２０１４年（平成２６年）

 ２０１５年（平成２７年）

 ２０１６年（平成２８年）

 ２０１７年（平成２９年）

 ２０１８年（平成３０年）

●地方所属で交流Ｇ３エーデルワイス賞で僅差の２着などの活躍をしたアグリフェスタの産駒コーンススのデビュー戦。兄トミケンシェルフも1000万クラスで活躍中で、コーンススにも期待がかかる。１番人気は、ディープインパクト産駒のサラキアで単勝1.6倍。姉サロキアは、３歳オープンのエルフィンＳの勝ち馬。２番人気は、ダイワメジャー産駒のガナドゥールで単勝3.9倍。コーンススは、単勝14.5倍の４番人気の評価。父母、兄ともダート専門の活躍馬だけに、芝適性がどうかがカギだが、今後に期待の膨らむ走りを期待したい。

　 レースでは、コーンススはスタート良く、大外から広がった先頭争いの一角。人気のサラキアは２馬身出遅れる。スタートから300ｍで、外のオメガクオリティ，コーンススの２頭が先頭争いに出てくるが、コーンススは引っ掛かっている感じで、コーンススの方が首ほど出る。先行２頭から１馬身3/4差で３番手ナリタハーデス以下。サラキアは先頭から６馬身差の中団で、３角手前から押し上げて行く。ややバラけていた前の方の馬たちが、徐々に固まってくる。３角では、オメガクオリティが半馬身リード，コーンススが２番手だが、３〜４角の中間では、先頭〜中団後ろまで５馬身と一団になっている。サラキアも先行勢の直後に取り付いている。４角では、先頭はオメガクオリティ，コーンススの２頭が並ぶ。首差でフライハイトが接近。１馬身差で中サラキアは４番手争いで、最内ナリタハーデスもほぼ同じ位置で直線へ。

　 直線に向くと、コーンススが僅かに先頭も、最内ナリタハーデス，内側からサラキア，外フライハイトの３頭にじわじわ並ばれる。コーンススも懸命に頑張っていたが、残り１ハロンではサラキアが半馬身リード。コーンススは２番手争いで踏ん張るも、残り１ハロンを切ってナリタハーデス，フライハイトに競り負けて４番手となり、ラスト150ｍでは半馬身遅れる。２馬身半後ろの大外からは、２番人気ガナドゥールが一気の追い込み。力を振り絞っていたコーンススだったが、ラスト50ｍから力尽きて突き放されてしまい、すぐにガナドゥールにかわされて５番手に。更に最内フィールインラヴ，外フェスタマドンナにも詰め寄られたが、これは頭差しのいで５着死守のゴール。何とか掲示板は確保したが、積極的な競馬で見どころはあった。鞍上の秋山騎手は、「前半に脚を使った分はあると思うけど、ビュンと伸びない馬。攻めも動いているので、ダートの方が合っているのかも。いいモノを持っていますよ。」とコメント。元々がダート血統でもあるだけに、ダートであればもっと持ち味が出るかもしれない。

●１月の中京の新馬戦では５着と悪くない競馬をしたコーンスス。しかしながら、続く京都の未勝利戦では最下位１５着に大敗。今回は地方の交流戦に出走するが、初めてのダート戦となる。ウイングアローの血は、元々ダートでこそ本領を発揮する。今回はこれまで以上のパフォーマンスが期待できるだけに、メンバー的にも勝利のチャンス。ＪＲＡ勢が上位人気を占めているが、１番人気は、デビューから全５戦して３着と１回，４着の１回のニホンピロヘイローで単勝2.3倍。実績的にはここでは上位。この馬も今回が初ダート。２番人気は、１１月の京都の新馬戦では２番人気で８着だったミッキーガーデンで単勝2.6倍。デビュー戦で人気を集めた素質の高さで変わり身を見せるか。コーンススは、単勝4.7倍の３番人気。人気以上の走りを間違いなく見せてくれるはずだ。

　レースでは、ミッキーガーデンがスタートで立ち遅れ。コーンススはスタートは良かったが、ニホンピロヘイローが持ったままで先頭に出てくる。内半馬身差でコーンススだが、ここから手綱をしごいて先頭に並んで行く。半馬身差で外ユキノジョーも差はない。ここからコーンススがまた半馬身先頭に出て１角へ。１〜２角では、コーンススは無理なく１馬身リードの逃げ。ニホンピロヘイローが２番手，半馬身差で地元サウスポーとＪＲＡユキノジョーの３番手争い。その後ろは７馬身と大きく差が開いているが、ミッキーガーデンはその更に４馬身後ろで、先頭からは大きな差。向正面でも態勢は変わらず、前４頭が先団を形成。ミッキーガーデンも押っつけているが、先頭とは差が開いたまま。３角では、コーンススは軽快に１馬身リードで逃げている。２番手ニホンピロヘイローも手が動き始め、３番手以下は差が開き始める。３〜４角の中間では、ミッキーガーデンは前の２頭から３馬身半差で、ようやく３番手集団に取り付いたところ。４角では、ニホンピロヘイローも先頭に半馬身差にじわっと詰めて、ここからコーンススもゴーサインが出る。直線入口では、コーンススにニホンピロヘイローが並びかけて、３馬身開いてミッキーガーデンが３番手で直線へ。

　 直線に向くと、コーンスス，ニホンピロヘイローの叩き合いから、コーンススの方が頭ひとつリード。しかしながら、残り100ｍではまたニホンピロヘイローが並んでくる。３番手ミッキーガーデンに伸びはない。コーンススとニホンピロヘイローの叩き合いは最後まで続いたが、僅かにコーンスス優勢の態勢でゴール。勝負根性で頭差競り勝って、嬉しい初勝利。やはり期待どおりダートで適性を見せてくれた。これで500万クラスに昇級となるが、健闘を期待したいところだ。

●ウイングアローの産駒で最高の実績を残したサイレントエクセルの産駒サイレントローラン。母は岩手の超一流馬として活躍したが、中でも統一Ｇ１ダービーグランプリ３着という実績は輝かしいもの。サイレントエクセルにとっては、このサイレントローランが初めてデビューを迎える産駒となる。父カネヒキリという血統からも、ダートでこその馬と思われるが、新馬デビュー戦は芝のレースに使って、最下位の大敗を喫してしまう。今回はダートの２歳Ｃ２戦で、今度は本領を発揮してくれるはず。１番人気は、カンパニー産駒のヴァンクルで単勝1.3倍の圧倒的人気。叔父にはＧ３福島記念２着，Ｇ２オールカマー３着のサイレントセイバーがいる。２番人気は、ケイムホーム産駒のハッピートレインで単勝6.3倍。母ハッピートークは、は岩手で１１勝利を挙げ、暮れのグランプリ桐花賞にも出走経験のある馬。１，２番人気馬とも、今回がデビュー戦となる。サイレントローランは、単勝27.5倍の６番人気。その潜在能力の片鱗を、是非とも見せてほしい。

●デビュー２戦目で初ダートの前走で、着差は開いたものの３着と上位に食い込んだサイレントローラン。これから徐々に成長を遂げて行く馬だけに、当然前走からの前進を期待。１番人気は、今回がデビュー戦となるエンパイアメーカー産駒のエンパイアペガサスで単勝1.7倍の圧倒的人気。後に岩手の名馬の一頭となる馬。従兄のバトルプランは、米国で６戦４勝、Ｇ２を１勝，Ｇ１で２着になるなどの活躍馬で種牡馬にもなっている。２番人気は、ＪＲＡで２戦して１２着，１５着で、今回が岩手転入緒戦のジョンノビで単勝2.7倍。ＪＲＡ時代の負けっぷりは、精神的な弱さがあったよう。揉まれずに気持ち良く行ければ、違った走りを見せてくるはず。サイレントローランは、単勝7.6倍の３番人気。今回は勝ち負けに加わってほしいところだ。

●ダート２戦目の前走では勝ち馬から１馬身差の３着と見せ場を作ったサイレントローラン。徐々に力を発揮できるようになってきて、今回も期待は大きい。１番人気は、デビュー戦となった前走でサイレントローランに半馬身先着して２着だったエンパイアペガサスで単勝1.7倍の断然人気。一度競馬を使っての上昇度も大きいはず。後の岩手の名馬となる馬。２番人気は、北海道競馬で８戦して２着１回，４着１回の成績で岩手に移籍してきたオレンジジョディーで単勝4.1倍。サイレントローランは、単勝8.9倍の４番人気。エンパイアペガサスは前走大きく出遅れながらサイレントローランに先着。比較上は確かに厳しいが、サイレントローランも経験を積んで確実に上昇。決して勝つチャンスがないわけではない。

●前走は１，２着馬からは大きく離された４着だったサイレントローラン。初勝利にはワンパンチ足りない感じだが、展開とメンバー次第では十分初勝利を挙げる力はあるはず。１番人気は、ＪＲＡ３戦未勝利から岩手に移籍し、移籍緒戦のＣ２戦で２着だったアヤノバンマツリで単勝1.1倍の圧倒的人気。サイレントローランは、単勝9.3倍の２番人気。３番人気は、北海道競馬で８戦して４着１回の成績で岩手移籍し、転入緒戦のＣ２戦ででは３着だったカスタムポーラで単勝10.0倍。前走は２着のアヤノバンマツリに１０馬身差があった。サイレントローランにとっては、次々と転入組が加わってえ初勝利への道は決して楽ではないが、何とかチャンスをモノにしたい。

●前走は１，２着馬からやや差があって３着だったサイレントローラン。なかなか勝ち負けまでは加われていないが、これで４戦連続で３着，４着を続け、すっかり安定感は身についてきた。今回ももちろん有力候補の一頭。１番人気は、ＪＲＡで１戦して殿り負けした後岩手に移籍し、ここまでの２戦を連続２着としているユカオクンで単勝1.5倍の断然人気。２番人気は、３前走，前々走ではサイレントローランと前後する着順だったザイーダで単勝4.1倍。前走も３着と大崩れはなく、実力はサイレントローランとほとんど五分、サイレントローランは、単勝4.2倍の３番人気。当面ユカオクンが強敵となるが、それ以外の馬には負けたくないところだ。

●前走は上位２頭に６馬身差をつけられて３着だったサイレントローラン。これで５戦連続で３着，４着を続けるが、勝ち切るにはややパンチ力を欠いている現状ではある。１番人気は、北海道競馬から岩手に移籍した後、３着，２着，２着，５着という成績のカスタムポーラで単勝1.7倍。前走１番人気で５着に崩れて、今回は巻き返しを期す。２番人気は、これも北海道から移籍して、ここまでの２戦を４着，３着としているリニアサーキットで単勝4.3倍。前走はカスタムポーラに先着している。サイレントローランは、単勝6.7倍の３番人気。決して大きな力の差はないはずで、勝つチャンスも十分にあるはずだ。

●Ｇ１ダービーグランプリ３着などの活躍をしたサイレントエクセル産駒３頭目のデビューとなるチャイヤプーンのデビュー戦。ゆかりのある岩手ではなく、北海道競馬でのデビューとなる。これまでのサイレントエクセル産駒は、サイレントローランの３着５回が最高着順で、勝利を挙げられていないだけに、チャイヤプーンには初勝利を期待。１番人気は、アッミラーレ産駒のエアーシャンクスで単勝1.7倍。チャイヤプーンは、単勝2.6倍の２番人気の高い評価。父はＧ２中山記念，Ｇ３中山金杯の勝ち馬フェデラリストで、種牡馬としてはほぼ無名の馬ではある。３番手に人気は、サウスヴィグラス産駒のコパノオリビアで単勝7.0倍。チャイヤプーンには、初勝利に向けて期待が膨らむ走りはもちろん、いきなりの初勝利を決めてほしいところだ。

　レースでは、チャイヤプーンはスタートが若干甘い感じ。コパノオリビアが押しながら先頭に出てきて１馬身のリード。ヘニークイーン，エアーシャンクスの２番手争い，これに3/4馬身差で内にスターキヨミツ，外チャイヤプーンの２頭。３角では、エアーシャンクスが単独２番手，１馬身差でヘニークイーン。3/4馬身内にスターキヨミツ，１馬身差で外チャイヤプーンが５番手の順。３角過ぎで、チャイヤプーンは外からすっと動いて４番手に上がる。３〜４角の中間で、２番手で手応え十分のエアーシャンクスの後ろが２馬身と少し開いてくる。３番手ヘニークイーンの外にチャイヤプーンが並びかける。２馬身後ろスターキヨミツが５番手。４角では、ヘニークイーン，チャイヤプーンの２頭が外をすーっと押し上げて先頭に接近。先頭争いは、コパノオリビア，エアーシャンクス，ヘニークイーン，チャイヤプーンの４頭がほぼ並ぶような態勢に。３馬身開いてスターキヨミツが５番手で直線へ。

　直線に向くと、人気のエアーシャンクスが先頭に抜け出してくる。１馬身差でコパノオリビア，ヘニークイーンの２頭。外チャイヤプーンは3/4馬身遅れるが、もう一度盛り返しを図る。残り１ハロンで、エアーシャンクスはほぼ勝利を決めるが、チャイヤプーンは２番手から首，半馬身差で詰め寄ろうというシーンも。１馬身半差の内ラチ沿いからスターキヨミツも差してくる。しかしながら、ラスト150ｍを切ってチャイヤプーンは内にササって追えなくなってしまう。ここからスターキヨミツが一気に伸びて２着に突っ込む。チャイヤプーンは、もうゴールまでほとんど追わずに、４着コパノオリビアに２馬身半差の５着でゴール。期待ほど走れなかったチャイヤプーンだが、直線は難しい面を出して、力を発揮できなかった。５着だったが、２着〜５着まではそれほど力量差がない印象。一度競馬を経験しただけに、上積みもきっと大きいはずだ。

●デビュー２戦目であっさり初勝利を挙げたチャイヤプーン。勝ちっぷりにも余裕があっただけに、１勝クラスが相手のここでも期待十分。１番人気は、７戦目で初勝利を挙げた後も、２着，３着と好走しているナナヒカリで単勝2.0倍。チャイヤプーンは、単勝5.1倍の２番人気。３番人気は、デビューからの全１０戦をすべて５着以内の堅実さを見せているフレアリングダイヤで単勝5.3倍。初勝利を挙げた後も、４戦すべて４着以内にまとめている。ライバルたちも堅実な馬だが、チャイヤプーンがあっさり勝利を決めれば、大きなステップアップとなるはずだ。

　レースでは、チャイヤプーンはスタートは良く、前に出てくる。リンノゲレイロが先頭に立って、3/4馬身外を馬なりでチャイヤプーンが２番手。これに3/4馬身差で内ナナヒカリ，外をデルグレネの２頭。ここからチャイヤプーンはかなり引っ掛かって、坂下秀騎手が懸命に手綱を引いている。１〜２角で、チャイヤプーンは抑えが利かず、先頭リンノゲレイロと並ぶ形。１馬身半馬身差でデルグレネ，その後ろは３馬身差でロンリーチャップリン。向正面で、これに半馬身差で人気のナナヒカリは内々５番手から。向正面の中間でも、チャイヤプーンは激しく掛かり通しで、先頭に半馬身差。３角にかかると、先頭争いは２頭が並ぶ。１馬身差で３番手デルグレネ以下も固まってくる。３〜４角の中間では、先頭争いの内リンノゲレイロは手が動き始めるが、外のチャイヤプーンはまだ手綱を引いており、対照的な手応え。１馬身半差で３番手はナナヒカリなど４頭が並ぶ。４角では、チャイヤプーンが首だけ出て先頭，内にリンノゲレイロ。２馬身1/4差と開いてナナヒカリ，ウインディシティーの３番手争い。その半馬身外にフレアリングダイヤが押し上げて来て直線へ。

　 直線に向くと、ずっと折り合いを欠いていたチャイヤプーンも、ここから追い出しにかかると、じわじわリードを開いて、残り１ハロンでは１馬身半差。外からフレアリングダイヤが内ナナヒカリをかわして、２番手リンノゲレイロに１馬身差に迫ってくる。ラスト150ｍからぐいっともうひと伸びしたチャイヤプーンは、２番手に上がって来たフレアリングダイヤに２馬身差。フレアリングダイヤも後ろで脚をタメていただけに、力強い差し脚を繰り出してきたが、チャイヤプーンは差を詰めさせることなく、最後は余力残しで流す感じで１馬身半差を保って快勝のゴール。危なげなく２連勝を飾った。しかも、スタートから４角までずっと激しく掛かり通しでもこの勝ちっぷり。リズムよく走れないのが大きな課題ではあるが、それだけに潜在能力も相当なもの。今後の成長が本当に楽しみになった。

●デビュー戦は勝ち馬から９馬身差の５着だったチャイヤプーン。幼い面を随所に見せていただけに、大きく変わってくる可能性は十分。メンバー的にも実力差はないと思われるだけに、サイレントエクセル産駒の初勝利を目指す。２番人気は、デビューからの５戦をすべて３着〜５着と大崩れのないヌーロルエインで単勝2.2倍。２番人気は、デビューからの２戦を３着，８着としているヘニークイーンで単勝2.7倍。３着だった時には、５着のチャイヤプーンに４馬身先着している。チャイヤプーンは、単勝4.4倍の３番人気。調教の動きからは、潜在能力は高いはず。今回は初勝利に期待がかかる。

　レースでは、チャイヤプーンは五分に近い感じのスタートで、手綱を押して出て行く。前の方は固まっているが、先頭争いから若干遅れた位置につける。シグラップリンリンが僅かに先頭で、内首差でエイシンヘケト。更に首差で外ヘニークイーンも先頭争いに加わっている。3/4馬身差で内に人気のヌーロルエイン。その半馬身外にチャイヤプーンは５番手だが、かなり引っ掛かっている。３角では、半馬身差に内ダイヤファントムが６番手だが、その後ろは少し差が開いている。３〜４角の中間では、先頭争いは５頭が固まって、外からチャイヤプーンがじわっと押し上げて、先頭まで２馬身差。４角では、シグラップリンリン，ヘニークイーンの先頭争いに、大外からチャイヤプーンが持ったままで並びかける。半馬身差で間ヌーロルエイン，エイシンヘケトも先頭争い。しかしながら、直線に向くところでチャイヤプーンが先頭に出る。

　 直線の争いは、チャイヤプーンが先頭だが、中半馬身差でヘニークイーンが食い下がって残り１ハロン。3/4馬身差で内エイシンヘケト，更に首差で最内ヌーロルエイン。ラスト150ｍでチャイヤプーンが１馬身リードするが、ここで大きく内に切れ込んでしまう。それでも、脚色の違いからもう勝負は決まった。ラスト100ｍでは２馬身突き放すと、まだ余力を残す感じでそのまま優勝のゴール。人気のヌーロルエインは、２着馬から３馬身離されて３着に終わった。これが嬉しいサイレントエクセル産駒の初勝利。チャイヤプーンの走りも、引っ掛かったり、内にヨレたり、まだまだ１００％の力を発揮していない。伸びしろも大きいだけに、更なる成長が楽しみだ。

●前走門別の２歳３組のレースを勝って、これで２連勝となったチャイヤプーン。しかも、道中ずっと掛かり通しでありながら、直線楽々と突き放した内容は、潜在能力の高さを示すもの。そして、母の故郷の岩手に移籍。岩手には、母サイレントエクセルの血を受け継ぐ馬の活躍を待望するファンも多いはず。チャイヤプーンの活躍の場は、やはりこの岩手こそ相応しい。そして、岩手緒戦は２歳地方重賞の知床賞。北海道勢が強いこのレースだが、チャイヤプーンは岩手の馬として、単勝2.1倍の１番人気に支持される。２番人気は、北海道競馬から参戦のヒガシウィザードで単勝4.3倍。新馬戦を７馬身差圧勝のパフォーマンスで強烈なデビューを飾ったが、その後２戦は２着，４着という成績。３番人気は、前走地方重賞の若駒賞２着の地元岩手ブレシアイルで単勝5.6倍。ビギナーズＣの地方重賞勝ちがあり、ダートでは 3-1-0-0 とまったく崩れたことがないが、あとは北海道勢との力関係が果たしてどうか。実力の比較が難しいメンバーだが、チャイヤプーンにはいきなりの地方重賞制覇で、夢を大きく膨らませたいところだ。

　 レースでは、チャイヤプーンはまずまずのスタートで、無理なく前の方に出てくる。大外ブレシアイルが先頭に出てきて、２番手にチャイヤプーン。内首差でヒガシウィザードも２番手争い。ここからブレシアイルが１馬身半とリードを開いて単独先頭に抜け出る。ヒガシウィザード，チャイヤプーンの２番手争いだが、ペースが比較的速く、今回のチャイヤプーンは掛かっていない。その後ろは３馬身と差が開いてきて、スタークニナガ，シグラップアモーレの４番手争い。ここからチャイヤプーンが単独２番手となり、３角ではヒガシウィザードは手が動き始め、前のチャイヤプーンから２馬身半と遅れ始める。４番手の内々からスタークニナガが差を詰めて、３〜４角の中間ではヒガシウィザードの内に並んで行く。ここからヒガシウィザードはムチを連打されて、スタークニナガとともにチャイヤプーンに１馬身半差に接近。４角にかかると、ヒガシウィザードが手を動かしながら、外からチャイヤプーンに並びかけようとするが、これを見てチャイヤプーンも追い出しにかかり、逃げたブレシアイルを直線入口でかわして先頭に。半馬身外ヒガシウィザードが２番手。その半馬身内にブレシアイルは、抵抗できないままかわされて厳しいか。１馬身半差で４番手からスタークニナガが追ってきて直線へ。

　 直線に向くと、先頭チャイヤプーンに、半馬身外からヒガシウィザードが追ってくる。しかしながら、チャイヤプーンももうひと伸びして3/4馬身リードでこのまま押し切るか。ヒガシウィザードに１馬身差で中スタークニナガも差してくる。ブレシアイルは一杯になって脱落。残り１ハロンを切ってから、チャイヤプーンは脚が鈍り、ラスト150ｍでヒガシウィザードにかわされる。外へ持ち出したスタークニナガが１馬身差の３番手。ラスト100ｍまで首差で食い下がっていたチャイヤプーンだが、ここから力尽きて突き放される。そこへスタークニナガが一気の差し脚。最後の伸び脚が断然まさったスタークニナガが、ゴール前で首差差し切って優勝。チャイヤプーンは、２着のヒガシウィザードからも２馬身半差をつけられて３着でゴール。北海道勢が１，２着を占める結果となった。地方重賞タイトル奪取が期待されたチャイヤプーンだったが、今回は無念の結果。逃げたブレシアイルは潰したが、差し馬に屈した形。それでも、まだまだ巻き返しは十分可能。地方重賞制覇にも十分手が届く力は示してくれた。

●岩手転入緒戦の知床賞では１番人気ながら３着だったチャイヤプーン。北海道勢に先着は許したが、岩手の実力馬ブレシアイルを完全に潰したように、地元岩手勢相手の今回こそ、地方重賞初制覇のチャンス。そして、チャイヤプーンが単勝1.6倍の断然の１番人気に支持される。２番人気は、北海道で 2-3-1-1 の好成績で岩手に移籍し、緒戦のＢ１戦を９馬身差圧勝，続く重賞のプリンセスＣでは２番人気で４着だったスターギアで単勝4.1倍。３番人気は、北海道で 1-1-1-2 の成績で岩手に移籍し、転入緒戦のフューチャーステップ２歳戦を３馬身差で快勝したスターキヨミツで単勝4.9倍。前走は３着以下は更に大差がついていたように、なかなかのパフォーマンスだった。ライバルたちは地元岩手勢とは言え、最近北海道から転入してきた馬で侮れないところもあるが、チャイヤプーンの方が実力は上位のはずだ。

　 レースでは、チャイヤプーンはスタートが若干甘かったところへ、外側の馬に接触してダッシュがつかず、１馬身出遅れた形に。それでも後方からすっと順位を上げて行く。４角では、スターギア，スターキヨミツ，リュウノムーンの先頭争い。１馬身差でチャイヤプーンは４番手で正面スタンド前へ。ここからスターギアが首ほどリードして先頭に出る。内々チャイヤプーンは４番手で、先頭までは3/4馬身差だが、このあたりは少し折り合いを欠いている。その後ろは２馬身半開いている。１〜２角で、先団の４頭はそれぞれ3/4馬身間隔で、チャイヤプーンは脚を温存。向正面でも態勢は変わらず、チャイヤプーンは先頭まで２馬身差。３角では、先頭スターギアに、外からスターキヨミツが首差に接近。半馬身差外リュウノムーン。3/4馬身差で内チャイヤプーンは手応えは悪くない。３〜４角の中間では各馬仕掛け気味になって、チャイヤプーンも仕掛けて内からリュウノムーン，更にスターキヨミツをかわして２番手に押し上げる。４角では、チャイヤプーンはすっと外に持ち出して、先頭スターギアに3/4馬身差。半馬身差でスターキヨミツが３番手。しかしながら、先頭スターギアはまだ余力を残している感じで、チャイヤプーンの標的はスターギアに絞られて直線へ。

　直線に向くと、２番手チャイヤプーンが先頭スターギアにすっと首差まで迫ると、残り１ハロンを切ってあっさりかわして先頭に出る。ラスト150ｍでは半馬身，100ｍでは１馬身1/4差と突き放して行く。３番手スターキヨミツは、スターギアからも差を広げられて、早くも態勢は決した。最後まで伸び脚が鈍らなかったチャイヤプーンは、結局２馬身半差をつけて快勝のゴール。これが地方重賞初のタイトルで、母子で岩手の重賞制覇を成し遂げた。ここでは力が一枚上だったのは間違いない。今後も他地区やＪＲＡからの転入馬が続くことも予想されるが、どんな新しいライバルたちも撃破して、岩手のチャンピオンホースに登り詰めくれることを期待したい。

●寒菊賞で地方重賞初制覇を果たしたチャイヤプーン。年明け３歳の今回の金杯を勝てば、チャイヤプーンが明け３歳の岩手最強の地位に就くことになる。実力的にもその可能性は極めて高いと言える。そして、チャイヤプーンが単勝1.3倍の圧倒的な１番人気の支持を得る。２番人気は、寒菊賞ではチャイヤプーンに２馬身半差の２着だったスターギアで単勝4.2倍。その後２歳Ａ級戦に出走し、重賞勝ち馬，重賞入着の常連馬などを相手に、９馬身差の圧勝を演じている。３番人気は、寒菊賞３着馬のスターキヨミツで単勝7.2倍。寒菊賞の再戦となったが、ここは貫禄を見せて危なげない勝利を決めてほしい。

　 レースでは、チャイヤプーンはスタートで１馬身立ち遅れたが、ここでは力量上位だけに慌てる必要はない。予想どおりブレシアイルがすっと先頭に立って１馬身リード。１周目４角で、１馬身半差でスターギア，リュウノムーンの２番手争い。これに１馬身差でチャイヤプーンは４番手に取り付く。正面スタンド前で、３番人気のスターキヨミツは、行きっぷりが明らかにおかしく、徐々に後方に下がっていく。チャイヤプーンは先頭まで３馬身差の位置。１〜２角で、先頭ブレシアイルは１馬身半リード。スターギアが２番手，半馬身差でリュウノムーン。これに１馬身半差でチャイヤプーンの順で、その後ろは６馬身と差が開いている。向正面では５番手以下は８馬身と更に開いて、早くも前４頭の勝負に。スターキヨミツは完全に競走中止の格好。３角手前で、チャイヤプーンはムチが一発入って仕掛けて行く。３角でスターギアがすっと先頭に立って、チャイヤプーンは中から２番手争いに加わって行く。３〜４角の中間では、チャイヤプーンは単独２番手で、先頭スターギアに１馬身差に取り付いている。４角ではチャイヤプーンは外から接近し、直線入口ではスターギアの外に並びかける。２馬身1/4差でリュウノムーンが３番手，更に２馬身差でブレシアイルは既に一杯。その後ろは大きく差が開いたままで直線へ。

　 直線に向くと、スターギアとチャイヤプーンのマッチレースとなったが、チャイヤプーンがすぐに首ほどリード。ラスト150ｍでは半馬身，ラスト100ｍでは3/4馬身と徐々に差が広がっていく。３番手リュウノムーンは６馬身も突き放されている。既に勝負を決めたチャイヤプーンは、最後若干内にささり気味になったが、１馬身1/4差をつけて完勝のゴール。貫禄の勝利と言ってい内容で、これで晴れてこの世代の岩手最強馬の地位に就いた。これから冬季のオフシーズンに入り、春からは新たな転入馬も加わってくる可能性が高いが、サイレントエクセル産駒として岩手の王道を歩んでほしい。

●年明けの３歳地方重賞の金杯を快勝して重賞２連勝を飾ったチャイヤプーン。これで文句なしで岩手の明け３歳世代最強の座を手にした。オフシーズンの冬場は休養し、シーズン緒戦はこの特別戦。あっさり幸先のいい勝利を飾りたい。１番人気はもちろんチャイヤプーンで、単勝1.2倍の圧倒的人気。２番人気は、交流Ｇ３北海道２歳優駿７着を最後に岩手に移籍し、岩手緒戦の２歳Ｂ１戦を６馬身差圧勝したナナヒカリで単勝4.4倍。前走のレースぶりから、チャイヤプーンにとっては、一応警戒しなければならない相手。３番人気は、水沢の２歳Ｂ１戦を２連勝し後、冬季シーズンは南関東で３歳特別戦を２着，８着としているサンエイスターダムで単勝13.4倍。南関東で好走した実績は軽視は禁物。それでも、チャイヤプーンにとってはここで取りこぼしは絶対にできない。むしろ、どういう勝ち方をするかに注目だ。

　レースでは、チャイヤプーンはまずまずのスタート。軽く押して前の方に出てくるが、横に広がっている。その中からブレシアイルが先頭に立って４角から正面スタンド前へ。先頭ブレシアイルのリードは１馬身半。チャイヤプーン，サンエイスターダムの２番手争い。3/4馬身差で外ナナヒカリ以下。ここからサンエイスターダムが単独２番手，外からプリヴィレッジが３番手に上がり、内チャイヤプーンは４番手で、先頭までは２馬身半差。１馬身1/4差後ろで、ナナヒカリはチャイヤプーンをマーク。１〜２角でも馬順は変わらないが、２角ではチャイヤプーンは前の馬と２馬身半の差がつく。向正面では少し手が動くが、前との差は３馬身に少し広がっている。ナナヒカリはその２馬身後ろ。チャイヤプーンは、あまり反応が良くないのかと一瞬不安がかすめたが、３角にかかると行き脚がついて、すーっと押し上げる。３〜４角の中間では持ったままの手応えで、先頭争いのブレシアイル，サンエイスターダムの外に並びかける。２馬身開いて４番手プリヴィレッジは一杯で、これをかわしてナナヒカリが追ってくるが、ムチも入っていてチャイヤプーンとは手応えが違い過ぎる。４角では、ブレシアイルは力尽きて脱落。持ったままでチャイヤプーンが半馬身リードで先頭。村上忍騎手が、後ろのナナヒカリの位置を確かめている。チャイヤプーンの半馬身内にサンエイスターダムが食い下がる。１馬身半差の３番手にナナヒカリの態勢。チャイヤプーンは、もう既に勝利を確信して直線へ。

　 半馬身リードで直線に向いたチャイヤプーンだが、追い出しにかかると突き放しにかかって残り200ｍ。あっと言う間にリードを開いて、ラスト100ｍでは３馬身差。村上忍騎手が何度も後ろを確かめるが、追ってくる者は何もない。ラスト100ｍを切ったところで、ナナヒカリがサンエイスターダムをかわして２番手に上がったが、チャイヤプーンをそれをも更に突き放して、ラスト70ｍは流すほどの余裕を見せながらも、結局８馬身差の圧勝のゴール。ここでは能力そのものが違っていた。圧勝で勢いづくナナヒカリも、チャイヤプーンの敵ではなかった。幸先のいい今シーズン初勝利を飾ったチャイヤプーン。岩手３歳最強の地位は、揺るぎがないようだ。

●今期緒戦のルピナス賞で期待以上の勝ちっぷりを見せたチャイヤプーン。今回は岩手ダービートライアルの地方重賞だが、不動の中心馬となる。そして、チャイヤプーンが単勝1.2倍の圧倒的１番人気に支持される。２番人気は、ルピナス賞は４着だったが、前走準重賞のスプリングＣを５馬身差圧勝したグランフェルメールで単勝5.9倍。南関東からの転入２戦目で本領を発揮して来たとの見方がされている。３番人気は、ルピナスでは２着だったナナヒカリで単勝7.0倍。しかしながら、ルピナス賞でのチャイヤプーンとの８馬身差は、逆転を狙うには余りにも大きな差だった印象がある。とにかく、チャイヤプーンが勝つかどうかではなく、どんな勝ち方をするかが焦点と言っても過言ではない。ここは決して負けられない、そして負けるはずのない一戦だ。

　レースでは、チャイヤプーンはスタートで２馬身立ち遅れて最後方。大きなビハインドとなるが、実力上位は明らかだけに、慌てる必要はない。エルノヴィオ，ナナヒカリの先頭争いに、大外からグランフェルメールも接近。外から徐々に押し上げたチャイヤプーンは、先頭から４馬身差の６番手。エルノヴィオが先頭に立って、１〜２角では１馬身リード。ナナヒカリが２番手，１馬身差でアップバンク，グランフェルメールの３番手争い。１馬身半差でコウギョウシャトー，半馬身外にチャイヤプーンの順。向正面でもチャイヤプーンは６番手で、先頭まで３馬身差だが、向正面の中間では４番手まで順位を上げる。３角では、チャイヤプーンは先頭に２馬身半差で、手応え十分の行きっぷり。３〜４角の中間では、先頭エルノヴィオに、首差でナナヒカリ，グランフェルメールが並んでくる。更に3/4馬身差で外チャイヤプーン。４角では、先頭争いからグランフェルメールが後退を始める。チャイヤプーンは、先頭２頭の3/4馬身外で持ったままの手応えで接近して直線へ。

　直線に向くと、先頭ナナヒカリに、残り１ハロンでチャイヤプーンが並びかける。エルノヴィオは3/4馬身遅れて３番手。チャイヤプーンは追うところもなく、ラスト150ｍでは3/4馬身，ラスト100ｍでは１馬身1/4差とじわじわリードを開く。チャイヤプーンは結局最後まで追うところはなく、軽く流したまま３馬身差をつけて楽勝のゴール。スタートで出遅れながらこの楽勝劇。どう乗ってもこのメンバーで負けるはずがないとさえ思わせる強い競馬だった。鞍上の村上忍騎手は、「ゲートを切る時に馬の態勢が悪くて上手にスタートを切れなかったんですけど、気持ちを切り替えて乗れました。理想的というか、２角過ぎてポジションを取れたので、あとは馬に力があるのは分かっていたので、あとは仕掛けのタイミングだなと思っていました。今日はちょっと出遅れ気味に出ちゃって、イメージとは違ったんですけど、その中でもすごくいい走りをしてくれたと思います。春の目標はダイヤモンドＣと聞いていたんで、そこで結果を出せるように、自分もしっかり乗りたいと思います。次走、そしてその後に繋がるレースだったかなと思います。」とコメント。岩手ダービー・ダイヤモンドＣ制覇に向けて、不動の存在として王手をかけたと言っていいだろう。

●前走地方重賞のやまびこ賞では出遅れながらも楽勝したチャイヤプーン。不動の中心馬として、いよいよ岩手ダービーの舞台を迎える。岩手ダービーは、母サイレントエクセルが無念の２着に涙を呑んだ舞台だけに、母の果たせなかった夢を叶えたい。そして、チャイヤプーンが単勝1.1倍の圧倒的支持を得ての１番人気は。２番人気は、ルピナス賞，やまびこ賞といずれもチャイヤプーンに完敗の２着だったナナヒカリで単勝6.1倍。距離延長に逆転の期待をかけているが、チャイヤプーンにとっても距離面のマイナスはないはず。３番人気は、やまびこ賞では４着だったグランフェルメールで単勝16.8倍。これに、やまびこ賞３着のエルノヴィオが４番人気で続いている。チャイヤプーンにとっては、やまびこ賞の再戦のようなメンバーで、既に勝負付けは済んでいると言ってもいい。ここまで日本ダービーを含む全国のダービーシリーズで、１番人気馬は５戦全敗となっているが、そんなジンクスも楽々弾き返せるほど、チャイヤプーンの能力が抜けている。あとはどんな勝ち方を見せてくれるかだけだ。

　レースでは、ゲートが開く直前にチャイヤプーンが立ち上がったが、前脚を着地したところでゲートが開いて無難なスタート。一瞬ヒヤリとしたが、事なきを得る。逃げる決めていたかのように手綱を押してレップウが先頭へ。先手を取るかと見られていたエルノヴィオは２馬身差の２番手。１馬身半差でナナヒカリ，首差で内トキノヴァンクール。これに１馬身差でチャイヤプーンなど。１周目３角で、チャイヤプーンは引っ掛かって口を割っているが、村上忍騎手が馬の後ろでなだめようとしている。３〜４角の中間では、チャイヤプーンは先頭まで７馬身差。４角にかかるとペースダウンし、馬群が詰まってくる。正面スタンド前に入ってくると更にスローに落ちて、馬群がは一団となる。先頭レップウのリードは１馬身1/4差。エルノヴィオが２番手，１馬身1/4差でトキノヴァンクール，ナナヒカリの３番手争い。これに１馬身1/4差でグランフェルメール，チャイヤプーンの２頭が並んで追走する形。１〜２角でも隊列は変わらず、チャイヤプーンは先頭まで４馬身差。向正面に入ってからペースが上がり始め、チャイヤプーンも外からじわっと進出。向正面の中間の残り800ｍでは、チャイヤプーンは先頭まで３馬身差で、４番手まで順位を上げてくる。３角では、先頭レップウは１馬身リード。２番手エルノヴィオは手が動く。半馬身差の３番手ナナヒカリも押しているが、これに外から首差に接近するチャイヤプーン。３〜４角の中間では、２番手争いは３頭が並んでくるが、その中からナナヒカリがやや後退加減。チャイヤプーンは手応え良く、スーッと先頭レップウに並んで行く。４角では、持ったままでチャイヤプーンが僅かに先頭に出るが、手綱をしごいて中エルノヴィオが盛り返して、チャイヤプーンより一瞬頭ひとつ前に出る。これを見てチャイヤプーンもゴーサインが出され、先頭争いは２頭がほぼ並ぶ態勢。１馬身1/4差でレップウが３番手，これに１馬身半差でナナヒカリ以下が固まって続いて直線へ。

　直線に向くと、内エルノヴィオ，外チャイヤプーンの２頭の勝負となるが、残り１ハロンではチャイヤプーンの方が首ほどリード。ラスト150ｍでは3/4馬身，100ｍでは１馬身半と徐々にリードを開いて、チャイヤプーンの勝利はもう揺るぎがない。２番手エルノヴィオの後ろは３馬身と差が開いて、もうチャイヤプーンを追ってくる馬はいない。３番手ナナヒカリがもう一度巻き返しを図るが、優勝争いからは既に圏外。チャイヤプーンに最後ムチが入ると、ラスト70ｍで急に内にササって尻尾を振って、村上忍騎手が追い辛くなるシーンを見せるが、それでも最後は４馬身と突き放して完勝のゴール。●１２年前に母サイレントエクセルが果たせなかった岩手ダービー制覇の夢を、ここで息子チャイヤプーンが叶えて見せた。これで無敵の５連勝となり、岩手３歳最強の地位を不動のものとした。鞍上の村上忍騎手は、「前に馬を置きたかったから、中団に控えた。最後で内にササって気性的に難しいところを出したが、癖も含めてこの馬の持ち味。成長した姿で秋を迎えてほしい。」とコメント。そして千葉幸調教師は、「自分の競馬ができれば結果が出ると思ったけど、勝ててホッとした。この後船橋に移籍して、不来方賞前に戻って来る予定。岩手三冠を目指します。」と今後のプランを明かした。大きく夢が広がるチャイヤプーン。これからは更なる強敵たちとの対戦が待っているが、経験を積んで更に大きく成長してほしい。

●岩手ダービー・ダイヤモンドＣを完勝し、５連勝で岩手３歳最強の地位を不動のものとしたチャイヤプーン。岩手の同世代に敵はなく、南関東への武者修行に出ることに。今回は船橋に移籍しての緒戦。Ａ２以下の古馬相手の一戦で、なかなか骨っぽい強敵との対戦。移籍して環境が変わっての緒戦ではあるが、それでもある程度の好勝負に持ち込んでくれるはず。１番人気は、近４走Ｂ級で３勝を挙げているアーミーバローズで単勝2.3倍。２番人気は、地方重賞の東京湾Ｃ勝ちの実績があるソッサスブレイで単勝2.4倍。前々走Ｇ１かしわ記念では８着だったが、地方最先着の実力馬ヒガシウィルウィンに１馬身半差の競馬をしている。前走のオープン特別は２着。４走前の重賞フジノウェーブ記念でも５着となっているように、南関東の重賞でも上位争いができる馬。チャイヤプーンは、単勝3.4倍の３番人気。実力の比較がつきにくいが、不安よりも期待の方がすっと大きい。

　レースでは、チャイヤプーンはスタートで少し躓くが、出遅れというほどではなく、人気のアーミーバローズ，ソッサスブレイと並んで３頭の先頭争い。その後ろは１馬身半差で４番手以下の集団。１〜２角で、ソッサスブレイが単独先頭に立って１馬身のリード。２番手チャイヤプーンを、外からアーミーバローズがかわして行く。向正面では、３番手チャイヤプーンは、２番手アーミーバローズから２馬身半と差が開く。チャイヤプーンは一頭ポツンと３番手追走の形。２馬身半差でオーズ，更に２馬身半差でハニームーンなどの５番手集団。向正面の中間では、チャイヤプーンは２番手との差を１馬身3/4差にじわっと詰める。４番手オーズは３馬身後ろ。３角にかかると、チャイヤプーンは前との差が３馬身とまた開いてしまい、少し厳しいのか。それでも手を動かしながら、３〜４角の中間では２馬身1/4差まで差を詰める。オーズは更に２馬身1/4差後ろ，また２馬身半開いてハニームーン以下。４角では、逃げるソッサスブレイに、アーミーバローズが外から並びかける。２馬身1/4差でチャイヤプーンが３番手だが、内から3/4馬身差までオーズが取り付いてきて直線へ。

　直線に向くと、先頭２頭の争いは、外のアーミーバローズがじわっとリード。内半馬身差でソッサスブレイも食い下がって残り１ハロン。２馬身半差で、３番手チャイヤプーンの内にオーズが並んでくる。２馬身半後ろハニームーンも５番手から追ってくる。チャイヤプーンも懸命に粘っていたが、オーズにラスト150ｍで首，100ｍで半馬身，50ｍで3/4馬身とじわじわ遅れ、更にはゴール前で外からハニームーンに並ばれて、４着争いのゴール。何とかハニームーンの追撃は鼻差しのいで４着は確保した。優勝したアーミーバローズからは４馬身半の差があった。チャイヤプーンは、期待に応える走りとまでは言えなかったが、南関東の準オープンでも、古馬重賞でも上位食い込みができる骨っぽい相手に対して、移籍緒戦・初コースなどの条件を考えれば、十分勝負になる競馬ができたことを評価したい。古馬との初対戦でも、力のあるところは見せてくれていた。この後は、南関東移籍の最大目標のＳ１戸塚記念。強敵に揉まれた経験を糧に、更に進化した走りを見せてほしい。

●南関東転入緒戦のひまわり賞では４着だったチャイヤプーン。古馬の実力馬相手でさすがに手強かったが、チャイヤプーンも環境が変わった移籍緒戦のハンデはあった。今回は環境にも慣れてきて、３歳馬同士の一戦となれば期待も高まる。とはいえ、この年から戸塚記念はＳ１に格上され、秋の南関東３歳最強馬決戦の意味合いも持つだけに、かなりの強敵が揃ったことには間違いない。１番人気は、ＪＲＡ時代はＧ３ユニコーンＳ６着という成績を持つトキノパイレーツで単勝1.5倍の断然人気。ユニコーンＳでは、勝ったルヴァンスレーヴは別格として、２着馬から１馬身3/4差とそれほど負けていない。そして、南関東転入緒戦の前走３歳Ａ１戦では４馬身差の楽勝。２着馬の後ろは更に大差がついていたことからも、この馬の実力を測ることができる。２番人気は、前走黒潮盃でジャパンダートダービー４着のクリスタルシルバーを頭差かわして優勝したクロスケで単勝3.8倍。前走の内容が高く評価され、東京ダービー３着当時よりも明らかにパワーアップしている。３番人気は、前走交流Ｇ２の関東オークスで3/4馬身差の２着と健闘したゴールドパテックで単勝11.9倍。地方重賞のタイトルも持っている。チャイヤプーンは、単勝14.3倍の５番人気。前走の４着の内容で若干人気を落としているが、あれが実力ではない。是非とも南関東のＳ１の舞台で、勝利の勝ち鬨を挙げて、岩手の英雄から全国区の英雄となってほしい。

　レースでは、チャイヤプーンはそれほどいいスタートというわけではないが、それでも五分に近い感じ。トキノパイレーツは１馬身立ち遅れ。好発を決めたのはクレイジーアクセルで、徐々にリードを取って１馬身半差。スプリングマンが２番手，１馬身半差でゴールドパテック，ミスターバッハの３番手争い，半馬身差で間にクロスケの態勢。チャイヤプーンはその１馬身半後ろの中団内々で、反応がよくないのか、この序盤で手を動かしながらの追走。１周目３角では、先頭クレイジーアクセルは３馬身とリードを開いている。チャイヤプーンは、仕掛けながら２番手から３馬身半差だが、４角あたりでは流れに乗る。ペースが落ちたのか、２番手以下も差を詰めて正面スタンド前へ。先頭クレイジーアクセルのリードは１馬身で一団となってくる。スプリングマンが２番手で、3/4馬身差で外からデイジーカーニバルが押し上げる。チャイヤプーンは先頭から３馬身半差の中団内々で、馬群に包まれている。トキノパイレーツはその１馬身後ろで外目を追走。１〜２角でも隊列に大きな変動はなく、内々チャイヤプーンは先頭まで４馬身差で、このあたりでもまた手綱を押している。向正面でも、先頭クレイジーアクセルは、3/4馬身リードでリズムよく逃げている。スプリングマンが２番手，3/4馬身差でデイジーカーニバルだが、これに内からゴールドパテックが並んで行く。その１馬身外からトキノパイレーツが、チャイヤプーンなどをかわして前に接近していく。チャイヤプーンは仕掛けながらの追走で、トキノパイレーツが動いたのを見てムチが入る。反応が悪かったチャイヤプーンだが、３角手前で外に出すと、ようやく進撃態勢に入り、３角ではトキノパイレーツを追うように外から差を詰めて行く。３〜４角の中間では、先頭クレイジーアクセルが依然１馬身のリード。２番手争いは、スプリングマンに内からゴールドパテック，外からトキノパイレーツが並びかける。チャイヤプーンはその１馬身3/4差後ろだが、４角にかけてその差を詰めて行く。４角では、２番手争いはゴールドパテック，トキノパイレーツの２頭となって、スプリングマンは遅れを取る。チャイヤプーンは、２番手２頭の3/4馬身外まで取り付く。先団５頭の後ろは２馬身半差があって、優勝圏内はこの５頭に絞られた形で直線へ。

　直線に向くと、先頭クレイジーアクセルが１馬身リードで逃げ込みを図る。トキノパイレーツが単独２番手から先頭に並びかけようとするところで、外からチャイヤプーンが一気の伸び脚。トキノパイレーツをあっさり抜き去ると、残り１ハロンではクレイジーアクセルもかわして先頭に躍り出る。２番手争いはクレイジーアクセル，トキノパイレーツが競り合っているが、チャイヤプーンはラスト150ｍで3/4馬身，ラスト100ｍで１馬身半と完全に抜け出す。内で進路が窮屈だったゴールドパテックが、外に持ち出して４番手から追ってくるが、２番手争いの２頭との差をじりじりとしかしか詰められない。その間に、チャイヤプーンは内にササるいつもの癖を見せて、森泰斗騎手が追い辛そうになるが、それでも最後は２馬身突き放して完勝のゴール。実力が一枚上と言っていい強い内容で、南関東のＳ１重賞制覇を成し遂げた。岩手競馬の関係者にとっても、歓喜の勝利と言っていい。鞍上の森泰斗騎手は、「岩手で実績がある馬。移籍初戦は古馬が相手で今ひとつの結果でしたが、厩舎関係者や庄司大輔騎手がしっかり仕上げてくれており、返し馬に乗った時にいけると思いました。１枠だったので内枠を最大限に生かして乗ろうと思っていました。キックバックを嫌がって手応えが悪くなったりしましたが、勝つ時は上手くいくもので、最後の直線ではしっかり弾けました。岩手のダービー馬で実績のある馬を任せてもらい、責任を感じていましたし、岩手の関係者やファンの後押しもあったと思います。嬉しいです。今日の勝ちっぷりなら期待できますし、どんどん強くなって全国区の馬になってほしいと思います。」とコメント。川島正一調教師も、「状態が良くなっているのは分かっていたんで、追い切りの感じもすごく良くてね。あとは競馬に向かうだけだよってスタッフと話してたんです。勝てる云々よりも、勝ちに来てるんで、タイトルが獲れて良かったです。各地方のオーナーさん、いろんな引きがあって、南関東で重賞を獲りたいということで、白羽の矢が立ったのが僕のところなんで、正解だと思います。」と喜びを表現。岩手最強馬が、全国区の実力を証明し、今後の活躍が更に楽しみに。この後は岩手に帰り、不来方賞からダービーグランプリの岩手三冠を目指すが、その快挙を成し遂げる可能性は相当に高いと言っていいはずだ。

●移籍先の南関東でＳ１戸塚記念を鮮やかに優勝したチャイヤプーン。全国の地方競馬ファンに衝撃を与えた勝利だった。南関東でしっかり実績を残し、当初の予定どおり岩手に戻り、不来方賞からダービーグランプリで岩手三冠を目指すことになる。そして緒戦の不来方賞には、楽勝続きで無敗４連勝中のサンエイキャピタルがチャイヤプーンに挑んでくる。底が知れない不気味さがあるが、大方の見方はチャイヤプーン不動の中心で揺るぎがない。この２頭の対決ムードだが、チャイヤプーンが単勝1.3倍の１番人気。サンエイキャピタルは、単勝3.3倍の２番人気。地方重賞，準重賞，ＪＲＡ交流戦もすべて圧勝。チャイヤプーンにとっても大いに警戒しなければならない相手であるのは間違いない。３番人気は、ＪＲＡ時代は２着〜４着がそれぞれ１回ずつで未勝利を勝ち上がれなかったが、岩手転入緒戦の古馬相手のＣ１戦で持ったままで約１４馬身差の圧勝を演じているスズヨブラックで単勝11.2倍。その他の馬は、１，２番人気馬とは既に勝負付けが済んでいる感じ。チャイヤプーンが岩手の３歳王者と言われるようになってからサンエイキャピタルは台頭してきた。そのサンエイキャピタルを打ち破って、真の岩手の３歳王者としての地位を不動のものとしたい。陣営も「負けられない一戦」との意気込みで臨んできている。

　レースでは、チャイヤプーン，サンエイキャピタルとも五分のスタート。すーっと先頭に立ったのはやはりサンエイキャピタル。3/4馬身差でエルノヴィオ，ウインルーカスの２番手争い。チャイヤプーンは、先頭から４馬身差の６番手から。１〜２角では、チャイヤプーンは大外を回る形に。サンエイキャピタルが先頭で、１馬身差でウインルーカス。１馬身半差でエルノヴィオが３番手で向正面へ。差なくマコトハインケルだが、チャイヤプーンがエルノヴィオ，マコトハインケルの２頭を外からかわして押し上げて行く。向正面の中間では、先頭はサンエイキャピタル，半馬身差でウインルーカス。その後ろ３馬身開いてチャイヤプーンは３番手。３角では、チャイヤプーンが、先頭サンエイキャピタルとの差を２馬身1/4差まで詰めて行く。４番手以下は少し離されている。前に照準を絞ったチャイヤプーンは、３〜４角の中間では２番手に上がり、少し仕掛けながら先頭サンエイキャピタルの3/4馬身外に取り付く。４角では、先頭サンエイキャピタルの外に頭差まで並んで行ったチャイヤプーン。３番手以下は６馬身ほど離されて、予想どおり、そして期待どおり、やはり二強の一騎打ちの形になって直線へ。

　直線に向くと、サンエイキャピタル，チャイヤプーンの２頭が馬体を併せての叩き合いになって残り１ハロン。１ハロンを切ったところでえチャイヤプーンが頭ほどリードするが、サンエイキャピタルも譲らない。ラスト100ｍではチャイヤプーンが首差近くリードしてこのまま捻じ伏せるのかと思われたが、サンエイキャピタルもここから驚異の粘りを見せる。ラスト50ｍからサンエイキャピタルが差し返してきて、チャイヤプーンと際どい勝負に。更にゴール前でサンエイキャピタルがグイッともうひと伸びして、チャイヤプーンは首差差し返されて無念の２着惜敗のゴール。前の２頭から３着ムゲンノカノウセイは８馬身差，更に４着のエルノヴィオは６馬身と離されて、上位２頭の実力がいかに抜きん出ていたかが証明された一戦だった。それにしても、無敵のチャイヤプーンの敗戦はショック以外の何物でもない。勝ち時計の優秀さから見て、これは勝ったサンエイキャピタルを褒めるしかない。しかしながら、チャイヤプーンもこのまま引き下がるわけにはいかない。不来方賞以上に栄誉のあるダービーグランプリでは、サンエイキャピタルに雪辱して、岩手最強を今度こそ証明してほしい。

●不来方賞ではサンエイキャピタルとの激闘の末２着に惜敗したチャイヤプーン。まさかの敗戦だったが、サンエイキャピタルが想像以上の実力の持ち主だった。これで岩手三冠は果たせなくなってしまったが、最大目標のダービーグランプリに向けて、決意を新たにする。そんな中、サンエイキャピタルは故障で戦線離脱し、ダービーグランプリでの雪辱は果たせなくなる。更には、岩手競馬を襲った薬物騒動で、ダービーグランプリの開催が３週間延期となる。一時はダービーグランプリの中止も懸念されたが、そのような紆余曲折を経て、チャイヤプーンがダービーグランプリの舞台に立つ。当初出走予定だった南関東のヤマノファイトが直前に回避し、チャイヤプーンにとっては兵庫勢２頭がライバルとなる。それでも、これまでの実績が買われて、チャイヤプーンが単勝1.5倍の圧倒的人気を集める。２番人気は、兵庫ダービー，西日本ダービーの２つのダービーを制しているコーナスフロリダで単勝2.7倍。近４戦で３勝しており、全成績は 7-3-1-1 で４着を外したことがない。特に前走西日本ダービーで2.1秒差の大差の圧勝を演じた競馬は圧巻で、油断のできない相手。３番人気は、園田オータムトロフィー，笠松の岐阜金賞と地方重賞を連勝した後、前走古馬相手の全国交流の地方重賞の楠賞でも４着と悪くない走りを見せているクリノヒビキで単勝7.1倍。デビュー時のＪＲＡ時代は６着が最高着順だったが、地方移籍後は園田オータムトロフィーでコーナスフロリダを破っており、兵庫の二強は互角との評価もできる。その他、金沢で石川ダービー，サラブレッド大賞典を制して、今回は船橋所属で参戦ののアルファーティハなどが出走。しかしながら、南関東Ｓ１の戸塚記念を制したチャイヤプーンの実力は抜けているはず。ここはあっさり勝利を決めてほしい。

　レースでは、チャイヤプーンはスタートで２馬身出遅れてしまう。痛恨のビハインドだが、この馬の実力からすれば決して慌てる必要なない。最後方から少し手綱をしごきながら馬順を上げて行く構え。コーナスフロリダは出遅れというわけではないが、ダッシュは少し甘い感じ。一方、ポンと好発を決めたのはクリノヒビキの方で、一瞬で１馬身半リード。エルノヴィオ，アルファーティハの２番手争い。１周目の３角過ぎで、コーナスフロリダ，マグマの４番手争いだが、その外にチャイヤプーンが並んで行く。３〜４角にかけて、スローの流れのためか、チャイヤプーンは少し口を割っている。４角では、クリノヒビキは後続を半馬身差に引き付けての逃げ。一団の展開となって正面スタンド前へ。チャイヤプーンは、先頭から１馬身半差の４番手争いで、コーナスフロリダなどと並ぶ形で、態勢はほとんど変わっていない。１〜２角で、先頭クリノヒビキのリードは１馬身半。チャイヤプーンは先頭まで２馬身半差。向正面では、先頭クリノヒビキ，3/4馬身でエルノヴィオ，半馬身差でアルファーティハの順。その１馬身半後ろにコーナスフロリダとチャイヤプーンだが、向正面の中間から、チャイヤプーンは少し仕掛けて進出開始し、コーナスフロリダより１馬身半先に行く。先に行かせてはまずいとコーナスフロリダは手綱をしごき始めるが、すぐには差を詰められない。３角手前では、チャイヤプーンは外から手応え十分に２番手押し上げると、先頭クリノヒビキもペースを上げて、３角でも１馬身リードをキープ。２番手チャイヤプーン，半馬身差でエルノヴィオ，3/4馬身差でアルファーティハの順。その１馬身1/4差後ろからは、コーナスフロリダが手綱をしごいて追っている。３角過ぎで、チャイヤプーンが少し仕掛けると、先頭との差をすっと詰めて行く。３〜４角の中間では、チャイヤプーンはクリノヒビキの半馬身外で、手綱を抑えたまま。その後ろは２馬身半と差が開いてくるが、エルノヴィオをかわしてコーナスフロリダが３番手に上がって来る。コーナスフロリダにはムチが飛んで、４角にかけて外からグーンと差を詰めてくる。４角では、クリノヒビキにもムチが入るが、直線入口では、クリノヒビキ，チャイヤプーンと一気に差を詰めた大外コーナスフロリダと３頭並ぶ態勢で、やはり上位人気３頭の勝負になる。しかしながら、チャイヤプーンは早目に先頭に立たないように抑えるほどの余裕があって、簡単には負けない手応えで直線へ。

　直線に向くと、チャイヤプーンはすぐにじわっと先頭に出る。残り１ハロンでは１馬身リード。内で食い下がっているのはクリノヒビキ。コーナスフロリダは、４角で一気に脚を使ったのが堪えたのか、伸びを欠いて３番手で遅れを取る。ラスト150ｍで、チャイヤプーンが3/4馬身とリードを開きにかかった時点で決着がつく。ラスト100ｍでは１馬身1/4差リード。２番手クリノヒビキ，１馬身半差でコーナスフロリダ，更に２馬身差でムゲンノカノウセイ。完全に抜け出したチャイヤプーンは、今回も内にササり加減になり、ここからは村上忍騎手が一杯に追えないような感じになったが、それでもラスト50ｍでは２馬身と突き放し、そのまま危なげなく快勝のゴール。３着のコーナスフロリダは、２着からも４馬身と突き放されていた。村上忍騎手は、ゴールの瞬間は後ろを振り返るほどの余裕があった。最大目標としていたこのレースを制したのは、大いなる達成感。。鞍上の村上忍騎手は、「スタートでちょっと遅れましたが、慌てずレースを進めようと思いました。それで周りの馬の位置を確認できました。スローだったのでまずは折り合いをつけることに専念。追い出すタイミングの難しい馬ですから、周りの動きを見ながらスパートをかけたら反応が抜群。手応えも良く、あのぐらい伸びて当然と思っていました。今後は古馬と走ることになりますが、まだ伸びしろがあるので今後も楽しみ。年度当初からダービーグランプリが最大目標でしたから、勝ててとてもうれしいです。」とコメント。千葉幸調教師は、「ダービーグランプリが順延になって調整の難しさを改めて感じました。力はある馬ですが、間隔が開きすぎたのが一番の心配事。十分すぎるぐらい乗り込んで臨みました。不来方賞は２着に敗れましたが、最大の目標を勝ってホッとした気持ちと同時に、ついにやったという気持ちです。母サイレントエクセルはダービーグランプリ３着。当時とは条件が違いますが、チャイヤプーンが優勝できて本当に良かったと思っています。次走予定は桐花賞。先日、北上川大賞典を圧勝したエンパイアペガサスを相手にどこまでやれるか、自分も楽しみです。」と、早くも次の目標を見据える。これからは古馬と戦っていくこととなるが、全国区で活躍してきたエンパイアペガサスとどんな競馬ができるのか。年末のグランプリを目標にしたが、岩手競馬を襲った薬物騒動で開催自体が中止になってしまった。

●ＪＲＡ初のウイングアローの孫トミケンシェルフのデビュー戦。母は交流Ｇ３エーデルワイス賞２着のアグリフェスタ。ウイングアロー産駒の中では５指に入る実績馬だっただけに、母としてかかる期待も大きい。父は日本ダービー４着，フェブラリーＳ２着のＧ１実績を持つサンレントディール。南関東ではウイングアローの孫としてアイコマローマンが１歳年上で一頭デビューしているが、ウイングアローの血を繋ぐ馬はほんの僅かしかいないだけに、何とか活躍してほしいところ。昨年の北海道サマーセールで210万円の格安で取引された馬だが、その低い評価を覆してほしい。１番人気は、前年度新種牡馬として好成績を挙げて話題を読んだヨハネスブルグ産駒のパイナワレアで単勝2.6倍。２番人気は、サクラバクシンオー産駒のクラウンノキミで単勝5.1倍。トミケンシェルフは、単勝72.8倍の１３番人気と評価は低い。それでも、ここでもある程度見どころのあるレースを見せて、今後に期待を繋ぎたい。

　 レースでは、トミケンシェルフはスタートは五分に出ると、手綱をしごきながら好位グループに取り付く。外から持ったままでクラウンノキミが先頭。3/4馬身差で内ツクバレガーロが２番手だが、中から押してトミケンシェルフも２番手争い。半馬身差で外ナイアガラモンローが４番手の態勢。先頭クラウンノキミは、一頭３馬身とリードを開いての逃げ。ツクバレガーロが２番手で、3/4馬身差でトミケンシェルフは３番手。トミケンシェルフは、スタートから350ｍの長い間手綱をしごき通しで、ここまでかなり脚を使っている感じ。その後ろは１馬身半差で、３角過ぎでは内ビバサンライズ，外ナイアガラモンローの４番手争い。３〜４角の中間では、先頭クラウンノキミは５馬身とリードを開いている。トミケンシェルフは、ビバサンライズ，ナイアガラモンローにかわされて５番手に順位を下げると、４角ではガルーダなどにもかわされて中団の位置。先頭クラウンノキミのリードは３馬身半。２番手にツクバレガーロ，半馬身差で外ナイアガラモンロー。トミケンシェルフは、更に４馬身後ろの中団から更に後退気味で直線へ。

　 直線に向くと、先頭クラウンノキミが逃げ込みを図って、残り１ハロンでも３馬身リード。ツクバレガーロが２番手で、２馬身差でナイアガラモンローが３番手。半馬身内にビバサンライズがいて、その１馬身3/4差後ろに人気のパイナワレア。トミケンシェルフはその２馬身1/4差後ろで、勝負どころで一気に後退したものの、ここからは離されずに踏みとどまっている。ラスト150ｍから、後方にいた差し馬勢が外からどっと押し寄せ、トミケンシェルフはかわされて順位を下げてしまったが、３番手ナイアガラモンローとの差は逆に詰めている感じで、１１着ながらナイアガラモンローから２馬身半差のゴール。勝負どころではビバサンライズにかわされて一旦は水を開けられたが、最後はこのビバサンライズを抜き返すシーンを見せた。ウイングアローの孫の初めてのＪＲＡでのレースは、着順的にはもうひとつだったが、今後の成長次第では好勝負もできるのではという期待を抱かせた。

●福島の新馬デビュー戦では芝で１１着だったトミケンシェルフ。それでも、今後ある程度は戦えるのではという感触はあった。ウイングアローの血を考えれば、ダートならもっと活躍できるのではと思われたが、続くダートの未勝利戦は１２着。着順的にはデビュー戦とあまり変わらないが、内容的には後退した印象。今回は再び芝でのレースとなる。１番人気は、デビューからの２戦を３着，２着としているアキトオリオンで単勝3.2倍。２番人気は、デビューからの全４戦で２着１回，３着１回のウインエスパシオで単勝3.5倍。特に前走東京戦で鼻差２着の内容が光る。トミケンシェルフは、単勝156.7倍で最低人気の１４番人気。すっかり評価を下げてしまっているが、何とかキッカケを掴みたい。

　 レースでは、トミケンシェルフはスタートは無難に出て、好位から無理せず中団に下げる形。大外一気にタマモエトワールが先頭，１馬身半差でソヴリンマンボが２番手。中団につけるトミケンシェルフは、先頭から６馬身差の位置で１角へ。１〜２角で、先頭タマモエトワールは２馬身半リードの逃げ。ハーツジュニアが２番手に上がり、２馬身差でロードグリッターが３番手で、その内首差でソヴリンマンボの態勢。向正面で、３馬身開いてウインエスパシオなど２頭がいて、１馬身半差でトミケンシェルフの態勢で、先頭までは約１０馬身差。前の方はバラけた展開となっている。トミケンシェルフの半馬身外に人気のアキトオリオン。３角では、先頭タマモエトワールのリードは１馬身に縮まってくる。トミケンシェルフは先頭から６馬身差だが、３〜４角の中間では反応が悪く、手綱を押しているが前との差が開いてくる。この時点ではかなり苦戦の様相。４角では、先頭タマモエトワールに、3/4馬身差でハーツジュニアが２番手だが、これに大外ロードグリッターが並んでくる。一旦後退加減だったトミケンシェルフは、内ラチ沿いをもう一度盛り返してきて、先頭から４馬身差の中団で直線へ。

　 直線に向くと、前の争いから残り250ｍを切ってロードグリッターが先頭。１馬身差で２番手争いは４頭が広がっている。トミケンシェルフは更に２馬身後ろの中団の争いの中で、ここからこの馬なりには渋太く踏ん張っていたが、大外一気の追い込みのオフビートにかわされ、競り合っていた人気のアキトオリオンにも僅かに競り負けてしまう。それでもゴール寸前で、タマモエトワール，ハーツジュニアの２頭をかわして７着でのゴール。あまり目立たない走りだったかもしれないが、直線入口での先頭との４馬身差を、最後は２馬身程度まで詰めており、そのあたりに希望を見出せた感がある。それと、やはり芝の走りの方が良かった印象。今後の成長次第では、もっと上位に食い込んでこられるかもしれない。

●前走芝の未勝利戦では７着ながら、勝ち馬から0.3秒差の競馬をしたトミケンシェルフ。芝適性も感じたが、経験を積んで着実に力をつけている今なら、ダートでも結果を出してくれるはず。元々がダート血統であるだけに、ダートで大きく上昇してくる可能性もある。１番人気は、近３走を４着，３着，２着と一戦ごとに着順を上げてきているトーセンアーネストで単勝1.7倍の断然人気。前走は首差の惜敗だった。２番人気は、近５走で４〜５着が４回と大崩れのないドラゴンパイロで単勝5.5倍。トミケンシェルフは、単勝47.7倍の９番人気と評価は低い。それでも前走の走りから考えて、初めて掲示板圏内に食い込んでくる可能性は十分あるはずだ。

　 レースでは、全馬揃ったスタート。トミケンシェルフは最内から先行グループに加わって行くが、無理して行こうとはしない。人気のトーセンアーネストがすっと先頭に立って、１馬身差で最内ドラゴンパイロ，大外マイネルヴォーダンなど３頭の２番手争い。これに１馬身差で内々トミケンシェルフは５番手から。１〜２角で、先頭トーセンアーネストに、外からクラウンリバティーが半馬身差に接近。向正面に入って、トミケンシェルフは先頭から３馬身半差の７番手あたりで、追走のリズムは悪くない。隊列は落ち着いて、トミケンシェルフはやや抑え気味にじっくり脚をタメている。３角でも、先頭トーセンアーネスト，半馬身差でクラウンリバティーの態勢は変わらない。３〜４角の中間でも、トミケンシェルフは動かない。４角では、２番手クラウンリバティーの外にマイネルヴォーダンが並んでくる。１馬身半差でドラゴンパイロ，セイカアヴァンサの４番手争い。トミケンシェルフは、更に１馬身1/4差の内々６番手争いで直線へ。

　 直線に向くと、トーセンアーネストが１馬身半と突き放しにかかって逃げ込みを図る。外マイネルヴォーダンが僅かに２番手だが、これに首差で食い下がるクラウンリバティー。１馬身1/4差で外に持ち出したドラゴンパイロ，内首差でトミケンシェルフが５番手から更に前を窺う。ここからドラゴンパイロがよく伸びて、ラスト100ｍでマイネルヴォーダン，クラウンリバティーを捉えて２番手に上がる。トミケンシェルフは、ドラゴンパイロに3/4馬身遅れながらもじわじわ伸びて、ラスト30ｍでクラウンリバティーをかわし、更にはマイネルヴォーダンにも半馬身差まで詰め寄って４着でゴール。デビュー４戦目でついに掲示板圏内に食い込んだ。一戦ごとにレースぶりにも着実な成長が窺え、しかもダート適性も発揮したことは大きな収穫。鞍上の村田騎手は、「ダートは合うと思っていたし、馬も良くなっていましたね。この後も順調に行ってくれると楽しみですよ。」とコメント。ウイングアローの孫の初勝利さえ見えてきた感じだ。

●１月の中山の未勝利戦では、勝ち馬から２馬身半差の４着で初入着を果たしたトミケンシェルフ。経験を積みながら着実に成長を遂げているだけに、更なる前進が期待されたが、軽度の骨折で休養を余儀なくされる。今回はそれ以来の休み明けの競馬となるが、ブランクはあっても好勝負は期待していい。１番人気は、ダートに替わった近２走を連続４着と堅実に駆けているウェブスリンガーで単勝3.4倍。２番人気は、前走２着と好走しているパイロキネシストで単勝4.4倍。デビューからの全４戦で入着３回と安定した走りを見せている。トミケンシェルフは、単勝10.9倍の６番人気。本来の実力ではそれほど遜色はないはず。あとは休み明けでいかに力を発揮できるかだ。

●前走骨折休養明けの未勝利戦を快勝したトミケンシェルフ。素質の高さを示し、ウイングアローの孫のＪＲＡ初勝利を成し遂げた。今回は昇級緒戦となるが、前走の勝ちっぷりからも、通用しておかしくない。１番人気は、近２走平場戦を３着，２着としているメイプルレインボーで単勝2.4倍。２番人気は、1000万下平場，特別を連続５着とした後、降級した500万下平場戦は１番人気で６着だったベルプラージャで単勝4.1倍。上のクラスで好勝負してきた実績は上位。トミケンシェルフは、単勝29.2倍の１０番人気。何とかこのクラスにメドの立つ競馬を見せてほしい。

●500万クラス昇級緒戦の新潟の平場戦で５着と掲示板圏内に食い込んできたトミケンシェルフ。続く中山の平場戦は９着に終わったが、まだまだ成長途上の馬だけに、今回はこれまで以上の競馬を期待。１番人気は、近４走で入着４回のマイネルボルソーで単勝3.0倍。３走前の特別戦では２着，前々走の平場戦では１番人気で３着となっている。２番人気は、近４走平場戦を５着，４着，３着，９着としているスズカリバーで単勝4.5倍。トミケンシェルフも、単勝6.7倍の３番人気となかなか高い評価。実力的には拮抗しており、今回は勝利のチャンスもあると言えるだろう。

●前年１１月の東京の平場戦では４着だったトミケンシェルフ。勝ち負けまでは食い込めなかったが、堅実性を発揮してきた印象。しかしながら、続く中山の平場戦では、１番人気に支持されたものの９着と振るわず。それだけに今回は、何としても巻き返したい。１番人気は、未勝利を勝ち上がった後、500万下平場戦を３着，１２着，２着としているサトノメダリストで単勝3.8倍。前々走こそ１番人気で二桁着順に崩れているが、このクラスでは力量上位の馬。２番人気は、目下６連続入着しているサンホッブズで単勝4.0倍。特に前走は２着と好走し、勝利へ大きく近づいた。トミケンシェルフは、単勝9.5倍の５番人気。人気どころは確かに手強いが、力を出し切れれば決して遜色はないはずだ。 

　 レースでは、トミケンシェルフは少しもっさりとゲートを出て、後方の位置取りに。人気のサトノメダリストがすっと先頭。１馬身1/4差でメイショウヨイチ，半馬身差でスノードルフィンの順。最後方まで下げたトミケンシェルフは、先頭まで８馬身差。１〜２角では、その差は１０馬身に。サトノメダリストが１馬身半リードで先頭で、隊列は早くも固まる。向正面では、サンホッブズは先頭から４〜５馬身差の中団外。殿りトミケンシェルフは、更に５馬身後ろから。３角では、少し間隔が詰まって、トミケンシェルフは先頭まで８馬身差。３〜４角の中間では、先頭サトノメダリストに、外からスノードルフィンが3/4馬身差にじわっと接近。後方からトミケンシェルフも外を回って進出を開始。４角では、先頭サトノメダリストに首差まで並んでくるスノードルフィン。更に半馬身差の外にサンホッブズが押し上げてくる。前３頭から２馬身半開いてプエルトが４番手。トミケンシェルフは中団後ろの外まで順位を上げてくるが、先頭までまだ７馬身差があって直線へ。

　 直線に向くと、先頭争いはサトノメダリスト，スノードルフィン，サンホッブズの３頭が並んでくるが、間スノードルフィンは僅かに遅れを取る。２馬身半後ろから４番手プエルトも差してくる。後方からトミケンシェルフもじわじわ脚を伸ばしている。残り１ハロンで、サンホッブズが先頭に抜け出してきて3/4馬身のリード。トミケンシェルフは、内にいた馬たちをまとめてかわして５番手に上がるが、前の４番手プエルトまでは４〜５馬身もの差がある。勝負は、早目抜け出しから押し切りを図るサンホッブズに、最後プエルトが追いすがったが、サンホッブズが半馬身押し切って優勝。トミケンシェルフは、ラスト１ハロンを切ってから急追したが、時既に遅しの感があり、ゴール前で内で甘くなったスノードルフィンを捉えたものの４着止まりのゴール。最後は３着サトノメダリストに１馬身差まで迫っていた。スタートがもうひとつで後手の競馬に回ってしまったトミケンシェルフ。元々切れ味勝負の馬ではないだけに、最後方からではやはり厳しかった。鞍上の加藤祥騎手は、「好位から行ってどこまでというタイプなので、ゲートをうまく出せなかったのが痛かったです。それでも来てくれたように力はあります。」とコメント。それでも前走から巻き返してくれた点はひと安心。新しい年は必ずや500万クラスを勝ち上がると胸に誓う。

●中山戦１番人気９着から、中京戦では４着と巻き返してきたトミケンシェルフ。しかも、スタートで後手を踏んだため、好位からのこの馬の形に持ち込めなかっただけに、それでも４着に持ってきたあたりは底力をと言う他ない。１番人気は、３か月ぶりの前走平場戦では、４着のトミケンシェルフに３馬身半先着して２着だったプエルトで単勝1.9倍。トミケンシェルフは、単勝5.1倍の２番人気。３番人気は、デビュー１１戦目で未勝利を勝ち上がった後、昇級緒戦の500万下平場戦でも２番人気で３着と力を見せたハギノグランコートで単勝7.0倍。トミケンシェルフも元々このクラスを勝っている馬。実力さえ出し切れれば、プエルトとの３馬身半差は十分逆転可能だ。 

　 レースでは、トミケンシェルフは今回はスタート良く、少し仕掛けて外マイネルヴォーダンと並んでの先頭争い。更に外からダンツエンペラー，ポボス，つれてハギノグランコートと、先頭争いはこの５頭。ここからトミケンシェルフは３番手の態勢に。前５頭が一団で、その後ろは３馬身半開いて人気のプエルト以下。１〜２角で、ダンツエンペラー，ポボスの先頭争い。3/4馬身差で外ハギノグランコート，半馬身内トミケンシェルフは４番手で、若干行きたがる感じで向正面へ。半馬身差で外マイネルヴォーダン，更に3/4馬身外にプエルト。向正面の中間では、トミケンシェルフは先頭から２馬身半差。３角では、後方にいたウォーターシャウトが、大外を押し上げて行くと、３角過ぎでは先頭争いに並びかけて、ここからペースアップ。３〜４角の中間では、トミケンシェルフも手が動いて、先頭から２馬身半差の５番手で、外からプエルトが並んでくる。４角では、ウォーターシャウトが手応えよく半馬身リードで先頭。内でダンツエンペラーが食い下がり、3/4馬身差で中トミケンシェルフが３番手。3/4馬身外プエルトが４番手。このあたり、トミケンシェルフにもプエルトにもムチが入って直線へ。

　 直線に向くと、トミケンシェルフ，プエルトの２頭が外から伸びて、ウォーターシャウトに並んでの先頭争い。残り250ｍでは、ウォーターシャウトは少し遅れを取る。前の激しい競り合いから、残り１ハロンでトミケンシェルフが半馬身リード。２番手プエルトも渋太く食い下がり、内首差でウォーターシャウトも粘っている。ここからトミケンシェルフは内外の２頭を突き放せず、ラスト100ｍでも３頭同じ態勢のまま。ゴール前でプエルトがもう一度じわりと差を詰めたが、最後は同じ脚色で、トミケンシェルフが首差競り勝って優勝のゴール。近走の善戦止まりにピリオドを打ち、500万クラス２勝目を挙げた。鞍上の吉田隼騎手は、「気難しいですね。４角の手応えは抜群でしたが、抜け出すとフワッとしました。でも勝てて良かったです。」とコメント。悪い癖は解消していないが、実力は示してくれた。過去１度の1000万クラスでは結果が振るわなかったが、昇級して再度挑んで行く。

●１月末の中京の500万下平場戦を勝利し、500万クラス２勝目を挙げたトミケンシェルフ。その後は７カ月休養し、1000万クラス昇級戦の前走特別戦は８着。それでも、休み明けだったことを考えれば、それほど悪い内容ではなかった。とは言え、1000万クラスではまだ入着実績がないだけに、何とか上位食い込みを狙いたい。１番人気は、前走500万下平場戦を２馬身半差楽勝して勝ち上がってきたペルランヴェールで単勝2.4倍。キャリアも浅く、これまでの全成績は 2-2-1-0 で、今回でデビュー以来６戦すべて１番人気という馬。２番人気は、未勝利，500万下平場戦と連勝した後、昇級緒戦の1000万特別でも３着と実力を見せたペガサスシャーインで単勝3.7倍。成長盛りの勢いのある３歳馬が人気の中心。トミケンシェルフは、単勝62.0倍のブービー９番人気。人気はないが、この馬の持ち味の渋太い競馬を見せてほしいところだ。

　レースでは、トミケンシェルフはスタートは五分に出ると、積極的に行こうという馬がいない中で、大外から持ったままで好位に。中からタガノグルナが先頭，3/4馬身差でペガサスシャーイン，トミケンシェルフの２番手争い。3/4馬身差で中ペルランヴェール以下も差はなく、落ち着いた流れとなっている。１〜２角では、トミケンシェルフが単独２番手となって、先頭に１馬身半差。２馬身差でペガサスシャーインが３番手で、このあたりは少しバラけてくる。向正面で、3/4馬身差で外ロードプレステージ，半馬身内にサハラファイター。２馬身半開いてペルランヴェールは６番手に下げている。隊列は動きがなく淡々としたペースで、トミケンシェルフは無理なく理想的な形で２番手を追走している。３角でも、２番手トミケンシェルフは先頭に１馬身1/4差。１馬身半後ろにペガサスシャーインが３番手。ペルランヴェールは更に３〜４馬身後ろの８番手。３〜４角の中間では、馬群が固まってくる。４角では、先頭タガノグルナにトミケンシェルフが首差まで並んでくる。１馬身1/4差でペガサスシャーイン，半馬身内サハラファイターが４番手。ペルランヴェールは、更に３馬身半後ろの後方２頭目で少し順位を下げていて直線へ。

　 直線に向くと、トミケンシェルフが首ほどじわっと出て先頭だが、まだ追い出しを待っている。内でタガノグルナも食い下がり、残り１ハロンでもトミケンシェルフは首差のリードだが、ここから徐々に追い出しにかかる。先頭に１馬身1/4差の３番手からペガサスシャーインが差を詰めてくる。更に３馬身後ろ、外目７番手争いにペルランヴェール。トミケンシェルフが追い出されてからも、首差で執拗に食い下がるタガノグルナ。ペガサスシャーインもじわじわ差を詰めて。この前３頭の叩き合いになって、この３頭がほぼ並ぶような態勢になる。２馬身差でサハラファイターが４番手，その半馬身外４頭並んだ５番手争いの大外がペルランヴェールで、ここからペルランヴェールが末脚を繰り出してくる。ラスト100ｍで、今度はペガサスシャーインが僅かにリード，内側で食い下がるトミケンシェルフ。タガノグルナは力尽きて先頭争いから脱落。そこへ、ペルランヴェールが一気の伸びで追い込んでくる。前２頭の競り合いは、トミケンシェルフが頭〜首ほど遅れていたが、最後の最後でこの争いにペルランヴェールが外から一気に並びかけてゴール。残念ながら、トミケンシェルフは首，首差の３着に。肉眼では頭，頭差に見えるほど差のない勝負だった。着差が着差だけに惜しかったが、これがトミケンシェルフにとっての1000万クラス初入着。しかも勝ち負けまでの競馬ができたことは、大きな自信に繋がる。鞍上の松田大騎手は、「頭数も少なめだったので、スッと楽にいい位置を取れました。ただ抜け出すとやめる面があると聞いていたから、ギリギリまで待って追い出したんですが、最後は本気で走っていない感じでしたね。まだ良くなる余地があると思います。」とコメント。1000万クラスで互角に戦えるメドは立った。まだ100％の力を出し切っているわけではないだけに、これからの活躍が楽しみになった。しかしながら、その後約４ヶ月半姿を見せないまま、突然の登録抹消。いよいよこれからという時に、本当に残念でならない。

●前年１１月の福島戦では５着で、デビューから４戦して入着３回となったポッドティノ。しかしながら、その後２戦はともに６着で、掲示板を確保できず。テンに行けずにどうしても後手後手の競馬になってしまうのが弱点となっている。１番人気は、近４走を３着，４着，２着，２着としているヤマニンバンダジオで単勝2.2倍。２番人気は、近３走を４着，４着，２着としているトラネコで単勝3.4倍。前走は勝ち馬に3/4馬身差で、３着馬には大差をつけている。ポッドティノは、単勝42.5倍の７番人気。勝ち切るまでは難しいと見られているが、レースぶりに進境を見せたいところだ。

　 レースでは、ポッドティノはこの馬としては悪くないスタートで、隣の馬と接触しながらも、始めからグイグイ手綱をしごいて行く。馬群の中に一瞬呑み込まれそうになるものの、ここから加速して好位集団の後ろに。トラネコが先頭に立って、半馬身差でエミーリオ，更に首差で外モガドールも先行争い。半馬身差で内にアドバンスクライ，これに首差で中からポッドティノが押し上げる。１〜２角では、ポッドティノは４番手争いで、先頭まで４馬身差。このあたり、トラネコが単独先頭で１馬身半のリード。２番手にエミーリオ，3/4馬身外にモガドールで向正面へ。１馬身半差でポッドティノが４番手で、このあたりは未だかつてない前目の位置をキープしている。首差で外ショウナンダリア。向正面の中間では、更に３馬身半後ろの後方にコトブキホーク。半馬身外にヤマニンバンダジオの態勢。３角では、ポッドティノは仕掛けながら３番手争いで、先頭まで２馬身半差。３〜４角の中間では、先頭トラネコのリードは半馬身。ポッドティノは懸命にしごいて４番手で、４角ではムチが飛んでいる。先頭トラネコが１馬身1/4差リード。２番手にモガドール，半馬身差で中からポッドティノが３番手に押し上げる。その２馬身後ろから内コトブキホーク，大外ヤマニンバンダジオなどがスパート態勢で直線へ。

　 直線に向くと、先頭トラネコが突き放しにかかる。ポッドティノが２番手に上がるが、残り250ｍでトラネコは３馬身リード。２番手ポッドティノに、3/4馬身差で外エミーリオが粘るが、これを内からかわすコトブキホーク。その１馬身1/4差後ろから大外ヤマニンバンダジオも差してくる。残り１ハロンでは、ポッドティノ以下の４頭が3/4馬身圏内に固まってくる。ラスト150ｍでもまだポッドティノが僅かに２番手で粘っていたが、ラスト120ｍでコトブキホークにかわされて３番手に。更にラスト100ｍではヤマニンバンダジオにもかわされて４番手。ポッドティノも決して止まってはいなかったが、この２頭に徐々に差を広げられて、最後は１馬身半差の４着でゴール。逃げたトラネコは、３馬身半差をつけ悠々完勝だった。今回のポッドティノは、序盤に無理をしてでもいい位置につける競馬で、これが好結果にも結びついた。今までとは違う面を見せてくれた印象。鞍上の北村宏騎手は、「一生懸命走ってくれました。こういうレースを続けていれば、チャンスはあると思います。」とコメント。未勝利を勝ち上がるには、ある程度積極的な競馬をするのは必要。そういう意味では、今回のような形の競馬ができたのは大きな収穫だった。

●３月の中山戦では好位からの競馬で４着だったポッドティノ。続く中山戦は６着だったが、掲示板まで半馬身という競馬だった。どうしても掲示板のボーダーラインの競馬が続いてしまうが、そろそろワンランク上の競馬を見せたいところ。１番人気は、近４走連続で３着〜５着を続けているワンナイトインパリで単勝2.6倍。２番人気は、ダートに替わってからの３戦を３着，８着，３着としているハレカイで単勝4.0倍。８着と崩れた前々走は不良馬場だっただけに、今回パンパン馬場なら確実に上位争い。ポッドティノは、単勝16.1倍の５番人気。ややパンチ力を欠く現状を、何とか突き破りたいところだ。

　レースでは、ポッドティノはスタートは五分に出て、手綱をしごいて行くが後方から。ショットザバニティが出てくるが、ブラックモトヒメが押しながらかわして行く。更に大外から今度はサーブルノワールが先頭に出てくる。ポッドティノは後方内々で、先頭までは７馬身差。１〜２角で、先頭はサーブルノワールで１馬身半のリード。カンパニリズモが２番手に。２馬身差で人気のワンナイトインパリが３番手。向正面で、ポッドティノは更に７馬身後ろで、後方３頭目で内々を追走する。このあたり隊列に変動はないが、向正面の中間を過ぎて、ショットザバニティが中からすーっと３番手に上がって行く。３角では、ポッドティノは中団後ろにじわっと順位を上げて、先頭まで６馬身差。ここで後方にいたカドモスが大外一気のマクリをかけて、あっと言う間に先頭サーブルノワールの外に並んでくる。３〜４角の中間では、１馬身半差でワンナイトインパリが３番手。ペースが上がる中で、ポッドティノはまた遅れ加減になって、後方３頭目で先頭まで９馬身差。外から好位ウイントリニティーが進出。４角では、サーブルノワール，カドモスの先頭争い。3/4馬身差で外ウイントリニティーが３番手。１馬身差でショットザバニティ，ワンナイトインパリの４番手争い。ポッドティノは更に７馬身後ろの後方４頭目で、ここから大外に出して行くが、先頭までは差が開き過ぎている位置取りで直線へ。

　 直線に向くと、先頭サーブルノワールに、外から半馬身差で追ってくるウイントリニティー。３番手以下は２馬身と差が開いてくる。残り350ｍで、ワンナイトインパリが３番手に上がってくる。ポッドティノは徐々に伸びてはいるがまだ後方で、先頭までは８〜９馬身差の苦しい位置で、残り１ハロンでは、４番手争いのカドモス，ジャイアンヴォーグの２馬身後ろの６番手。ラスト100ｍで、ポッドティノはカドモスをかわして５番手まで上がるが、前のジャイアンヴォーグまでは２馬身1/4差。ジャイアンヴォーグも伸びていただけに、ポッドティノは前との差をそれ以上は詰められずに５着でゴール。内側首差で食い下がるように伸びていたレッドカサブランカは競り落とした。それでも、勝ち馬からは差があって、決着がついた後に脚を伸ばしてきただけの競馬に終わった。鞍上の北村宏騎手は、「最後は伸びているんですけどね。芝でも走っていますが、ダートの方が合うような印象があります。」とコメント。堅実ではあるが、今回もややパンチ力を欠く結果に終わった。