２０１７年（平成２９年）

２０１８年（平成３０年）

●秋華賞３着馬シアリアスバイオの孫アンダンテバイオ。ここまで３戦したが、７着，１０着，１１着。いずれも1.6秒以上の着差があって、まったく見せ場を作れていない。レース経験も積んで来ただけに、そろそろ変わり身を期待。１番人気は、近７戦すべて４着以内で２着が５回というイセベルで単勝1.8倍。前走でも首差２着の惜敗だった。２番人気は、ダートに替わってからの４戦で３着３回のジェンティエスで単勝5.4倍。アンダンテバイオは、単勝79.9倍の１１番人気。勝つまでは難しいかもしれないが、今後に繋がる走りを見せてほしい。

　レースでは、アンダンテバイオはスタートは五分に出て、中位から徐々に後方に。じわっとアンティオキアが出てくるが、内ジャンティエスもほぼ並ぶ態勢。3/4馬身差でスイングアリュールが３番手で、以下も差なくまったくの一団。集団のいちばん後ろのアンダンテバイオも、先頭から５馬身しか離れていない。それでも３角では、先頭から７馬身差と少し開いてくるが、このあたりから外から進出しようという構えを見せる。３〜４角の中間では、ジャンティエスが先頭，3/4馬身差の２番手アンティオキアは手応えが苦しくなって、外からスイングアリュールがかわしにかかる。４角でも馬群は一団のまま、アンダンテバイオは後方４頭目の大外に持ち出して、先頭からは５馬身差で直線のラストスパートへ。

　直線に向くと、ジャンティエスが先頭，3/4馬身差でこれを追うスイングアリュール。残り400ｍで、アンダンテバイオは一頭かわすが、先頭からは７馬身近くにまた差が開いている。１，２番手の２頭の間を突いてイセベルが伸びてくる。後方からアンダンテバイオも、ようやく末脚を繰り出してくる。イセベルが２番手に上がるが、残り１ハロンでも先頭ジャンティエスは3/4馬身リードで渋太く粘る。２番手にイセベル，１馬身差でスイングアリュールが３番手で、その後ろは３馬身と開いている。セレブレイトダンスが４番手で、１馬身差でトラソニャータ，これに首差で外アンダンテバイオ。更に１馬身差で大外マクルードの追い込み。アンダンテバイオは、トラソニャータに突き放され、マクルードにもかわされてしまったが、それでもラスト50ｍでセレブレイトダンスに並びかけ６番手争い。ここから１馬身半前にいるスイングアリュールにも迫ったが、アンダンテバイオはスイングアリュールとの際どい写真判定の態勢に持ち込んだところがゴール。アンダンテバイオは、セレブレイトダンスには首差競り勝っていたが、スイングアリュールとの争いには鼻差及ばず６着。それでも、これまでの３戦とは明らかに違う走りを見せてくれたのは確か。浮上のきっかけを掴んだだけに、更に前進して行きたい。

●デビュー４戦目の前走で６着だったアンダンテバイオ。あと鼻差で初めての掲示板だっただけに惜しかったが、レースぶりに進境が見られたことが何より。今回は更に前進が期待される。１番人気は、前々走２着と好走しているイディナロークで単勝4.0倍。前走１番人気で８着に終わっており、今回は巻き返しを期す。２番人気は、近３戦を４着，３着，１１着としているパチュリーで単勝4.8倍。この馬も、前走からの巻き返しに意気込む。アンダンテバイオは、単勝13.5倍の６番人気。実力伯仲の混戦ムードで、アンダンテバイオにもつけ入るチャンスはありそうだ。

　レースでは、アンダンテバイオは外へヨレる感じでゲートを出るが、出遅れというほどではなく中団から。チクタクボンボンが先頭に立って、3/4馬身差で内カシマフウリン。１馬身差でブリーズドゥースが３番手。これに１馬身差でイディナローク，イーリスの２頭。１馬身差でフジノシャインが６番手。アンダンテバイオはその２馬身後ろで、中団グループの一角。１〜２角で、ブリーズドゥースが２番手に上がるが、以下も差なく一団の展開。向正面にかかって、アンダンテバイオは後方で、固まった集団のいちばん後ろ、先頭までは６馬身差。向正面の中間では、後方にいたジェイケイバスターがマクリをかける。３角では、アンダンテバイオは依然後方で、このあたりでは懸命に手綱をしごいている。３〜４角の中間では、先頭はチクタクボンボン，ブリーズドゥース，イーリスの３頭が並んでくる。１馬身差でイディナロークは４番手だが、これにフジノシャインが並んでくる。アンダンテバイオは、先頭から７〜８馬身差があって、手応えからは厳しいか。４角では、アンダンテバイオは９番手で、先頭までは６馬身差。ブリーズドゥースが先頭，半馬身差でイーリス，3/4馬身差で大外フジノシャインが３番手。イディナロークは手応えが怪しく直線へ。

　直線に向くと、先頭争いは３頭が並んでくる。１馬身半馬身差でイディナロークが４番手。２馬身開いて５番手争いが３頭固まるが、この中でペイシャデザイヤー，パチュリーの伸び脚がいい。これを２馬身差で大外から追ってくるアンダンテバイオ。ブリーズドゥース，フジノシャインの先頭争いとなるが、ラスト120ｍからフジノシャインが突き抜けて最後は完勝。ラスト100ｍで、ペイシャデザイヤー，パチュリーの２頭がイディナロークをかわすが、この差し馬２頭を追って伸びてくるアンダンテバイオ。アンダンテバイオは、ゴール前でイディナロークなどをかわして、最後の最後で５番手パチュリーに並びかけたところがゴール。際どい写真判定にまで持ち込んだが、惜しくも鼻差届かず６着。前走とまったく同じで、今回も鼻差で掲示板に手が届かず。鞍上の川又騎手は、「周りを気にしていて、集中力に欠いていました。もう少し前で競馬をしてみても良かったですね。」とコメント。それでも、着実に成長は窺える。次走は、初めての掲示板はもちろん、メンバー次第では勝ち負けの競馬さえ期待できそうだ。

●惜しいところで２戦連続６着と掲示板を逃しているアンダンテバイオ。今度こそ入着を決めたいのはもちろんのこと、もっと上位に肉薄する競馬を見せてほしい。１番人気は、ダートに替わってからの２戦を４着，３着としているヴォレダンルシエルで単勝2.7倍。２番人気は、近２戦を連続２着としているリンガスビンゴで単勝3.0倍。デビューから全５戦掲示板を外しておらず、前走も首差の惜敗だった。アンダンテバイオは、単勝63.2倍の１０番人気。まだまだ人気は低いが、オッズの差ほどの実力差はなくなっているはずだ。

　レースでは、アンダンテバイオはスタートは五分に決めて、無理することなく中団につける。すっとヴォレダンルシエルが先頭，１馬身差でデルマキルシュが２番手だが、これに首差でアポロプリンセスなど、２番手集団は一団。アンダンテバイオは、先頭から３馬身半差の位置。１〜２角で、先頭はヴォレダンルシエル，半馬身差でデルマキルシュ，首差でアポロプリンセス，更に首差で大外サーフィンサファリの順。向正面では、アンダンテバイオは中団で、先頭まで４馬身差。馬順にほとんど動きのない流れとなっている。３角でもほとんど隊列は変わらないが、３〜４角の中間では、アンダンテバイオは手が動き始める。４角では、先頭ヴォレダンルシエルのリードは１馬身。外サーフィンサファリが２番手に上がり、首差で中アポロプリンセス。２馬身1/4差開いてリンガスビンゴが４番手。２馬身1/4差開いてサムシングクールなど２頭。これに半馬身差で中アンダンテバイオは７番手で直線へ。

　直線に向くと、アンダンテバイオはサムシングクールなどをかわしてすぐに５番手に上がるが、外サムシングクールがすぐさま盛り返してきて、この２頭の５番手争いの叩き合いに。残り１ハロンで、先頭ヴォレダンルシエルに首差まで詰め寄るサーフィンサファリ。１馬身差でアポロプリンセス，リンガスビンゴの２頭が追ってくる。アンダンテバイオはその３馬身半後ろの５番手争いで、優勝争いからは遅れている。ラスト100ｍで、先頭はヴォレダンルシエル，サーフィンサファリ，リンガスビンゴんの３頭が並んだが、ここからはリンガスビンゴ，サーフィンサファリの２頭の争いに。アンダンテバイオは、ラスト120ｍでサムシングクールより首差近く前に出るが、それでもサムシングクールは執拗に食い下がる。この５着争いは最後まで競り合いが続いたが、アンダンテバイオが鼻差競り勝って５着でゴール。ここ２戦惜しいところで６着が続いていたが、今度こそ初めての掲示板圏内食い込みを果たした。逃げた４着ヴォルダンルシエルとの差も最後は１馬身3/4差まで詰めており、これまでで一番内容の濃い走りだった。鞍上の嘉藤騎手は、「スタートは上手でしたし、いい位置が取れて終いも伸びてくれました。今日は内容が良かったです。こういう競馬を続けていれば、チャンスがありそうです。」とコメント。少しずつではあるが、一戦毎に確かな成長が感じられる。このまま成長を続けられれば、勝ち負けの競馬に持ち込めるようになるかもしれない。

●前走で５着と初めての掲示板を確保したアンダンテバイオ。ここのところ安定した走りを見せており、一戦ごとに着実に成長。今度は掲示板以上はもちろん、勝ち負けの競馬まで期待したい。１番人気は、近２戦を連続３着としているジェイエルノブレスで単勝2.3倍。全７戦で入着５回の安定性を誇る。２番人気は、前走３着のジュノーフォンテンで単勝4.1倍。全４戦で３着２回。アンダンテバイオは、単勝10.4倍の５番人気。上位との実力差はもうそれほどないはず。チャンスはもう残り少ないだけに、何としても初勝利を成し遂げたい。

　レースでは、アンダンテバイオは好スタートを決めて、手綱を押しながら先頭争いに。しかしながら、内からジュノーフォンテンが譲らない構えで、ムチを飛ばしながら先頭へ。半馬身差でアンダンテバイオ，ノーブルプロスパー，ゴールデンライラの２番手争い。その１馬身半後ろの５番手争いにジェイエルノブレス。１〜２角でようやく隊列が固まって、先頭ジュノーフォンテンが１馬身1/4差のリード。ノーブルプロスパーが２番手，１馬身差でアンダンテバイオが続く。向正面に入ってしばらくすると、ゴールデンライラ，ロマンスガッサンの２頭が、外からアンダンテバイオなどをかわして押し上げる。アンダンテバイオの外にジェイエルノブレスが並んでくるが、３角手前でアンダンテバイオが内々をすーっと押し上げる。３角では、先頭は依然としてジュノーフォンテンだが、ゴールデンライラが半馬身差まで詰めてくる。３〜４角の中間では、大外からロマンスガッサンも先頭２頭に接近。アンダンテバイオは、内々を通って先頭まで１馬身半差で、手応えも悪くない。４角では、人気の大ジェイエルノブレスが、アンダンテバイオと同じ位置の大外だが、ムチが飛んでいる。アンダンテバイオは内々を追して余力もあるが、前の馬たちを捌いて出てこられるのか。

　直線に向くと、アンダンテバイオの前には先行馬が横に並んでいて、先行３頭の外に持ち出そうとする。しかしながら、外側のジェイエルノブレスと馬体を併せる形になると、ジェイエルノブレスに内に押し込められて外に持ち出せず。結局、前が壁になって抑えざるを得ず、ジェイエルノブレスの後ろに下げる形に。残り１ハロンでは、先頭ロマンスガッサンをジェイエルノブレスがかわしにかかる。２馬身開いて３番手ゴールデンライラをかわしてアンダンテバイオが３番手に上がるが、ジェイエルノブレスには勢いがついており、ラスト150ｍではアンダンテバイオは先頭から３馬身近い差に。ここから巻き返すには差が開いてしまっている。しかしながら、ラスト100ｍからはアンダンテバイオも加速がついて伸び脚を繰り出し、ラスト50ｍでは先頭まで１馬身3/4差で。２番手ロマンスガッサンとは半馬身差で、これは完全に捉える勢い。アンダンテバイオは思った以上の末脚を繰り出し、ロマンスガッサンをあっさり抜き去ると、最後はジェイエルノブレスに3/4馬身差まで詰め寄って２着でゴール。最後の伸び脚はジェイエルノブレスより断然まさっていて、もう少し距離があれば差し切っていたかも。返す返す、直線勝ち馬に内に押し込められたのが無念。田辺裕騎手にしてやられた感。鞍上の石川騎手は、「道中は砂を被らないところで、いい感じで進めました。ただ、直線で勝ち馬に張られたのが痛かったです。よく伸びているだけに、もったいないレースになりました。」とコメント。今回の２着は、これまでの最高着順ではあったが無念のレース

●前走は実に惜しい競馬で２着だったアンダンテバイオ。スムーズだったら勝っていたのではという内容だった。それだけに今回こそは勝利を狙うが、ファンも期待をして単勝3.6倍の１番人気の支持を得る。２番人気は、前走は１１番人気で４着と好走したパリスハートで単勝5.8倍。３番人気は、デビュー２戦目の前走で変わり身を見せて３着だったレイナグラシアで単勝5.9倍。もう少しで２着もあった競馬だった。確固たる中心馬のいない混戦模様の一戦。アンダンテバイオには、チャンスももう僅かしかないだけに、ぜひこの混戦を断ち切ってほしい。

　レースでは、アンダンテバイオはスタートは五分に出て、手綱を押して先頭争い。しかしながら、外ブリーズドゥースが押しながら先頭に立って、更に大外ベルコルポもアンダンテバイオをかわして２番手に。１〜２角で、ブリーズドゥースが先頭で、１馬身1/4差でベルコルポが２番手。半馬身内にアンダンテバイオで向正面へ。3/4馬身差で外サンズエーガル，首差で大外藤田菜騎手のロマンスガッサン。向正面の中間でも動きはなく、固まった展開のまま流れている。３角では、先頭は依然としてブリーズドゥースで3/4馬身リードだが、サンズエーガルが２番手並んでくる。３〜４角の中間では、ベルコルポが３番手に下がり、これに内々アンダンテバイオが並んでくる。４角にかかるとアンダンテバイオも手が動き始め、前走よりも手応えは良くない感じ。先頭ブリーズドゥースが１馬身半とまた少しリードを開き、サンズエーガルが２番手、半馬身差で内々アンダンテバイオ，外にロマンスガッサンが押し上げて、その後ろは２馬身半と開いて直線へ。

　直線に向くと、残り250ｍで先頭ブリーズドゥースは２馬身リードで逃げ込みを図る。アンダンテバイオ，サンズエーガル，ロマンスガッサンの３頭が２番手争いで並んでくるが、残り１ハロンではロマンスガッサンが２番手に抜け出してきて、アンダンテバイオは半馬身遅れる。ラスト100ｍでは、アンダンテバイオはロマンスガッサンに１馬身半突き放され、更に外からイディナロークにもかわされて４番手に。アンダンテバイオは伸びを欠いてしまい、ゴール前でパリスハートにも半馬身かわされて５着でゴール。サンズエーガルに半馬身競り勝つのがやっとだった。優勝争いは、ゴール前でロマンスガッサンが差し切って、藤田菜騎手の勝利にスタンドから拍手が送られた。初勝利のチャンスをモノにできなかったアンダンテバイオ。前走の競馬から比べると、物足りない内容。残念というしかない。鞍上の石川騎手は、「前回と同じ競馬をしましたが、その前回で負かした相手に先着されてしまいました。この馬には少し時計が速かったのかもしれません。」とコメント。まだチャンスがあるならば、そこに最後の期待をかけたいのだが…。

●　叔父にＧ３小倉記念３着馬のケンブリッジレーザを持つウィンターリリーのデビュー戦。そこそこの人気を集め、デビュー戦から期待は高まる。１番人気は、タートルボウル産駒のスリーヴリーグで単勝3.9倍。２番人気は、個性派の脱逃げ馬シルポートの産駒ハクサンストロングで単勝4.0倍。ウィンターリリーは、単勝7.0倍の３番人気。人気の割れた混戦ムードの一戦。それだけに、ウィンターリリーにも勝利のチャンスは十分だ。

　レースでは、ウィンターリリーはスタートで２馬身出遅れ。この不利はとても痛い。手綱を押して行くが中団後ろの位置。内からすーっとアイファーブリッジが先頭，１馬身差でハクサンストロング，これに首差でナムラピアス，エコロトムの２頭。ここからハクサンストロングが、先頭まで首差の２番手に。ウィンターリリーは中団後ろで、先頭までは７馬身差。同じ位置の内目には人気のスリーヴリーグ。３角手前では、先頭は依然としてアイファーブリッジ，半馬身差でハクサンストロングで、この２頭でスーッとリードを開いて行く。３馬身開いてエコロトム。ウィンターリリーは更に６馬身後ろだが、３角にかかるとじわっと進出を開始。３〜４角の中間では、先行２頭が後続を５馬身引き離している。４角では、３番手にエコロトム，１馬身3/4差でナムラピアス，ファーマパールの２頭。１馬身1/4差でスリーヴリーグは手応良く６番手。先行２頭のリードは３馬身まで縮まるが、ウィンターリリーは中団後ろのまま、先頭まで７馬身差の大外から追い出し態勢に入って直線へ。

　直線に向くと、アイファーブリッジ，ハクサンストロングの先頭争い。２馬身半差でナムラピアス，エコロトムが３番手争い。更に３馬身開いて、ファーマパールをかわしてスリーヴリーグが５番手に上がってくる。ウィンターリリーは、その２馬身後ろの大外だが、残り250ｍから素晴らしい伸び脚を繰り出してくる。ラスト150ｍでは、ウィンターリリーがスリーヴリーグをあっさり抜き去って、更に前に襲いかかる。先頭までは４馬身差。先行２頭の脚色がやや鈍ったところを、ラスト100ｍを切ったところで外エコロトムがかわして先頭。しかしながら、ウィンターリリーは既にその１馬身外側まで来ている。エコロトムの差し脚も力強かったが、ラスト50ｍでウィンターリリーをそれを有無も言わせずに大外から差し切ると、あっと言う間に１馬身1/4差抜けて、鮮やかな勝利のゴール。一頭だけ他馬とは伸び脚が違っており、なかなかインパクトのある勝ちっぷり。時計はあまり速くなかったが、今後に期待が膨らんだ。鞍上の木幡巧騎手は、「レース前は出して行ってポジションを取ってと思っていましたが、そういう形ではなかったですね。それでこれだけの脚を使ってくれました。どこからでもレースができそうな馬ですし、引き出しができました。距離は1200ｍで良さそうです。」とコメント。これから相手が強くなってどんな走りを見せてくれるのか、大いに楽しみにしたい。

●前走の新潟の新馬戦では鮮やかな追い込み勝利を決めたウィンターリリー。時計こそ確かに平凡だったが、一頭だけ次元の違う末脚を発揮したあたりは、底を見せていないと言っていいはず。今回はオープン特別でその実力を試す。１番人気は、新馬戦は４着だったが、２戦目で４馬身差の楽勝を演じたホウオウカトリーヌで単勝1.8倍。２番人気は、新馬戦は首差２着だったが、２戦目では１馬身半差快勝したディアンドルで単勝2.9倍。新馬デビュー戦では、Ｇ３小倉２歳Ｓを制することになるファンタジストと接戦を演じており、その比較からも能力は相当に高いはず。ウィンターリリーは、単勝22.1倍の５番人気。ここでも十分勝ち負けになると踏んでの出走。人気以上の走りを見せてくれるに違いない。

　レースでは、ウィンターリリーはスタートで２馬身出遅れ。前走もスタートが良くなかったが、今回もいきなりビハインドを背負い、最後方からの競馬。内から押してディアンドルが先頭。3/4馬身差でヨークテソーロ，タムロドリーム，クロムウェルの２番手争い。３角手前では、ホウオウカトリーヌは先頭から６馬身差の後方２，３頭目。１馬身半後ろでウィンターリリーが最後方。３角でも、先頭ディアンドルは3/4馬身差で無理なく逃げている。３角過ぎでは、大外からホウオウカトリーヌが進出開始。ウィンターリリーもこのああたりから仕掛けて行く。３〜４角の中間では、先頭ディアンドルのリードは半馬身にじわっと縮まるが、ディアンドルはまったく慌てる様子はない。タムロドリームが終始２番手。馬群が詰まってきて、最後方の争いのキタイ，ウィンターリリーの２頭も、先頭まで４馬身とそれほど差はない。４角では、先頭ディアンドルがまたペースを上げて、リードを１馬身1/4差に開く。２番手争いの大外に並んできたのがホウオウカトリーヌ。その１馬身半後ろで外に持ち出したキタイ，ウィンターリリーの２頭。まったくの一団で、どの馬にもチャンスがある形で直線へ。

　直線に向くと、先頭ディアンドルが１馬身半リードで、逃げ脚は鈍らない。単独２番手に上がって来たホウオウカトリーヌ。１馬身半後ろの大外からキタイ，ウィンターリリーの２頭が併せ馬の形で追って来る。残り１ハロンでは、先頭ディアンドルは１馬身3/4差リードで押し切り態勢に。２番手ホウオウカトリーヌに、3/4馬身差まで詰めてきたキタイ。ウィンターリリーはキタイに頭差遅れているが、競り合いは続いている。ラスト150ｍでは、ウィンターリリーはキタイに首ほど遅れるが、ここからまた盛り返そうとする。ゴール前は、２着争いは３頭が際どい態勢になってきて、ウィンターリリーも最後まで渋太い勝負根性を見せたが、ホウオウカトリーヌに頭，頭差で４着でゴール。優勝したディアンドルは２馬身半差の楽勝だったが、ウィンターリリーも出遅れがなければ、２着はもちろん、勝ち馬と差もかなり詰めていたはず。現状では、ゲートの出が大きな課題か。鞍上の木幡巧騎手は、「スタートが思ったより出てくれなかったので、後ろからの競馬になりました。ビュンと切れる脚はないんですが、長く脚を使えるので、広いコースの方が向いています。」とコメント。前走の平凡な時計から、その実力に懐疑的な見方も多かったが、これでこの馬の実力は証明されたはず。将来の活躍が大いに楽しみになった。

●オープンのカンナＳでは２着から接戦の４着だったウィンターリリー。新馬戦の勝ち時計は物足りなかったが、前走出遅れながらの健闘は、この馬の潜在能力を示すもの。スタートが下手なのは大きな課題だが、今回は500万クラスでの戦いであれば当然優勝候補となる。１番人気は、デビュー２戦目の未勝利戦を１番人気で快勝してきたミトロジーで単勝1.9倍。２番人気は、Ｇ３函館２歳Ｓ５着，オープンのすずらん賞３着のトーセンオパールで単勝4.6倍。ウィンターリリーは、単勝5.7倍の４番人気。それでも、実力は１，２番人気馬以上とさえ思えるほど。実力拮抗のメンバー構成。あとはスタートを決められるかどうかだけだ。　　

　レースでは、ウィンターリリーは初めてスタートを五分に出る。すぐに頭を上げて二の脚は速くなかったが、それでも４番手につける今までにない形に。これは想定以上のいい位置取り。イチゴミルフィーユが先頭で3/4馬身リード。トーセンオパール，タイドオブハピネスの２番手争いだが、こ、の２頭の間をスーッと押し上げて行ったのがウィンターリリーで、先頭イチゴミルフィーユの外まで並んで行く。この２頭で３番手以下を１馬身3/4差離して行く。人気のミトロジーは、先頭から３馬身ちょっとの差の４番手争い。３角では、ウィンターリリーが単独先頭に立って、３〜４角の中間では１馬身リード。今度はタイドオブハピネスが僅かに２番手か。内に差なくイチゴミルフィーユ。ゆったりとした流れで、ウィンターリリーも手綱を抑えながらの逃げ。４角にかかると、ウィンターリリーの外にタイドオブハピネスが並んでくるが、ウィンターリリーはまだ持ったまま。3/4馬身差で外ファストアズエバーが３番手に。これに半馬身差で内イチゴミルフィーユ，中ミトロジーの態勢。直線の瞬発力勝負の形になって直線へ。

　直線に向くと、外のタイドオブハピネスの方がじわっと出るが、ウィンターリリーも追い出しにかかって徐々にエンジン出力を上げる。残り400ｍからウィンターリリーがすぐに差し返してまた先頭に出ると、ここからすっと突き放して、残り300ｍでは１馬身1/4差のリード。そして残り１ハロンでは２馬身とリードを更に開いて、完全に抜け出す。２番手争いは５頭ほどが固まっての混戦模様だったが、その中からイチゴミルフィーユ，ミトロジーの２頭が抜けてきて、前を追って来る。しかしながら、ラスト150ｍでもウィンターリリーが２馬身1/4差リードで逃げ切り濃厚の態勢に。それでもラスト100ｍから２番手争いの２頭が差を詰めてきて、ラスト50ｍでは１馬身1/4差のリードに。それでももう態勢は決した感じで、ウィンターリリーは最後半馬身差まで詰められたが、そのまま逃げ切り勝ちのゴール。まだ目一杯ではなかった印象で、強い内容だった。ゲート難に大きな進境が見られたのは収穫。鞍上の北村友騎手は、「テンションがすごく高かったですね。それでもゲートの出が良かったですし、少頭数ということもあって、自然とハナを切る形になりました。先頭に立つと気持ちがフワッと抜けたことも良かったですね。追ってからの反応が良かったです。反応と終いの良さをいつも生かすことができるよう、精神面が備わってくるといいですね。」とコメント。この後はＧ１挑戦など無理はせず、じっくり力をつけていく。是非とも３歳Ｇ１路線に乗って行きたい。

●前走オープンの橘Ｓでは３着と実力を見せたエントリーチケット。1400ｍで折り合いを欠いていただけに、今回の距離短縮はプラスになるかもしれない。そして、エントリーチケットが単勝3.9倍の１番人気に支持される。２番人気は、紅梅Ｓ８着，橘Ｓ５着とここ２戦はエントリーチケットに負けているアリンナで単勝6.3倍。特にテンのスピードは断然のものがあり、1200ｍでそのスピードが存分に生かされるだけに、ここ２戦負かしていると言っても油断できない相手。３番人気は、近２走は交流Ｇ２兵庫ジュニアグランプリ５着，Ｇ２フィリーズレビューは５番人気で１５着のアズールムーンで単勝8.3倍。500万クラスのりんどう賞の勝ち馬。しかしながら、実力・実績ともエントリーチケットが上位。今度こそ勝利を決めたいところだ。

　レースでは、エントリーチケットは僅かにスタートが遅れた感じだったが、二の脚がつかず後方２頭目。手綱をしごいて後方集団の中に入って行く。前の方は競り合いにはならず、インからアリンナが持ったままでじわっと先頭に出てくる。１馬身差でレジーナフォルテ，その後ろは１馬身差でショウナンマッシブ，スーパーモリオンの２頭。更に１馬身差でスビールアスール，アズールムーンの５番手争い。エントリーチケットは更に５馬身後ろからで、戦前の予想とは違った位置取り。３角でも、エントリーチケットは後方４，５頭目で、先頭までは９馬身差があるが、この位置でじっと脚をタメている。３〜４角の中間でも、先頭アリンナは１馬身リードでマイペースの逃げ。ここまで隊列にほとんど変動はないが、このあたりからエントリーチケットが少し差を詰めにかかる。４角でも、先頭アリンナは手応え十分のまま１馬身半のリード。２番手はショウナンマッシブ，レジーナフォルテの２頭で、その後ろは２馬身半開いてスビールアスール。更に２馬身半開いた５番手集団に、大外から押し上げたエントリーチケットが並びかけて直線へ。

　 直線に向くと、エントリーチケットが一杯に追い出されてスパートをかけるが、先頭までは６〜７馬身とかなり差がある。手応え十分のまま逃げられたアリンナは、後続を突き放しにかかって、残り１ハロンでは２馬身半のリード。ショウナンマッシブが２番手，１馬身半遅れてレジーナフォルテだが、その２馬身半後ろから４番手にまで押し上げたエントリーチケットが急追。ラスト120ｍでレジーナフォルテを一気に抜き去るが、ラスト100ｍではまだ先頭まで５馬身差。エントリーチケットは、ここから２馬身半前にいるショウナンマッシブに襲いかかり、ラスト30ｍで並ぶ間もなく抜き去って２番手に上がる。しかしながら、アリンナは既に３馬身も抜け出しており、エントリーチケットも差を詰めたが２馬身差の２着でゴール。意に反して後方からのレースとなり、あの位置取りでこの流れでは、これが精一杯だったか。一頭だけ爆発的な脚を使っていたように、強い競馬はしてくれただけに、スタートが決まっていればと悔やまれる内容。鞍上の松若騎手は、「スタートダッシュがつかなくて、後ろからになったんですが、最後はいい脚を使ってくれましたからね。1200ｍという条件がピッタリなんだと思います。」とコメント。このところスタートが決まりにくくなっているのが課題だが、オープン特別を勝てる力は証明された。

●前走オープン特別の葵Ｓでは出遅れて２着と苦杯を喫したエントリーチケット。このところはスタートが決められず、この馬の形とはまったく違う競馬を強いられている。それでも上位争いをしているあたりはこの馬の地力と言っていいが、今回はこの馬のパターンの競馬に持ち込んで、確実に勝利を決めたい。今回は古馬相手の1000万クラスの競馬。１番人気は、Ｇ３サウジアラビアロイヤルＣで１番人気で３着の実績を持つ３歳馬クライムメジャーで単勝1.9倍。Ｇ２ニュージーランドトロフィーで１番人気で８着に敗れてＧ１戦線に乗れなかったが、素質は高く評価されている。エントリーチケットは、単勝4.1倍の２番人気。３番人気は、近４走特別戦２着，３着、平場戦４着，１着としているドルチャーリオで単勝4.7倍。勝ってなお同条件という点で侮れない。それでも、今回こそエントリーチケットの本当の実力を見せつけてほしいところだ。

　レースでは、エントリーチケットは今回はスタートを五分に決める。この時点で勝ち負けの競馬を確信する。広がった先頭争いから、内ブラッククローバーが僅かに先頭。外首差でエントリーチケットが２番手にじわっと出てくる。3/4馬身差でラッフォルツァート，その後ろは１馬身差で人気のクライムメジャーなどが固まって追走。徐々に掛かりだしたエントリーチケットは、向正面の中間では口を割るような感じ。和田騎手が手綱を引いて抑えているが、ロスは少なくない。３角では、先頭に１馬身差の２番手だが、ここでも口を割っている。３番手ブラッククローバーが、１馬身半差から１馬身にじわっと詰めてくる。３〜４角の中間では、外からクライムメジャーが４番手まで上がってきて、先頭まで２馬身差で完全に射程圏内。４角でも各馬抑えたままで、一団の形に。先頭ブラッククローバーに、外からエントリーチケットが並びかける。半馬身差で外クライムメジャーが３番手に。これに頭差で間ラッフォルツァートの態勢で直線へ。

　 直線に向くと、エントリーチケットが単独先頭に出てくるが、どの馬も脚は残しているだけに、内首差でブラッククローバーが食い下がる。3/4馬身差でクライムメジャーが３番手。残り１ハロンでも前の馬たちは同じような脚色で態勢は変わらないが、ここからエントリーチケットが徐々にリードを開きにかかって、ラスト100ｍでは１馬身リードし、ほぼ勝利を掌中に収める。２番手ブラッククローバーを、首差で外からかわしにかかるクライムメジャー。しかしながら、エントリーチケットの脚は鈍ることなく、逆に１馬身半と更に差を開いて完勝の態勢。クライムメジャーが２番手に上がったが、エントリーチケットはラスト30ｍは少し緩める余裕を残しながら、１馬身1/4差の快勝のゴール。素質馬として注目されていたクライムメジャーに完勝して、改めて潜在能力の高さを示して見せた。鞍上の和田騎手は、「抑え切れないぐらいの行きっぷり。３角では落ち着いてくれて、その分ラスト弾けた。まだ素直過ぎるが、素軽さがあり、上に行ってもやれる能力を持っている馬。」とコメント。折り合いを欠く面はまったく解消されておらず、次もスタートが決まるか分からない不安定さもあるものの、実力を出し切れれば、準オープンでも十分勝ち負け可能に違いない。

●古馬初対戦の舞子特別を快勝して準オープンにまで昇級してきたエントリーチケット。一歩一歩着実に階段を登っているが、もちろんここでもいきなりの好勝負を期待。１番人気は、準オープン昇級後は２着，２着，１着としているビップライブリーで単勝3.0倍。勝ってなお同条件のレース。今回で６回連続の１番人気。２番人気は、Ｇ３京都牝馬Ｓで桜花賞馬レッツゴードンキに２馬身差の４着となった後、準オープンを順当に勝利したエスティタートで単勝3.6倍。この馬も勝って同条件。レッツゴードンキは京都牝馬Ｓのすぐ後にＧ１高松宮記念で２着となっていることから計算しても、重賞級の力を持っている。エントリーチケットは、単勝7.7倍の４番人気。斤量をうまく生かせれば、実力馬たちをまとめて打ち負かしても驚けない。

　レースでは、エントリーチケットはスタートで痛恨の１馬身出遅れ。二の脚もあまりつかず、一頭２馬身置かれて、１馬身出遅れ以上の大きなビハインド。外からタガノアガザルが出てきて、3/4馬身差でエスティタート，コウエイタケルの２番手争い。これに3/4馬身差でロードセレリティ，オースミチャドの２頭。固まった展開の中、エントリーチケットは先頭から５馬身差の後方２頭目。タガノアガザルが１馬身リードで先頭だが、２番手以下はまったくの一団。３角では、エントリーチケットは最後方の争い３頭の大外だが、ここから後方２頭目に。３〜４角の中間でも態勢は変わらない。まったくの団子状態でレースが流れているため、エントリーチケットは外々を回るしかない厳しい展開。４角では、終始大外を回ったエントリーチケットは、先頭から５〜６馬身差の最後方。先頭タガノアガザルに、内首差でエスティタート。半馬身差で大外コウエイタケル，これに差なく内々に入ったビップライブリー。先頭から４馬身差の後方２頭目にツィンクルソード，これに１馬身1/4差で大外エントリーチケットが最後方からラストスパートをかけて直線へ。

　 直線に向くと、ビップライブリー，エスティタート，コウエイタケルの３頭の先頭争いで残り250ｍ。この争いからコウエイタケルがじわじわ出てくる。エントリーチケットは、先頭から４〜５馬身差の後方２頭目にで、3/4馬身前にいるツィンクルソードとともに追い込んでくる。エントリーチケットは伸び脚を見せて、ラスト150ｍではツィンクルソードに一旦並ぶが、ラスト100ｍからはツィンクルソードに伸び負けて遅れを取る。コウエイタケルが僅かに先頭だが、内から際どくビップライブリーも伸びて、以下もほとんど差なく大混戦。切れ味でまさったのは外のツィンクルソードで、ゴール寸前でコウエイタケル以下を鼻差捉えて優勝。エントリーチケットは、ツィンクルソードには遅れたものの、最後はツィンクルソードに半馬身差で同じような脚で急追したが５着でゴール。勝ち馬からは鼻，頭，首，頭差の僅差だった。着差が着差だけに、スタートの出遅れが実に痛かった。鞍上の荻野極騎手は、「出負けして、そこから挟まれてしまい後方からのレースに。４角も大外を回る形になりながらよく差を詰めています。スムーズだったらもっとやれていたと思います。」とコメント。スタートが相変わらず不安定だが、準オープンで勝ち負けできる実力は示してくれた。スタートさえ決められれば、オープン入りも遠くはないはずだ。

●７月の豊明Ｓでは後方から追い込んで５着だったエントリーチケット。その後は４カ月レース間隔が開いて、休養明け緒戦は息切れして１２着，そして前走はスタートが決まらず８着止まり。ここ２戦は力を出し切れていない印象で、更に今回は叩き３走目となるだけに、そろそろ結果を出したいところ。１番人気は、近３走を４着，６着，２着としているクライムメジャーで単勝2.7倍。２番人気は、近２戦を連続３着としているヴェネトで単勝3.9倍。エントリーチケットは、単勝10.4倍の４番人気。６月の1000万クラスの舞子特別では、クライムメジャーを下して優勝している。その比較からも、実力的にはまったく遜色ないと言っていいはずだ。

　 レースでは、エントリーチケットはスタートは良かったが、挟まれるような感じになって後方の位置取りに。ここからは手綱を引いて、後方で脚を温存する作戦に切り替える。ルグランパントルが僅かに先頭だが、マイネルパラディが並んで行っての先頭争い。半馬身差で外レッドリーガル。人気のクライムメジャーは、先頭から２馬身半差の７番手。エントリーチケットは、更に３馬身後ろの後方３頭目。３角でもエントリーチケットは後方３頭目で動かず、３〜４角の中間では後方２頭目の位置となり、先頭までは８馬身差と、逆に差が広がっている感じ。４角にかかると少し差を詰めるが、態勢はほとんど変わらず。前の方の馬たちも余力を残しているだけに、果たしてここから届くのかどうか。先頭争いは、マイネルパラディ，レッドリーガル，ニシノラッシュの３頭だが、一団に固まってくる。クライムメジャーは、先頭から２馬身半差の中団内々。スマートカルロスがその１馬身半後ろの大外。エントリーチケットは更に１馬身後ろ、後方３頭目で中を突く形。先頭まで５馬身差の位置からいよいよスパート態勢で直線へ。

　 直線に向くと、残り350ｍでエントリーチケットは前が横にずらっと並んで壁になって、一杯に追えない。それでも徐々に外に持ち出すと、残り250ｍから進路を確保して、ここから一杯に追い出される。残り１ハロンでは、先頭争いは５頭ほど広がっているが、その中からはスマートカルロスが抜け出してくる。クライムメジャーは内々で、先頭まで１馬身半差。中団大外ま脚を伸ばしてきたエントリーチケットは、クライムメジャーに１馬身差。ラスト100ｍで、先頭スマートカルロスを追って、クライムメジャーが１馬身差の２番手。エントリーチケットは、クライムメジャーと同じような脚で１馬身差が変わらないが、内の４頭ほどをまとめてかわして３番手に。エントリーチケットは、ここから更にクライムメジャーにも追いすがったが、半馬身差まで詰めるのが精一杯で３着でゴール。それでも、ここ２戦の敗戦からは巻き返してくれた。展開も決してこの馬向きではなかったが、改めて力のあるところを示してくれた。鞍上の松若騎手は、「気合をつけて行っているんですが、出てから挟まれる感じに。でもその分、脚が溜まって終いは伸びてくれました。最後は止まってしまいましたが、確実にひと脚は使ってくれますからね。」とコメント。今回は運もなかったが、もっとスムーズな競馬ができるようなら、準オープンも十分勝ち上がれるはずだ。

●暮れのファイナルＳでは３着と好走したエントリーチケット。決してスムーズな競馬ができていない中でも、しっかり能力を見せてくれたが、年明け緒戦の石清水Ｓでは伸び切れずに８着。それでも５着からは差がなく、悲観するほどではない。今回はスムーズな競馬で勝ち負けの競馬に持ち込みたい。１番人気は、前走1000万特別を勝って昇級してきたロライマで単勝1.9倍。とにかく、堅実無比な競馬を続けている。２番人気は、これも1000万平場を１番人気で勝ち上がってきたドーヴァーで単勝3.4倍。昇級戦ではあるが、元々準オープンでも連対実績のある実力馬。エントリーチケットは、単勝8.2倍の４番人気。少頭数の一戦だが、上位人気馬は実力も拮抗。スムーズな競馬で力を発揮できれば、勝利を手にできるはずだ。

　 レースでは、エントリーチケットはスタートの出は悪くないが、頭が高い感じ。ラズールリッキーがすっと
先頭に立って、3/4馬身差でドーヴァー，ダイメイフジの２頭。エントリーチケットは、その１馬身半後ろの４番手。半馬身差でペガサスボス，ロライマの２頭も差なく続いている。エントリーチケットは、先頭から２馬身半差の４番手で、隊列は落ち着いて流れには乗れている。向正面の中間では、内からペガサスボスが並んでくる。２馬身1/4差開いてロライマは６番手で脚を温存。３角過ぎでは、エントリーチケットは単独４番手。３〜４角の中間では、先頭ラズールリッキーのリードは半馬身。４番手エントリーチケットは、先頭まで２馬身1/4差。その後ろは３馬身と差が開いている。４角にかかるとエントリーチケットは手が動く。先頭ラズールリッキーに、外から手応え十分にダイメイフジが並んでくる。半馬身差で中ドーヴァー，3/4馬身外にエントリーチケット。ロライマが１馬身半後ろまで差を詰めて、中を突く形で直線へ。

　 直線に向くと、ダイメイフジが楽に単独先頭に立って１馬身のリード。エントリーチケットが２番手に上がってくるが、先頭とは１馬身半差。そして、残り１ハロンからダイメイフジが満を持して追い出されると、エントリーチケットは突き放されてしまう。ラスト150ｍではその差は２馬身1/4差に広がる。１馬身1/4差で３番手ロライマが追撃してきて、じわじわ差を詰めて、ラスト50ｍではエントリーチケット，ロライマの２頭が並ぶ。ここからエントリーチケットも渋太さを発揮し、２番手争いは２頭がまったく譲らない叩き合いに。結局最後は際どい写真判定のゴール。判定写真でもかなりの接戦だったが、エントリーチケットは鼻差遅れて無念の３着。それでも、この馬の力は見せてくれていた。鞍上のバルジュー騎手は、「掛かり気味だったけど、道中はスムーズに運べたし、直線でもいい脚を使ってくれている。今日は勝ち馬が強かったね。」とコメント。なかなか善戦止まりの現状が続くが、徐々に力をつけていけば、遠くないうちに準オープンは勝ち上がってくれるはずだ。

●２月の準オープンの斑鳩Ｓでは３着だったエントリーチケット。２着馬とは鼻差のレースで、勝ち馬のダイメイフジはその後はオープン特別でモズアスコットを接戦で抑えて優勝。そのモズアスコットがこの春Ｇ１安田記念の覇者になったことを考えると、準オープンとしては勝ち馬は相当に強力だった。この３着でエントリーチケットも力は見せていただけに、その後も当然勝ち負けの競馬が期待されたが、連続１１着と不振に陥る。２カ月半レース間隔を開け、1000万クラスに降級して勝利の期待も大きかったが、1000万特別で９着とまさかの大敗。不振にあえいでいるような現状ではあるが、ひと叩きされた今回は、本領発揮を期待したい。１番人気は、Ｇ１皐月賞では１５着に大敗し、続く1000万特別は６着だったジュンヴァルロで単勝3.6倍。デビューから新馬，特別と連勝した素質馬だけに、力を発揮できれば当然上位争い。２番人気は、Ｇ２フィリーズレビュー６着の後、３歳オープン特別を１番人気で５着，そして1000万特別を１番人気で５着としているアルモニカで単勝3.8倍。やや足りないレースを続けてはいるが、大崩れはしていない。エントリーチケットは、単勝7.2倍の５番人気。実力拮抗の一戦で、エントリーチケットが本当の力を発揮できれば、あっさり勝利してもなんら不思議のないメンバー構成。あとはいかに実力を出し切れるかがカギとなる。

　レースでは、全馬揃ったスタートを切るが、エントリーチケットはすぐに控える競馬。広がった先頭争いから、内アルモニカ，外からしごいてトンボイの２頭の先頭争い。１馬身1/4差でジュンドリーム，ロックオンの３番手争い。エントリーチケットは、前の集団から２馬身半置かれた後方の位置で、先頭までは６馬身差。ここからその差は８馬身と開いてくる。エントリーチケットの２馬身後ろ，後方２頭目の位置でえジュンヴァルロが末脚を温存している。３角では、先頭はアルモニカ，半馬身差でトンボイ。エントリーチケットは、先頭までまだ７馬身差でじっと動かないが、３〜４角の中間から仕掛けて行って、先頭までは６馬身差に。3/4馬身内側にジュンヴァルロも差を詰めてくる。４角では、馬群が一気に凝縮して、エントリーチケットも大外から前に接近。トンボイが首ほどリードして先頭だが、大混戦の様相。大外エントリーチケットは、先頭まで３馬身差で、何番手かも分からないほど一団。同じ位置で真ん中を突くのがアドマイヤデライト。これに3/4馬身差でジュンヴァルロが内目に入ってきて直線へ。

直　線に向くと、トンボイと内首差で食い下がるアルモニカの先頭争いだが、以下も差なく広がって激戦に。エントリーチケットも脚を伸ばし、残り１ハロンでは大外から先頭から１馬身半差の３番手争いに加わる。内ラチ沿いをスルスルとウォーターラボも伸びてきて、ラスト100ｍでは最内ウォーターラボ，大外エントリーチケットの２頭が先頭争いに抜け出してくる。エントリーチケットの内側首差でアドマイヤデライトも食い下がるようにこの争いに加わってくる。その１馬身半後ろで、ジュンヴァルロはなかなか馬群を捌けなかったが、ここから進路が開けて一杯に追い出されて差し込んでくる。大激戦の中、エントリーチケットが僅かに先頭に出て、食い下がるアドマイヤデライトを首差で抑えて優勝のゴール。ジュンヴァルロとつれてシゲルノマオイの２頭も際どいところまで追い込んできたが３着争いまで。短期免許で来日したアヴドゥラに騎手は、来日早々で嬉しい初勝利を飾った。見事混戦を制したエントリーチケットだったが、この馬の力を出し切ったアヴドゥラの騎乗も見事。鞍上のアヴドゥラ騎手は、「２，３番手で行くか、ペースが速くなるだろうから慌てずに運ぶか考えていたが、結果的に後者の戦法で思ったとおり運べた。僕自身がまだ日本の1200ｍのペースが分かっていない部分もあったけど、勝てて良かった。能力があるね。」とコメント。これで準オープンに返り咲き。着外続きにピリオドを打ち、ようやく復調してきたが、以前のように準オープンでも勝ち負けできるかは、今後の更なる体調アップにかかっている。

●アヴドゥラ騎手に乗り替わった九州スポーツ杯を快勝したエントリーチケット。今回は準オープンに昇級しての一戦だが、元々準オープンでも好勝負していた馬だけに、ここもチャンスは十分。１番人気は、前走1000万特別を３馬身半差圧勝し、目下５戦３勝の３歳馬エイシンデネブで単勝2.3倍。昇級戦となるが、まだ底が知れない素質馬。２番人気は、近７戦で２着３回，４着２回のレインボーフラッグで単勝5.9倍。Ｇ３毎日杯４着の重賞実績がある。前走１番人気６着からの巻き返しを期している。エントリーチケットは、単勝8.1倍の５番人気。エントリーチケットも、ようやく調子を上げて勢いづいている。１番人気馬の力が測れないが、それ以外の馬たちとはまったく互角と言っていいはずだ。

　レースでは、エントリーチケットは出遅れというほどではあないが、それほどいいスタートではない。中位から後方に控えて行く。シルバードリーム，スマートレグルスの２頭が出てくるが、内からブラッククローバーがかわして3/4馬身リードで先頭。２番手は４頭固まっている。エントリーチケットは先頭から５馬身差，中団後ろで脚を温存している。向正面の中間では、２番手はゲンキチハヤブサ，テイエムヒッタマゲの２頭。１馬身差でシルバードリームが４番手。エントリーチケットは更に４馬身後ろで、同じ位置の外目には人気のエイシンデネブもつけている。３角にかかると、エントリーチケットはエイシンデネブより先にじわっと進出。３〜４角の中間では、大外から先団グループの後ろの位置までグーンと押し上げる。４角でも、先頭ブラッククローバーは3/4馬身リードをキープ。２番手争いのゲンキチハヤブサ，スマートレグルスに、大外から早くもエントリーチケットが並んでくる。半馬身差で内から２頭目のところを突こうとするブライティアレディ。エイシンデネブは、エントリーチケットの２馬身1/4差後ろから追ってきて直線へ。

　直線に向くと、５頭ほどが横に広がった激戦の争いとなるが、大外エントリーチケットの伸び脚がいい。残り１ハロンでは、エントリーチケットが半馬身ほど抜け出すが、内目からはブライティアレディも差してくる。エイシンデネブはモタモタした感じで、エントリーチケットの３馬身半後ろで、もうひとつ伸びを欠いている。ラスト100ｍでは、先頭エントリーチケット，半馬身差でブライティアレディの２頭が抜け出す。その後ろは１馬身半差で、スマートレグルス以下は混戦。勝負は前２頭の争いに絞られたが、ラスト50ｍからエントリーチケットはグイッともうひと伸びし、ブライティアレディを１馬身突き放して快勝のゴール。アヴドゥラ騎手とのコンビでこれで２連勝。なかなか勝てなかった準オープンも、勢いに乗ってあっさりクリア。鞍上のアヴドゥラ騎手は、「このクラスでどこまで通用するか不安だったけど、他がモタモタしている時に、スイスイ動いて行ってくれたし、理想的な対応をしてくれた。重が得意と聞いていたけど、その通りだったし、馬場に助けてもらった。」とコメント。完全に本調子を取り戻し、むしろこれまでで一番の充実ぶり。この勢いで、オープンでの活躍も大いに期待したい。

●前走北九州短距離Ｓを鮮やかに抜け出して快勝し、1000万，準オープンと連勝したエントリーチケット。一気にオープンまで昇級して、その実力を試す一戦。５２kgのハンデを生かせば、いきなりの好走があっても驚けない。１番人気は、前走準オープンを３馬身半差圧勝してきたモズスーパーフレアで単勝3.0倍。Ｇ３ファルコンＳで２着馬から半馬身差の５着という重賞入着順実績があるが、その時よりも格段に成長している伸び盛りの３歳馬。２番人気は、近２走Ｇ３ＣＢＣ賞３着，Ｇ３北九州記念５着としているセカンドテーブルで単勝5.7倍。Ｇ２京王杯２歳Ｓ優勝など、重賞で活躍を続けている馬。エントリーチケットは、単勝12.2倍の６番人気の穴馬評価。外枠になったのはキツいところもあるが、逆に包まれずにスムーズに運べれば、きっとチャンスはあるはずだ。

　レースでは、エントリーチケットは外枠から五分のスタート。今回も無理はせず、中団あたりに下げて行く。ポンと好発を決めたのはモズスーパーフレアで、２馬身1/4差リードする。ゴールドクイーン，レジーナフォルテの２番手争いだが、これに内から押してセカンドテーブルが並んでくる。１馬身半差でタマモブリリアンが５番手。エントリーチケットはそこから２馬身1/4差後ろ，８番手を追走する。３角にかかると、エントリーチケットは早くも大外からじわっと押し上げる。３角過ぎでは、先頭モズスーパーフレアのリードは3/4馬身となっている。３〜４角の中間では、エントリーチケットは先頭まで５馬身差だが、ここから積極的に行って更に前に接近。４角では、先頭モズスーパーフレアに、外からレジーナフォルテが並んでくる。１馬身3/4差で３番手争いはセカンドテーブル，ゴールドクイーンだが、これに大外を回ってエントリーチケットが並びかける。１馬身直後にアンヴァルなど。更に４馬身後ろの大外後方３頭目から追い込み態勢はカラクレナイで直線へ。

　直線に向くと、モズスーパーフレアが二の脚を発揮して、１馬身リードで先頭。２番手に下がるレジーナフォルテ，１馬身半差でエントリーチケットが単独３番手に。しかしながら、残り250ｍでは１馬身直後に数頭広がって、外のアンヴァル，グレイトチャーターの２頭が末脚を繰り出してきて、残り１ハロンではエントリーチケットの半馬身外まで迫ってかわす勢い。ラスト150ｍでは、モズスーパーフレアが１馬身半リードで逃げ込みを図る。２番手はレジーナフォルテ，エントリーチケット，アンヴァル，グレイトチャーターの４頭が並んだが、この中からアンヴァルが抜けて先頭に襲いかかる。ラスト100ｍでは、エントリーチケットはグレイトチャーターとの３番手争い。ラスト50ｍで、アンヴァルが一気に先頭まで突き抜ける。エントリーチケットも３番手争いで懸命に食い下がっていたが、ラスト30ｍでグレイトチャーターに競り負けて、最後大外急襲のカラクレナイに鼻差かわされて５着でゴール。３着争いを演じていた３頭は、最後モズスーパーフレアも取り込んでの２着争いとなっていた。エントリーチケットは、２着グレイトチャーターから首，首，鼻差の僅差の勝負で、もう少しでモズスーパーフレアをかわすところまで来ていた。古馬オープン緒戦で見せ場を作ったエントリーチケット。後続に呑み込まれそうな感じもあったが、最後まで３着争いに踏ん張ったのは高く評価できる。２着馬からもそれほど差はなく、昇級戦としては十分な内容。鞍上の和田騎手は、「デキが良かったし、いい位置も取れた。前の馬をパスするのに早目に踏んで行ったけど、いい競馬はできたと思うよ。」とコメント。今回はハンデの恩恵はあったが、一方で、大外を終始回らされるコースロスもあった。オープンで経験を積めば、ハンデがなくても好勝負できるはず。もうワンランク成長できれば、重賞制覇さえ夢ではなくなってくるはずだ。

●オープン昇級戦となったオパールＳでは、５着ながら２着争いの一角に踏みとどまったエントリーチケット。オープンでも戦える手応えを掴んだが、続く東京遠征のオーロＣでは、直線差し脚をまったく使えず１４着に惨敗。1400ｍの距離も若干長かったのか、また東京コースも相性が悪かったのか。今回は距離短縮で巻き返しを期す。１番人気は、新馬，Ｇ３ファンタジーＳを連勝した後１１カ月の長期休養を余儀なくされ、休み明けのオープン特別で１馬身半差の３着だったベルーガで単勝1.9倍の断然人気。長期のブランクがありながらの前走の内容は、この馬の潜在能力に対する評価を更に高めることとなった。２番人気は、近５走連続でオープン特別で４着以内の堅実な走りを見せているアイラインで単勝4.2倍。特にここ２戦は２着を続けている。重賞では、Ｇ２京王杯スプリングＣ５着という成績がある。エントリーチケットも、単勝10.3倍の３番人気と評価されている。骨折から復帰した和田騎手も、ここで一発を狙っているはずだ。

　レースでは、エントリーチケットはまずまずのスタートを切る。アクティブミノルが押して僅かに先頭。首差で内ブライティアレディ，外オールインワンだが、ここからオールインワンがスーッと先頭で１馬身半リード。エントリーチケットは、先頭から３馬身半差の５番手争いの内々。バラけた展開となって、３角では先頭オールインワンは２馬身半リード。ツーエムマイスターが２番手，半馬身差で内ブライティアレディ。２馬身1/4差でアクティブミノル，3/4馬身差で内エントリーチケットは５番手で、手応えよく追走する。断然人気のベルーガは、更に５馬身後ろで後方に近い位置。３〜４角の中間でも、バラけた隊列に変動はなく、エントリーチケットはアクティブミノルをかわして４番手に馬順を上げてくるが、先頭までまだ５〜６馬身差がある。４角に入って差が縮まってきて、エントリーチケットはムチが入ってここから外に持ち出す。オールインワン，ブライティアレディの先頭争い。3/4馬身差でツーエムマイスターだが、これに外から首差まで並んでくるエントリーチケット。その後ろは１馬身半差で、５番手以下は固まる。脚色から見て、エントリーチケットにも大いに期待が膨らんで直線へ。

　直線に向くと、オールインワンに競り勝ってブライティアレディがジワリ先頭に出るが、外からグイグイ伸びて来たのがエントリーチケット。残り250ｍを切って、エントリーチケットがあっさり先頭に出ると、残り１ハロンでは3/4馬身リード。２番手ブライティアレディに、3/4馬身差でナガラフラワーが追ってくる。その１馬身半後ろの馬群の中から、ビップライブリーの伸び脚がいい。ラスト150ｍを切って、ナガラフラワーが２番手に上がろうかという態勢だが、エントリーチケットは既に１馬身半抜け出している。早目に先頭に立って少し心配されたが、ナガラフラワーはじわじわとしか差を詰められず。遅れて伸びて来たビップライブリーも２着争いまでで、エントリーチケットが3/4馬身差押し切って優勝のゴール。ベルーガはほとんど見せ場のないまま５着がやっと。ついに３歳時も含めてオープン初勝利を達成したエントリーチケット。ハンデ戦だったとは言え、男馬相手の勝利は立派。1200ｍの距離が向いていたのは確かだが、このところずっと差し追い込みの競馬が多かっただけに、デビュー当時にけ結果を残していた好位につける競馬も良かった印象。鞍上の和田騎手は、「スタートが良かったですし、他馬がいないところに入れて、プレッシャーを受けずに運べました。抜け出すのがちょっと早くなりましたが、力がありますね。」とコメント。今後は重賞戦線での活躍も見据えることに。年が明けてからの活躍が楽しみだ。

●１月の中山戦で４着となり、２戦連続で掲示板の好走を続けたコスモオペラ。２戦とも勝ち馬からの差は小さく、未勝利勝ち上がりの期待も膨らんできた。ただ、今回は５カ月間隔が開いた点がどう出るかがカギ。１番人気は、３月の新馬戦で１番人気で首差２着だったサンラファエルで単勝1.9倍。その時の勝ち馬は、500万下平場戦も連勝したように、この馬の素質も高いはず。一度競馬を経験しての上昇度も大きい。２番人気は、デビューからの全３戦を２着，２着，４着としているハイアーハイアーグラウンドで単勝4.0倍。前走１番人気で着順を落としているだけに、巻き返しを期している。コスモオペラは、単勝15.0倍の５番人気。間隔が開いた分の割引はあるが、実力的には遜色ない競馬ができるはずだ。

　 レースでは、コスモオペラはスタート良く、じわっと先頭に出て来ようという感じ。内グリーンマーチ，外アイアイハッピーも並んできて、以下もほとんど差はなく先団は一団の状態。ここからコスモオペラは無理することなく、頭ほど出て先頭の形。２番人気ハイアーグラウンドは、先頭から１馬身半差の４番手。１番人気サンラファエルは、更に１馬身半後ろの中団大外から。ここからコスモオペラが１馬身抜けて先頭。３角では、ハイアーグラウンドが２番手に上がって来る。３〜４角の中間では、3/4馬身差で３番手争いはフィールザサンダーなど。ここでもコスモオペラは手応えがいい。４角でも、コスモオペラは手応え十分のまま１馬身リード。２番手ハイアーグラウンドも持ったまま。１馬身差で外アイアイハッピー，半馬身内にフィールザサンダー。サンラファエルは更に３馬身後ろで、依然中団後ろの位置で直線へ。

　直線に向くと、先頭コスモオペラは後ろを待つ余裕がある。しかしながら、２番手ハイアーグラウンドも追い出しを遅らせている。残り400ｍからコスモオペラが追い出すが、ハイアーグラウンドは350ｍから追い出しにかかる。残り300ｍでも、コスモオペラが１馬身半リードで逃げ込みを図る。しかしながら、残り250ｍからハイアーグラウンドがじわじわ詰め寄り、完全に前２頭のマッチレース。ラスト１ハロンでは3/4馬身差，ラスト150ｍでは半馬身差まで詰め寄られたコスモオペラ。コスモオペラも踏ん張っていたが、ラスト100ｍでハイアーグラウンドにあっさりかわされてしまう。それでも３番手フィールザサンダーには２馬身半差があり、２着は確保の態勢。コスモオペラは最後は１馬身半差をつけられたが、そのまま危なげなく２着確保のゴール。デビュー以来の最高着順だったが、実に強い内容の競馬だった。今回は相手が悪かったが、コスモオペラも休み明けだったことを考えれば、使われての上積みも期待できる。鞍上の柴田大騎手は、「甘くなるところはありますが、休ませたことで今日は気持ちが入っていて、最後まで頑張ることができました。1600ｍがちょうど良さそうです。」とコメント。未勝利を勝ち上がれる実力があるのは間違いない。あとは運と巡り合わせ次第と言っていいだろう。

●前走逃げて２着と好走したコスモオペラ。すっかり安定感も出てきて、今回は単勝1.9倍の１番人気の高い評価。２番人気は、デビューからの全２戦をいずれも１番人気で２着，５着としているサンラファエルで単勝3.5倍。姉ディアデラノビアは、Ｇ２，Ｇ３を３勝、牝馬Ｇ１で入着４回という活躍馬。３番人気は、デビューから全８戦で２着１回，５着１回のスウィートグロリアで単勝11.9倍。コスモオペラにとっては、当面の相手はサンラファエル程度。初勝利のビッグチャンスだけに、何としてもモノにしたいところだ。

　レースでは、コスモオペラは好スタートを決めるが、積極的に行こうとはしない。トーアウラシマが先頭だが、内から押して藤田菜七子騎手のエーブルーティンが並んでくる。１馬身差で外スウィートグロリアなど前は固まってくる。コスモオペラは徐々に控える形で、先頭から５馬身差の中団に。１〜２角で、先頭はトーアウラシマで１馬身のリード。エーブルーティンが２番手，２馬身差でスウィートグロリア。向正面で、２馬身差でタイセイオネスティ，ビービーパドルの４番手争い。これに１馬身半差で外コスモオペラの態勢で、頭が高くリズムは良くない感じ。向正面の中間では、コスモオペラは５番手で、先頭まで５馬身差。３角では、エーブルーティンが先頭に替わってリードは２馬身だが、３〜４角の中間でスウィートグロリアが１馬身差に詰めてくる。２馬身差でビービーパドルが３番手，更に２馬身半差でコスモオペラは４番手で、このあたりではかなり押している。その後ろはまた２馬身半と開いている。４角でも、内々を通るコスモオペラは４番手で反応はもうひとつで、先頭までは３馬身半差。ビービーパドルが先頭に１馬身差の２番手に上がって直線へ。

　 直線に向くと、ビービーパドルがあっさり先頭に替わる。４番手コスモオペラは、内から思い切って外にグイッと持ち出すが、追ってからの伸びはもうひとつ。残り１ハロンで、ビービーパドルが先頭で１馬身リード，２番手で粘るエーブルーティン。１馬身差でスウィートグロリア，１馬身半差でコスモオペラは４番手で、同じような脚で態勢は変わらず。ビービーパドルが突き放して、最後は３馬身半差をつけたが、２番手以下はそのままの態勢で、コスモオペラは流れ込んだ形の４着でゴール。道中の反応も悪く、リズムに乗り切れなかった印象。念願の初勝利のチャンスだっただけに残念。鞍上の柴田大騎手は、「追走していて手応えが怪しかったので、３角からロスがないように内を回りました。それでもここまででしたし、前走ほど走れていません。」とコメント。これが実力ではないだけに、巻き返しを期待したい。

●福島の未勝利戦では１番人気で４着に終わったコスモオペラ。本来の力を発揮できなかった印象で、初勝利のチャンスを逃したのは残念だった。そして続く福島戦では１１着と大敗し、初勝利の期待が完全に失速してしまう。それでも、何とか未勝利を脱出したいと、今回は南関東の交流戦で勝負をかける。１番人気は、ここ２戦を２着，５着としているＪＲＡマヴィアで単勝3.9倍。全７戦で入着５回と堅実な馬。コスモオペラが単勝2.6倍の２番人気に支持される。３番人気は、北海道，名古屋，南関東と渡り歩いて、南関東では２戦して３歳特別戦を７馬身差圧勝，更にＪＲＡ交流戦を２着としているトゥアイドゥで単勝4.4倍。実力は拮抗しており、地方勢との力の比較も難しいが、コスモオペラに是非ともここで初勝利を飾ってほしい。

　レースでは、コスモオペラはスタートは五分に出て、最内枠から前に行こうとするが、思うようには行けず。ポットガビがすっと先頭，3/4馬身差でマヴィア，ドゥアイドゥの２番手争い。１馬身1/4差でピリナが４番手，その半馬身内にコスモオペラで、このあたりは固まった態勢。１〜２角で、外からドゥアイドゥ，マイネルルタンも先行争いに押し上げて行く。向正面では、ポットガビ，マヴィアの先頭争い。半馬身外にドゥアイドゥ，更に半馬身差で大外マイネルルタン。これに3/4馬身差で内にコスモオペラ，ピリナの２頭が５番手争い。その１馬身半後ろにブルーフォレストなど。３角では手が動く馬が目立ち始めるが、コスモオペラも手が動いて、３〜４角の中間では３番手まで順位を上げて、先頭争いの２頭に１馬身半差。半馬身外ドゥアイドゥは一杯気味で遅れ始める。その直後から差を詰めてきたのがブルーフォレスト。４角では、マヴィアが僅かに先頭だが、内首差で頑張るポットガビ。１馬身1/4差でコスモオペラが３番手だが、内からすっとブルーフォレストが並んでくる。更に１馬身半差でダテノタイフーンも差を詰めて直線へ。

　 直線に向くと、マヴィアが先頭，ポットガビは一杯になって後退。内目をすっとブルーフォレストが伸びて、コスモオペラは伸び脚が見劣って遅れを取り、ポットガビをかわして３番手まで上がるものの伸び切れない。そして今度は、外へ持ち出したダテノタイフーンが追ってくる。残り１ハロンで、今度はブルーフォレストが先頭。3/4馬身差でマヴィアが粘るが、これを１馬身差で追うコスモオペラ。半馬身差の外まで迫って来たダテノタイフーン。コスモオペラは、ラスト150ｍでダテノタイフーンにかわされて４番手に。コスモオペラは、ラスト100ｍで３番手マヴィアの外3/4馬身差だったが、ここから逆に１馬身半差と差が開いてしまって４着でゴール。ダテノタイフーンはゴール前で先頭まで迫ったが、ブルーフォレストが首差しのいで優勝した。今回も初勝利はならなかったコスモオペラ。前走からは巻き返したが、善戦止まり以上の結果は今回も得られなかった。物足りなさは残ったが、これからも最後まで諦めずに初勝利を目指していく。

●１２月末の平場戦では１番人気で３着だったタマモアタック。これで５戦連続２着，３着と惜敗続きとなってしまった。その後は間隔が開いて、今回はこの年初めての競馬で、４カ月半ぶりの実戦。+12kgの馬体重が示すように仕上がり途上ではあるが、地力の違いでいきなりの勝利を期待。そして、タマモアタックが単勝2.3倍の１番人気に。２番人気は、前走福島の特別戦では２番人気で１馬身差の２着だったハローマイディアで単勝4.4倍。３番人気は、前走京都の平場戦で７番人気で２着と好走したメイショウクオンで単勝7.1倍。実力ではタマモアタック上位は明らかだが、あとは力をどこまで出し切れるかがポイントだ。

　 レースでは、タマモアタックはスタートは五分に出て、横に広がった先行争いの一角。内メイショウクオンが押しながら出てきて、これに外からタマモアタックが並んで行くが、前の方は固まっている。１〜２角で、内メイショウクオンが先頭に立って、3/4馬身差でタマモアタックは無理せず２番手。１馬身差でセカンドエフォート，カシノランドの３番手争い。向正面では、これに１馬身差でライトブリンガー，ハローマイディアの２頭。タマモアタックは、先頭に半馬身差にぴったり取り付くが、隊列にほとんど動きはない。先頭から７馬身差の後方２頭目，固まった集団のいちばん後ろに人気薄アイファーウタオーが追走。３角では、タマモアタックは先頭に首差まで並んで行く。１馬身後ろの３番手カシノランドが、３〜４角の中間ではタマモアタックの外首差まで並んでくる。その後ろは１馬身差で３頭が並んでいるが、いちばん大外ハローマイディアが更に押し上げて行く。４角では、タマモアタックが僅かに先頭に出るが、直線入口で大外ハローマイディアが並んでくる。これに3/4馬身差で３番手カシノランド以下はまったくの一団。先頭から３馬身差の中団大外にアイファーウタオーも押し上げて直線へ。

　 直線に向くと、内タマモアタック，外ハローマイディアの２頭が、どちらも譲らない叩き合い。２頭で３番手以下を１馬身3/4差と離して行くが、外からアイファーウタオーがぐんぐん伸びて来て、残り250ｍを切ったところで３番手に上がると、更に前に襲いかかる。残り１ハロンで、ハローマイディアが頭ひとつリードして先頭。懸命に食い下がるタマモアタック。しかしながら、ラスト150ｍを切って、タマモアタックはアイファーウタオーにかわされると、ラスト100ｍからは息切れして２頭に突き放されてしまう。最後はハローマイディア，アイファーウタオーが首の上げ下げの態勢で際どい写真判定に。タマモアタックは２馬身半差をつけられて３着でゴール。結局１着，２着は同着に。３着に敗れたタマモアタックだったが、今回は休み明けで馬体重も増えていただけに致し方ない。鞍上の松若騎手は、「自分の形でスムーズでしたが、最後は休み明けの分、息切れした感じです。堅実に走るタイプだし、次走はもっと良くなってきますよ。」とコメント。このひと叩きで、次走は更に前進してくるはずだ。

●５月京都の平場戦で１番人気で３着だったタマモアタック。勝利で人気に応えられなかったのは残念だったが、これで６走連続で２着，３着を続ける堅実無比の成績。しかしながら、その後２戦は１０着，１１着と、これまでの成績からは考えられない着順。不振に陥ってしまったことから、今回は２カ月レース間隔を開けて立て直しを図って来た。実力を発揮できさえすれば、間違いなく巻き返してくれるはず。１番人気は、４月の遅いデビューだったが、２戦目の前走未勝利戦で７馬身差の圧勝を飾ったインディで単勝2.4倍。キャリアこそ浅いが、潜在能力ではもっと上のクラスの素質馬。２番人気は、前走首，鼻，頭差の接戦の４着と好走したナムラスパルタクスで単勝4.6倍。タマモアタックは、単勝5.6倍の３番人気。本来なら１番人気になっても不思議のないところだが、ここ２戦の大敗が評価に響いている。インディの実力が明らかに上位なら致し方ないが、タマモアタックにも当然勝機は十分だ。

　 レースでは、タマモアタックはスタートは五分に出て、スタートして100ｍから少し仕掛けて好位の一角に。ショウナンマシェリ，インティの先頭争いに、大外スナークライデンも並んでくる。１馬身半差でオンザフロウが４番手，その後ろ１馬身差でタマモアタックなど。１〜２角で、人気のインティが先手を取り切って、３馬身半とリードを開いて行く。ショウナンマシェリが２番手，２馬身半差でスナークライデン。向正面で、１馬身半差でイェドプリオル，オンザフロウの２頭。これに3/4馬身差で内タマモアタックは６番手。インティは５馬身とリードを開いての単騎逃げとなっている。６番手のタマモアタックだが、向正面の中間で内から手綱をしごきながら動いたブリーズスズカにかわされる。３角手前では、タマモアタックは完全に馬群の中だが、ここから少し仕掛けて行く。３角では、先頭インティのリードは１馬身半で、このあたりは後続を引き付けるが、手応えは十分。２番手以下は一団。３〜４角の中間では、ブリーズスズカが２番手ショウナンマシェリの内に並んでくる。４角では、半馬身差で大外スナークライデン，これに１馬身差でタマモアタックなどが５番手争いで、先頭までは３馬身差の位置で直線へ。

　 直線に向くと、先頭インティが２馬身とまた少しリードを開く。ブリーズスズカが２番手，１馬身3/4差でショウナンマシェリが３番手。これに3/4馬身差で最内マテラアリオン，外タマモアタックの４番手争い。残り１ハロンで、タマモアタックが単独３番手となり、２番手ブリーズスズカを２馬身差で追う。先頭まインティは３馬身リードで既に楽勝態勢。２番人気ナムラスパルタクスが、タマモアタックの１馬身1/4差の大外５番手まで押し上げるが、ここからは伸び切れない。ラスト150ｍでは、タマモアタックはブリーズスズカに１馬身半差で、ここからはグイグイ力強く伸びて、ラスト30ｍでブリーズスズカをあっさりかわして２着でゴール。４着以下は更に突き放されていた。２着だったタマモアタックだが、今回は勝ち馬が強過ぎただけに致し方ない。それ以上に、ここ２戦の不振から立ち直ってくれたのは嬉しい限り。鞍上の小牧騎手は、「元々走っていた馬だし、これくらいやれる力はあるからね。今日は相手が悪かった。」とコメント。本来の調子を取り戻しただけに、これからも堅実に駆けてくれるはず。もちろん、毎回勝利の期待を背負っての競馬となるはずだ。

●２度の二桁着順から、前走は２着と巻き返してきたタマモアタック。２カ月間隔を空けて立て直しを図った効果が出た形。元々これくらい走れるのは当たり前の力の持ち主。１番人気は、近２走平場戦を２着，１１着としているメイショウマトイで単勝4.8倍。この馬も、２カ月間隔を空けて立て直してきた。タマモアタックは、単勝5.0倍の２番人気。オッズが同じ5.0倍の３番人気に、近３走を２着，２着，６着としているキングズアフェアー。しかしながら、実力・実績ともタマモアタック上位と思われるメンバー。ここはあっさり勝利を決めたいところだ。

　レースでは、タマモアタックはまずまずのスタートで、無理なく前の方に出てくる。ナガラエンカが僅かに先頭で、内首差でムチを飛ばしながらカフジナイサー。半馬身外にキングズアフェアー，更に外首差でタマモアタックは４番手。これに3/4馬身差でアドラメレクなど。１〜２角で、カフジナイサーが先頭で3/4馬身リード。ナガラエンカが２番手。向正面に入って、タマモアタックがキングズアフェアーをかわして３番手に。向正面の中間でも動きはなく、タマモアタックは３番手をキープして、先頭まで１馬身1/4差。その１馬身半後ろの５番手にアドラメレク。しかしながら、ここから後方にいたフォースラインが大外一気に押し上げて行く。３角では、先頭カフジナイサーに、あっと言う間にフォースラインが並んでくる。3/4馬身差でナガラエンカ，これに首差でタマモアタック。ペースが上がった３角過ぎで、タマモアタックは反応が悪くて一旦遅れ加減になるが、少し仕掛けるとまた押し上げて、３〜４角の中間では手応え十分の行きっぷりに。４角では、タマモアタックが外から押し上げると、僅かに先頭に出る。半馬身差で中フォースライン，首差で内カフジナイサー。半馬身外目の４番手にアドラメレクの態勢で直線へ。

　 直線に向くと、タマモアタックがぐいっとリードを開いて１馬身3/4差。フォースラインをかわしてアドラメレクが２番手に上がり、残り１ハロンでは先頭に１馬身半差。更に詰め寄る構えを見せて、ラスト100ｍでは１馬身1/4差になったが、タマモアタックの脚色はまったく鈍ることなく、最後は逆にまた突き放して１馬身3/4差をつけて快勝のゴール。幾度となく善戦止まりのレースを重ねたが、勝つ時は実にあっさり決めてしまった。まったく危なげなく、実力通りの勝利と言える結果だった。鞍上の小牧騎手は、「力通りの結果だね。強かった。」とコメント。これで1000万クラスに昇級するとまた厳しくなるが、持ち前の渋太さで善戦してほしい。

●前走の500万下平場戦では１馬身3/4差の快勝だったタマモアタック。約１年半ぶりの嬉しい勝利だった。その間何度も惜しい競馬を重ねてきたが、勝つ時というのはこんなもの。馬の調子も上がってきており、1000万クラスでも好勝負の期待。１番人気は、500万下平場戦を１番人気で勝ち上がった後、前走1000万特別でも１番人気で半馬身差の３着と力のあるところを見せたケルティックソードで単勝2.7倍。タマモアタックは、単勝6.0倍の２番人気。３番人気は、Ｇ３レパードＳ９着の後、1000万特別を７着，４着としている３歳馬タガノグルナで単勝6.2倍。トップハンデ５７kgのヒロブレイブは、前々走準オープンで２着になっている実力馬。２番人気以下は人気も大きく割れている混戦模様。それだけに、タマモアタックの大崩れのない渋太さが物を言うはず。1000万クラスにメドを立てたいところだ。

　レースでは、タマモアタックはスタートで半馬身立ち遅れ。少し頭を上げる感じになる。ヒラボクテイオー，タガノグルナの先頭争い。半馬身差でクリノフウジン，キーグラウンド，ケルティックソードの３頭も差はない。タマモアタックは中団後ろ、先頭までは６〜７馬身差。１〜２角では、速い流れで縦長となってくる。タマモアタックは、先頭まで１０馬身近い差に。ヒラボクテイオーが先頭で、半馬身差でタガノグルナ。これに3/4馬身差でニホンピロヘーゼルが３番手に。向正面で、２馬身差でキーグラウンド，ケルティックソードの２頭で、その後ろもまた２馬身半開いている。向正面の中間では、速い流れの中でタマモアタックは少し仕掛けながらの追追走でえ、先頭までは８馬身差。ヒロブレイブは更に３馬身後ろの後方３頭目。３角でも、前の方の態勢は変わらないが、タマモアタックがこのあたりから進出開始。３〜４角の中間では、中団馬群の真ん中を懸命にしごきながら押し上げて行って、先頭までは７馬身差。先頭ヒラボクテイオーのリードは半馬身で、このあたりでムチが入る。２番手ニホンピロヘーゼル，１馬身1/4差でキーグラウンド。更に１馬身半馬身差でタガノグルナは４番手に下がっている。４角では、タマモアタックはムチを飛ばしながら大外を押し上げて、４番手争いに加わってくる。先頭は依然としてヒラボクテイオー。半馬身差でニホンピロヘーゼル，キーグラウンドの２頭。その後ろは３馬身開いて、大外タマモアタックが単独４番手に。以下も差なくゴッチャで続いているが、タマモアタックの３馬身後ろの後方大外からヒロブレイブも追い込み態勢で直線へ。

　 直線に向くと、ヒラボクテイオーが逃げ粘りを図り、半馬身差で追うキーグラウンド。ニホンピロヘーゼルは遅れる。２番手から３馬身差で４番手タマモアタックが末脚を繰り出してくる。その後ろは２馬身と少し差が開いて横に広がっているが、残り250ｍで大外ヒロブレイブがぐいぐい伸びて、ゴッチャの内の各馬をまとめてかわして単独５番手に。残り１ハロンでは、ヒラボクテイオー，キーグラウンドの先頭争い。１馬身半差でニホンピロヘーゼルだが、ラスト150ｍでタマモアタックがかわして３番手に。この時点で先頭までは２馬身1/4差だが、タマモアタックの１馬身外までヒロブレイブが迫る。ここからヒラボクテイオーがもう一度渋太く伸びて先頭。ラスト100ｍでは、首差でキーグラウンドが２番手。ぐいぐい迫るタマモアタックは、その勢いは先頭まで届くかどうかは微妙。更に3/4馬身外からはヒロブレイブの猛追。ハイペースで追い込みが利く流れになり、逃げ粘るヒラボクテイオー，追うタマモアタック，追い込みのヒロブレイブの３頭の勝負。ラスト30ｍで３頭が一並んだが、あとは勢いの違いでヒロブレイブが半馬身差の差し切り勝ち。タマモアタックは、ヒラボクテイオーを首差で捉えて２着でゴール。昇級緒戦で２番人気を集めていたタマモアタックは、惜敗ではあったが、２着でその人気に応える走り。あそこまで行ったら勝ちたかったところだが、展開のアヤと、勝ち馬も実力馬だっただけに致し方ない。鞍上のデムーロ騎手は、「頑張って追い上げて来ている。今日は相手が強かったね。」とコメント。この走りで、1000万クラスにもメドを立てたのは大きな収穫。持ち前の渋太い安定性で、今後も好勝負を続けてくれるはずだ。

●昨秋1000万クラス昇級緒戦の愛宕特別で半馬身差の２着と実力を見せたタマモアタック。しかしながら、続く福島の特別戦は、まったく見せ場なく１０着に大敗。今回は４カ月半間隔を開けて立て直してきた。休み明けは割り引き材料だが、巻き返しの可能性は十分。１番人気は、1000万クラス昇級後３戦すべて２着と惜しい競馬を続けているキクノルアで単勝1.7倍の断然人気。前走は、３着のアンナペレンナに７馬身もの差をつけていた。２番人気はそのアンナペレンナで、単勝5.4倍。1000万クラス昇級後の特別２戦はいずれも３着としている。タマモアタックは、単勝16.7倍の５番人気。前々走の競馬ができれば当然勝ち負けまで。あとはどこまで力を出し切れるかがカギだ。

　レースでは、タマモアタックは好スタートで、先頭に出てくる。しかしながら、外からキクノルアが仕掛けながらかわして先頭。タマモアタックは競り合う気はなく3/4馬身差の２番手。半馬身差でアンナペレンナが３番手。外からすーっとオクラホマが４番手に押し上げる。１〜２角で、先頭キクノルアのリードは１馬身1/4。２番手はタマモアタック，アンナペレンナが並び、１馬身差でオクラホマ以下だが、このあたりは固まっている。向正面でも淡々と平均ペースで流れており、キクノルアは２馬身リードで気持ち良くマイペースの逃げとなっている。３角でもほとんど隊列に変動はないが、３〜４角の中間では、アンナペレンナが先頭に１馬身差に接近。内タマモアタックは首差遅れて３番手で少し手が動き始める。3/4馬身外にオクラホマも接近。４角では、キクノルアが手応え十分のまま逃げて１馬身1/4差のリード。２番手アンナペレンナの外にオクラホマが並びかけるが、内首差遅れのタマモアタックもこの争いの一角。５番手以下は１馬身半差があって直線へ。

　 直線に向くと、終始余裕のあったキクノルアが、１馬身3/4差と突き放しにかかる。２番手争いは、タマモアタック，アンナペレンナ，オクラホマの３頭の叩き合い。２馬身半後ろからフォースラインの追い込んでくる。残り１ハロンで、２番手争い３頭の中で、オクラホマが首だけ出ている。ラスト100ｍで、タマモアタックは、アンナペレンナより頭ひとつ出ているが、オクラホマにはじわじわ差を広げられる。タマモアタックとアンナペレンナの３着争いは、ゴール前でタマモアタックが競り勝って半馬身ほどにリードを開いたところに、外からフォースラインが追い込んできたが、タマモアタックはこれを頭差しのいで３着でゴール。今回は休養明けだったが、前走の大敗からきっちり巻き返してくれた。鞍上の富田騎手は、「ゲートをポンと出て、勝ち馬を見る形でいい位置で進められました。休み明けでも反応が凄く良く、最後まで頑張ってくれたし、すぐに順番が回ってくると思います。」とコメント。復調を遂げ、更に前進が見込まれる次走では、1000万クラスの勝利も十分可能だ。

●休み明けの平場戦で３着と復調をアピールしたタマモアタック。続く前走阪神の特別戦は６着だったが、巻き返しは十分可能。１番人気は、500万クラスを勝ち上がった後、1000万特別，平場戦を連続２着としているカフジキングで単勝3.3倍。２番人気は、近４走で２着３回，４着１回としているルドルフィーナで単勝3.8倍。タマモアタックは、単勝12.0倍の６番人気。前々走休み明けで３着だった時、２着のルドルフィーナとの着差は２馬身1/4差。その比較から計算しても、展開ひとつで十分に逆転は可能。あとは実力を出し切れるかどうかだ。

　 レースでは、タマモアタックはスタートは五分に出て、手綱を押してすっと好位に取り付く。ルドルフィーナがスーッと出てきて先頭。１馬身1/4差でタマモアタックが２番手に取り付くが、大外からはメイショウカマクラが並んでくる。１馬身1/4差でセイカエドミザカ，半馬身差の内ラチ沿いにカフジキングの順。１〜２角で、タマモアタックは3/4馬身差の２番手，１馬身1/4差でカフジキング，メイショウカマクラの２頭が３番手争い。向正面では隊列も固まって、全馬が７馬身圏内。向正面の中間では、タマモアタックは先頭に半馬身差だが、３角手前から少し仕掛け気味。３角では、先頭ルドルフィーナは持ったままで、半馬身差でしごいてタマモアタック。３〜４角の中間では、１馬身差で内カフジキングは手応え十分で、外メイショウカマクラと並んでの３番手争い。４角では、タマモアタックがムチを入れながら、先頭ルドルフィーナの外に並びかける。１馬身1/4差で３番手争いはカフジキング，メイショウカマクラと大外を押し上げたアガスティアの３頭の態勢で直線へ。

　 直線に向くと、ルドルフィーナ，タマモアタックの２頭の叩き合い。１馬身半差で３番手から追ってくるカフジキングだが、前とは同じような脚色。先頭２頭の叩き合いが続くが、残り１ハロンではタマモアタックが頭ほどリード，そして150ｍでは首差リードするが、ルドルフィーナも懸命に食い下がる。先頭から１馬身半差のカフジキングが、ここから差を詰めてきたが、タマモアタックが接戦の争いを半馬身制して優勝のゴール。混戦の２着争いは、カフジキングが競り勝って、ゴール前で差し込んできたコスモバーダン，最後まで粘っていたルドルフィーナを退けた。これが1000万クラスの嬉しい初勝利となったタマモアタック。500万クラスで惜しい競馬が続いて勝ち切れなかった時のことを考えると、ついに準オープン昇級というのは感慨無量。鞍上の藤岡佑騎手は、「好位の外で流れに乗って長くいい脚を使える持ち味を、うまく生かすことができました。体調はいいと聞いていましたが、それを生かすことができて良かったです。イメージ通りの競馬ができましたし、完勝と言える内容でしたね。」とコメント。渋太い競馬ができるタイプだけに、準オープンでも頑張ってほしい。

●ＪＲＡでは未勝利戦の２着が最高で地方３勝にとどまったファルファラの産駒ダンエクセル。母の果たせなかったＪＲＡでの勝利を目指すが、デビューから芝で４戦して８着が最高。その後ダートでも７着，６着と敗れているが、前走あたりは大きく負けておらず、地方のＪＲＡ交流戦で初勝利を狙う。ＪＲＡ勢が上位人気を集める形で、１番人気は、近２走地方の川崎の交流戦で２着，５着としているジュントップゴールで単勝2.2倍。前走も５着ではあったが、接戦の勝負の中で勝ち馬からは１馬身1/4差だった。ダンエクセルが単勝5.3倍の２番人気。叔母のフヨウは、ＪＲＡ４勝の実績を挙げた馬。３番人気は、前走川崎の交流戦では４着でジュントップゴールに鼻差勝っているガクチカキッズで単勝5.4倍。ＪＲＡのレースでも５着入着があるという点では、１，２番人気よりも上の実績と言ってもいい。しかしながら、地方勢も含めて混戦模様。あとはダンエクセルの勝負根性に期待したい。

　レースでは、全馬揃ったスタートで、ダンエクセルも外から押しながら前の方に出てくる。内からタッチライフが先頭，半馬身差でエムハートが２番手。これに半馬身差で外ダンエクセルが３番手。１〜２角で、大外を回ったコーナーワークの差でダンエクセルは若干遅れて、先頭まで１馬身半差となるが、また盛り返して先頭まで3/4馬身差。更に3/4馬身差でガクチカキッズ，コスモカンナムの２頭で、ここまでが先団を形成。向正面に入って、その後ろは２馬身半開いて人気のジュントップゴール以下。ジュントップゴールから３馬身後ろの最後方の争いの内々ケイティーエイコウは、手応えのいい行きっぷり。３角では、先頭争いはタッチライフ，エムハートの２頭が並ぶ。3/4馬身差でダンエクセルが３番手だが、３角過ぎから仕掛けて行く。３〜４角の中間では各馬仕掛けている中で、ジュントップゴール，ケイティーエイコウも先団に取り付いてくる。４角では、先頭タッチライフは手応えがいい。エムハートは3/4馬身遅れて２番手。更に3/4馬身差の３番手ダンエクセルは、終始大外を回らされる形。半馬身差で内にガクチカキッズ，コスモカンナムの２頭。これに１馬身差で大外に押し上げるケイティーエイコウ。ジュントップゴールは一杯気味で先団からは少し離されてしまって直線へ

　 直線に向くと、タッチライフの逃げ脚は鈍らず、１馬身リードを保っている。２番手エムハートに外からダンエクセルが並んでくるが、この２頭に内からコスモカンナム，大外ケイティーエイコウの２頭が伸びてきて、ラスト150ｍで内外からかわしての２番手争い。ダンエクセルは４番手に下がるが、エムハートは競り落としている。ラスト100ｍで、ダンエクセルは２番手争いの２頭に１馬身半遅れてしまう。ここからケイティーエイコウ，コスモカンナムの２頭は、タッチライフまで一気に抜き去ってしまう。ダンエクセルは、最後は甘くなって３番手に下がったタッチライフにゴール前でぐいぐい迫ったが、半馬身届かず４着でゴール。念願の初勝利のチャンスとも思われたが、パンチ力がやや足りなかった。それでも、今回は終始外を回るロスもあったのも事実。地方のＪＲＡ交流戦なら、メンバーと展開次第で、初勝利に十分手が届く手応えは掴んだ。

●前走川崎の交流戦では４着だったダンエクセル。地方で勝利を狙ったが届かず、今回はＪＲＡのレースで評価も低い。１番人気は、前走既走馬相手の未勝利戦でデビューして２番人気で４着だったレイダーで単勝1.7倍の断然の１番人気。一度競馬を経験しての上昇度も大きいはず。２番人気は、これまで７戦して入着で４回のシンゼンムサシで単勝7.4倍。最高着順は２着。ダンエクセルは、単勝35.0倍の９番人気。ＪＲＡでは６着が最高着順だが、今回は掲示板以上を目指したい。

　レースでは、ダンエクセルはスタートは五分に近い感じで、懸命にしごいて前の方に出て来ようとする。ジョジョール，レイダーの２頭が出てくるが、半馬身差で間ダンエクセル，外アイスパステルも差はない。更に大外からはメイショウオオヨドも押し上げてくる。１〜２角で、ジョジョールが先頭で半馬身のリード。外レイダー，１馬身半差でメイショウオオヨドの順。半馬身内ダンエクセルが４番手で、その後ろは３馬身と差が開いている。向正面では、５番手以下はバラけた展開で、隊列は固まるが、向正面の中間から、５番手ボムクレイジが差を詰めてくる。３角では、ダンエクセルはボムクレイジと並んで４番手争いで、先頭まで３馬身差だが、３角過ぎからダンエクセルは手が動いて単独４番手で、３〜４角の中間では、３番手メイショウオオヨドの内に並んでくる。このあたりではレイダーが先頭で、４角では3/4馬身のリード。ここでダンエクセルが単独２番手に上がり3/4馬身差でメイショウオオヨド。半馬身差で大外からシンゼンムサシが上がってくる。これに１馬身1/4差で大外リリーモントルーで直線へ。

　 直線に向くと、先頭レイダーが突き放しにかかって、残り１ハロンでは３馬身半完全に抜け出す。２番手ダンエクセルに、シンゼンムサシが半馬身差まで詰め寄ってくる。ラスト150ｍではダンエクセルはかわされて３番手となるが、ラスト100ｍでもシンゼンムサシに首差で食い下がっている。２馬身後ろの大外からリリーモントルーも追い上げる。ダンエクセルは最後甘くなってシンゼンムサシに突き放され、ゴール寸前でリリーモントルーにも首差差されて４着でゴール。それでも、ＪＲＡの競馬ではこれまでで最も内容の濃い走りで、ＪＲＡ初入着。鞍上の中井騎手は、「１〜２角で少し力んでしまいましたからね。その分ラストが甘くなりました。前半がカギになりそうですね。」とコメント。チャンスは残り少ないが、好勝負できる手応えを掴んだ一戦だった。

●前走４着となってＪＲＡのレースでは初入着を果たしたダンエクセル。１勝を挙げるのは厳しいかと思われていたが、ここにきて明らかな上昇カーブを描いており、更に前進できれば勝ち負けまで期待していい。１番人気は、近３走を２着，４着，３着としているシャーロックで単勝1.6倍の断然人気。２番人気は、前走門別の交流戦で２着だったブラックヘルトで単勝5.8倍。ＪＲＡのレースでは、５戦して３着１回，５着１回。ダンエクセルは、単勝9.0倍の４番人気。シャーロックはかなり手強いが、それ以外の馬とは実力接近。今のダンエクセルなら、前走以上の着順はかなり可能性が高そうだ。

　レースでは、ダンエクセルはスタートは悪くなく、比較的楽に好位集団につける。ニシノリヒトがじわっと先頭に出て、半馬身差で内から押してシャーロック，外からはブラウンプレストの２頭。これに3/4馬身差で外からダンエクセル，カズマデプレシャンの４番手争い。１〜２角で、シャーロックが先手を取り切って１馬身1/4差のリード。ニシノリヒトが２番手，１馬身差でブラウンプレストが３番手だが、これに内からダンエクセルが首差まで並んでくる。向正面で、１馬身1/4差でメイショウオオヨドが続いている。隊列に変動はなく、ダンエクセルは先頭から２馬身半差の内々４番手で、いい手応えで流れにも乗れている。３角では、ダンエクセルは３番手で先頭まで１馬身半差に詰めて行くが、３〜４角の中間では外からはメイショウオオヨドが押しながら並んでくる。それでも、ダンエクセルは楽な感じで、手応えがまったく違っている。４角では、シャーロックが先頭で半馬身リードをキープし、ニシノリヒトが２番手。１馬身差でダンエクセルが３番手だが、持ったままの抜群の行きっぷり。メイショウオオヨドは１馬身遅れて４番手，その後ろは２馬身差で追い込んで来そうな馬はいない。ダンエクセルの勝利に期待が大きく高まるが、あとは断然人気のシャーロックがどれほど強いのか。

　直線に向くと、ダンエクセルは内からうまく外に持ち出して進路を確保。残り１ハロンで先頭でシャーロックが１馬身リードするが、２番手ニシノリヒトを外からかわして行くダンエクセル。１馬身半後ろからメイショウオオヨドが追ってくる。しかしながら、ダンエクセルは一頭伸び脚が違っていて、ラスト100ｍでシャーロックを外からはあっさりかわし去って先頭に抜け出す。ここから楽々と突き放したダンエクセルは、後続をまったく寄せ付けず３馬身半差の圧勝のゴール。ゴールの瞬間、メイショウオオヨドがシャーロックを鼻差捕らえて２着に食い込んだが、まったくダンエクセルの敵ではなかった。これほどまでに強かったのかという勝ちっぷりを見せたダンエクセル。中井騎手の騎乗も申し分なし。鞍上の中井騎手は、「稽古からずっと乗せてもらってクセを知っていたので、自信をもって乗りました。人気馬を見ながら運べましたし、道中は内々で脚をタメて完璧なレースができました。オーナーや調教師、厩舎スタッフなど関係者の皆さんに感謝したいです。」とコメント。前走あたりから大幅に力をつけている。この勝ち方なら、500万クラスでも面白い競馬を見せてくれそうだ。

●デビュー４戦の平地未勝利戦で５着となって、２度目の入着を果たしたティナカヌメ。その後も初勝利を目指したが、４戦して８着が最高で、残念ながら平地の初勝利は挙げられなかった。それでも最終戦は勝ち馬から0.5秒差で、決して大きく負けているわけではなかった。今回は障害に転向しての一戦だが、高い障害適性を示して、今後に希望を繋ぎたいところ。１番人気は、平地では５着が最高だったが、前走障害初戦で３着と力を見せたショウナンアリストで単勝2.6倍。２番人気は、平地では１勝を挙げ、障害転向後は３戦して５着，６着，７着としているデュアルメジャーで単勝4.3倍。ティナカヌメは、単勝17.4倍の６番人気。障害初出走ということで伏兵評価に留まっているが、適性があれば互角の勝負ができるメンバーだ。

　レースでは、ティナカヌメは好スタート。デュアルメジャーがすっと先頭に立つ。外からティナカヌメが２番手に上がり、１周目３角では先頭に１馬身半差。ここで外からナイスワンが一気にかわして２番手に。３〜４角の中間では、ティナカヌメは先頭に２馬身1/4差の３番手。人気のショウナンアリストは、更に６馬身後ろの９番手。４角では、先頭デュアルメジャーが２馬身リード。２番手にナイスワン，3/4馬身内にティナカヌメ。正面スタンド前では、ティナカヌメが２番手に上がり、先頭に１馬身半差。初障害とは思えないほど、飛越は安定している。このあたり、先頭〜中団後ろのショウナンアリストまで固まって集団を形成する。スローの流れになっているが、先頭デュアルメジャーはここで３馬身とリードを開いていく。前の一団の集団の中の内々にカタヨクノテンシがつける展開。 １〜２角では、２番手はティナカヌメ，ナイスワンの２頭で、先頭まで１馬身3/4差。3/4馬身内にブルベアリンクスの態勢。向正面の障害飛越で、先頭デュアルメジャーは遅れてあっと言う間に順位を下げてしまう。今度はアウアウが先頭に替わって１馬身3/4差のリード。ティナカヌメが２番手，１馬身1/4差でブルベアリンクス。これに半馬身差でカタヨクノテンシが４番手争いに。今度はティナカヌメが先頭に立って、２番手アウアウにカタヨクノテンシが並んでくる。更に１馬身差でブルベアリンクス，ショウナンアリストの２頭。その２馬身後ろからデュアルメジャーもまた盛り返してくる。３角では、先頭ティナカヌメにカタヨクノテンシが半馬身差に接近。３〜４角の中間では、カタヨクノテンシは少し仕掛けて、先頭争いは２頭が並ぶ態勢に。４角でも前２頭が並んでいたが、直線入口でカタヨクノテンシの方が半馬身リード。内ティナカヌメは２番手。１馬身差でブルベアリンクス，ショウナンアリストの３番手争い。これに3/4馬身差で内デュアルメジャーで、この５頭の勝負の態勢で直線へ。

　 直線に向くと、ティナカヌメは半馬身差の２番手で最終障害を飛越。この時点で、５頭が１馬身半圏内で固まる。残り250ｍで、先頭カタヨクノテンシが１馬身1/4差抜け出す。２番手ティナカヌメを、内ラチ沿いデュアルメジャー，外からショウナンアリストがかわしにかかる。3/4馬身差でブルベアリンクス。残り１ハロンでは、ティナカヌメは内外からかわされて４番手に。それでも、ラスト100ｍでもブルベアリンクスを3/4馬身抑えて、４着は死守できるか。ティナカヌメは、接戦を演じた上位３頭には突き放されてしまったが、最後じわじわ詰め寄るブルベアリンクスを首差しのいで４着でゴール。障害戦としては着差の小さい競馬で、今後に期待をつなぐ内容。初障害としては及第点の内容。鞍上の五十嵐雄騎手は、「演習通り、センスのある飛越を見せてくれました。ひとつだけ飛越が近かったですが、それでも上手にこなしてくれましたし、ほぼ完璧で思った通りの競馬はできました。４角でもう少し手綱を抑えたまま行ければ良かったんですが、３角から勝った馬のプレッシャーがキツかったですね。でも、２戦目、３戦目とこれからもっと良くなるはずですよ。」とコメント。今回はスローの流れだったが、厳しい展開でどんな走りができるかも見てみたい。経験を積んで行けば、念願の初勝利も夢ではない。

●障害転向緒戦の前走は３馬身3/4差の４着と善戦したティナカヌメ。高い障害適性を示し、一度競馬を経験しての上積みが見込める今回は、平地・障害通じての初勝利に期待がかかる。そして、ティナカヌメが単勝2.1倍の１番人気に支持される。２番人気は、障害入りしての３戦を４着，６着，３着としているブルーガーディアンで単勝3.4倍。平地では500万クラスで、平地の実績はティナカヌメより上。３番人気は、近５走を４着，２着，４着，中止，６着としているニシノセイリュウで単勝6.0倍。ライバルたちもそれほど強力というわけではないだけに、ティナカヌメにとっては初勝利の大きなチャンスとなる。

　 レースでは、ティナカヌメはスタートは五分に出て、少し掛かり気味に好位グループに。ブルーガーディアンが先頭に立って、半馬身差でアサクサチャンス。半馬身内にシゲルクロカジキが３番手，その半馬身外にティナカヌメの態勢。逆回り４角から３角にかけて、今度はアサクサチャンスが先頭。４番手ティナカヌメは、先頭まで１馬身半差。１馬身半後ろの５番手争いにカシノカームなど。向正面からタスキコースに入って、２番手はティナカヌメなど３頭が並んでくる。ここからティナカヌメが一旦先頭アサクサチャンスに並びかけるが、バンケット障害で歩幅が少し合わない感じに。順回りの１〜２角で、ティナカヌメは先頭に3/4馬身差の２番手だが、外からカシノカームがかわして押し上げ、先頭に替わって１馬身半リードする。向正面に入って、ティナカヌメがカシノカームに3/4馬身差まで詰めたところで、カシノカームが外に斜行してティナカヌメは外に弾かれる。障害が間近に迫っていたために、ティナカヌメは歩幅を合わせるのが難しく、減速して飛越する形を余儀なくされ、一瞬で４番手に順位を下げる。先頭カシノカームに、内から今度はシゲルクロカジキが並んで行く。２馬身開いてブルーガーディアン，これに半馬身差でティナカヌメは４番手。ここからティナカヌメは手が動き、３角手前では先頭に２馬身差の３番手に。３角では、カシノカームがまた単独先頭。3/4馬身差で内シゲルクロカジキ。１馬身1/4差でティナカヌメが３番手だが、内側からニシノリュウセイが首差に接近してくる。３〜４角の中間では、ティナカヌメはムチを飛ばしながら差を詰めにかかるが、ニシノリュウセイの方が勢いがあり、ティナカヌメは狭いところに入って来たニシノリュウセイに接触されて、外に弾かれて遅れを取る。４角では、ニシノリュウセイが先頭カシノカームに並びかける。その後ろは２馬身半開いて、内シゲルクロカジキ，外ティナカヌメの３番手争い。その後ろは５馬身と差が開いて直線へ。

　 直線に向くと、カシノカーム，ニシノリュウセイが先頭争いで並んだまま最終障害を飛越。３馬身開いて、シゲルクロカジキ，外ティナカヌメの２頭が３番手争い。残り１ハロンからカシノカームがもうひと伸びして、ラスト150ｍで１馬身リード。ニシノリュウセイが２番手。ティナカヌメは前との差は詰められないが、シゲルクロカジキより首ほどリード。３着争いは、ラスト80ｍまでシゲルクロカジキが渋太く食い下がっていたが、ティナカヌメがここから競り落として、最後は１馬身1/4差をつけて３着でゴール。２着のニシノリュウセイからは５馬身差があった。人気に応えられなかったティナカヌメだが、１，２着馬は過怠金を徴収されていたように、今回は道中の度重なる不利が大きく響いていた。スムーズであれば、２着争いなら際どかったかも。それでも、不利がありながらも最後まで踏ん張った内容は評価できる。鞍上の五十嵐雄騎手は、「感じ良く運べました。ただ、勝った馬がブレーキをかけて外へ来たので、そこで減速してしまいました。そのロスが大きかったですね。また、３〜４角でも２着馬とぶつかって、スムーズではなかったです。飛越センスはあるので、次に期待したいです。」とコメント。今回は運がなく力を発揮できなかったが、初勝利は遠くはないはずだ。

●前走の障害未勝利戦では、道中２度の不利を受けて３着に終わったティナカヌメ。それでも、障害入り後２戦して４着，３着と安定した走り。今回はメンバーも強化されているが、勝ち負けできて当然の力は持っているはず。１番人気は、平地1000万クラスから障害入り後２戦を連続２着としているサーストンコラルドで単勝2.0倍。ティナカヌメが単勝5.1倍で２番人気。３番人気は、平地準オープンから障害入りし、障害初戦は約１０馬身差の４着だったエアカーディナルで単勝7.8倍。ティナカヌメは、今度こそこの馬の実力を出し切る競馬をしたい。

　 レースでは、ティナカヌメはまずまず好スタート。シゲルコングが先頭に出てくるが、ティナカヌメは横に広がった２番手争いの大外。ここからシゲルロウニンアジ，ティナカヌメの２頭が先頭に並んでくる。逆回り４角手前で、今度はティナカヌメが積極的に行って先頭に立つ。４角〜３角にかけて、ティナカヌメは１馬身半のリード。シゲルコングが２番手，１馬身1/4差に詰めてきたスリージェットが３番手。２馬身差でシゲルロウニンアジ，サーストンコラルドの２頭。タスキコースに入ってきて、先頭ティナカヌメは２馬身リード。２番手シゲルコングに、スリージェットが首差まで接近。ティナカヌメは、バンケットにもリズムを崩さず、いい感じで逃げている。順回りの１角〜２角で、２番手シゲルコングの後ろは４馬身と開いてきて、３番手以下は固まってくる。向正面では、ティナカヌメのリードは３馬身。向正面の中間でも２馬身半リードを保つが、２番手シゲルコングの後ろは、スリージェット，シゲルゴリラの２頭が１馬身半差まで詰めてくると、３角手前ではシゲルゴリラが２番手に上がり、先頭まで１馬身半差に。３角では、シゲルゴリラが先頭に3/4馬身差まで接近する。３番手シゲルコングは１馬身3/4差遅れる。３〜４角の中間では、３番手の外にサーストンコラルド，シゲルボスザルの２頭が並んでくる。ティナカヌメの方が２番手以下の各馬より手応えがいいが、先頭から３馬身半差の６番手争いのエアカーディナルが、内々で手応えも良く虎視眈々。４角では、大外シゲルボスザルがムチを飛ばしながら１馬身差の２番手に。首差で中シゲルゴリラ，3/4馬身差でサーストンコラルドは４番手。その１馬身1/4差後ろの６番手エアカーディナルは、いつの間にか外に持ち出していて直線へ。へ。

　 直線に向くと、ティナカヌメが１馬身半リードで最終障害を飛越。この飛越で若干バランスを崩す感じになる。残り１ハロンで、3/4馬身差で内側に入ってきたサーストンコラルド。ラスト150ｍでは、更に１馬身3/4差の３番手争いから、大外エアカーディナルが素晴らしい伸び脚を繰り出してくる。ラスト100ｍでは半馬身差まで迫られたティナカヌメだったが、ここからサーストンコラルドを突き放して押し切ったかと思われたが、そこへ平地力でまさるエアカーディナルが一気に襲いかかって、ティナカヌメはゴール寸前で外から惜しくも頭差かわされて無念の２着惜敗のゴール。勝ちに等しい内容だったが、念願の初勝利はならず。それでも、初勝利がもう目前なのは間違いない。今回は不利を受けずに走れただけに、これくらい走れて当然。鞍上の五十嵐雄騎手は、「障害３走目、福島も２回目で、飛越はいちばん良かったです。マイペースで運べて残せる計算でしたが、最終障害で踏み切りを外して勢いがそがれてしまいました。もったいなかったです。３歳牝馬でここまで順調にこれていますし、チャンスは近いです。」とコメント。次走こそ勝利をモノにしたいところだ。。。。。

●４月の阪神の500万下平場戦では４馬身差の圧勝を演じたトウショウコマンチ。気持ちよく自分のペースで運べたのが大きかったが、それにしても強い競馬だった。1000万に昇級した平場戦では７着に終わったが、大きくは負けていなかった。今回はクラス再編で再び500万クラスの競馬となるだけに、当然勝ち負けの期待。１番人気は、佐賀のたんぽぽ賞２着の後、500万下平場戦を連続２着としているテイエムチューハイで単勝2.7倍。九州産馬で軽く見られていたせいか、ここ２戦は人気薄での好走。実力が認められて、今回は人気を集める。トウショウコマンチは、単勝4.7倍の２番人気。３番人気は、デビューから４戦して新馬１着，500万特別２着，２着、平場戦３着という成績のイイデファイナルで単勝6.6倍。３歳馬とトウショウコマンチが人気になっているが、古馬の経験と底力で、３歳馬の勢いを止めたいところだ。

　 レースでは、トウショウコマンチはスタートも良く、内からムチを３発入れて先手を取りに行くが、外から一気にデスティネイションがかわしていく。更に最内イイデファイナル，大外フォレストタウンなどもこれに加わって、先行勢が４頭固まったところで、トウショウコマンチは進路が狭くなってブレーキをかけて下がる形になり、先頭から２馬身差の４番手になってしまう。先手を取りたかっただけに、これは誤算でもある。１〜２角で、イイデファイナルが先頭に立って、3/4馬身差でデスティネイション。3/4馬身内トウショウコマンチが３番手だが、外首差でフォレストタウンも差はない。向正面では隊列が固まって、馬順に変動はない。向正面の中間を過ぎて、トウショウコマンチは先頭に１馬身1/4差。３角でもトウショウコマンチは３番手争いで変わらず、内々でいい手応え。３〜４角の中間では、先頭イイデファイナルにデスティネイションが並びかける。半馬身差でフォレストタウン，これに１馬身差でトウショウコマンチなど３頭の４番手争い。このあたりは内々で包まれて、動くに動けない状態。４角では、先頭デスティネイションにフォレストタウンが並びかける。１馬身差でショウナンバローネが３番手，その半馬身内でトウショウコマンチは４番手で余力あり。その更に３馬身半後ろ、中団後ろの位置から真ん中を突いてロードアルペジオが絶好の手応えで直線へ。

　 直線に向くと、デスティネイション，フォレストタウンの先頭争いで、２頭で１馬身3/4差のリード。残り250ｍを切って、トウショウコマンチがショウナンバローネを内からかわして単独３番手に。残り１ハロンでは、デスティネイションの方が半馬身出て先頭。２番手フォレストタウンに、3/4馬身差まで詰め寄るトウショウコマンチ。ジリジリ伸びるトウショウコマンチは、ラスト100ｍでフォレストタウンをかわして２番手に上がったが、先頭まではまだ１馬身半差がある。しかしながら、そこへ一気の追い込みで猛然と襲いかかってきたのがロードアルペジオ。ラスト20ｍでトウショウコマンチを並ぶ間もなく抜き去ると、先頭デスティネイションまでかわして、最後は１馬身1/4差で快勝。トウショウコマンチは、最後で甘くなったデスティネイションに際どく迫ったが、惜しくも首差届かず３着でゴール。それでも、序盤で不利を受けて思った位置を取れなかったことを考えると、このクラスでの力量上位を改めて示した形。鞍上の鮫島良騎手は、「外が速くて行けなかったんですが、こういう形でレースができたのは収穫でした。ただ、やはり惰性で動いて行くのが最も持ち味を生かせる形なので、理想はハナだと思います。それでもこれだけ走れるんですから、500万では力上位ということですね。」とコメント。500万クラスでの勝利は、もう時間の問題と言っていだろう。

●前年７月盛岡のハヤテスプリントをレコードタイムの５馬身圧勝で地方重賞初制覇を飾ったトドイワガーデン。しかしながら、その後は地方重賞を９着，１２着と大敗。更にＡ３特別４着，Ａ４特別３着という成績。これまでダートの1000ｍ戦は３戦全勝で、1000ｍが最適距離。今回は得意の1000ｍ戦だけに、門別の地方重賞でも好走の可能性は十分にある。１番人気は、最転入となったＪＲＡで500万下平場戦を４馬身差圧勝した後、１０か月の長期休養を経て再び門別で復帰し、復帰戦のＡ４特別を４馬身差楽勝したタイセイバンデットで単勝1.7倍。順調に使えていない弱みがあるだけで、潜在能力はかなりのものがあるはず。２番人気は、ＪＲＡオープンから門別に移籍し、Ａ１特別２着，オープン特別１着とした後、交流Ｇ３北海道スプリントＣでは６着だったメイショウノーベルで単勝3.4倍。前走はＪＲＡ勢相手でさすがに厳しかったが、地方馬相手なら実績・実力とも上位。ＪＲＡ時代は、Ｇ３カペラＳ３着、オープン特別で２着３回，３着２回などの実績がある。トドイワガーデンは、単勝62.0倍の９番人気。さすがにこのメンバーで評価は低いが、1000ｍではまだ底を見せてはいないだけに、密かに期待をかけたい。

　 レースでは、トドイワガーデンはスタート良く、内のタイセイバンデットと２頭並んでの先頭争い。２頭が張り合っていたが、タイセイバンデットが譲らない構えだったため、トドイワガーデンは控えて半馬身差の２番手。3/4馬身差でテイエムシャンパンが３番手。その２馬身半後ろの中団内々にレッドペリグリンで３角へ。前の方の態勢は変わらずタイセイバンデットが先頭キープ。３〜４角の中間では、3/4馬身差の２番手トドイワガーデンの外にテイエムシャンパンが並んで来る。その後ろは２馬身開いて、外から２番人気メイショウノーベルが進出。４角にかかると、トドイワガーデンは手応えがやや怪しくなってくる。タイセイバンデットが終始先頭で２馬身リード，外テイエムシャンパンが２番手。3/4馬身遅れてトドイワガーデンは３番手で、内からスルスルとレッドペリグリンが並んで来て直線へ。

　 直線に向くと、タイセイバンデットが先頭で２馬身半リードで押し切りを図る。テイエムシャンパンが２番手で、半馬身内からレッドペリグリン。更に半馬身差で中トドイワガーデンは４番手に下がる。更に大外からトウカイビジョンが伸びてくる。残り１ハロンでは、トドイワガーデンはトウカイビジョンにも僅かにかわされて５番手か。しかしながら、トドイワガーデンはここから渋太く踏ん張って、トウカイビジョンに半馬身差で食い下がると、脚が甘くなったテイエムシャンパンをかわして４番手に。その後ろは２馬身開いている。２番手レッドペリグリンは、先頭タイセイバンデットとの１馬身3/4差をじわじわ詰めてはいたが、タイセイバンデットが１馬身差を保って逃げ切り勝ち。トドイワガーデンは、トウカイビジョンとの半馬身差をラスト50ｍからじりじり広げられてしまったが、最後追い込んで来た外シセイカイカ，中コールサインゼロを首，首差しのいで４着確保のゴール。最後まで渋太く粘って４着を確保したトドイワガーデン。直線入口では呑み込まれてしまうのではという感じもあったが、そこから差し返そうとする勝負根性は評価していい。やはり1000ｍではかなりの能力を持っている。1000ｍの地方重賞なら、メンバー次第で今後もチャンスはありそうだ。

●グランシャリオ門別スプリントで４着となり、北海道で古馬相手に地方重賞入着を果たしたトドイワガーデン。その後はＡ３クラスの特別戦を２着，２着，４着と崩れることなく上位争いを続ける。今回は再び、地方重賞で上位争いを期待。１番人気は、ＪＲＡ500万クラスを４馬身差圧勝した後１０カ月の休養を余儀なくされたが、北海道に移籍してＡ４特別，重賞のグランシャリオ門別スプリントを連勝，更に南関東に遠征した重賞の習志野きらっとスプリントでも２着と健闘したタイセイバンデットで単勝1.5倍の断然人気。２番人気は、グランシャリオ門別スプリント２着の後、Ａ３特別３着，Ａ１〜Ａ３特別２着と好成績を挙げているレッドペリグリンで単勝7.3倍。エトワール賞２連覇を狙っている。トドイワガーデンは、単勝54.0倍の８番人気。タイセイバンデットは相当に手強いが、それ以外の馬なら決して負かせない相手ではないはず。展開が向くようなら、上位食い込みがあっておかしくない。

　レースでは、トドイワガーデンはスタート良く、手綱を押して先行争い。しかしながら、加速が速かったのは断然人気のタイセイバンデットで、すっと１馬身リード。アウヤンテプイ，テイエムシャンパンの２番手争いだが、これに半馬身差で最内メイショウノーベル，大外トドイワガーデンもこの争い。その後ろは２馬身開いてレッドペリグリン以下。３角でも、先頭タイセイバンデットは１馬身半リードで軽快に逃げている。２番手テイエムシャンパンに、外からトドイワガーデンが首差まで接近。しかしながら、３〜４角の中間ではトドイワガーデンは半馬身の遅れとなって、手が動き始める。その後ろから１馬身1/4差でメイショウノーベル，アウヤンテプイが差を詰めてくる。４角にかかると、先頭タイセイバンデットは２馬身半と後続を突き放しにかかる。２番手テイエムシャンパンに、半馬身内にメイショウノーベル。これに3/4馬身差で外トドイワガーデンは４番手だが、以下も差はなく一団で続いて直線へ。

　 直線に向くと、先頭タイセイバンデットは既に楽勝態勢。４番手トドイワガーデンは、外レッドペリグリンにかわされてしまうが、ここから粘りを見せる。残り１ハロンで、タイセイバンデットは３馬身抜けている。２番手テイエムシャンパンを、ラスト150ｍでレッドペリグリンがかわすが、トドイワガーデンもここから食い下がり、ラスト100ｍではレッドペリグリンの内側首差で渋太く粘っている。最内からはデロニクスレギアも２番手争いに。先頭タイセイバンデットは４馬身リード。トドイワガーデンは盛り返して、レッドペリグリンと際どい勝負。内ラチ沿いデロニクスレギアも、外の２頭と少し離れていて、どの馬が優勢か分からない。２着争いは大激戦となっていたが、そこへ大外から強襲してきたシセイカイカ，つれて１馬身遅れでエイシンヒートも差してくる。脚色が違っていたシセイカイカが、内の各馬をまとめて抜き去って２着に。更にはエイシンヒートが最後３着争いに食い込んで、内から順にデロニクスレギア，トドイワガーデン，エイシンヒート，レッドペリグリンの４頭大接戦の３着争いのゴール。実に際どい態勢で、中でも特に３，４着争いと、５着，６着争いは微妙な態勢。しかしながら、トドイワガーデンはデロニクスレギアに写真判定で僅かに遅れて６着。３着レッドペリグリンとの差は、鼻×３というよりも、実際には鼻差１個分の差しかなかっただけに、掲示板まで外してしまったこの結果は実に残念。勝ち馬は別格として、トドイワガーデンも踏ん張りを見せてくれていただけに、もう少し上の着順が欲しかったというのが正直なところ。それでも勝負どころで遅れ気味になりながら、最後まで諦めずに頑張り抜いた勝負根性は称賛していいはずだ。

●１年前のグランシャリオ門別スプリント４着で、地方重賞での入着を果たしたトドイワガーデン。その後はＧ３の交流重賞を含めて１０戦１勝という成績。それでも、そのＧ３の１戦を除いて掲示板は外しておらず、安定した活躍を見せている。今回は昨年に引き続いてのグランシャリオ門別スプリント挑戦となるが、このメンバーでも好勝負できて不思議はない。１番人気は、ＪＲＡ500万下平場戦を優勝した後、１０か月の長期休養を経て門別に移籍し、ここまで北海道では 4-2-0-0 の絶対の安定性を見せているタイセイバンデットで単勝2.1倍。今回も６か月ぶりの実戦で、そのあたりがマイナスに出る可能性はある。２番人気は、大井競馬のＣ１クラスからこの５月の北海道に移籍してきたカツゲキライデンで単勝2.9倍。北海道に移籍してからは、オープン２着，Ｇ３北海道スプリントＣ５着という成績。前走はＪＲＡ勢を一頭負かしてのＧ３入着であり、高く評価していい。トドイワガーデンは、単勝25.7倍の６番人気。安定性はあっても、勝ち切るまでは容易ではないと見られているが、勝ち負けまで狙っていきたい。

　レースでは、トドイワガーデンはスタート良く、手綱を押して先頭争い。ムチを飛ばしてトドイワガーデンが先頭に出かかるが、内フィネス，外タイセイバンデット，カツゲキライデンも激しく競ってくる。ここからカツゲキライデンが一頭抜け出て、３角では３馬身とグンとリードを開く。タイセイバンデットが２番手，半馬身差で中トドイワガーデン。更に内に半馬身差でフィネスの態勢。その後ろは２馬身半開いている。３〜４角の中間では、２番手タイセイバンデットの後ろが１馬身3/4差と開いてくる。３番手にフィネス，3/4馬身遅れてトドイワガーデンは４番手に。後ろにいたメイショウアイアンが差を詰めて接近。４角でも、先頭カツゲキライデンは３馬身リード。４番手トドイワガーデンは、フィネスにも１馬身半遅れる。トドイワガーデンに3/4馬身差にダモンデ，メイショウアイアンも取り付いてきて直線へ。

　直線に向くと、先頭カツゲキライデンは３馬身リードのまま残り200ｍ。２番手タイセイバンデットも差を詰詰められない。トドイワガーデンは、ぐんぐん追い込むメイショウアイアンにかわされて５番手となるが、ここから渋太さを見せて、ラスト150ｍではフィネスにまた並びかけての４番手争いに。ここからフィネスを差し返して４番手に上がったトドイワガーデンだが、３番手タイセイバンデットまでは２馬身1/4差があってこれには及ばない。それでも最後まで頑張って走って、タイセイバンデットに１馬身半差まで詰めて４着でゴール。完全に抜け出していたカツゲキライデンは、最後メイショウアイアンの強襲に遭ったものの、首差しのいでの逃げ切り勝ちだった。前年と同じ４着だったトドイワガーデン。勝ち負けまではなかなか厳しいが、この馬なりに頑張った印象。４角で後退加減になりながら巻き返してきた内容は、最後まで諦めない勝負根性を見せたもので、大いに評価したい。

●ＪＲＡでは２着止まりで惜しくも１勝を挙げられなかったファルファラの産駒トワイライトビギン。母の叶えられなかった夢を叶えたいが、新馬デビュー戦はブービー１４着の惨敗。まったく勝負にならなかっただけに、今回もほとんど注目されていない。２戦目での変わり身を期待。１番人気は、新馬デビュー戦では大きく出遅れながら１０番人気で６着まで追い込んできたライデンシャフトで単勝2.8倍。発走再審査になったほどの致命的な出遅れだったが、あそこから６着にまで持って来たことに凄みを感じさせるほどだった。２番人気は、新馬デビュー戦では２馬人気で３着だったマードレヴォイスで単勝3.1倍。トワイライトビギンは、単勝136.1倍の１２番人気。今後に繋がる競馬を見せてほしい。

　レースでは、トワイライトビギンは、スタートで２馬身出遅れて殿りから。スタートから100ｍで、先頭からもう６馬身差がついている。前走大きく出遅れたライデンシャフトが、好発を決めてすっと１馬身リードで先頭。これにニシノバモスが続くが、外からフライトゥヘヴンがかわして２番手に。スタートから250ｍで、トワイライトビギンは１頭かわして後方２頭目で、先頭からは７〜８馬身差。３角では、後方３，４頭目の位置となる。先頭ライデンシャフトは１馬身リードで逃げているが、３〜４角の中間では、手応え十分のままリードを２馬身に開く。２番手フライトゥヘヴンは一杯で、これをかわして行くニシノバモス，首差で外マードレヴォイス，更に半馬身差で大外ピサノメタルシティ。トワイライトビギンも、手綱をしごきながら大外を押し上げて行く。４角では、ライデンシャフトは４馬身と更にリードを開いて早くも楽勝態勢。トワイライトビギンは、２番手にニシノバモスから４馬身差，大外６，７番手争いまで馬順を上げて直線へ。

　直線に向くと、先頭ライデンシャフトは６馬身リードで残り１ハロン。圧倒的な強さを見せつける。ニシノバモス，マードレヴォイスの２番手争い。２馬身1/4差開いて４頭の４番手争いだが、これに大外で加わっているのがトワイライトビギン。ラスト150っｍでは、４番手争いでトワイライトビギンが僅かに出たかという場面も。しかしながら、ラスト100ｍで内から渋太く伸びたエピローグに僅かにかわされた形になり、ゴール前で大外から差して来たマッシブアプローズにも差されて６着でゴール。４着以下は首，首差の接戦だったが、惜しくも６着で掲示板は逃してしまった。それでも、スタートの出遅れがなければ、あるいは３着争いにも加われていたのではと思える走り。デビュー戦の惨敗から大きく巻き返し、今後に期待が膨らんだ。勝ったライデンシャフトは、９馬身差をつける桁違いの圧勝だった。

●デビュー２戦目の前走は４着馬から首，首差の６着だったトワイライトビギン。惜しくも掲示板を逃したが、今回は掲示板はもとより、それ以上の結果を期待したい。１番人気は、新馬デビュー戦は１番人気で3/4馬身差の２着だったマジックリアリズムで単勝1.7倍の断然人気。２番人気は、デビューからの２戦を３着，２着のとしているニシノドクターヘリで単勝5.2倍。特に前走は鼻差の惜敗だった。トワイライトビギンは、単勝264.1倍の１１番人気。意外過ぎるほど評価が低い感もするが、前走から更に上積みを見せてほしいところだ。

　レースでは、トワイライトビギンはスタートは五分に出るが、すぐに後方の位置取りとなり、じっくりレースを進める。ニシノドクターヘリが先頭に出てきて、半馬身差でコロボックル，これに首差で外ワイルドオーキッドあたりが先団を形成。その１馬身後ろに名牝スイープトウショウの産駒スイープセレリタスが追走。トワイライトビギンは、先頭から６馬身差の後方３番手。一頭大きく離されている馬がいるため、実質後方２番手の態勢。３角では、先頭ニシノドクターヘリのリードは１馬身，ワイルドオーキッドが２番手。トワイライトビギンは先頭まで７馬身差で動かない。３〜４角の中間でも、先頭ニシノドクターヘリは持ったままの逃げ。馬順に変動はなく、スイープセレリタスは先頭から２馬身差の４番手で、外のサパムーカンチャイと並んでいる。４角でも各馬十分余力を残しており、トワイライトビギンは先頭から６馬身差の後方２頭目のまま、ここから大外に回して行って直線へ。

　直線に向くと、トワイライトビギンは追い出しにかかっても伸びはひと息で、先頭まで７馬身差で差を詰めらずに残り350ｍ。ニシノドクターヘリ，ワイルドオーキッドの先頭争いに、外からかわしにかかるスイープセレリタス。その後ろは２馬身1/4差があって、４頭が４番手争いで並んでいる。そこから４馬身後ろの後方にサピアウォーフ，更に半馬身遅れでトワイライトビギン。残り１ハロンでは、スイープセレリタスが１馬身抜け出して先頭。トワイライトビギンは、サピアウォーフにも突き放されて、先頭から７馬身差の後方２頭目。惨敗を覚悟しなければならない状況に見えた。しかしながら、残り１ハロンを切ってからようやくエンジンがかかる。ラスト150ｍまでに２頭かわしたところで一瞬狭くなるが、大きな不利までには至らず、すぐに態勢を立て直して、ラスト100ｍを切ったところで内にいた４頭をまとめてかわす。先に脚を伸ばしていったサピアウォーフに１馬身半差をつけられていたが、ここから盛り返して差を詰めて行く。トワイライトビギンは最後まで脚色が鈍ることなく５番手まで上がり、サピアウォーフとの差も最後は3/4馬身差まで詰めて５着でゴール。優勝したスイープセレリタスからは６馬身ほどの差があったが、今回は掲示板は確保。鞍上の勝浦騎手は、「ゲートに課題を残しますが、この前も内容は悪くなかったですし、今回も良かったと思います。ゲート練習は積んでいるようですが、今後もその辺がカギですね。」とコメント。反応は遅いものの、安定感が出てきた印象。今後更に成長できれば面白い。

●Ｇ２京王杯スプリングＣ３着を始めオープンで活躍したインプレスウィナーを兄に持つナランフレグのデビュー戦。兄は全盛期にオープン特別３勝を挙げたが、重賞挑戦の機会は少なく重賞制覇を果たせなかった。それだけに、ナランフレグには兄の果たせなかった夢に近づいてほしい。１番人気は、ゴールドアリュール産駒のビューティーコパで単勝4.4倍。２番人気は、プリサイスエンド産駒のカナシバリで単勝5.4倍。ナランフレグは、単勝7.9倍の６番人気。兄はダートは不向きだったが、ナランフレグはゴールドアリュールの血がダートで黙っていない。兄とは違う面を見せて活躍してくれるはずだ。

　レースでは、ナランフレグはスタートは五分に出て、すっと前に行って先行争いの一角。ストレートパンチ，サリーバランセ，オビワンズドーン，ナランフレグの４頭が並んでいるが、ストレートパンチが先頭に出てくる。ナランフレグは、先頭から１馬身1/4差の３番手争いで、オビワンズドーンの外に並んでいる。３角では、ナランフレグはオビワンズドーンの半馬身外の４番手で、手応え十分の追走。３〜４角の中間でも、ナランフレグは先頭から２馬身差の４番手でじっとしている。一方、人気のビューティーコパはまだ後方。４角にかかると、ナランフレグが持ったままで大外から前に接近。先頭は、ストレートパンチ，サリーバランセ，ナランフレグの３頭が並ぶ態勢に。その後ろは１馬身半差で３頭が並んで続いて直線へ。

　直線に向くと、先頭３頭が並んだ態勢が続いているが、ナランフレグは持ったままで追い出しを待つ余裕がある。そして残り350ｍから追い出しにかかると、ナランフレグが先頭に抜け出してくるが、内で食い下がるサリーバランセ。ナランフレグの3/4馬身外に詰め寄って来たのがカナシバリ。しかしながら、余力を十分残していたナランフレグは、ここから突き放しにかかって、残り250ｍでは１馬身3/4差にリードを開く。２番手争いはサリーバランセとカナシバリ。残り１ハロンではカナシバリが単独２番手となったが、ラスト100ｍではナランフレグが２馬身半と突き放して楽勝態勢。それでもまだ目一杯の感じではなく、ナランフレグがゴール前では緩める余裕さえ見せて、１馬身3/4差の楽勝のゴール。まったく危なげない内容で、ここでは潜在能力が一枚上だった。ゴールドアリュール産駒らしく、ダート適性も発揮してくれた。鞍上の丸田騎手は、「上手にスタートを切ってくれましたし、道中は何の注文もつかないくらいでした。乗りやすかったですね。直線に向いた時の手応えは十分でした。まだ良くなりそうな感じがしますが、現時点としてはしっかり動いてくれたと思います。」とコメント。今回はメンバー的にどうだったか分からないところはあるが、今後に大きく期待が膨らんだのは間違いない。

●東京の新馬戦を６番人気ながら強い競馬で快勝したナランフレグ。今回は500万クラスに昇級しての一戦。なかなか手強いメンバーだが、好勝負を期待。１番人気は、新馬戦で１０馬身差圧勝を演じたメイクハッピーで単勝1.4倍の断然人気。２番人気は、デビューからの３戦を３着，２着，１着として勝ち上がってきたロマンティコで単勝4.9倍。前走は７馬身差の圧勝。ナランフレグは、単勝52.8倍の７番人気。メイクハッピーに高い評価が集まり過ぎて、この馬にはかなわないのかもしれないが、見せ場は十分作ってくれるはずだ。

　レースでは、ナランフレグはほぼ五分のスタートで、じっくり中団から進める。ポーンと好発を決めたのは大外メイクハッピー。ただでさえ圧倒的と言われている馬に、これほどのスタートを決められると、他馬には早くも厳しいレースとなる。内からエヴァキュアン，セイウンコービーの２頭が出てくる。メイクハッピーは、ハナを取りに行く構えはない。スタートから１ハロンで、エヴァキュアンが先頭，3/4馬身差でセイウンコービーが２番手。１馬身差でヨハンが３番手，その首差外にメイクハッピーだが、ここからメイクハッピーは、ヨハンの２馬身後ろの中団あたりまでスッと控える。ナランフレグは、更に２馬身後ろの中団後ろの大外を追走し、レースの流れにはうまく乗れている感じ。３角では、ナランフレグは先頭まで６馬身差。３〜４角の中間でも、メイクハッピーはじっと動かないが、馬群が全体に詰まってくる。４角では、先頭争いはエヴァキュアン，セイウンコービー，ヨハンの３頭。１馬身1/4差の４番手争いの大外にメイクハッピーが進出。ナランフレグは、メイクハッピーの１馬身直後の大外で、ここではまだ持ったままの手応えで直線へ。

　直線に向くと、一団の中位大外ナランフレグは追い出しを待つ余裕がある。残り350ｍで、先頭争いはエヴァキュアン，ヨハンの２頭。ナランフレグもこのあたりから追い出しにかかり、メイクハッピーの3/4馬身外に。しかしながら、メイクハッピーもここから追い出すと、残り300ｍで２番手エヴァキュアンをかわして行く。更に残り１ハロンでは、先頭に立っていたヨハンも外からかわす。首差で踏ん張るヨハン，１馬身1/4差でナランフレグが３番手に出てくる。しかしながら、半馬身差で中キンゲン，つれてその内側からラインカリーナも伸びてくる。メイクハッピーは一頭抜け出してそのまま押し切り濃厚。ナランフレグは、ラスト150ｍでキンゲンにかわされて、内ラチ沿いにコースを取ったラインカリーナとの４番手争い。１馬身3/4差後ろからロマンティコが差し込んでくる。ラスト100ｍでも、ナランフレグとラインカリーナの内外少し離れての４着争いが続くが、勢いで断然まさるロマンティコが、ラスト30ｍで２頭を抜き去る。ナランフレグは、ゴール前でラインカリーナに首差遅れを取って６着でゴール。メイクハッピーは、追ってはいても目一杯ではない感じで、それでも２馬身半差の完勝だった。直線に向いた時には期待を持ったナランフレグだが、最後に脚が止まったのは案外。それでもこのメンバーで見せ場は作れた。まだキャリアも浅いだけに、これから力をつけていけば、500万クラスなら十分勝負になりそうだ。

●500万クラス昇級緒戦のカトレア賞では惜しくも掲示板を逃して６着だったナランフレグ。最後に失速した面はあったが、走り自体は悪くはなかった。レース経験を積んで、今回は更に前進を期待したい。１番人気は、東京の新馬戦を９馬身差で圧勝してきたオーヴァルエースで単勝1.5倍の断然人気。前走のパフォーマンスが高く評価されている。２番人気は、これも東京の新馬戦を勝ち上がってきたケイアイターコイズで単勝5.1倍。首差の勝利ではあったが、３着以下には大差をつけていて評価は高い。ナランフレグは、単勝30.6倍の６番人気。500万クラスで十分戦える力は示しているが、人気どころが底が知れない素質馬である分、オッズは高くなっている。それでも、上位争いはしてくれるはずだ。

　レースでは、ナランフレグはずまず好スタートを切るが、徐々に中団に控える。横に広がった先頭争いから、内アナスタシオがじわっと出るが、首差でモリノカワセミなど、固まった状態が続く。今度は外からモリノカワセミ，メディクスの２頭が出てくると、アナスタシオが譲るまいと手綱をしごきながら半馬身出てまた先頭。中団内々のナランフレグは、先頭まで５馬身差。これに１馬身差で人気のオーヴァルエース。３角では、ナランフレグは内々をじわっと押し上げると、３〜４角の中間では先頭に３馬身差まで接近。このあたりは手応え十分。オーヴァルエースはじっと動かない。４角では、アナスタシオが依然先頭だが、半馬身差でメディクス，ケイアイターコイズの２頭。ナランフレグはその１馬身1/4差後ろの５番手争い。更に１馬身半差の大外オーヴァルエースの態勢で直線へ。

　直線に向くと、ケイアイターコイズが外から先頭に抜け出してくる。ナランフレグも中からじわじわ押し上げるが、大外からはオーヴァルエースがぐいぐい差してくる。残り300ｍを切って、ナランフレグ，オーヴァルエースの２番手争いとなり、残り250ｍでは先頭に3/4馬身差。残り１ハロンでは、ケイアイターコイズ，オーヴァルエースの先頭争いで、半馬身差でナランフレグは３番手。オーヴァルエースがじわっと首ほど先頭に出るが、ナランフレグも２番手ケイアイターコイズに内から首差まで詰め寄って、前３頭の勝負。その後ろは３馬身離れている。よく食い下がっていたナランフレグだが、ここから脚が鈍って遅れを取る。先頭オーヴァルエースが完全に競り勝って、じわじわリードを取る。ナランフレグは、最後はケイアイターコイズに１馬身3/4差の３着でゴール。それでも、１，２番人気馬相手に３頭の勝負という場面を作り、見せ場は十分あった。鞍上の丸田騎手は、「スタートしてから芝の切れ目などでゴチャつく場面はあったんですが、ラストはしっかり脚を使ってくれました。中身の濃い３着だったと思いますよ。」とコメント。今回は相手も強かったが、ナランフレグの500万クラスの勝利も遠くはなさそうだ。

●サッポロクラシックＣでは殿りから追い込んで４着と地方重賞初入着となったハナザカリ。テンに行けない弱みはあるが、徐々に力をつけてきており、今回も当然上位争いを期待。１番人気は、新馬，特別を連勝した後、交流Ｇ３エーデルワイスＣでも４着と善戦したパキラパワーで単勝2.2倍。２番人気は、フローラルＣ５着，金沢に遠征した金沢にシンデレラＣ２着と、地方重賞で連続上位争いをしているビジネスライクで単勝3.7倍。前走は３着以下に９馬身もの差をつけている。ハナザカリは、単勝12.3倍の４番人気。もう少し自在性がほしいところだが、実力的にはそれほど差はないはずだ。

●兄タマモアタックが1000万クラスで活躍中のハナザカリ。北海道競馬でデビューして、デビュー戦で初勝利を挙げる。２歳オープン特別では７着に敗れるものの、続くキズナ・プレミアムでは２着に追い込んだ。Ｇ３エーデルワイス賞は、北海道勢が上位を独占し、ＪＲＡ勢は揃って返り討ちに遭ったが、ここでは1.8秒差の９着に終わる。今回は地方重賞だが、前走強敵相手の競馬をした経験を生かしたい。１番人気は、デビューから２連勝した後、ＪＲＡに挑戦したすずらん賞では１２着に終わったソイカウボーイで単勝2.1倍。２番人気は、近２走イノセントＣ２着，サンライズＣ５着と地方重賞で上位争いをしているミスターバッハで単勝3.8倍。地方重賞入着は通算３回。ハナザカリは、単勝29.4倍のブービー８番人気。自分でレースを作れない弱点はあるが、能力ではオッズほどの差はないはずだ。

　 レースでは、ハナザカリはスタートで１馬身出遅れ。元々テンに行けない馬だけに、最後方の位置取りに。ヨシノファルコンが好発でポンと１馬身リードするが、内からエイシンエンジョイがかわして先頭。半馬身差でトチノペガサスが２番手，3/4馬身外にヨシノファルコン。その後ろは２馬身1/4差開いてミスターバッハ。その3/4馬身内にソイカウボーイで、人気どころは４，５番手を追走。ハナザカリはここから４馬身後ろで最後方。３角手前では、後方２頭目のイツマツが前から３馬身置かれ、ハナザカリは更にその後ろで２馬身半置かれている。ハナザカリは手が動いているが、一向に反応しない。３角では、先頭エイシンエンジョイに、トチノペガサスが頭差まで並んでくる。３〜４角の中間では、その後ろは１馬身半と少し差が開き気味でヨシノファルコン。１馬身差でミスターバッハが４番手。3/4馬身差で内デニストン，更に１馬身差で外ソイカウボーイは、手を動かしながら６番手。４角では、ハナザカリは最後方に置かれたまま、先頭まで１０馬身差でこれではさすがに厳しい位置。トチノペガサスが先頭に立って3/4馬身リードするが、２番手争いは４頭並ぶ態勢。その１馬身1/4差の外からソイカウボーイが差を詰める。ハナザカリもようやく差を詰めにかかり、直線入口では大外に持ち出すが、依然最後方のままで直線へ。

　 直線に向くと、大外ハナザカリは先頭まで８馬身差。先頭争いは横に広がっているが、大外ソイカウボーイがぐいぐい伸びてきて、残り250ｍを切って内の各馬をまとめてかわして先頭。残り１ハロンを切って１馬身抜け出す。２番手トチノペガサスを外からかわしにかかるミスターバッハ。半馬身差で内からはデニストン。ハナザカリは、その更に４〜５馬身後ろ，大外の後方２頭目で、前の馬たちからは少し置かれているが、ここから徐々に末脚を炸裂させてくる。ラスト100ｍで、ソイカウボーイは２馬身半リードで楽勝態勢。デニストンが２番手に上がり、ミスターバッハはかわされて３番手。3/4馬身差で中トチノペガサスが４番手で、その後ろは２馬身開いている。ハナザカリも後ればせながら猛然と追い込んで来て、５番手争いのヨシノファルコンなど３頭をラスト30ｍを切って並ぶ間もなくかわして単独５番手に。更にはトチノペガサスもあっと言う間に抜き去って、最後はミスターバッハにも半馬身差まで迫って４着でゴール。勢いは断然違っており、もう少しで３着という内容。完全に圏外の競馬かと思われたが、最後はあわや３着と健闘した。勝ち馬からは６馬身あまりの差があったが、追い込みの破壊力は凄まじい。テンに行けないので苦戦してしまうが、経験を積んでもう少しで自在性が身についてくるようなら、更に上の活躍も期待できそうだ。

●ブロッサムＣ３着で、２戦連続の地方重賞入着を果たしたハナザカリ。特に前走は、自在な立ち回りができたのが大きな収穫だった。そして、その後はＪＲＡに移籍となる。Ｇ３フェアリーＳは賞金不足で除外となり、今回が移籍初戦。もちろん芝も初めてで、果たしてどんな競馬を見せてくれるか。１番人気は、新馬戦を順当に勝ち上がったディープインパクト産駒のオハナで単勝1.6倍。新馬戦の２着，３着馬も早々に初勝利を挙げていることを考えると、この馬の能力のほどを窺い知ることができる。姉ハナレイムーンは現役６戦３勝でまだ底を見せていない。２番人気は、デビューからの３戦を２着，３着，１着として未勝利を勝ち上がったラソワドールで単勝5.5倍。兄グランシルクは、京成杯オータムハンデを勝つなど重賞の常連。ハナザカリは、単勝オッズはなんと178.1倍のブービー１１番人気の低評価。芝適性が疑問視されているが、適性のあるところを是非とも示してほしい。

　 レースでは、ハナザカリはスタート良く、好位グループのすぐ後ろの位置取り。ダンツクレイオー，カガプラナスの先頭争いで、２頭が競り合うような感じ。２馬身開いてリープフラウミルヒ，その3/4馬身内でオハナが４番手。更に3/4馬身差で外トウカイリベンダ，ハナザカリの２頭が５番手争いで追走している。向正面では、ダンツクレイオーが先手争いを制して、１馬身リードで単独先頭に立ち、このあたりでは隊列が固まる。ハナザカリは先頭まで５馬身差の単独６番手で、オハナを１馬身前の内側に見る位置。３角にかかると、ハナザカリはオハナとの差が２馬身に開いて、３角過ぎでは内からナスノカツラにもかわされて、反応が良くない感じで手が動き始める。３〜４角の中間では、外からロードライト，ラソワドールもハナザカリをかわして押し上げる。４角では、先頭は依然としてダンツクレイオーで１馬身1/4差リード。オハナは４番手で、先頭まで３馬身近い位置。ハナザカリはムチが数発飛んでいるが、オハナの１馬身半後ろの８番手あたりで直線へ。

　 直線に向くと、先頭ダンツクレイオーは渋太く粘りを見せて、残り１ハロンでは２馬身リードで、逆に後続を突き放しにかかる。２番手は中リープフラウミルヒだったが、これを外からオハナがかわして先頭を追う。ハナザカリは、オハナに２馬身差の７番手。ダンツクレイオーはラスト100ｍでもまだ２馬身リードしていたが、ここからやや逃げ脚が鈍り、最後脚を伸ばしたオハナが１馬身差し切り勝ち。ハナザカリは、ロードライト，ジョブックコメンとの７番手争いの叩き合い。この３頭が競り合ったまま、３頭でカガプラナスをかわし、ゴール前でリープフラウミルヒも僅かにかわし、３頭まったく並んだ態勢のまま５着争いのゴール。最内ハナザカリも、４角での手応えにも関わらず、直線は渋太さを見せてくれたが、写真判定は惜しくも鼻，鼻差で７着。あともうほんの僅かで掲示板だっただけに残念。それでも、十分な芝適性を発揮してくれたのは間違いない。中央での戦いにメドが立ち、しかも芝・ダート兼用で戦えるのは強みだ。

●中央転入緒戦の菜の花賞で５着に鼻，鼻差の７着で掲示板を逃したハナザカリ。それでも、ＪＲＡでも戦えるメドが立ったと思われた。しかしながら、その後２戦は１５頭立て１３着，１４頭立て１３着と振るわず。それだけに、何とか浮上のキッカケを掴みたいところ。１番人気は、新馬デビュー戦を１番人気で２馬身差快勝してきたグロンディオーズで単勝1.6倍の断然人気。兄ムスカテールは、Ｇ２目黒記念優勝，Ｇ１川崎記念２着などの活躍馬。２番人気は、デビュー６戦目の未勝利戦を勝ち上がってきたコスモレリアで単勝4.3倍。３着を外したのは１回だけという堅実馬。ハナザカリは、単勝184.6倍の９番人気と超低評価。中央緒戦の時の走りができるなら、もっと戦えるはず。この馬の力を１００％発揮してほしい。

　レースでは、ハナザカリはまずまず好スタート。内からロードライトの方が好発を決めているが、ハナザカリがこれをかわして先頭に。決して無理をしているわけでなく、マイペースの逃げの形に。外から首差でコスモレリアも押し上げる。１〜２角で、先頭ハナザカリは3/4馬身リードの逃げ。２番手コスモレリアは掛かるのを宥めて、先頭との差は１馬身1/4差に。２馬身開いてロードライト，グラファイトの３番手争い。向正面でも、先頭ハナザカリは１馬身リードで、隊列にも動きはなく、マイペースの逃げ。非常にいい形に持ち込んでいる。グロンディオーズは、中団後ろで脚をタメて、先頭までは７馬身差。３角でも、ハナザカリの１馬身リードは変わらないが、３〜４角の中間では、外からコスモレリアが半馬身差にじわっと詰めてくる。そして４角では、先頭は前２頭が並ぶ形に。１馬身差でグラファイトが３番手。半馬身差で内ロードライト，外トーセンスーリヤの２頭。グロンディオーズは、更に３馬身差の中団やや後ろの位置。直線入口からハナザカリも追い出しにかかって直線へ。

　 直線に向くと、ハナザカリ，コスモレリアの先頭争いだが、外コスモレリアが首ほどリード。それでもハナザカリも内で食い下がっている。２馬身1/4差でロードライトが３番手。更に３馬身差の中団大外からグロンディオーズも追い込んで残り１ハロン。ハナザカリも、先頭に半馬身差で食い下がっていたが、ここからじわじわ突き放される。ハナザカリは、ラスト100ｍを切ってからロードライトにかわされ、ゴール前で一気に追い込んで来たグロンディオーズにもかわされてしまう。それでも、じわじわ差を詰めて来たトーセンスーリヤ以下を首差抑えて４着でゴール。ＪＲＡ移籍後初めて掲示板に上がった。今回は気持ち良く逃げて、この馬の力を出し切れた印象。鞍上の江田照騎手は、「特にハナに行くつもりはなかったんですが、他も行かなかったので自然にあの形に。マイペースで運べたし、頑張れたのは体調が良かったのもあります。距離は1600ｍ〜1800ｍがいいです。」とコメント。今後も力を発揮できる形になれば、ＪＲＡ500万クラスでも十分勝ち負けできるはずだ。

●３月の３歳500万下平場戦で見せ場十分の４着となり、中央入り後の初入着を果たしたハナザカリ。続くデイジー賞も５着馬に頭差の６着と悪くない競馬。しかしながら、その後は５戦して６着が最高で、あまり見せ場のない内容。特にここ２戦は二桁着順と精彩を欠いている。今回は若手騎手によるヤングジョッキーズシリーズの一戦。１番人気は、近２走平場戦，特別戦を連続２着としているプレシャスブルーで単勝2.5倍。この２戦はいずれも首，鼻差の惜敗で、このクラスを勝ち上がるのは時間の問題。２番人気は、目下８戦連続入着の堅実な走りをしているジョブックコメンで単勝4.6倍。逆に勝ち味に遅い面もある。ハナザカリは、単勝46.7倍の８番人気。１番人気馬との実力差は認めざるを得ないが、本来のデキが戻れば、人気よりももっと走れていいはずだ。

　レースでは、ハナザカリはスタートはまずまずで、手綱を押しながら内から前に出て来る。スタートから150ｍでは、手綱を抑えて２馬身リードで単独先頭。外からジーナスイート，トウショウビクターが２番手に上がって来る。１〜２角にかかるが、マイペースに持ち込めるかと思われたハナザカリだったが、外からトウショウビクターが3/4馬身差に取り付いて、前２頭でペースを上げる形となって、３番手以下を３馬身半と離して行く。向正面ではその差は６馬身と開いてジーナスイートが３番手。その３馬身後ろの６番手外にルックスマート。ここから更に１０馬身ほど後ろの後方２頭目に人気のプレシャスブルー。向正面の中間でも、ハナザカリの半馬身外に執拗にトウショウビクターが食いついてきて、前２頭で後続を７〜８馬身離している。バラバラでかなり縦長の展開。しかしながら、このあたりから３番手以下も差を詰めにかかり、３角では２番手トウショウビクターの後ろは４馬身差に。３〜４角の中間では、ハナザカリはいい手応えのままリードを１馬身に少し開く。２番手トウショウビクターはやや手応えが怪しくなる。２馬身半差でジーナスイート，半馬身差でコスモレリア。その後ろは３馬身半開いてルックスマートが５番手。その２馬身後ろの６番手争いの大外から、プレシャスブルーが一気に差を詰めてくる。４角にかけて後続が一気に押し寄せて、ハナザカリが先頭で１馬身リードしていたものの、直線入口では大外から内外離れた感じでプレシャスブルーが先頭に並んで来る。１馬身差でジョブックコメン，コスモレリア，イルルーメの３頭。１馬身半差で外目ルックスマート以下の態勢で直線へ。

　直線に向くと、大外からプレシャスブルーが先頭に出て来る。内外離れているが、内ラチ沿いでハナザカリも２番手で突き放されずに食い下がって、残り１ハロンでも半馬身ほどの差。１馬身1/4差でコスモレリアが３番手だが、これに大外からルックスマートが迫って来る。ラスト100ｍでは、プレシャスブルーは3/4馬身リードで、そのまま押し切り勝利はもう確実。プレシャスブルーが徐々に内に入ってきたため、ハナザカリとの内外の間隔はなくなっている。２番手ハナザカリに、3/4馬身差でコスモレリア，半馬身差で大外ルックスマートの態勢。ラスト50ｍでも、ハナザカリはコスモレリア以下を3/4馬身抑えていて、そのまま２着確保できるかとも思われたが、さすがに最後の最後で甘くなって、ゴール寸前で大外ルックスマートに半馬身かわされて３着でゴール。コスモレリアにも際どく詰め寄られたが、これは根性で首差しのいだ。久しぶりに好勝負を見せてくれたハナザカリ。他馬に絡まれて決した恵まれたレースではなかっただけに立派。鞍上の西村騎手は、「２番手の馬がもう少しゆっくり乗ってくれれば良かったんですが、この馬には厳しい流れになりましたね。それでもこのペースで最後までよく頑張ってくれました。」とコメント。馬の体調が上がっていたのか、こういう逃げの競馬が向いていたのか。いずれにしてもキッカケを掴んだのは間違いない。年が明けてからの活躍に期待したい。

●３月の500万下平場戦では、１０番人気ながら鼻差の接戦を制したパブリックフレンド。未勝利のまま一時は地方に転出したが、これが嬉しいＪＲＡ初勝利だった。1000万クラスでも善戦が期待されたが、昇級緒戦の1000万下平場戦は、スタート直後に落馬して競走中止。波に乗れないまま、その後の特別戦は８着，７着。大負けしてはいないが、やや足りない印象で、今回は５カ月レース間隔を空けての一戦。気分も新たに、今回は久しぶりに芝でのレース。芝適性は十分にあると思われ、しかも今回のような道悪は、芝・ダート兼用の馬には向いている可能性がある。１番人気は、春に1000万下平場戦を優勝し、その後も同条件で特別戦を２着，４着，５着と堅実に駆けているキャプテンペリーで単勝3.0倍。２番人気は、前走500万下平場戦を１番人気で勝ち上がってきたエンヴァールで単勝3.3倍。デビューから全１０戦して９回が３着以内という超堅実馬。パブリックフレンドは、単勝36.0倍の１０番人気。時計のかかる芝のレースだけに、密かに期待をかけていいはずだ。

　 雨の降りしきる道悪の中、レースではパブリックフレンドはスタートで１馬身立ち遅れ。後方２番手から手綱を押して行くが、かわされて最後方に。レインボーラヴラヴが先頭に立って、3/4馬身差でマイネルディアベル。半馬身差で内エンヴァール，外リュウツバメの２頭。人気のキャプテンペリーは、更に１馬身半後ろの内々７番手。パブリックフレンドはここから３馬身半後ろの位置，最後方の内ラチ沿いを追走する。隊列に動きはないが、３角手前からパブリックフレンドが内々をじわっと押し上げて行き、３角では最後方は３頭並ぶ態勢に。そして３〜４角の中間では、内ラチ沿いをするするっと順位を上げて行く。４角で馬群が詰まってきて、道悪で直線入口では各馬内から外まで広がる形になるが、ガラッと開いた内ラチ沿いを、パブリックフレンドが手応えよく差を詰める。先頭レインボーラヴラヴのリードは3/4馬身，その内ゴールドスミスが２番手。更に最内頭差でパブリックフレンドも２番手争いに。同じ位置の外からは人気のキャプテンペリー。更に半馬身差で大外マイネルディアベルの態勢で直線へ。

　 直線に向くと、パブリックフレンドも脚を伸ばして、先頭争いは一旦パブリックフレンドなど４頭が並ぶ態勢に。しかしながら、ゴールドスミスが僅かに先頭で、パブリックフレンドは内で首差遅れて２番手。これに外キャプテンペリーも伸びてきて、残り350ｍでは、先頭ゴールドスミスの外に並びかける。半馬身差で内パブリックフレンドも食い下がる。残り300ｍで、その２馬身後ろから４番手エンヴァールも追ってくる。残り１ハロンでも、先頭争いはゴールドスミス，キャプテンペリーの叩き合いが続く。パブリックフレンドは１馬身半遅れてしまったが、３着には何とか粘り込みたい。２馬身後ろのエンヴァールは同じような脚。パブリックフレンドも前から引き離されずに踏ん張っていたが、ラスト100ｍではエンヴァールが１馬身差まで詰めてくる。先頭争いは叩き合いが長く続いたが、ラスト50ｍでキャプテンペリーが競り勝って優勝。パブリックフレンドは、エンヴァールに差を詰められたが、これを3/4馬身抑えて３着でゴール。内の馬場の悪いところも苦にせず、この馬の持ち味を発揮して、1000万クラスで初めての掲示板に。鞍上の北村宏騎手は、「このレースに関しては内も外もあまり変わりなかったので、内を回って距離のロスのない競馬をしました。一旦並ぶところまで行ったので、オッと思いました。こういう力のいる芝がこの馬にはプラスでしたし、今は状態もいいですね。」とコメント。今回の好走で、道悪ではあったが芝適性も示し、今後の活躍に期待は膨らんだ。

●ＪＲＡで３勝，地方で３勝を挙げたシンシンマーキーの産駒ビッグイージー。ＪＲＡでは３戦して９着〜１１着と見せ場なく、３歳４月から岩手競馬に移籍となる。移籍緒戦の３歳Ｃ２戦は約８馬身差の４着。地方でも成績はひと息だが、今回は地方重賞に挑戦する。１番人気は、前走地方重賞のスプリングＣを優勝しているサンエイリシャールで単勝2.2倍。地方重賞で 2-2-1-1 の成績はここでは上位。２番人気は、地方重賞初挑戦の前走スプリングＣでは１馬身1/4差の２着だったキングジャガーで単勝2.9倍。前走のサンエイリシャールとの差を逆転できるかどうか。スプリングＣでは３着以下が４馬身水を開けられていたように、この２頭が力量上位の評価。ビッグイージーは、単勝46.7倍の６番人気。岩手も今回で２戦目となり、上昇を見せられれば上位食い込みがあるかもしれない。

　レースでは、ビッグイージーはスタートで少し立ち遅れ、ダッシュがつかずに２馬身，３馬身と一頭置かれた形に。キングジャガーが先頭に立って、１馬身差でヤコウレッシャ。これに１馬身1/4差でオールザベスト，更に１馬身1/4差で３頭並んだ大外がサンエイリシャール。ビッグイージーは一頭離された殿り。１〜２角で、一頭を除いて８馬身圏内。５馬身遅れたビッグイージーが最後方。向正面では、２番手ヤコウレッシャに、オールザベストが首差まで接近。サンエイリシャールは中団外で、先頭まで３馬身差。前６頭が３馬身圏内で固まり、３馬身間隔が開いて３頭が固まり、その後ろは８馬身も大きく開いてビッグイージーが最後方。それでも徐々に追い上げ態勢で、３角手前では前まで４馬身の差となるが、３角でも先頭までまだ１２馬身の差がある。先頭キングジャガーが１馬身リードで逃げている。３〜４角の中間で、サンエイリシャールは先頭まで３馬身差の４番手だが、ここから手を動かして追い上げにかかる。最後方のビッグイージーはまだ持ったままで、末脚を温存している。４角では、サンエイリシャールが２番手まで上がり、先頭キングジャガーに首差まで並んでくる。２馬身半開いてヤコウレッシャが３番手，１馬身差でメモリーダンス。ビッグイージーはその更に５馬身後ろだが、後方４頭目まで順位を上げてきて、大外から最後の追い込みをかけて直線へ。

直線に向くと、逃げたキングジャガーが二の脚を使って、また3/4馬身とリードするが、サンエイリシャールももう一度差し込んでくる。ラスト150ｍでは、その後ろは４馬身も開いてしまって、ヤコウレッシャ，メモリーダンスの３番手争い。ビッグイージーは更に３馬身半後ろの６番手だが、ここからぐいぐい追い込んでくる。詰め寄られかけたキングジャガーがまた3/4馬身リードしたところを、ゴール前でサンエイリシャールがもう一度迫ったが、キングジャガーが頭差しのいで優勝。ビッグイージーは温存していた末脚を一気に　爆発させ、ラスト100ｍでオールザベストをかわして５番手に上がると、１馬身3/4差前にいるメモリーダンスに猛然と迫り、ゴール寸前で首差かわして４着食い込みのゴール。追い込みに賭けた競馬が良かったのかもしれないが、地方重賞入着を果たした。ただ、安定した活躍をするには、もう少し前目で競馬をするのがベスト。経験を積んで、今後更に上昇を示してくれるはずだ。

●デビュー２戦目１月の東京戦で４着と好走したヘラクレスバイオ。期待が膨らんだものの、その後は１１着，７着，８着と成績はひと息。長距離専門で使ってきているが、何とかスタミナを生かして巻き返したいところ。１番人気は、近４走を２着，６着，６着，２着としているメイプルストロングで単勝2.3倍。２番人気は、近２走を３着，１１着としているルーラーキングで単勝6.0倍。ヘラクレスバイオは、単勝62.9倍の１０番人気。決してメンバーのレベルは高くないだけに、何とか上位に食い込んで、再浮上のキッカケを掴みたい。

　レースでは、ヘラクレスバイオはスタートは五分に出て、すっと前の方に出てくる。大外からサンデームーティエが無理なくすっと先頭に立って、１馬身半差で２番手争いはヘラクレスバイオなど３頭が並んでいるが、大外タイセイレイザーが単独２番手に。１〜２角で、先頭サンデームーティエは１馬身1/4差リードの逃げ。タイセイレイザーが２番手，１馬身差で内ミヤビエメライン。半馬身外にベストプライド，１馬身差で内ヘラクレスバイオは５番手から。向正面では縦長の展開で、ヘラクレスバイオから７馬身後ろの中団後ろの位置に人気のメイプルストロング。隊列にほとんど動きはないが、３角手前でヘラクレスバイオがすっと３番手争いに。３角では、ヘラクレスバイオはベストプライドと並んで、先頭まで２馬身差。３〜４角の中間では、後ろにいたメイプルストロングが進出開始する。４角では、先頭サンデームーティエは3/4馬身リードをキープ，タイセイレイザーが２番手。3/4馬身差で内ヘラクレスバイオ，外ベストプライドの３番手争い。半馬身差で中ミヤビエメライン。メイプルストロングはその１馬身半後ろ、中団大外まで押し上げて直線へ。

　 直線に向くと、先頭サンデームーティエのリードは半馬身だが、ここから徐々に差を開きにかかる。残り300ｍで、１馬身1/4差でタイセイレイザーが２番手。残り250ｍで、更に１馬身半差で３番手争いはヘラクレスバイオなど４頭が並んでいるが。この３番手争いから、ラスト150ｍで大外シュケットがまず遅れて、３頭の３番手争い。ラスト100ｍでは中ミヤビエメラインが首ほど遅れて、ヘラクレスバイオ，ベストプライドの３番手争い。ヘラクレスバイオもよく頑張っていたが、ラスト50ｍから甘くなってベストプライドに遅れ、ゴール寸前で盛り返すミヤビエメラインにも首差差し返されて５着でゴール。中ルーラーキング，外メイプルストロングも際どく詰め寄ったが、これは何とかしのいだ形。サンデームーティエは、最後は４馬身差をつけての圧勝だった。ぎりぎり５着の形だったヘラクレスバイオだが、２着馬からは１馬身半と差のない競馬。再び浮上のキッカケを掴んだ印象。鞍上の和田騎手は、「指示通り、内へ潜り込んで行けましたが、終始右に張っていて、そのあたりが解消してくれば、もっとやれそうです。長いところは合っています。」とコメント。まだパワー不足の感もあるが、メンバーと展開次第では、勝ち負けまで持ち込めて不思議はない。

●現役準オープンで活躍中の姉エントリーチケットなどの活躍馬がいるマイネルテンプスのデビュー戦。しかしながら、調教の動きはひと息で人気は低い。１番人気は、姉にＧ１ヴィクトリアマイルの覇者ホエールキャプチャを持つパクスアメリカーナ単勝3.5倍。２番人気は、ロードカナロア産駒のモンツァで単勝4.4倍。マイネルテンプスは、単勝51.2倍の１０番人気。評価は低いものの、素質ではそれほどヒケは取らないはず。次に繋がる走りを見せてほしい。

　レースでは、マイネルテンプスは好スタートで、軽く押して先行する構え。クレバーバードがすっと出るが、これをかわしてアイスフェアリーが先頭。3/4馬身差でクレバーバード，更に3/4馬身差で内々マイネルテンプスは３番手。外首差でブラックジルベルトも３番手争い。その後ろは１馬身ほどの差で５頭が並んでいる。人気のパクスアメリカーナはその直後。流れは落ち着き、馬順にも動きはない。３角でも、マイネルテンプスは先頭に１馬身1/4差の内々３番手。３〜４角の中間でも、各馬抑えたままでえ力を温存している。４角では、逃げたアイスフェアリーに、外からクレバーバードが並ぶ態勢。１馬身差でマイネルテンプス，ブラックジルベルトの３番手争い，半馬身内ブラウローゼットで以下も差はなく直線へ。

　 直線に向くと、クレバーバードがじわっと先頭に抜け出してくる。マイネルテンプスも伸びてはいるが、外のブラックジルベルトには遅れを取る。残り400ｍで、先頭にクレバーバードが１馬身1/4差リード。２番手ブラックジルベルトに、内側首差で食い下がるマイネルテンプス。アイスフェアリーは一杯になって脱落。懸命に追われるマイネルテンプスだが、残り300ｍではブラックジルベルトに3/4馬身遅れてしまう。マイネルテンプスの１馬身半後ろの外からは、モンツァ，パクスアメリカーナの人気２頭が追ってくる。しかしながら、４番手パクスアメリカーナは、ラスト100ｍでもマイネルテンプスとの１馬身半差をまったく詰められない。この時点で、マイネルテンプスは前のブラックジルベルトから１馬身3/4差をつけられて、３着で態勢は決した。ゴール前で先頭クレバーバードは首差まで迫られたが押し切って優勝。マイネルテンプスは、勝ち馬から２馬身差の３着でゴール。人気はなかったが、実戦に行って勝負強さを見せてくれた。鞍上の柴田大騎手は、「まだ緩さがあって攻め馬ではそんなに動き切れていない感じでしたが、芝が合っていたのでしょうね。実戦に行っていいタイプですし、予想以上に走ってくれました。」とコメント。調教の動きがまだまだだっただけに、これからの伸びしろも大きいはず。今後の活躍が楽しみになった。

●１０番人気だった新馬デビュー戦で３着に入って、実戦に行っての良さを見せたマイネルテンプス。一度競馬を使われての上昇度も見込めるだけに、メンバーは骨っぽいものの期待がかかる。１番人気は、新馬デビュー戦では２番人気で鼻差の２着惜敗だったカーボナードで単勝1.4倍の圧倒的人気。父はディープインパクト。２番人気は、新馬デビュー戦では２馬身半差の２着だったダンシングチコで単勝5.6倍。前走の勝ち馬ジナンボーは、父ディープインパクト，母は名牝アパパネという超良血馬だったが、今回の相手なら当然勝ち負け。マイネルテンプスは、単勝10.4倍の３番人気。今回のメンバーで勝ち負けできるようなら、期待は大きく膨らむはずだ。

　レースでは、マイネルテンプスはスタート良く、広がった先頭争いに外から加わっているが、先頭に立って行こうとはしない。外からイセベルがかわして先頭に立って１馬身リード。２番手争いは、マイネルテンプスなど５頭が並んでいる。３角にかかると、単独２番手にはカーボナード。１馬身差で３番手争いは３頭，その間半馬身差でマイネルテンプスは６番手。３〜４角の中間でも、各馬抑えたままで末脚勝負の流れ。４角では、先頭はイセベル，3/4馬身差でカーボナード，更に3/4馬身差で外タイドオーバーが３番手。これに半馬身差でマイネルテンプスなど３頭の４番手争いで直線へ。

　 直線に向くと、内からアースフライトも脚を伸ばすが、残り450ｍで、カーボナードがイセベル，アースフライトをかわして先頭に抜け出してくる。半馬身差で外タイドオーバーが４番手。これに半馬身差でマイネルテンプスなど３頭。このあたりまはだ混戦模様。残り300ｍでは、先頭カーボナードが１馬身抜け出す。タイドオーバーが２番手，１馬身半差でマイネルテンプスが単独３番手か。しかしながら、外から詰め寄ってくるダンシングチコ。残り１ハロンでは、カーボナードが２馬身抜けて勝利は濃厚。３番手マイネルテンプスに、外から半馬身差に迫るダンシングチコ，更に3/4馬身差で大外ランウェイデビューも差してくる。ここからマイネルテンプスはもうひとつ伸び切れず、ラスト150ｍでダンシングチコに、更にラスト120ｍでランウェイデビューにもかわされてしまう。タイドオーバーをかわして４番手の態勢も、ラスト100ｍでは半馬身外からコウユーホクトも迫ってきている。懸命に４着に粘り込もうとするマイネルテンプスだったが、ゴール寸前でコウユーホクトに首差かわされて５着でゴール。見せ場がなかった訳ではないが、内容的にはもうひとつで、十分期待に応えてくれたとは言えず。鞍上の柴田大騎手は、「前走より気持ちは入っていましたが、ジリジリと言った感じの走りでした。ヨーイドンの決着が多い新潟よりも、器用に立ち回ることができるので、コーナーのある中山のようなコースの方がいいと思います。」とコメント。コースが替われば、また違った面を見せてくれるに違いない。堅実なところは見せてくれた。

●９月新潟のデビュー２戦目の未勝利戦では５着だったマイネルテンプス。デビュー２戦連続の入着ではあったが、どちらも伸び切れない感じの競馬だったのも事実。その後は３カ月半間隔が開いて、年末の未勝利戦でも６着と、大きくは崩れないが、勝ち負けまでは持ち込めないという競馬。今回また３カ月間隔が開いたが、もうひと押しを利かせた競馬を見せてほしいところ。１番人気は、デビューから全５戦すべて掲示板を確保しているシュバルツリッターで単勝1.6倍の断然人気。特に前走の２着は好内容だった。２番人気は、近２走を３着，４着とレースぶりに進境を示したマイネルイノメで単勝5.7倍。マイネルテンプスは、単勝22.0倍の５番人気。オッズ的には差があるが、上位食い込みは十分狙える。あとは内容の濃い競馬を見せてほしいところだ。

　レースでは、マイネルテンプスは好発を決めるが、内のデルマスピリタスがポンと先頭。半馬身差で人気のシュバルツリッター，首差で外にマイネルイノメ。これに１馬身差でマイネルテンプス，ミルクアンドハニーの４番手争い。ここからデルマスピリタス，マイネルイノメが競り合う形で、シュバルツリッターは控えて２馬身半馬身後ろ。３角手前では、マイネルイノメが単独先頭に立って、３馬身半とリードを開き、シュバルツリッターが２番手だが、３角では先頭に１馬身差に詰めて行く。マイネルテンプスは、先頭から３馬身半差の５番手あたり。３〜４角の中間では、シャープスティーンが３番手に上がってくる。４角では、マイネルテンプスは４番手争いで、これには大外からバルトフォンテンも加わって、先頭からは３馬身差で直線へ。

　 直線に向くと、シュバルツリッターが先頭に立って、残り１ハロンでは１馬身1/4差リード。マイネルイノメは一杯で、シャープスティーンが２番手に上がってくる。１馬身差でバルトフォンテン，更に１馬身差でマイネルテンプス，ニシノゲンセキの５番手争い。マイネルテンプスはバテてはいないが伸びももうひとつで、ラスト150ｍでニシノゲンセキに競り負けたが、ラスト30ｍでマイネルイノメをかわして５着でゴール。掲示板は確保したが、見せ場はあまりない内容。鞍上の丹内騎手は、「仕上がりは良かったですし、うまく立ち回れました。もうワンパンチですが、まだムチを入れるとフラつきますし、これから良くなってきそうです。」とコメント。これまでのレースでも、じりじりとしか伸びられないだけに、もう一段階のパワーアップが望まれる。

●約３カ月ぶりだった前走は５着だったマイネルテンプス。デビュー以来４戦連続の掲示板ではあったが、内容的にはひと息。それでも今回は、ひと叩きの上積みが期待できるだけに、前走以上の競馬を見せてほしい。１番人気は、デビューからの全３戦を２着，３着，２着と好走を続けるシセイヒテンで単勝3.1倍。２番人気は、近３戦を４着，４着，２着としているシャープスティーンで単勝4.3倍。マイネルテンプスは、単勝23.1倍の８番人気と低めの評価。今回はこれまでえ以上に上位に肉薄したいところだ。

　レースでは、マイネルテンプスはスタート良く、手綱を押して先行勢の後ろの位置に。ココリモアナ，シセイヒテンの先頭争いに、１馬身差でシャープスティーン，リビングマイライフの２頭が続く。マイネルテンプスは、先頭から４馬身差の５番手に。隊列は固まって向正面に入るが、シセイヒテンが単独先頭に立って、リードを４馬身と開いて行く。ココリモアナが２番手，3/4馬身差でリビングマイライフ。これに3/4馬身差でマイネルテンプスが４番手だが、内首差でシャープスティーンも並んでいる。３角でも、先頭シセイヒテンは３馬身リードしているが、３〜４角の中間では、その差は１馬身1/4差に詰まってくる。マイネルテンプスは、先頭から３馬身差の４番手争いだが、かなり手が動いている。それに対して、内側で並ぶシャープスティーンは、手応え十分の行きっぷり。４角でも、先頭はシセイヒテンで１馬身リード。ココリモアナ，リビングマイライフの２番手争い。これに外首差まで並んでくるマイネルテンプス。インに入ったシャープスティーンも差はない。これに１馬身差で外ニシノゲンセキも追撃態勢で直線へ。

　 直線に向くと、先頭シセイヒテンを、１馬身差でシャープスティーンが追って２番手に。これに3/4馬身差で、ココリモアナ，リビングマイライフ，マイネルテンプスの３頭が３番手争いで並んでいる。残り１ハロンでは、更に１馬身半遅れてニシノゲンセキが追ってくる。優勝争いは、逃げ切りを図るシセイヒテンと、これにじわじわ迫るシャープスティーンの２頭の争い。マイネルテンプスは、ラスト100ｍで前から２馬身1/4差をつけられたが、僅かの差だが単独３番手の態勢。しかしながら、ニシノゲンセキがマイネルテンプスの内側に入って来て、ここからじわじわ詰め寄ると、ラスト50ｍではニシノゲンセキの方が頭〜首ほどリード。マイネルテンプスは４着で決したかと思われたが、ここから渋太く差し返す勝負根性を発揮し、最後はニシノゲンセキとまったく並ぶ３着争いのゴール。態勢不利にも見えたが、最後の一歩でほとんど同時の態勢に持ち込み、２頭ともが頭が上がり加減のところでゴール。写真判定の結果、結局２頭が同着となり、マイネルテンプスは３着に。これが２度目の３着。鞍上の柴田大騎手は、「馬具を工夫して矯正してくれてはいますが、それよりもまだ体がしっかりしていない分、最後にフラフラしてしまいますね。そのあたりが成長してきてくれれば。」とコメント。最後まで渋太く、内容は悪くなかった、柴田大騎手のコメントからも、これからの伸びしろは十分ありそう。更に力をつけて、初勝利を勝ち取ってほしい。

●前走は同着の３着だったマイネルテンプス。内容的に悪くなかったが、なかなか勝ち負けまで食い込めていない。それだけに、今回はもうワンランクレベルアップした走りを期待。１番人気は、デビューからの全３戦を２着，４着，４着と堅実に駆けているスールマカロンで単勝2.3倍。２番人気は、前走は３着だったプリマドンナで単勝4.2倍。全４戦で入着３回という成績。マイネルテンプスは、単勝6.3倍の３番人気。傑出した馬のいない混戦模様の一戦。それだけに、マイネルテンプスにも十分勝機があるはずだ。

　 レースでは、マイネルテンプスはスタートで１馬身立ち遅れ、少し押して行くが後方の位置取り。大きく広がった先頭争いから、中ブラックマティーニが出てきて１馬身リード。プリマドンナ，サルーバアスールの２番手争い。マイネルテンプスは、先頭から６馬身，７馬身と差が開いて行く。ここから大外一気にグランドレユシーが先手を奪おうとするが、ブラックマティーニは譲らず、結局ブラックマティーニが半馬身リードで先頭。３角では、２番手にグランドレユシー，２馬身開いてサルーバアスール以下。後方マイネルテンプスは、先頭から１０馬身近い差で、３〜４角の中間から仕掛けて行くが、あまり差を詰めて行けない。４角では、プリマドンナ，オルトルートの２頭が、先頭から１馬身半差の３番手に取り付く。後方大外マイネルテンプスは、先頭まで６馬身差で直線へ。

　 直線に向くと、３番手からオルトルートがぐいぐい伸びてきて、残り400ｍでは先頭に１馬身差，そして残り300ｍでは先頭に抜け出してくる。大外マイネルテンプスもじわじわ伸びているが、先頭まで３馬身差で、このあたりは内外に大きく広がっている。残り１ハロンでは、オルトルートが１馬身1/4差抜け出し、外のアシェット，オールモストゼアの２番手争いで。マイネルテンプスはその１馬身半後ろで６番手争い。ラスト100ｍでは４番手争いまで上がるも、人気のスールマカロンに内側からかわされる。マイネルテンプスはじりじりとしか伸びられず、ゴール前で外からじわじわナイアに詰め寄られたが、これを首差しのいで５着でゴール。スタートが甘かったこともあるが、もうひと息の内容だったマイネルテンプス。鞍上の柴田大騎手は、「奇数番で待たされてゲートの中でガチャガチャしてしまい、１歩目が出なかったです。ただ、いつも伸びずバテずだったんですが、最後にいい脚が使えたことは良かったです。」とコメント。次走では、スタートを決めて巻き返したいところだ。

●５月の東京戦で５着となり、３戦連続の入着となったマイネルテンプス。安定性もかなり身についてきた感があるが、その後２戦は１０着，７着とひと息。未勝利戦も残り少なくなってきているだけに、何とか巻き返したい。１番人気は、近４戦で３着３回，５着１回のパシュパティナートで単勝3.4倍。２番人気は、これれまで２着３回のディープインパクト産駒サトノオンリーワンで単勝3.7倍。マイネエルテンプスは、単勝60.5倍の１２番人気。かなり評価は下がってしまったが、上位に食い込めるだけの力はあるはずだ。

　レースでは、マイネルテンプスは大外から好スタートを決める。大きく横に広がった先頭争いの一角だが、無理をせずに先頭争いからは控える。オテンバキッズが出てくるが、外からワールドビーターがかわして先頭。先頭２頭から１馬身半差でイザナミが３番手。中団大外のマイネルテンプスは、更に２馬身半後ろから。１〜２角で、先頭ワールドビーターが１馬身半リード。２番手オテンバキッズ，3/4馬身差でイザナミ。向正面に入って、淡々とレースは流れ、半馬身差でソーグレアが４番手。半馬身外にブライトロージー。マイネルテンプスは更に３馬身半後ろの中団で、人気のパシュパティナートなどと同じ位置。馬順にほとんど動きはない。３角では先頭争いが固まってくるが、３〜４角の中間でも、マイネルテンプスは先頭までまだ７馬身差で、中団後ろの大外の位置。４角にかかると、マイネルテンプスも手が動いて押し上げる。ブライトロージーが手応えよく先頭，半馬身差で外ソーグレアなどが続く。大外を回って先頭から２馬身1/4差の５番手争いにサトノオンリーワンが加わる。マイネルテンプスはその２馬身後ろの中団で、真ん中を突く形。同じ位置の外目には人気のパシュパティナートもいて直線へ。

　直線に向くと、ブライトロージーが先頭で１馬身のリード。２番手争いは５頭が広がっているが、大外のサトノオンリーワンの伸びがいい。マイネルテンプスは、先頭から３馬身半差の位置からじわじわとした伸びで残り１ハロン。ラスト120ｍで、サトノオンリーワンが先頭ブライトロージーをかわしにかかる。１馬身半差でオテンバキッズ，イザナミ，ソーグレア，ミスルーアの３番手争い。その１馬身半後ろの７番手からマイネルテンプスも伸びてくる。マイネルテンプスは、パシュパティナートを競り落とすと、ラスト70ｍで先行したオテンバキッズ，イザナミをかわして５番手に。３着争いは、ラスト50ｍでソーグレアに首差で食い下がるミスルーア。その3/4馬身外にマイネルテンプス。ここからの伸びはマイネルテンプスがまさり、ゴール前でミスルーアをかわしたところがゴール。ソーグレアには惜しくも首差届かず４着だったが、この馬の力は見せてくれていた。鞍上の丹内騎手は、「こういう水分を含んだ洋芝は合っていますね。最後まで頑張っていますよ。」とコメント。能力はあるのだが、未勝利を勝ち上がるにはひと息足りないのが現状。もうワンランクのパワーアップが期待される。

●Ｇ３ファンタジーＳの勝ち馬はマルモセーラを母に持つマルモネオフォース。ダートの新馬戦は好位から７着に終わったが、悲観するほど悪いレース内容ではなかった。今回は芝に替わるが、また違った面を見せてくれる可能性もある。１番人気は、デビューからの２戦を連続２着としているハッピーアワーで単勝1.1倍の断然人気。前走は１番人気で首差の惜敗だった。マルモネオフォースが、単勝6.5倍の２番人気。３番人気は、デビューからの２戦を３着，５着としているコスモスターリングで単勝8.2倍。ハッピーアワー断トツの評価だが、マルモネオフォースが芝適性を発揮できれば、好勝負に持ち込む可能性もあるはずだ。

　レースでは、マルモネオフォースはスタートは五分に出て、少し仕掛けながら４〜５頭広がった先頭争いの一角。イッツクールが僅かに先頭で、外首差でゴールドウエイも差はない。１馬身差でブルベアボルド，１馬身1/4差でマルモネオフォースは控えて４番手。これに内コスモスターリング，外ハッピーアワーがほとんど差のないところまで並んでくる。３角では、先手を取り切ったイッツクールが１馬身リード，ゴールドウエイが２番手。２馬身開いて３番手集団は固まる。３〜４角の中間では、マルモネオフォースはハッピーアワーと並ぶ形で、先頭までは３馬身半差。４角にかかると、ハッピーアワーが大外からすーっと押し上げて、先頭イッツクールに3/4馬身差の２番手に。半馬身差でコスモスターリング，ゴールドウエイの２頭。その１馬身1/4差後ろで内ラチ沿いにマルモネオフォース，外にブルベアボルドの２頭の態勢で直線へ。

　直線に向くと、マルモネオフォースは最内から外へと持ち出して行く。先頭イッツクールが粘り込みを図り、１馬身差でハッピーアワー。残り250ｍで、３番手以下は２馬身半と差が開いてくるが、マルモネオフォースがコスモスターリングをかわして３番手に上がってくる。ラスト150ｍで、イッツクールがまだ半馬身差で粘るが、ハッピーアワーがかわしにかかる。２馬身1/4差でマルモネオフォースが懸命に追う。ラスト100ハッピーアワーがかわして先頭に替わるが、突き放すところまではいかない。なかなか差を詰められなかったマルモネオフォースだったが、ラスト50ｍを切ってから伸び脚がグンと加速し、前の２頭にぐいぐい迫って行く。しかしながら、ゴールはもう間近だっただけに捕らえるところまでいかず、半馬身，半馬身差の３着でゴール。エンジンのかかりは遅かったが、なかなか見どころのある走り。芝の走りは非常に良かった。鞍上の富田騎手は、「レースぶりも走りも、芝の方が良かったです。エンジンがかかるのに時間を要するので、次はもう少し距離を延ばそうという話になりました。」とコメント。今後に期待が大きく膨らむ走りを見せてくれた。

●デビュー２戦目の前走では差のない３着と好走したマルモネオフォース。エンジンのかかりは遅かったが、最後の伸び脚は見どころがあった。もちろん今回は初勝利を狙う。１番人気は、兄に豪Ｇ１勝ち，天皇賞・春とジャパンＣで４着のアドマイヤジュピタを持つアドマイヤジャスタで単勝1.5倍の断然人気。新馬戦は２着だった。２番人気は、ダイワメジャー産駒のトロイメントで単勝3.0倍。新馬戦は首差の２着。マルモネオフォースは、単勝7.8倍の３番人気。人気どころは素質馬だが、マルモネオフォースも十分好勝負になるはずだ。

　レースでは、マルモネオフォースはスタートは五分に出ると、加速して先頭争いに。ヒルノベルゲンが先頭に出てきて１馬身のリード。２番手３頭並んだ真ん中がマルモネオフォースだが、これに半馬身差で２頭が続いて、２番手集団は一団となっている。ここからメイショウフナカジが２番手となり、3/4馬身差でマイネルプリサイス，マルモネオフォースの２頭が続いている。向正面では、マルモネオフォースは抑える感じで４番手争いで、外シンボリサージュと並んで、先頭までは２馬身半差。その２馬身後ろで人気のアドマイヤジャスタが脚を温存している。先頭ヒルノベルゲンに、内からマイネルプリサイスが首差まで接近。３角では、メイショウフナカジがまた２番手に上がる。４番手争いのマルモネオフォースは、先頭まで２馬身差だが、３〜４角の中間では、３番手争いはマルモネオフォースなど３頭が並んでくる。４角では先団は固まって、メイショウフナカジが僅かに先頭か。マルモネオフォースは、先頭から１馬身半差の４番手争い。１馬身1/4差直後の大外にアドマイヤジャスタが取り付いて直線へ。

　直線に向くと、メイショウフナカジが僅かに先頭だが、内首差でマイネルプリサイス。残り250ｍで、１馬身
差の３番手にからマルモネオフォースが差を詰めてくるが、これを外からあっさり抜き去るアドマイヤジャスタ。アドマイヤジャスタの伸び脚は圧倒的で、あっと言う間に先頭に突き抜ける。残り１ハロンでは、マルモネオフォースが２番手に上がるが、既に１馬身遅れている。２馬身後ろの５番手からトロイメントが追い込んで来ている。ラスト100ｍで２馬身半抜けたアドマイヤジャスタは、既に余裕で楽勝態勢。マルモネオフォースはトロイメントに3/4馬身差まで迫られていたが、ここから渋太く踏ん張って、最後は頭差しのぎ切って２着確保のゴール。今回は勝ち馬が強過ぎただけに、２着でも十分評価していい内容。鞍上の富田騎手は、「前回が内で包まれて持ち味を生かせなかったので、積極的に運びました。勝った馬は強かったですが、スムーズに運べましたし、２着争いを凌ぎ切れたことは収穫だったと思います。」とコメント。安定して力を発揮できているだけに、初勝利も遠くはないはずだ。

●前走はこれまでの最高着順の２着だったマルモネオフォース。勝ったアドマイヤジャスタの潜在能力が違っていただけに、この馬自身好走と言っていい内容。一戦ごとに力をつけてきており、今回は初勝利を期待。１番人気は、新馬デビュー戦では１番人気で２着だったディープインパクト産駒のノーブルスコアで単勝2.4倍。２番人気は、新馬デビュー戦では１馬身半差の３着だったメイショウショウブで単勝4.1倍。マルモネオフォースは、単勝7.5倍の４番人気。力関係を測りにくいが、互角の勝負ができるはずだ。

　レースでは、マルモネオフォースはいいスタートというわけではないが、中団真ん中の位置に。ナムラマッチェリが先頭に立って２馬身リード。ウインドルチェが２番手，１馬身半差でメイショウフラッシュに外からメイショウショウブが並んで行っての３番手争い。3/4馬身差で中に人気のノーブルスコア。これに１馬身差でトロイメント，マルモネオフォースの２頭が６番手争い。このあたり隊列は固まって、淡々とした流れになっている。３角でも、マルモネオフォースは先頭まで４馬身差の６番手争いだが、３角過ぎから少し仕掛けて行く。３〜４角の中間では、先頭ナムラマッチェリのリードも3/4馬身まで縮まり、マルモネオフォースも大外を回って差を詰めにかかり、４角からは追い出しにかかる。逃げたナムラマッチェリに、メイショウショウブが並んでくる。半馬身差で間ウインドルチェ，これに半馬身差で内メイショウフラッシュ，外マルモネオフォースの４番手争い。このあたり、マルモネオフォースがノーブルスコアより半馬身ほど前に出ていて直線へ。

　直線に向くと、メイショウショウブが僅かに先頭だが、その内側にノーブルスコアが入ってくる。外マルモネオフォースもじわじわ追ってくる。残り１ハロンでは、ノーブルスコア，メイショウショウブの先頭争い。１馬身差でマルモネオフォースが３番手からこれを追う。やはりノーブルスコアが単独先頭に抜け出してきて、ラスト150ｍでは半馬身リード。マルモネオフォースは、２番手メイショウショウブにじわじわ詰め寄る。半馬身差の４番手で食い下がるのがトロイメント。ここからの伸び脚がまさったのはマルモネオフォースで、ラスト50ｍを切ったところでメイショウショウブをかわして２番手に。先頭ノーブルスコアは１馬身1/4差抜け出していて、さすがにこれには及ばなかったが、それでも最後3/4馬身差まで詰めて２着でゴール。最後まで止まることなくよく差を詰めていたマルモネオフォースだが、今回もひと息勝利に手が届かず。それでも、その実力は確かであり、初勝利はもう時間の問題と言っていい。鞍上の富田騎手は、「勝負どころで反応が鈍かったのは、休み明けの分だと思います。メンバーが強い中でどれだけやれるかと思っていましたが、頑張ってくれました。」とコメント。これまでの成績は、姉たちと同じような成績ではあるが、できれば姉たちよりもうワンランク上のレベルまで行ってほしいところだ。

●Ｇ３ファンタジーＳを制したマルモセーラの産駒マルモマリアのデビュー戦。姉マルモレイナも早々に初勝利を挙げただけに、マルモマリアにも初戦から期待がかかる。調教の動きも良く、デビュー戦から人気を集める存在。１番人気は、父Teofiloのテリングブロウで単勝2.1倍。日本では馴染みのない血統。マルモマリアは、単勝3.5倍の２番人気。３番人気は、福山ダービー２着を始め地方重賞を制するなど地方で活躍したウルトラエナジーの産駒リュウノシャツで単勝4.8倍。それほど注目度の高い新馬戦ではないものの、それだけにインパクトのある走りであっさり勝利を決めたいところだ。

　 レースでは、マルモマリアはロケットスタートを決めて、加速の違いですっと１馬身リード。しかしながら、これに外からリュウノシャツが競りかけてくる。3/4馬身差で外ヤマザクラ，タガノエルフリーデ，アインツェルカンプの３番手争い。先頭争いは、一旦はリュウノシャツの方が首ほど出るが、内マルモマリアも譲らず、仕掛けながらスタートから450ｍでまた並びかけて、２頭の競り合いの形に。１馬身3/4差でヤマザクラが単独３番。３角では、マルモマリアの方がまた首ほどリード。３番手ヤマザクラの後ろは５馬身と開いてきて、早くも前３頭の勝負の様相。３〜４角の中間では、ヤマザクラが手応え十分に外からじわっと前に接近。４角では、先頭マルモマリアに大外ヤマザクラが並んでくる。3/4馬身遅れた中リュウノシャツは３番手。その後ろは６馬身開いてタガノエルフリーデ以下。手応えではヤマザクラの方がまさっているが、マルモマリアはここから渋太く踏ん張ってくれるかどうか。

　 直線に向くと、マルモマリア，ヤマザクラの先頭争いだが、ヤマザクラの方が追い出しを待つ余裕があり、ゆっくり追い出しにかかる。しかしながら、いざ追い比べになるとマルモマリアの方がグイッと伸びて、残り300ｍからはマルモマリアの方が先頭。残り１ハロン
では半馬身リードする。リュウノシャツは、先頭争いからは完全に脱落している。脚色の鈍らないマルモマリアは、ラスト100ｍでは１馬身1/4差リードして勝負に決着はついた。結局そのまま１馬身1/4差を保っての快勝のゴール。スタートの速さ、並ばれてからの渋太さと、高い競馬センスを見せたデビュー戦だった。鞍上の富田騎手は、「練習でゲートが速いのは分かっていましたし、レースでもいいスピードを見せてスッと先手を取れました。あとは力を信じて乗りました。最後まで衰えることなく、力で押し切る強い内容でしたね。芝でもやれると思いますし、これからが楽しみな馬です。」とコメント。期待に応える走りだったが、出得デビュー前から早熟との見方がある。それを払拭する息の長い活躍を期待したい。

●前年３月の３歳500万下平場戦を勝ち上がったマルモレイナ。その後は約半年の休養を取ったが、1000万クラスに昇級しての４戦は、ブービーか殿りの大敗続き。1000万クラスの壁にぶち当たったが、今回は500万クラスに降級してのレースだけに、これまでとは違う走りを期待できる。１番人気は、500万下平場戦を１番人気で３馬身半差圧勝した後、1000万下平場戦でも首差２着と好走したデロングスターで単勝1.4倍の断然人気。今回は500万クラスに降級し、断然力量上位と言っていい。２番人気は、近３走500万下平場戦を１着，３着，９着としているリヴァイバルで単勝7.9倍。前走は１番人気で崩れただけに、巻き返しを期している。マルモレイナは、単勝55.2倍の１０番人気。降級戦とは言え、1000万クラスでの内容からは、この低評価もやむを得ないところ。それでも、今回で再浮上のキッカケを掴みたいところだ。