに、外からインバウンドが頭差まで並んでくる。１馬身1/4差で内アドアステラ，外ペイシャコリンナの３番手争いで直線へ。

　 直線に向くと、アドアステラはインを突こうとするが、進路確保が難しいと見て、外側に進路を確保しようとする。前に２頭，すぐ外側に１頭いて、ポケットに入ってしまっている。残り350ｍでも、タイトロープウィン，インバウンドの先頭争いが続くが、その後ろの差が１馬身3/4差と少し開いてきて、ここから３番手争いのアドアステラも徐々に進路が確保できるようになり、残り300ｍでは単独３番手。残り１ハロンでは、インバウンドが頭差リード，内で懸命に食い下がるタイトロープウィンが２番手。進路が開けたアドアステラだが、前までは２馬身1/4差と差が開いてしまっている。それでも、ここから目一杯に追われて差を詰めにかかり、ラスト100ｍでは２番手タイトロープウィンに１馬身1/4差。先頭インバウンドは半馬身リード。ここからアドアステラは更に伸び脚を加速させて、ラスト30ｍを切ってタイトロープウィンをかわすと、最後インバウンドにも詰め寄ったが、半馬身差までがやっとで２着でゴール。直線で一旦差を広げられたのが痛かった。それでも、もう少しで勝利もあった内容で、大いに評価できるもの。鞍上の柴田大騎手は、「ブリンカーを着けると行きっぷりが一変して、なだめるのに大変でした。ただ外に出したら不安なところもありますからね。砂を被っても大丈夫ですし、一戦ごとに向上しています。もう少しですね。」とコメント。２走連続の２着で、勝利はもう目前と言っていいはずだ。

●前走の東京戦では半馬身差の２着だったアドアステラ。２着を２回続けて、もう今度こそ勝利を決めたいところ。そして、アドアステラが単勝3.5倍の１番人気に支持される。２番人気は、東京の新馬デビュー戦で３着だったキャラメライズで単勝4.3倍。勝ち馬からは差があったが、２着馬とは鼻差だった。３番人気は、デビューからの２戦を連続３着としているコンスタンティナで単勝5.6倍。人気・実力とも拮抗していて、アドアステラにとっても侮れないメンバーだが、もちろん勝機は十分。是非とも人気に応えたい。

　レースでは、アドアステラはスタートは五分に出るが、外ワクということもあり、無理せず中団やや後ろの位置から。最内からしごいてノーブルソレイユが先手を取ろうと出てくるが、大外からすーっとハナギリが先頭へ。アドアステラは後方に近い位置で、大外を回って先頭まで６馬身差。１〜２角で、先頭ハナギリは１馬身リード。ノーブルソレイユは外側に出して２番手，3/4馬身内にストラトフォード，半馬身差で中シャルロッテミノルが４番手。向正面で、中団後ろのアドアステラは先頭まで７馬身差があるが、残り1000ｍを切ったところで柴田大騎手がゴーサイン。手綱をしごきながら大外を一気に押し上げると、３角の残り800ｍを切ったところで、先頭ハナギリの外に並びかける。一旦アドアステラが半馬身出るが、ハナギリが譲るまいと手綱を押して盛り返して、３〜４角の中間では、２頭並んで３番手以下を２馬身半と離していく。４角にかかると、アドアステラが頭ひとつ出るが、内でハナギリも食い下がる。１馬身1/4差まで詰めてきたのが外コンスタンティナ，半馬身差で最内シャルロッテミノルが４番手。３番手以下に差を詰められてしまったが、早目スパートのアドアステラがこのまま粘り切れるのか。

　直線に向くと、アドアステラが僅かに先頭だが、頭差で内ハナギリも渋太い。残り１ハロンで、アドアステラは半馬身リードに少し広げるが、外コンスタンティナ，つれて内ラチ沿いシャルロッテミノルが２番手を窺う。そしてラスト150ｍでは、、この２頭がアドアステラに内外から首差まで並んでくる。ここまでくると、ロングスパートのアドアステラは苦しい。ラスト100ｍでは前３頭が並んだが、ラスト100ｍを切ったところでシャルロッテミノルが先頭に出る。アドアステラ，コンスタンティナの２番手争いの叩き合い。アドアステラも実に渋太く粘っていたが、ラスト20ｍでコンスタンティナに競り負けて、首差遅れて３着でゴール。優勝したシャルロッテミノルからも１馬身差で大きくは負けなかったが、１番人気に十分には応えられず。タメた競馬をしたらどんな着順だったかは分からないが、それでも一応力は見せてくれていた。鞍上の柴田大騎手は、「スタートはあまり速くないです。ペースがかなり遅かったので動いて行きましたが、長く脚は使っていますし、よく頑張ってくれたと思います。」とコメント。堅実な競馬はしてくれており、近いうちに勝利の順番が巡ってくるはずだ。

●デビュー２戦目となる休み明けの未勝利戦で６着ながら３着からそれほど差のない競馬をしたカパルチャルシュ。一度叩かれての上昇に期待がかかったが、その後２戦は１３着，９着と振るわず。まだ実力を出し切れていない部分もあり、今回は初めての掲示板食い込みを目指す。１番人気は、デビューから７戦してすべて４着以内と鉄板の安定性を見せるパルフェクォーツで単勝1.9倍。２番人気は、デビューからの全４戦を４着，９着，３着，２着としているエスコフィオンで単勝3.9倍。父はディープインパクトで、兄ダークシャドウは天皇賞・秋２着など、Ｇ１入着３回の活躍をした馬。カパルチャルシュはほとんど人気がなく、単勝185.1倍の１１番人気。大敗もあり得る馬だが、あっと驚かせる好走を見せる可能性もないとは言えない。

　 レースでは、カパルチャルシュはスタートは五分に出て、ぐいぐい手綱をしごいて好位を取りに行く。マスカルポーネ，リリックドラマの先頭争い。１馬身差でカパルチャルシュと人気のパルフェクォーツの３番手争い。このあたり、早くも流れが落ち着く。１〜２角で、リリックドラマが先頭で3/4馬身のリード。エミーリオが２番手に上がり、１馬身差でマスカルポーネ。半馬身外パルフェクォーツは４番手。向正面で、その後ろ１馬身1/4差で中カパルチャルシュ，外シンボリブーケなど３頭が５番手争い。このあたり、隊列に動きはなく、落ち着いた流れになっている。３角でも態勢は変わらないが、３〜４角の中間ではパルフェクォーツは手綱が動いて、先頭から１馬身半差の単独３番手。カパルチャルシュはその２馬身半後ろの６番手で、懸命にしごいている。大外シンボリブーケが、手応え十分に３番手パルフェクォーツの外に並んで行く。４角では、先頭リリックドラマが１馬身リードで逃げている。大外シンボリブーケが２番手，１馬身遅れてパルフェクォーツは３番手。カパルチャルシュはその１馬身半後ろ、内々６番手の位置で直線へ。

　 直線に向くと、カパルチャルシュは前と外に馬がいて厳しい位置だが、進路が塞がるほどではない。先頭リリックドラマが突き放しにかかって、残り１ハロンでは２馬身リード。シンボリブーケが２番手，１馬身差でパルフェクォーツ。これに１馬身差で内マスカルポーネ，カパルチャルシュの４番手争いだが、ここからカパルチャルシュがマスカルポーネに競り勝って単独４番手に。今度はこれに3/4馬身差で中からキクノデアが差してくる。カパルチャルシュとキクノデアは同じような伸び脚だったが、ラスト50ｍからカパルチャルシュは競り負けてしまう。キクノデアはここから一気に２番手シンボリブーケまで追い詰める伸びを見せる。カパルチャルシュは遅れてしまったが、今度は４番手の１番人気パルフェクォーツに内から際どく詰め寄ったところがゴール。断然人気馬を最後は鼻差まで追い詰めたカパルチャルシュだったが、惜しくも捕まえ切れずに５着。それでもこれが初めての掲示板。まったく人気はなかったが、力を発揮できれば上位争いをできる実力を示した。鞍上の丹内騎手は、「凄くいいレースができました。次回は滞在競馬で走れるので楽しみです。」とコメント。今後に期待をつなぐことができたのは大きな収穫だった。

●ＪＲＡで活躍したグランバザールの産駒カパルチャルシュ。姉ダルニム，兄セレッソブランコも1000万クラスでの活躍馬だけに、カパルチャルシュにも期待がかかる。２歳９月中山の新馬戦でデビューし、勝ち馬から４馬身差の８着。その後レース間隔が開いて、今回は９カ月半ぶりのレースとなる。１番人気は、デビューから９着，５着，４着，２着と一戦ごとに着順を上げているラストプライドワンで単勝2.5倍。前走は追い込んで半馬身差の２着だった。２番人気は、近３走を５着，２着，３着としているピンギットで単勝5.7倍。カパルチャルシュは、単勝57.9倍の１０番人気。休み明けの割り引きはあるが、ここである程度の競馬ができなければ希望は見えてこない。

　レースでは、カパルチャルシュはそれほどいいスタートではなかったが、無理はしていないもののすっと加速して前に出てくる。シュクレビジューが先頭に立って、3/4馬身差でイツジョが２番手。これに外からカパルチャルシュが接近。１〜２角で、先頭シュクレビジューが３馬身とリードを開く。カパルチャルシュが２番手に上がり、１馬身差でイツジョ，キョウワベルナルドの２頭。向正面では、２馬身半差でピンギット，これに半馬身差で外ラストプライドワンがじわっと押し上げる。向正面では、先頭シュクレビジューは、８馬身とリードを開いての大逃げとなっている。カパルチャルシュが２番手で、その後ろは２馬身差がある。３角でも、先頭シュクレビジューの逃げ脚は鈍らない。３〜４角の中間では、２番手カパルチャルシュは手が動き始め、手綱を押しながらキョウワベルナルドが半馬身差に接近。その後ろは３馬身開いている。４角では、先頭シュクレビジューのリードはあっと言う間になくなって、直線入口ではキョウワベルナルドが並びかける。カパルチャルシュは３番手から、更にラストプライドワンにも3/4馬身かわされて４番手に後退。先頭までは２馬身半差。１馬身後ろにマックスハートが取り付いて直線へ。

　 直線に向くと、キョウワベルナルドがあっさり先頭。１馬身1/4差でラストプライドワンが２番手に。ラスト150ｍで、１馬身差で内シュクレビジュー，更に１馬身差でカパルチャルシュ，マックスハートの２頭。１馬身半後ろからはナンヨーウラヌスの追い込み。カパルチャルシュは道中先頭を深追いしたことが最後に応え、ラスト30ｍでシュクレビジューをかわして４番手に上がったものの、すぐにナンヨーウラヌスにかわされ、ゴール寸前でもモーヴに首差かわされて６着でゴール。あとほんの僅かというところで掲示板を逃したのは無念。しかしながら、久々だったことを考えれば悪くない内容。次走は大幅な上積みも期待できそうだ。

●１１月の東京戦では５着と巻き返してきたキューンハイト。しかしながら、１２月の中山戦は５着争いに加わったものの７着。現状では、勝ち負けまでには若干パンチ力を欠いているが、メンバーと展開次第では勝利に手が届くだけの力はある。１番人気は、デビューからの３戦を２着，３着，２着と好勝負を続けるパルフェクォーツで単勝1.3倍の圧倒的人気。２番人気は、デビューからの３戦を３着，８着，５着としているドリームマジックで単勝7.6倍。キューンハイトは、単勝31.2倍の７番人気。２番人気以下の馬たちは、それほど強力ではないだけに、キューンハイトも十分好勝負が期待できる。 

　 レースでは、キューンハイトはスタートは五分に近い感じだが、手綱を押して行くものの中団真ん中まで。ポンとミッキークルソラが先頭，１馬身半差で人気のパルフェクォーツ，外首差でカラーアゲン，更に大外首差でブラックギムレットの２番手争い。これに１馬身差でキューンハイトが５番手に上がってくる。２番人気ドリームマジックは、更に２馬身半後ろで後方から。３角手前では、キューンハイトは先頭から２馬身半差の４番手争い。３角では、先頭はミッキークルソラで変わらず、１馬身差でパルフェクォーツが２番手。１馬身差でベストダンス，ブラックギムレットの３番手争い。間首差でキューンハイトも差はない。３〜４角にかけても、キューンハイトの手応えは悪くない。このあたり、隊列に変動はない。４角では、今度はパルフェクォーツの方が首ほど出て先頭に。キューンハイトは、先頭から２馬身1/4差の５番手で、直線に向くあたりから追い出しにかかって直線へ。

　 直線に向くと、キューンハイトは進路が狭い感じになって、一瞬遅れる感じに。その間に、前のベストダンスとの差が、3/4馬身から１馬身半と開いてしまい、更には大外マーベラスワンにもかわされる。それでも、キューンハイトは残り400ｍからまた盛り返してくる。残り300ｍでも、パルフェクォーツが僅かに先頭だが、首差でミッキークルソラに食い下がられている。更に中首差でウィードスピリットも先頭争いに加わってくる。その１馬身3/4差後ろの４番手争いの大外から、ドリームマジックが追い込んでくる。これに１馬身遅れの最内キューンハイトはまだ中団。残り１ハロンからは、ウィードスピリット，パルフェクォーツの先頭争いだが、ラスト150ｍを切ってドリームマジックが２頭をかわして先頭に。パルフェクォーツは遅れて３番手。２番手ウィードスピリットに、最後ローリングタワーが迫っての２着争い。キューンハイトは、ラスト150ｍでミッキークルソラをかわして、最後甘くなったパルフェクォーツに際どく迫ったが、惜しくも鼻差捕まえ切れずに５着でゴール。ラスト150ｍでは先頭に２馬身差まで来ていたが、最後は勝ち馬から３馬身半の差をつけられた。渋太く頑張っていたキューンハイトだが、直線に向いてからがスムーズだったなら、４着は間違いなくあったはず。鞍上の柴田大騎手は、「今日はポジションを取りに押して行きました。少しハミは取っていましたが、それが良かったのでしょう。中山だと忙しいので、東京コースの方がいいタイプですね。」とコメント。勝ち切るまでにはやや足りない面があるが、メンバー次第では勝利のチャンスは十分ありそうだ。

●前走の東京戦では、４着馬に鼻差の５着だったキューンハイト。２着だったデビュー戦ほどの着順は得られていないが、掲示板圏内に入れるかどうかの競馬はできる力は示している。今回は、前走以上の着順と内容を期待したい。１番人気は、前走の京都の新馬戦では１番人気で３着だった外国産馬のソレイユドパリで単勝2.2倍。２番人気は、デビューからの２戦を３着，２着としているレローヴで単勝4.2倍。キューンハイトは、単勝30.5倍の７番人気。人気はあまりないものの、それほど差のない競馬はできるはずだ。 

　 レースでは、キューンハイトはスタートが若干甘く、懸命にしごいて行くが、中団までがやっと。大外からぐいぐい押してシルクドレスが先頭。インからはレローヴも出てくる。キューンハイトは、先頭から６馬身差の中団後ろ。１〜２角で、先頭シルクドレスが２馬身半とリードを開く。レローヴが２番手，１馬身3/4差で３番手にロジキャロルで、以下は固まる。向正面で、人気のソレイユドパリは、３番手から２馬身差の６番手。２馬身後ろにヒドゥンパラメータ。更に４〜５馬身後ろの中団後ろに外ローリングタワーだが、これを内側からキューンハイトがこれをかわして１馬身前に出る。３角では、先頭シルクドレスのリードは５馬身に開いている。３〜４角の中間でも４馬身のリード。２番手にレローヴ，２馬身差で３番手ロジキャロル以下は一団。キューンハイトはまだ後方。４角では、先頭シルクドレスのリードは１馬身半まで縮まる。２番手にレローヴ，２馬身差で外からヒドゥンパラメータが３番手に上がってくる。その１馬身半後ろの中団大外にローリングタワーが進出。キューンハイトは更に２馬身差の後方内目からスパートをかけて直線へ。

　 直線に向くと、キューンハイトは後方内目からじわじわ脚を伸ばす。先頭シルクドレスは二の脚を発揮して、２馬身半とリードを開く。残り１ハロンで、２番手レローヴは伸び切れず、外からヒドゥンパラメータがこれをかわして、つれて半馬身差の大外からローリングタワーが差してくる。ラスト150ｍで、キューンハイトはローリングタワーに１馬身半遅れだが、徐々に押し上げて６番手争いにまで加わってくる。ここからはローリングタワーの伸び脚が良く、ラスト30ｍでグイッと伸びて一頭抜け出して優勝。キューンハイトは、ラスト100ｍでロジキャロルに内から並びかけて４番手争い。そしてここからロジキャロルを僅かに競り落としたものの、外から追い込んだスカイライトにゴール寸前で首差かわされて５着でゴール。それでも最後まで渋太く差を詰めて、２着ヒドゥンパラメータからも鼻，首，首差と差はなかった。勝ち負けまでの見せ場はなかったが、内容のある走りを見せてくれたキューンハイト。鞍上の丹内騎手は、「ゲートを出てくれませんでしたし、前半はあまり進んでくれませんでした。それでも終いは脚を使っており、それほど負けていません。展開が向けばチャンスがありそうです。」とコメント。初勝利にも手が届く、その手応えを掴んだ一戦だった。

●前走の中山戦は２着馬から差のない５着だったキューンハイト。近３走で５着が３回という成績だが、もっと上位に来てもおかしくない力は示している。１番人気は、４月の遅いデビューとなったが、既走馬相手に約６馬身差の６着だったナンヨーウラヌスで単勝2.6倍。２番人気は、近２走連続３着としているクリップスプリンガで単勝3.6倍。これまで全１２戦で入着９回という安定性が武器。キューンハイトは、単勝4.9倍の３番人気。メンバーはそれほど強力ではないだけに、キューンハイトにも勝機あり。何とかこのチャンスを初勝利につなげていきたい。

　レースでは、キューンハイトはスタートは五分に出たが、二の脚の加速が鈍く、手綱をしごいて行くものの後方から。エリーダイナマイトが先頭で１馬身リード。２番手争いは３頭が並んでいるが、外のセレナータが単独２番手に。キューンハイトは、先頭から１０馬身差の後方３頭目。更に５馬身離れた最後方の争いの外に初出走のヴァンベールシチー。３角手前では、キューンハイトは先頭まで１５馬身近い差で、バラバラの展開となっている。３角では、先頭はエリーダイナマイト，１馬身差でセレナータ。１馬身半差でカガエクリプスが３番手，3/4馬身差でオメガジェルベエーラ，アイアムエメラルドの２頭。３〜４角の中間では、人気のナンヨーウラヌスは、先頭から１０馬身差で中団後ろの位置取り。キューンハイトはその５馬身後ろ。更に４馬身離れてヴァンベールシチー。しかしながら、４角にかけてグーンと馬群が固まってくる。キューンハイトは大外に出して、先頭まで６馬身差まで詰めて直線へ。

　 直線は、エリーダイナマイトが先頭で１馬身半リードするが、２番手からオメガジェルベエーラが持ったままで上がってくる。更にはクリップスプリンガ，つれて１馬身遅れてキューンハイトも伸びてくる。残り300ｍでは、勢いのあったクリップスプリンガが先頭。内半馬身差でオメガジェルベエーラ，デザートスネークの２頭。更に半馬身差で大外キューンハイトが４番手か。その３馬身半後ろからヴァンベールシチーも徐々に末脚を爆発させてくる。残り１ハロンで、キューンハイトはデザートスネークを僅かにかわして３番手か。ここから追い出しを遅らせていたオメガジェルベエーラがもう一度伸びて、クリップスプリンガを差し返してくる。そこへヴァンベールシチーが猛襲して、キューンハイトなどを抜き去る。オメガジェルベエーラがまた先頭かという場面で、これに襲いかかるヴァンベールシチー。最後はゴール前でヴァンベールシチーが半馬身差し切って優勝。キューンハイトは、ラスト150ｍでクリップスプリンガに3/4馬身差の４番手で、ここからじわじわ追い詰めて行ったが、頭差捕まえ切れず４着でゴール。勝てるかというシーンまではなかったが、見せ場は十分にあったキューンハイト。鞍上の柴田大騎手は、「流れていたので、うまく嵌まったと思ったんだけどね。でも内容は良かったし、あともうひと押しでした。」とコメント。展開とメンバー次第で、勝利のチャンスは十分にあるはずだ。

●５月の東京戦では４着となり、３戦連続の入着となったキューンハイト。しかしながら、続く東京戦では７着で掲示板を外す。それでも、引き続き上位争いはできるはずで、メンバーと展開次第では勝機もあるはず。１番人気は、デビューからの２戦を６着，５着としているモクレレで単勝2.8倍。父ディープインパクト，母名牝アパパネという超良血で人気を集めている。２番手人気は、これまで全４戦で２着１回，４着１回のシングンマイケルで単勝5.0倍。キューンハイトは、単勝5.6倍の３番人気。それほど強力な馬も見当たらず、上位は実力も拮抗。キューンハイトにとっては、初勝利の大きなチャンスだ。

　レースでは、キューンハイトはスタート良く、少し押して前に出てくるが無理はしない。中からスーッと出脚良くアポロセシルが先頭。しかしながら、これをバトルセキトバがかわして行く。１馬身差の２番手アポロセシルに、モクレレが首差に接近。キューンハイトは更に３馬身後ろで内々６番手から。１〜２角で、キューンハイトは流れにうまく乗れた感じ。向正面では、バトルセキトバが先頭で、１馬身差でシングンマイケルが２番手に。１馬身半差でアポロセシル，3/4馬身差でアドバンスクライの順。首差で中ハウエバー，3/4馬身差で内々キューンハイトは６番手。隊列に動きはなく、キューンハイトは内々で脚をタメている。３角では、モクレレが仕掛けてスーッと３番手まで押し上げる。キューンハイトは中団内々で馬群の中。３〜４角の中間では、先頭はバトルセキトバ，シングンマイケルの２頭が並ぶ。１馬身3/4差でモクレレが３番手だが、内からハウエバーが並んでくる。このあたりではキューンハイトは押している。４角では、シングンマイケルが先頭で3/4馬身リード。内バトルセキトバが２番手，半馬身外にハウエバー。キューンハイトは、先頭から４馬身差の内々６番手で直線へ。

　 直線に向くと、シングンマイケルが１馬身リードで先頭。２番手から追ってくるのがハウエバー。キューンハイトは、最内から大外へ一気に持ち出す。この時点では、モクレレ，ベルウッドナデリの１馬身半後ろの位置。ラスト100ｍでは、先頭シングンマイケルにハウエバーが並びかける。３馬身開いてモクレレが３番手で、ラスト80ｍではキューンハイトがベルウッドナデリをかわして、モクレレを１馬身差で追う。ここからキューンハイトはモクレレにじわじわ詰め寄ったが、首差で捕まえ切れずに４着でゴール。先頭争いの２頭は最後までお互い譲らなかったが、ハウエバーが頭差競り勝って初勝利を飾った。４着だったキューンハイトだが、最後は勝ち馬に２馬身差まで詰めていた。あとひと押しがほしところだが…。鞍上の柴田大騎手は、「バテた馬が前に、外にも馬がいたので、動きたい時に動けなかったのが痛かったですね。でも頑張っていますし、あの位置で流れに乗れたことは収穫でした。」とコメント。今回も善戦止まりだったが、メンバーと展開次第で勝機はあるはずだ。

●前走の福島戦では２馬身差の４着だったキューンハイト。近５走で４着と５着がそれぞれ２回ずつと堅実ではあるが、ひと押しが足りない感じ。今回は更に上の着順を期待したい。１番人気は、デビューからの全４戦を２着３回，３着１回と好勝負を続けているインヘリットデールで単勝1.7倍の断然人気。母フサイチエアデールは、牝馬Ｇ１で２着４回などの活躍をした超一流牝馬。兄フサイチリシャールもＧ１勝ち馬という良血馬。２番人気は、デビュー２戦目の前走で変わり身を見せて２着と好走したミラグレで単勝3.9倍。この馬も、兄にＧ１天皇賞・春を２勝，日本ダービー２着などの活躍をした超一流馬フェノーメノを持つという血統馬。キューンハイトは、単勝10.6倍の３番人気。血統的には地味なキューンハイトだが、良血馬たちを撃破して初勝利を勝ち取りたい。

　レースでは、キューンハイトはまずまず好スタートで、中団から進めて行く。ステレオグラム，クインズゴールドの先頭争いに、半馬身差でグラスルーチェ，ネオヴィットーリアも争いに加わっている。キューンハイトはその３馬身後ろの位置で馬群の中。１〜２角で、ステレオグラムが首だけリードして、ネオヴィットーリアが２番手。半馬身差で中クインズゴールド，更に半馬身差で外ミラグレの順。向正面で、その２馬身後ろの７番手に人気のインヘリットデール。その後ろ１馬身半差で４頭並んだ中にキューンハイトがつけている。馬順にほとんど変動はなく、落ち着いた流れになっている。３角では、大外からすっとインヘリットデールが動いて３番手まで押し上げる。３〜４角の中間では、キューンハイトは６番手争いで、先頭まで３馬身差。このあたりでは一団に固まってくる。４角では、キューンハイトはゴッチャの馬群の真っ只中。ネオヴィットーリアが僅かに先頭で、外インヘリットデールが２番手。キューンハイトは先頭まで２馬身半差で、前が壁になる位置で直線へ。

　 直線に向くと、インヘリットデールが余力を残しながら、残り250ｍで先頭に出てくる。残り１ハロンで、内で踏ん張るネオヴィットーリアが3/4馬身差の２番手。外目に出してじわじわ脚を伸ばすキューンハイトは、進路を確保して３番手に上がってくるが、２番手の馬からは２馬身の差がある。ラスト150ｍで、その後ろ１馬身半差で大外から追い込むルックアットミーが４番手に。ラスト100ｍで、先頭インヘリットデールは１馬身3/4差抜け出して、もう確勝態勢。キューンハイトは、前のネオヴィットーリアまでまだ１馬身半差があったが、ここから一歩一歩差を詰めて行くと、ラスト40ｍでネオヴィットーリアをかわして２番手に。そこへ大外ルックアットミーが詰め寄ってきて、最後は２頭ほとんど同時の態勢の２着争いのゴール。写真判定の結果は、キューンハイトが鼻差しのいで２着を確保。勝ったインヘリットデールは２馬身半差の完勝だった。これまでの自身最高と同じ２着に入線したキューンハイト。今回は勝ち馬が強過ぎただけに、現状のこの馬としては十分な結果と内容だった。鞍上の柴田大騎手は、「苦しいところからのレースになりましたが、我慢して走ってくれました。今日は勝ち馬が強過ぎたケースなので仕方がない部分がありますが、この馬も頑張っています。」とコメント。メンバーのレベル次第のところもあるが、初勝利に向けて期待が膨らんだ走りだった。

●前走はデビュー戦以来の２着と好走したキューンハイト。初勝利に向けて大きく前進しただけに、今回は勝利まで期待。１番人気は、全３戦を２着，１０着，２着としているイムノスで単勝3.8倍の１番人気。父ディープインパクト，兄にはジャパンＣでディープインパクトの２着を始め、三冠レースなどで一流の活躍をしたドリームパスポートという血統馬。２番人気は、デビューから全５戦で２着２回のスカーレットラバーで単勝4.6倍。ここ２戦は２着，６着で、大きく着順を下げることもあるムラのある馬。キューンハイトは、単勝4.9倍の３番人気。実力的には拮抗しており、キューンハイトにも十分勝機のある一戦だ。

　レースでは、キューンハイトはまずまず好スタートだが、すぐに中団に控える形。すっとピジョンレッドが先頭に立って１馬身のリード。メイグランデ，デザートスネーク，ストラギストの２番手争い。その３馬身後ろの中団やや後ろに人気のイムノス。キューンハイトはその１馬身半後ろにいる。１〜２角では、キューンハイトは後方４頭目の位置。ピジョンレッドが先頭，3/4馬身差でデザートスネーク，１馬身半差でメイグランデ，ストラギストの２頭の順。向正面に入って、その後ろ１馬身3/4差でネオヴィットーリアが５番手追走。キューンハイトはその４馬身後ろで、中団より後ろの位置取りだが、３角から外目を少し仕掛けて押し上げようという構え。３〜４角の中間では、先頭まで６馬身差の中団にじわっと進出。４角では、先頭は依然としてピジョンレッド，半馬身差でデザートスネーク。１馬身差でメイグランデ，コスモストレンジ。１馬身半差でネオヴィットーリアが５番手。キューンハイトはその３馬身後ろ，後方に近い位置で直線へ。

直線に向くと、内ラチ沿いに入ったメイグランデと大外ネオヴィットーリアの２頭がぐいぐい伸びてくる。残り１ハロンでは、この２頭で内外から逃げたピジョンレッドをかわして行く。半馬身差で中デザートスネークも粘る。その後ろは１馬身3/4差開いてコスモストレンジとこれをかわしにかかるサルダーナ。その3/4馬身外からキューンハイトもようやく追い込んでくるが、勝ち負けまでは厳しい脚色。サルダーナが、ラスト100ｍでデザートスネークをかわし、ラスト80ｍでえピジョンレッドをかわして３番手に。3/4馬身差で大外からサルダーナを追うように伸びてきたキューンハイトは、ラスト50ｍからサルダーナに際どく詰め寄ったが、頭差及ばず４着でゴール。優勝したネオヴィットーリアからは２馬身半差があったが、１番人気の５着イムノスには先着。今回も善戦止まりだったキューンハイト。メンバーさえ恵まれれば、勝利を手にできるだけの力は持っているのだが…。鞍上の柴田大騎手は、「もう少し前に行きたかったけど、押してもあの位置しか取れないんです。直線はいい感じで伸びてきましたが、最後は脚が上がっていますからね。いい脚が続かないので、現状は展開の助けがほしいです。」とコメント。残りのチャンスに、初勝利の期待をかけたい。

●前走は差し脚は見せたものの４着止まりだったキューンハイト。展開が必ずしも向いたとは言えなかったが、この馬向きの流れになれば、もっと際どい勝負に持ち込めるはず。１番人気は、デビューからの全３戦を２着，２着，４着としているフライベルクで単勝2.5倍。今回でデビュー以来４戦すべて１番人気となる。２番人気は、芝では目下３連続４着のバブルウィズジョイで単勝5.3倍。前々走ダートでは惨敗しただけに、芝のここで初勝利を狙う。キューンハイトは、単勝8.9倍の４番人気。過去２着２回の実績からも、勝利のチャンスは十分あるはず。この馬の持ち味の末脚をうまく繰り出せるかがカギとなる。チャンスも少なくなってきているだけに、ここで何とか初勝利を決めたいところだ。

　レースでは、キューンハイトはスタートは悪くなかったが、すぐに後方に下げる。４頭の先頭争いに、外から８枠２頭がすーっと並んでくる。キューンハイトは中団後ろで、先頭までは５馬身差。１〜２角でも隊列は固まっていなかったが、２角手前でバトルエニシがバブルウィズジョイをかわして先頭に。差なくベルウッドミライ，メイグランデの３番手争い。向正面に入って、ベルウッドミライが先頭に半馬身差の２番手に押し上げ、バブルウィズジョイは４番手に。人気のフライベルクは、更に３馬身半差の中団後ろ。キューンハイトはその２馬身半後ろで、手応えは悪くない。３角手前では、先頭バトルエニシは３馬身とリードを開いているが、３角ではリードはなくなる。キューンハイトは先頭まで８馬身差で、３〜４角の中間でも中団後ろの外で、手応え十分でじっと脚を温存している。４角では、今度はベルウッドミライが先頭で、１馬身差で２番手バブルウィズジョイ以下が一団。キューンハイトは、先頭から４〜５馬身差の中団大外で、すぐ前にエナホープを見る形で直線へ。

　 直線に向くと、ベルウッドミライが内ラチ沿いにコースを取って２馬身リード。大外エスポワールママンがバブルウィズジョイをかわして２番手。残り250ｍでは、その後ろ１馬身半差でエナホープが４番手に上がり、その3/4馬身外からはキューンハイトの追い込み。ここからの伸び脚は、エナホープとキューンハイトの２頭が完全にまさっている。ラスト100ｍでも、先頭ベルウッドミライが１馬身リードで粘っているが、２番手エスポワールママンをエナホープ，キューンハイトがかわしにかかる。更にラスト80ｍでは、２頭で先頭ベルウッドミライもかわしての先頭争いに。エナホープ，キューンハイトの叩き合いは、勢いでまさるキューンハイトがあっさり決着をつけ、エナホープも踏ん張っていたが、キューンハイトは危なげなく半馬身捻じ伏せて優勝のゴール。柴田大騎手は、ゴール直後にキューンハイトの肩を何度も叩いて、弾ける喜びを表現。思い通りの完璧な競馬ができたこと、愛馬の初勝利とこれからまだコンビが長く続けられることは、柴田大騎手にとっても本当に嬉しかったに違いない。柴田大騎手は、「ヨーイドンの競馬では分が悪いですが、今日はペースが流れてくれて、ドンピシャの展開になりました。調子落ちもなかったですし、厩舎スタッフがいい状態をキープしてくれたことに感謝したいです。」とコメント。血統的にもまだまだ成長が期待できる馬。昇級後の活躍を、長い目で見守っていきたい。

●最後の未勝利戦を素晴らしい末脚で勝利したキューンハイト。後がない状況だったが、存分に実力を発揮できて初勝利をもぎ取った競馬だった。連戦が続いたことからひと息いれてリフレッシュし、宗像厩舎に転厩して気分も新たに再スタート。今回は500万クラス昇級初戦だが、いきなり通用してもおかしくない。１番人気は、近４走を特別戦２着，２着，平場戦２着，特別戦３着と勝ち負けの競馬を続けているヨシノザクラで単勝2.6倍。前走は鼻，鼻の惜敗。前々走，３前走も首差と惜しい競馬を続けている。２番人気は、前走の特別戦で３着だったカウントオンイットで単勝4.7倍。３歳オープンの紅梅Ｓ４着の実績もある。キューンハイトは、単勝17.3倍の６番人気。力の比較は難しいが、前走の勝ちっぷりや上昇度を考えれば、一気に２連勝というシーンがあってもおかしくない。

　 レースでは、キューンハイトは五分のスタートで、手綱をしごいて出て行くものの、馬は加速せずにすぐに抑えて中団でタメる形に。カウントオンイット，ヤマニンサルリーの先頭争いだが、以下もほとんど差なく固まって続く。キューンハイトは、先頭から４馬身差の中団真ん中から。１〜２角で、カウントオンイットが首だけリードし、外にヤマニンサルリー。１馬身差でレイトブルーマー，サツキユニヴァースの２頭だが、以下も固まった展開。向正面ではまったくの一団で、キューンハイトは先頭から４馬身差の中団馬群の真っ只中。身動きの取れない位置だが、進路を確保できるタイミングをじっと窺う。人気のヨシノザクラが、キューンハイトなどをかわして外からじわっと押し上げる。向正面の中間で、後方にいたレッドミラベルが、大外一気のマクリで押し上げて、３角ではあっと言う間に先頭に立つ。俄然ペースが上がって、一団の展開が突然動き出し、包まれて馬群を捌くスペースを窺っていたキューンハイトにとっては願ってもない形に。カウントオンイットが3/4馬身差の２番手。中団キューンハイトは、先頭まで６馬身と少し差が開いているが、手応えは悪くない。そして３角過ぎからじわっと進出を開始し、３〜４角の中間では仕掛けて差を詰めにかかる。一方、前の方の混戦の争いは、大外からヨシノザクラが持ったままで先頭に半馬身差に接近。４角では、今度はヨシノザクラが先頭に出て首ほどリード。内ラチ沿いにレイトブルーマーが２番手に。３番手以下は混戦で、キューンハイトは大外に持ち出して進路を確保し、先頭から３馬身差の中位の争いで直線へ。

　 直線に向くと、ヨシノザクラが１馬身リードで押し切りを図るが、残り１ハロンで3/4馬身差でゴッドカリビアンとスターファセットがじりじり詰め寄り、以下も差はなく大混戦。その中から、中団大外のキューンハイトがグイグイ伸びてくる。ラスト150ｍでスターファセットが先頭に出たところへ、外から一気に並んでくるキューンハイト。ラスト120ｍで今度はキューンハイトが先頭。２番手スターファセットに１馬身差で、レイトブルーマーが内ラチ沿いをすくおうとするが、差を詰めるまでの脚はない。あっさり抜け出たキューンハイトは、最後は１馬身1/4差をつけて鮮やかな勝利のゴール。ラストチャンスの未勝利戦を勝ってから、500万クラスもいきなり突破。しかもここでは力上位とさえ言える内容で、1000万クラスでの好勝負も期待できるほど。鞍上の丹内騎手は、「直線までジックリ我慢して乗ったんですが、ビックリするような脚を使ってくれました。これがディープ産駒の切れ味なんでしょうか。素晴らしかったです。」とコメント。徐々に力をつけていくタイプの牝系で、これから更に進化してくはず。昇級後の活躍もとても楽しみだ。

●前走の土湯温泉特別で鮮やかな差し脚を決めて勝利したキューンハイト。これで未勝利，500万特別と２連勝。勢いに乗って、今回は1000万クラスでの一戦。前走の勝ちっぷりからも、いきなり好勝負できて不思議ない。１番人気は、前走福島の500万特別を１番人気で４馬身差圧勝して昇級してきたイタリアンホワイトで単勝3.1倍。２番人気は、１年前に1000万平場を優勝した後、１１か月の長期休養を余儀なくされたが、１１か月ぶりの前走東京の1000万下平場戦で６着と悪くない競馬をしたスマートルビーで単勝4.2倍。ひと叩きの上昇度を考えれば、現級勝ちの実績がモノを言うかも。キューンハイトは、単勝40.6倍の９番人気と、あまり評価は高くない。前走は展開が向いたとの見方があるためだが、今の勢いは軽視できないはずだ。

　 レースでは、各馬揃ったスタートで、キューンハイトは少し押して出るものの、中団後ろの位置。ミッキークロスが先頭に立って、3/4馬身差でウインマハロ，ラスイエットロスの２番手争いで、以下は差なく固まる。キューンハイトは後方３頭目の内々で、先頭まで６馬身差。１〜２角で、エッジースタイルが３番手争いに。向正面では隊列が固まる。人気のイタリアンホワイトは、先頭から４馬身差の中団。スマートルビーは、その２馬身1/4差後ろから。終始内々を通るキューンハイトは更に４馬身後ろで、後方２頭目の位置になっている。向正面の中間では、キューンハイトは先頭まで１２馬身差。３角では先頭まで１０馬身差となるが、ここでもじっくり脚を温存している。３〜４角の中間では、先頭は依然としてミッキークロス。半馬身差でウインマハロが２番手で、順位はほとんど変わっていない。４角にかかると、各馬仕掛けて馬群が固まってくる。直線入口ではウインマハロが僅かに先頭だが、首差で外モリトシラユリが２番手で、以下の各馬は内外の大きく広がってく混戦模様。キューンハイトは後方内々だが、先頭から４〜５馬身差まで差を詰めて、決して差し届かない位置ではないが、うまく内を捌いて出て来られるのか。

　 直線に向くと、ウインマハロが先頭で、残り１ハロンで3/4馬身リード。２番手にモリトシラユリ。内からすーっとエッジースタイルが伸びて、先頭から２馬身半差の３番手に押し上げるが、同じ位置の大外メイズオブオナーもぐいぐい伸びてくる。その２馬身後ろの６番手争いが、最内キューンハイト，大外人気薄レッドベリンダなど６頭が並ぶ態勢。ラスト150ｍでは、キューンハイトはレッドベリンダとともに５番手争いで、先頭まで２馬身半差。進路が塞がることなく、うまく間を割って出てくる。エッジースタイルとメイズオブオナーの先頭争いに変わり、ラスト100ｍではウインマハロは１馬身差の３番手に。これをキューンハイト，レッドベリンダが内外からかわしにかかり、ラスト80ｍでこの２頭の３番手争い。キューンハイト，レッドベリンダの叩き合いは、ラスト60ｍでキューンハイトの伸びが止まり、競り負けて突き放されて４番手に。一旦は先頭に２馬身1/4差程度まで差を詰めていたもにの、結局最後は先頭から３馬身差の４着でゴール。ラスト100ｍを切ってから伸び切れなかったキューンハイトだが、昇級緒戦でこれだけ走れれば合格点と言える内容。1000万クラスにメドを立てた。鞍上の丹内騎手は、「昇級してもこれだけやれれば悪くありません。力をつけていますし、2000ｍでも大丈夫ですね。」とコメント。今回は内々をうまく立ち回れたこともあったが、まだまだ成長途上だけに、1000万クラスを勝ち上がるのも遠くはないはずだ。

●昇級緒戦の1000万下平場戦で４着と好走したキューンハイト。うまく立ち回れた感は確かにあったが、1000万クラスにメドを立ててくれた。続く1000万下平場戦は伸び切れずに８着に終わったが、展開が向けば巻き返しはあるはず。１番人気は、Ｇ１オークス５着の後、1000万下平場戦を２着，１０着としているフローレスマジックで単勝1.9倍。前年春の３歳牝馬重賞戦線で上位争いを続け、Ｇ１でも入着した実力は明らかに上位だが、前走の大敗をどう評価するか。２番人気は、1000万クラス昇級後安定したレースを続けているジョンブドールで単勝4.2倍。前走の特別戦も２着と好走している。キューンハイトは、単勝22.9倍の８番人気。フローレスマジックが牝馬クラシック路線で活躍している時、キューンハイトは未勝利を勝ち切れずにもがいていた。是非ともその時の立場を逆転させる勝利を期待したい。

　レースでは、キューンハイトはスタートは五分に近い感じで出るが、すぐに後方に控える形。スマートプラネットと大外ジョンブドールの２頭が先頭争いに。キューンハイトは、先頭から５馬身差で後方２頭目。１〜２角で、スマートプラネットが先頭に立って１馬身半のリード。ダイワドレッサーが２番手に上がり、3/4馬身差でヤマニンエルフィン，ジョンブドールの３番手争いで、その後ろは３馬身開いている。向正面に入って、その少し差の開いた５番手争いに大外からフローレスマジックが加わると、前との差を詰めて行く。キューンハイトは、フローレスマジックの３馬身後ろで、いつの間にか外に持ち出して、中団後ろまで順位を上げてきている。３角でも馬順は変わっていないが、フローレスマジックが３番手争いの２頭に１馬身半差まで詰めている。３〜４角の中間では、キューンハイトはフローレスマジックの１馬身半直後でマークしているようなレース運びだが、このあたりから手が動き始める。４角では前の方は固まってきて、先頭スマートプラネットにジョンブドールが並んでくる。3/4馬身差で中ダイワドレッサー，外にフローレスマジックの３番手争い。半馬身差で最内ヤマニンエルフィン。キューンハイトはその１馬身半後ろの中団大外。各馬一団に固まって、どの間にもチャンスがある競馬になって直線へ。

　 直線に向くと、ジョンブドールが僅かに先頭だが、内で食い下がるスマートプラネット。外から伸びるフローレスマジック。中団大外キューンハイトはじりじりとした伸び。残り１ハロンを切って、フローレスマジックが先頭に替わろうかという態勢に。キューンハイトは先頭まで３馬身差の８番手。フローレスマジックは、ラスト150ｍでジョンブドールを首差かわすと、ラスト80ｍから突き放して、最後は１馬身1/4差をつけて快勝。キューンハイトは、ラスト100ｍで３番手争いのヤマニンエルフィン，スマートプラネット，ブリガアルタ，トーホウアイレスの４頭に3/4馬身差の大外。スマートプラネットは一杯になって脱落したが、キューンハイトは他の３頭とは最後まで同じような脚色のまま、５着のトーホウアイレスに半馬身差の６着でゴール。最後ひと息伸び切れず、あと一歩で掲示板までは食い込めず。鞍上の津村騎手は、「終いは詰めていますし、この馬なりには頑張っていると思います。」とコメント。現状では善戦止まりの感じだが、経験を積んでいけば、いずれは勝ち負けの競馬ができるようになるはずだ。

●１月の1000万下平場戦では６着で掲示板を逃したキューンハイト。それでも、３着馬から3/4馬身差で、内容は悪くなかった。今回はそれ以来５カ月間隔が開いて、500万クラスに降級しての一戦。降級すれば当然チャンスのはずだが、頭数が多くない割にメンバーが揃った。１番人気は、近２走３歳500万特別３着，ダービートライアルのプリンシパルＳ２着としているブレステイキングで単勝1.4倍の断然人気。前々走は、ＮＨＫマイルＣ２着のギベオン，スプリングＳ３着のマイネルファンロンと僅差、そして前走は日本ダービーで3/4馬身差の３着だったコズミックフォースと頭差の勝負をしている。２番人気は、1000万クラスで２着，４着，３着として降級してきたチャロネグロで単勝4.4倍。キューンハイトは、単勝24.0倍の５番人気。上位人気馬も降級組で手強いが、好勝負を見せてほしい。

　レースでは、キューンハイトはそれほどいいスタートでなく、すぐに殿りに近い位置に。オンザロックスが内から出てくるが、外から３頭が並びかけて行く。キューンハイトは後方２，３頭目で、先頭からは８馬身差。向正面で、オンザロックスが先手を取り切って１馬身半のリード。ヨシヒコが２番手，１馬身半差でラッキーアドバンスの順。２馬身半開いてミッキーバードが４番手。頭数の割に縦長の展開となって、後方の内キューンハイトは、先頭から８馬身差。同じ位置の外には人気のブレステイキングがいて、このあたりは固まっている。３角にかかると馬群が詰まってきて、キューンハイトも先頭から４馬身差の位置に。このあたり、ブレステイキングの方が半馬身前に出ている。３〜４角の中間では、キューンハイトは内ミッキーバード，外ブレステイキングと３頭並んで、先頭まで５馬身差。４角でも、オンザロックスが１馬身半リードで先頭。ヨシヒコが２番手。キューンハイトは先頭から６馬身差の中７番手。ブレステイキングの3/4馬身後ろで直線へ。

　直線に向くと、追い出されてからは各馬同じような脚色だが、残り350ｍを切ったあたりから３番手以下が差を詰めてくる。残り300ｍで、キューンハイトはやや伸び切れない感じで、ブレステイキングに２馬身遅れを取る。残り250ｍでブレステイキングがヨシヒコをかわして２番手に上がり、先頭オンザロックスを１馬身半差で追う。２番手争いから１〜１馬身半の圏内に５頭が固まっていて、キューンハイトもその一角に加わっている。しかしながら、キューンハイトは外からチャロネグロ，アグニシャインの２頭にはかわされてしまう。残り１ハロンでは、キューンハイトは先頭に２馬身半差の６番手争い。残り１ハロンを切ってブレステイキングが先頭，１馬身差でチャロネグロが２番手で、この２頭が抜ける。ラスト120ｍで、４番手に下がったオンザロックスを、ミッキーバード，キューンハイトの２頭が追う。キューンハイトは、ミッキーバードに僅かに遅れてしまったが、ゴール前でオンザロックスを半馬身かわして５着でゴール。降級戦で上位争いを期待したが、今回は５着に留まった。鞍上の柴田大騎手は、「頑張っていますが、今日は上位馬が強かったですね。ただ、この馬も降級すれば力は上位ですし、牝馬限定戦ならいい勝負ができると思います。」とコメント。今回はメンバーも揃っていたが、条件次第では勝ち負けできる力があるはず。ひと叩きの効果にも期待大だ。

●降級戦となった６月の東京戦では５着だったキューンハイト。もっと走れると期待されただけに、物足りなかったが、その後２戦は７着，６着と着順的にはやや後退。勝ち負けできて当然の力の持ち主だが、当面は好勝負できるまで持ち直してほしい。１番人気は、1000万特別４着の後、降級した500万下平場戦では１番人気で２着だったイタリアンホワイトで単勝3.5倍。２番人気は、500万クラス昇級後５戦すべて２〜３着のアバルラータで単勝3.7倍。。キューンハイトは、単勝26.5倍の９番人気。メンバーはなかなか手強いだけに何とも言えないが、キューンハイトは実力を出し切れれば、勝ち負けまであって不思議はない。

　レースでは、キューンハイトはスタートは五分に出るが、すぐに控えて後方へ。積極的に行こうという馬はなく、横に広がっているが、内からアストラサンタンが押し出されるように僅かに先頭。首差でサングリアロッソ，エイシンデルフィーの２頭。その後ろは１馬身半差で、４番手以下は固まっている。キューンハイトは、先頭から８馬身差の最後方の争い。向正面の中間でも、後方２，３番手あたり。馬順にほとんど変動はなく、３角手前ではキューンハイトは後方へ２番手で、マルーンエンブレムの１馬身半後ろ。３角でも、先頭はアストラサンタン，3/4馬身差でサングリアロッソが２番手だが、３〜４角の中間では馬群が更に固まってくる。キューンハイトは、後方２〜４番手の並んだ中。４角では、２番手から3/4馬身差でロフティフレーズ，エイシンデルフィーの２頭が３番手争い。キューンハイトは更に５馬身後ろ，後方で中を突く形で直線へ。

　長い直線の勝負は、残り600ｍまでは馬順はほとんど変わらず。キューンハイトは中から大外に持ち出して、後方３頭目で先頭まで７馬身差。アストラサンタンが１馬身半リードで逃げ込みを図る。ロフティフレーズが２番手に上がってくる。残り350ｍで、大外アバルラータが単独３番手に，そしてその半馬身差の更に外からマルーンエンブレムの追い込み。キューンハイトは更に３馬身後ろの後方２頭目あたりで、優勝争いからは圏外か。アバルラータ，つれてマルーンエンブレムの２頭の伸び脚がまさり、アストラサンタン，ロフティフレーズの先頭２頭を、藤田菜七子騎手騎乗のマルーンエンブレムがラスト30ｍで鮮やかに差し切って優勝。アバルラータが２着に入った。キューンハイトは、残り１ハロンで５番手イタリアンホワイトから３馬身差でまだ後方だったが、ラブリーアモンの１馬身後ろから、ラスト150ｍのその外側に馬体併せると、２頭の叩き合いの形のままイタリアンホワイトを抜き去る。この２頭の５着争いとなったが、キューンハイトがラスト30ｍを切って僅かに前に出ると、ラブリーアモンを首差捻じ伏せて５着確保のゴール。掲示板を確保して、現級勝ち馬の面目を保った。鞍上の柴田大騎手は、「行き脚がつかないので、いい位置は取れないのですが、その分終いは脚を使ってくれます。あまり器用ではなく、前半に無理をすると甘くなってしまうので、そのあたりが難しいところです。うまく展開が味方してくれるといいですね。」とコメント。まだ絶好調時の走りと比べて物足りないが、徐々に調子は上がってきているようだ。

●前走の新潟の平場戦では５着だったキューンハイト。降級後は掲示板ボーダーを前後する着順を続けているが、今回はもうひとつ上の着順を期待。１番人気は、前走1000万クラスに格上挑戦した特別戦で半馬身，首差の３着と健闘を見せたオスカールビーで単勝1.8倍の断然人気。自己条件なら実力は明らかに上位。２番人気は、ミモザ賞３着の後、特別戦を８着，９着としているムーンライトナイトで単勝5.4倍。キューンハイトは、単勝11.0倍の５番人気。オスカールビーはなかなか手強そうだが、それ以外の馬とはほとんど差はないはずだ。

　レースでは、キューンハイトは少し出遅れて殿りに近い位置。オスカールビーが好スタートで、仕掛けてすぐに先手を取ると、すっと１馬身半リード。外ランリーナが２番手だが、これを外からインヴィジブルワンがかわして行く。キューンハイトは、先頭から１０馬身差。このあたり、隊列がバラけてくる。１〜２角で、オスカールビーのリードは２馬身半，向正面にかかると４馬身と開いてくる。２番手インヴィジブルワンの後ろも３馬身半離れている。キューンハイトは、後方４頭目の位置で、３番手の馬からも１２馬身差があって、先頭までは２０馬身ほどの大きな差がついている。オスカールビーはスピードを落とさず、向正面の中間では７馬身と大逃げの形に。３角手前でも、８馬身リードでペースを緩めない。それでも、このあたりからキューンハイトもじわっと差を詰めにかかる。３角では、２番手以下の馬たちも、さすが差を詰めようとするが、手綱をしごいても３〜４角の中間でもまだ６馬身差がある。２番手にインヴィジブルワン，３馬身開いてでランリーナ，１馬身半差でラレッサングルの順。キューンハイトは手綱を押しているが、まだ中団後ろの外。オスカールビーは手応え十分で、手綱をしごいている２番手以下の馬たちととは対照的。４角でも、後続はほとんど差を詰められず、オスカールビーは持ったままで、力の違い，スピードの違いは歴然。そのまま５馬身リードを保っている。インヴィジブルワンが２番手，１馬身差でランリーナ，3/4馬身差で外ラレッサングルが４番手で、その後ろは少し差がある。キューンハイトは、ラレッサングルの５馬身後ろ。先頭オスカールビーは持ったまま、誰の目から見ても勝利は確定した形で直線へ。

　直線に向くと、オスカールビーが、逆に後続を突き放す感じで６馬身リードで残り１ハロン。２番手は、インヴィジブルワン，ランリーナ，ラレッサングルの３頭が並んでくる。その後ろはまた３馬身開いて、先頭争いまで加わってくるような馬は見当たらない。キューンハイトは、２番手争いから４馬身差の中団大外で、徐々に差し脚を伸ばしてくる。先頭オスカールビーは完全にセーフティリードで、ラスト100ｍでは７馬身抜けている。ラスト120ｍからは、２着争いはランリーナ，ラレッサングルの２頭に。キューンハイトは、ラスト100ｍで５番手争いの大外。キューンハイトは、ここからムーンライトナイトとともに末脚を発揮し、ムーンライトナイトを僅かに競り落とすと、ぐいぐい伸びて２着争いに迫る。最後までよく伸びたキューンハイトだったが、２着のラレッサングルに首差まで迫ったところがゴール。４頭接戦の２着争いだったが、ランリーナを鼻差捕らえて３着に食い込んだ。降級後の最高着順で、久しぶりにこの馬らしい末脚を見せてくれた。鞍上の柴田大騎手は、「前半はついて行けませんでしたが、流れ自体は向いてくれました。それに新潟よりは、直線坂のある中山コースの方がいタイプだと思います。」とコメント。ようやくこの馬の力を発揮できるようになってきた感じだ。

●前走の汐留特別では降級後最高の３着だったキューンハイト。もう少しで２着もあった競馬で、ここにきて調子を上げて来ている。元々現級勝ちの実績のある馬だけに、今回も勝ち負けの競馬ができて当然。１番人気は、1000万特別８着から降級してきたエイシンクリックで単勝3.0倍。２番人気は、惜敗を重ねながら前走未勝利戦で初勝利を挙げたゴールドパッキャオで単勝4.0倍。キューンハイトは、単勝5.7倍の４番人気。実力差のないメンバーで、キューンハイトにも十分勝機がある。

　レースでは、キューンハイトはスタートが若干甘く最後方となるが、じわっと順位を上げて行く。強引に行こうという馬はいないが、それでも前の方は比較的速いペースに。内からアエラスが出てくるが、外からタイプムーンが並んでくる。中団後ろのキューンハイトは、早くも先頭から１０馬身差。バラけて縦長の展開となり、先頭から殿りまでは２０馬身差に。１〜２角で、タイプムーンが先頭で１馬身のリード。マイネルユニブランが２番手，１馬身差でピスカが３番手。１馬身半差でアエラスが４番手で、その後ろは５馬身開いている。向正面で、５番手リセエンヌの後ろの中団グループは固まっていて、キューンハイトはリセエンヌの３馬身後ろの中団。後方の馬たちはまたバラけている。向正面の中間では、アエラスが酷い故障で競走中止の悲劇に見舞われてしまう。このあたりから馬群が徐々に固まってきて、３角手前では４番手以下は一団に。３角では、先頭タイプムーンのリードは１馬身半。マイネルユニブランが２番手，１馬身半差でピスカが３番手。更に１馬身半差でウインクリムゾン，ゴールドパッキャオの２頭が続いている。３〜４角の中間では、キューンハイトはその１馬身半後ろで、がっちり手綱を抑えて脚をタメていて、４角でもまだ持ったまま。タイプムーンが１馬身リードで終始先頭だが、２番手以下はまったくの一団。キューンハイトは、先頭から３馬身差の中団やや後ろの大外で、どの馬にもチャンスがある形になって直線へ。

　直線に向くと、混戦の争いから外ピスカが抜け出して１馬身ほどのリード。キューンハイトも外から伸びてくる。残り１ハロンでも、ピスカが１馬身リードしているが、２番手以下は大混戦。残り１ハロンで、内ラチ沿いを伸びたテイエムオスカーが２番手に上がったかと思われたところへ、外からキューンハイトがグイグイ伸びて２番手に上がると、ラスト100ｍで先頭ピスカを外からかわす。ピスカも渋太く粘りを見せ、内からウインクリムゾンもじわじわ伸びたが、末脚でまさったのはキューンハイトで、最後グイッと首差競り勝って優勝のゴール。２着もピスカが粘り切った。ようやく500万クラスを勝ち上がったキューンハイト。これで再び1000万クラスに昇級。使われながら確実に調子を上げていた。鞍上の津村騎手は、「道中は人気の馬を見ながらジックリ乗りました。前がいいペースだったので、終いの脚に賭けましたが、最後はしっかり伸びてくれましたよ。」とコメント。今の状態を維持できれば、1000万クラスでも上位争いの可能性はあるはずだ。

●前走500万クラスの瓢湖特別で差し切り勝ちを演じたキューンハイト。徐々に調子を上げて、降級６戦目で勝利を挙げ、今回から久しぶりに1000万クラスでの競馬。1000万クラスでは楽な戦いはできていないが、掲示板圏内なら十分に期待できる。１番人気は、近３走特別戦を２着，３着，２着としているレイリオンで単勝2.9倍。前走も半馬身差の惜敗で、勝ち上がるのも時間の問題。２番人気は、２歳新馬，特別を連勝後、約１年の長期休養を余儀なくされたレーツェルで単勝5.8倍。長いブランク明けでも、素質の違いを見せつけるか。キューンハイトは、単勝42.2倍のブービー９番人気。以前の1000万クラスでの戦いは、掲示板圏内がやっとの感じだったが、もうワンランク上の走りを見せてほしいところだ。　　　　

　レースでは、全馬揃ったスタートだが、キューンハイトはじっくり構える。すぐに２角にかかり、中団後ろの位置取り。レイリオンが先頭に立って向正面へ。２馬身差でレーツェル，スマートルビーの２番手争い。１馬身半差で４番手争いは３頭並んでいて、その１馬身半後ろの７番手争いがキューンハイト。ここからキューンハイトは６番手に少し馬順を上げて、先頭まで７馬身差。隊列に動きはなく淡々と流れるが、向正面の中間では、キューンハイトは５番手の外と、じわじわ馬順を上げて行く。３角手前では単独５番手で、先頭までは６馬身差。３角では、レイリオンは３馬身リードの逃げ。スマートルビーが２番手，１馬身半差でウインシトリン。3/4馬身差で内レーツェル，１馬身差でキューンハイトは５番手。３〜４角の中間では、キューンハイトはレーツェルの外首差まで並んできて、このあたりでも手綱は抑えたまま。前の方が差が縮まってきて、４角では逃げたレイリオンに内からスマートルビーが並んでくる。１馬身半差でレーツェルが３番手。キューンハイトはその１馬身半後ろの５，６番手あたりの大外。馬群はぎゅっと固まって直線へ。

　 直線に向くと、内ラチ沿いをスマートルビーが先頭に出てくる。残り350ｍで、やや外目を回るレイリオンは3/4馬身差の２番手。首差で中レーツェル。3/4馬身差で内目をウスベニノキミが伸びてくる。半馬身差で外ウインシトリン，更に１馬身差で大外から追ってくるキューンハイト。キューンハイトは、残り250ｍでウインシトリンをかわしにかかるが、伸び脚はじりじり。残り１ハロンで、レーツェルとこれに首差で食い下がるウスベニノキミの２頭の争いに。キューンハイトは、内ウインシトリンとの５着争いとなっているが、内からアドヴェントスがじわじわ伸びてきて、ラスト100ｍではアドヴェントス，キューンハイトの２頭が僅かに出ての５着争い。ウインシトリンも僅かに遅れを取っただけで、依然として食い下がっている。ゴール前で、大外からはシスターフラッグが急追して、キューンハイトに迫ってくる。５着争いは、最後は４頭が接戦となったが、キューンハイトが競り勝って、シスターフラッグも追い込み届かず、キューンハイトが首差しのいで５着確保のゴール。勝ち馬からも３馬身ちょっとで、それほど差があったわけではなかった。鞍上の柴田大騎手は、「いいですね。この感じなら、メンバーや展開がうまく噛み合えば、いいところがあると思います。やっぱり力のある馬です。」とコメント。改めて、1000万クラスでも上位食い込みができる力は見せてくれた。

●前走1000万クラス昇級戦となった東京の平場戦で５着と上位に食い込んだキューンハイト。メドを立てる走りを見せてくれただけに、今回も上位食い込みを期待。１番人気は、近３走特別戦を４着，５着，２着としているフリージングレインで単勝3.2倍。母レインダンスは、Ｇ１秋華賞２着など重賞で何度も上位争いをした馬。２番人気は、Ｇ２セントライト記念６着の後、1000万下平場戦で５着だったレイエスプランドルで単勝4.1倍。セントライト記念では、あと鼻差で掲示板という競馬をしている。キューンハイトは、単勝39.4倍の９番人気。勝ち切るまでは難しいという評価から、オッズは高くなっているが、差のない競馬は十分可能だ。

　レースでは、キューンハイトはスタートはほぼ五分に出るが、すぐに後ろに控える作戦。広がった先頭争いで、積極的に先手を取ろうという馬はいない。じわっとウインイクシードが出かかるが、誰も行かないのを見て大外フィールドシャルムが気合をつけて先手を取りに行く。最後方のキューンハイトは、先頭まで７馬身差。１〜２角で、フィールドシャルムが先頭で１馬身半のリード。レイエスプランドルが２番手で向正面へ。半馬身内にハウエバー，半馬身差でウインイクシードが４番手。その後ろは２馬身開いてショワドゥロワ以下。最後方のキューンハイトは、先頭まで１０馬身差で、一頭３馬身置かれている。隊列に動きはないが、３角でキューンハイトは差を詰めにかかって、依然殿りながら、ホウオウパフュームの首差外に取り付いて、先頭まで８馬身差。３〜４角の中間では、キューンハイトはホウオウパフュームの首差外のまま、２頭で差を詰めにかかる。このあたりでは馬群も固まって、４角ではウインイクシードが僅かに先頭か。大外クレッシェンドラヴが手応え十分に先頭に並んでくる。４角ではほぼ一団で、キューンハイトも先頭まで４馬身差。前のすぐ内側のホウオウパフュームが少し外に膨れる形になり、キューンハイトは更に外に振られるのを嫌い、ホウオウパフュームの内側に切り替えるが、その分若干後ろに下げる形になって直線へ。

　直線に向くと、外のクレッシェンドラヴが楽に先頭に抜け出してくるが、内でウインイクシードが半馬身差で食い下がる。残り１ハロンで、キューンハイトは依然殿りで、じわじわ脚を伸ばすホウオウパフュームの１馬身1/4差後ろで、ここから差を詰めにかかる。ラスト100ｍでは、クレッシェンドラヴは１馬身半抜け出して、勝利はほぼ決まり。５番手にローリングタワー，その3/4馬身外にホウオウパフュームで、このあたりは大混戦。キューンハイトは、ホウオウパフュームの半馬身内で、これをかわそうかという勢い。ラスト50ｍを切って７番手まで上がったキューンハイトだが、ホウオウパフュームも渋太い。ゴール前で、５番手ローリングタワーも差を詰められて、外ホウオウパフュームと間キューンハイトの２頭が詰め寄ったところがゴール。それでも、ローリングタワーまでは首差届かず。キューンハイトは、最後の最後でホウオウパフュームとほとんど同時の態勢まで持ち込んだが、鼻差届かず７着。５着馬とも首差の僅差で、うまく運べれば掲示板もあったかもしれない内容。鞍上の丹内騎手は、「ある程度後ろからの競馬になるのは想定内でした。ただ手応えがすごく良かったので、３，４コーナーで外を選択したのが失敗。内の馬が出て来たこともあり、かなり外へ振られるロスがありました。結果、内を突いてうまく捌けていれば、もっと上位を狙えていたように思います。申し訳ありません。」と無念の思いを口にした。今回は惜しい結果だったが、今後も引き続き、上位食い込みのチャンスがありそうだ。

●Ｇ１秋華賞３着馬シアリアスバイオの産駒グッドヘルスバイオ。新馬デビュー戦は７馬身差の７着だったが、悲観する内容ではなかった。更に前進を見せられれば、好勝負できておかしくない。１番人気は、新馬戦は２馬身差の４着だったマル外フォートワズワースで単勝1.4倍の断然人気。２番人気は、兄にＧ１フェブラリーＳ４着馬のエイシンバッケンを持つエイシンオーディンで単勝5.8倍。新馬戦は６着だった。グッドヘルスバイオは、単勝16.4倍の４番人気。フォートワズワース断然ムードだが、グッドヘルスバイオもそれ以外の馬となら差はないはず。人気以上の走りは十分可能だ。

　レースでは、グッドヘルスバイオはスタートで少し立ち遅れ、手綱を押して行くが後方から。スマートドレイク，内ヒロノトウリョウの先頭争いだが、スマートドレイクが１馬身リードを取り切って先頭へ。グッドヘルスバイオは後方で、先頭から６馬身差があるが、３角手前ではその差は８馬身に開いている。３角でも、スマートドレイクが先頭で１馬身リード。２番手にエイシンオーディン，半馬身差で外マルブツプリサイスの順。３〜４角の中間では、グッドヘルスバイオは依然先頭まで８馬身差で手が動き始める。１馬身1/4差前には人気のフォートワズワースがいて、ここからスーッと進出開始。４角では、グッドヘルスバイオはフォートワズワースには遅れを取ったが、じわっと進出を開始。４角では、大外フォートワズワースが、先頭まで２馬身半差の５番手まで押し上げる。グッドヘルスバイオは、更に２馬身半後ろの７番手争いで直線へ。

　直線に向くと、フォートワズワースがぐいぐい伸びてくる。先頭スマートドレイクは、残り300ｍから追い出しにかかるが、フォートワズワースが１馬身差の２番手まで迫る。半馬身差でエイシンオーディン，更に半馬身差でマルブツプリサイスも食い下がる。その３馬身半後ろから、大外グッドヘルスバイオにエンジンがかかって、ここから追い込んでくる。グッドヘルスバイオは残り１ハロンで５番手に上がると、ラスト100ｍでは３番手争いのマルブツプリサイス，エイシンオーディンの頭を１馬身差の射程圏内に。全頭の中でもグッドヘルスバイオの伸び脚が際立ち、ラスト50ｍで３番手に上がる。２番手スマートドレイクまでは３馬身差があって、さすがにこれには届かないが、それでも最後は１馬身3/4差まで詰めて３着でゴール。序盤に行けなかったのが最後まで響いたが、レースぶりは一変。今後の活躍に期待が膨らんだ。鞍上の鮫島駿騎手は、「スタートはゆっくり。道中も忙しい感じでしたが、ラストはいい脚。砂を被ることに大分慣れてきましたね。次あたりはチャンスじゃないでしょうか。」とコメント。次走どんな競馬を見せてくれるか本当に楽しみだ。

●デビュー２戦目で３着と好走したグッドヘルスバイオ。しかしながら、続く前走は２番人気で９着と後退。成績は安定しないが、前々走の走りができれば、上位争いは可能なはず。１番人気は、新馬デビュー戦は９番人気ながら２着と好走したレオンコロナで単勝2.2倍。２番人気は、デビューからの２戦を６着，２着としているフーズサイドで単勝5.4倍。前走は勝ち馬から3/4馬身と差のない勝負をしている。グッドヘルスバイオは、単勝14.6倍の６番人気。少し人気を下げてしまっただけに、巻き返しを期す。

　レースでは、グッドヘルスバイオはスタートは五分に出るが、内からレオンコロナがポーンと好発を決める。グッドヘルスバイオは好位グループの直後で、先頭から３馬身半差の５番手争いで１角へ。１〜２角で、先頭レオンコロナは１馬身リード。スターオブオナーが２番手，１馬身半差でアプラウス，アポロチーターの３番手争い。これに１馬身1/4差でグッドヘルスバイオは５番手追走。向正面では隊列も固まって動きはなく、向正面の中間でも、グッドヘルスバイオは先頭から３馬身差の位置をキープしている。３角でもまったく馬順は変わらず、先頭レオンコロナは3/4馬身リードで、後続を引き付けての逃げ。しかしながら、３〜４角の中間からペースが上がり、馬群がバラけ始め、３番手以下の馬たちの多くが手が動き始める。グッドヘルスバイオも手綱を押している。４角では、先頭レオンコロナに、スターオブオナーが首差まで並んでくる。３番手以下は５馬身とあっと言う間に差が開いてしまって、この２頭のマッチレースに。３番手にアポロチーター，首差で内ラチ沿いにアプラウス。これに１馬身半差でシゲルクロダイヤ，グッドヘルスバイオの５番手争いで直線へ。

　直線に向くと、３番手以下の馬たちの中からは、グッドヘルスバイオ一頭が末脚を伸ばしてきて、残り270ｍでは単独３番手に。レオンコロナが二の脚で突き放しにかかって、残り１ハロンで２馬身半リード。２番手にスターオブオナー，７馬身も差が開いて３番グッドヘルスバイオで、既に態勢は決した感。それでもグッドヘルスバイオは諦めずに最後まで末脚を伸ばして、スターオブオナーに３馬身半差まで詰めて５着でゴール。４着シゲルクロダイヤには５馬身差をつけていた。レオンコロナは５馬身差の圧勝で、バラバラのゴールとなった。勝てそう場面はなかったものの、前走の着外から巻き返してきたグッドヘルスバイオ。もう少しパワーアップは必要だが、力のあるところは見せてくれた。鞍上の菊沢騎手は、「初めて乗りましたが、凄くいい馬ですね。距離は1800ｍくらいあった方が乗りやすいです。この内容なら、メンバーひとつで勝ち負けになると思います。」とコメント。菊沢騎手が言うように、今後メンバー次第では勝利のチャンスがありそうだ。

●前走は１，２着馬からは差があったが３着を確保したグッドヘルスバイオ。これで全４戦で３着２回という成績。今回は、勝ち負けの競馬まで期待したい。１番人気は、６月の新馬戦は除外となったが、前走の新馬戦では２着と実力を見せたゴールドラグーンで単勝1.1倍の超圧倒的人気。前走は３着以下に９馬身差をつけている。２番人気は、デビューからの全３戦を６着，４着，３着としているレッドエンヴィーで単勝10.0倍。グッドヘルスバイオは、単勝20.9倍の５番人気。上位争いは濃厚だが、勝ち負けの競馬を見せてほしいところだ。

　レースでは、グッドヘルスバイオはほぼ五分にスタートを切ると、グイグイ手綱をしごいて行く。シャイニーブランコ，ゴールドラグーンの先頭争い。この２頭は無理なくすっと出てくる。１馬身半差で大外スパンキーワールドが３番手。グッドヘルスバイオは、スタートから１ハロン押し通しで、ようやく３番手の内に並んで行く。１〜２角で、シャイニーブランコが先頭で半馬身リード。ゴールドラグーンが２番手，3/4馬身差で内グッドヘルスバイオは３番手で、このあたりでは手綱を抑えている。半馬身外にスパンキーワールドの順。向正面では隊列も固まり、ほとんど動きがないまま、グッドヘルスバイオは先頭から１馬身1/4差の内々３番手をキープしている。向正面の中間から、後ろにいたレッドエンヴィーが、大外一気のマクリをかけて、先頭争いまで押し上げて行く。それでも、ゴールドラグーンはハナを譲らず、更に最内シャイニーブランコもまたスピードを上げる。３角では、シャイニーブランコが首差リードで先頭。ゴールドラグーンが２番手，半馬身差で外レッドエンヴィー。その半馬身内にグッドヘルスバイオは４番手。１馬身1/4差後ろにスパンキーワールド。３〜４角の中間では、グッドヘルスバイオはまだ余力残しの手応えとなっている。４角では、前の方は更に固まってきて、グッドヘルスバイオは内々で先頭まで3/4馬身差で直線へ。

　直線に向くと、先頭ゴールドラグーンが突き放しにかかって１馬身1/4差リード。２番手にレッドエンヴィーが粘るが、内グッドヘルスバイオ，外スパンキーワールドの２頭がじわじわ差を詰めてきて、残り１ハロンでは２番手に首差まで並んでくる。この２番手争いから、ラスト150ｍでスパンキーワールドが首ほど出て２番手。ラスト100ｍで、グッドヘルスバイオがレッドエンヴィーをかわして３番手に上がり、スパンキーワールドに首〜頭差で競り合っている。グッドヘルスバイオも実に渋太く食い下がり、２着もあるのではないかというシーンもあったが、ゴール前でスパンキーワールドにもう一度グイッと脚を伸ばされて、首差競り負けて３着でゴール。ゴールドラグーンは、人気どおりの快勝だった。前走以上に見せ場のある３着と好走したグッドヘルスバイオ。ようやく安定して実力を出せるようになってきた印象。鞍上の池添騎手は、「ラストまで渋太く脚を使いました。通用するところを見せてくれたと思います。」とコメント。初勝利も手の届くところにあると言っていだろう。

●一昨年の１２月の障害未勝利戦で４着だったゲネラルプローべ。徐々に着順を上げて、障害での勝利に期待が高まったが、その後は１５か月もの長期休養を余儀なくされる。今回はブランクの開いた一戦だが、能力を見せてほしい。１番人気は、初障害の前走で２着と障害適性を見せたダンツプリウスで単勝1.8倍。Ｇ２ニュージーランドＴ優勝，Ｇ１ＮＨＫマイル４着の平地実績は、ここでは圧倒的なもの。２番人気は、前走２着と好走しているスズカグランデで単勝3.6倍。障害では全１１戦して、２着３回、３着２回、４着１回という安定性を見せている。ゲネラルプローべは、単勝24.6倍の７番人気。長期の休養がなければ当然勝ち負け。あとはどこまで実力を発揮できるかだ。

　レースでは、ゲネラルプローベはスタートで若干立ち遅れて後方から。ニシノキャプテンがじわっと出てくるが固まった態勢。今度はメイショウヒカルが先頭に立って、１馬身半差でニシノキャプテン。その後ろは２馬身半と少し開いているが、３番手集団は固まる。逆回り２角では、ゲネラルプローベは３番手から１馬身半差で、１角では行きたがるのをなだめるように内々５番手。それでも正面スタンド前に来て、ゲネラルプローベが内からじわじわ進出し、ニシノキャプテン，メイショウヒカリと並んでの先頭争いに。人気のダンツプリウスは、先頭から５馬身差の５番手に押し上げる。逆回り４角で、今度はゲネラルプローベが単独先頭に立って、３角では２馬身半とリードを開いて行く。それでもタスキコースに入って、前の方は固まってくる。２番手集団は差なく横に広がっているが、順回りの１角で、ゲネラルプローベはまた２馬身半と差を開く。ダンツプリウスが２番手に順位を上げて、半馬身差で内スズカグランデが３番手。３馬身半と差を広げた先頭ゲネラルプローベだが、向正面ではダンツプリウスが２馬身差に詰めてくる。半馬身差でスズカグランデも虎視眈々。ゲネラルプローベは３馬身差にまた開くが、３角ではまた２馬身差に。スズカグランデ，ウルラーレ，ニシノキャプテンも差のない位置。３〜４角の中間にかかると、ダンツプリウスが半馬身差まで取り付いてくる。３番手スズカグランデまで差はなく先団を形成。２馬身1/4差でニシノキャプテンが４番手。それでもゲネラルプローベは４角でも先頭をキープし、ほぼ前３頭の勝負の形。半馬身リードのまま直線へ。

　 直線に向くと、先頭ゲネラルプローベにダンツプリウスが並びかけての叩き合い。半馬身差で内スズカグランデも詰め寄って、この３頭の勝負。しかしながら、残り１ハロンでダンツプリウスが半馬身リード。ゲネラルプローベは、ラスト150ｍでスズカグランデにも僅かに遅れる。このあたりはやはり長期休養明けの影響が大きい。それでも、ラスト100ｍでも前の３頭は3/4馬身間隔で、ゲネラルプローベも渋太く踏ん張っている。４番手以下は６馬身と差が開いた。しかしながら、ここから前３頭の間隔は広がって、ゲネラルプローベも突き放されてしまったが、そのまま３着確保のゴール。最後に息が上がってしまったが、長いブランクがあったことを考えれば十分な内容。鞍上の中村将騎手は、「ラストで少し甘くなったのは、ブランクがあった分かな。ハードルのセンスは十分だから、次走はもっとやれると思います。」とコメント。ひと叩きの効果も大きいと思われるだけに、このまま無事に行けば、障害初勝利も遠くないはずだ。

●１年２カ月の長期休養明けの障害未勝利戦で３着と好走したゲネラルプローべ。底力のあるところを見せて流石と思わせたが、続く未勝利戦は８着と後退。今回はメンバー的には軽くなるだけに、巻き返しを期す。そして、ゲネラルプローべが単勝2.7倍の１番人気に支持される。２番人気は、障害入りしてからの２戦を５着，競走中止という成績のメイショウヒコボシで単勝4.6倍。Ｇ２浦和記念４着，Ｇ３みやこＳ５着の平地力は上位。３番人気は、今回が初障害となるダイシンサクセスで単勝5.4倍。地方から再転入した馬で、ＪＲＡ初勝利を目指す。ゲネラルプローべにとっては、障害初勝利の大きなチャンスだけに、是非ともモノにしたいところだ。

　レースでは、ゲネラルプローべは悪くないスタートで、５頭広がった先頭争いの一角。１つ目の障害手前でゲネラルプローべが先頭に。逆回り４角では、１馬身半リードする。コパカパーナが２番手，２馬身半差でメイショウヒコボシ，クリノアスカの３番手争い。向正面では隊列がバラけてくる。２番手から３馬身差でメイショウヒコボシ，更に４馬身差でクリノアスカが４番手。その６馬身後ろで後方に位置するのがシーライオン。タスキコースのバンケットを越えて順回りへ。１〜２角で、ゲネラルプローべは２馬身リードの逃げ。向正面では、２番手コパカパーナの後ろは６馬身と差が開いて、３番手にクリュティエが上がってくる。後方のシーライオンは、先頭まで１５馬身の差があるが、向正面の中間から、内から一気に押し上げて行く。３角ではクリュティエが２番手に上がるが、更にペースを上げたシーライオンが、今度は外目に出して、押っつけながら猛然とマクリをかける。３〜４角の中間では、先頭ゲネラルプローべが２馬身半リードしていたが、物凄い勢いでシーライオンが並んでくる。ゲネラルプローべも譲らず、４角では２頭並んでの先頭争い。１馬身後ろでクリュティエが３番手。更に３馬身差でミヤコギムレットの態勢。先頭はゲネラルプローべ，シーライオンの２頭が並んだままだが、シーライオンも追い上げにかなり脚を使っているはずで、ゲネラルプローベにも、まだ十分勝機のある競馬で直線へ。

　直線に向くと、外シーライオンの方が首ほどリードするが、内ゲネラルプローべも食い下がっている。３番手クリュティエは、１馬身3/4差と少し差が開いて、多くの人が「前２頭の勝負」と考えるような態勢で最終障害を飛越。跳んでからも、ゲネラルプローべは首差で食い下がって懸命に抵抗する。しかしながら、一旦遅れたかに見えたクリュティエが、また１馬身差まで詰めて来ている。首〜頭で粘っていたゲネラルプローべだったが、ここからインを突いたクリュティエが一気の伸び脚。ラスト60ｍで、クリュティエが先頭争いの２頭をかわして先頭。ゲネラルプローべも勝負根性を発揮していたが、ラスト50ｍで力尽きて遅れを取り、最後は結局２着シーライオンに１馬身1/4差の３着でゴール。それでも、勝ち馬からの差は２馬身で、十分見せ場のある内容。鞍上の中村将騎手は、「メンバー的に行けたら行こうと思っていましたが、目標にされて厳しい競馬になってしまいました。」とコメント。今回はメンバー的にもチャンスだっただけに残念だったが、またきっと勝利の順番が巡ってくるはずだ。

●４月の福島戦では、１番人気に支持されたものの２馬身差の３着だったゲネラルプローべ。勝利のチャンスをモノにできなかったのは残念だった。今回は３カ月間隔が開いての一戦。実力的には当然勝ち負けだが、１００％力を出し切れるかが課題。１番人気は、近４戦を５着，３着，２着，４着と堅実なレースを続けているウルラーレで単勝2.5倍。ゲネラルプローべは、単勝4.0倍の２番人気。３番人気は、近４走をすべて２着〜５着と安定した走りを見せているロンギングダンサーで単勝4.3倍。Ｇ２毎日王冠４着などグレードレース入着３回の平地力は断然上位。実力拮抗の一戦だけに、ロスなく自分の競馬ができた馬が勝利を掴む一戦だ。

　レースでは、ゲネラルプローベはそれほどいいスタートではなかったが、スーッと前に出てくる。ゲネラルプローベが僅かに先頭，首差でスミレタンポポ，半馬身外にロンギングダンサーの態勢。逆回り４角〜３角で、ゲネラルプローベは１馬身1/4差リードの逃げ。２番手にスミレタンポポ，スリージェットが３番手，４番手にロンギングダンサーで、このあたりまでは縦一列。タスキコースでも特に動きはなく、順回りに入って１角〜２角でも、先頭ゲネラルプローベは１馬身半のリード。向正面に入ってロンギングダンサーが２番手に上がり、１馬身差にじわっと接近するが、障害飛越でロンギングダンサーがバランスを崩し、ゲネラルプローベが３馬身とリードを開き、更にその差は４馬身となる。しかしながら、３角手前の障害飛越で、今度はゲネラルプローベが少し危ない飛越でスピードを鈍らせる。３角では、ゲネラルプローベのリードはあっと言う間に3/4馬身差に縮まる。ゲネラルプローベは手が動き始め、３〜４角の中間では、ロンギングダンサーがかわして先頭。更に４角では、ホシルミエールにもかわされて、ゲネラルプローベは３番手に。半馬身差にウルラーレが迫り、更に１馬身差でスミレタンポポが続いて直線へ。

　直線に向くと、ロンギングダンサーが２馬身半リードで最終障害を飛越。ホシルミエールが２番手，１馬身半差でゲネラルプローベをウルラーレがかわす。１馬身1/4差でスミレタンポポが５番手。ここからロンギングダンサーは、後続を突き放して、最後は８馬身差をつけて圧勝。ゲネラルプローベは脚がなくなり、ラスト30ｍでスミレタンポポにもかわされて５着でゴール。道中は軽快に逃げていたゲネラルプローベだったが、障害飛越でバランスを崩してからは、一遍に苦しくなってしまった。鞍上の中村将騎手は、「いいスタートが切れたし、他に行く馬もいなかったのでハナに行きました。ただ、勝負どころから息切れしてしまいましたからね。叩いた次は変わると思います。」とコメント。今回は少しレース間隔も開いていただけに、次走は変わり身を見せてくれるに違いない。

●７月の福島の障害未勝利戦では５着だったゲネラルプローベ。その後、世界の最高峰の凱旋門賞に僚馬のクリンチャーが挑戦することになり、その帯同馬としてゲネラルプローベもフランスに渡る。フランスのシャンティ競馬場で、ゲネラルプローベも、クリンチャーが出走するフォワ賞の前に、武豊騎手を鞍上に試走の意味も含めて４歳上条件戦に出走する。タマモクロスの血を引く馬が、欧米に遠征して競馬をするのは恐らく初めてのこと。ライバルたちの中で実績のある馬は、１０戦２勝ですべて５着以内というBRAVE MARY。PIRANDEELLOは、１３戦して３着以内が９回という堅実馬。LUCKY TEAMは、近９走ではすべて５着以内で３勝している。VIVE L'AMIは、全成績が4-7-3-5 という馬。とにかく日本馬とは実力の比較は難しい。コース適性をどこまで発揮できるかがカギだ。

　レースでは、最内ワクのゲネラルプローベは、スタートで１馬身出遅れると、すっと中側に持ち出すが、殿りですぐに３馬身置かれた形，先頭からは８〜９馬身の差がついてしまう。３頭の先頭争いとなるが、中からVIVE L'AMIが先頭，首差で外REPERCUSSIN，半馬身内にHOPELESSが３番手。ゲネラルプローベは、先頭からは８〜９馬身差で変わらず、一頭２馬身置かれた最後方。３〜４角の中間でも、VIVE L'AMIが半馬身リードでレースを引っ張り、馬順にほとんど変動はない。４角では、ゲネラルプローベは前の馬に１馬身差まで詰めるが、先頭まで９馬身差は変わらない。それでもここから１頭かわすが、その更に前の馬までは２馬身差がある。ここから大外に持ち出すが、先頭までは８馬身ほどで、ほとんど差を詰められないまま直線へ。

　直線は、先頭VIVE L'AMIに外からREPERCUSSIONが並びかける。１馬身差でHOPELESSが３番手。ゲネラルプローベも一杯に追い出されるが、前の馬までの２馬身半差を詰められない。残り500ｍで、今度はREPERCUSSIONが先頭。１馬身1/4差で２番手に下がったVIVE L'AMIに、外からPIRANDELLO，BRAVE MARYが並びかける。残り１ハロンでも、REPERCUSSIONが１馬身抜け出しているが、２番手争いからBRAVE MARYが差してくる。ゲネラルプローベは、一杯になった内ラチ沿いのMR SLICKERをかわして後方３番手だが、前までは３馬身半開いている。優勝争いは、粘り込みを図るREPEUCUSSIONとこれを追うBRABE MAARYの２頭の叩き合いとなったが、REPERCUSSIONが最後まで抜かさせず首差競り勝って優勝。ゲネラルプローベは既に勝負がついており、ラスト150ｍでは武豊が追うことをやめ、先行して一杯になってもう追っていない９着VIVE L'AMIとの差を２馬身差まで詰めたところがゴール。結局１２頭立ての１０着という結果で、見所なく終わった。欧州の馬場への適性も高くなかったよう。フォワ賞に出走したクリンチャーが結果を残せていれば、帯同馬としての役割を果たしたことにもなるが、クリンチャーも最下位に終わったのも残念。それでも、欧州競馬にタマモクロスの血が一歩を刻んだことは間違いない。

●一昨年の交流戦のレダ特別で２着と実力を発揮して見せたコスモアジル。８歳ながら、なかなかの頑張りだった。その後はＡ２〜Ａ４までの特別戦を３着，３着，１着と活躍。地方重賞赤レンガ記念は６着。それからは年齢的にも徐々に厳しさを増し、Ａ級特別を９戦して６回入着を果たすものの、勝利には手が届かず。１０歳になった４月からはＢ級での競馬となり、特別戦を６着，５着，４着，６着と、往年の脚は望めなくなっている。今回は久しぶりのＪＲＡ馬との交流戦だが、少頭数だけに健闘を期待したい。出走６頭中ＪＲＡ馬は２頭で、この２頭で人気を独占。１番人気は、ＪＲＡ500万下で１４戦して入着７回のミスターウインディで単勝1.7倍。前々走の500万下平場戦でも４着と好走している。２番人気は、前走，３前走のＪＲＡ交流戦を２着としているパイオニアゴールドで単勝1.8倍。４走前のＪＲＡ500万下平場戦でも４着と実力を見せている。コスモアジルは、単勝14.9倍の３番人気。この年齢ではさすがに難しいところもあるが、地方馬最先着は譲りたくないところだ。

　レースでは、ノーリグレットがゲートを出ずに４秒出遅れて、早くも５頭の競馬に。コスモアジルはそれほどスタートは良くなく、後方５番手から。パイオニアゴールドが先頭で、１馬身差でミスターウインディと、人気のＪＲＡ勢２頭が先行する。１馬身半差でモスフラワー，２馬身1/4差でスーパーブレーヴ，3/4馬身差で少ししごきながらコスモアジルの順。１〜２角で、コスモアジルは４番手にひとつ順位を上げるが、３番手の馬からは４馬身と差が開いている。向正面でもコスモアジルは仕掛け通しで、３番手モスフラワーとの差を１馬身まで詰めて行く。向正面の中間では、コスモアジルは明らかに前に競りかけに行く構えで、ぐいぐい手綱をしごいて人気のＪＲＡ勢に勝負を挑み、２番手ミスターウインディの半馬身外に接近する。３角手前では、先頭パイオニアゴールドのリードは3/4馬身，２番手にミスターウインディだが、このあたりでコスモアジルは遅れ始めてムチが連打される。３角では、先行２頭が並ぶような感じになるが、２頭とも余力を残している。コスモアジルは２馬身遅れを取ると、３〜４角の中間では５馬身と差が開いてしまう。強引に勝負に行ったのが祟ったか、内からモスフラワーにかわされる。３馬身後ろから、スーパーブレーヴも差を詰めてくる。４角では、パイオニアゴールドがまた１馬身リードで先頭。ミスターウインディが２番手。５馬身差でモスフラワー，３馬身と差を広げられてコスモアジルは４番手。１馬身半差に内々スーパーブレーヴが詰めている。早めに強引に仕掛けていただけに、このままコスモアジルが５番手に後退するのは必至のような状況で直線へ。

　直線に向くと、先頭パイオニアゴールドは２馬身リードで勝利は濃厚。２番手にミスターウインディ。４馬身差でモスフラワーが３番手。３馬身半差で内からスーパーブレーヴがかわして４番手。半馬身遅れてコスモアジルは５番手に。このままコスモアジルはズルズル後退するかと思われたが、ここからもう一度盛り返す根性を発揮。残り１ハロンでは、スーパーブレーヴとコスモアジルが並んできて、３馬身前のモスフラワーを追う。モスフラワーも脚色がは甘くなり、４番手２頭が、ラスト100ｍでは２馬身差，ラスト100ｍでは１馬身差と詰めて行く。そしてラスト40ｍでは、３番手争いはモスフラワー，スーパーブレーヴ，コスモアジルの３頭が並ぶ。この時点でいちばん脚色がまさっていたのはコスモアジルで、力を消耗しながらも、最後スーパーブレーヴを半馬身競り落として３着食い込みのゴール。人気のＪＲＡ勢からは大きく離されたが、一頭だけＪＲＡ勢に果敢に勝負を挑んで完全に力尽きたような状況から、勝負根性だけで３着に差し返した内容は立派。１０歳になってフィジカルな面での衰えは明らかでも、勝負根性にはまったく陰りは見られない。

●ヒットザターゲットの弟として期待の高いサイン。２歳９月にデビューするが、これまで１０着，９着，６着，１７着と結果を残せていない。特に前走は、１６着の馬からも９馬身差をつけられるブービー大惨敗。それでも調教の動きは悪くなく、馬が本気になれば変わってくるのではとの思いを持ち続けている。今回は初めてのダート戦で、これまでとは違う走りを期待したい。１番人気は、目下３着を３回続けているクレスコセイランで単勝3.8倍。２番人気は、近３走を４着，２着，４着としているシーダークィーンで単勝5.1倍。サインは、前走惨敗にもかかわらず、単勝9.6倍の６番人気の評価を得る。デビューから結果を残せずにいる間に、兄ヒットザターゲットも既に引退。ターフを去った兄の分まで、サインがその夢を引き継いでほしい。

　レースでは、サインはスタートは五分に近い感じで、無理せず中団からの競馬。ダイチョウセブンが出てくるが、外からデイジーブリランテがかわして先頭へ。徐々にサインも押し上げてきて、先頭から４馬身差の６番手に。１〜２角で、先頭はデイジーブリランテ，１馬身1/4差でオーラロードが２番手。半馬身内にダイチョウセブン。向正面に入って、３馬身開いてシーダークィーン，アドベントサンデーの２頭。１馬身差でアフラマズダー，２馬身差でサインは７番手で、ややバラけた展開。向正面の中間では、サインは軽く仕掛けて、内ラチ沿いを押し上げて行く。３角では、先頭は依然としてデイジーブリランテで１馬身リード。３〜４角の中間では、サインは５番手争いまで順位を上げて行く。４角では、オーラロードが3/4馬身差の２番手。１馬身3/4差でアドベントサンデー，これに半馬身差でサインなどが続いて直線へ。

　直線に向くと、デイジーブリランテが１馬身1/4差リードで逃げ込みを図る。オーラロードが２番手，２馬身差で３番手争いが４頭だが、中を突いているのがサイン，大外がシーダークィーン。ここからサインとシーダークィーンの２頭が伸びてきて、残り１ハロンではオーラロードをかわしての２番手争い。２馬身前にいるデイジーブリランテを２頭でグングン追って行くと、ラスト60ｍでこれを一気に抜き去る。サインとシーダークィーンの争いは、シーダークィーンの方が僅かに優勢のように見えたが、逃げたデイジーブリランテをかわしたところでサインがシーダークィーンを差し返し、最後は首差競り勝って初勝利のゴール。成績不振で初勝利を諦めかけていたが、大きな変わり身を見せての嬉しい勝利。初めてのダートだったが、ダートも向いていた印象。鞍上の和田騎手は、「砂を被って嫌がる面はあったけど、前が硬めなのでダートは良さそう。道中遊んでいた分、最後まで伸びたね。」とコメント。ようやく力を発揮できるようになってきた。まだまだ成長が必要だが、これからの活躍に期待をかけたい。

●前年７月札幌の500万下平場戦を快勝したセレッソブランコ。これで再び1000万クラス昇級となるが、３カ月ぶりの特別戦では１３着，更に平場戦で１１着と、ここまで２戦は昇級の壁と思わせる内容。今回はまた４カ月間隔が開いての一戦で、条件は良くないが、ダート替わりがいい方向に出る可能性はある。１番人気は、500万下平場戦を３馬身半差楽勝で勝ち上がってきたクールゼファーで単勝1.6倍の断然人気。目下７連続３着以内という堅実馬。昇級戦でも素質が買われている。２番人気は、近２走平場戦を４着，２着としているタガノヴィッターで単勝5.5倍。セレッソブランコは、単勝114.0倍の１２番人気とまったく注目されていない。それでも、なんとか浮上のきっかけを掴みたいところだ。

　 レースでは、セレッソブランコは好スタートで、ぐいぐい手綱をしごいて先頭争い。内からシルバードリーム，クールゼファーも果敢に出て来て、セレッソブランコを含む３頭の先頭争い。セレッソブランコはハナを譲らない構えで、スタートから150ｍのところで単独先頭に出る。内半馬身差でクールゼファーだが、今度は外からサイタスリーレッドが２番手に上がってくる。それでも３角でも、先頭セレッソブランコは3/4馬身リードをキープ。３角過ぎでは、外からクリノシャンボールが３番手争いに。３〜４角の中間では、２番手にサイタスリーレッド，１馬身差でクールゼファー，クリノシャンボールの３番手争い。このあたり、セレッソブランコの手応えはいいが、４角では外からサイタスリーレッドが並んでくる。3/4馬身差で外クリノシャンボール，最内半馬身差でクールゼファー。そこから５馬身後ろの後方真ん中にいるのがサーティグランドの態勢で直線へ。

　直線に向くと、外のサイタスリーレッドの方が首ほどリードするが、内でセレッソブランコも食い下がる。余力のあるサイタスリーレッドは、残り１ハロンから追い出しにかかると、セレッソブランコをじわじわ引き離しにかかる。２番手セレッソブランコに、外へ出したクールゼファーが3/4馬身差に詰め寄ってくる。その後ろは２馬身開いており、セレッソブランコは３着にはなんとか粘れそうか。ラスト100ｍで、セレッソブランコはクールゼファーにかわされて３番手となるが、その後ろは３馬身半と差が開いている。しかしながら、ここから大外サーティグランドが一気の追い込み。勢いで断然まさるサーティグランドは、ぐんぐんセレッソブランコに迫り、ゴール寸前で内外少し離れての３着争いのゴール。しかし明らかに態勢は変わっており、セレッソブランコは3/4馬身かわされて４着に。あと一歩というところで３着を逃したのは残念ではあったが、ようやく結果を残してくれた。ダート替わりも良い方向に出た印象。鞍上の荻野極騎手は、「逃げて、この馬の競馬はできました。クラスが上がってからも自分の形で競馬ができているいし、相手次第でチャンスはありそうです。」とコメント。これまでは頭打ち状態と見られていたが、今後は好勝負をしっかり演じてくれそうだ。

●４月の阪神の平場戦では人気薄ながら４着と頑張ったセレッソブランコ。３歳時以来のダート競馬で、ダート適性を発揮したと見られたが、続く京都の平場戦では２番人気に支持されながら１２着と大敗。モタれる面を見せて力を発揮できなかったものだが、芝・ダートというよりは、いかに気分よく走れるかが課題のよう。今回はまた芝に戻るが、実力を出し切れれば好走は十分可能性あり。１番人気は、500万クラスで惜敗を続けながら前走平場戦を勝ち上がってきたニシオボヌールで単勝2.9倍。今回は昇級戦で、1000万クラスではかつて２戦して６着が最高だったが、その時よりは力をつけている。２番人気は、1000万クラス昇級後５戦して入着４回のヤマニンマンドールで単勝4.9倍。突き抜けるまでには力が若干足りていないが、安定した走りを見せている。セレッソブランコは、単勝14.1倍の５番人気。メンバーもそれほど強力という訳ではなく、セレッソブランコにもチャンスのある一戦だ。

　レースでは、セレッソブランコはスタートはまずまず好発を決め、ぐいぐい手綱をしごいて先行争いの一角。マジックシャトルが先頭で半馬身出るが、セレッソブランコが強引にハナを奪う構えで、スタートから150ｍを過ぎてセレッソブランコが先頭に代わる。3/4馬身差でデンコウヒノマル，マジックシャトルの２番手争い。１馬身差でヤマニンアタシャンの順。ここからマジックシャトルが単独２番手となり、先頭に3/4馬身差にじわっと接近。人気のニシオボヌールは、先頭から５馬身差の中団大外。３角では、先頭セレッソブランコのリードは半馬身だが、無理なペースにはなっていない。３〜４角の中間でも馬順に変動はないが、徐々に馬群が詰まってくる。ニシオボヌールも進出開始する。４角では、セレッソブランコが手応えよく１馬身リードで先頭。マジックシャトルが２番手，これに3/4馬身差で内デンコウヒノマル。更に１馬身1/4差で外目ニシオボヌールが持ったままで４番手まで押し上げ、以下も固まった態勢で直線へ。

　 直線に向いて、先頭セレッソブランコが追い出しにかかると、１馬身半，２馬身と徐々に後続を突き放しにかかる。残り１ハロンでは１馬身1/4差リード。２番手争いは、デンコウヒノマル，マジックシャトル，ヤマニンアタシャン，ニシオボヌールの４頭で、その後ろは３馬身開いている。ここから一頭伸び脚を発揮してきたのがニシオボヌール。ヤマニンアタシャンも伸びてはいたが、ニシオボヌールにはあっさり競り負ける。ラスト100ｍでは、セレッソブランコはまだ１馬身半リードしていたが、グイグイ差を詰めるニシオボヌール。粘り切れるか、捕らえ切るのかの勝負となり、粘るセレッソブランコに、ニシオボヌールが並びかけた瞬間がゴール。際どい写真判定となったが、セレッソブランコは鼻差差されて無念の２着。それでも、気分良く走れれば、芝でもダートでも勝ち負けできる力を示してくれた。鞍上の義騎手は、「前回がタメる形で力むとモタれていたので、今日は馬の気持ちを優先して、押さえ込まずに走らせまし。いい形でしたし、自分の形でレースができました。惜しい内容でしたね。」とコメント。気性的に難しい面もあるが、鞍上が手の内に入れつつあるだけに、1000万クラスでの勝利も、可能性がかなり高まってきた感じだ。

●１２月の阪神の新馬デビュー戦では４着だったタイセイトラップ。人気に十分応える内容ではなかったが、力のあるところは示してくれていた。しかしながら、続く未勝利戦では１番人気に支持されるものの９着に大敗。その後は立て直しが図られ、今回は久しぶりのレース。今回は休み明けではあるが、立ち直った走りを見せてほしい。１番人気は、デビューからの全４戦を４着，７着，２着，３着と安定した成績を挙げているフォースラインで単勝3.9倍。２番人気は、デビューからの全３戦を３着，５着，４着としているブルベアジュラフで単勝4.4倍。タイセイトラップは、単勝5.5倍の４番人気。傑出した馬はなく、オッズも拮抗の実力伯仲の一戦。それでもタイセイトラップが本来の力を発揮できるなら、あっさり勝っても不思議のない組み合わせだ。

　 レースでは、タイセイトラップはスタートは五分に出ると、軽く押した程度ですっと前に出てくる。タイセイトラップなど４頭が広がった先頭争いだが、大外スマートフェンリルが半馬身出て先頭。内側のタイセイトラップが２番手，これに3/4馬身差でカナイオ，コエレの２頭がこれに続く。１〜２角で、先頭スマートフェンリルが１馬身リードするが、２角でタイセイトラップが先頭に替わると、大外からワンダーラジャが一気に押し上げて半馬身差の２番手に。首差で内スマートフェンリルが３番手。このあたりでは隊列も固まり、先頭タイセイトラップのリードは半馬身だが、いいリズムで走れている。３角手前で、それまで後方にいたメイショウアッパレが、猛然とマクリをかけて、３角ではあっと言う間に先頭に替わるが、首差で内タイセイトラップもペースを上げて、一気に先には行かせない。３〜４角の中間では、１馬身3/4差でワンダーラジャが３番手だが、ここでタイセイトラップが再び先頭。４角では、メイショウアッパレは早くも脱落。先頭タイセイトラップに、半馬身差にワンダーラジャ，更に外から進出した人気のフォースラインの２頭が取り付いて直線へ。

　 直線に向くと、タイセイトラップが二の脚を発揮して、残り250ｍでは１馬身リードで押し切りを図る。フォースラインが２番手，これに頭差でワンダーラジャも粘っている。ラスト150ｍでもこの３頭の態勢は変わらないが、ラスト100ｍでフォースラインが3/4馬身差にじわっと詰める。それでもラスト50ｍでもその差は変わらず。タイセイトラップは勝負根性を発揮して、最後の最後でフォースラインとつれて伸びてきたワンダーラジャが少し詰め寄ったが、首差しのぎ切って優勝のゴール。立て直しの効果が出て、休み明けでも見事な勝利。今回はしっかり実力を発揮してくれた。西村調教師は、「前走の敗因が分からなかったのですが、放牧で立て直してソエが治まり、大分良くなっていました。次々と他馬に来られて、流れはかなり厳しかったのですが、それでも振り切ったあたり、力がありますね。ゲートもスッと出て楽に前へ行けましたし、昇級しても楽しみです。」とコメント。まだまだ伸びしろはありそうで、500万クラスに昇級しても健闘を期待したい。

●年１１月、長期休養明けのＪＧ３京都ジャンプＳで５着だったタマモプラネット。自身２度目のＪグレードレース入着を果たしたものの、僅か６頭立てであと鼻差で最下位に落ちるところだったことを考えると、内容はひと息だった。その後再び休養を余儀なくされ、今回は１０カ月の休み明けにもかかわらず−２０kgの大幅体重減と、明らかに本調子ではない感じ。それでも地力はある馬なので、上位粘り込みに期待をかける。１番人気は、未勝利〜オープン２戦まで３連勝した後、前走のオープン戦は３着だったホーカーテンペストで単勝2.7倍。今回で６戦連続の１番人気。平地時代はオープンだったように、平地力は上位。２番人気は、オープン２連勝の後、前走ＪＧ３東京ジャンプＳでは１番人気で７着に終わったハギノパトリオットで単勝3.6倍。３番人気は、前走ＪＧ３東京ジャンプＳでは首差の２着だったグッドスカイで単勝4.0倍。タマモプラネットは、単勝38.7倍の８番人気。本来のこの馬の能力からすれば、勝ち負けができてなんら不思議のないメンバー。それだけに、順調さを欠いた中でどこまで力を発揮できるかがカギだ。

　レースでは、全馬揃ったスタート。タマモプラネットも先手を取りたいだけに、押しながら前の方に出てくる。広がった争いから、まずラステラが先頭に出るが、スタートから１ハロンで外からタマモプラネットが並んで行く。１周目３角手前で、タマモプラネットが単独先手を取り切って、２馬身半とリードを開いて行く。３〜４角の中間でラステラが２番手，３馬身差でツジスーパーサクラの順。２馬身半差でグッドスカイが４番手，ハギノパトリオットは更に３馬身あまりの差の７番手争い。人気のホーカーテンペストは、３馬身後ろで後方２頭目。４角では、タマモプラネットは無理のないペースで逃げている。正面スタンド前に入ってもゆったりとした流れで、先頭タマモプラネットのリードは３馬身。ラステラが２番手で、２馬身半差でグッドスカイが３番手に順位を上げてくる。その後ろは２馬身半差で、４番手以下は比較的固まった態勢。１〜２角でも、先頭タマモプラネットは２馬身半リードで、競りかけられることもなく気持ち良く逃げている。向正面で、ハギノパトリオットが５番手まで順位を上げてくるが、先頭までは８馬身差がある。その２馬身後ろでホーカーテンペストは７番手。向正面の中間では、タマモプラネットのリードは１馬身1/4差に詰まってくる。２番手ラステラに、内3/4馬身差でグッドスカイ。１馬身差でハギノパトリオットが差を詰めて４番手，半馬身外にホーカーテンペストと、早くも人気どころが前に押し上げてくる。３角にかかると各馬ペースアップ。タマモプラネットもグイグイ手綱をしごいているが、２番手以下も多くの馬が手が動いている。グッドスカイが２番手に上がると、３〜４角の中間では一頭だけ楽な手応えで、タマモプラネットの3/4馬身外に取り付く。４番手ハギノパトリオット，５番手ホーカーテンペストは懸命に押している。４角でも、タマモプラネットは3/4馬身リードで先頭をキープ。グッドスカイが２番手で、半馬身外ハギノパトリオットが３番手に。3/4馬身差で中ラステラは４番手。その２馬身後ろの外ホーカーテンペストは、行きっぷりひと息の感じで直線へ。

　 直線に向くと、最終障害を飛越したところで、タマモプラネットにグッドスカイが並びかける。3/4馬身外ハギノパトリオットで、この３頭の勝負の態勢。１馬身半差の４番手ラステラは、優勝争いからは遅れた形。ここからグッドスカイが単独先頭で、残り１ハロンでは１馬身リード。タマモプラネットが２番手で粘るが、半馬身外から追ってくるハギノパトリオット。ここからタマモプラネットは伸びを欠き、ラスト150ｍでハギノパトリオットにかわされて３番手で、ラスト100ｍでは２馬身差をつけられる。それでも、４番手ラステラには３馬身差があって、３着はほぼ確保の態勢。ここから１，２着馬には一気に突き放されてしまったタマモプラネットだが、ゴール前でようやく伸びてきたホーカーテンペストを、危なげなく２馬身抑えて３着でゴール。最後２着のハギノパトリオットから６馬身差をつけられたタマモプラネットだったが、障害グレードレースで自身最高の３着と健闘。この馬本来の実力からすれば驚くことではないが、１０カ月の長期休養明け、−２０kgの大幅体重減の不安要素を抱えた中では、健闘と言っていい内容。これが３度目の障害グレードレース入着。鞍上の小坂騎手は、「休み明けで大きく馬体が減っていたように不安要素もありましたが、自分の形で運べたし、流れも味方しましたからね。最後までよく頑張ってくれました。」とコメント。スピードを行かせる競馬なら、重賞制覇も夢ではない馬。１年半以上の間順調さを欠いていたが、この先は順調に持てる力を発揮してほしいところだ。

●前走ＪＧ３新潟ジャンプＳでは、休み明けで２０kg馬体が減った中でも３着に粘ったタマモプラネット。今回は１０kg馬体も戻し、ひと叩きの効果も見込めるだけに、再度期待をかけたいところ。ただ、障害界の絶対王者オジュウチョウサンが駒を進めてきているだけに、大きな壁となって立ちはだかる。１番人気は、３個のＪＧ１を含む重賞６連勝中と無敵の強さを誇るオジュウチョウサンで単勝1.4倍の断然人気。春の中山グランドＪの後に剥離骨折が判明し、今回は休み明けとなるが、骨折も軽いものだっただけに、骨折の影響自体は少ないはず。２番人気は、近２走ＪＧ３東京ジャンプＳ２着，ＪＧ３新潟ジャンプＳ優勝としているグッドスカイで単勝5.4倍。タマモプラネットは、単勝30.3倍の６番人気。オジュウチョウサンは別格としても、グッドスカイとの前走の７馬身差は詰められるはず。戦法は逃げの一手だが、気持ち良く逃げられるなら、面白い競馬を見せてくれるに違いない。

　レースでは、タマモプラネットはスタートも良く、レース前から既に決めていたように、一気に加速して果敢に先頭に立つ。ユウキビバワンダーが２番手，3/4馬身馬身差でサンレイデュークとグッドスカイ。１馬身半差でオジュウチョウサンが５番手。ここからグッドスカイが２番手，オジュウチョウサンが４番手に。しかしながら、タマモプラネットは平地並みとさえ思えるスピードで、スタートから２ハロン目で既に１０馬身のリード。１周目３角では、１５馬身と更にスピードを上げて単騎の大逃げ。２番手にグッドスカイで、その後ろは７馬身開いている。４角では、タマモプラネットのリードは２０馬身ほどに。オジュウチョウサンは単独３番手。正面スタンド前では、先頭タマモプラネットは、１７〜１８馬身リード。２番手グッドスカイの後ろも１０馬身と開いてオジュウチョウサン。更に２馬身半差でアムールスキーと前走重賞勝ちの３番人気シンキングダンサーの２頭。１〜２角でも、タマモプラネットは１５馬身リード。２番手グッドスカイ，そこからまた１０馬身と開いてオジュウチョウサン。向正面にかかると、タマモプラネットのリードは１７〜１８馬身と逆にまた開いている感じ。オジュウチョウサンは、先頭まで２５馬身ほどの大きな差がついている。そして３角でも、タマモプラネットは１５馬身リードして、このまま逃げ切ってしまうのではないかと場内もざわつき始める。オジュウチョウサンもこれはまずいと思ったのか、グッドスカイとの差を６馬身差に詰めて行く。これだけハイペースで飛ばしているだけに、タマモプラネットは勝手に止まるだろうと考える人も少なくなかったが、３〜４角の中間でもまだ１５馬身差を保ったままで、純白の馬体の「魂の逃げ」に、場内から声援が飛ぶ。オジュウチョウサンもさすがに慌てて、手を動かしながら追い上げ開始。そして４角では、グッドスカイを外からあっと言う間にかわして２番手に押し上げる。渾身の逃げを見せるタマモプラネットは、ここからは手綱をしごいて懸命の逃げ込みを図る構え。ただ一頭芦毛のこの大逃げは、緑のターフに映え、その全力の走りはスタンドから拍手で迎えられたが、絶対王者オジュウチョウサンが８馬身差まで迫ってきている。２馬身差でグッドスカイが３番手。その後ろはまた５馬身と開いて直線へ。

　 直線に向くと、タマモプラネットが８馬身リードで逃げまくっていたが、ここまで超ハイペースで飛ばし続けてきただけに、さすがに逃げ脚が鈍ってくる。単騎先頭のまま最終障害を飛越したが、跳んだところではオジュウチョウサンが４馬身差に。ここからのオジュウチョウサンの脚は圧倒的で、残り250ｍを切ってタマモプラネットに襲いかかると、外から並ぶ間もなく抜き去って行く。タマモプラネットは、既に体力を燃焼し尽くしているだけに、一瞬で４馬身，５馬身とどんどん突き放されてしまう。３番手グッドスカイは８馬身離されていて、タマモプラネットの２着死守に力が入る。タマモプラネットも、既に完全にガス欠状態だったが、それでも最後の気力を振り絞って、２着粘り込みを図る。しかしながら、グッドスカイは、ラスト150ｍで３馬身差まで迫ると、最後はバタバタになってしまったタマモプラネットに抵抗する余力はなく、ラスト80ｍで一気に抜き去る。３番手に順位を落としたタマモプラネットだが、最後まで頑張って走抜き、グッドスカイに３馬身半差の３着でゴール。４着以下には７馬身差をつけていた。絶対王者オジュウチョウサンは、約１２馬身差の圧勝だった。ゴールの直後にはスタンドから拍手が上がったが、王者オジュウチョウサの強さに向けたものと、ハラハラさせる強気の勝負を演出したタマモプラネットへと向けたものだった。健闘と言える走りを見せてくれたタマモプラネット。実に見事であり爽快な競馬だった。鞍上の小坂騎手は、「道悪だったので、前に行った方がいいと思いましたし、体重が戻って状態も前走より良かったので、意識して後ろを離して逃げるレースをしました。でも、強い馬はやはり強いですね。負けはしましたが、この馬の競馬はできましたし、よく頑張っています。」とコメント。オジュウチョウサンの石神騎手は、「３角では逃げ切られてしまったかと思いました。」とコメントしていたが、絶対王者を慌てさせたのは素晴らしかった。自身の上がりタイムは44.0秒かかったが、この上がりで３着に粘る競馬もなかなか見られないものだった。今後もスピード勝負で大いに盛り上げてくれるに違いない。

●東京ハイジャンプでは大逃げで大いに沸かせて３着と善戦したタマモプラネット。絶対王者を焦らせるシーンを作ったのは、さすがと言っていい。今回も大逃げが期待されるが、重賞制覇を十分狙えるメンバーだけに、今回は一気の逃げ切りに期待したい。オッズは割れているが、タマモプラネットが単勝3.2倍の１番人気の支持を得る。２番人気は、前走オープン特別を勝っているスズカプレストで単勝4.8倍。３前走にはＪＧ３京都ハイジャンプで３着という重賞実績がある。３番人気は、障害入りしてから４戦２勝，２着１回のステージジャンプで単勝4.8倍。前走のオープン戦は４馬身差の楽勝だった。４番人気は、１年１カ月の長期休養の後、３戦してＪＧ３を４着，３着，３着と内容のあるレースで堅実に重賞で上位争いをしているマイネルフィエスタで単勝6.5倍。重賞入着は通算５回で、ＪＧ１に挑戦したこともある。タマモプラネットにとっては、相手との駆け引きはほとんど考えなくていい。スピードで圧倒する競馬で、念願の重賞制覇を成し遂げたいところだ。

　レースでは、タマモプラネットはスタートが若干甘いが、積極的に行こうという馬はなく、タマモプラネットが加速してスタートから100ｍで先頭に立つと、すっと３馬身，４馬身とリードを開いて行く。２番手争いは５頭が並んでいる。タマモプラネットは６馬身とリードを開き、２番手争いはミヤジタイガ，ステージジャンプの２頭に。１〜２角では、その後ろは２馬身開いてマサノハヤテ以下。向正面では、タマモプラネットのリードは８馬身。スズカプレストは、２番手から８馬身差の位置。その１馬身半後ろの後方にマイネルフィエスタの態勢。向正面では、タマモプラネットのリードは１０馬身以上に広がってくる。２番手にミヤジタイガ，3/4馬身差でステージジャンプ。その後ろはバラけてくる。ここから大障害コースに入ってくるが、タマモプラネットはキレイに障害をクリアしていく。三段跳びバンケット障害も無難に飛越するが、ここでミヤジタイガが障害の着地でバランスを崩して騎手が落馬。３〜４角にかけて、タマモプラネットは２０馬身ほどの大逃げとなってくる。２番手はステージジャンプ以下がやや固まってくる。正面スタンド前で、タマモプラネットは２５馬身ほどに更に開いてひとり旅。マサノハヤテが２番手，４馬身差で３番手ステージジャンプの内にマイネルフィエスタが並んでくる。これに3/4馬身差でスズカプレスト以下。１〜２角でマイネルフィエスタが単独３番手に上がり、２馬身半差でスズカプレストが４番手に上がってくる。ステージジャンプはやや後退気味。向正面でも、先頭タマモプラネットはリードは２０馬身以上で軽快な大逃げが続く。２番手にマサノハヤテ，２馬身差でマイネルフィエスタ。しかしながら、３角手前からタマモプラネットは少しスピードダウンし、自慢の障害飛越が少し跳びにくそうになる場面も。３角では、２番手に上がったマイネルフィエスタが、敵はタマモプラネットのみと目標を定め、押しながら差を詰めにかかり、その差は１７〜１８馬身に。３馬身差でスズカプレスト，更に２馬身差でユウキビバワンダーが４番手。２番手以下はどの馬も手が動いている。３〜４角の中間の障害を跳んで、ハイペースの大逃げのタマモプラネットも追い出しにかかる。４角にかかると、２番手マイネルフィエスタが７〜８馬身まで差を詰める。その後ろはまた７〜８馬身と差が開いてきて、３番手はスズカプレストとユウキビバワンダーの差がなくなってくる。直線に向く時には、タマモプラネットのリードは３馬身半まで縮まり、逃げ切り勝利は微妙な情勢に。２番手マイネルフィエスタにとっては完全に射程圏内。７馬身差で内を回ったユウキビバワンダーが３番手，3/4馬身外にスズカプレストだが、この２頭は懸命に追っていて手応えに余裕がない。勝負は上位２頭の争いに絞られて直線へ。

　直線に向くと、タマモプラネットが先頭のまま最終障害を飛越。ゴールまでは残り１ハロンで、リードは２馬身半。２馬身半差まで詰め寄ったマイネルフィエスタが、内ラチ沿いに入ってすーっと伸びてくる。一方タマモプラネットは徐々に外目にコースを取って、２頭の争いは内外離れた形に。しかしながら、あれだけの大逃げをしたタマモプラネットだけに、追う者の方にやはり強みがあり、マイネルフィエスタがかわして先頭に出て、ラスト100ｍでは内ラチ沿いに半馬身〜3/4馬身リード。誰もが勝負は決したと思ったが、ここからタマモプラネットは驚異の勝負根性と粘り腰で、もう一度差し返しを図る。じりじり巻き返すタマモプラネットは、最後はマイネルフィエスタを際どいところまで追い詰めて、２頭が並ぶような態勢でゴール。写真判定となったが、タマモプラネットの巻き返しも頭差及ばず２着。あともう少しという惜しい競馬だったが、あの超ハイペースで逃げてなおゴール前で差し返そうとするのは本当に驚き。前走に続いて大逃げで見せ場を作り、ファンを喜ばせた。多くのファンの心を掴む走りだった。鞍上の小坂騎手は、「結果論ですが、もっと強気に乗っておけば良かったですね。いいペースでしたし、気合が乗って馬も良かったので、それに乗り手が甘えて緩く乗ってしまいました。最後は差し返していましたし、馬自身はしっかり力を示していると思います。」とコメント。３角でペースを落とさなければ、結果も違っていたかもしれないが、よく頑張ってくれたと言っていい走り。これからも純白の大逃げでファンを魅了してくれるはず。とにかくスピードと飛越の華麗さは特筆もの。いずれは重賞タイトル奪取も成し遂げてほしい。

●前走Ｇ３京都ジャンプＳでは頭差２着の惜敗だったタマモプラネット。いつも通りの大逃げを打ったが、勝負どころで脚をタメる競馬をしたことを小坂騎手は後悔。いつも積極果敢な逃げを打っているが、今回は前走以上に果敢な勝負で久々勝利を目指す。そして、タマモプラネットが単勝2.2倍の１番人気に支持される。２番人気は、前々走Ｇ２東京ハイジャンプで大逃げで沸かせたタマモプラネットに３馬身半先着して２着だったグッドスカイで単勝3.2倍。続く前走秋陽ジャンプＳでも首差２着と、堅実に実力を発揮している。３番人気は、前走Ｇ１中山大障害では１０着だったミヤジタイガで単勝4.8倍。障害重賞入着２回の実績があり、今回のメンバーであれば上位争いができる力がある。何と言っても、Ｇ２弥生賞で首差２着，エピファネイア，キズナに接戦の末先着した平地重賞の実績が光る。前々走はグッドスカイに負けているタマモプラネットだが、今回はタマモプラネットのスピードがより生きる舞台で、しかもグッドスカイには体重増もあり、タマモプラネットの勝利の可能性は相当に高いと言っていいはず。とにかく個性派として人気がうなぎ登りのタマモプラネット。ファンもその大逃げを大いに期待している。

　 レースではタマモプラネットはスタートはそれほど速くない。逃げ馬のドリームハヤテが先頭に立つが、加速の速いタマモプラネットが、スタートから100ｍで内からかわして先頭へ。ドリームハヤテも同厩舎だけに、無理に競りかけたりはしない。タマモプラネットが５馬身とリードを開き、グッドスカイが２番手に上がってきて１角へ。１〜２角で、タマモプラネットは早くも１０馬身とリードを開いて、いつもと同じような大逃げに持ち込む。向正面ではその差は１２馬身と更に広がっている。グッドスカイが２番手，７馬身開いてドリームハヤテ以下。しかしながら、グッドスカイは相手を前に絞ったようで、１周目３角から少し差を詰めにかかり、４角ではその差は８馬身に。それでも、タマモプラネットはスピードを緩めることなく、正面スタンド前ではまた１０馬身のリード。２番手グッドスカイの後ろは１５馬身と更に大きな差がついている。ドリームハヤテ，クリスタルキャノンが３番手争い，１馬身半差でマイネルヴォーダン，更に１馬身3/4差でミヤジタイガの順。２周目１〜２角で、グッドスカイは先頭に８馬身差にまた詰めてきて、前のタマモプラネットから射程圏内以上に離されないようにしようという意図は明らか。向正面ではまた１０馬身近い差になるが、３角手前ではまた８馬身差で、ここでは完全に相手をタマモプラネット一頭に絞っている。２番手から１２馬身差でミヤジタイガが単独３番手に上がってくる。３〜４角の中間でも、タマモプラネットは軽快に逃げているが、グッドスカイは更に差を詰めてきて、４角では６馬身差に。更に８馬身差でミヤジタイガが一頭３番手争いから抜けて追撃態勢で、その後ろは更に８馬身差に開いてバラバラの展開。徐々に忍び寄るグッドスカイは怖いが、先頭タマモプラネットはまだ一杯になるほど力を使い果たしていない。十分逃げ切れるだけの確かな手応えのまま直線へ。

　 直線に向くと、先頭タマモプラネットの逃げ脚は鈍らず、さすがのグッドスカイも差を詰められないどころか、逆にグッドスカイの方が脚色が怪しくなって、７〜８馬身に差が広がっている。態勢は決したかと思われたが、３番手ミヤジタイガが猛然と追い込んで、甘くなったグッドスカイを急追。しかしながら、タマモプラネットは後続に脅かされる場面はまったくなく、小坂騎手が最後までムチを入れながら８馬身差の逃げ切り圧勝のゴール。実に２年８カ月ぶりの嬉しい勝利を飾った。そして、強烈なパフォーマンスを期待していたファンの声援にも応えて見せた。まさに今が完成期と言っていい走り。そのスピードは圧倒的で、飛越力も素晴らしい。鞍上の小坂騎手は、「いつもに比べて決して飛越は良くなかったけど、しっかり見て自分から飛んでいたし、うまく噛み合ったのは良かった。」とコメント。この先は、悲願の障害重賞制覇の夢を成し遂げたいところだ。

●前走牛若丸ジャンプＳで久々の嬉しい勝利を飾ったタマモプラネット。実力馬のグッドスカイをスピードで圧倒して、８馬身差の圧勝だったその走りは、更に大きな夢へと繋がるもの。今回もオープン特別だが、初めての中山競馬場。そのあたりがどう出るかがカギとなる。そして、タマモプラネットが単勝2.4倍の１番人気に支持される。２番人気は、障害オープン，特別戦のイルミネーションジャンプＳと目下連勝中のマイネルプロンプトで単勝3.5倍。３番人気は、障害成績 6-2-0-0 のニホンピロバロンで単勝4.9倍。今回は約１年４カ月の長期休養明けとなるが、無事であれば障害最強の地位まで狙おうかというほどの実力馬。現在障害界ナンバー２のアップトゥデイトを破るなど、ここでは実力・実績とも上位の存在。タマモプラネットにとっては、自分のパターンに持ち込めるかどうかだけ。実力を出し切れさえすれば、再度の逃げ切り楽勝は十分可能だ。

　レースでは、タマモプラネットはいつものようにスタートの出はひと息だが、すぐに加速して１馬身半リードで先頭。２番手はマイネルクロップ，マイネルプロンプトの２頭に、外半馬身差でクランモンタナの態勢。タマモプラネットは３馬身リードで１角へ。１〜２角で、マイネルクロップが２番手，２馬身半差でクランモンタナ，２馬身差でマイネルプロンプト，３馬身差でニホンピロバロンの順。向正面では、タマモプラネットがリードを８馬身と差を開くと、全体に更に隊列がバラけてくる。３角では、ニホンピロバロンが４番手に上がる。３〜４角にかけて、タマモプラネットのリードは６馬身で、いつもほどの大逃げに持ち込めていない。飛越する障害の替わりにバンケット障害があり、そこでは飛越力の違いを生かせない。正面スタンド前でも、タマモプラネットのリードは５馬身。マイネルクロップが２番手，７馬身差でクランモンタナ，ニホンピロバロンの２頭。その後ろはまた６馬身開いて、マイネルプロンプトは５番手。１〜２角では、タマモプラネットのリードは３馬身で、望んでいたような形に持ち込めていない。ここからゴールまでは置障害しかなく、障害の数も少ないだけに、飛越力の差をあまり生かせないコース形態。向正面でもタマモプラネットの逃げは続くが、２番手マイネルクロップは４馬身差で、射程圏内をキープ。５馬身差でニホンピロバロンも前を掴まえられる位置。４番手以下は１０馬身以上の差がついて、勝負は前３頭に絞られたか。３〜４角の中間まで４馬身リードを保っていたタマモプラネットだが、ここからマイネルクロップ，更にはニホンピロバロンも差を詰めにかかり、タマモプラネットは手が動き始める。４角では、マイネルクロップがタマモプラネットに１馬身差に取り付く。更に１馬身差でニホンピロバロンは内ラチ沿いを通って差を詰める。この時点でこの差では、タマモプラネットにとっては苦しい競馬で直線へ。

　 直線に向くと、先頭タマモプラネットを巡って、前３頭が並ぶ態勢で最終障害を飛越。４番手以下は８馬身離されている。この時点でタマモプラネットは既に苦しく、平地の脚比べになって残り１ハロンでは１馬身遅れて３番手で勝負あり。ニホンピロバロン，マイネルクロップの２頭の叩き合いは、どちらも一歩も譲らない。タマモプラネットは２馬身，３馬身と突き放されてしまう。先頭２頭の争いは、ゴール前でマイネルクロップが首差競り勝って優勝。タマモプラネットは５馬身差をつけられて３着でゴール。この馬のパターンに最後まで持ち込めなかった。鞍上の小坂騎手は、「バンケットで少しスピードが遅くなるし、外回りの置き障害では後ろの馬に脚を使われてしまう。この馬の持ち味であるスピードを、中山では存分に生かすことが難しいですね。それでも、直線までよく頑張ってくれました。中山コースを経験できたことは大きいですし、実績のあるコースに戻ればいい勝負が期待できます。」とコメント。中山コースでは、スピードのある障害飛越というこの馬の持ち味を生かせなかった。また別の舞台で、この馬のスピードと飛越力の違いを見せてほしい。

●中山のペガサスジャンプＳでは不向きなコース形態で３着に終わったタマモプラネット。続くＪＧ３東京ジャンプＳでは、いつもほど大逃げに持ち込めず、直線失速して実質最下位の１０着に大敗してしまう。陣営は、前走はオーバーペースだったと分析し、今回はレース前から大逃げはしないのではと匂わせる発言があっただけに、果たしてどういう競馬になるのか。１番人気は、未勝利，オープン，ＪＧ２と３連勝中のマドリードカフェで単勝2.3倍。前走ＪＧ２を５馬身差楽勝した内容は評価が高いが、なにしろ１年３カ月の長期休養明けだけに、果たして実力を出し切れるか。２番人気は、前走ＪＧ３東京ジャンプＳでは３着だったタイセイドリームで単勝3.6倍。ＪＧ３勝ちや、ＪＧ１で４着という実績がある。タマモプラネットは、単勝19.3倍の７番人気と、以前よりかなり評価は下がっている。それでも、この馬の実力は既に証明済み。もちろん、勝ち負けまで期待できるはずだ。

　レースでは、全馬揃ったスタートだが、タマモプラネットもスッとは出て行かない。１つ目の障害でも前は広がった態勢。２つ目の障害の手前でタマモプラネットがゆっくり先頭に立つ。２馬身1/4差でミュートエアー，シャインレッドの２番手争い。２馬身半差でマドリードカフェの順。１周目３角で、タマモプラネットは３馬身リードで、いつものような大逃げはしない。シャインレッドが単独２番手に。４角では少し馬群が詰まってきて、中団のタイセイドリームは、先頭から６馬身差。２馬身リードで正面スタンド前に入ってきたタマモプラネット。ここからは１馬身リードで、後続を引き付けての逃げが今回の作戦。２番手以下も障害戦とは思えないほど固まっている。１〜２角で、タマモプラネットのリードは１馬身半，２番手にシャインレッドだが、向正面にかかるとタマモプラネットのリードは２馬身半に。２番手シャインレッド，２馬身差でマドリードカフェで、以下は差なく一団。淡々とレースは流れていたが、３角でタマモプラネットがペースを上げると、ここから各馬も仕掛けて行く。２番手にシャインレッド，更に２馬身1/4差で３番手マドリードカフェにはムチが飛んでいる。これに１馬身半差で懸命に押しているタイセイドリームなど。３〜４角の中間では、タマモプラネットにもムチが入る。４角では、タマモプラネットのリードは１馬身1/4差。シャインレッドが２番手，１馬身差の３番手マドリードカフェに、内からタイセイドリームが並んでくる。脚をタメる作戦で挑んだタマモプラネットだが、ここから粘りを見せられるか。

　直線に向くと、タマモプラネットが１馬身リードを保ったまま最終障害を飛越。１馬身差でシャインレッド，更に１馬身差でタイセイドリーム，マドリードカフェの２頭。その２馬身後ろの大外からはアズマタックンの追い込み。ラスト250ｍから、内からタイセイドリームがじわじわ伸びて、残り１ハロンを切ってタマモプラネットをかわして先頭。ラスト100ｍではタイセイドリームが3/4馬身リード。２番手で懸命に粘るタマモプラネットに、内から半馬身差に迫るシャインレッド。この争いからマドリードカフェは僅かに遅れている。渋太さを見せるタマモプラネットだが、ラスト50ｍでシャインレッドに並ばれてしまう。結局シャインレッドに競り負けたタマモプラネットだが、シャインレッドとともに最後はタイセイドリームとの差をもう一度詰めてゴール。大外追い込んだアズマタックンは４着まで。最後は１着〜４着まで首，首，首差の接戦だった。ペースを落とした逃げでも際どい勝負まで持ち込んだタマモプラネット。ワンパターンの競馬を続けていては厳しいところもあり、レース運びの幅が広がったことで、今後ライバルたちも対応に迷うところも出てくるはず。鞍上の小坂騎手は、「前走がバテ過ぎだったので半信半疑だったんですが、今日はマイペースの逃げで、しっかりと粘ることができました。競馬場が替わって、またいい走りができると思いますし、あとは雰囲気ひとつですね。」とコメント。悲願の障害重賞制覇も、手が届きそうなところにあるのは間違いない。

●新潟ジャンプＳでは最後までよく粘っていたものの首，首差の３着だったタマモプラネット。その後は、ＪＧ２の東京ハイジャンプに出走し、いつものような大逃げを打ったものの、直線の最終障害で落馬転倒してしまった。ヒヤリとさせられたが、幸いケガはなく無事だった。今回は仕切り直しの一戦で、得意の京都コースで悲願の重賞初制覇を目指す。東京ハイジャンプの落馬で骨折してしまった小坂騎手に替わり、今回は熊沢騎手とのコンビ。１番人気は、前走清秋ジャンプＳを６馬身差圧勝しいるマイネルプロンプトで単勝2.7倍。障害では通算４勝を挙げている。タマモプラネットは、単勝3.1倍の２番人気。前売りでは度々人気順が入れ替わるほど、人気は拮抗。３番人気は、前走７カ月の休み明けだったオープンを５馬身差楽勝しているミヤジタイガで単勝4.0倍。ＪＧ２，ＪＧ３それぞれ入着が１回ある。そしてなんと言ってもＧ２弥生賞で首差２着となり、名馬キズナ，エピファネイアに僅差で先着ている平地実績が輝かしい。メンバー的に見て、タマモプラネットにとっては、重賞初制覇の大きなチャンス到来。既に８歳という年齢を考えても、このチャンス絶対に逃すわけにはいかない。

　レースでは、タマモプラネットはスタートはもうひとつだったが、徐々に加速してスタートから100ｍ、最初の障害飛越で先頭に。内ゼンノトライブが２番手の態勢。２つ目の障害飛越ではタマモプラネットが２馬身半のリード。更にスピードを上げて、６馬身リードで１角へ。１〜２角でも、タマモプラネットは更に差を広げて、１０馬身差で今回も大逃げに持ち込んで向正面へ。ゼンノトライブが２番手，１馬身差でマイネルプロンプト。その後ろは２馬身差があって、全体に徐々に隊列がバラけてくる。そして大きなポイントとなる三段跳びかかるが、タマモプラネットは跳び上がりも着地も無難にクリア。１周目の１〜２角では、少し差が縮まった感じだが、そのリードは８馬身。２番手は、ゼンノトライブ，マイネルプロンプトの２頭。３馬身差でミヤジタイガが４番手，その後ろはまた４馬身開いている。１０馬身近いリードでホームストレッチに入ってくるタマモプラネット。更にその逃げ脚を伸ばして、リードは１５馬身近くまで広がって、ハイペースの独り旅。マイネルプロンプトが２番手，首差で内ゼンノトライブも差はない。６馬身開いてミヤジタイガで、以下もバラけている。１〜２角で、マイネルプロンプトが単独２番手で、ゼンノトライブは３馬身遅れて３番手。ミヤジタイガが差を詰めてきて、向正面にかかるとゼンノトライブをかわして３番手に上がると、向正面の中間では、マイネルプロンプトもかわして２番手に上がってくる。１５馬身近いリードで飛ばしているタマモプラネットだが、さすがにこのあたりからスピードが少し鈍ってくるが、これはゴールまでの距離から逆算してのペース配分でもある。後続もこのまま逃がすわけにはいかないだけに、ここから差を詰めにかかり、３角ではタマモプラネットのリードは８馬身に。ミヤジタイガが２番手，２馬身差でマイネルプロンプトの内にエルゼロが並んでくる。３〜４角の中間でも、タマモプラネットはリードを保ったまま障害を飛越。しかしながら、２番手以下も手を動かして追撃態勢に。４角にかかり、タマモプラネットも追い出しにかかってダートコースを横切るが、２番手ミヤジタイガが５馬身差まで詰めて来ている。２馬身半差で３番手マイネルプロンプト，内首差でエルゼロの態勢。２番手ミヤジタイガも射程圏内まで差を詰めてきているが、追い上げに脚を使っている。タマモプラネットもハイペースで飛ばしているが、果たしてこのまま逃げ切れるのか。

　 直線に向くと、タマモプラネットは向正面の中間あたりから少しペースを落として力をタメたこともあり、まだ脚が上がるほどの状態ではない。最終障害を少し高目の飛越でクリアしたところでも、まだ５馬身リード。ここから内目にコースを取ったミヤジタイガが、ラスト150ｍで４馬身，ラスト100ｍでは３馬身差まで詰めて来たが、差を詰めるのに脚を使っている分、ここからはタマモプラネットと脚色は同じになる。マイネルプロンプトは更に離されており、３番手死守が精一杯になっている。タマモプラネットは真っ白な芦毛の馬体を躍らせて、そのまま３馬身リードを保って先頭でゴールを駆け抜けた。障害重賞挑戦１０回目にして、ついに悲願の障害重賞制覇を成し遂げた瞬間だった。小坂騎手からバトンを引き継いだ形となった鞍上の熊沢騎手は「完璧」と表現し、「無理に控えるとムキになりそうだと思ったので、馬任せに行かせた。予想していたほど掛かるところがなかったし、三段跳びも無難にこなしてくれた。折り合いよく運べたのが勝因かな。」とコメント。 南井調教師も、「落馬の後でしたが本当に良かった。見ていてドキドキしました。この後は少し楽をさせます。」とホッとした表情。 ついに重賞タイトルを手にしたタマモプラネット。多くのファンの心を掴む純白の大逃げが、８歳にしてついに大きな勲章を手にした。まだまだ重賞レースで頑張れるが、なんとか無事に競走生活が終えられることを願っている。

●かつて桜花賞候補とも言われたことがあるシャドウリングの産駒ダンツブロケード。兄には準オープンまで昇級したスズカシャーマンや、地方の活躍馬コスモアジルがいる血統で、ダンツブロケードにも期待がかかる。しかしながら、２歳１０月の新馬デビュー戦では１１着。着差が大きかった訳ではないが、不本意な内容だった。今回はそれから６カ月半レース間隔が開いての一戦。休み明けは不利ではあるが、ここである程度の結果を残せないようであれば、先々の希望は見えてこない。１番人気は、ダートに替わってからの３戦を２着，９着，２着としているアスターストーリーで単勝3.8倍。２番人気は、ダートに替わってからの４戦で４着２回の成績のウイングルイーズで単勝4.5倍。ダンツブロケードは、単勝8.3倍の６番人気。メンバー的に実力は拮抗しているだけに、何とか上位争いを期待したい。

　レースでは、ダンツブロケードはスタート良く、手綱を押して前の方に出てくる。内から２枠のオレンジチェルロ，ステラバレットの２頭が出てくるが、これに外からダンツブロケードが並んで行く。前の方は固まって、人気のアスターストーリーは、先頭から３馬身差の中団馬群の中。１〜２角で、ステラバレットが僅かに先頭だが、外首差でダンツブロケード。１馬身差で外ウイングルイーズ以下。向正面では、中団内々のコンプリートベストが先頭まで５馬身差。その１馬身外にアスターストーリー。向正面の中間でも、ダンツブロケードは先頭に首差外の態勢。３角でも態勢は変わらず、１馬身差で外ウイングルイーズが依然３番手。３〜４角の中間では、ダンツブロケードが先頭にまったく並ぶ態勢に。外からすーっとアスターストーリーが進出し、先頭に１馬身半差の４番手。中団大外からは、コンプリートベストがムチを飛ばしながら押し上げる。４角にかかるとダンツブロケードが単独先頭で、ここから追い出しにかかる。3/4馬身差で２番手ウイングルイーズの外にアスターストーリーが並んで行く。更に１馬身差の外にコンプリートベストが取り付いて直線へ。

　 直線に向くと、ダンツブロケードが先頭で１馬身1/4差のリード。アスターストーリーが単独２番手に上がりかけたところを、外からぐいぐいコンプリートベストが伸びて抜き去って、残り１ハロンではダンツブロケードまでかわしてあっさり先頭に。ラスト150ｍでは、ダンツブロケードが単独２番手で、２馬身後ろのウイングルイーズ，アスターストーリーに２馬身差をつけている。その更に後ろは更に３馬身開いて、５番手争いからボリードなど３頭が固まった態勢で同じような脚色で追い込んでくる。ここからダンツブロケードはやや甘くなって、ウイングルイーズ，アスターストーリーにじわじわ詰め寄られたが、そこへゴール寸前で一気に追い込んだボリードなど３頭にかわされて５着でゴール。ウイングルイーズ，アスターストーリーの２頭の追撃は首差しのいだ。最後は５着に落ちてしまったダンツブロケードだが、もうあと一歩で２着もあった内容。変わり身を見せてくれたという点で、十分に収穫はあった。鞍上の松山弘騎手は、「競馬は上手なのですが、今日はずっと外へ張りながら走っていました。」とコメント。経験を積んで、まだまだ伸びしろがありそうだ。

●デビュー２戦目で初ダートの未勝利戦で５着と掲示板まで食い込んだダンツブロケード。その後２戦は１１着，８着に終わっているが、前走は大きくは負けておらず、巻き返しがあって不思議ない。１番人気は、デビューからの２戦を連続２着と素質のあるところを見せているシルバーコンパスで単勝1.6倍。２番人気は、デビューから５戦全て入着のペイシャオブワキアで単勝5.2倍。前々走は２着と好走している。ダンツブロケードは、単勝86.6倍の１２番人気と評価は低い。チャンスは残り少なくなってきているだけに、大きな変わり身に期待したい。

　レースでは、ダンツブロケードはスタートが若干甘く、中団後ろからじっくり進める形に。ラインアストロが先頭で１馬身リード。外からピンクスターが押し上げて、内半馬身差でエアセリーナ。人気のシルバーコンパスは、その１馬身後ろの６番手。更に３馬身後ろ、固まった後方集団の中にダンツブロケードだが、ここから反応が悪くなって後方２頭目になり、城戸騎手の手綱が動く。１〜２角で、ダンツブロケードは先頭まで１０馬身差で手が動いている。メイショウハバネラが３番手に上がるが、前の方の態勢はほとんど変わらず。向正面で、ダンツブロケードは後方２頭目のまま、先頭まで１２馬身の差がある。向正面の中間では、前の方は７〜８馬身圏内で固まって、３馬身離れて１頭いて、更に４馬身開いてダンツブロケードは殿りで、押っつけながらの追走。しかしながら、３角でダンツブロケードにムチが入ると、急に行き脚がついてグーンと押し上げて行く。３〜４角の中間では、ダンツブロケードは後方４頭目まで押し上げて、先頭までは８馬身差。ラインアストロが先頭で１馬身半リード。ピンクスターが２番手。４角では、２番手の内にエアセリーナが上がってきて、その後ろはまた２馬身開いている。ダンツブロケードは中団大外まで上がって、先頭までは５〜６馬身差で直線へ。

　直線に向くと、先頭ラインアストロが２馬身リードで逃げ込みを図る。残り１ハロンで、ダンツブロケード はまだ中団大外で、先頭まで５〜６馬身差は変わらないが、ここからグイグイ末脚を繰り出してくる。内側のミヤラビランドを競り落とすと、ラスト150ｍからは凄い脚。この時点で、先頭まで４馬身差の６番手争い。一気に伸びたダンツブロケードは、ラスト100ｍでは先頭まで２馬身差。ラスト50ｍでは、内側で競り合っていた５頭をまとめて抜き去って先頭に躍り出ると、最後は２馬身半突き抜けて完勝のゴール。ダンツブロケードにかわされながら中団から伸びたミヤラビランドが、最後はギリギリ２着に食い込んだ。離された最後方から豪快な競馬で初勝利を飾ったダンツブロケード。まだ粗削りな面はあるが、力は示してくれた。鞍上の城戸騎手は、「展開が向いたこともありますが、前回でもラストは止まっていなかったので、向正面から思い切って動いて行きました。それが良かったんでしょうね。」とコメント。安定して力を発揮できるかどうかは分からないが、昇級後の活躍にも期待したい。

●一昨年の暮れの仲冬Ｓでは６着で、あと半馬身差で掲示板を逃したパワーポケット。そして年明け１月のアレキサンドライトＳでは１６着の殿り負け。しかもただ一頭大差取り残される大敗で、この馬本来の走りではなかった。結局このレースの後、脚部不安により１１カ月の長期休養を余儀なくされる。今回が復帰戦だが、大型馬だけにやはり叩かれてからでなければ厳しいのは否めない。とにかく、無事に復帰できとことを喜びたい。１番人気は、500万下平場，1000万特別を連勝した後、一度出走取消があったが、準オープン昇級緒戦の前走で１馬身半差の４着と力を見せたパルトネルラーフで単勝4.4倍。２番人気は、これも500万下平場，1000万特別を連勝した後、準オープン昇級緒戦では７着だったスペルマロンで単勝4.6倍。７着とは言え、勝ち馬から２馬身3/4差と大きくは負けていない。パワーポケットは、さすがに長期休養明けとあって、単勝157.6倍の１４番人気。幸い馬体重はそれほど大きくは増えてはいない。傑出した馬のいない混戦模様の一戦だけに、条件は厳しくても、上位争いに踏ん張る可能性はないとは言えない。

　 レースでは、パワーポッケットはスタートで１馬身立ち遅れて、中団内目の位置。ロードシャリオが出てくるが、これを外から一気にかわしてマイネルトゥランが先頭に立って、２馬身半とリードを開く。２番手ロードシャリオに、内3/4馬身差でスペルマロン。更に3/4馬身差でヴァローア，パルトネルラーフの２頭。パワーポッケットはその３馬身後ろ，中団内々の位置取り。１〜２角で、マイネルトゥランは８馬身とリードを開いての単騎逃げ。向正面では１０馬身と更に差が開いている。２番手スペルマロン以下の隊列はあまり変わらず、パワーポッケットは２番手スペルマロンから５馬身差。その１馬身3/4差後ろに伏兵サクラルコールなど。３角でも、先頭マイネルトゥランのリードはまだ８馬身。３〜４角の中間では、２番手以下が手を動かしながら差を詰めにかかり、マイネルトゥランのリードは４馬身まで縮まる。２番手はスペルマロン，ロードシャリオの２頭。１馬身半差で４番手ヴァローア以下。パワーポッケットは中団でじっとしているが、手応えは悪くない。４角では、マイネルトゥランは失速し、今度は外からロードシャリオが僅かに先頭。首差で中スペルマロン以下。パワーポッケットは先頭から４馬身差の中団内々で直線へ。

　 直線に向くと、ロードシャリオがじわじわリードを開きにかかって１馬身のリード。２番手スペルマロンは余力なし。これに１馬身差でヴァローア。パワーポッケットはその２馬身後ろで、内から２頭目のところをじわじわ伸びて５番手争いに加わってくる。中からはスマートボムシェル，外からはサクラルコール，ブライトンロックの２頭が突っ込んできて、５番手辺りの争いは大混戦。サクラルコールの切れ味がまさり、一気に先頭まで迫り、ゴール前でロードシャリオまで捕らえると、一瞬で１馬身1/4差に差をつけて見事な差し切り勝ち。パワーポッケットは４着争いでやや伸び負けたものの、、最後はブライトンロック，スマートボムシェルと同じ脚色で、この２頭に首，半馬身差の６着でゴール。掲示板もありそうな感じも一瞬あったが、やはり久々が応えたか、惜しくも掲示板を逃した。それでも、１１カ月の長期休養明けだったことを考えれば、十分な内容と言える。次走はひと叩きで上昇が見込めるだけに、このまま無事に行ってくれれば期待が膨らんでくる。

●１月の招福Ｓではあと半馬身差というところで掲示板を逃して６着だったパワーポケット。その後は、ダートで１３着，久しぶりの芝のレースでブービー１１着と結果を出せず、障害に転向。しかしながら、障害の２戦は１２着，８着で、障害でも厳しかった。平地に戻るが、芝でブービー８着，ダートで８着と、上位争いはずっとできていない。ただ、前走の走りは決して悪くなかっただけに、状態面では良くなりつつある印象。しかしながら、今回はＧ３への果敢な挑戦。５０kgのハンデは魅力があるのは確かだが、大方は苦戦必至の見方で、オッズにもそれが反映されていた。しかしながら、陣営は密かに期待をかけての挑戦だった。１番人気は、1000万下，準オープン連勝後、Ｇ３エプソムＣで４着と好走したサーブルオールで単勝2.8倍。２番人気は、近４走連続Ｇ３に出走して２着，３着，５着，６着のレイホーロマンスで単勝6.7倍。前走マーメイドＳでは１番人気に応えられなかっただけに、今回は巻き返しを期す。ＪＲＡ未勝利から地方に転出し、その後ＪＲＡに戻ってここまで力をつけてきた馬。パワーポケットは、単勝138.1倍の最低１２番人気。専門家のほとんど１００％近くは「とても無理」との見方をしているが、陣営としては目算があっての挑戦。あっと驚かせる走りを是非とも見せてほしい。

　レースでは、パワーポケットはスタートは五分に出ると、最初は積極的に行こうかという構え。ワンブレスアウェイ，バーディーイーグルの２頭がじわっと出てくるが、外から一気にマイネルミラノがかわして先頭。シルクドリーマーも出てくる。パワーポケットは５番手だが、ここから更に控える形で、先頭まで４馬身差で１角へ。１〜２角で、早くもかなりのハイペースの流れとなる。先頭マイネルミラノは飛ばして行って、向正面では２馬身半リードの逃げ。ワンブレスアウェイ，バーディーイーグルの２番手争い。その後ろは２馬身半差で４番手以下の集団。パワーポケットは、４番手から２馬身1/4差で、中団やや後ろの内々を追走するが、このハイペースでも行きっぷりはなかなかいい。パワーポケットに半馬身差でサーブルオール，その２馬身後ろの外にメドウラーク。更に２馬身1/4差後ろでマイネルサージュが追い込みを期して虎視眈々。向正面の中間では、パワーポケットが内々をじわっと押し上げて行く。このあたり、先頭マイネルミラノは３馬身リードの逃げとなっている。３角では、ワンブレスアウェイが２番手で、その１馬身1/4差後ろの３番手争いに、内ラチ沿いをパワーポケットが加わってくる。これまでならこの勝負どころでえ手応えが怪しくなる形が多かったが、今回はこれまでにない行きっぷり。１馬身1/4差後ろにサーブルオール。追い込み策のマイネルサージュも、このあたりからすーっと進出開始。３〜４角の中間でも、先頭マイネルミラノは３馬身リード。パワーポケットはサーブルオールと並んでの４番手争いだが、サーブルオールはムチが飛んでいる。ここでプラチナムバレットが、前の馬に接触して落馬転倒。４角では、大外から後方待機のメドウラーク，マイネルサージュの２頭がグーンと押し上げる。先頭マイネルミラノのリードはあっと言う間に縮まって激戦の様相に。逃げたマイネルミラノをワンブレスアウェイがかわしにかかる。半馬身差でサーブルオールも追ってくる。これに半馬身差でパワーポケット，大外メドウラーク，マイネルサージュの３頭が脚色よく差し込んでくる構えで直線へ。

　直線に向くと、ワンブレスアウェイが僅かに先頭か。ハイペースで飛ばしたマイネルミラノは余力なく脱落。外からサーブルオール，メドウラーク，マイネルサージュの３頭が先頭に替わろうかという構え。内目をパワーポケットも脚を伸ばしてくる。残り１ハロンでは、後退したマイネルミラノを除く５頭が差のない態勢。残り１ハロンでは、マイネルサージュが僅かに先頭か。パワーポケットは１馬身差で５番手か。伸び脚は外のメドウラーク，マイネルサージュが優勢だったが、パワーポケットもラスト150ｍでワンブレスアウェイをかわし、更にラスト100ｍでサーブルオールをかわして３番手に。この時点で、先頭争いの２頭とは１馬身差。ここからは前の２頭に２馬身突き放されてしまったが、パワーポケットは人気のサーブルオールを3/4馬身競り負かして３着大健闘のゴール。５０kgの軽ハンデだったとはいえ、最低人気で重賞入着はお見事というほかない。良馬場でも時計のかかる馬場だったのは幸いしたが、ハイペースの追い込みが決まって展開がはまった１，２着馬とは違い、力でもぎ取った３着だった。鞍上の江田照騎手は、「以前芝の2500ｍに乗った時に、距離は長いと感じましたが、芝は問題ないと思っていました。内々をロスなく回ってこれましたし、一生懸命走る馬なので、馬場も気にせず走っていました。”状態が上がっている”と厩務員さんから聞いていましたし、よく頑張ってくれました。」とコメント。完全に頭打ち状態が続いていたが、果敢な挑戦で新境地を開拓した陣営の見立てには驚きしかない。なかなか希望を見出せない状況から、一気に視界が開けてきた。

●前年８月のデビューしたビクトリーソング。新馬戦こそ６着ながら３着馬から差のない競馬をしたが、その後２戦は１０着，１１着と見せ場なく終わる。今回は初めてのダート戦となることで、変わり身に期待をかけたい。１番人気は、既走馬相手のデビュー戦となった未勝利戦で１馬身差の４着と好走したキンイロジャッカルで単勝2.1倍。一度レースを経験しての上積みも大きいはず。２番人気は、近３戦をすべて３着〜５着と堅実に駆けているシルバーストーンで単勝4.2倍。ビクトリーソングは、単勝57.1倍の９番人気と評価は低い。何とか浮上の足掛かりを掴みたい。

　 レースでは、ビクトリーソングはスタートは五分で、好位集団の一角。ブラストビートが先頭で、半馬身内にシルバーストーンだが、ここからシャインヴィットゥがかわして先頭へ。半馬身差でシルバーストーン，更に半馬身差でブラストビートの順。これに半馬身差で内ビクトリーソングが４番手だが、これに大外から人気のキンイロジャッカルが並んでくる。ここまでが先団で、その後ろは２馬身半開いている。３角では、ビクトリーソングは先頭まで３馬身差の４番手争い。３〜４角の中間では、依然として前４頭が先団を形成しており、その後ろは７馬身と大きく差が開く。このあたりでは、ビクトリーソングは内々５番手。４角では、先頭シャインヴィットゥにシルバーストーンが並びかける。１馬身差で外キンイロジャッカル。その内半馬身差でビクトリーソングが４番手に順位を上げ，3/4馬身差でブラストビート。その後ろは４馬身差までキングアスリート一頭だけが差を詰めてきて直線へ。

　 直線に向くと、シャインヴィットゥ，シルバーストーンの先頭争いに、１馬身差でキンイロジャッカルが追ってくる。半馬身内にビクトリーソングも食い下がり、前４頭の争いとなるが、ビクトリーソングは徐々に遅れを取り、残り１ハロンでは前３頭との差が２馬身と開いてしまう。３馬身半後ろからはキングアスリートが差して来る。ラスト150ｍでシルバーストーンが競り勝って先頭に抜け出す。ラスト100ｍでは、４番手ビクトリーソングは前とは５馬身開いてしまっている。なかなか差を詰められなかったキングアスリートが、３馬身後ろからこのあたりで伸び脚を発揮してくる。４番手で粘るビクトリーソングに、キングアスリートが一歩一歩詰め寄ったが、ビクトリーソングが頭差しのいで４着死守のゴール。シルバーストーンがそのまま押し切り勝ちで、２着にはゴール寸前で差したキンイロジャッカルが入り、ビクトリーソングは３着のシャインヴィットゥから７馬身の差がついていた。上位３頭から水は開けられたものの、積極的に行ったレースぶりは悪くなく、ダートも向いている印象。鞍上の武士沢騎手は、「小さい馬なので今日のような湿ったダートも良かったんでしょうが、変わり身を見せてくれたし、次につながる競馬ができました。」とコメント。今後に期待をつなぐ競馬はできた。

●前年のＧ１有馬記念では１２着だったヒットザターゲット。厳しい競馬で終わってしまったが、年が明けて年齢は９歳となる。年明け初戦のＧ２金鯱賞では１３着だったが、重賞３４戦連続出走で、偉大なナイスネイチャの記録に並ぶ。そして実績のあるＧ２目黒記念でも１３着と精彩を欠いてしまうが、これでＪＲＡ重賞連続出走の単独トップの記録を打ち立てる。今回は実に５回目のＧ１宝塚記念挑戦。初めてブリンカーをつけて集中力を高める試みで臨むが、ただでさえメンバーが強力な中、苦手の渋った馬場になってしまい、一層厳しさを増すこととなる。１番人気は、有馬記念は２着に惜敗したが、年が明けてからはＧ１に格上げされた大阪杯，そして天皇賞・春と無敵の強さでＧ１を連勝をしているキタサンブラックで単勝1.4倍の圧倒的人気。有馬記念で苦杯を喫したサトノダイヤモンドを天皇賞・春で打ち負かし、Ｇ１を５勝して自他ともに認める日本最強馬。２番人気は、Ｇ２日経賞優勝後、Ｇ１天皇賞・春では９着だったシャケトラで単勝8.5倍。７戦４勝というキャリアの浅い馬だけに、上昇の余地は大きく、距離短縮でキタサンブラックとの差を詰めてきてもおかしくない。３番人気は、この春に香港ヴァーズで悲願のＧ１制覇を果たしたサトノクラウンで単勝8.5倍。帰国後はＧ２京都記念を勝ったが、Ｇ１大阪杯では６着に敗れている。ヒットザターゲットは、単勝167.1倍でブービー１０番人気。常識的にはとてつもなく厳しいが、不屈の精神力で最強馬に勝負を挑んで行く。

　 レースでは、全馬揃ったスタート。ヒットザターゲットは軽く仕掛けるものの殿りで、すぐに先頭から５馬身，６馬身と差がついてくる。シュヴァルグラン，シャケトラの先頭争い。１馬身差で内クラリティシチーが３番手，これに半馬身差で外４番手がキタサンブラック。先手を取るのではとさえ思われていたキタサンブラックだったが、意外にも控える展開。ヒットザターゲットは、内レインボーラインと並んで最後方。１〜２角で、ヒットザターゲットは殿りで、先頭まで６馬身差。シュヴァルグランが先頭で、半馬身差でシャケトラが２番手。１馬身差でキタサンブラックは３番手。向正面に入ってもほぼ一団で、最後方のヒットザターゲットも、先頭まで７馬身とそれほど差はないが、澱みなく息を入れられないペースで流れている。ヒットザターゲットは、前のレインボーラインの１馬身半後ろだったが、向正面の中間ではその差が２馬身半と開いてきて、川田騎手の手が早くも動く。序盤からこのような手応えになるのは、道悪の時に見られるパターンで、稍重でも想像以上に馬場に苦しんでいるのか。３角では、前のレインボーラインが仕掛けて上がって行ったこともあり、ヒットザターゲットは３角過ぎでは一頭４馬身置かれてしまう。３〜４角の中間では、先頭はまだシュヴァルグランだが、手応えが怪しくなってくる。半馬身差でクラリティシチー，シャケトラが２番手。3/4馬身外キタサンブラックは４番手。その１馬身3/4差後ろ、中団大外にサトノクラウン。前１０頭が４馬身圏内で一団で、４角では手が動く馬が多くなり、逃げたシュヴァルグランは既に馬群に呑み込まれているが、まったくの混戦状態。ヒットザターゲットはずっと苦しい手応えのまま、一頭４馬身置かれたままで、少でも馬場状態がいい大外へ持ち出す形で直線へ。

　 直線に向くと、シャケトラが僅かに先頭に出てくるが、これに外からキタサンブラックが並んでくる。内ゴールドアクター，大外サトノクラウンが伸びてきて、先頭に半馬身差。前１０頭が３馬身圏内で、ヒットザターゲットは大外で一頭置かれたままだが、決して更に突き放されてはいない。誰もが当然抜け出してくると思っていたキタサンブラックだったが、ラスト250ｍでサトノクラウンにかわされると、既に一杯で徐々に後退。この時点で、クラリティシチー，シュヴァルグランの９番手争いで、少し離されてヒットザターゲットがこれを追う。ラスト150ｍからは、サトノクラウンとこれに3/4馬身差で食い下がるゴールドアクターの２頭が抜け出したが、サトノクラウンがそのまま押し切って優勝。ヒットザターゲットは、最後は前のクラリティシチーに１馬身3/4差まで詰めるのが精一杯で最下位１１着でゴール。９着に沈んだ最強キタサンブラックからは３馬身差だった。道悪で思うような走りができず、不本意な競馬に終わったヒットザターゲット。鞍上の川田騎手は、「のめってのめって仕方がなかった。道悪に尽きます。」とコメント。稍重でもノメる馬場になってしまい、ヒットザターゲットの持ち味はまったく生かせず。ブリンカーも効果のほどはまったく分からなかった。このままでは納得できず、まだ現役続行の意向を示した。

●宝塚記念では、渋った馬場にもがいて追走手一杯のまま最下位１１着に終わったヒットザターゲット。道中一頭だけ置かれた競馬は屈辱的ではあったが、パンパンの良馬場なら、９歳とは言えあのようなことはないはず。今回は幸いこの馬向きの条件がある程度整っているだけに、今のこの馬の力を見せてくれるはず。１番人気は、Ｇ２阪神大賞典，Ｇ１天皇賞・春をともに２着とした後、Ｇ１宝塚記念では８着に終わったシュヴァルグランで単勝2.2倍。天皇賞・春でサトノダイヤモンドに競り勝った実力はここでは上位か。２番人気は、海外遠征のドバイシーマクラシック６着の後、帰国緒戦のＧ２札幌記念では４着だったサウンズオブアースで単勝4.2倍。勝ち切れない馬だが、昨年のジャパンＣを始め、Ｇ１で２着３回という実力馬。ヒットザターゲットは、単勝126.0倍の１１番人気。近走の成績からは、この評価もやむを得ないが、馬場コンディションや枠順などがこの馬向きでない競馬がずっと続いていたのも確か。９歳では全盛期の爆発力を望むべくもないが、それでもある程度の勝負には持ち込めて不思議はない。

　レースでは、ヒットザターゲットはいいスタートではなかったが、少ししごいて中団あたりにつけて行く。スタートして暫くは内外から寄られるようになって、走りにくそうな感じになっているが、内が空いたのを見計らって、内ラチ沿いに進路を取って行く。ラストインパクトが先頭に立って、１馬身半差でマキシマムドパリ。１馬身差でトーセンバジル，カレンミロティックの３番手争い。１馬身1/4差でミッキーロケット，サウンズオブアースの２頭。ヒットザターゲットはその１馬身3/4差後ろ、内々７番手につける。人気のシュヴァルグランは、更に６馬身後ろの後方２頭目から。１〜２角では、隊列がややバラけてくる。ヒットザターゲットは先頭まで７〜８馬身差。先頭ラストインパクトは、２馬身半差のリードで逃げて、縦長になってくる。向正面では、ハッピーモーメントが３番手に上がってくるが、それ以外は隊列に大きな変動はない。向正面の中間では、馬群がやや詰まってきて、先頭〜殿りまで１０馬身差。中団内々のヒットザターゲットは、先頭まで５馬身差。３角にかかると、後方２頭目にいたシュヴァルグランが、一気に動いて大外を押し上げて、３角に過ぎではヒットザターゲットなどをかわして行く。３〜４角の中間でも、ラストインパクトが１馬身3/4リードで逃げている。ヒットザターゲットは、先頭から５〜６馬身差の９番手で、決して手応えは悪くない。４角では更に馬群が固まって、全馬が６馬身の圏内に。ヒットザターゲットは中団やや後ろのやや内目、先頭までは４馬身差。１馬身直後に後方待機のスマートレイアーが取り付いて直線へ。

　 直線に向くと、先頭ラストインパクトのリードは１馬身半。トーセンバジル，マキシマムドパリの２番手争い。１馬身1/4差でカレンミロティックが４番手だが、外からかわしにかかるシュヴァルグラン。以下は大混戦で、ヒットザターゲットはシュヴァルグランの２馬身後ろ。小牧騎手が内へ行くか外へ行くか一瞬迷ったが、すぐに進路取りを外へ決める。それを見て、直後のスマートレイアーが内ラチ沿いに切れ込んで行く。ヒットザターゲットもじわじわ伸びているが、切れ味でまさる最内スマートレイアーにはあっさりかわされてしまう。残り１ハロンで、今度はトーセンバジルがラストインパクトをかわして先頭か。１馬身半差でシュヴァルグランが３番手に上がってくる。そのすぐ後ろからスマートレイアーが、ミッキーロケット，カレンミロティックをかわして４番手に。ヒットザターゲットは、その3/4馬身後ろの８番手，更に3/4馬身外からはレコンダイト。先頭トーセンバジルに、シュヴァルグラン，スマートレイアーが迫って３頭の勝負となったが、スマートレイアーがゴール前で差し切って優勝。一瞬伸びかけて、上位食い込みの期待が生まれて力が入ったヒットザターゲットだったが、ラスト100ｍから伸び切れず、ミッキーロケットに突き放されてしまい、レコンダイトにもかわされたが、同じ９歳馬のカレンミロティックには頭差競り勝って７着でゴール。最後に６着ラストインパクトに首差まで差を詰めていた。残念ながら入着まではできなかったが、掲示板まではあと3/4馬身というところまできていた。このところ見せ場にない大敗続きだったが、久しぶりに力の入る競馬を見せてくれた。道悪や外枠で力を出せない競馬が続いていたが、条件さえ揃えば９歳でも頑張れることを示してくれた。全盛期なら突き抜けていたのではないかとさえ思えるほどだった。鞍上の小牧騎手は、「結果論になるが、外へ出してしまった分かな。そのまま内を通って来ていればという内容だった。」とコメント。全盛期の力はなくとも、高速馬場の内枠という条件が揃えば、まだまだある程度戦っていけるはず。この頑張りは、本当に称賛していいだろう。

●昨年秋の京都大賞典では７着で、半馬身，首差で掲示板を逃したヒットザターゲット。その後Ｇ２アルゼンチン共和国杯に出走したが、伸び切れずに１２着に終わる。引退が近いと噂される中、年が明けて１０歳になっても現役を続行する。１０歳になっての緒戦はこのＧ２日経新春杯。久しぶりの内ワクに恵まれ、良馬場で臨めるのはプラス材料。メンバーもそれほど強力ではなく、ハンデの５６kgも悪くはない。京都2400ｍは実績もあり、今のこの馬の力を出せる舞台は整った。最も乗り慣れた小牧騎手とのコンビ復活も嬉しい限り。ただ、+16kgの体重増は誤算だったか。１番人気は、準オープンで惜敗を重ねた後に前走勝ち上がったパフォーマプロミスで単勝3.7倍。格下感はあるが、成長度合いと５４kgのハンデで買われている。２番人気は、日経新春杯連覇を狙うミッキーロケットで単勝3.8倍。不良馬場の天皇賞・秋を度外視すれば、Ｇ１でも５着，６着，７着とそこそこの勝負をしている。前走のＧ３中日新聞杯では、トップハンデを背負いながら１番人気で２着となっている。今回もトップハンデの57.5kgを背負う。３番人気は、前走Ｇ３チャレンジＣでは、首，首，鼻差の４着に惜したモンドインテロで単勝4.5倍。重賞勝ちこそないが、重賞入着５回の重賞の常連馬。ヒットザターゲットは、単勝72.8倍の１０番人気。１０歳ではさすがに評価が低くても致し方ないが、まだまだ十分勝負になる競馬ができて不思議はない。もう一度、また胸の熱くなる走りを見せてほしい。

　 レースでは、ヒットザターゲットはスタートは五分に出ると、内ラチ沿いを取るために、手綱をしごいて内側にいるサンタフェチーフ，モンドインテロの前に出て、すっと内ラチ沿いの位置を取る。ラチ沿いについてからは、手綱を抑えて追走。ロードヴァンドールがすっと先頭に立って、3/4馬身差で外に軽量ガンコ。１馬身1/4差でパフォーマプロミス，ミッキーロケット，カラビナの３頭が並んでいる。その１馬身半後ろにヒットザターゲットの態勢。3/4馬身外にソールインパクト以下。１〜２角で、先頭ロードヴァンドールは２馬身リードの逃げとなっているが、ペースは落ち着く。ヒットザターゲットは、ソールインパクトと並んでの５番手争いで、ミッキーロケットの１馬身直後の位置。向正面では、パフォーマプロミスが内から３番手の態勢。その２馬身後ろでヒットザターゲット，ミッキーロケットが５番手争い。淡々とした流れとなっているが、３角手前ではミッキーロケットよりヒットザターゲットの方がじわっと出るが、３角では今度はミッキーロケットが首ほど前に出る。３〜４角の中間では、先頭ロードヴァンドールに、ガンコが首差まで詰めてくる。ヒットザターゲットは先頭まで３馬身近い差，外側のサンタフェチーフと並んでの６番手争いだが、ここでもじっくり手綱を抑えたまま。しかしながら、このあたりからペースが上がり、４角ではヒットザターゲットを始め、各馬徐々に仕掛ける形になっていく。ロードヴァンドールが首差リードでまだ先頭，外側ガンコが２番手。１馬身差で大外ミッキーロケットが３番手に上がってくるが、内側首差でパフォーマプロミスもこの争い。これに１馬身半差でサンタフェチーフ，カラビナの３頭並んでの５番手争いに、その内半馬身差でヒットザターゲット。外からはモンドインテロ，ソールインパクトの態勢で直線へ

　 直線に向くと、先頭はロードヴァンドール，ガンコの叩き合い。１馬身半差でパフォーマプロミス，ミッキーロケットの３番手争いから、ミッキーロケットはやや伸び切れない感じで遅れを取る。２馬身開いてヒットザターゲット，サンタフェチーフが徐々に内外離れて行っての５番手争い。モンドインテロ，ソールインパクトは、５番手争いから後退。１馬身差で中アクションスターが、５着争いに加わろうと追ってくるが伸びはジリジリ。ラスト100ｍでは、先頭争いはロードヴァンドール，ガンコ，パフォーマプロミスの３頭が並んでくる。ミッキーロケットは３馬身開いて４番手。ヒットザターゲット，サンタフェチーフは、ミッキーロケットに１馬身半差でなかなか差を詰められない。それでも何とか５着に食い込もうというヒットザターゲットは、サンタフェチーフとの争いに一歩も引くことはなく、この２頭でミッキーロケットにも詰め寄って行き、久々の上位食い込みかという力の入る場面に。最後は４着争いが３頭差のない態勢にまで持ち込んだが、ヒットザターゲットはミッキーロケットに半馬身，頭差で６着でゴール。サンタフェチーフにも僅かに競り負けたが、ハンデ差が最後にこたえたもので、同斤量なら決して負けてはいなかったが…。鞍上の小牧騎手は、「内ラチ沿いをうまく運べたが、前の馬もスンナリと行けていたからね。もっと展開がもつれてほしかった。」とコメント。惜しい競馬だったが、重賞の常連のモンドインテロなどに先着し、ミッキーロケットにも詰め寄ったあたりは、１０歳の年齢で実に立派。いつまで現役を続けられるか分からないが、この馬の走りにはいつも労いの言葉をかけたい。

●前走日経新春杯では、５着に頭差の６着で掲示板を逃したヒットザターゲット。ずっと引退がささやかれつつ１０歳となっているが、この年２月で勇退する加藤敬調教師は、ヒットザターゲットが小倉大賞典を引退レースとすることを表明。いよいよその時を迎え、多くのファンが勝負を度外視して、その最後の走りを暖かく、そして無事完走できることを祈りながら見守った。１番人気は、1000万下平場，準オープンをともに大楽勝でオープンまで昇級してきたトリオンフで単勝2.3倍。実績では格下だが、その勢いは期待を集めて当然のもの。２番人気は、前走Ｇ３京都金杯で４着だったダノンメジャーで単勝6.4倍。３走前にＧ２スワンＳで５着になっているなど、重賞勝ちこそないが、重賞級の力を持っている。ハンデ戦ということもあって激戦の様相だが、ヒットザターゲットは単勝34.6倍の１１番人気。引退レースで一票を投じた人も少なくなかったと思われるが、全盛期であれば楽勝して当然のメンバー。ただ、今回はとにかく無事にゴールを駆け抜けて、７年半にも及ぶ長い競走生活を元気に全うしてほしい。ただそのことを願うのみ。ヒットザターゲットのラストランの雄姿を、脳裏に焼き付けておきたい。

　レースでは、ヒットザターゲットはスタートはまずまずで、手綱をしごいて行って中団後ろにつけるが、内ラチ沿いは取れない。広がった争いから、中からヤマカツライデンが先頭に出てくる。ヒットザターゲットは中団で、先頭までは６馬身差。１〜２角で、今度はウインガナドルが先頭，半馬身差で内ヤマカツライデンで、その後ろは４馬身と差が開く。向正面で、３番手にサトノアリシア，３馬身半開いてタイセイサミットが４番手。人気のトリオンフは、４番手から１馬身ほどの差。ヒットザターゲットは更に５馬身後ろ，後方３頭目の位置。先頭からは１２馬身の差がある。３角では、３番手以下は固まってきて、前との差を２馬身まで詰めてくる。ヒットザターゲットは、後方２〜４頭目の争いの中で、先頭までは８馬身差となる。３〜４角の中間では、外からヒットザターゲットなどをかわしてマサハヤドリームが押し上げて行く。今度はタイセイサミットが先頭に立つ。トリオンフも手応え十分に差のない位置まで取り付く。ここで２番人気のダノンメジャーが故障発生で競走中止の悲運。ヒットザターゲットはすぐ後ろの位置にいたが、進路を失うことなくすぐ横をすり抜けて難は逃れた。４角では今度はトリオンフが先頭。ヒットザターゲットは、先頭から６馬身差の後方４頭目。中を突いて生涯最後のラストスパートをかけて直線へ。

　 直線に向くと、ヒットザターゲットは往年の脚が炸裂せず、外からスズカデヴィアスなどにかわされる。残り１ハロンで、先行して一杯になったヤマカツライデンをかわすものの、周りの馬たちと同じような脚色。トリオンフは一頭完全に抜け出して、最後は２馬身半差をつけて完勝。ラスト100ｍで内から２番手に上がった人気薄クインズミラーグロが波乱を演出。ヒットザターゲットは、結局先行して一杯になった馬をかわしただけの１３着でゴール。それでも、６着馬からは２馬身とそれほど離されたわけではなく、最後はどっと固まってゴール板を駆け抜ける形だった。ラストランで結果は出せなかったヒットザターゲットだが、よくここまで無事に長い競走生活を駆け抜けてくれたと拍手を送りたい。鞍上の小牧騎手は、「故障馬の近くにいて危なかった。本当は内で運びたかったけど、スタートが良過ぎたね。状態は本当に良かっただけに、それを生かし切れなかった。」とコメント。これで、加藤敬調教師とともに、厳しい勝負の世界に別れを告げることとなった。これまで多くの夢を見させてくれたヒットザターゲットには、とにかく感謝の言葉しかない。本当に心から幸せな余生を送れることを願っている。

●前年３月の準オープンの常総Ｓで５着だったマイネルイルミナル。決して諦めない頑張りを見せていたが、その後は１２着，１１着，７着と振るわず、７月には障害にチャレンジするが７着に終わる。それから半年レース間隔が開いて、今回再度障害にチャレンジする。１番人気は、障害入り５戦目の前走で２着と初めての入着を果たしたゴールドメダリオンで単勝3.3倍。２番人気は、Ｇ３七夕賞優勝，Ｇ２オールカマー２着などの平地実績を持つメイショウナルトで単勝3.3倍。今回が初障害。マイネルイルミナルは、単勝10.4倍の５番人気。障害緒戦は案外だったが、平地力はメンバー中でも上位のものがあるだけに、変わり身の可能性はあるはずだ。 

　 レースでは、マイネルイルミナルは五分のスタート。メイショウナルトがポンと好発を決めて先頭。半馬身差でトーアディランが２番手だが、外からマイネルイルミナルなど数頭が押し上げる。３角では、今度は人気のゴールドメダリオンが先頭，１馬身半差でマイネルイルミナルが２番手に。１馬身1/4差でクリノミユキチャンだが、メイショウナルトが外から上がって行って、３〜４角の中間では３番手に。１周目４角では、前３頭がそれぞれ２馬身間隔。正面スタンド前では、先頭ゴールドメダリオンが３馬身リード，マイネルイルミナルが２番手。３番手集団は固まってくるが、マイネルイルミナルとは４馬身と差が開いてくる。 １〜２角で、３番手にトーアディランが上がってくるが、先行する３頭はそれぞれ３馬身半間隔。向正面の中間にかかると、外からメイショウナルトが仕掛けてグーンと押し上げると、つれてトーアディランも動いて行く。今度はトーアディランが２番手となり、３角手前ではメイショウナルトが３番手，内々マイネルイルミナルは４番手。３角では、先頭ゴールドメダリオンは１馬身半のリード。トーアディラン，メイショウナルトの２番手争い。１馬身半差でマイネルイルミナルが４番手で、その後ろは４馬身と開いている。３〜４角の中間では、トーアディランが少し遅れた感じで、マイネルイルミナルがかわして３番手に。外からはニシノリュウセイが上がってくるが。４角では、今度はメイショウナルトが僅かに先頭，首差で内ゴールドメダリオン。３馬身半差でマイネルイルミナルが３番手だが、外首差でニシノリュウセイ，更に１馬身半差で大外ルグランシェクルなどがスパート態勢で直線へ。

　 直線に向くと、メイショウナルトが１馬身リードで１つ目の障害飛越。３番手マイネルイルミナルを外からかわしにかかるルグランシェクル。残り１ハロンの最終障害では、先頭にメイショウナルトのリードは半馬身。２番手は外ルグランシェクル，内ゴールドメダリオンの態勢。１馬身半差で４番手は、トーアディラン，マイネルイルミナル，ニシノリュウセイの３頭。ラスト150ｍで、ルグランシェクルが一気に抜けて先頭へ。マイネルイルミナルは盛り返してきたトーアディランに突き放されてしまい、最後は伸びを欠いたものの、ゴール前で逃げたゴールドメダリオンをかわして４着でゴール。直線では勝ち負けの見せ場はなかったが、一応力は見せてくれた。障害経験が浅く、レース間隔も開いていたことを考えれば、及第点の内容ではあった印象。鞍上の山本康騎手は、「前回よりもハミ受けが良くなっていましたし、落ち着いて流れに乗りながら運ぶことができました。何カ所かミスがあってロスがありましたが、２走目で頑張ってくれました。」とコメント。高い障害適性までは今のところ感じられないが、１勝を挙げられる可能性は十分にありそうだ。

●障害２戦目の前走で４着と上位に食い込んだマイネルイルミナル。勝ち馬から約１０馬身の差があったが、前走はレース間隔も開いていただけに、経験を積んで今回は更なる前進を期待していいはず。１番人気は、障害未勝利戦を連続３着とした後、５カ月ぶりの平地1000万下平場戦では１４着だったガチバトルで単勝2.7倍。平地準オープン３着２回，プリンシパルＳ５着の平地力は、マイネルイルミナルに匹敵。２番人気は、近４走を４着，３着，３着，３着と上位争いを続けるアサクサゴールドで単勝3.4倍。マイネルイルミナルは、単勝6.1倍の３番人気。障害実績ではやや見劣るものの、障害競走を２度経験し、今回は互角の勝負が十分期待できる。 

　 レースでは、マイネルイルミナルはスタートはまずまず。ポンと好スタートはガチバトル，3/4馬身差で内にアサクサゴールドだが、ここから前２頭は並んでくる。２馬身差で３番手はマイネルイルミナルなどが横に並ぶ態勢。１周目３角で、アサクサゴールドが先頭に立って３馬身のリード。２番手にガチバトルだが、単独３番手となったマイネルイルミナルが、３〜４角の中間では、ガチバトルに首差まで並んでくるが、障害飛越でまた１馬身遅れに。４角では、その後ろ１馬身差で４番手集団も固まっている。正面スタンド前では、クラウンスカイが単独４番手となるが、これをかわして行くのがブリリアントミノル。先頭アサクサゴールドは４馬身とリードを開いているが、１〜２角では２番手ガチバトルが２馬身差に詰めてくる。１馬身半差でマイネルイルミナル，3/4馬身差で内ブリリアントミノルの順。向正面では、モーゼスが外から４番手争いに。３角にかかると、２番手ガチバトルが、先頭に3/4馬身差に接近。３番手マイネルイルミナルは、前とは２馬身1/4差に少し開いている。４番手ブリリアントミノルは、３〜４角の中間ではマイネルイルミナルから２馬身の遅れをとる。このあたり、ガチバトルが先頭に首差まで並んでくる。４角では、アサクサゴールド，ガチバトルの２頭がほぼ並ぶ態勢。２馬身半差でマイネルイルミナルが３番手，3/4馬身内にブリリアントミノルがまた差を詰めてきて直線へ。

　 直線に向くと、アサクサゴールド，ガチバトルの２頭の競り合いとなるが、ここからアサクサゴールドが二の脚を繰り出して、残り350ｍでは １馬身リード。２番手にガチバトル，２馬身差でマイネルイルミナルだが、内からブリリアントミノルが３番手を窺う。２馬身開いて内ラチ沿いにシゲルシマダイ、モーゼスの２頭。ここからガチバトルは甘くなり、残り１ハロンでブリリアントミノルが２番手に。半馬身遅れてマイネルイルミナルがガチバトルをかわしにかかる。半馬身差で内々シゲルシマダイも追い上げる。ラスト100ｍで、ブリリアントミノルが先頭アサクサゴールドに並びかけると、首だけグイッとかわしてそのまま押し切り勝ち。マイネルイルミナルは、前２頭と同じ脚色で、最後は逆に少し差を広げられる感じで３着でゴール。内シゲルシマダイは同じような脚色だったが、これは首差抑え切った。粘っていたガチバトルは最後は５着に落ちた。勝ち馬から２馬身差の３着と、障害で初めて好勝負を演じたマイネルイルミナル。一走毎に着実に内容が良くなっている。鞍上の山本康騎手は、「ダートは初めてでしたが、何回か使っていけば変わってくると思います。飛越は大丈夫でしたし、折り合いの不安もなく競馬ができます。経験を積んでいけば勝てるでしょう。」とコメント。次走あたりは、勝利の可能性もあるはずだ。

●２月の東京の障害未勝利戦では３着だったマイネルイルミナル。続く中山戦は５着で掲示板は確保したものの、４着馬から１０馬身もの差をつけられ、内容的にも不本意なものだった。それだけに今回は巻き返しを期待。１番人気は、平地1000万クラスから障害入りして４戦をすべて３着〜４着と安定した成績を残しているエリーフェアリーで単勝4.4倍。マイネルイルミナルは、単勝オッズは同じ4.4倍で２番人気。３番人気は、平地1000万クラスから障害入り緒戦のココで単勝5.8倍。人気も割れて実力も拮抗。それだけに、マイネルイルミナルにとっては障害での勝利の大きなチャンスと言っていい。

　 レースでは、マイネルイルミナルはスタートは五分に出て、中位からの競馬。ステイウェルがポンと先頭に立って１馬身のリード。２番手集団は４頭ほど固まっている。マイネルイルミナルは、先頭から３馬身差の中団内々。１周目３角で、ステイウェルが１馬身半リードの逃げ。シゲルサンマが２番手，その内首差でサウントターゲット。２馬身差でセイウンタキノボリ，これに１馬身差でセイウンアワードが５番手。マイネルイルミナルは更に１馬身差の中位。３〜４角の中間では、外からマイネルイルミナルが押し上げて４番手に。４角では、セイウンアワードは控えて３馬身後ろの中団に。正面スタンド前で、隊列は固まって、４番手マイネルイルミナルは先頭まで２馬身半差。人気のエリーフェアリーは更に４馬身後ろから。１〜２角で、先頭は依然としてステイウェルで１馬身半のリード。シゲルサンマが２番手，これに3/4馬身差でマイネルイルミナルがひとつ順位を上げてくる。向正面では、１馬身差でサウントターゲット。更に１馬身差でセイウンタキノボリだが、これに外に出したセイウンアワードなどが並んでくる。向正面の中間では、マイネルイルミナルは２番手争い。その後ろは３馬身開いて、セイウンアワードなどが４番手集団で固まっている。３角では、マイネルイルミナルが単独２番手に上がって、先頭ステイウェルに１馬身差。１馬身差でシゲルサンマ，これに１馬身1/4差でサウントターゲット，エリーフェアリーの４番手争い。更に２馬身開いてセイウンアワード。３〜４角の中間では、エリーフェアリーが単独４番手に。外を回るセイウンアワードも手応えはいい。４角では、今度はマイネルイルミナルが先頭に出るが、２番手集団は3/4馬身差〜１馬身半差の圏内で５頭ほどが横に広がっている。中を突くのがエリーフェアリー，大外セイウンアワードは先頭に１馬身半差で直線へ。

　 直線に向くと、先頭マイネルイルミナルは１つ目の障害飛越でまだ半馬身リード。しかしながら、内外からエリーフェアリー，大外セイウンアワードなど、各馬が厳しく追ってくる。最終障害を飛越したところで、先頭マイネルイルミナルにエリーフェアリーが並びかける。半馬身差の大外セイウンアワードが迫る。エリーフェアリーが首ほどリードして先頭で、内のマイネルイルミナルも食い下がっていたが、ここからいちばん伸びたのがセイウンアワードで、ラスト100ｍで先頭争いの２頭を抜き去ると、最後は１馬身3/4差をつけて優勝。マイネルイルミナルは、最後までエリーフェアリーに食らいついていたが、結局首差は最後まで変わらず３着でゴール。見せ場は十分作ったものの、今回も善戦の３着に終わったマイネルイルミナル。それでも、最後までエリーフェアリーに食い下がったあたりは、勝負根性に陰りはない。鞍上の山本康騎手は、「前回と違って折り合って運べましたね。思い通りの形でレースができましたよ。ただ、最後は脚並みが同じになっていましたし、平地時から早目の競馬が合っていた馬なので、そういう形でレースをしていければと思います。」とコメント。いずれは勝利の順番が巡ってくるはずだ。

●前走は２馬身差の３着だったマイネルイルミナル。４走連続掲示板を確保しているものの、あとワンパンチが足りていない。今回も好勝負は必至だが、あとひと押しを利かせたいところ。１番人気は、障害入り緒戦の前走で首差２着と障害適性を見せつけたクロスボウで単勝1.5倍の断然人気。その時の勝ち馬が、オープン特別で好走したように、この馬も能力が高いはず。３走前に準オープンで５着になっているように、平地力も上位のものがある。２番人気は、障害入りしてからの全４戦を２着，３着，２着，８着としているベストサポーターで単勝5.3倍。前走１番人気で崩れたのをどう評価するか。マイネルイルミナルは、単勝5.7倍の３番人気。善戦止まりにそろそろピリオドを打ちたいところだ。

　 レースでは、正面スタンド前から、マイネルイルミナルはまずまずのスタートだが、中団あたりからじっくり構える。ゼンノドライブ，ボブキャットの先頭争い。マイネルイルミナルは、先頭から４馬身差の６番手。ゼンノドライブが単独先頭に立って、１周目４角へ。ここでマイネルイルミナルが一気に２番手に上がる。３角では、先頭ゼンノドライブは２馬身半のリード。マイネルイルミナルが２番手，3/4馬身差でスプレーモゲレイロの馬が続く。このあたり、２番手以下６頭が３馬身圏内で固まる形。人気の大外クロスボウは、マイネルイルミナルから３馬身差の位置だが、向正面からじわっと押し上げる。タスキコースに入って、クロスボウがマイネルイルミナルに１馬身差の３番手争いに。バンケットを越えると、マイネルイルミナルの後ろはまた２馬身1/4差に開いている。順周りに入って、先頭ゼンノドライブは依然として３馬身リード。マイネルイルミナルが２番手，１馬身半差でボブキャット，２馬身差でクロスボウの順。向正面にかかると隊列がバラけてくるが、マイネルイルミナルにクロスボウが並んできて２番手争い。向正面の中間では、クロスボウが一気に先頭に出るが、内ゼンノドライブも譲らず、また盛り返してくる。２馬身半差でマイネルイルミナルは３番手。ゼンノドライブが先手を取り返して１馬身半リードするが、３角ではクロスボウがまた並んでくる。３馬身差でマイネルイルミナル，半馬身差で外ベストサポーターが接近。その後ろは６馬身と差が開いている。３〜４角の中間では、クロスボウが単独先頭で１馬身リード。ゼンノドライブは２番手，１馬身半差でマイネルイルミナルの順。１馬身差でベストサポーターが４番手，その５馬身後ろからニシノリュウセイがすーっと押し上げる。４角では、先頭クロスボウが３馬身のリード。２番手にマイネルイルミナルが上がり、２馬身後ろから４番手に上がってきたニシノリュウセイが差を詰めてくる。その２馬身後ろの大外メリーモナークが６番手争いに押し上げて直線へ。

　 直線に向くと、残り１ハロンの最終障害を飛越して、先頭クロスボウが２馬身リード。２番手マイネルイルミナルの外にニシノリュウセイが並んでくる。１馬身半差で４番手からメリーモナークが急追。ラスト100ｍで、ニシノリュウセイは遅れて、マイネルイルミナルが単独２番手で、先頭クロスボウの内3/4馬身差。半馬身差で中を突いてメリーモナークが伸びて、ラスト30ｍではマイネルイルミナルを抜き去ってしまう。マイネルイルミナルは、優勝争いからは一歩遅れたが、３着確保のゴール。メリーモナークが最後先頭まで迫ったが、クロスボウが首差しのいで１着。マイネルイルミナルは勝ち馬から１馬身1/4差で、ニシノリュウセイは半馬身抑え切った。今回も善戦止まりで終わったマイネルイルミナル。それでも十分見せ場は作ってくれた。鞍上の山本康騎手は、「いい状態はキープしていました。乗り味はいいし、折り合いもつくので、メンバー次第だと思います。」とコメント。勝利の順番が巡ってくるのはもうすぐだ。

●前走の福島戦では首，１馬身差の３着だったマイネルイルミナル。これで５戦連続の掲示板の安定性を発揮しているが、そろそろ障害初勝利に繋げたい。そして、マイネルイルミナルが単勝2.8倍の１番人気に支持される。２番人気は、平地オープン特別を５着，６着として今回が初障害のソルティコメントで単勝4.1倍。平地オープンで決して頭打ちとはなっていない中での障害転向。３番人気は、障害２戦目の前走で２着と大きな変わり身を見せたタイセイエナジーで単勝5.6倍。マイネルイルミナルにとっては、力の比較が難しい面もあるが、初勝利の大きな期待を持って臨める一戦だ。

　 レースでは、各馬揃ったスタートで、マイネルイルミナルはゆっくり中団から。外からスーッとゼンノドライブが先頭に立って、更に大外からニシノファルコンも前へ。マイネルイルミナルは、先頭から５馬身差の中団。逆回りの４角から３角で、ゼンノドライブが先頭で１馬身のリード，ニシノファルコンが２番手。その後ろは３馬身半開いてアツコ，１馬身差でアメリカンゴールド，１馬身差で内タイセイエナジー。その半馬身外にマイネルイルミナルが６番手の態勢。向正面からタスキコースに入って、マイネルイルミナルは先頭まで４馬身差の位置だったが、バンケットを越えたところですっと２番手に上がる。順回り１角〜２角で、先頭ゼンノドライブのリードは２馬身，マイネルイルミナルが２番手。１馬身差でニシノファルコン，首差で内アツコの態勢。向正面では、マイネルイルミナルが少し手綱を引きながら、先頭に3/4馬身差に接近。更に半馬身差まで詰めるが、障害を飛越したところでゼンノドライブがまた１馬身リード。３角では、先頭ゼンノドライブは１馬身半のリード。２番手マイネルイルミナルに、内からアツコが並んでくる。２馬身差でドゥドゥドゥが４番手。３〜４角の中間では、マイネルイルミナルが手応えよく単独２番手で、先頭に半馬身差に接近。外から手綱をしごいて１馬身差に取り付いてくるのがソルティコメント。４角では、今度はマイネルイルミナルが首だけ出て先頭。内ゼンノドライブ，外首差でドゥドゥドゥ。１馬身半差でソルティコメントが４番手で直線へ。

　 直線に向いて、最終障害を飛越してマイネルイルミナルが3/4馬身リード。残り１ハロンでは１馬身リード。２番手争いはゼンノドライブ，ソルティコメントの２頭。ここからソルティコメントが単独２番手で、ラスト100ｍではマイネルイルミナルに3/4馬身差。しかしながら、ここからは差は縮まらず、ゴール前では逆にマイネルイルミナルが少し差を開き加減で、最後は１馬身差をつけて快勝のゴール。障害７戦目で、ついに障害初勝利。善戦止まりにピリオドを打った。鞍上の山本康騎手は、「体重は一緒でしたが、体はシャープでいい感じでしたね。折り合いをつけてスムーズに走れましたし、厩舎スタッフがいい感じに仕上げてくれましたね。勝てて良かったです。」とコメント。オープンに昇級すると厳しくなると思われるが、更なる進化に期待をしたい。

●障害入り７戦目で初勝利を飾ったマイネルイルミナル。しかしながら、オープン初戦の前走は１３馬身差の１０着と、オープンの壁に阻まれた形。今回はオープン２戦目となるだけに、クラス慣れで上位食い込みを狙いたい。１番人気は、近２走オープン戦を２着，７着としているドリームハヤテで単勝3.1倍の。３走，４走前には特別戦でも４着，５着と上位争いをしている。オープンでは１勝を挙げている馬。２番人気は、平地準オープンから障害入りして２着，１着として勝ち上がってきたクロスボウで単勝4.0倍。Ｇ３京成杯でフェイムゲームに１馬身3/4差の４着という実績がある。マイネルイルミナルは、単勝14.9倍の７番人気。オープンで戦えるメドを立てられるのか、試金石となる一戦だ。

　レースでは、マイネルイルミナルはスタートは悪くないが、じっくり後方から。ドリームハヤテが先頭に立って、半馬身差でコージェント，マイネルゼーラフの２頭。マイネルイルミナルは後方２頭目で、先頭まで７馬身差。ここから先行３頭が後続を４馬身と離して行く。逆回り４角〜３角で、ドリームハヤテが先手を取り切って２馬身リード。コージェントが２番手，２馬身半差でマイネルゼーラフ。２馬身半差でクロスボウが４番手。マイネルイルミナルは更に５馬身後ろ。向正面からタスキコースに入ってきて、２番手以下は固まってくる。バンケットで、先頭ドリームハヤテ以下が一団の集団に。一旦先頭に並ばれたドリームハヤテだが、順回りに入ってまた行き脚をつけて１馬身リード。１〜２角でコージェントが２番手，３馬身開いてマジックダイオウ，スズカチャンプの３番手争い。その１馬身半後ろの５番手にマイネルイルミナルが順位を上げてくる。更に半馬身内にテイエムシシーポス。向正面では、先頭，２番手の２頭が後続を４馬身離しているが３番手集団は固まって、マイネルイルミナルもこの中にいる。３角手前では、３番手争いはスズカチャンプ，マイネルイルミナル，マイネルゼーラフの３頭。３角では、２番手コージェントが苦しくなって、先頭ドリームハヤテが２馬身半と開きにかかる。マイネルイルミナルは３番手争いから１馬身半遅れを取って、ここから手が動く。３〜４角の中間では、先頭ドリームハヤテはムチを連打されて苦しいか。４角では、マイネルイルミナルも盛り返してきて、先頭ドリームハヤテのリードはなくなって、マイネルゼーラフが先頭に並んでくる。半馬身差で中スズカチャンプ，3/4馬身差でテイエムシシーポスが手応えよく押し上げる。これに半馬身差で大外マイネルイルミナルは５番手だが、十分勝負になる位置で直線へ。

　直線に向くと、マイネルゼーラフが先頭で１馬身リードは。マイネルイルミナルは、先頭から３馬身差の５番手。ラスト150ｍでは、先頭マイネルゼーラフを巡って、3/4馬身差でドリームハヤテ，テイエムシシーポス，スズカチャンプの３頭の２番手争い。２馬身半遅れたマイネルイルミナルは伸び切れずにここまでか。激戦の中から、ラスト100ｍでテイエムシシーポスが抜ける。マイネルイルミナルは、逃げて甘くなった１番人気ドリームハヤテをゴール前でかわして４着でゴール。最後は３着馬から５馬身差をつけられたが、一瞬だが見せ場は作ってくれた。鞍上の山本康騎手は、「全体的な流れが速くなりそうだったので、後方からゆっくりとレースをしました。そういう形を覚えさせたかったですからね。脚を使っていますし、板につけば楽しみです。」とコメント。オープン２走目で戦えるメドを立てることができたのは収穫。更にパワーアップできれば、オープンでの勝利も不可能ではない。

●障害オープン２戦目の前走で４着と上位に食い込んだマイネルイルミナル。経験を積んで着実に力をつけ、オープンの一般戦なら勝負ができる力を示した。更に上昇気運に乗って、今回は前走以上の競馬を期待。１番人気は、近３走オープン３着，特別戦２着，オープン２着としているダノンゴールドで単勝1.7倍の断然人気。ＪＧ２阪神スプリングＪ５着の重賞実績もあり、障害では３勝を挙げている。２番人気は、近２走オープン戦を１着，５着としているコンコードで単勝4.1倍。マイネルイルミナルは、単勝8.5倍の４番人気。オープン勝ちのある上位人気馬より実績は劣るが、上昇度で好勝負を演じたい。

　レースでは、コージェントが出遅れるが、他は揃ったスタート。マイネルイルミナルはゆっくり後方３頭目。コンコード，マイネルポルトゥス，ダノンゴールドの３頭の先頭争い。逆回り２角〜１角で、ダノンゴールドが先頭に立って、ここからバラけてくる。マイネルイルミナルは差のある６番手。正面スタンド前で、ダノンゴールドが先頭でリードは２馬身半，マイネルポルトゥスが２番手。その後ろは７馬身と開いてコンコード。更に１０馬身差でグリーティングワン，ドクタールキアの２頭がいて、その３馬身後ろにマイネルイルミナル。４角〜３角にかけて、マイネルイルミナルは先頭まで２０馬身の差がついている。逆回りの向正面では、先頭ダノンゴールドは８馬身リードの逃げ。マイネルイルミナルは、先頭からの差は更に広がっている。タスキコースに入ってきて、今度はコンコードがマイネルポルトゥスをかわして２番手に。その後ろは８馬身差で、バンケット障害を越えたところでマイネルイルミナルが４番手に順位を上げてくる。順回りに入って、４番手マイネルイルミナルは先頭まで２０馬身差だが、１角〜２角では１５馬身差に詰めて行く。向正面では、先頭ダノンゴールドのリードは５馬身，２番手にコンコード。１０馬身開いてマイネルポルトゥスだが、マイネルイルミナルがその直後に取り付くと、向正面の中間では３番手はマイネルの２頭が並んでくる。ここから先頭ダノンゴールドは勢いが鈍ってムチが飛ぶと一気に差が縮まって、３角ではコンコードがかわして先頭へ。７馬身開いてマイネルイルミナルが単独３番手だが、ここからグーンと差を詰めて行く。３〜４角の中間では、先頭コンコードは４馬身リード。２番手ダノンゴールドは失速し、マイネルイルミナルが一気に差を詰めて、内からダノンゴールドを一瞬で抜き去って２番手に。４角では、２番手マイネルイルミナルは手を動かしながら、先頭コンコードに２馬身半差まで詰めて行くが、コンコードは余力残しの手応え、２番手から２馬身半差でシゲルヒノクニが３番手で直線へ。

　 直線に向くと、最終障害を飛越したところで、先頭コンコードは３馬身リード。２番手にマイネルイルミナル，２馬身半差でシゲルヒノクニ。その後ろは８馬身開いて態勢は決した。ラスト150ｍで４馬身，ラスト100ｍで６馬身と更に突き放したコンコードは、最後は７馬身差の楽勝。マイネルイルミナルは後続に脅かされることはなく、そのまま２着でゴール。勝ち馬には突き放されてしまったが、オープン３戦目で２着と更に順位を上げてきた。経験が着実に地力強化につながっている。元々平地力はある馬だけに、障害オープンでの勝利にも期待が膨らんだ。鞍上の山本康騎手は、「脚質を替えて終いに脚を使えるようになっています。今日は勝ち馬が強かったけど、安定して走れるようになっているし、いずれチャンスはありますよ。」とコメント。今後の活躍が更に楽しみになった。

●関屋記念４着のマイネルクラリティ，準オープンでも上位争いをしたマイネルイルミナルなどの弟マイネルサーパスのデビュー戦。伏兵評価ではあるが、緒戦から期待をかける。１番人気は、ヴィクトワールピサ産駒のレッドアネモスで単勝1.8倍の断然人気。２番人気は、母に名牝スイープトウショウを持つスイープセレリタスで単勝4.3倍。マイネルサーパスは、単勝18.8倍の６番人気。潜在能力のあるところを見せてほしい。

　レースでは、マイネルサーパスはスタートは五分に出て、好位グループの大外をから少し控えて下げる形。ヴィッテルスバッハが僅かに先頭に出てくるが、シゲルモルガナイトがかわして１馬身のリード。２番手ヴィッテルスバッハ，3/4馬身差で外レッドアネモス，更に3/4馬身差で内スイープセレリタスの順。以下も固まって続いているが、マイネルサーパスは中団大外で、先頭までは５馬身差。３角では、先頭シゲルモルガナイトが１馬身半リードするが、２番手レッドアネモス以下は一団。３〜４角の中間では、中団大外のマイネルサーパスは、先頭まで４馬身差で、４角から気合をつけて追い出しにかかる。シゲルモルガナイトが先頭で、１馬身差でレッドアネモス。3/4馬身内にヴィッテルスバッハ，3/4馬身外ハタノリュクスが４番手。半馬身内にスイープセレリタス。これに１馬身差でマイネルサーパスは６番手で直線へ。

　直線に向くと、レッドアネモスが手応えよく先頭に並んでくる。マイネルサーパスも大外から脚を伸ばしてくる。残り400ｍでは、シゲルモルガナイトも先頭争いで食い下がっているが、レッドアネモスの方が余力は十分。１馬身半差でスイープセレリタスが３番手に。これに半馬身差で大外マイネルサーパスなど。ここからレッドアネモスが抜け出して、残り300ｍでは１馬身1/4差のリード。３番手スイープセレリタスに、マイネルサーパスが並んでくる。３馬身半後ろ中団大外からは、サトノエルドールの追い込み。ここからスイープセレリタス，マイネルサーパスの２番手争いとなるが、マイネルサーパスにムチが入ると、残り１ハロンでムチを嫌ったのか、大きく外へヨレてしまう。その間に、スイープセレリタスに3/4馬身ほど遅れて３番手の態勢。ラスト100ｍでは、レッドアネモスは２馬身抜け出して押し切りを図る。２番手スイープセレリタス，半馬身差でマイネルサーパスが３番手。これに１馬身差まで詰め寄ってきたサトノエルドール，つれてヴィッテルスバッハ。ラスト50ｍから、先頭レッドアネモスのリードも縮まって、マイネルサーパスがラスト30ｍでスイープセレリタスに競り勝つと、最後はレッドアネモスにも半馬身差まで詰め寄って２着でゴール。サトノエルドールは、マイネルサーパスと同じような脚色で3/4馬身差まで。２着と健闘を見せたマイネルサーパスだが、着差を考えると、直線に外に大きくヨレてしまったのが悔やまれる。真っすぐに走れていれば、相当に際どい勝負になっていたはず。鞍上の柴田大騎手は、「若さがありますね。道中はハミを取りませんでしたし、直線では戸惑ってフラフラする場面がありました。ちょっともったいなかったです。勝ち馬にはうまく乗られてしましましが、能力的にはヒケを取らないと思います。」とコメント。今回は幼さを見せたが、それだけに上昇の余地も大きいはず。今後の活躍が楽しみになった。

●前走の新馬デビュー戦では、直線ヨレて半馬身差の２着と惜敗したマイネルサーパス。幼さを見せながらあの走りができるなら、今回は当然初勝利を狙える。１番人気は、新馬デビュー戦は２馬身半差の２着だったシークレットランで単勝2.4倍。勝ち馬のレベルが高かっただけに、この馬の走りも評価は高い。マイネルサーパスは、単勝2.7倍の２番人気。３番人気は、全２戦を６着，３着としているマロリンで単勝8.0倍。初勝利の大きなチャンスだ。